フランドールの日記   作:Yuupon

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 三月編……いよいよこの小説も終盤ですね。
 四月二十日までのラストスパート、頑張っていきます!


 


三月編
三月編1『ひな祭りの宴』


 

 

 

 三月一日

 

 

 お姉様が遊ばないか、と声をかけてきた。

 何かに影響されたのか口調が変だったよ。

「ふん、雑種。この我が相手をしてやると言っておるのだ。いいから来るが良い!」

 やたら格好付けてたけど似合わないなぁ……。格好良さは無い。

 むしろ子供が精一杯頑張ってるアピールをしているみたいでどうも微笑ましく思ってしまう。

 いや、私も子供だけれども。

 で、何をするのか聞いてみたら弾幕ごっこをしようということだった。やたら沢山の宝具……武器を担いでたから一瞬ビビったよ。

王の財宝(ゲートオブバビロン)』とか言ってたけど、全部手で取り出してるのはなんとも格好悪かった。

 お姉様に聞いてみると『fate』とかいう作品を見たんだって。私も見たけど、なんだろう。お姉様のやりたかった王の財宝(ゲートオブバビロン)って適当に空間作って中に武器を入れて射出すれば出来そうだよね? ……今度魔法教えてあげよう。

 

 ちなみに弾幕ごっこは勝った。

 真似事だけどね。レーヴァテインを振り下ろす瞬間に思いっきりマスタースパーク並みのビームをぶっ放して『約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!』って叫ぶだけなんだけど。

 フォーオブアカインドで作った三人がお姉様を押さえつけた上でブッパしたら流石に避けれなかったらしい。「ウボァー!!」って叫んでた。

 あとお姉様、武器を全部背中に担いでたんだけどさ。その武器が空中でバラけて、お姉様が地面に落下したあと体の上にドサドサザクザクと突き刺さってたけど大丈夫かな?

 ピューって血が出てたけど。いや、むしろぐちゃあ!! ってなってたけど!!

 

 ######

 

 

「レミリアーっ!!?」

「……地面に落下した後に体に武器が……ヒェッ」

「いや大丈夫だったんですかそれっ!? レミリアさん?」

「だ、大丈夫よ! (一瞬、死を覚悟したけど)吸血鬼の回復力舐めんな!」

「……レミリアさん! 心の声聞こえてますから! 死を覚悟したならアウトでしょう!?」

 

 ######

 

 

 三月二日

 

 

 めーりんの人生を聞いてみた。今更ながらめーりんって凄い戦いに詳しいからどんな人生を送ってたのか凄い気になってたんだよね。

 私なんて大層な生き方してませんよ、とめーりんは謙遜してたけどしつこくせがんだら聞かせてくれた。

 

「そうですね……じゃあこんな話を。西遊記はご存知ですか? 三蔵法師が天竺を目指す話ですが」

「知ってるよ。本で読んだ」

「実は私、あの旅路の途中に孫悟空……斉天大聖と手合わせしたことがあるんですよ。とはいえ当時の私は負け無しで慢心をしていたものですから叩きのめされましたが……」

「ええっ!? あの斉天大聖と?」

「はい。術も教えてもらったんですよ? 髪の毛を使った分身の術とか。あと私が身につけている帽子についてる星は孫悟空の禁錮呪(きんこじゅ)と同じ効果があります。具体的に言うと術を唱えると帽子がギュッと締まりますね」

「本当? すごーい!」

 

 いや、凄いよ! まさかあの斉天大聖と繋がりがあるとは思ってなかった。

 というかめーりんの人生濃いじゃん! 普通に!

 

「そうですか……? ここ一年の妹様に比べたら私なんてとてもとても……それについ先日の事を考えると」

「つい先日って何も無い世界の話? あれ、めーりんにその話したっけ?」

「していませんよ? ですが妹様、私は格闘家ですから。格闘家は相手の拳から全てを読み取れるんですよ。例え見知らぬ相手でも、拳を受ければ相手の名前が何で年齢が幾つか。果ては相手の人生まで全てが分かるものです。マスターアジアの言葉の受け売りですが」

「いや、マスターアジアって誰?」

 

 また知らない人の名前が出てきたよ。

 でもめーりんは説明してくれなかった。

 

 ######

 

 

「見よ、東方は赤く燃えている!」

「……ノリノリですね霊夢さん」

「というか美鈴さん、そんな過去があったんですか。意外ですね」

「本当よ! 私知らなかったわよ!」

 

 ######

 

 

 三月三日

 

 

 ひな祭りだ。

 折角なので皆で雛人形を飾った。それから桃の花を飾って、白酒と私が無縁塚ルートで外に行って買ってきた新鮮な海魚を使ったお寿司を作った。

 あとは雛あられと菱餅もだね。

 それから案の定お姉様がもっと大きな雛人形が見たいとかいいだしたから鍵山雛さんを誘った。本人は厄があるから自分に近寄るなとか言ってたけど面倒なので全部の厄を自動で消去(デリート)してくれる、私が一度自殺まで追い込まれたあの『何もない空間』に放り投げて誘ったよ。

 あの何もない空間ってゴミ処理場として優秀だよね。あれだけ苦しめられたからか意趣返しのようにやってしまっているけど、最近なんだかゴミ捨て場として重宝するようになってきた。

 ともかくだよ。

 

「じゃあ特別ゲストもお呼びしましたし、博麗神社に行きますか」

 

 お祝い事があれば博麗神社に行く。

 それが暗黙のルールなのです! 手土産に新鮮なお寿司と白酒、雛あられに菱餅と揃えているし霊夢さんも文句は言わないだろう。

 いざ、博麗神社へ。宴会の始まりだ!

 

 

 (次のページへ)

 

 ######

 

 

 博麗神社は沢山の妖怪が訪れていた。

 一部、もう酔っ払ってたよ。霊夢さんが魔理沙とかと一緒に中心で呑んでてさ、早苗さんとか鈴仙さんとか妖夢さんが大忙しだった。

 ふと隅の方を見ると妖忌さんと沢山の妖精達と小さな子供妖怪達が一緒に呑んでてさ、「お爺ちゃん」とか「じーじ」とか呼ばれて懐かれてた。

 で、ちょっと可哀想なのが……、

 

「っ! ふ、フラン! フランドール! おま、ちょっと助けてくれぇ! お前に呼び出されて来たらなんか鬼の人に絡まれて! ええい酒くさい!」

「あー? 女に向かって酒くさいとは何だ〜!? ナナシの権兵衛!」

「ナナシの権兵衛じゃないですから! ナナシですから! つかこの酔っ払いめ! っていでででで!! 肩掴まないでください!? 折れる! 折れるーっ!!」

 

 宴会あるからおいで、とナナシ君を誘ってみたらなんか鬼の人に囲まれてた。萃香さんとか勇儀さんが楽しそうにバンバンと背中を叩くたびに悲鳴を上げている。

 

「ってなんですかこの酒っ!? 俺未成年だから! えっ、度数百パー? ただのアルコールだろそれぇっ!! 死ぬわ! ちょっ、待って! 一気飲みとか嘘だろ!? やめっ……アーッッ!!」

 

 急性アルコール中毒とかやめてよ?

 にしても一気飲みとか危ないよね。顔真っ赤でフラフラしてるし。と、無意識にか知り合いの幽香さんの方に倒れた。幽香さんは幽香さんで膝枕してあげてるし。あの人優しいよね……。

 

「じゃあ霧雨魔理沙一発芸やります! 賽銭箱に何も入ってない時の博麗霊夢の真似! (真顔)」

「あはははっ!!」

「ゲラゲラゲラ!」

「魔理沙ぁっ!? 怒るわよー?」

「ナァッハッハー!」

 

 こっちはこっちでいい感じに酔っ払ってるし。

 

「お化けだぞー!」

「ウボロゲボっ!!!!」

「ぎゃああチルノちゃんが小傘ちゃんに向かって吐いたあああ!!」

「大ちゃんにも……ゲロロロ」

「ちょっ!? やめてチルノちゃん! こっち向かないで!」

「……もー全員にかけてやるー!! オボボボボ……」

「「「「ぎゃああああ!!」」」」

 

 うん。関わらないようにしよう。

 

「映姫ちゃーん? 最近どーよ?」

「さ、最近ですか? 以前旅行に行ったあとは仕事ばかりですね。今は休憩で来ていますがもう少ししたら帰りますし」

「働き過ぎだよー? もっと肩の荷を降ろしなよ。年中肩凝ってるじゃん。どーよ俺のコリほぐし、効くだろ?」

「あっ……たしかに。凄い気持ち良いです」

「そうだろそうだろ! じゃあ次は背中、腰、尻をやるよー? そのあと前なー」

「あ、はい。お願いしま……? って先輩!? 胸とお尻はセクハラです!」

「はっはっは(笑)」

「もー! 閻魔たるものセクハラなど以ての外です!」

 

 映姫さんは前に旅行の時にみた閻魔様にセクハラされてる。

 まぁ冗談の範疇だから問題無いかな。

 そして……、

 

「咲夜! 最高の酒をもて!」

「はい、こちらに」

「妹様もどうですかー? 一献」

「むきゅ、むきゅ……。あっ、このお酒美味し……」

「パチュリー様! ちょびちょび呑まずに一気飲みしましょうよ!」

「ちょっ、こあやめて! やめ、ゴボボボ!!」

「リメリアハン、ワイニモ酒クレ」

「……ロボが酒を呑むってどういうことよ……」

 

 お姉様達もいつも通りだ。

 さて、私もめーりんに呼ばれてるし宴会を楽しもう――――。

 

 

 ######

 

 

「ひな祭りの宴会ですか……楽しかったけど大変でしたねー」

「全くよ。飲み食いするやつばかりでやんなっちゃう」

「……でもかなり多い頻度で行いますよね」

「だって何かあるたび人が集まるんだもん」

「博麗神社は妖怪を寄せ付けるもの。いや、博麗神社というより霊夢が、というべきかしら」

「えー……マジで?」

「このレミリア様が言うのよ。間違いないわ」

「……レミリアが言うなら多分ハズレ、と思いたいけど私の勘もそうだって言ってるあたりタチが悪いわよね」

 

 呟いてため息を吐くけれど、でもそんなに嫌そうな顔はしていない霊夢なのだった。

 

 

 

 


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