フランドールの日記   作:Yuupon

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 祝百話。ついでに百話毎日更新。
 随分遠いところまで来たけど完結までは毎日更新出来たら良いね。
 あと今日は頑張っていつもの五倍くらい書きました。

 


二月編2『節分とカリスマと文』

 

 

 

 二月二日

 

 

 お姉様がおかしい。

 朝、お姉様が階段で転けて頭を強く打ってから妙なんだ。

 なんていうか……全体的に大人びたんだよね。

 カリスマがあって、ちょっとした所作からその幼い見た目からは想像出来ない妖艶さを感じさせる。

 口元に手を当てて笑みを浮かべてさ。

 声色もいつもよりシリアスモードで、なんていうか違和感があり過ぎる。

 そして決め手は、お姉様がレミィたんの隠形(ハイディング)を見抜いたことだ。

「……鼠が紛れ込んでいるわね」

 小さく呟いた瞬間お姉様が無造作にグングニルを天井目掛けて放った。同時、天井が崩落して瓦礫と一緒にレミィたんが落ちたんだ。

 驚きはそこで留まらなかった。

「その見た目、私? 目的は成り代わりかしら? 何処の勢力?」

「ぐっ……あっ……」

 レミィたんはめーりんとの修行を経てパワーアップを果たした私が全力で創った人形だ。私自身想定してなかったけど、多分付喪神の一種だと思うってアリスさんには言われてる。と、それはともかく彼女の戦闘力は私と同程度まで高い筈なんだよ。以前、私とお姉様が喧嘩してほぼ互角だったことを考えると間違いなく実力で上回っている筈なのに、でも何も出来ずにレミィたんが叩き潰されて拘束(バインド)された。

 

「――貴様の目的を吐きなさい」

 

 地面に転がり伏せたレミィたんを見下ろすお姉様の冷たい目が酷く印象に残っている。

 そのあと慌てて私がお姉様にレミィたんのことと「いざという時のお姉様の影武者」として配置していたことを話したけどお姉様は納得はしたけれど不快な様子だった。

 

「影武者? そんなもの必要ないわ。フラン、覚えておきなさい。私達スカーレット家はツェペシュの末裔にして高貴なる吸血鬼の一族――故に、闇討ちなどに殺されるような者はスカーレットの名を名乗る資格など無いわ。スカーレットの名を名乗ると言う事はいかなる戦いにおいて絶対勝利者である事と同義よ」

「で、でも」

「でも、も何も無いわ、結論として私に影武者は不必要よ……彼女は改めて私が従者の一人として雇い直すわ。咲夜と貴女でメイドも仕事もかなり回るようになっていたけれどまだ人員は足りていないでしょう。その末端に加えなさい――またレミィたんという名前は似つかわしくないから今ここで貴女に名前をあげる。今日から貴女は『リメリア』よ。リメリアと名乗りなさい」

 

 私は反論しようとしたけどあれよあれよという間にレミィたんがリメリアに改名させられてしまった。

 ……いや、まぁ私の付けたレミィたんって名前がテキトーだったことは否定しないしこっちの方が良いとは分かるけど……。

 でもお姉様どうしちゃったんだろう?

 頭を打っておかしくなっちゃったのかな?

 

 

 ######

 

 

 文章を読み終えて真っ先に反応したのは他ならぬレミリアだった。

 

「……え?」

 

 What? こんな記憶無いわよ? と彼女は自身の記憶を探る――が、やはり覚えがないらしい。あれっ、あれー? と彼女は首を傾げていた。

 

「え、レミリアさん知らないんですか?」

「うん、覚えがないけど……それにレミィたんとかリメリアも知らない……あ、でもメイドの中に私に似た子がいるなーってのは覚えがあるわ!」

 

 早苗が尋ねるとレミリアは大きく頷いて答える。

 その様子を見て霊夢が多分、とこう結論付けた。

 

「……多分あれでしょ。もっかい頭を打ったらカリスマ崩壊したパターンでしょ。で、一緒にその間の記憶が飛んだとか」

「……ありそうですね」

 

 頷くさとりだが、レミリアはムッとする。

 

(……こいつら、本人を前にして失礼だとか思わないのかしら)

 

 ぷんすか! ちょっとおかんむりなレミリアだった。

 

 

 ######

 

 

 二月三日

 

 

 今日は節分だ。

 人間の間だと『鬼は外ー、福は内ー!』ってフレーズが有名だけど私達は『吸血"鬼"』なので豆を撒くときはこうなる。

 

「鬼は内ー! 福も内ー!」

 

 福は鬼でも欲しいからね。となると両方迎い入れるスタンスが紅魔館でのスタンダードとなる。

 とはいえ問題が一つあるんだよね。そう、お姉様だ。

 何故かお姉様がドアを開けて登場するたびに『バアァァン!』とか文字が出るようになるカリスマモードに突入してるんだけどまだそのままでさ。

 全身から妖気を滲ませながら吸血鬼(デビル)フェイスを張り付けてフっ――と口元を歪めると私たちの前でこんな発表をした。

 

「今日の節分だけれど。本来私達は豆をぶつけられる立場なのは重々承知しているわね?」

「うん、私もこれから人里で節分ライブして、それから皆で節分の豆まきするよ?」

「……それは初耳ね。フラン」

「昨日急に決まってさ、魔理沙がLINEしてきたから」

 

 ほら、とiPhoneを開いて見せるとお姉様はふむ、と頷いた。

 

「……なら仕方ないわね。楽しんできなさい。ただし家でも節分はやるから早めに帰ってくること」

「えっ?」

 

 いや、本当にえっ? だよ。何かやりたいことがあるお姉様はいつもなら絶対自分の用事を優先するのに。

 キャンセル入れることも考えてたけど……あれ?

 

「不思議そうな顔ね、フラン」

「……!」

 

 内心を言い当てられて私はビクリとした。

 そんな私を見てお姉様はクスっと笑うと優しい声で言う。

 

「紅魔館の当主として以前に私は貴女の姉だもの。貴女がやりたいことがあるなら優先させるわ。私だってそれくらいの器量はあるのよ?」

 

 続けてお姉様は私の肩をとんっ、と押してこう言った。

 

「さ、行ってらっしゃい。寒いから風邪を引かないように厚着して……頑張って来なさい!」

 

 ……なんだろう。

 私もう、このままのお姉様の方がいい気がしてきた。

 

 

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 ######

 

 

「確かに私もこの方がいい気がして来ました」

「……でもこのレミリアだとまた異変を起こした時とか面倒よ? 絶対エグい弾幕を平然と張ってくるわよ」

「……でも普段のことを思うとこれくらいキチンと主をやってる方がいいかもしれません」

「はぁ!? えっ、なんで!? わ、私だってカリスマじゃない! 主やってるでしょー! み、味方は……?」

「居るわけないでしょポンコツ」

 

「……ぽ、ポンコツじゃないからぁッッ!」

 

 断言されて少し涙目なレミリアであった。

 

 

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 二ページ目

 

 

 さて、ライブの方に話を移そうか。

 節分ライブ。衣装は節分ということで二種類ある。

 一つは鬼のスタイルだね。黄色と黒の鬼のスカートと胸回りを覆うだけの……うん、露出が多い。ちょっと肌寒いね。

 おへそとかも出てるし。今、二月だよね?

 ともかく鬼の衣装の時はお客さんがステージに豆を投げるように喚起するらしい。

 

 で、もう一つが福の神の衣装。まぁ平たく言えば着物かな。儀式で使われそうな法衣を纏って踊る。で、福を撒くから私が銭に見立てた黄色の弾幕(害はない)を会場全体に放つんだ。

 でもなんか服が大きいんだよね。普通に歩いてるとズルズル引きずっちゃう。ちょっと重いし……。

 

 ま、まぁともかく人里ライブをしました。

 やる前には、鬼の衣装で踊る時にお客さんの中に直接私にぶつけてくる人も居るかなーと危惧してたけどそんな事はなくて良かったよ。

 寧ろ絶対に当てないようにしてくれてた気もする。あと私が豆を踏んで転けたりしないように私の周りを避けるようにしてた。

 で、衣装チェンジは空中で一瞬で行う。めーりんから教わった『太陽拳(私自身をピカッと光らせて視界を奪う技)』で、私を光らせてその間に私は服を全部脱ぎ捨てて直ぐに法衣を羽織る。

 ……うん、この演出考えた人出てこいよ。セクハラだよ。見えなくすると言っても何が楽しくて大勢の前で下着姿にならなきゃいけないんだよ。鬼の衣装自体ほぼ素っ裸の上に布巻いてるようなものなのに。

 まぁこの衣装チェンジは全力でやりました。光らせた一瞬の間に思考加速を最大の四倍まで上げて、吸血鬼の運動スペックを活かして最速で着替えたよ。

 一瞬、完全に下着姿になるんだけど……なんだろう。その瞬間妙な開放感が……いやないないっ! 無いから!

 恥ずかしくて酷く胸がドキドキしたなぁ。とりあえずこの演出考えた人は後でブン殴る。

 

「皆さーん、私が『鬼は外ー!』と言ったら『福は内ー!』って返してください!」

 

 ともかくライブに集中しよう。

 福を撒くと言ったけれど、あれは実際は空を飛びながら無害な黄色の弾幕を放ちまくる以外にもう一つ福がある。

 それは、福を入れた小袋(私のグッズ入り)も一緒にばらまいていくことだ。つまり私のアイテムが無料でゲット出来る……って自分で言っちゃうのもなんだけどさ。

 

「鬼は外ー!」

「「「「福は内ーっ!!」」」」

 

 ともかくイベントは上手くいったみたいで良かった。一部争奪戦は起こっていたものの怪我人は出なかったし。

 というわけで節分イベントは無事に終了しましたとさ。

 

 

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 ######

 

 

「……衆人環視の前で着替え、かぁ」

「……ちょっとその演出の発案者潰してきて良い?」

「やめなさい、血の雨が降るから」

「だって腹が立つのよ! 私の妹になんてことを……!」

「……でもフランさん、少し開放感がどうとか」

「そんな事実は無いから! フランはノーマルだから! あんなのノーカンよ! ノーカン! ノーカン! ノーカン!!」

「うるさい!」

「あう……」

 

 霊夢がレミリアを叩くとようやく場は沈静したのだった。

 

 

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 三ページ目

 

 

 帰り道だった。

 人里のはずれで変な屋台を見かけた。

 なんか「ラーメン」って掛け軸が掛かっててさ、鬼の人達が一列に並んでたよ。

 

「押すな押すなー。ノラ鬼同士譲り合えよなー」

 

 で、店の中では店主さん? 妙に禍々しい気を感じる、黒髪で目が隠れてしまっている人がそんなことを言っていた。

 服装は凄く寒そうでさ、羽を思わせるふわふわのカーディガン一枚で割れた腹筋が露出してた。鍛えられてるのかっこいいよね。

 でね、店主さんはカップラーメンを鬼達に配ってるみたいだった。

 

「あの、僕シーフード味の方が」

「味は選べねぇよ。鬼らしくなんでも食え!」

 

 少し語気を荒くして店主さんがカップラーメン(醤油味)を渡す。

 それでね、近くで見ていると鬼達の会話が聞こえてきた。

 

「本当に鬼ですわ……人間。僕ら以上の鬼ですわ」

「節分にかこつけて俺らをこんな寒空の下に放り出すとか……開催日時に殺意が滲み出てるわ……!!」

「良心ってものがひとかけらでもあれば……」

「……せめて春だろうが……っ! クソッ……唇だけ青鬼になるぜ……っ!」

 

(いや、寒いなら服着なよ!? パンツ一枚だからでしょ!? 黄色と黒のパンツ一丁じゃそりゃ寒いよっ!?)

 

 と私は脳内で突っ込む。

 

「……にしても人と妖怪が昔みたいな関係を続けてる幻想郷だからって来てみたのに、何も変わんないな」

「さっき節分ライブとかやってたぜ……しかも魔族の女の子が」

「見た見た、あの子可愛かったな。観客も流石にあの子には豆をぶつけて無かったし、『節分ライブ』なのは気に入らんが少しほっこりしたよ……にしても寒いちくしょう」

「文句言うな。寒いのは俺も同じだ……。でもな、『魔族のオシャレは我慢』だろ?」

 

(店主さんも寒かったんかい! というか痩せ我慢してないで服着なよ! あと褒めてくれてありがとうございます!! 嬉しいです!)

 

「ホラ、いいからこれで体暖めろ」

「マジありがとうございます! ルシファーさん!」

 

 そう言って、店主さん……えっとルシファーさんはカップラーメンを鬼の人達に手渡していく。

 うーん……ちょっと可哀想だよね。この寒空の下パンツ一枚でカップラーメンだけって。

 あ、そうだ。

 

「あの、すみません」

「うおっと! ん、嬢ちゃん……アンタ、ライブの?」

「はい、ちょっと皆さんをお誘いしたくて声を掛けさせて頂きました。皆さんもこの寒さの中ではお辛いでしょうから、えっと私の住む館に来ませんか? 紅魔館――吸血鬼の館ですから鬼や悪魔は大歓迎ですよ? どうですかルシファーさん?」

 

 うちは鬼も内、福も内だからね。

 パーティするし折角なら大人数のほうがいいだろう。それに三十人ちょっとなら一人でもお世話出来るし。

 

「……天使や、この子天使や」

「ううう……長く生きてきたが嬉しいぞ……うう」

 

 もうなんかボロボロ泣き出して私の頭を猛烈に撫で出しそうな勢いの鬼達はともかく。

 そう思ってお誘いしてみるとルシファーさんは私を見て「お前が……」と呟いた。

 それから口角を吊り上げると叫ぶ。

 

「……助かる。オイ鬼ども! 今から嬢ちゃんの家に行くぞ。屋台片付けろー」

「「「「おぉ!!」」」」

 

 そんなこんなで鬼の皆さんを連れて帰ると紅魔館の屋敷の前にお姉様が立っていた。

 門の正面にお姉様が立ち、門の横側にそれぞれ咲夜とめーりんが立って礼をしている。

 

「……ようこそ当館へ――ルシファー殿。歓迎しよう、盛大にな」

 

 あ、そういやカリスマモードだっけ。

 多分、運命を見てこうなることが分かってたのかな?

 また『バアァァン!』という文字が飛び出てるし。

 

「……ほぉ、辺境の悪魔かと思えば中々出来るじゃねーか。流石はあの二神からの加護を受けた吸血神フランドールの姉だけはある」

「ふふ、褒めても出るのは豪華な料理くらいだ。さて、いつまでも門前に立たせるわけにはいかない。パーティ会場を案内しよう、ついて来てくれ」

「あぁ。オイ野郎ども、付いて来い」

「「「「うーっす!」」」」

 

 それでパーティ会場まで案内した。

 パーティ会場は沢山のテーブルと料理が並べられていてさ、立食式にしていた。

 それで、暫くは私達も鬼達も楽しく料理を味わっていたんだけど。

 途中でルシファーさんが私に話しかけて来たんだ。

 

「……おい、フラン嬢」

「? なんですか?」

 

 キョトンとした顔で聞き返すとルシファーさんは尋ねてくる。

 

「お前の姉貴、本当にただの吸血鬼か? 年相応にゃ思えねえんだが」

「……一応そうだと思いますよ? ただつい先日頭を打ってから妙にカリスマが満ち溢れてるな、とは思いますけど」

 

 具体的に言うと『凛!』という文字とか『バアァァン!』って文字とか『ゴゴゴゴ……!』って文字とかが表面に出る。

 あと全身から薄い妖気を発しており、王者の雰囲気があった。

 溢れ出るカリスマ、というかどう足掻いても勝てる気がしない、というか。見る者を戦意喪失させるんだよね。

 

「……それ以前はどうなんだ?」

「すごーく子供らしくて、うー! とか言ったり一緒に鬼ごっこしたりしましたけど……」

「……間違いねぇな。病気だそれ。記憶系のな、しかもマズイぞ』

「何か知ってるんですか?」

「……レミリア嬢は多分記憶障害の病に掛かったんだよ。二つほど知ってる病があってな、一つは反転思想(ソウルリターン)、強く頭を打った拍子に性格が真逆に反転する病だ。でもう一つは理想変化(ファントムリジェクター)、理想の存在のように行動してしまう病だな。例えば馬鹿が天才になったりする病と言えば分かりやすいか? この場合は多分後者の理想変化(ファントムリジェクター)だと思うが……」

「が?」

理想変化(ファントムリジェクター)は体に負荷が掛かるんだよ、元々の能力を無視して無理をしてその理想の存在として顕現している訳だからな。その無理が限界に来た時、精神の糸が切れてあとは植物状態だ」

「はぁっ!? 大変じゃないですか! 治す方法は?」

「直接頭にダイレクトアタックするか、カリスマの化身となったタイプならそのカリスマを崩壊……カリスマブレイクさせりゃ一発だろうよ。ちなみにダイレクトアタックはオススメしない。下手すりゃ記憶が混ざり合って全部飛びかねねぇからな」

「……嘘、どうしよう。今のお姉様相手にカリスマブレイクなんて……!」

「カリスマを見せつけろ。神格あんだろ? なぁ吸血神」

 

 ……えぇ、なんで知ってるの? あと吸血神って何よ。

 もしかしてこの人も神様? ルシファーといえば堕天した悪魔を思い出すけど……あれ?

 この前の素戔嗚さんと同じようにまさか本物?

 幻想郷はどうなってるんだ……? 八雲紫さん仕事してください!

 

「……神格は封印してるんですけど」

「姉貴を助けるためだろ。やれ」

「……分かりました、分かりましたよぉ!」

 

 仕方なく胸元にしまっているお札を取り出して神格を解く。

 瞬間、溜まっていた信仰パワー。神力が私の体から溢れ出し、背中から生えた二対の羽が輝き巨大化した。

 すると私の様子に気付いたお姉様が近付いてくる。

 

「……フラン、何を?」

 

 その声は少し怒気を孕んでいた。

 体全体から濃厚な魔力が……それこそ異変の時に出していたものなんて比にならない巨大な力がその身を包む。

 私を射抜くその眼からは紅い光が溢れていた。

 

「ごめんなさいお姉様。私、やっぱりお姉様はいつもの方が良い」

 

 呟いて私はスペルカードを取り出す。

 同時に炎剣レーヴァテインもだ。香霖堂でいつかもらったあの剣に炎を宿して切っ先を向ける。

 

「……本気? と聞くまでもないみたいね」

「えぇ、お姉さま」

 

 対してお姉様も槍を取り出した。

 グングニル。お姉様の一番の武器だ。だがそれはいつもとは形状が違い禍々しい光を放っていた。

 お姉様はしばらく私を見据えていたけれど、やがて闇に色を変えた空の真ん中で爛々と輝く月を見て呟く。

 

「――こんなに月が紅いから」

 

 それが、かつて異変の時に霊夢さんに向けて放たれた言葉だと気付いたのは偏に私が霊夢さんとの交流関係を持っていたからだろう。

 だから私はあの夜、魔理沙に向けて放った言葉を口にした。

 

「――本気で殺すわよ」

「――アンタが、コンテニュー出来ないのさ!」

 

 

 なお、勝ちました。

 

 戦闘中に「バシュゴォ」とか「新技吸血鬼ごっこ」とか「かりちゅま(笑)」とか「うー♪」とか耳元で呟いてやったらその度に苦しんでさ、「ぅ……ち、違う! わ、私は!」とか叫んでた。

 トドメの一言はこれだ。魔理沙とか霊夢さんから聞いた話を元に出来るだけ真似をして言ってやった。

 

「地上で最速にして最強のレミリア(わたし)様だ。ちっぼけな天体(つき)だったから一周して来ちゃったよ」

 

 続けてお姉様のスペルカード『クイーン・オブ・ミッドナイト』を真似した弾幕を放って避けられた上で、

 

「やっぱり最強の体術を喰らうほうが、お望みってわけね!!」

 

 バシュッ! ゴオォォォォ! と飛んだ上に培った演技力で地面に倒れる演出をして、沢山の鬼達の前で『レミリア・スカーレットの月侵略、完!』と叫んでやったらお姉様がカリスマブレイクした。

 というか身体中に纏わりついていたカリスマが全部破綻した。

 

「うわあぁぁん!! 咲夜ーっっ!!」

 

 ガチ泣きで咲夜に泣きつくお姉様を見て、

 

「……えっぐ」

 

 ルシファーさんが絶句してたけど私だってやる時はやるんです! 真っ正面からバトルするよりこの方が確実だと思ったんだから良いでしょ!?

 ちなみにそのあと無事にお姉様は正気に戻ったけどその間の記憶が無かった。

 あと小悪魔がルシファーさんを見て卒倒してた。

 やっばり本物なんだね、彼、うん。

 ともかくそんな一日でした。

 

 

 ######

 

 読み終えて思うことは一つだった。

 

「……なんて酷いことを……」

 

 呟いたのは霊夢だ。続いて早苗がよしよし、と未だ膝の上に座らせたままのレミリアの頭を撫でながら言う。

 

「辛かったですね……でも植物状態とかにならなくて良かったです」

「……本当ですよね。植物状態になってたからギャグで消化出来ませんし」

「……大泣きした覚えはあるけど……なんでほんと黒歴史ばっかり書かれてるのよぉ……」

 

 泣いたレミリアは早苗の胸に顔を埋めてしゃくりあげる。

 だがやがて泣き止んだ頃を見計らって一同は次のページをめくったのだった。

 

 

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 二月四日

 

 

 昨日は大変だったよ。

 お姉様の件もそうだけどいくつもイベントが重なっててさ。

 と、今日の話だね。今日は大図書館でルシファーさんとお話ししてたよ。

 小悪魔が凄い敬ってた。話しかけられるたびにあたふたして、胸が揺れる。ルシファーさんの目が髪に隠れていたから分からないけど多分視線はそこにロックされてたと思う。

 だけどこあ、凄い嬉しそうだったなぁ。憧れの存在だったのかもしれない。

 でもルシファーさん、こあがエロ可愛いからって引き抜きはやめてね?

 

「お前気に入った。魔界来ねえか?」

「ひゃああっ!? まっ、ままっ、魔界ですかぁ!?」

「こあは私と契約してるからやめて欲しいんだけど……」

「違う違う、引き離すつもりはない。何ならパチュリーノーレッジ、お前も来い。二人まとめて世話見てやる」

「悪いけどお断りするわ。私はレミィの親友だから……」

「ふむ、なら紅魔館ごとどうだ?」

「あっ……なら有りよ」

「無しに決まってるでしょパチェッ!?」

 

 カリスマブレイクしたお姉様はツッコミ役に転向したみたいで大袈裟に反応する。

 

「わ、私は誇り高き吸血鬼よ! 誰かの下につくことはあり得ないわ!」

「別に下に付けるわけじゃねぇが」

「それでも! 私は私がしたいようにする! これでも幻想郷に愛着が湧いているの。だからお断り」

「……そうかい、そりゃ残念だ。気が変わったらまた教えてくれ」

 

 ちぇっ、とルシファーさんは呟いて立ち上がる。

 それから椅子に掛けてたベストを羽織るとガシガシと髪の毛をかいて言った。

 

「……さて、じゃあそろそろ帰るわ。鬼どもも返したし」

「あら、もう良いの?」

「目的は全部達したからな。お招き感謝するぜ。今度は菓子折りでも持って来るわ」

 

 呟いてルシファーさんは空間に穴を開けてその姿を消した。

 ……したんだけど、同時に別の穴が開いて今度は八雲紫が怒り顔で紅魔館に突入してきたんだ。

 

「……もう許さない」

「なんですか紫さん、いきなり現れるとかマナー違反ですよ?」

「うるさい! というか貴女ねぇ! 何度! 何度私の胃に穴を開けようとするつもりよぉっ!! ねぇなんでなのっ!? なんで大物ばかり連れて来るのっ!?」

「いや、知らないですからっ!! 理不尽に当たり散らさないでください!」

「うるさいうるさい! あぁもう例年なら冬眠してるのにぃぃ……! もう嫌だ! 妖怪の賢者とかやってられるか!」

「ちょっ、なんてこと口走ったんですかっ!?」

「もう嫌なのよー! 幻想郷にも労働基準法を導入しろーっ!」

 

 半泣きで叫ぶ紫さんだけど暫くすると八雲藍さんが来て回収して行った。

 

「迷惑をかけてすまない、ちょっと紫様が情緒不安定でな」

 

 ……管理職って大変なんだね。

 とりあえず今度来た時の為に永遠亭から胃薬を取り寄せておこうとそう思いました。

 

 

 ######

 

 

「紫ェ……」

「限界が、限界が……」

「……これは酷い(白目)」

「確かに、うん。ちょっと可哀想ね」

 

 上から霊夢、早苗、さとり、レミリアの言葉であった。

 

 

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 二月五日

 

 

 今日は妖夢さんと人里の道場で剣術指南を行なった。

 理由は妖夢さん曰く単純な剣術だけを見てもかなり上手くなっているらしいからで、あと妖忌さんは今日は所用で出れないらしいので代役としてお願いされたからだ。

 それで二人で剣を教えたけどなんか門下生の人達が凄いやる気出してた。

 

「妖夢ちゃーん? この振り方で良いのか?」

「あ、はい。でも少しブレてて……ちょっと失礼しますね?」

 

 そう言って妖夢さんは門下生の人の後ろから密着するように体を擦り合わせて、門下生の人の手を持って剣を振る。

 

「こうです!」

 

 その剣は真っ直ぐと空気を切り裂いた。

 

「な、成る程。また分からない時は頼むよ」

「はい!」

 

 そんな感じで教えていく。妖夢さんが密着した時すっごい嬉しそうな顔してたなぁ。

 

「なぁフランちゃん。面から胴の移行ってどうすれば良いかい?」

「あ、そこはえっと……直接やってみましょうか。まずこうやって……よいしょ」

 

 私も妖夢さんと同じように後ろから手を握って教える。思ったより体が大きくて精一杯手を伸ばさないと剣まで届かない。

 ギュウウ、と密着してしまうので苦しくないか聞いてみると「大丈夫」って言われた。で、握り方から振り方。移行までを丁寧に教えた。

 私より体が大きいから振り方が安定するのがちょっと羨ましい。

 それから門下生の人達の前で妖夢さんと練習試合を見せた。

 と言っても視認出来ない早さでやっても意味無いのでちゃんと見える程度まで速度を落として、ね。

 

「一閃!」

「魂魄流……陽炎!」

「なんの、暗転(ブラックアウト)!」

紅墜(くれないおと)し!」

 

 技の応酬。門下生の人達が「凄ぇ……」と漏らしてた。

 剣が炎を纏い、闇を纏い、それを剣圧で掻き消す。見た目が派手な技が多いから分かりやすいと思う。

 そして最後に打ち合った瞬間、両者の剣が折れてクルクル回転しながら飛び、地面に突き刺さる。

 シン、と静まり返った道場で妖夢さんは言った。

 

「……引き分け、ですね」

「……そうですね」

 

 それから握手すると惜しみない拍手が場を包んだ。

 最後に私が「頑張って、ファイト!」と言って指南は終わったけど楽しかったよ。

 

 

 ######

 

 

「剣術が出てくるのは久々ですね」

「最近ご無沙汰だったものね」

「……とはいえ妖夢さんもフランちゃんも無防備過ぎます。男の人に密着して教えるなんて……」

「……それはそれで別の意味で門下生が増えそうよね」

「邪な気持ちでいっぱいそうで、すごく……嫌です」

 

 早苗は呟いて次のページをめくった。

 

 

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 二月六日

 

 フランです!

 突然だけど喫茶店を任されちゃいました。

 いや、うん説明しよう。

 私が普段行く甘味屋さんがあるんだけどね。その親戚が経営しているらしい喫茶店の店主さんが倒れちゃったみたいで、それでその間料理とかお願い出来ないかと頼まれたわけだよ。

 香霖堂に。

 で、それを受けた霖之助さんが私に。

 あ、でも今回は霖之助さんの補佐役らしい。リアラさんがお留守番するんだってさ。

 というわけで喫茶店の一日店員になるわけだけど……偶々香霖堂に来ていた魔理沙がこの話を聞いちゃってさ、「私もやるぜ!」と来たんだよ。あと一緒にいたアリスさんも巻き込まれる形で。

 

「僕は奥で料理の仕込みをしておくから三人とも接客は任せたよ。あとコーヒーとかはフラン、君に任せたから」

「了解です!」

「任せろ!」

「……魔理沙は見張っておくわ」

 

 らじゃー! とビシッと敬礼すると霖之助さんが笑みを向けてから厨房へと入って行く。

 で、接客することになったんだけどね。

 

「今更だけど接客ってどうするんだ?」

「それが店を経営してる人の言うことですか……!?」

 

 確か魔理沙って何でも屋みたいな店してたよね!? えっ、えっ?

 私が驚いているとアリスさんが言う。

 

「……魔法の森にある店が繁盛してるわけないじゃない」

「あっ、確かに!」

「随分な言い草だな。まぁその通りだが」

 

 フリフリの接客服を身に纏った魔理沙は帽子を触ろうとして、被っていない事に気付いたらしい。手を引っ込めてやれやれと水平にする。

 するとアリスさんがハァ、と溜息を吐いて「見本を見せるわ」と自然な笑顔を浮かべて、

 

「いらっしゃいませっ♪」

「「……おぉ」」

 

 完璧だった。完璧な営業スマイル!

 流石どこの勢力とも仲良く出来る人だ! やはりアリスさんは格が違った!

 

「ポイントは笑顔ね。快活な笑顔って言うのかしら。それが自然に出来れば早いけど……」

「こうですか? いらっしゃいませ♪」

「殆ど出来ているわ、ただ語尾を『いらっしゃいませっ♪』って上げる方が好印象よ」

「成る程……」

 

 メモメモ。勉強になる。

 すると魔理沙が手を挙げた。

 

「私も見てくれ! いらっしゃいませぇ!!」

「ラーメン屋か!」

「グハッ!!?」

 

 アリスさんの鋭いツッコミに魔理沙がもんどりうって倒れる。

 結構ショックみたいだ。かなり頑張ったのだろう。

 

「……うー、マジか。難しいぜ」

「うーん、魔理沙は普通に元気に挨拶した方が良いかも」

「こうか? らっしゃい! よく来たな!」

「馴れ馴れし過ぎるわっ!? 後ラーメン屋の店主感が増してるっ!?」

 

 アリスさんのツッコミが冴え渡る。

 と、その時だった。カラカラーンと入り口に取り付けられた鈴が鳴る。お客様が来たのだ。

 入って来たのはピンク髪の高校生くらいの少年だった。

 変なアンテナみたいなのを頭を付けている。あと緑色の眼鏡が印象的だった。

 

「「「いらっしゃいませっ♪」」」

 

 スマイルでお客様を迎え入れるとまずアリスさんがお冷を運んだ。

 

「いらっしゃいませ。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください。こちら、当店のメニューです」

『コーヒーゼリーを一つ』

「コーヒーゼリーですね、畏まりました」

 

 慣れた所作でアリスさんが対応するけど、その時私は一つ不審な事に気づく。

 

(……あれ、『目』が見えない。何かの能力者?)

 

 するとお客様が一瞬ブルリと身を震わせてから、何やら考え込み出した。

 私はおかしいな、と思ってよく見てみるけど確かに『目』が無い。

 そんな人も居るのかな? いやでも不老不死の妹紅さんでも目はあるのに……壊せないけど。

 

「香霖、オーダー入ったぞ。コーヒーゼリーを一つ」

「了解、魔理沙」

 

 と、そんな事をしているうちに霖之助さんがコーヒーゼリーを作ったらしい。

 私が運びます、と手を挙げてそのお客様の元にコーヒーゼリーを持っていく。

 

「お待たせ致しました。コーヒーゼリーです」

『どうも』

 

 渡すと一瞬、素っ気ない返事が返ってくる。

 けど顔を見るとちょっと緩んでいた。とてもコーヒーゼリーが好きな人らしい。

 事実、食べ出すとすっごい幸せそうに食べてたし。

 と、その時だった。なんか私の頭の中に声が響いてきたのだ。

 

『(この舌触り、ほんのり苦い風味、そこにミルクが交わる事で一種のハーモニーを生み出す……! これはわざわざ幻想郷まで来た甲斐があったな。いや、しかしこの店は静かで良いな。少し妙な店員も居るようだが……燃堂や照橋さんに比べたら問題無い。寧ろここを僕の避暑地にするのもありかもしれない)』

「……あのー、お客様」

「ッ!!? げほっ、ごほっ」

「だ、大丈夫ですか!?」

『(なんだ!? いきなり話しかけられるから思わず噎せてしまったぞ! しかもさっき僕が気になった店員じゃないか! 彼女の思考を読んだことで彼女にはありとあらゆるモノを破壊する程度の能力があり、そしてそれを行う為に『目を破壊する』事が必須条件だと分かったが、僕は死んでも生き返る事が出来るため、恐らくその目とやらが無いと思われる。が、これは困った。だだでさえ怪しまれている以上変なところを見せるわけにはいかない。あらぬ疑いをかけることになってしまうからな)』

「あの、お客様?」

『なんですか?』

「……その、全部聞こえてたんですけど」

『は?』

「……思考を読んだとか、避暑地にするとか……」

『…………、』

「…………、』

 

 しばらくお互いに黙り込んでいたがやがて男性が脳内で呟く。

 

『(……相手もテレパス持ちかよ)』

「あっ、でも私は今日一日限りのバイトなので大丈夫ですよ!」

『そういう問題じゃない。というか油断していた僕が情けない』

「……その、だからまた来てください」

『(ごめん、多分二度と来ない)』

 

 支払いが終わってから、何とも言えずその人は帰ってしまった。

 とりあえず喫茶店自体はキチンと回ったけど、顧客になりそうな人を一人逃してしまったかもしれない点がちょっと私の心をチクチク痛めたのでした。

 

 ######

 

 

「……まさか悟り、ですか?」

「似たような能力者って多いんですねー。というかフランちゃんの場合は後天的なもので、技術に近いですけど」

「にしても喫茶店か……ちょっとやってみたいわね」

「あら、霊夢が?」

「だって私ずーっと博麗の巫女しかしてないもん。ちょっとくらい普通の仕事を体験してみたいわ」

「あー、分かります。私も高校時代にしてたバイト、楽しかったなぁ」

 

 

 ######

 

 

 二月七日

 

 

 どうにも寝付けなかったので夜の散歩と洒落込んだ。

 妖怪の山の中腹でブラギの竪琴を取り出して弾くと、沢山の動物に囲まれちゃったよ。

 熊や鹿、狸や狐、兎。後は知能を持たない野生的な妖怪や暇な烏天狗や白狼天狗まで。

「〜♪ 〜〜♪」

 奏でる竪琴のメロディーに合わせて歌うと動物達が体を揺らして踊り始める。

 岩の上に座って弾いていたので岩の上には兎とかの小動物が一杯座って聞いてくれていた。そのうちの一匹は私の膝の上にも乗ってきたっけ。

 楽しかったなぁ。

 

 

 ######

 

 

「仙人みたいね」

「本当ですね。というかあの音色ってフランちゃんだったんですか。凄く綺麗な音で感動したのを覚えています」

「……ちょっと羨ましいですね。今度聞かせてもらおうかな」

「神器の音色だものね、私も聞きたいわ」

 

 上から霊夢、早苗、さとり、レミリアの言葉だ。

 

 

 ######

 

 

 二月八日

 

 翌日の『文々。新聞』に山女神現る! という記事と私を薄らぼけに撮った写真が掲載されていた。

 文さんの記事には「寝静まる真夜中、彼女は現れた。彼女が一度(ひとたび)その竪琴を奏でるたび、動物達は体を揺らし聴き惚れていたという」という文が書かれていた。

 それだけなら良いけど写真を拡大して『フランドール・スカーレット氏?』と書くのはやめて欲しかった。

 今度クレームを送ろうと思う。

 

 

 ######

 

 

「………文……」

「クレーム案件ですね、間違いない」

「……確かに本人に了承を得ず記事にしているのは問題がありますよね」

「本当それよね! 全く、これだからブン屋は」

 

 ちょっぴり『おこ』なレミリアはプンプンしながら次のページをめくる。

 

 ######

 

 

 二月九日

 

 文々。新聞に謝罪記事が載せられた。

 『通りすがりのめーどさん』という読者さんに真っ正面から淡々と論破された上に怒られたのだとか。

 謝罪記事には「ほんと、すみません。許してください、なんでもしますから。だから、殺さないでください、咲夜さん」

 と書かれていた。

 いや咲夜なにやってんの!?

 物騒だよ!?

 

 

 ######

 

 

「文ああああっっ!!?」

「咲夜ああああっっ!!?」

「お二人ともうるさいです……」

「……まぁまぁ早苗さん。目を瞑ってあげましょう……」

 

 上から霊夢、レミリア、早苗、さとりの台詞である。

 いや、殺すというのが物騒過ぎたのだ。レミリアが咲夜ー! 咲夜ー! とメイド長を呼び出す。

 

「いや、本当何やってるの咲夜!?」

「何も。強いて言えば言葉で論破した上で逃げ出そうとしたのでナイフで固定した上で殺すと言っただけですが……」

「本当に何やってるの咲夜っ!?」

 

 しばらくワーワーと騒ぎ合う二人だが、やがて落ち着いた頃を見計らってさとりが次のページをめくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
一言。
こんな感じの作品ですがこれからも宜しくお願いします。

 

 

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