死神の眷属となった白兎   作:鬼塚虎吉

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猛者と鍛治師

俺ベル・クラネルはダンジョンから戻ると集めた魔石を換金してすぐに武器の新調をするために【ヘファイストス・ファミリア】へと速足で向かっていた。

 

すると、そこである人物に声をかけられる。

 

「久しいな、ベル・クラネル。」

 

「そうだな、【猛者(オッタル)】」

 

ある人物と言うのはオラリオ最大派閥の一角である【フレイヤ・ファミリア】団長オッタルだ。

 

【ハデス・ファミリア】団長ベル・クラネルと【フレイヤ・ファミリア】団長オッタルの邂逅は周りにいる者たちの緊張感が増すばかりである。

 

そして、最初に口を開いたのは俺だ。

 

「何か用か、今日は忙しくてな時間が空いていない…。」

 

俺がそう言うと、オッタルは平然とした顔でこう言って来る。

 

「そうか、久々に酒でも酌み交わそうと思ったのだが用があるのでは仕方あるまい。出直すとしよう。」

 

俺の言葉にオッタルはそれを受け入れ、帰っていった。

 

オッタルがいなくなると周りの者たちはホッと一息をつく。

 

俺はそれに構わずに【ヘファイストス・ファミリア】にへと足を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

【ヘファイストス・ファミリア】のとある工房では一人の青年が深く考え込んでいた。

 

その理由は…。

 

「ダメだ、中々こいつの名前が決まらねぇ。」

 

そう、武器の名前である。

 

うんうん、考えている所に俺は入っていく。

 

「ヴェルフ、また名づけで迷ってるのか?」

 

青年の名前はヴェルフ・クロッゾ、ベル・クラネルの専属鍛冶師(スミス)でlevel5の上級鍛冶師(ハイスミス)でもある。二つ名は紅炎の鍛冶師(ヴァルカン)である。

 

「よぉ、ベル。なぁ、こいつの名前どれがいいか選んでくれ‼」

 

手渡された紙にはヴェルフの持っている短剣の名前を考えたと思しきものが書かれていた。

 

猛虎丸(もうこまる)

 

虎短剣(トラタン)

 

煌虎(らいと)

 

俺はその紙を見た後にこう言った。

 

「ヴェルフ、猛虎丸でいいと思うぞ。」

 

そう言いながら渡された名前の紙をヴェルフに渡す。

 

ヴェルフは笑顔を浮かべながらこう言って来る。

 

「猛虎丸か…。よし、こいつの名前は猛虎丸だ‼」

 

こうして、短剣の名前も決まったことで、俺はここに来た目的を口にする。

 

「ヴェルフ、武器と防具を新調したいんだけど…。」

 

俺がそう言うと、ヴェルフはこう言って来る。

 

「応、今度はどんな刀を打てばいいんだ。素材は持ってきてるのか?」

 

「あぁ、今回の武器の素材にしようと持ったのはこいつらだ。」

 

そう言って来るヴェルフに対して俺は深層で手に入れたドロップアイテムを見せた。

 

黒骸竜(ブラックコープスドラゴン)白骸竜(ホワイトコープスドラゴン)のドロップアイテムか、こいつで作ればいいんだな。任せておけ‼」

 

ヴェルフはそう言って手拭いを頭に巻いて早速作業に取り掛かろうとしていた。

 

「何日かはダンジョンには潜らねぇからじっくりやってくれて構わねぇよ。」

 

俺がそう言うと、ヴェルフはこう言って来る。

 

「何言ってんだよ、最高の装備を整えるのは冒険者の義務だぜ。だから、最高の武器と防具を仕上げてやるよ‼」

 

ヴェルフは素材を仕分けながらそう言って来るのに対して俺はこう言った。

 

「確かにな、今度酒でも奢るよ。」

 

俺はそう言いながら帰ろうとするとヴェルフがこう言って来る。

 

「応。」

 

それだけの会話を終えて俺はハデス・ファミリアのホームにへと戻っていくのだった。

 




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