というか前に自分が書いた物が余りにも酷すぎたから、加筆修正するのに3日もかかってしまった。なので、少し早いですが更新します。
もうね、入試が終わりそうな人が多いけど、私はまだだからね。推薦組はマジで羨ましい。ひがみだって分かってるんだけどね。つまるところあれです。
むしゃくしゃしたからやった。後悔はしていない(真顔)。
それはそうと、今は団子イベントが始まってますね。自分は林檎があと10個しかないので、一気に使ってしまうか悩んでいます。おう運営。もちっと林檎くばれや。具体的にいうとカルデアゲートに林檎収穫用のミッション追加せえや。あと石配れ。初代様爆死だよちきせう。(涙目)
それと、来週には監獄塔イベントが復刻ですね!!巌窟王の再ピックアップもあるので、10連回そうかなぁ。
(さて、まずはどこから攻めるようか)
自分の後ろに守るべきもの、マスターである研砥に放たれる光弾を遠くに弾きながら、私は攻めあぐねていた。次から次へと放たれる矢もやっかいだが、問題なのは彼の戦い方だ。さっきの情報共有でアーチャー、エミヤの宝具は知れている。
---固有結界。自身の心象世界を世界の修正力を無視して展開する、世界に五人しかいないという魔法使いの使う
(それはそれで助かってるんだけどね)
私は心の中で呟く。元々、自分は
「全く、どうしたものかな」
本当なら、先に研砥と実践経験を積ませに行かせたマシュと一緒に戦いたかったのだが、あっちはあっちで、乱入したクー・フーリンと戦っているので忙しそうだ。けれど、このまま護りに徹していてもジリ貧だ。なら、やはりこちらから行くしかないだろう。
「研砥。私が合図をしたら少しずつで良い、私の後ろに付いてきて」
「りょ、了解。前はお願いします」
サーヴァント同士の戦いに慣れていないのだろう。間近で繰り広げられる戦闘に気圧されながらも、しっかりと力の入った声で返事を返してくれるマスターに答えるべく、タイミングをしっかり図る。エミヤが次の矢を射ったその瞬間ーーー
「今だ!行くよ研砥!!」
最小限の動きで剣を弾きながら、少しずつだけど前進する。一歩、また一歩と前へと足を前に出す。時間をかけても良い。マスターの安全を第一に考えて行動を開始する。しかし、それは愚策だった。私たちが前進すると同時に、弾いたことで地面に突き刺さった歪な剣に秘められた魔力が膨張するのを感じたからだ。
「ーーっ!ごめん研砥!伏せて!!」
とても嫌な予感がした。咄嗟に私は剣を地面に突き刺し、自身の二つある宝具の一つを開帳する。
「護ってみせるーーーーー『
生前、私が愛用していた馬と戦車を召喚する宝具。ケルトの神々の加護も受けているため飛行能力も兼ね合わせている。だが、どちらも四方からの爆発には余り効果をもたらさない。なので、この宝具のもう一つの使い道、大量に車輪を召喚する能力を発動させ、即席の防御陣を展開する。それでも防ぎきれなかったことも考え、マスターの体に飛び乗る。
ーーー直後、轟音と爆発が私たちを襲う。宝具による防御など関係ないとばかりに断続的に起こる爆発。だが、初撃を防ぎきっただけでも十分だ。『
「やれやれ。掠り傷一つ負っていないとは。私の腕も落ちたものだな」
少しばかり本気で弓を使ったのだが。やれやれと肩を竦めている弓兵に呆れながらも、こちらに殺意を向けてくることから、まだ戦う気なのだと察し、剣と盾を構え直す。
「それにしても凄い能力だね。武器を次々と投影して、挙げ句使い捨てるように爆発させるなんて、とても真似できない」
「………まぁ、私は少し特殊な英霊だからな。他に、私のような戦い方をするのは、どこかの金ぴかだけだろうさ。それよりマスター。どうだ?少しはサーヴァントとの戦いに、いや、殺し合いには慣れたか?」
手元にある黒弓を消して、新たに黒と白の双剣を投影する。今まで何十本もの矢を放ちながら、弓兵としては異例な近接戦闘もこなすアーチャー。もし、彼もクー・フーリンの言っていたセイバーにやられて敵に回っていたらと思うとぞっとする。
それはそうと、エミヤから問いかけられた研砥はまだ割りきれない、いや慣れてないのか首を振る。
「………情けない話だが、まだだ。俺は戦ったことなんて無いのに体は勝手に動くし、魔術回路だってクー・フーリンに教えてもらうまで開けなかったのに、さっきは使えてるし………正直に言うと、そんなレベルじゃないっていうか……」
「なるほど。さっきの戦いは
「ふざけんな。俺はサーヴァントとはちがーー」
研砥がエミヤの問いに答えている間に、エミヤが突然走りだし、手に持った双剣を同時に投げる。
「たわけ。だからお前は覚悟が出来んのだ」
それと同時に新たに同じ剣を投影して再び投げる。研砥と私とは検討外れな方向に投げた剣に注意しながらも、私はエミヤから目を離さない。私との距離が縮まるにつれ、三度目となる双剣が投影される。それも、さっきの小振りな物とは違い、長く太いものになっている。
「気をつけろよブーディカ。気を抜けば六つに裂けるぞ?」
「ーーーーっ!?」
彼の忠告の後、正面に向かってきたエミヤの剣を弾こうと盾を構えると、私を中心にさっき投げた四つの剣が戻ってきた。前後左右同時に迫ってくる剣をかわすべく、再び車輪を召喚する。
投擲されて帰ってきた
「我らに勝利をーーー『
私の持つもう一つの宝具。私の後輩、彼の常勝不敗の騎士王が持つ聖剣とは違う、約束されざる勝利の剣。能力としては威力の低い魔力弾を出すだけだけど、真名開帳状態で放てば無数の弾幕を張れる。それをエミヤに向かって放つ。
「ーーーむ」
私が宝具を使ったことに驚いたのだろうか。エミヤは自分の握る大剣を軽々と扱い、弾幕を切り裂いてこちらに迫る。だが、エミヤが弾幕の相手をしているおかげで、こちらに向いていた彼の集中が切れた。勝機があるならーーー
「それは今!!」
もう一度剣を振るって弾幕を張り、それと同時に今度はこちらが彼に向かって走り出す。だが、それと同時にーーー
「
エミヤが小声で何かを唱える。瞬間、彼の傍らに数本の剣が現れる。それは私を相手にすることなく飛翔する。こちら向かってくると思い、剣を盾を構えるも、それは私など眼中に無いと言わんばかりに
「ーーーっ、研砥!!」
私の後ろにいる
だが、私の選ぶ選択なんて決まっている。私は研砥にせまる剣弾を少しでも減らすべく、宝具に剣を振るう。結果、研砥を貫こうとした剣弾は打ち落とすことに成功する。直後、私の弾幕を越えて振るうであろう剣から身を守るべく、左手に盾を構えたその時。
「『
「なーーーーっ!?」
盾に響いたのは二本の剣檄ではなく、とてつもない威力を含んだ爆発。想像を超えた一撃に驚いて動きが止まってしまう。そんな隙を、弓兵が見逃すはずがなくーーー
「せいッ!!」
盾をすり抜けるように放たれた回し蹴りが腹部に突き刺さる。嫌な音を軋ませながら力強く蹴られた私の体が軽く浮いて、屋敷の壁へと叩きつけられる。
「ーーーーっあ!!」
叩きつけられた先で肺が酸素を求める。荒い呼吸と口のなかに広がる鉄の味を感じながらも、マスターを守るべく私は再び立ち上がるのだった。
「なっ――――!?」
目の前でエミヤが大剣へと変化させた夫婦剣、干将・莫耶を犠牲にして起こした爆発でブーディカさんの体制を崩し、その隙に鋭い回し蹴りを叩き込んだのを見て、俺は驚きの声を漏らした。同時に、俺を守ってくれる人がいなくなり、サーヴァントであるエミヤの一騎打ちしかできない状況へと追い込まれる。
正直に言って詰みだ。ただの人間が
(―――あれ、じゃあなんで……)
「考え事をしている暇があるのか?ほら、行くぞ―――」
エミヤが声をかけるなり新たに白と黒の双剣を投影してこちらへと向かって振ってくる。さっきまで振われていたのと同じ速さだ。ずっと見続けていたから目が慣れたのか、何とか目に留まったそれを、ほぼ条件反射で刀を振るって受け止める。
「ぐっ!?」
「いい反応だ。では次だ」
剣で受け止めたものとは別の手で握られた短剣が、俺の胸に向かって突き出される。痛んだ足に必死に命令して、思いっきり横に跳ぶ。二本の剣による攻撃を回避し、お返しとばかりに逆袈裟切りを見舞いする。上手くいけば首の近くを斬ることができるが……
「甘い。そんな見え見えの攻撃が当たるものか」
素早く双剣を構え直し、十字にクロスするように俺の刀を受け止める。そのうえで、エミヤは素早く、そして力強く刀を押し出す。本来は盾などで行うパリングという、相手の攻撃を弾く技術だ。
「くぅ――――!?」
「間抜けめ。精々死ぬなよ」
短剣を放り捨て、こちらに迫るエミヤ。右手の拳を捻るように突き出し、俺の体の中央。鳩尾を穿つように放つ。
「が――――――」
痛みがなかった。その代わりに体がとてつもない速さで飛んでいく。ボールを蹴り飛ばした時のような速さで俺の体が飛んでいき、壁に激突してようやく止まる。直後、さっきまで感じなかった衝撃が一気に俺の体を襲う。
「がっ、ぐ、ああっ………!!」
強引に吐き出された酸素を求めて、俺は荒い呼吸を繰り返す。だが鳩尾を綺麗に穿たれた直後でそれさえも満足にできない。蹲りながら必死に酸素を求めるも、脇腹から蹴り転がされる。
「ぐ、はあ、っ――――」
「無様だな。それでも私のマスターか」
半ば落胆したような目でこちらを見るエミヤ。その眼差しはとても冷たい。機械の様な目とはこのことを言うのだろうか。今、彼は俺をマスターとしても、人としても見ていない。まるで道端で転がる石の様に見ている。そんな気がする。
「無様だ。覚悟も持てない三流の魔術師など要らん。そのまま、この場で朽ち果てろ」
新たに右手に投影されたのは、夫婦剣ではなくどこにでもあるような平凡な西洋剣。それを握って無造作に振う。体が認める。このままだと死ぬと。さっきまで見えていた剣の残像が、綺麗に首を両断する未来を幻視する。
(このまま死ぬ――――?ふざ、けるな………!)
何も出来ないのだから、このまま死ぬしかないといのに度し難い。俺の抱いたこの感情にどうしようないと思うも、俺は願って、縋ってしまいたくなる。自分の死なない未来を。
(このまま、死んで堪るか―――――!)
痛んだ体に動けと命じる。開きっぱなしの魔術回路が焼けきれても構わないと言わんばかりに働かせる。このままだと死ぬ。死にたくはない。なんの理由もなく死んでやれるほど、俺はお人よしではない――――!!
「っ!!ぐぅぅうう―――――!!!」
「………ほう?」
迫りくる剣に対し、手に何も持っていなかった俺ができたのは一つだけ。両手で相手の刃物を挟み込んで受け止める防御法。俗にある真剣白刃取り。本来ならば達人同士の鬩ぎ合いで起こる筈の現象がここに起こる。理由は単純。こうする以外に死から逃れられないからだ。
それに、相手は英霊でこちらは多少強化の魔術が使える元・一般人。タイミング云々の前にスペックの差が広がりすぎている。だから、脇目も振らずにこの選択肢を選んだのだが、どうやら正解だったようだ。ただ、問題なのが――――
「っ――――!!ふっ、くぅ――――!!」
受け止めたのは良いものの、どうやっても状況が好転しないことだ。必死に力を込めても、ゆっくりと刃がこちらに迫ってくる。それを食い止めようと全身が痛むのを無視して魔術回路を稼働させ、発生した魔力を両手に集中させる。何秒、何分経っただろうか。死ぬ寸前は時間が長く感じると聞くが、余り心地良いものではない。
「いい覚悟だ。ようやくその領域に立ったか?」
「どう、いうっ、意味だよっ!!」
「なに、言葉通りの―――――!?」
ふっ、と笑ったエミヤの表情が驚愕に染まる。俺の首を斬ろうとした剣から手を放し、干将を投影して右に振るう。直後、黒い刀身と丸みを帯びた盾がぶつかり合い、盾が短剣を弾く。
「おかえし、だよっ!!」
「くぅ――――!!」
武器を弾かれて体制を崩したエミヤの脇腹に、長い脚による回し蹴りが炸裂する。いつもの余裕そうな表情も崩れ、少し体を浮かせながらも地面に手を付くことで足を引きずらせながら踏みとどまる。
そんな彼の行動を予測していたのか、凛とした声が耳に響く。
「受けるがいい――――『
彼女の、ブーディカさんの持つ剣が光と共に振るわれ、振るわれた先から先ほどの弾幕とは違って斬撃が放たれる。それは未だ体制を崩したままのエミヤのもとへと走り、何かに触れると爆発する。それによって引き起こされた砂煙で、エミヤの姿が隠される。それを見届けながら、ブーディカさんがこっちに近づいてくる。
「研砥!!大丈夫って、大丈夫じゃないよね!もう少しだけ待ってて、すぐに終わらせるから」
こちらの傷を見てそう判断したのか、いつもは優しい表情だった彼女の顔が、少しからず怒りの籠った顔つきになる。それに俺は頷くことしかできなかった。分かってはいたが、実際に彼女怒った顔見れば何も言えなくなった。英霊だからとか、人間じゃないからといった理由じゃなくて、そうあるものだと体が勝手に判断したからだ。
そういうやり取りをしていると、爆発で起こった砂煙が消える。その先にあったのは傷を負ったエミヤの姿ではなく、淡い桃色をした七つの花びらを模した奇妙な盾だった。攻撃を受け止め、役目を終えた盾の中から無傷のエミヤが顔を出す。
「全く、無茶をしてくれる。少々やりすぎたかね?」
「当然でしょ。研砥は私たちと違って替えが効かないんだよ。………まぁ、エミヤがやらなくても、いつかは受けることだったけど、だからといって」
「ここまで過激にしなくても、か?だとするなら、それは甘いぞブーディカ。替えが効かない?そんなものは当たり前だ。一度きりの人生、だからこそ人はその生を謳歌する。これから死ぬかもしれない人間に、死ぬ覚悟を持たせず戦場に向かわせてどうする?無駄死にするだけだぞ」
「それでもっ!研砥は!!」
「いい。もういいよブーディカさん」
冷たく言い放ったエミヤに食って掛かろうとしたブーディカさんを止め、肩を掴んで後ろに下げる。正直言って凄く怖い。さっき自分を殺そうとした男の前に出る恐怖は、言葉にすることもできない。これが
「エミヤ。一つだけ言いたいことがある」
「ーーーほう?良いだろう。言ってみるといい」
俺が前に出てきてまで言いたいことに興味が湧いたのか、面白そうな目でエミヤがこちらを見る。その際、こちらに当ててくる威圧感が増したが、それに怯むことなく口を開く。
「俺は、弱い。多分、この場にいる誰よりも弱い」
「そうだな。それで?」
「俺は、こんなところで死にたくない!」
小さく、けれどはっきりと聞こえるように自分の思っていることを言う。今、俺が心の底から願っていることを。自分の紛れもない本心を。
「俺はっ、マシュみたいに強いわけでも、オルガマリーさんみたいに魔術が使えるわけでもっ、狭間みたいに精神が図太いわけでもないっ!少し魔術が使える、ただの人間だ。
それでもっ!俺は死にたくない!!だからーーーー」
なけなしの意思を集めて、エミヤの目をしっかりと見つめて言う。そうでもしないと、きっと、届かないと思ったから。
「俺に、力を貸してくれないだろうか。弱い俺を、護ってくれないだろうかーーー!!」
頭を下げてお願いする。恥とかプライドとか全部投げ捨てて、俺は目の前にいる英霊に縋った。惨めだとか、同情でもいい。ただ、『死にたくないから助けてくれ』とお願いする。
「…………………ふっ」
「なっ、今笑ったな!?ひ、人が真剣になってお願いしてるのにっ!!」
「いや失敬、まさか、ここまで真面目に助けてくれと願われたのは久しぶりでね。少し、昔を思い出してしまった」
感慨深い思い出に浸るように目を閉じながら、エミヤは懐かしそうに呟いた。感傷に浸ること数秒、少し苦笑しながら彼は口を開いた。
「さて、君から私への願いだが、結論だけ言えばやっても構わないと思っている。君のいる組織から魔力も供給されている、という理由もあるが、私個人としてもこの聖杯戦争に決着を着けたいと思っている。互いの利益は一致しているからな」
こちらの願いを聞き届けてくれたエミヤに、俺が礼を言おうとするも、ただし、エミヤは言葉を繋げた。
「私を味方に付けたいと思うのなら、常にその覚悟を持て。死にたくないと、ここで死ぬわけにはいかないと強く願い続けろ。君が弱いのは当然だ。魔術師でも、魔術使いでもない君ができることなど知れている。
故に、その代わりに
自分のできることを全力でやる続ける。単純故に難しい事を要求してくるエミヤ。けれど、俺は何となく嬉しかった。どうしてなのかは分からない。けれど、本当に何となくだけれど。
「ああ。勿論だ。やるからには全力で、抗わせてもらうさ!」
「ふっ、良い目をするようになった。がっかりさせてくれるなよ?
いつも通り、意地の悪い笑みを浮かべながら差し出される手を、俺は躊躇うことなく握り返す。一時の間だけれど、心の底までとはいかないけれども、ようやく分かり合えたのではないだろうかと思い、つい笑ってしまう。
「さて、私は少しキリエライトの手助けをしてくる。君は、ここで少し休んでいろ」
黒と白の夫婦剣を投影して走り去るエミヤ。その後ろ姿がとても逞しくて、何より安心できた。すると、さっきまでの緊張が解けたのか、足に力が入らなくて膝から崩れ落ちる。情けないな、と自嘲する様に笑みを浮かべながらも、そのまま地面に寝転がる。
空は真っ黒に染まり、周りは赤一色。気温も少し高い気がして暑いと感じるけれど、なぜか、今だけはそれを感じなかった。そのままぼーっとしていると、前からブーディカさんがやってきた。こっちにやってきて、寝転がっている俺の隣に座り、自分の膝の上に乗せる。
「ちょ、ブーディカさんそれはちょっと」
「いいからいいから。地面の上に寝てるよりマシでしょ?あ、勿論私の膝なんかでよければだけど」
駄目かな、と少し残念そうに聞いてくるブーディカさんに、俺ははっきりと拒絶できず、なし崩し的に膝枕を受けることになった。ただ、真上を見たら絶対にダメなので、外側に顔を向けながら彼女の膝上に頭を置く。
「研砥は…………凄いね」
「……………うん?」
こちらにやってくるなり言われた言葉に、俺は少し悩む。さっきの俺に凄いところがあっただろうか。むしろ、情けないところしかなかった気がするのだが。
「大したことしていないぞ?逆に、自分の全部を投げ捨てて助けてくれ~ってお願いしただけだし、むしろ情けないって思わないのか?自分のマスターがこんなにも弱々しいてっさ?」
「別に、そこは気にしてないよ。あたしが言ってるのはね、さっきみたいに自分の思っていることをはっきりと言えたのが凄いって言ってるの。君は、それが情けないとか、大したことじゃないって思ってるかもしれないけど、それは誇って良いことなんだよ」
自分の事のように、とても嬉しそうに微笑みながら頭を撫でてくるブーディカさん。それがとても気恥ずかしくて、けれど、とても嬉しくて俺はーーー
「ああくそ、やっぱり調子狂うなぁ………!」
気恥ずかしさのあまり、目元に浮かんだ汗を拭きながら、小さい声で呟くのだった。
既読、ありがとうございました!
誤字・脱字、それから矛盾点等がありましたら、指摘してくださると嬉しいです!!