今日は短めです。
三月四日
昨日はあのまま博麗神社で寝てしまった。
境内に多分咲夜が持ってきたんだろう布団が敷いてあってお姉様と一緒に寝てたよ。目が覚めたら目の前でお姉様が「むにゃ……私は吸血鬼の王……」と寝言を言ってた。
起きて外に出てみれば何人かの鬼が重なり合うようにして幸せそうに酒瓶を抱いて寝てた。ナナシ君、勇儀さんに抱きしめられるように首をヘッドロックされて泡吹いてたけど大丈夫かな。
あとは霊夢さんと早苗さんと咲夜が片付けと朝食用の軽食の準備をしてた。私も手伝おうか聞いてみると「こちらは人手が足りていますから」と言われたので外を見て回ることに。
妖精達は皆寝てた。木の幹とかを枕にしたり、クラピちゃんは博麗神社の床下で寝てたり、三妖精は博麗神社にある家で寝たみたい。
幽香さんはもう起きてたみたいでテーブルに持参のパラソルを立てて紅茶を飲んでいた。膝の上でメディスンちゃんが寝てて、頭を撫でながら小さく幸せそうな笑みを浮かべてたね。
やっぱり優しい人なんだなぁ……。
あとは木に体をもたれて寝てる妖夢さんと、同じように木にもたれて腕を組んで寝ている神奈子さんとその神奈子さんにもたれかかって寝てる諏訪子ちゃん。
それから寒空麻雀をやっていたのか卓が出しっ放しで置いたまま椅子に座って寝てる魔理沙、てゐちゃん、星さん、こころさんの四人。
あとは早朝から酒を酌み交わす妖忌さんとルーミア"さん"と、紫さんと幽々子さん。
この四人が気になるね。ちょっと耳を澄ませてみようか。
「……思えば随分と時が経ったものね」
「私は封印されてたからあまり経ったとは思えないけどね」
「……ふふ、自分から望んでおいて何を言うのよルーミア。周囲には『酒の席で酔って封印された』なんて吹聴してるみたいだけどね〜」
「昔のことよ幽々子。今更あんな話を蒸し返す必要もない。ましてや宴よ。悲しい話よりも楽しい話にしてしまった方が良いわ。それに私の中でとうに決着はついてるもの」
「……ルーミア殿は変わらんな。いや、儂以外皆変わらんのか。だが友人として、君がそれで良いならば儂はそれを肯定しよう」
紫さんが話を切り出して、ルーミアさん、幽々子さん、妖忌さんとポツポツ話していく。旧知の友という印象で、独特な雰囲気がそこにあった。
「妖忌は歳を取ったわね。初めて会った頃はあんな子供だったのに」
「私はその頃の記憶がないわぁ。亡霊になって……壮年の妖忌からしか知らないのがちょっと残念」
「仕えるべき主人に幼子の頃の自分を知られるのは従者としては恥ずかしいものですから。弄りたいなら妖夢が大人になった頃にうんとするが良いでしょう。儂も先代によく弄られました」
「懐かしいよね……まぁ私とか紫からしたら封印関係無くそんなに昔って訳でも無いけどさ」
「……いつまでこうやって語らい合う事が出来るのでしょうなぁ。儂もほど遠いわけではありますまい」
「妖忌、それは言わないで」
「そうよ、悲しいじゃない」
「ふふ、これは失礼致しました。宴にしんみりは不必要ですな」
「そうそう、ともかく呑みましょ。月夜を見ながら呑むのも良いけど、朝日を見ながら呷るのも乙でしょう?」
そんなことを話していた。
話を聞いててさ、ちょっと曖昧な心境だった。私もいつかこんな風に友達と語り合うような日がくるんだなぁって思うと眩しいような、悲しいような。
複雑だよね。まぁまだまだ先の話なんだけどさ。
そんな朝でした。
ちなみに宴は終わらず明日まで持ち越しそうです、うん。
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「……なんで宴って翌日まで続くのかしらね」
「……酒呑みのせいですね」
「それよりも紫さんとかの話をしましょうよ。あの四人が旧知の仲だったって初めて知りましたよ私」
「そうよね。でも内容的にツッコミ辛いわ。話を広げにくい、というか。フランも書いてたけど複雑よね」
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三月五日
今日も宴だ。
ナナシ君がグロッキーだったけど咲夜達が作った朝食を食べてたら復活してたよ。流石だ。あとナナシ君よく生きてたね。勇儀さんのヘッドロックを夜通し食らってたのに。
で、そんなナナシ君は今日は青娥さんや正邪さん、諏訪子ちゃんやてゐちゃんと話してた。
青娥さんにお酒を注がれてちょっと嬉しそうにしてたけど、諏訪子ちゃんが横から奪って呑まなかったらヤバかったね。神でも酔っ払う酒とか人間が呑んだら死ぬよ、うん。しかもその次からは諏訪子ちゃんが先に呑んでからこれなら大丈夫だよ、ってそのまま貰ってたし。
青娥さんは青娥さんで悪びれずに何度も悪戯したり、あざとく演技したりしてた。てゐちゃんも一緒になって賭け事の提案をしたり、正邪さんには物凄い褒められてたけど彼女が『なんでもひっくり返す妖怪』だと知った瞬間に「つまり全部悪口だったってことじゃねーかチクショウ!!」って喚いてた。
なんか見てて面白いよね、彼。
でも意外と沢山の人に気に入られているみたいだった。大抵散々な目に合ってるけど。
ちなみに宴だけどこれ以上続けたようとした鬼の人達を見てブチ切れた霊夢さんが手当たり次第に弾幕ごっこをしかけて追い払ってたよ。
これで宴も終わりかな。ともかくお疲れさまです。
私も楽しかったよ!
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「……フランが、フランが一日中男を見てた……?」
「……無意識に見てるって実は好き……? いや、まさか」
「……いや、単に見てて面白かっただけじゃないかと」
「さとりに同意。うん、仮にあの子がナナシとかいうのを好きなら話しかけて輪に入ろうとするでしょ。性格的に」
「……でも、不安よ? だって人間だもん。百年も生きれない相手と結ばれても不幸にしか……絶対に妹はやらん!」
「何処まで先を考えてるのよ!?」
あまりにもな発言に思わずツッコミを入れる霊夢であった。