死神の眷属となった白兎   作:鬼塚虎吉

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プロローグ

ここはダンジョン深層域五十七階層、屈強なモンスターが数多く存在している。

 

そんな場所に両手に二本の刀を握った一人の冒険者がいた。

 

その冒険者は白髪赤目の少年と呼ぶに相違ない容貌をしており得物である刀も特徴のない普通の刀、見るからに深層域で活躍出来るようには思えない。

 

だが、そのような考えはすぐさま修正をする事になった。

 

深層域のモンスター達が少年に襲い掛かっていくと、少年が二本の刀を振るうと瞬く間に物言わぬ肉の塊となった。

 

「今日はこんな所かな。」

 

少年は刀に付着した血を払い落とし刀を鞘に納め、モンスターの魔石やドロップアイテムを回収していく。

 

すると、下の方から雄叫びが聞こえて来る。

 

「もう少しだけならいいかな。」

 

少年は嗤う、それは誰に向けるまでも無く、力量も分からず襲って来る愚かなモンスターに対してだ。

 

その言葉を最後に自分にとっての未到達領域五十八階層へと飛び込んで行った。

 

 

 

 

 

グオオオオオオオオオォォォォォ‼

 

腹の底から響いてくる雄叫びが階層内に響き渡る。

 

五十八階層、竜の壺と呼ばれるこの階層には夥しい程の竜種モンスターが存在している。

 

その中を二本の刀を振るい猛進する先ほどの少年がいた。

 

「{ 新しい刀が欲しいから素材を見つけないとなぁ…。}」

 

のんきに武器の新調を考えている少年だがその動きには迷いは無く確実に竜種モンスターを斬り捨てて行っている。

 

すると、少年の前に五十頭の竜が現れる。

 

「こりゃ、ちぃとキツイかもな。でも…丁度良い‼」

 

砲竜(ヴォルガングドラゴン)と並び面倒な相手とされている竜種モンスター。

 

力と耐久に優れている地竜型モンスター黒骸竜(ブラックコープスドラゴン)、耐久と敏捷に優れている飛竜型のモンスター白骸竜(ホワイトコープスドラゴン)が二十五体ずつ少年の前に立ちふさがる。

 

そんな竜を五十頭を前にいている筈の少年は笑っていた、その理由は武器に使用する素材が見つかったからだ。

 

黒骸竜・白骸竜の牙や骨は武器に、鱗や皮膜は防具に出来るからだ。

 

少年は刀を握り直し、竜の大群の中にへと飛び込んで行った。

 

少年と竜達の戦いは火山より噴き出るマグマよりも苛烈であった。

 

少年が竜の柔い部位を二刀で斬り込み、竜は爪や牙と尾を振るいブレスを放つ。

 

そうしている内に戦いを収束されていった、結果は少年の勝利で終わった。

 

少年は魔石やドロップアイテムを回収したのち、ダンジョンから本拠地にへと帰っていくのだった。

 

深層域のモンスターを倒したたった一人の冒険者、しかも弱冠十四歳の少年がやってのけた偉業は語られる事は無いが少年が刻みし髑髏に大鎌の紋章にしかと刻み込まれていた。

 

 

 

その偉業を成し遂げた少年の名前はベル・クラネル、後に『冥王』と呼ばれるlevel10の第一級冒険者でありハーデス・ファミリアの団長である。


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