魔法科高校の電脳少女   作:零崎妖識

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「さぁさぁ、なんかないものか」と揺れ気味にビートを刻めば


本部

事務室にCADを預け、達也は生徒会室へと戻った。その途端、摩利が達也の腕を捕った。

深雪とエネが達也のことをジトーっと睨んでいるが、アイコンタクトで説得できるかどうか。エネは達也のため息で、『あぁ、委員長さんってこんな人なんだ』と諦めて達也に頭を下げたが。

「さて、色々と想定外のイベントが起こったが、当初の予定通り、委員会本部へと行こうか」

摩利は、達也を部屋の奥へと連れて行く。そこには、非常階段の代わりに、風紀委員会本部への直通階段があった。

『……本当に消防法どうやって突破したんですか』

「大丈夫だ。ちゃんと非常階段としても使えるから」

「……本来、非常階段ですよね、これ」

まあ、エレベーターでなかっただけ許容範囲内だろう。そう思った達也は摩利についていき、風紀委員会本部室に足を踏み入れた。

「少し散らかっているが、まあ適当に掛けてくれ」

『……片付けは』

「うちは男所帯だし、校内の巡回が主な仕事だからな。必然的にこうなる」

床は散らかっていなかった。しかし、机の上には、書類やCAD、ケータイなどが散らばっている。

『……!?なんであんなもの放置してるんですか!ご主人!片付けましょう!!アレ、エキスパート仕様の高級品ですよ!!』

「みたいだな。委員長、ここを片付けても?」

「すまん、頼んだ」

達也は机の上を整理し、一時的にスペースを作っていく。

「すみません、委員長。アース用のバンドをつけて、あのCADの山をここに並べてくれませんか?」

「何をするんだ?」

「状態をチェックします。少なくとも、ソフトは俺よりもエネの方が詳しいので。あ、これを使ってください」

リストバンドを渡された摩利は、言われた通りにCADを並べていく。達也は、そのCAD群に自分の端末をつなげた。

「なるほど。中身がちゃんと使えるかどうか、エネにチェックさせるのか」

『委員長さん、私が声かけたら端末の方にも繋いでくださいねー』

達也は紙媒体などの固形物を、エネは端末やCADの中身を整理していく。不要な書類を捨て、不要なファイルを消去し、必要なものは保存する。

二人とも、その作業のスピードが異常なほど早い。

「終わりました」

『こっちも完了です!これ、ハードの微調整をすれば現役で使えますね。術式も綺麗ですし』

「……うん、君たちをうちに入れて正解だったようだ。助かった」

『どうも!……ところで、何か面倒そうなファイルがあったんですけど……』

「面倒そうなファイル?」

『ええ。森崎っていたじゃないですか。ほら、ご主人に突っかかって来たあいつ』

「ああ、そんなのも居たな」

「森崎か?そいつもうちに入ることになってるが」

「えっ?」

『そーなんですよ……風紀委員の集会のたびにあいつの顔を見なくちゃならないなんて……』

「……辞めてもいいですか?」

「ダメだ」

『ダメに決まってるじゃないですかー』

達也は、本日何度目かになるため息をついていた。


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