ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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146です!都合により、予定していたクイズの答え合わせと、キャラ紹介コーナーは今回はお休みにしたいと思います。

今回はついにファーストライブ!
いや~長かった…まさかこんなにかかるとは…

それではどうぞ!


第9話 Lに運命を/START:DASH‼︎

「ここなら平気でしょ?」

 

「まあ…ここなら…」

 

俺たちが移動したのは、我らが音ノ木坂学院の校門。

ここなら人が少ないし、通行人も面識あるやつが多いだろう。

 

「あれ?そういえば永斗は?」

 

「永斗君なら飽きたから帰るって♪」

 

よし、帰ったらぶん殴ろう。

 

「じゃあ始めるよ!

μ’sファーストライブやりま~す!」

 

「よろしくおねがいしま~す♪」

 

穂乃果とことりはさっきと同じようにチラシを配っていく。

ちなみに俺は隠れて見てるだけだ。今でも新聞部の連中がこっちにカメラ向けてるからな…あんま顔を曝したくない。

 

一方、海未はなかなか声をかけることができない。

やっぱ緊張すんのかな…?

 

 

「お…お願いします!」

 

 

海未は勇気を出して通行人にチラシを差し出した!

 

 

「いらない」

 

バッサリ断られ、海未は悲しみの表情を浮かべる…

ていうかなんだアイツ!頑張ったのにその対応はねぇだろ!!

って、なんでこんな興奮してんだ?参観日の親じゃねぇんだし…

 

「ダメだよ、海未ちゃん!もっと声出さないと!」

 

「穂乃果はいいですよ…お店の手伝いで慣れてるんですから…」

 

「海未ちゃん、私が階段5往復できないとき何て言ったっけ?」

 

「それは…」

 

言ってたな。「できます!気持ちの問題です!!」って。

 

「わかりました!やりましょう!!」

 

そう言うと海未は声を出し、チラシを配り始めた。

 

 

「あの……」

 

 

チラシを配っている穂乃果に眼鏡の少女が声をかけた。

アイツは…いつぞやの声が小さい子か?

 

「ライブ…見に…行きます……」

 

その言葉を聞くが否や、3人が眼鏡の少女に寄ってきた。

 

「本当!?」

 

「来てくれるの?」

 

「では、1枚2枚と言わずこれを全部…」

 

おいコラ、海未。

 

 

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「やっぱり動きのキレが違うよね…」

 

俺たちは穂乃果の部屋に移動し、今度こそライブの打ち合わせをしている。

今、参考に見ているのは、現在スクールアイドルのトップと言われている「A‐RISE」のライブ動画だ。

 

「初めて1か月の素人とプロとを比べても仕方ねぇだろ。

とりあえず、現状で尽くせるベストを考えて…」

 

その時、パソコン画面に”974”と書かれた画面が表示された。

 

「ランクが上がってる!」

 

「チラシ見たやつが投票してくれたのか」

 

「嬉しいものですね…」

 

さっき表示されたのは、いわゆる「アイドルランク」というやつで、

こないだまで999位だったから…25位上がったってことか。なかなかいいスタートなんじゃないか?

 

「お待たせ~」

 

「あ、ことりちゃん見て見て!」

 

「あ、すご~い!!」

 

 

少し遅れて小鳥が部屋に入ってきて、ランクを見て感嘆の声を上げる。

その手には紙袋を持っているようだが…?

 

「ことり、それは?」

 

「さっきお店で最後の仕上げしてもらって…」

 

ことりは紙袋から、ヒラヒラしたピンクの服を取り出した。

それは前に見せてもらったスケッチとほとんど同じものだった。

 

「衣装か!」

 

「かわいい!」

 

おおはしゃぎする穂乃果とことりを尻目に、俺は海未の方の目を向ける。

すると案の定、衣装を見てワナワナと震えていた。

 

「ことり…そのスカート丈は…?」

 

「あ…」

 

 

遡ること3週間前。

 

 

「いいですか!スカートは最低でも膝下でなければ履きませんよ!!」

 

「は…はいぃぃぃ!!」

 

 

 

てなこと言ってたな。ことりが作った衣装のスカート丈は、どうみても膝下まで届かない。

 

 

「言ったはずです…!最低でも膝下までなければ履かないと!!」

 

うわ~…海未の顔がめっちゃ怖い。アイドルの顔じゃない…

 

「だってしかたないよ。アイドルだもん」

 

「アイドルだからと言って、スカートを短くする決まりはないはずです!」

 

「でも今から直すのは無理だろ。あと5日だぜ?」

 

「そういう手に出るのは卑怯です!

ならば、私は1人だけ制服で歌います!!」

 

海未はそう言って部屋から出ていこうとする。

てか、そっちの方が余計恥ずかしいだろ…

 

「そもそも3人が悪いんですよ!私に黙って結託するなんて!」

 

俺は結託した覚えはないぞ。

 

 

「だって…絶対成功させたいんだもん…」

 

「穂乃果…?」

 

「歌を作ってステップを覚えて、衣装も揃えて、ここまでずっと頑張ってきたんだもん。

みんなで頑張ってよかったって、やって来てよかったって、そう思いたいもん‼︎」

 

お前そんなことを…って、おい何やってんだ?こんな夜中に窓開けて…

 

 

「思いたいのーーー!!!」

 

 

叫んだ!?

 

「何をしているのですか!?」

 

「それは、私も同じかな。私も、4人でライブを成功させたい!ね、アラシ君♪」

 

「ああ…乗り掛かった舟だからな。俺も付き合うぜ、最後までな」

 

あの時の借りもあるしな……

 

 

「3人共…いつもいつもずるいです……」

 

その気持ちは海未も同じだったみたいだ。

まあ、そうだよな。なんだかんだ言って、一番頑張ってたのはコイツかもしれない。

 

 

「海未ちゃん…だーいすき!!」

「ちょ…穂乃果!?」

 

突然、穂乃果は跳びあがり海未に抱き着いた。

 

 

「あの~百合百合な雰囲気の中悪いんですけど…」

 

扉の方から声がして振り向くと、そこにはいつの間にか永斗がいた。

 

「永斗、お前飽きて帰ったんじゃなかったのか?」

 

「僕がそんなことする人に見える?」

「大いに見える」

 

「ひどい誤解だな…僕は、ほのちゃん達に頼まれてたものを仕上げてたの」

 

そういうと永斗は、カバンから紙の束を取り出した。

 

「ライブの演出、振り付けの調整、その他諸々。全国のスクールアイドルについて検索、分析した上で3人の現時点での実力を最大限見せられるように作ってあるよ」

 

「すごーい!さすが永斗君♪」

 

「い…いえ、とんでもないです、ことり先輩…」

 

「お前ら…いつの間に」

 

「ごめん…やっぱり私たちだけじゃ限界があって、永斗君に頼んでたの。

別にアラシ君に秘密にしてたわけじゃないよ!なんか忙しそうだったし、仲間外れとかそういうのじゃ…」

 

やめろ穂乃果。余計悲しくなってくる…

 

「アラシ、ほとんど何もしてないからねwww」

 

「お前はもうちょっと気を遣え!!つーか、その”w”やめろ!すっげぇムカつくんだよ!!」

 

「凹むことないですよ、アラシ」

 

「そうだよ、アラシ君ちゃんと応援とかしてくれてるよ♪」

 

「やめろぉぉぉぉ!!」

 

 

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ライブの練習、準備も順調に進み、本番2日前にまで迫ったある日。

俺は希を事務所まで呼び出した。

 

 

「で、どうしたん?いきなり呼び出して」

 

「実は、俺たちにこんなもんが届いた」

 

俺は手紙のようなものを広げ、希に見せる。

 

 

 

未来予知

 

5月2日午後3時30分、東條希は死ぬ。これは絶対に変えられない運命である。

 

 

 

「どう見たって殺害予告だ。つーわけで、この日は俺たちがお前を保護…」

「その心配はいらんよ」

「はあ!?」

 

思いがけない答えに驚く俺。

横で麦茶を飲んでいた永斗は、それを勢いよく吹き出した。

 

「何考えてんだ!殺すって予告されてるんだぞ!?」

 

「その紙ならウチのところにも届いたよ」

 

「だったらなんで…」

 

 

「その日、ファーストライブの日やん。アラシ君達も見に行きたいんとちゃうん?」

 

「それは…」

 

希の言う通り、5月2日は新入生歓迎会。それと同時にμ’sのファーストライブの日だ。

俺だって、できるならあいつらのステージを見たい。

でも、命がかかってるのなら、そんなことを言ってはいられない…

 

「何も問題ないやん。アラシ君達が、学校でウチを守ってくれればいいだけやろ?」

 

「危険すぎる!学校にだって行かせるわけには…」

「ウチは信じてる。アラシ君達が…仮面ライダーが必ず守ってくれるって…」

 

希は、そうはっきりと言い切った。

コイツ…なんで…

 

 

「…お前、変わってるな。普通はもっと慌てたり、怖がったりすんのに…」

 

「そんなことないよ。ウチはただ、仮面ライダーの頼もしさを知ってるだけや…」

 

 

「とは言っても、放っておくわけにはいかないよね~」

 

吹き出した麦茶を拭き終えた永斗が口を開いた。

 

「そうだよな…」

 

希を危険な目に合わせるわけにもいかないし…何か手は…

ん?この2人、よく見たら…それに…

 

よし、これなら…!

 

「いい考えがある。希、ちょっと頼みがあるんだが…」

 

「ん?」

 

 

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そして迎えた、ファーストライブ当日!

 

 

「お願いしま~す!この後、午後4時からファーストライブやリま~す!」

 

「ぜひ、来てください!」

 

「よろしくお願いします!」

 

 

3人は人を呼び込むべく、チラシ配りを続けている。

海未も人前に慣れたのか、笑顔を振りまきながらチラシを配っている。

その姿は数日前とは別人のようだ。成長したな…

 

しかし、他の部活の勧誘もあり、なかなかチラシを手に取ってくれない。

 

「ほかの部活に負けてらんないね!

あれ?永斗君は?」

 

「アイツは別用があるって。ライブには来るから心配すんな」

 

予告通りなら今日プリディクションの襲撃が来るはずだ。

だが、弱ったことに人手が足りない。穂乃果たちに事件のことを言うわけにはいかないし…

ライブの音響とかしてくれる奴がいれば助かるんだが…

 

 

「穂乃果~!」

 

その時、女子生徒3人組がこっちへと駆け寄ってきた。

 

「手伝いに来たよ!リハーサルとかしたいでしょ?」

 

「穂乃果、コイツらは?」

 

「同じクラスのヒデコちゃんと、フミコちゃんと、ミカちゃんだよ。

3人にも紹介するね、この人は私たちのマネージャーのアラシ君!」

 

「あ~、スパイダーマンの!」

 

「やめろ。ってそんなことより、手伝ってくれるって本当か?」

 

「え…えぇ、私たちも学校なくなってほしくないし…」

 

「そうか…助かる!」

 

俺は持っていたチラシをミカに渡した。

 

「アラシ君、どこ行くの!?」

 

「ライブまでには戻る!」

 

 

襲撃まであと10分。ライブまでに片を付ける!

 

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間も無く3時30分。予告の時間。

 

命を狙われているにもかかわらず、人目につきやすい場所に佇む、東條希。

そして、そんな彼女を見つめる一つの影…

 

周りに護衛が居ないのを不審に思いつつも、影___プリディクションは鎌を手に取る。

 

殺意が彼女へ向けられ、憎しみの刃が希を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念、永斗くんでした」

 

 

「なっ…!」

 

そこにいたのは希ではなく、女子の制服に身を包んだ永斗だった。

 

襲撃に動じることなく、永斗はスパイダーショックの狙いを定める。

そして、発射された網がプリディクションを見事捕らえた。

 

 

 

「バカな!私がこんな事で…」

 

プリディクションは悔しがり、鎌で網を切ろうとする。

だが、この網は永斗特製の超強固版。そう簡単に切れる代物ではない。

 

「どうやら、うまくいったみたいだな」

 

そこに得意げな表情のアラシが現れる。

 

「切風アラシ…あなたの仕業ね…!」

 

「その通り。お前はきっと、当日に希のいる場所を予知してくると、俺たちは予想していた。

だが、予知されたらどうしようもないからな」

 

「だから、こっちから先手を打たせてもらったってわけ。

君はどうやって希ちゃん…じゃなかった。希ちゃんに化けた僕をみつけたの?」

 

「どうやってって…中庭で見つけて、後を……まさか……!」

 

「そう、午前中に希には人目につきやすい場所にいてもらった。そんで、放課後のタイミングで永斗と入れ替わった。

こうする事で、予知されない状況を作り出したって事だ。見えてるやつの場所を、わざわざ予知したりはしないからな!」

 

「本当にビックリしたよ〜。アラシが希ちゃんに"お前の服を貸せ"なんて言うもんだから」

 

「変装術で体型はごまかせても、身長はどうしようもないからな。希と永斗の身長が、ほとんど同じなのを見て思いついたんだ。

 

さて…後は身動き取れないコイツをボコるだけだが……」

 

不敵な笑みを浮かべ、プリディクションに近づくアラシ。その形相はもはやヒーローではない。

歩み寄って来るアラシに、プリディクションが軽く恐怖を覚えたその時!

 

 

 

 

パァン!!

 

 

 

銃声音と共に、プリディクションを捕らえていた網が切れる。

 

アラシと永斗は咄嗟に音の方向へ向く。だが、そこには誰もいない。

永斗は何も見えなかったようだが、アラシは確かに見た。遥か遠く、こちらに背を向ける黒いドーパントの姿を…

 

「あいつは…」

 

「それより…ちょっとヤバいんじゃない…?」

 

 

網が切れた。つまり……

 

 

「どうやら運命は私に味方したようね!

今まで散々コケにしたこと、後悔するといいわ!」

 

 

「だよね〜…どうする?アラシ」

 

「速攻で潰す!行くぞ、永斗!!」

 

 

 

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「いよいよだね…」

 

「うん…」

 

 

リハーサル等の準備を終え、幕に覆われたステージに立つ3人。

3人とも緊張しているが、中でも海未は体をガクガクと震わせている。

 

さっきも鏡に映る自分を見て、急に恥ずかしくなったりと、極端に本番の緊張に弱いのだろう。

いくら練習を積んだとしても、幕の外に観客がいると思うと足がすくみ、手が震える。

 

そんな海未の手を、穂乃果はそっと握った。

ことりも同じように穂乃果の手を握る。

 

「大丈夫だよ。私たちがついてるから!」

 

「穂乃果…」

 

「でも、こういう時なんていえばいいのかな?」

 

「うーん…μ’sファイトオー!!」

「それでは運動部みたいですよ」

 

穂乃果の言葉で緊張がほぐれたのか、海未はいつも通り冷静にツッコむ。

 

「あ、思い出した!番号いうんだよ、みんなで!」

 

「面白そう!」

 

「よーし、じゃあいくよ~」

 

 

「1!」

 

「2!」

 

「3!」

 

 

穂乃果、ことり、海未がそれぞれ自分の番号を言う。

 

 

「最高のライブにしよう!」

 

「うん!」

 

「もちろんです!」

 

 

会場にブザーが鳴り響き、ゆっくりと幕が上がる。

そして、彼女たちのステージが始まる…

 

 

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「ぐあぁ!」

 

一方、ダブルに変身したアラシと永斗は、プリディクションと激闘を繰り広げる。

今回は時間に追われているため、前回の方法は使えない。

つまり、力業で倒すしかないのだが…

 

 

「クッソ!なんで当たんねぇんだよ!!」

『アラシ落ち着いて~』

 

ルナトリガーによる不規則な銃撃ですら、プリディクションには通用しない。

それに加え、斬撃と雷撃がダブルを追い詰めていく。

 

雷撃がダブルの足元を直撃し、体制が崩れる。

それを予知できていたプリディクションは、素早く足をかけ、ダブルを倒れさせた。

プリディクションは倒れたダブルに足を乗せ、勝ち誇ったように笑う。

 

 

「アハハハ!!やっぱり運命は変えられないみたいね!

そういえば…あなたはスクールアイドルとかいう連中とつるんでたわね。

だったら教えてあげるわ。あの子たちのライブには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も来ない」

 

 

 

「んだと……!」

 

『……』

 

 

「予知で見えたの。あの子たちには誰一人として観客はいない。

そして、そのまま絶望し活動は終了。あの子たちは心に影を落としたまま、残りの人生を歩んでいくのよ!

本当にバカね!廃校という運命に従っておけば、そんなことにならずに済んだのに…アハハハハハハハ!!!」

 

笑い声とともに、衝撃の未来が宣告される。

それは約束された運命。どうあがいても変えられないもの…

 

 

 

そんな中、アラシは思い出す。

 

運命に見放された幼き日々…

 

それでも、もがき、あがいて生き抜いたあの頃を……

 

そして……

 

 

 

 

 

 

「それだけか?」

 

「え?」

 

 

「言いたいことはそれだけかって聞いてんだよ!!」

 

 

 

ダブルはプリディクションの足を払いのけ、銃弾を発射する。

だが当然、その攻撃は防がれてしまう。

 

それでも攻撃を与え続けることで、相手に攻撃の隙を与えず、距離をとることに成功した。

 

 

「いくぞ永斗…アイツを一回ぶん殴る!!」

 

『アラシプッツンモード入りま~す……』

 

 

銃を向けながら、ダブルはプリディクションへと突っ込んでいく。

 

その時、プリディクションの頭にビジョンが映る。それは、突っ込んできたダブルが至近距離から銃弾を放つというものだった。

 

その攻撃を防ぐべく、杖を構えるプリディクション。

そしてダブルは銃を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空へとブン投げた。

 

 

「はあぁぁぁ!?」

 

 

想定外の行動でプリディクションに隙が生まれる。

 

 

その一瞬をダブルは見逃さない。

 

 

 

 

「おらあぁぁぁぁあ!!!」

 

 

 

 

 

 

突き出されたダブルの渾身の拳が、プリディクションへ叩きつけられた!

 

 

 

 

「そん…な…」

 

 

プリディクションは攻撃を食らったまま、立ち上がることができない。

ダブルの一撃が重かったのもあるが、何より自分の予知が外れたことにショックを受けていた。

 

 

「私の…予知が……」

 

 

 

 

______________________________

 

 

 

 

 

「そんな……」

 

 

 

幕が上がり、3人は観客席を見る。

 

プリディクションの予知通り、そこには誰1人としていなかった。

 

 

今までの練習は何だったんだろう…みんなで懸けた思いは何だったんだろう…

 

そんな思いが3人を襲う。

 

 

 

「…そりゃそうだ!人生、そんなに甘くないっ!」

 

顔を上げ、そう言う穂乃果。

 

 

その目からは、今にも涙があふれそうになる…

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

「はぁっ…はぁっ…あれ…ライブは?」

 

 

あの時見に来てくれると言ったメガネの少女、花陽が息を切らし、講堂へと駆け込んできた。

 

 

その姿を見た穂乃果は、涙をこらえ、決意する。

 

 

「やろう、全力で!そのために今日まで頑張ってきたんだから!!」

 

 

「穂乃果ちゃん…海未ちゃん…!」

 

「えぇ…!」

 

 

海未、ことりの胸にも強い思いが生まれていた

 

 

 

歌いたい…たとえ一人でも、自分たちを応援してくれる人たちのために!!

 

 

 

 

 

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「お前のこと調べさせてもらった。占いをやってたお前は、転校してきた希のタロットに人気を奪われたみたいだな」

 

「ッ…そうよ!だからあの女を…」

「お前は希に勝つために、何か努力をしたのか?」

「それは…」

 

 

「運命は決まってるもんじゃない。自らの手でつかみ取るもんだ!!

穂乃果たちは、降りかかる運命に抗おうと必死に努力し、決して諦めなかった。

力に頼り、何の努力もしないテメェに…μ’s(あいつら)を笑う資格は無ぇ!!」

 

 

「『さあ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

 

BGM~START:DASH‼︎~

 

 

 

《ヒートトリガー!!》

 

 

ダブルは全フォーム中最高の攻撃力を誇る、ヒートトリガーにチェンジ。

プリディクションに炎の銃弾を放った。

 

 

「こんなもの…」

 

 

プリディクションは予知した方向に身を傾ける。しかし、銃弾はプリディクションへ直撃した。

 

 

「な…バカな…!」

 

 

ダブルはさらに銃弾を放つ。だが、プリディクションはそれらを避けることができない。

 

 

『どうしたの?予知の調子が悪いんじゃない?』

 

ダブルの攻撃が次々と当たり、プリディクションは急激に消耗していく。

 

 

「なんで…なんで…!」

 

予知ができないことを察したダブルは、銃を構えて突進していく。

さっきなら、あるいは避けられたかもしれない攻撃も、今のプリディクションには回避するすべがない。

 

そのままダブルとプリディクションは校舎の壁に激突。

ダブルはプリディクションの腹部へ銃口を密着させ、壁と銃口でサンドイッチ状態にする。

例え予知ができるようになったとしても、この状況からは逃げられない。

 

 

《トリガー!マキシマムドライブ!!》

 

 

ダブルはマグナムにメモリを装填。炎のエネルギーが銃へと蓄積されていく。

 

 

その時、プリディクションの頭に嫌に鮮明に映るのは、己の敗北の未来……

 

 

 

「『トリガーエクスプロージョン!!』」

 

 

「いやぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ!!」

 

 

 

至近距離からの最大火力を食らい、プリディクションは断末魔を上げ、爆散した。

 

 

 

 

 

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曲が終わり、彼女たちのステージも幕を閉じた。

 

 

決して多いとは言えないが、見に来た観客は惜しみない拍手を3人に送った。

 

 

その中には、作曲を引き受けてくれた真姫や、花陽の側にいた短髪の少女。

海未のチラシを受け取らなかった、あのツインテールの少女もいた。

 

 

「あ!アラシ君に永斗君!」

 

観客の中に戦いを終えた2人を見つけ、穂乃果が声をかける。

 

 

「ひどいよー!ライブまでには戻るって言ったじゃん!」

 

 

アラシたちは結局ライブに間に合わず、最後の数分しか見ることができなかった。

 

それでも、いいライブと言うには十分すぎるステージだった。

永斗が途中でバテなければ、もう少し見れていたかもしれないが…

 

 

「話は後だ。今は……」

 

 

アラシの後ろから1人の金髪の少女、生徒会長の絢瀬絵里が姿を現した。

絵里は穂乃果たちに向かって、ゆっくりと階段を下りていく。

 

 

「どうするつもり?」

 

 

絵里の問いが3人の心に突き刺さる。

 

ライブをやり切ったとはいえど、観客は両手で数えられるほどしかいない。

 

お世辞にも成功とはいえないライブだった。学校を救うつもりならなおさらだ。

 

 

「続けます」

 

 

その質問に穂乃果が即答する。

 

 

「やりたいからです。今、私もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。

きっと…海未ちゃんもことりちゃんも…

こんな気持ち初めてなんです!やってよかったって本気で思えたんです!」

 

穂乃果の言葉に、アラシはフッとほほ笑む。

 

「今はこの気持ちを信じたい‥

このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない…応援なんて全然もらえないかもしれない…

でも、一生懸命頑張って、私達がとにかく頑張ってこの想いを届けたい!今、私達がここにいる…この想いを!」

 

 

そう、この3人は勝ち取ったのだ。

 

 

努力と、絆と、彼女たち自身の強さで……

 

 

”諦めない”という未来を……

 

 

 

「いつか…いつか私たち必ず……

 

 

 

 

 

ここを満員にしてみせます!!」

 

 

 

穂乃果は、はっきりとそう宣言した。

 

 

その言葉に、アラシが再び拍手を送ろうとした、その時。

 

 

 

 

「大変です!生徒会長!!」

 

 

1人の、生徒会と思しき女子生徒が、講堂へと駆け込んできた。

 

 

「何があったの?」

 

 

「それが…校舎の壁が……!」

 

「壁?」

 

 

 

「壁」というワードを聞いたアラシと永斗の頭に、とてつもなく嫌な予感がよぎった。

 

焦っててよく見てなかったけど、確かドーパントを逃がさないために、壁と銃口で挟み込んで…

そのドーパントは爆発したから……

 

 

 

 

 

「「あ……」」

 

 

 

 

 

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ーアラシsideー

 

 

 

俺と永斗は、ただいま理事長室。

つまり、目の前にいるのは音ノ木坂の理事長。ことりの母親だ。

 

親子っていうだけあって似てんな…って、そんなこと言ってる場合じゃない。

 

問題は、何の用件で呼ばれたかだ。

特に心当たりは……あるが、それが用件ではないと信じたい。

 

 

「単刀直入に聞きます。あなた達が仮面ライダーね?」

 

終わったーーーーー……

 

 

いや、まだだ!まだ証拠をつかまれては…

 

 

「何言ってるんですか?俺たちは、ただのバイトとニートの探偵ですよ。な!永斗」

 

「ちょっと、僕に振らないでよ。面倒くさい…」

 

お前はもうちょっとフォローとかしろや!!

 

 

「監視カメラに、あなた達の変身の様子が映ってました」

 

 

そういって、理事長はパソコン画面を俺たちに見せる。

 

そこには、俺たちがポーズをとって変身する様子がバッチリ映っていた。

 

 

「壁を壊したのも、あなた達ですか?」

 

 

マズいぞ…ここで認めたらバイトなんか続けられない…

切羽詰まった俺は、アイコンタクトで永斗に意見を求める。

 

(どーすんだよ!このままじゃ生活できなくなるぞ!?)

 

(知らないよ…アラシがカッコつけるから、こんなことになるんでしょ?

自分で何とかしてよ…)

 

(お前もなんとか言えよ!何1人だけ安全圏にいるんだよ!!)

 

(え~…僕無理…この一族なんか苦手……)

 

(何をわけのわかんねぇことを…)

 

 

「壁を壊したのも、あなた達ですね……?」

「「はい…」」

 

 

理事長の声のトーンが急に変わり、思わず自白してしまった…

つーか怖ぇぇ!!

 

「やっぱ親子……」

 

 

 

「いつも怪物と戦ってくれているのは感謝します。

しかし、それとこれとは話が別。修理代は、給料から差し引かせてもらいます」

 

 

え…てことは、今までの借金に修理代が追加されて……

 

 

「そん…な……」

 

 

 

突然めまいが襲い、俺の視界がゆがむ。

 

 

 

そして、俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

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倒れたアラシを引きずって、永斗が部屋から出ていくのを見ると、

理事長は机から一枚の古い写真を取り出した。

 

 

理事長はその写真を見て、懐かしそうに微笑む。

 

 

その写真に写っていたのは、高校生の頃の理事長と、赤味がかった茶髪の少女。

 

 

そして、泥だらけで満面の笑みを浮かべ、ピースをしている少年と、

照れくさそうにそっぽを向いている、目つきの悪い少年だった……

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

「プリディクションはやられちゃったか…」

 

 

真っ暗な研究室でひとり呟くのは、組織の科学者である天金。

 

 

「まぁ、いいや。彼女はよく働いてくれた…

仮面ライダー君にも礼を言わないとね。おかげで”選別”が成功した…」

 

 

雷が落ち、まばゆい光が研究室を照らす。

 

研究室の中心には、複雑な機材に囲まれた…

 

 

 

何色にも色が分かれた1本のガイアメモリがあった。

 

 

 

 

このプリディクションが引き起こした事件が、文字通り彼らの運命を大きく変えたことを…

 

 

アラシたちは、まだ知らない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後に書いたように、この事件は今後の展開に大きな影響を与えていきます。

次回はまきりんぱな回…もしくはオリエピソードを挟みたいと思ってます。

ですが、テストが始まるため、次回の更新は大幅に遅くなることが予想されます。
テストが終わるまで待っていただけると嬉しいです…読んでくださっている方々、本当にスイマセン!

感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパントのアイデア等ありましたらよろしくお願いします!!

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