死神の眷属となった白兎   作:鬼塚虎吉

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報告とアドバイザーの苦悩

団員達と朝食を済ませた俺は執務室に入って紅茶を飲みながら盗賊討伐に向かったラウとレナからの報告書に目を通していた。

 

どうやら、こちらに負傷者を出さずに完全に討伐をこなしたみたいだな。

 

団員に負傷者ゼロと言う報告に満足しながら俺は討伐完了の報告書を持ってギルドにへと向かった。

 

ギルドに着くと、周囲の視線が俺に向けられてくる。

 

「おい、あれって冥王だよな?」

 

「あぁ、あの年で迷宮都市(オラリオ)最強だろ、ヤバ過ぎるだろ。」

 

「団員も強者揃いときたもんだ、どれだけデカくなるのやら…。」

 

そんな会話を聞き流しながら俺は担当アドバイザーのもとにへと近づいていく。

 

「エイナさん、お久しぶりです。」

 

俺が声を掛けたのは俺の担当アドバイザーであるハーフエルフのエイナ・チュールさんである。

 

「ベル君、君また一人で深層に向かったでしょ!いくら実力があるからって一人はダメって言ったでしょ‼」

 

出会い頭にお説教をしてくるエイナさん。

 

ヤバい、これは長いパターンだ。

 

「それに君は団長の立場にいるんだから軽率な行動は控えるべきなの‼」

 

「すいません…。」

 

エイナさんの言うことに返す言葉もなく謝るしかない。

 

俺が謝るとエイナさんは深い溜息を吐いた後にこう言って来る。

 

「ファミリアだって団員がいるんだし、もっと仲間を頼ったほうが良いよ。」

 

「はい。」

 

エイナさんの言葉に俺は同意することしかできなかった。

 

「それで、今日はどんな事でギルドにやってきたの?」

 

そう言って来るエイナさんに対して俺はここに来た目的を果たす。

 

「ギルドが俺達に依頼してきた盗賊討伐の報告書を持ってきました。」

 

俺はそう言いながらエイナさんに報告書を渡した。

 

「確かに受け取ったわ、用件はそれだけかな?」

 

「そうです、それじゃあ。」

 

エイナさんの確認の声に俺はそう返してギルドの出入り口に向かっていく。

 

「さて、次は…。」

 

 

 

 

 

 

「もう、ベル君ったら相変わらず無茶してるな~。」

 

私、エイナ・チュールはさっきまで話していた担当冒険者であるベル・クラネル氏の行動の無茶に悶々とさせられていた。

 

「エイナ、どうしたのって聞くまでもないね。さっきのエイナの声こっちにまで聞こえてたし。」

 

私は同僚で友人のミィシャがそう言って来る。

 

というか、向こうの方にまで聞こえてたなんて恥ずかしいよ。

 

私が顔を赤くしていると、ミィシャがこう言って来る。

 

「あんなに若いのに最強って称号はすっごいプレッシャーだよね、だからエイナが少しでも支えに鳴ってあげないとね‼」

 

ミィシャの言葉を聞いて私はハッとした。

 

そうだよ、最強という立場は常に何かしらの重圧を受け続けてる。

 

私が少しでも軽減できるようにしてあげないとね‼

 

それを教えてくれたミィシャにも感謝しないとね。

 

「ミィシャ、…何してるの?」

 

私がお礼を言おうと振り返ると、そこには大量の書類を持ったミィシャがいた。

 

「えっと、エイナ手伝って‼」

 

そう言って来るミィシャに対して私はこう言った。

 

「一人でやりなさい‼」

 

もう、この子ったら‼

 

 


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