それはそうと、今さらですが皆さんは新宿を楽しみましたか?自分はガチャでエミヤとヘシアン・ロボを当てて、新宿駅を周回してました。大変だったけど、頑張ったかいがありましたね。もうエミヤさん硬いのなんの。『防弾加工』が硬すぎて、使ってる自分でもドン引きするレベル。対サーヴァント戦を考えた『防弾チョッキ』(誤字にあらず)は強い。
ロボは初のアヴェンジャーでお気に入り。堪らずレベル90にしちゃいました。
今のガチャはプロトアーサーですが、家にはアルテラと聖杯使ってレベル90のネロがいるからなぁ。全体攻撃系の宝具だと、出番食われるから少し悩む。ヴラドおじさま欲しいから、その時に回すかな?
「やっぱりエミヤもチートだよな………?」
「はい。私もそう思います。エミヤさんの攻撃方法はおかしいと思います」
「聞こえているぞ二人とも。全く、弓兵として別におかしなことはしていまい」
新しく投影した黒弓に
「いやどこに
「場合によってはそういうことをする弓兵だっているさ。まぁ確かに、私が少し特殊なのは認めるがね」
ニヒルに笑いながらも新たに矢を投影。再びそれを放ちスケルトンの群れを一掃する。それを満足気に頷きながらも油断せず、新たに矢に変化させた剣を投影し、弓に番える。正直なところ、いつも夫婦剣を構えて切り込んでいるイメージが強かったので、ちゃんと弓兵しているエミヤが新鮮に見えたのは内緒だ。
エミヤとの戦いが終わり、マシュも擬似とはいえ宝具が使えるようになった。これ以上の戦力増強は望めないと判断し、俺たちは拠点にしていた武家屋敷から出て、セイバーの待つ大空洞へと向かっている。謎の男、
移動方法については、途中での戦闘を可能な限りなくすべく、ブーディカさんが呼び出した戦車――――ゲームでは車輪しか登場しなかったから驚いた――――に乗って、セイバーの待つ大空洞にまで移動していた。ケルトの神々の加護によって空も飛べる彼女の戦車は、長距離移動に便利だった。その間、状況の再確認やら、各自のスペックの報告などして最後の作戦会議をしていた。
〔改めて確認するけど、本当にバーサーカーは来ないんだね?あの大英雄ヘラクレスは〕
「おう。あいつは自分のマスターを狂っている状態でも大切にしてたからな。
この冬木で召喚された七騎の
つまり、現状敵対勢力はセイバーと、行動が読めないバーサーカーだけということになる。尤も、戦わなくていいならそれに越した事はないのだが。
「なぁクー・フーリン。このメンバーでセイバーに勝てる見込みがある?」
「そうさなぁ………正直に言っていいなら五分五分ってとこだな。いかに俺たちが数で上回っててもセイバーはとことん異常だ。特にあの剣、あいつの宝具が恐ろしい。俺が
クー・フーリンがセイバーの事を思い出したのだろうか。苦虫を噛んだ様な表情をしているのを見て、狭間が目に見えて落ち込む。それを見たクー・フーリンが少し乱暴に髪を掻きながら言った。
「ま、セイバーの宝具を嬢ちゃんが防いでくれりゃ、後は俺たちが何とかしてやる。俺が見たところ、嬢ちゃんの宝具とセイバーの宝具は相性が良い。へましなけりゃ絶対に防げる」
「ああ。それは私も同意見だ。なに、最悪私も防御に回るさ。私が投影できる物の中には、盾もあるからな」
「………ほんっと、エミヤって何でもありだね。っと、着いたよ皆」
移動中に最後の作戦会議を済ませ、ブーディカさんの戦車が大空洞の入り口に到着する。薄暗い洞窟の中は気味が悪く、中では大量にスケルトンが跋扈していそうで足が竦む。
「………行こう」
俺の発言がきっかけとなり、俺たちは大聖杯のある大空洞を目指して歩き出す。察した通り、洞窟内にはスケルトンの群れが発生していたが、クー・フーリンのルーン魔術とエミヤの爆撃により、一瞬で決着が着いた。
「ねぇ。今更だけど、セイバーの真名は?姿や宝具を見たことがあるんだから、知ってるんでしょう?」
今まで空気だったオルガマリー所長が、移動中の沈黙に耐えられず、先導しているエミヤ達に尋ねる。質問された二人は、一瞬悩むようにブーディカさんを見たが、無言で頷いて質問を肯定する。
「まあ、テメェ等が見たら嫌でも分かるさ。いや、
「王を選定する岩の剣のふた振り目。おそらく、君たちの時代でも一度は耳にしたことはある聖剣」
「その名は『
冷たい。とても冷たい声が空洞内に響く。それを聞いたエミヤとクー・フーリンが、すかさず
「シッ!!」
「アンサズ!!」
音速を超えかねない速さで放たれた弓矢と火球。だが、それは無情にも剣を軽く振っただけで防がれる。光の差さない大空洞の中で、何かゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
「……嬢ちゃん。宝具の準備しとけ。どうやら奴さん、待ちくたびれて向うから出向いていたみたいだぜ」
いつになく真剣な表情をしたクー・フーリンの一言に、マシュがより一層力んで盾を構える。狭間は邪魔にならないようその後ろに。所長に至っては気絶でもした方が良いくらいに震えている。
一歩を踏み出すたびにカシャ、カシャと金属の擦れる音が聞こえる。時間にして数秒が経った後、
「久しいな。光の御子。そして錬鉄の弓兵よ。どうだ、少しは私を倒す算段でも付いたか?」
所々が血管の様に赤い線を浮かび上がらせた黒の鎧。そして、鎧と同じカラーリングをした剣。輝く様な黄金の髪に同じ色の瞳。円卓の騎士王、アルトリア・ペンドラゴンが姿を現れた。
「―――――――ッ」
いつも画面越しに見て、一度は欲しいと思っていた
それは恐怖。目の前の女性が恐ろしい。ただ、純粋な恐怖が俺の動きを封じこんでいる――――!!
「まァな。つーかセイバー。テメェ喋れたのかよ?」
「ああ。
穏やかに、されど冷酷に笑うアルトリアに、この場の誰もが、特にマシュは感じ取ったはずだ。彼女の持つ聖剣が鼓動するのを。
「貴様の持つ
鼓動を続ける聖剣をよそに、騎士王はブーディカさんに視線を移す。あの冷徹な黒王のことだ。一体何を話すのかと気になったが、彼女が告げたのは俺の想像を超えていた。
「ブリテンの、いえ誉高き
圧倒的な力を持った彼女が、自分たちの祖国の為に戦ったブーディカに頭を下げた。たとえその身を泥に侵され、属性を変質させられ黒く染まったとしても、その根底はかの騎士王のものなのだと俺は理解した。謝られた側のブーディカさんは、少し苦笑する。
「あ~そんな畏まらないでよ。確かに、私はブリタニアの為に戦ったよ?でも、戦った理由はそんな大した物じゃないんだ。知ってるでしょ?私の戦った理由」
苦笑しながら、「
「復讐………だが、それは奪われたが故の行いだ。決して恥ずべきことではない」
「……全く、どうして私の妹や弟達は、こんなにも優しいかなぁ。お姉さん的には嬉しいけど、少し心配だよ?」
「そうか。ならば―――――」
愉快そうに笑っていた表情から一変、聖剣を両手で握りしめる。すると、鼓動していた聖剣が唸りを上げ、黒いオーラが剣から立ち上る。
「容赦なくあなた達を葬ろう。さぁ、構えるがいい。貴様達の覚悟を見せてみろ!!」
「ッ、マシュッ!!」
「はい!宝具、展開します!!」
セイバーの握る聖剣が黒い輝きを、マシュの構える大盾が虹色の光を放つ。
「卑王鉄槌。極光は反転する――――光を飲め!!」
「真名、偽装登録。行きます!!」
――――
――――
星を、生命を束ねた黄金の光だったものが、全てを破壊し薙ぎ払う漆黒の一閃となって迫りくる。全てを飲み込まんと迫る闇を防ぐのは、様々な文字が描かれた半透明な虹色の障壁。
「ッ、あああああああああ―――――!!!」
盾は非常に頑丈だ。セイバーの放った聖剣から数秒以上俺たちを守っているのだがら、それは理解できる。だが、その盾の持ち主が衝撃に耐えきれていない。ゆっくり、だが確実に押され始めている。
「頑張れマシュ!!あと少しだ!!」
「フォウフォーーーウ!!」
狭間とフォウがマシュにエールを送る。それに応える様に、盾がより一層輝きを放つ。闇から俺たちを守り、爛々と輝く虹の光が辺りを照らす。
「はああああああぁぁぁぁぁ―――――!!!」
マシュの叫びと共に『
「気を緩めるな嬢ちゃん!!そのまま構えてろ!!」
「ッ!?」
光の盾が消滅した直後、マシュの身の丈以上の巨体が現れ、その手に握られた剣が振るわれる。クー・フーリンが声をかけたため、剣が盾に直撃するだけで済んだが、聖剣を防ぐのに体力を使ったせいか、マシュが盾ごと吹き飛ばされる。
「エミヤ!ブーディカさん!!」
だが、聖剣を防いだのは事実。次のセイバーが宝具を放つには少しのインターバルがあるはず。ならば今度はこちらが打って出る番だ。そのためにもまずは正体不明の敵を倒す。エミヤが
「■■■■■■■■―――――!!!!」
「この叫び声は―――まさか!?っ、一度引くぞマスター!!」
ブーディカさんの攻撃も、エミヤの弓もまるで気にせず狂った様に剣を振るう謎の敵。その正体を察したのか、エミヤが表情を変えて撤退を進言する。更に三つの弓を放ち、当たる前に爆発させて煙幕の代わりに使う。
爆発が起こり、ほんの一瞬だけ光ったその時、俺は見てしまった。無骨な斧剣を本能のままに振り回す大英雄ヘラクレスの姿だった。
「くそったれ!!なんでこのタイミングでバーサーカーの野郎が来やがる!森の中にある屋敷に籠ってるんじゃねぇかよ!!」
「ああ。故に何回か
事実を淡々と述べるセイバーに、冗談じゃないと言ってやりたかった。サーヴァントの数ではこちらが勝っているが、相対しているのは最強と言える英雄なのだ。
インターバルがあるとはいえ何発でも放てる聖剣に、一騎当千どころか一騎当万の大英雄。そんなチートキャラを二人を相手にしろと言われているのだ。無理だ。勝つ可能性なんてゼロに近い――――なら、打つべき手はただ一つ!!
「サーヴァント・エミヤ!一画目の令呪を持って命ずる!宝具を持って戦況を――――」
「いい判断をするマスターだ。だが遅い!」
令呪。それはサーヴァントを使役しているマスターに体に出現するタトゥーの様な物で、サーヴァントを強制的に従わせたり、強化できる三回限りのマジックアイテムだ。
忘れがちだが、エミヤは自身の宝具を使って、あのヘラクレスを五回以上殺した実績を持っている。今回はセイバー・オルタも一緒にいるから、不測の事態に備えるべく令呪を発動しようとした直前、一瞬で距離を詰めたセイバーの拳が、俺の腹に叩き込まれる。
「ガッ………ハッ………!?」
痛みを感じる先に、感じたことのない衝撃が全身を貫く。飛びかけた意識が、直後に奔った痛みで再覚醒する。前のめりに倒れそうだった俺の体を、セイバーが軽々と持ち上げる。
「アーチャー。そしてブーディカよ。そなたらのマスターは私が預からせてもらおう。返して欲しくば、そこにいる大英雄を打ち倒し大聖杯の元に来るがいい。そこで、貴様たちと相手をしてやろう」
堕ちた騎士王が宣言すると同時に、降下するジェットコースターのような疾走を行う。想像を絶する痛み加え、絶叫系アトラクションと同じクラスの速さを味あわされた俺の意識は、一瞬で遠のいた。
さまざまな思惑が混じり合う特異点・冬木での決戦。――――――戦いは、まだ終わらない。
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それではまた次回で。