ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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士門永斗(しもんえいと)
もう一人の主人公で、こっちはソウルメモリを担当する。
アニメ、ゲームが大好きで基本的に部屋でゴロゴロしていて働かない、いわゆるオタク系引きニートで、依頼が来た時も外に出ようとはせず、部屋の中で漫画などを読んでいることが多い。
それでもやるときはやる奴で、アラシが集めてきた手がかりをもとに検索し、事件の全容を解明する役割を担っている。また、指示も的確で、戦闘においては司令塔の役割を果たす。
また、ゲームの腕は超一流。
名前の由来はディケイドに変身する「門」矢「士」から「士門」、平成2期「8作目」のエグゼイドと、変身する「宝生永夢」をかけて「永斗(eight)」

特技:ゲーム、勉強全般(ただし好きではない)
好きなもの:アニメ、漫画、ゲーム、昼寝、スナック菓子
嫌いなもの:運動、外に出ること


どうも146です!ちょっと遅くなりました、スンマセン!
ウルスさん アーセルさん かっこう02さん むっつりさん 鳴神@堕天さん √Mr.Nさん おかぴーですねさん SHIELD9さん 龍蛇の水銀さん アスティオンさん 天津風/小倉病患者さん 更級牙依さん しょーくんだよ!さん x1さん MasterTreeさん ナツ・ドラグニルさん 真姫リコットさん ヘタレ犬さん 寝起きイグアナさん 流星のインプレッサさん にわかラブライバーさん 影我龍王さん 新生仮面ライダーさん

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今回はダークネスの正体、事件の真相へ迫ります!


第7話 闇潜むJ/届かなかった思いについて

「どうすれば…」

 

闇の中、アラシたちの前に現れたダークネス・ドーパント。

 

最初は優勢だったが、辺りが闇に包まれた瞬間、攻撃が当たらなくなってしまった。

 

なすすべもなく、アラシ達ダブルは動くこともできない。

そんな中でもダークネスの攻撃は、容赦なくダブルを襲う。

 

「ぐあぁ!!」

 

ダークネスの斬撃がダブルの背中を切り裂く。

いくら防御力が高いサイクロンメタルといえど、何度も攻撃を食らって耐えられるはずがない。

ダブルは既に数十発の斬撃を受けている。アラシの体は限界に近づいていた。

 

『ここはいったん退こう、アラシ』

「それにしたって、隙が生まれない限りはどうしようも…」

 

相手は完全に攻撃態勢、そうやすやすと逃がしてはくれない。

 

八方ふさがりなその時、突然ダークネスが姿を現した。

 

「な……」

 

それはダークネスも予想外だったようで、ダークネスから驚きの声が漏れる。

 

空を見上げると、空を覆っていた雲に亀裂が入り、わずかだが月の光がダブルとダークネスを照らしていた。

 

「ここまでか…」

 

ダークネスはマントに身を包み、姿を消した。

今度は撤退したようだ。

 

 

「逃げた…か……」

 

 

 

 

ここでアラシの意識は途切れた…

 

 

 

 

________________________________

 

 

 

ーアラシsideー

 

 

 

俺が目を開けると同時に、光と見慣れた天井が入ってくる。

ここは…事務所か……

 

体を動かそうとすると、体中の傷が痛む。

そうか、俺はアイツにやられて…

 

 

「目を覚ましたみたいだね」

 

 

俺の目の前に永斗がプリンを持って現れる。

なぜか、永斗はひらひらしたエプロン姿だ。

 

「なんだその恰好…?」

 

「エプロンだよ」

 

「いや、見たらわかるわ。なんでひらひらなのかって聞いてんだよ」

 

「コスプレだよ~。魔法少女ピカピカガールの」

 

「相変わらずタイトルダッセぇな!?ていうか、いくらなんでも女装はキm」

「プリンあげないよ」

「スイマセンでした」

 

 

プリンを口に運びながら、俺は永斗に問いかける。

 

「アイツの検索はどうなった?」

 

「それなら、アラシが寝てる間にやっといたよ。

全部説明するのがめんどいからアラシが質問して」

 

「お前な…まぁいい、まず知りたいのはアイツの姿を消す能力だ」

 

俺たちはアイツの攻撃の間、やみくもにシャフトを振り回してみたが、まったく当たらなかった。

 

仮に透明化の能力だとしても、攻撃は当たるはずだし気配も感じるはずだ。

 

「あのドーパント、ダークネスは暗闇の中なら”自分の存在自体”を消すことができる。

つまり、あの時あそこには本当に誰もいなかったってことだね」

 

「そうか、だから気配を感じなかったのか…

それじゃあなんで攻撃ができたんだ?存在が消えていたら攻撃もできないはずだろ?」

 

「ダークネスの能力は任意でオンオフが可能なんだ。

要は、チートクラスのぶっ壊れメモリだね。ダブルとの相性も最悪だ」

 

「確かに…あそこまで一方的にやられたのは”あの時”以来だな。

でも”あの時”と違って、暗闇さえなんとかできれば…」

 

俺は傷を抑えながらルナメモリを手に取る。

 

そういえば海未のやつ、明日から練習だって言ってたけど…

この傷じゃしばらく安静か……謝っておかないとな。

 

 

__________________________________

 

 

 

1週間後 4/12 早朝

 

 

「やだ~外出たくない~寒い~帰りたい~寝たい~」

 

「うるせぇ!!あいつらに会いたいって言ったのはお前だろ!!」

 

俺たちは3人が練習しているっていう、神田明神に朝早くから向かっている。

どうしてもっていうから連れてきてやったのに、この有様である。

 

ちなみに、1週間前の傷はほぼ完治。その間ドーパントが出なかったのは奇跡だな…

 

ついでにいっとくが、この1週間俺は寝て過ごしたわけではない。

1週間も休んだおかげで、対抗策も大体まとまった。

次戦うときは絶対負けねぇ…!

 

そんな時、俺たちが見たのは階段をダッシュで上る穂乃果とことりの姿だった。

 

「穂乃果、タイム落ちてますよ!最近食べすぎなんじゃないですか?」

 

「ほら、お父さんが桜餅作ったっていうから…ことりちゃんも食べたよね!?」

 

「え?わたし!?」

 

「2人とも…あれほど甘いものは減らすよう言ったでしょう!」

 

相変わらずだなあの3人。なんか安心する。

 

「まぁそういうなよ、糖分こそ究極の栄養素だろ?」

「純粋な女の子たちに、狂った感覚を押し付けないでよ」

「お前だけには言われたくない」

 

「アラシ君!?」

 

「ケガはもう大丈夫?」

 

「あまり無理をしないほうが…」

 

3人が俺を心配しているのを見て、永斗がめっちゃにらみつけてくるが…まぁ気にしない。

 

「あぁ、1週間も休んだからな」

 

「ところで、そちらの方は…?」

 

海未は永斗を指さす。そっか、あの時会った海未はダミー・ドーパントだったもんな…

 

「コイツは士門永斗。穂乃果は知ってるよな?

俺の相棒で、オタク系引きニートのダメ人間かつゲーム廃人で俺にばかり働かせる寄生虫のごとき社会のゴミだ」

 

「どーも、アラシの相棒でオタク系引きニートのダメ人間(以下省略)の士門永斗で~す。

年は15だから呼び捨てでいいよ。よろしく、ほのちゃんに海未ちゃんにことりちゃ…」

 

永斗はことりの顔を見て、何かに気づく。それと同時にことりの顔は、どんどん青ざめていく。

 

 

「なんだ、だれかと思えばミナr…」

 

その瞬間、ことりは永斗の口を押さえながら、ものすごい速さで神社の裏まで走り去っていった。

 

と、思ったら1分後ぐらいに帰ってきた。

なんか永斗グッタリしてるな。どうしたんだ?

 

「おい、永斗。なにが…」

「ナンデモナイヨ」

「いやでも…」

「ナンデモナインダヨ、ナンデモ」

 

いきなりカタコトでしゃべりだす永斗。普通に怖い。

 

「なんでもないよね、永斗君♪」

 

「は、はい!なんでもないです、ことり先輩!!」

 

「先輩!?」

 

永斗が他人に敬語だなんて珍しいな…

これ以上詮索するのはやめとこう。踏み込んじゃダメな気がする…

 

 

「君たち」

 

その時、俺たちの前に現れたのは…

 

「副会長さん!?」

 

こないだの生徒副会長。名前は…知らねぇな。

あとなぜか巫女の恰好をしてる。

 

「で、副会長さんがこんなところで何してんだ?」

 

「ここでお手伝いしてるんや。神社はいろんな気が集まるスピリチュアルな場所やからね。あなたたちも、階段使わせてもらってるんやから、お参りくらいしてき」

 

確かにそうだな。俺たちは言われたように賽銭箱の前に並ぶ。

 

 

「初ライブがうまくいきますように」

 

「「うまくいきますように」」

 

 

「新しいゲーム買ってくれますように!」

「空気読め、アホ」

 

 

_______________________________

 

 

 

同日、昼休憩。

 

 

「お断りします!」

 

俺と3人は今、屋上にいる。

 

そんで、たったいまきっぱりと何かを断ったのは、俺が会ったあの赤髪の少女だ。

穂乃果が1年生の教室から無理やり連れてきて、作曲を頼んでるわけだが…

 

「お願い!あなたに作曲してもらいたいの!」

「お断りします!」

 

結果はすがすがしい程のNO!

 

「もしかして作曲はできないのか?」

 

「できないわけないでしょ!!ただ…やりたくないだけです」

 

俺の言葉に激しく反論する。割とプライド高い系みたいだな。

 

「学校に生徒を集めるためだよ!?その曲で生徒が集まれば…」

「興味ないです!」

 

結局赤髪の少女はそのまま立ち去ってしまった。

 

「お断りしますって…海未ちゃんみたい…」

 

「あれが普通の反応です」

 

「はぁ…せっかく海未ちゃんがいい歌詞作ってくれたのに…」

 

「もうできたのか!?なになに…?産毛の小鳥たちが…」

「っ…!やめてください!!」

 

「なんでだ?どうせ歌うんだし、別に…」

「それはそうですが!」

 

そんなことをやってると、俺は背後の生徒会長に気づいた。

 

「生徒会長…?」

 

「ちょっと、いいかしら?」

 

 

 

_______________________________

 

 

 

 

「あー腹立つ!!」

 

俺はホウキで地面を思いっきり叩……いたりしないぞ。一応バイトだからな。

ただ延々と地面を蹴ってるだけだ。

 

 

「なにか悩み事かい?」

 

その時、誰かが俺の背中を叩いた。

 

「あ、ゴメン。ケガしてたね…」

 

「小森さん…大丈夫ですよ、もう治りました」

 

この人は、ご存じ理想的上司の小森さんだ。

 

「イライラは口に出すといいって言うし、私でよければ聞くよ?」

 

「それじゃあ…」

 

俺は小森さんに生徒会長の言葉を話した。

 

 

『スクールアイドルが今までなかったこの学校で、やってみたけどやっぱり駄目でしたってなったらどう思われるかしら?

私もこの学校が無くなってほしくない。本当にそう思っているから、簡単に考えてほしくないの』

 

 

「アイツらだってふざけてやってるわけじゃない、本気で学校を救おうとしてるんです。それに…あの生徒会長、なんか無理してるように見えて…いじ張ってるというか、縛られてるというか。まるで……いや、何でもないです」

 

「なるほどね…」

 

小森さんはしばらく考えると、俺に顔を合わせ話し始めた。

 

「彼女には、彼女なりの正義があるんじゃないかな?」

 

「正義…?」

 

「そう。それが何かはわからないけど、きっと彼女はその正義のために動いてるんだと思うよ。

人の数だけ正義はある。必要なのは、それぞれの正義を一度受け止めた後、君自身の正義がどうするかだ」

 

「正義を一度受け止める……ありがとうございます。何かわかった気がします」

 

「そうか、それならよかった」

 

それだけ言うと、小森さんは去っていった。

 

正義を受け止める…か…

ドーパントにもあるんだろうか?自分なりの正義ってやつが…

 

 

なんてことを考えてたら、スタッグフォンにメール通知が入った。

 

 

from穂乃果

 

大変だよ!!至急、教室に集合!!大至急!!!

 

 

 

ここまで内容が無いメールってあるだろうか?

 

とりあえず行ってみるか…

 

 

 

__________________________________

 

 

 

 

「遅いよ!アラシ君!!」

 

教室に入ってきた俺を穂乃果が 責する。ことりと海未も一緒だ。

 

「無茶言うなよ、仕事中だぞ。それで、何が大変なんだ?」

 

「それは……」

 

穂乃果はポケットをゴソゴソと探り出し、一枚の紙を取り出す。これって…

 

「グループ名募集のやつか!?」

 

「入ってたんだ!一枚!!」

 

俺もすっかり忘れてた。そういえばやったな、募集。

 

「それで、どんな名前なのですか?」

 

「えーっとね…」

 

穂乃果が紙を開くと、そこには…

 

 

 

μ’s

 

 

 

「ユーズ……?」

 

「バカ、これは”ミューズ”って読むんだよ」

 

「あぁ、石鹸?」

「絶対違う」

 

「おそらく、神話に出てくる女神からつけたんだと思います」

 

「いいと思う、私は好きだな♪」

 

「確かに、悪くないな…」

 

俺たちはμ’sの文字を見つめる。

名前をもらっただけとはいえ、応援してくれる人がいる。それがこんなに嬉しいとはな…

 

 

「今日から私たちはμ’sだ!!」

 

 

 

 

数分後

 

 

「誰もいない…」

 

「やっぱ、帰ったんじゃねぇか?」

 

俺と穂乃果は1年生の教室に来ている。

目的はもちろん、あの赤髪の少女のスカウトだ。

 

 

「にゃ?」

 

すろと突然、近くから猫みたいな声が聞こえた。

そこにいたのは、オレンジ髪のショートカットの少女。

 

「うわっ!誰だコイツ!?」

 

「1年生の子だよ。ねぇ、あの子は?」

 

「あの子?」

 

 

「西木野さん…ですよね…?歌のうまい…」

 

今度は背後に眼鏡の少女がいた。

てか、声小さいな。一瞬何言ってるかわからなかったぞ。

 

「そうそう!西木野さんっていうんだ」

 

「は、はい…西木野真姫さん…」

 

西木野か……どっかで聞いたことあるような、無いような…

 

「で、もう帰ったのか?」

 

「音楽室じゃないですか?あの子あまりみんなと話さないんです。

休み時間はいつも図書館だし、放課後は音楽室だし…」

 

「じゃあ音楽室か。行ってみようぜ」

 

「あ、ちょっと待ってアラシ君~!」

 

 

「あ…あの!」

 

 

眼鏡の少女が俺たちを呼び止める。

 

「が…頑張ってください…アイドル…」

 

 

その言葉を聞いた穂乃果はすごい嬉しそうだ。まぁ、俺もなんだが。

 

「うん!頑張る!!」

 

 

 

「また応援されちまったな。ファンの期待に応えるのがアイドルだぞ?」

 

「わかってるよ!よーし、それじゃあまずは作曲のスカウトだ!!」

 

 

 

 

 

さらに数分後、音楽室にて。

 

 

「お断りします!」

 

 

「「ですよねー…」」

 

 

普通に断られた。予想はできたが…

 

「そこを何とか!!お願い!!」

 

「いやです!私、そういう曲聞かないし…聞くのはクラシックとかジャズとかで…」

 

「へぇ…なんでだ?」

 

「軽いからよ!なんか薄っぺらくて…」

 

「そんなんだから友達できないんだぞ?真姫」

 

「関係ないでしょう!ていうか、何いきなり名前で呼んでんのよ!」

 

あ、嫌われたかな?まぁいいや。

 

「アイドルも案外いいもんだぞ。ファンからの応援や期待をもらえるってのは中々気持ちがいい。だよな?」

 

「うん!大変だけど応援とかしてもらえると、もっと頑張ろうって気持ちになれるんだ!!」

 

それでも真姫は興味がなさそうだ。

仕方がない、海未には怒られるだろうが…

 

「ほらよ、歌詞。一回読んでみろよ」

 

俺は真姫に歌詞が書いてある紙を手渡した。

 

「…答えが変わることはないと思いますけど」

 

「それは読んでから考えてくれ。それでもダメなら諦める。

お前自身が決めたことに、俺たちが文句つけるつもりはねぇよ」

 

 

〈~♪~♪~♪~♪〉

 

突然、俺のスタッグフォンから着信メロディが流れる。それもアニソンだ。

俺は着メロを入れた覚えはないが…

 

『もしもし?』

 

受話器から聞こえたのは、永斗の声だ。

 

「おい、この着メロお前の仕業だな?勝手なことすんなって」

 

『いや、そんなことより検索まだ?ずっとスタンバってるんですけど』

 

そういえば仕事が終わったら検索を頼んでたな。すっかり忘れてた。

 

「行くぞ穂乃果。じゃあな真姫」

 

「またねー!」

 

 

俺たちは音楽室を出て、人気のない場所へと移動する。

 

「よし、もういいぞ」

 

_________________________________

 

「はいはい…」

 

永斗は分厚い本を持ち、意識を集中させる。

 

永斗の意識は上昇し、果てしなく続く空間__地球(ほし)の本棚へ辿り着いた。

 

目を開けると、地球の本棚に無数の本と本棚が現れる。

 

「よし、準備OK」

 

 

_________________________________

 

 

「了解だ」

 

俺はこれまでのダークネスの犯行が記された紙を広げる。

 

これまでに被害にあったのは、不良、若者ダンスグループ、夜に活動する野外バンドなど。

どれも殺人までには至ってないが…

 

「う~ん…」

 

犯行記録を見た穂乃果は、何かを考えているような声を漏らす。

 

「どうした?」

 

「なんかこの人、悪い人には思えなくて…」

 

「は?」

 

「いや、やってることはいけないと思うよ!!でも、本質的には悪意が感じられないっていうか…なんとなく…」

 

 

 

 

 

 

その時、俺の中ですべてが繋がった。いや________

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()……

 

 

 

 

 

 

 

「そんな…もしかして……」

 

 

そんなはずはない、そうであっていいはずがない。

 

でも、見事にすべて説明がついてしまう…

 

 

『どうしたの?なんか分かった?』

 

 

そうだ、俺たちは探偵。何があろうと真実を明らかにしなければならない…

 

 

「あぁ…キーワードは”ダークネス”」

 

 

まだ決まったわけじゃない。そう心に言い聞かせ、俺は永斗のキーワードを伝える。

 

 

「それに”夜”、”若者”…」

 

 

キーワードをひとつ言う度、胸を締め付けられるような苦しみが俺を襲う。

 

 

言いたくない、真実を知りたくない、それでも…

 

 

 

 

 

「そして…”正義”……」

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

アラシから伝えられたキーワードをすべて入力し、検索をする。

 

すると、永斗の目の前には1冊の本だけが残った。

 

 

「なるほど、犯人は________」

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

同日、夜。

 

街灯が照らす道を、1人で歩く真姫。

その手には歌詞の紙が握られている。

 

「私が決めること…」

 

真姫の頭に、あの時のアラシの言葉がよぎる。

 

 

『お前自身が決めたことに、俺たちが文句つけるつもりはねぇよ』

 

 

ため息をつく真姫の足に何かが当たった。

 

辺りからは生臭いにおい。真姫は恐る恐る足元を確認する。

 

 

そこにあったのは、血を出して気を失った若者の体。

 

驚きのあまり、声も出せない真姫。

さらにその視線の先には、黒いマントを羽織った異形の姿。

 

 

異形は真姫に気づき、爪を光らせ近づいてくる。

 

真姫は腰が抜け、動くことができない。

その爪が真姫へと届くその時……

 

 

 

何かが崩れるような轟音が鳴り響き、異形の意識がそちらへと向く。

 

「誰だ……!」

 

 

異形はそのまま音のしたほうへ飛び去って行った。

 

 

____________________________________

 

 

 

異形__ダークネス・ドーパントは音のした場所へ降り立つ。

しかし、そこには何かが壊れたような残骸は無い。

 

「来ましたね…」

 

たたずむダークネスの前に、アラシが現れる。

 

その手にはカエル型のガシェット”フロッグポッド”。

これは音を録音し、加工して再生することができる。さっきの轟音はここから流れていたのだ。

 

「すいません…こうでもしないと、あなたをおびき寄せられなかったので…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小森さん……」

 

 

 

アラシの口から真実が告げられ、辺りを沈黙が包む。

 

 

「いつ…気付いた?」

 

 

「最初に不審に思ったのは、あなたが俺の背中をたたいた時です。

あなたはケガを心配してましたが、俺と永斗以外は”背中に大きな傷がある”ということは知らないはずです。普通、ケガと言ったら足や腕を連想しがちですから…

 

そして、穂乃果の言葉ですべてが繋がりました。

今回の事件、被害者はすべて”夜に迷惑行為をする者たち”。さらにあなたは夜間の見回りや、清掃をボランティアで行っている…

あなたは迷惑行為を続ける者たちに注意をしていたが、聞いてもらえずメモリを使用した…全ては”正義”がきっかけだった…違いますか?」

 

「……」

 

アラシの言葉にダークネスは黙り込む。

 

「どうしてですか?もっと他に手段はあったはずじゃないですか!

話し合えば分かり合えたはずです!!」

 

 

 

「私もそう思っていた…でも現実は違ったんだ」

 

 

 

_______________________________

 

 

数週間前

 

 

「はぁ…」

 

大きくため息をつく小森。

ごみのポイ捨て、未成年者の喫煙、他人のことを考えない若者の行動は注意しても増え続けるばかり…

 

そんな世の中に絶望しつつあった。

 

 

「おじいさん。ちょっといい?」

 

そんな小森の前に、フードで顔を隠した人物が現れる。

声や体格からは女性のように思えるが、深い闇を感じざるを得ないような雰囲気に包まれている。

なんとも不気味な人物だ。

 

 

「悩んでるんでしょう?だったら、私が力を貸してあげる」

 

その人物は持っていたスーツケースを開けた。

その中には無数のガイアメモリがギッシリ詰まっている。

 

小森は無意識のうちに一本のメモリに引き寄せられ、「D」と刻まれたメモリを手に取った。

 

「それがあなたの運命のメモリ…さぁ、あなたの輝きを見せて…」

 

 

 

その日の夜、小森はいつものように見回りを行う。

 

そんな中、多数の不良がバイクにまたがっている姿を見つけた。

小森は勇敢にも彼らに注意をしようとする。

 

 

「君たち!」

 

「あ?なんだよテメェ」

 

「こんな時間に出歩くのはやめなさい!バイクだって他人の迷惑に…」

 

「うるせぇんだよ!死ね、ジジィ!!」

 

不良は小森を殴りつけ、小森は地面へと転がる。

 

「他人の迷惑?知らねぇよ!俺たちはただ自分の時間を好きなように使ってるだけだ。

誰にも文句言われる筋合いはねぇよ!!」

 

そんなことを言って笑いあう不良たち。

小森の怒りと絶望は限界にまで達していた。そして…

 

 

 

 

《ダークネス!》

 

 

 

 

________________________________

 

 

「結局、分かり合うことはできなかった…もう私がこの世の中を正すしかないんだ!」

 

「あなたはメモリに操られているだけだ!

まだ間に合います、メモリを捨てて罪を償ってください…!」

 

「それが君の正義か。だが、もう遅い!!」

 

容赦なくアラシに攻撃を仕掛けるダークネス。

その攻撃はアラシの頬をかすめ、向こう側の木を切り倒した。

 

「どうして…分かってくれないんだ…」

 

アラシは辛そうな表情を浮かべながらも、ダブルドライバーを装着。

 

《ジョーカー!》

 

ジョーカーメモリと転送されたサイクロンメモリを装填し、ドライバーを展開。

 

《サイクロンジョーカー!!》

 

吹き抜ける風と共に、アラシはダブルへと変身した。

 

 

『どう?決心ついた?』

 

「あぁ…覚悟を決めた。もう戦うしかねぇ!!」

 

ダブルは左手をダークネスに向け、この言葉を投げかける。

 

 

「『さぁ…お前の罪を数えろ!!』」

 

 

迫りくるダークネスをかわし、拳を叩き込む。

 

「ぐぁあ!!!」

 

さらに次々と攻撃を叩き込み、暗闇を作り出す隙も与えない。

 

《ヒート!》

 

《ヒートジョーカー!!》

 

サイクロンメモリをヒートメモリに交換し、一撃一撃の重みが増す。

 

「うらぁ!!」

 

渾身の一撃がダークネスへと直撃し、ダークネスの動きが止まる。

 

『アラシ、今のうちに』

 

「あぁ…」

 

ダブルはジョーカーメモリを抜きマキシマムスロットに装填しようとする。だが…

 

「ぐっ……」

 

その直前でダブルの手が止まる。アラシが迷っているのだ。

 

『アラシ!!』

 

その隙にダークネスは前と同じ方法で光を消し去り、暗闇の空間を作り出した。

 

「ッ…しまった!」

 

暗闇が生まれたことで、ダークネスが消える。

このままでは前回と同じだ。

 

「こうなったら…」

 

ダブルはルナメモリを取り出す。ルナメモリなら光を生み出し、ダークネスの能力を無効化できる。

 

「させん!」

 

ダークネスの攻撃がダブルの手にダメージを与え、ルナメモリを落としてしまった。

 

「なっ…そんな…」

 

『ちょ…これヤバいんじゃ…』

 

対抗策は尽きた。ダブルにはもうどうすることもできない…

 

 

 

 

 

その時、どこからか光が現れ、ダークネスの姿を照らした。

 

ダブルとダークネスは光の方向へ視線を向ける。

その先にあったのは、懐中電灯を構えた真姫の姿だった。

 

「ちょっと!早くそいつ倒しちゃいなさいよ!!」

 

「ッ…貴様ぁ!!」

 

 

ダークネスは殺意をむき出しにし、真姫へと迫っていく…!

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、アラシの心から迷いが消えた。

 

 

 

 

自分の正義だとか、相手の正義だとか、そんなものは一先ずどうでもいい________

 

 

俺はただ、目の前で消えそうな命を救いたい________

 

 

そのために…(あなた)を倒す!!

 

 

 

 

 

「真姫!!」

 

 

《ヒートメタル!!》

 

《メタル!マキシマムドライブ!!》

 

 

ダブルはヒートメタルにメモリチェンジし、メタルシャフトにメモリを装填。

 

 

「『メタルブランディング!!』」

 

シャフトの両端から炎が噴き出し、ブースターのような役割を果たす。

 

ダブルは凄まじい推進力でダークネスに突っ込んでいき、燃え盛るシャフトを叩きつけ、ダークネスは数メートル吹っ飛んだあと爆散した。

 

 

 

____________________________________

 

 

 

ーアラシsideー

 

 

4/16活動報告

 

ダークネスの一件が解決してから早数日。

あの事件は俺に大きな傷跡を残していった。

 

小森さんは殺人未遂の犯人として逮捕。

優しい人だったため、惜しむ声や驚きの声が絶えなかったらしい。

 

それは俺も同じだ。それにあの時の小森さんの言葉…

 

俺にはあれが嘘のようには聞こえなかった。

あれはきっと本当の小森さんの心の声だった…少なくとも俺は、そう信じたい。

 

 

 

「なぁ永斗、正義って何だと思う?」

 

「どしたの急に。気持ち悪いよ?」

「うるせぇ」

 

 

 

「おっじゃまっしま~す!!」

 

そんな時、穂乃果が事務所のドアを開けやかましく入ってきた。

 

「お前、何しに…」

「これ見て!アラシ君、永斗君!!」

 

穂乃果が俺たちに見せたのは、1枚のCD。

中央には「μ’s」と記されている。

 

「これって…」

 

「あの子が作ってくれたんだよ!神田明神でみんなと一緒に聞こ!」

 

 

「あいつ…」

 

 

 

正義が何かはわからない。でも相いを伝えることは、きっと無駄じゃない。

 

 

 

例え、それが届かなかったとしても…

 

 

 

そんなことを思いながら、今日も俺の日常は始まる。

 

 

 




前半後半で文字数が違いすぎ?気にするな!

次回はファーストライブ回!
そして、応募していただいたオリジナルドーパントを登場させたいと思います!
誰考案のドーパントかは、次回のお楽しみ!!

感想、評価、アドバイス等ありましたらお願いします!!

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