Fate/Victory Order    作:青眼

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さてと、定期テストも乗り越えたし、新しく話を投稿しますよ~

それはそうと、ハロウィンイベントやってましたね。今は【Fate/EXTRA】ピックアップですが。…………何で家のカルデアって、アサシンだけこんなに多いですかねぇ。いい加減玉藻が欲しい…………(ジャック・酒呑童子・クレオパトラを見ながら)


合流

 スケルトンの群れを退けた後、俺たちは駅から出て辺りを散策していた。原作なら、この特異点Fには主人公と、英霊(サーヴァント)と融合した少女、デミ・サーヴァントのマシュ・キリエライト。そして、本編で即死したオルガマリー所長が存在するはずだ。というわけで、今はクー・フーリンのルーン魔術で彼らを探している。ルーン魔術って本当に便利だな。さすがスーパーケルト人。

 あ、実はあの後、クー・フーリンに魔術回路の開き方を教えて貰った。開き方は人それぞれだから自分の最も開きやすいやり方を探ってみろと言われた。といっても、本編では衛宮四郎が『銃の撃鉄』をイメージして開いていたから、俺は剣道をやっていたことを基にして、刀を抜くイメージで魔術回路を開いている。これで、なんとかブーディカさんに魔力供給ができる。魔力供給(意味深)じゃないからな。決して。

 

「どうだクー・フーリン?何か反応はあった?」

「い~やまだだな。ちっ、研砥が来たから他にも誰か来てねぇかと思ってたんだが………おっ?」

 

 歩きながら会話する俺たち。本当はクラス名で呼ぼうと思ったのだが、「真名で呼べよ。お前は俺のマスターなんだからよ」と言われてしまい、名前で呼ぶことにしている。マスターと呼ばれてはいるが、実際にはクー・フーリン自身の魔力で現界しているため、指示を送る人という意味だ。

 そもそも俺に魔術回路があること事態が驚きなのだが、ぶっちゃけた話ブーディカさん一人を使役するだけで疲労しているのが自分でも分かる。もし、もう一人英霊(サーヴァント)を使役しようとしたら、今度こそ魔力切れ気絶するだろう。本数は確か………三十数本だとクー・フーリンが言ってたな。

 そうこうしていると、クー・フーリンの周囲に浮いていたルーンが輝きを放つ。それを見たクー・フーリンもニッと笑う。

 

「来たぜ!!研砥(お前)みてぇな生存者だ!!」

 

 付いて来い!!嬉しそう笑いながら俺を置き去りにして走り出す。その後ろ姿を必死に追いかけるが、流石はクー・フーリンというべきか。追いつくどころか、逆に置いて行かれる。

 

「ハァハァハァ!!くっそ、あれが本当にキャスターか!?ランサーの間違いじゃないだろうな!?」

 

 さっきのアサシンとの闘争に使った体力は戻っているはずだが、ここまで差が広がると本当に自信を無くしてくる。それを宥めるように、隣で霊体化しているブーディカさんが笑った。

 

[あははは………まぁ、あのクー・フーリンだしねぇ。キャスターのクラスで召喚されても体力はあるんだと思うよ]

「だからって、あの速さは!おかしい、だろ!!」

 

 流石はスーパーケルト人!!スカサハ師匠のスパルタ特訓(真偽不明)を耐えて英雄になったことはあるということか。そこに痺れもしなければ、憧れもしないけどなぁ!

 

「――――っと、どうしたクー・フーリン?ってもう兄貴でいいか」

「いやなんでだよ。普通に名前で呼べよ」

「クー兄貴。クーさん。キャスター兄貴…………キャスニキ?」

「燃やすぞテメェ」

 

 杖を軽く振ったクー・フーリンに「すいませんでした!!」と腰の上を九十度曲げて謝罪する。それと同時に、金属同士がぶつかり合う音が辺りに響き渡る。周りを見てみると、盾を持った少女に、黒い霧のような物を纏った二人が襲い掛かっていた。

 

「………まさかとは思うけど、戦闘中?」

「おう。さっき逃がしたアサシンともう一騎、ランサーがいるな。襲われてるのは盾を使ってる嬢ちゃんと、そのマスターが一人。あと派手な格好した女の魔術師がいるな」

 

 

 説明を聞いた限り、所長と主人公(ぐだ男)。マシュがいるようだ。二対一。しかも戦闘向きじゃないマシュでは、明らかに押され始めていた。

 

「クー・フーリン!ブーディカさん!襲われている方を助けるぞ!」

「了解!クー・フーリンは後方支援と、研砥の護衛よろしく!」

「おう!任せなァ!!」

 

 隣で霊体化していたブーディカさんが、剣を鞘から抜きながらそれを解除し、敵サーヴァントに向かって疾走する。新たなサーヴァントの登場に気付いたのか、ランサーとアサシンのシャドウサーヴァントが、ブーディカさんの方に視線を向ける。

 

「アンサズ!!」

 

 クー・フーリンが一瞬にして大量のルーンを組み上げ、炎の玉を敵に向かって放つ。ランサーはそれを槍で弾いたり切り裂いたりしているが、アサシンは片腕を失いながらも、さっきと変わらず紙一重で回避している。

 だが、炎の弾幕の中にいるは敵だけではない。自分に向かって飛んでくる玉を最小限の動きで回避し、手負いのアサシンへブーディカさんが切りかかる。

 

「ハァッ!!」

「チィッ!!マタ貴様ラカキャスター!!何故我々ノ邪魔ヲスル!!」

「決まってんだろ。どこからどうみてもテメェらが敵だからだよ!!」

 

 連続でルーンを組み上げ、絶えることなく火球を放つクー・フーリン。ランサーもアサシンが押されているのを見て、応援に向かいたそうだが、火球とマシュの硬さに攻めあぐねている。

 

「そこの盾使いの人!信じろとは言わないけど、とりあえずその黒いのは俺たちの敵だ!!倒すのを手伝わせてもらうぜ!!」

「はいっ!救援感謝します!!」

 

 突如乱入してきた俺たちに戸惑っているであろうマシュ達に、とりあえず共闘を申し入れる。向こう側も危機だったし、断られることもなかった。

 

「やぁっ!!」

「クゥッ!!ヤハリ左腕だけでは―――――――ッ!!」

 

 本来、召喚されたサーヴァントでは宝具という、俗に言う必殺技のようなものがある。だが、シャドウサーヴァント化した英霊は、それを使うことはできない。もっとも宝具が使えないだけで、その英霊の力は自体は使えるのだが。

 だが、今回状況が悪い。アサシンが得意な奇襲はできず、一対一での戦闘力は、ブーディカさんより全て下回っている。

 

「せいっ!!」

「グォ!?クッ、聖杯ヲ目ノ前ニシテ敗レルトハ――――――!!」

 

 横薙ぎに振るわれた剣が、アサシンの胸を切り裂き、怯んだ隙を見逃さす放った刺突が、アサシンの霊核を破壊した。現界させている核を破壊されたアサシンの体、霞の様に消滅する。

 

「クッ!?アサシンガヤラレタダト!?」

「そこです!!」

 

 アサシンがやられた事に驚いたランサー、マシュの盾よって槍を弾かれ、致命的な隙を作ってしまう。それを見逃すほど、俺は余裕を持ってはいない。

 

「クー・フーリンッ!!」

「はいよォッ!!これで燃え尽きちまいなァ!!」

 

 今まで放っていた炎の玉を集結させ、マシュに当たらないギリギリの角度でランサーにぶつける。地面に触れると同時に爆発を起こし、火柱をあげて燃え上がる。柱は被弾したランサーの断末魔の悲鳴を飲み込んで燃え上がり、火柱が消えたあと、そこにランサーの姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――以上が、私たちの現状です」

「へぇ。人理継続保障機関フィニス・カルデア ねぇ………」

 

 戦闘が終わり、とりあえず互いの状況を確認していた。もちろん、カルデア側は自分達以外の生存者、ないし味方サーヴァントがいる事に驚いていた。それに所長さんはヒステリーになり、ロマニさんはパニックを起こしていた。

 

〔それにしても驚いたね。まさか、レイシフトも無しに特異点に来ているなんて〕

「それはこっちの台詞なんですがね………それよりロマニさん。頼んだことですが……」

「ロマンでいいよ。それと、さっきの君の質問だけど………言い辛いが、“黒鋼研砥”という人物が、コフィンを使ってレイシフトをした形跡は残ってない。君の体は、カルデアには無いみたいだ」

 

 俺がドクターに頼んだのは、FGO(この世界)の俺がレイシフトに参加していたかということだ。もし参加していたのなら、この人理を修復した後、俺はカルデアで目を覚ます。

 だが、参加していないのなら話が変わってくる。人理を修復した後、俺という存在がどうなるのか分からないのだ。いや、確か本編では特異点が消滅するため、俺はここで消えてなくなるというこだ。

 

(…………まるで、Fate/EXTRAの主人公だな。今の俺は)

 

 あの作品の主人公・岸波白野は、コールドスリープしている本体の記憶を完全にコピーした、サイバーゴーストと呼ばれる存在だった。あの世界の聖杯戦争で、優勝しても死ぬ。途中で負けても死ぬという、バットエンド一直線な主人公だった。今のおかれている状況とよく似ていたため、俺は苦笑した。

 

(……それでも、進むしかないよな。死にたくないし)

 

 新たな目的を得て、とりあえず先のことについて考えるのを後回しにして、俺たちはセイバーの待つ大空洞に向かった。

 




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