ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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お久しぶりですねぇ146です。
遅れた理由は…デュエマしてましたぁ(いい加減にしろ)(前科三犯)(ポケモンカフェミックスもやってた)

3か月も空いてしまいました申し訳ございません。
とりあえず言いたいことがいくつかあるので、サクッと。

①希ーさん主催のラブライダージェネレーション企画の第二話が投稿されました!前も宣伝した通り、pixivでマイピク申請したら読むことができます!今回は永斗も出てました!

②ハーメルンで「ここすき機能」が実装されました!スマホ版限定ですが、好きな文章や台詞をスライドすると、「ここすき」を投げることができます。貰うと冗談抜きで死ぬほど嬉しいので、暇な人は適当な所にここすきください(切実)。

③これまで登場したローカストメモリ、アベンジャーメモリ、リベンジャーメモリをτ素子さんがデザインしてくださりました!ありがとうございます!

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さて、今回は久しぶりかつ新展開です。瞬樹メインでどうぞ!


第55話 Hの審判/進化する竜騎士

人生とは、往々にして不平等である。

 

生まれ持った素質と生まれ落ちた場所が全てを決定し、おおよそ生命の理を外れるほどの格差と高度な知能から成る浅はかな悪意が、息が止まるまで弱者を痛めつける。

 

種が一つの生命として根を張る、楽園だった頃の地球はもう無い。

ここに在るのは、短い歴史が正当化したアイデンティティという癌を免罪符に、ヒトがヒトを虐げる「地獄」。

 

弱き人々は待っている。この不条理を理に還す「天使」を。

そして、その「天使」こそが―――

 

 

 

 

________

 

 

 

『弱き者を加害するのは、神の慈悲に反する行いだ』

 

『もうアイツに興味ないや』

 

 

何かの呪いみたいに、その言葉は彼の心の深くを蝕む。

彼は負けた。強くなれたつもりだった彼の首筋に、悪は情け容赦無く現実を突きつけた。

 

 

「違う……俺は……ッ…!」

 

 

泥沼から這いずり出るように、瞬樹は目を覚ました。

『傲慢』から受けた傷が痛む。しかし、何より瞬樹を苦しめるのは、遥か上から叩きつけられた敗北の烙印だった。

 

 

「起きましたか」

 

 

その声で、横に烈がいるのが分かった。ぼやける視界に映るデジタル時計の日付は、一日飛んでいた。どうやら丸一日眠っていたようだ。

 

 

「学校は理事長に説明して公欠にしてもらいました。サボり属性まで付与されたら、いよいよボッチ極めそうで見てられませんからね」

「烈…!俺は……っ…」

 

 

瞬樹は見たことが無いような弱々しい表情で、すがりつくように烈の袖を掴んだ。

 

 

「俺は……弱いのか……?」

 

 

息が出来ない。濁った水の中でもがく。そんな言葉だった。

烈は知っている。これが竜騎士の仮面を剥いだ、津島瞬樹の素顔だ。

 

 

「強いですよ。瞬樹は」

 

 

感情を見せない表情で、烈は呼吸と共にそう言った。

 

瞬樹を片目に捉えたまま、烈は机に向かう。

そこに置いてある「X」のマークが入った箱を開け、中で眠っていた装置に触れた。

 

七幹部と接触を果たした。瞬樹たちは組織の根幹に迫りつつある。そろそろ頃合いだ。

 

 

「竜騎士の、進化の時です」

 

 

剣を表すような意匠が施された、ベルト型のドライバー。

白銀に光るそのドライバーに与えられた名は、

 

 

『ロードドライバー』

 

 

 

________

 

 

 

「はぁ……」

 

 

編入性が増えて手狭になった一年生の教室の片隅で、永斗は息と憂いを吐き出す。永斗は眺めていたスタッグフォンの画面を閉じ、昼休憩がまだ終わらない事を確認すると、ラップにくるまれた握り飯を口に運んだ。

 

 

地下闘技場を巡った、氷餓ことプレデター・ドーパントとの戦い。

永斗達はそこで吐き気を催す悪意と、七幹部の圧倒的な力を目の当たりにした。

 

七幹部「暴食」により、依頼は失敗。七幹部「傲慢」は瞬樹を叩きのめし、瞬樹は昨日から目を覚まさないという。

 

そして、永斗は再びスタッグフォンに目をやり、先ほど浮上した新たな問題に対し頭を掻いた。

 

 

「勘弁してほしいよね…過労死するよ死なないけど」

 

 

世界はいつだって面倒で満ちている。

そこから目を背ける気は無いが、願わくば天から降りてきた神様が、不思議な力で全部解決してくれないだろうか。

 

 

「あなたは…神様を信じますか?」

 

「……ん…?……!?」

 

 

そんな事を考えていた永斗を呼んだのは神様―――ではなく凛。なぜか胸の前で手を組み、祈るように目を閉じた凛だ。

 

 

「…何、どしたの?変な宗教でも始めた?」

 

「神様は全てを救います…代わりに星空凛にラーメンを奢りなさいと、神様は言っています…」

 

「随分と欲に正直な神様だね。信者多そう」

「そんな神様いないわよ」

 

 

半分ツッコミを放棄している永斗に代わり、真姫と花陽がフォローに入ろうと合流する。

 

 

「ごめんね…近頃この辺りに宗教勧誘の人が多くて、凛ちゃんの家にもその人たちが来たみたいで…」

 

「本当に変な宗教来てたんだ。でも影響受けてやることがラーメンたかりですか…神様報われないね」

 

「ウチには来てないわよ。多分、自宅警備員(一輝)が追っ払ってるんでしょうけど」

 

「奇遇だね。ウチも番犬(アラシ)のお陰で宗教もNHK(ヤクザ)も無縁だよ」

「通信料は払わなきゃダメだよ!…ってアラシくんに言っておいて!」

「あ、凛ちゃん戻った」

 

 

ここで瞬樹がいたなら「花陽に寄る怪しい連中は俺が成敗する!」とか言いそうなものだが、眠ったままの瞬樹が学校にいるはずもない。そのせいか、朝から教室が若干静かで寂しくもある。

 

 

「瞬樹くん、大丈夫かな…」

 

「大丈夫でしょ。体は何ともなかったわけだし。

心の方がちょっと不安だけども…」

 

 

心配する花陽に永斗は軽く返しながらも、少しの憂慮を添える。

瞬樹はメンタルが強いかと言われると、実はそうでもない。凛と同じで表は強気を装っているが、素は人一倍脆い。そんな印象を受けた。

 

だが、瞬樹の傍には烈もいる。そこまでの心配はいらないだろう。

 

 

「永斗くんどこ行くの?」

 

「アラシに報告。授業遅れたら適当に言い訳しといてー」

 

 

永斗は思考に一旦終止符を打つと、いつも通り無責任な頼みを凛に託し、教室から出て行った。

 

午後の授業が始まるまでもう少し。それぞれ席に戻り、凛は少し寝ておこうと机に突っ伏す。

 

 

「ねぇ凛ちゃん」

 

 

そのタイミングを見計らったように、彼女は寝かけた凛に声を掛けた。

彼女は灰垣珊瑚。先日このクラスに編入してきた女子生徒であり、凛と花陽の小学校時代の友人。

 

余り話をする機会が無かったため、凛は表情を明るくする。

 

 

「さっちー!あ、そうだ。ごめんねこの間誘ってくれたのに…」

 

「ううん。アイドルだもんね忙しいの分かるよ」

 

「え…あ、うん!そう!アイドル!ライブ近いから忙しくて!」

 

 

珊瑚からは一昨日、遊ばないかと連絡が来ていた。

が、その日はプレデター戦でそれどころではなかった。当然「地下闘技場に潜入してたにゃ!」なんて言えないため、慌てて誤魔化した。まぁライブは近いので嘘ではない。

 

 

「じゃあ今日とかどう?練習終わるの待つから、また昔みたいに花陽ちゃんも一緒に三人で遊ぼうよ」

 

「今日…は、ごめん…μ′sの一年生で遊びに行く約束してるんだ…

そうだ!さっちーも一緒に来ればいいにゃ!真姫ちゃんや永斗くんと仲良くなるチャンスだよ!」

 

 

珊瑚とも遊びたい凛はそんな提案をする。永斗が聞いたら頭を痛めそうな提案だ。誰もが凛のように「友達の友達は友達!」思考をしているわけではない。

 

実際、珊瑚の表情も好意的ではない。

 

 

「うーん…ありがたいけど、そういうことなら遠慮しとくよ」

 

「えぇーなんで!?」

 

「西木野さんはともかくさ…ほら、私って男の子苦手だし。また今度でいいかな」

 

「そう…だっけ?」

 

 

確かに珊瑚が男子と仲がいいイメージは無いが、そんな話も初耳だった。凛は思い出そうと天井を見上げる。

 

そのまま席に戻った珊瑚を、花陽は自分の席から見ていた。

さっきのやり取りの後、背を向けた瞬間から珊瑚は笑っていなかった。凛と会話している時も、この間もそうだ。表面上は明るい彼女だが、何故か暗い何かを感じた。

 

 

花陽は他人がよく見えている。人の目線を気にする気質だからかもしれない。

だが、それにしても余りに鮮明なその違和感。

 

 

「珊瑚ちゃん…」

 

 

それが、今の珊瑚は花陽の知る彼女では無いと、克明に告げていた。

 

 

 

_______

 

 

 

永斗たちとはまた別の教室で、午前の授業が終わった。

しかし、その中でアラシだけは気が休まらない、という様子だった。

 

 

「暴食…アイツをすぐにでも…!」

 

 

暴食を逃がし、松井卓郎は眠ったまま。

それは切風探偵事務所が依頼に応えられなかったという事を意味する。

 

切風空助から預かった事務所の看板に汚点を残した。

そして、取り逃がした悪党はこの学校に潜んでいる。いつすれ違ってもおかしくはない。それなのに何一つとして手掛かりも見つからない。

 

 

同時に、七幹部の圧倒的な強さも見せつけられた。

 

永斗の記憶が戻って拡張された地球の本棚。今回判明した七幹部の情報を元に検索を行うと、いくつかの情報が浮上した。それが、「暴食と傲慢のメモリの詳細」と「七幹部の序列」だ。

 

 

『なんでか分からないけど、序列に関しては妙に正確な値が記されてた』

 

 

永斗はそう言っていた。

しかし、地球の本棚であれば信憑性は語るまでもない。

まず、メモリの詳細はこうだ。

 

暴食のメモリ、「キメラメモリ」。

「合成生物の記憶」を内包したメモリ。他のドーパントの能力を奪うことができる。同時にストックできる能力は12個、同時に発動できる能力は3個。同系統の能力は統合されて強化される。しかし、対象の肉体を摂取する必要はなく、ハイドープ能力も本来奪えないはず。

 

傲慢のメモリ、「ゲートメモリ」。

「門の記憶」を内包したメモリ。空間を切って、繋げる能力を持つ。それによって敵の攻撃を転移させることもできるし、自分も移動が可能。移動範囲は相当に広く、過度な干渉は出来ないが並行世界にも繋げられる。攻撃力も極めて高い。しかし、記録に残っていた地下闘技場の観客を操り、非接触で殺害した能力の詳細は不明。

 

 

 

七幹部の強さの序列は上から順に―――

 

 

『憤怒』『色欲』『傲慢』『嫉妬』『強欲』『暴食』『怠惰』

 

 

怠惰は永斗で非戦闘員。つまり、あの暴食ですら七幹部の中では最弱。

瞬樹を下した無敵とさえ思える傲慢ですらも、最強ではない。

 

七幹部の最弱にすらも強さで遠く及ばなかった。

 

探偵としても、仮面ライダーとしても、己の不甲斐なさに腸が煮えくり返る。

 

 

「急がねぇと…暴食を、いや組織を野放しになんて…!」

 

「もしもーし。気は確かですか人殺し顔さーん」

 

「誰の顔面が…って永斗か」

 

 

思いつめていたアラシの前に永斗が立っていた。

全く気が付かなかったと驚き、時計を見るとまた驚く。もう休憩が終わりそうだ。かなりの時間考え込んでいたらしい。

 

 

「悪い。で、何の用だ。お前がわざわざ教室まで来るなんて」

 

「大分悩んでるとこ悪いけど、その悩みの種増やしに来たよ。ちょっとこれ見て」

 

 

永斗はしゃがみ込み、スタッグフォンの画面を見せた。表示されるのは、ネット上の掲示板。

 

 

「授業サボってネットサーフィンしてたらさ」

「おいコラ」

「言うところのエゴサってやつ?μ’sで検索かけると、色々出てくるわけ。もちろん良くないのも」

 

 

表示されていたのは、所謂アンチスレ。μ’sに批判的な意見が書き込まれたチャットだ。

 

 

「技術的なことにケチ付ける人はまぁいいとして、ある事無い事言いまわってネガキャンしてる奴もいるわけよ」

 

「で、それがどうした。それが話題じゃねぇだろ?」

 

正解(エサクタ)。まぁ、彼女らは現代社会にあるまじき、叩いても埃すら出ないいい子ちゃんズだからね。強い証拠もあるわけ無いし、誰も真面目に取り合わなかったわけよ。

 

でも、つい最近。そういう書き込みがピタリと止まった」

 

 

アラシも確認するが、確かにほぼ毎日投稿されていたネガティブキャンペーンや過激な批判コメントが、ある日を境に消えている。

 

 

「暇だからちゃちゃっと投稿元特定したわけよ。そしたら出てきたのはスクールアイドル。しかも、アイドルランクはギリラブライブに出れるか出れないかくらいの、結構な有名さん」

 

「破竹の勢いで人気を伸ばすμ’sは、そりゃ邪魔だろうな。下手すりゃ自分たちが出場枠から溢れんだから」

 

「それがアンチ投稿を止めた。どういうわけだと思う?

正解は…投稿が止まった日、そいつが何者かに斬られて重体で見つかったから。しかも状況から見て多分だけど、メモリ犯罪」

 

 

アラシの表情が変わる。

言いたいことは分かった。まだ心配事の一つに過ぎないが、またメモリ事件にμ’sが巻き込まれる可能性があるということだ。

 

予鈴が鳴る。

とても穏やかに授業を受ける気持ちにならないまま、休憩時間は過ぎ去った。

 

 

 

______

 

 

時は少し過ぎて、放課後。

練習も終わり、一年生組は約束通り街に遊びに出た。屋台で買った飲み物を片手に、ベンチに腰掛けて談笑する一行だが、永斗はどうも何か考えているようだった。

 

当然、彼を悩ませるのは先ほどのアイドル傷害事件。

それをアラシに相談しに行ったが、帰ってきた返答は

 

 

『そっちはお前に任せる』

 

 

だった。いくらなんでも永斗に仕事を丸投げ、というのは彼らしくない返事だ。七幹部について、相当焦りを見せているのが分かる。

 

 

「なーんか不穏フラグ…やだやだ」

 

「なにかあったの?ていうか、永斗くんまた何か凛たちに隠してるでしょ」

 

「ん。別にー?」

 

 

凛がかなり鋭くなっていることに恐れを感じつつも、永斗は適当に受け流す。流石に今回の事件を、考え無しに彼女たちに伝えるのは危険だ。まだ黙っておくのが賢明だろう。

 

永斗がストローから口を離すと、メールが届いた。相手は警察の北嶋刑事。今回の事件について、詳しい情報をくれと頼んだところだが、意外と早い返信だ。

 

 

(あの人確実に情報漏洩の躊躇が無くなってる気がする。大いに結構だけど)

 

 

メールで送られた情報を見る限り、やはりドーパント事件で間違いない。これは早急に検索の必要がありそうだ。

 

「トイレ」と一言残して、建物の裏に隠れた永斗は、白い本を持って地球の本棚へとダイブする。

 

 

 

「さーて。検索項目は『人物』、キーワードは…」

 

 

情報を整理する。被害者は愛知にある四葉木学園のスクールアイドル「Rabbit Heart」の「林瑛子」。凶器は何かしらの刃物だが、胴体をかなり広い範囲で斬り付けられていた。ナイフでは考えにくい。

 

 

「まずは『林瑛子』、『スクールアイドル』、『刀身の長い刃物』」

 

 

本の減り具合は良くない。もっとクリティカルなキーワードが必要だ。

被害者は目を覚ましたらしいが、証言に妙な点がある。犯人が黒い怪物というのは覚えているらしいが、事件直前の記憶が無いというのだ。

 

 

「記憶を消すドーパント…いや、でも何のために?ドーパントになってたなら、素顔を見られたなんてことも無いだろうし…」

 

 

もう一つ、現場で不審な点があった。被害者が倒れていた場所には、大量の血だけでなく、被害者の「吐しゃ物」も残ってたらしい。つまり、彼女は犯人を前に「嘔吐した」ということになる。

 

刃に毒か細菌が塗られていた?いくらなんでも回りくどすぎる。有り得ない。そうなると考えられるのは…

 

 

「『黒』、そんで……『醜悪』『嫌悪感』」

 

 

嘔吐したのは恐らく事故。意図したものではない。そうさせるだけ今回のドーパントは「醜い」ということだ。

 

 

「まだ絞れない。となると次は動機…僕の見解じゃ、アンチに過度な反応をしたμ’s過激派の犯行なんだけど…」

 

 

根拠はある。というのも、彼女を検索したところ、殺人の動機になりそうな事象はそのくらいだった。三年生の彼女にとって、最初で最後のラブライブ。その焦りでこんな手段を取ってしまっただけで、特段性根が悪い子というわけでもないのだ。

 

となると、犯人も自然に絞られる。被害者の林はアイドル故か、個人情報の管理は徹底していた。永斗でも、地球の本棚の力を借りなければ特定できなかったくらいだ。ネット上の情報だけで特定するのはまず不可能。

 

うっかりバレたとするなら、彼女の身近の人間。家族は考えにくいし、スクールアイドル関係者…もしくは少し広げて学校にいる人物くらいが妥当だ。

 

そうすると疑問点が生じる。まず、そんな過激なファンはμ’sマネージャーの永斗も聞いたことが無い。そして、何故今になって彼女を襲ったのか、だ。

 

 

「書き込みに何かヒントが…えっと確か、犯行が起こった頃のアンチコメで目立ったものは…」

 

 

記憶を探る永斗の意識に、一つの書き込みが引っ掛かった。

アンチコメントによるメンバー個人への攻撃は、間をあけて書き込まれていた。だが、事件の前日、というか最後の書き込み。それは、いつもより嘘と批判が若干過激で、初めての相手に対する書き込みだった。

 

それは、凛と花陽に対する書き込み。内容としては、小学生時代の二人に対する悪質なでっち上げ。これが動機とするなら、犯人は病的な凛か花陽推し。

 

 

「キーワード追加。『四葉木学園』、『星空凛』、『小泉花陽』…」

 

 

本が減っていく。もう一押しだ。

永斗は最後に、あるキーワードを入力する。

 

 

「………見つけた」

 

 

本が一冊だけ、彼の前に残った。

 

 

________

 

 

 

「永斗くん遅いにゃ!トイレ長す…ぎ……?永斗くん…?」

 

 

帰ってきた永斗の表情が、さっきまでと明らかに違う。

永斗は凛と花陽に交互に視線を向けると、二人に向かって問いかけた。

 

最後に残った名前に、驚愕した。

花陽と凛に親しく、最近まで四葉木学園に在籍していた人物が、一人だけいた。それも、聞き覚えのある名前が。

 

危険信号はずっと出ていた。もし、その人物が永斗の想像通りの人間なら、

今こうしていること自体が、致命的になりかねない。

 

 

「かよちゃん凛ちゃん………灰垣珊瑚は今どこに―――」

 

「私が…どうかした?」

 

 

凛と花陽と、真姫がいて。その奥。

自然に控えめな笑いを見せる珊瑚が、視界の隅に。

 

 

「さっちーなら、さっき偶然会って今一緒に…」

「っ…!」

 

 

咄嗟に永斗が手を伸ばした先は、凛でも花陽でもなかった。

彼が強くつかんだのは、真姫の腕。

 

 

「えっ…どうしたのよ永斗!」

「この子に近づいちゃダメだ!凛ちゃんも、花陽ちゃんも…その子から離れて!」

 

 

永斗は見た。最後に残った本に、灰垣珊瑚の名前が記されていたのを。

 

こんな時にありがちな言い逃れなんかは、彼女は口にしなかった。

ただ瞬きと同時にその目は豹変し、この一言を吐いて

 

 

「さっすが。もうバレてんだ」

 

 

何の躊躇いもなく、ナイフを永斗の腹に突き刺した。

 

 

「……あの人に聞いてた通りだ。本当に死なないのね」

 

「痛った……街中で白昼堂々刺します?正気…ではないよねどー考えても」

 

 

永斗の傷はすぐに塞がる。

だが、女子高生の殺人未遂で、周囲は大パニック。そして、その中で最も動揺しているのは他でもない、凛と花陽だ。

 

 

「さっちー……?どういう…こと……?」

 

「危ないから下がっててね凛ちゃん。

大丈夫。すぐ、終わるから」

 

 

今度は感情のない眼差しが真姫に向けられる。

やはり躊躇いは無く、ナイフを突き出す珊瑚。しかし、永斗がそれを看過するわけがない。飛来したファングメモリがナイフを砕き、永斗は珊瑚の両腕を掴んで動きを止めさせた。

 

アラシなら制圧できるが、永斗は知っての通り貧弱。女子相手でも拘束すらできない。その上、変身するにはアラシがドライバーを装着する必要がある。今、悠長に連絡している暇はない。

 

 

「アンチどころかマネージャーとメンバー殺そうとするってどういうことよ。同じ凛ちゃん推しとして、民度低いって思われたくないんですけど……!」

 

「アンチ…あぁ、林さんのことか。あの人は私たちの思い出を汚して、私の花陽ちゃんと凛ちゃんを貶めた。でも殺さなかったよ?だって、花陽ちゃんはアイドル大好きだもんね」

 

 

寒気がする感情が、言葉から伝わってくる。

 

 

「花陽ちゃんはアイドル好きしてる時が一番かわいいんだ。凛ちゃんもすっごくかわいい。二人とも誰にでも優しくて、だからどいつもこいつも勘違いするの。笑っちゃうよね、二人の友達は……私だけなのに」

 

 

永斗が検索した、最後のキーワード。

それこそが彼女を狂わせたもの、「愛」。それも、とびっきり質が悪い「狂愛」だ。

 

 

「…あっそう。じゃあ僕らも見逃してくんない?僕は死なないけど、真姫ちゃん死んだら引くほど悲しむよ」

 

「お前らはダメ。だって汚らしく私の友達に触れて、優しさに付け込んで対等だと思い込むなんて烏滸がましいじゃん。それにさ、二人ともお前らのせいで変わっちゃったんだよ。ねぇ、凛ちゃん」

 

 

声を向けられ、思わず背中に虫が這うような怖気が走る。

 

 

「一昨日練習で忙しかったって、あれ嘘だよね?私知ってるよ。その日、みんなして危ないところ行ってたって。凛ちゃん、昔は嘘つくような子じゃなかったんだけどなぁ…危ないことして心配かけさせるような子でもなかったのに……あぁごめんね違うの。大丈夫だよ凛ちゃんも花陽ちゃんも悪くない。悪いのは全部こいつらだから」

 

 

親しい幼馴染だと思っていたのに、今はもう、彼女が怖くて仕方がない。

 

珊瑚は気味が悪いほど爽やかに笑い、左腕のアームカバーを外した。

手首の白い肌に残る、痛々しい傷痕。自傷の痕だ。

 

 

「でも一つだけ言わせて?私、音ノ木坂に転校できるって聞いて、死ぬほど嬉しかったんだ。会えなかった何年も、ずーっと辛かったんだよ?それなのに、ずっと友達って言ってくれたのに、私の知らない人たちと楽しそうにしててさ…非道いよ。だから、ちょっと辛いのも…我慢してね」

 

《ヘル!》

 

 

珊瑚はメモリを出した。小文字の「h」が入った、赤いメモリ。

堕ちる天使が焼き付いた、「地獄の記憶」。

 

メモリの起動で右腕に浮かび上がった肥大化した生体コネクタに、ヘルメモリを突き刺す。黒い霧が立ち込め、グチュグチュと肉が潰されるような音と異臭がしたと思うと、珊瑚の肉体は醜く変貌していた。

 

 

「嘘…珊瑚ちゃんが、ドーパント……!?」

「さっちーが…だって、でも…なんで…!うっ……!」

 

「気を確かにね三人とも。なるほど、こりゃ確かに吐くのも分かるわ…」

 

 

痛みと、醜さと、嫌悪感の化身。グロテスクという形容詞を、そのままかろうじて人型にしたような文字通り異形。それがヘル・ドーパントの姿。

 

 

「酷い姿だね。それで皆を殺して、それでも凛ちゃんとかよちゃんが許してくれるって、本気で思ってるわけ?」

 

「醜いよ?私も自分が汚いと思う。でもね、凛ちゃんも花陽ちゃんも優しいから。友達の私を拒絶なんてしない。どんな私でも受け入れてくれる、絶対に!」

 

 

自分勝手な理論で錆びた鎌を振るう。これは愛というより、もはや「信仰」だ。

必死に語り掛ける凛と花陽。だが、狂信者には神の言葉すらも、届きはしない。

 

 

「ほんっとにさぁ…一生仲良くなれないと思うわ、君みたいなタイプ…!」

 

 

苦し紛れか、怒りか。永斗は、ヘルにそう吐き捨てた。

 

 

______

 

 

 

『俺、強くなる。天使を守る…騎士になる!』

 

 

そう誓ったのは、いつだったか。

胸に抱えた騎士道を信じ続け、少年は地球の意思に選ばれ、力を手に入れた。

 

 

「そうだ…俺は強い…!」

 

 

目を覚ました瞬樹が真っ先に思い出したのは、花陽との約束だった。

「灰垣珊瑚を見ていてほしい」。それがどういう意図なのかは分からないが、あれは瞬樹への「依頼」だ。何があってもそれを違えることは出来ない。

 

ガジェットからの情報で、珊瑚を見つけた。はっきりしない意識のまま、瞬樹は急いで足を進める。

 

そんな彼が背中に背負うのは、彼の誇り、エデンドライバー。

そしてその手には「新たなドライバー」が、強く握られていた。

 

 

走る瞬樹が直面したのは、激しい人の逆流。悲鳴をあげて逃げ惑う人々の先に、黒い何かが見える。

 

 

「やめて珊瑚ちゃん!お願い…メモリを捨てて…!そんなことしなくたって…私たち、珊瑚ちゃんのこと大好きなのに…!」

 

「心配してくれるんだ嬉しいよぉ。でもね、耐えられないの。私以外が二人の寵愛を受ける…この悪平等が!」

 

 

ヘルにすがりつくように語り掛ける花陽。その煮えたぎるような血液に触れても、その手を離すことは無く、涙を流して必死に言葉を紡ぐ。

 

それでもヘルは暴走を止めない。二人以外は世界にいらないと主張するかの如く、辺りのものを全て蹴散らし、永斗と真姫の頸を狙う。

 

 

「花陽……!!」

 

 

花陽の言葉は瞬樹にまでは届かなかった。だが、今暴れているのは前に出くわしたドーパント。そいつが皆を襲っている。彼は、すぐにそう理解した。

 

理解したら、そこから先は一瞬だった。

あのドーパントは大した強さじゃない。今は新しい力も手に入った。「勝てる」そう確信した瞬樹が恐怖で躊躇う要素は、無かった。

 

 

《ドラゴン!》

 

「変身!」

 

 

ドラゴンメモリを起動し、仮面ライダーエデンへと姿を変える。

白銀の鎧を纏い、エデンはヘルに槍の斬撃を浴びせた。

 

その攻撃の反動で、ヘルと花陽が引き剥がされる。

ようやく現れた彼の姿に、茫然自失となっていた凛も、襲われていた永斗と真姫も、隠すことなく喜びを見せる。

 

 

「待たせたな。この化け物は…俺に任せろ」

 

 

得意げにランスを掲げ、ドーパントを前に一歩も引かないその姿。

自分を特別だと疑わない、中二病で勇敢な騎士の背中だ。これまで、何度も見てきたはずだ。

 

 

「瞬樹…くん…?」

 

 

それなのに、花陽の中で漠然と渦巻く、この嫌な感じ。

今まで見てきた彼と、何かが違う。花陽が信頼を寄せていた何かが、もっと危うい何かに変わってしまったような。

 

そんな彼女の不安を意に介さず、エデンはバックル部分の「オーバースロット」を取り外す。

 

そして、これまでマキシマムオーバーに使用していたそのユニットの代わりに、エデンの新たな装備「ロードドライバー」を装着した。

 

 

《ユニコーン!》

 

 

ロードドライバーは、マキシマムオーバーを進化させるユニット。これまで体の一部分のみで出力していた戦闘用ギジメモリの力を、ドラゴンのマキシマムオーバードライブのように全身へと拡大させる。

 

それにより、エデンはダブルのように二つのメモリで変身することが可能。進化した、全く新しい戦士となる。

 

 

「見せてやる。進化した竜騎士の姿を、俺の強さを!」

 

 

ユニコーンメモリを、剣を模したスロットに装填。メモリをもう一度押し込むことでスロットパーツが下にスライドし、二度目の変身が展開される。

 

紫のラインが胴体から、全身に張り巡らされる。メモリから放出された光の粒子がエデンの装甲に入り込み、その体を内側から再構築するように変質させ、紫苑の輝きがエデンを包んだ。

 

 

《ユニコーン!オーバーロード!》

《Mode:STRIKE》

 

 

ドラゴンの鎧と一体化した、ユニコーンの装甲。装備では無い完全に別のエデンの姿。

頭部の一本角と馬の意匠が追加されたヘルムがその融合を証明し、その姿はより攻撃的に。白銀と混ざり合う紫が光を放ち、腕、肩、脚と更に重装備になった印象。その装甲は、どこか角ばった鋭さが目立つ。

 

「竜の記憶」と「一角獣の記憶」が一つとなった、蛮勇の騎士。

その名も、仮面ライダーエデン・オーバーロード。

 

 

「今度こそ…俺が倒す!」

 

「お前…本当にうっとうしいなぁ!」

 

 

ヘルにとって、瞬樹も当然憎しみの対象。負の感情を込めた鎌を振り上げ、炎と共にエデンに振り下ろす。しかし、その攻撃は次の瞬間に無に還ることとなる。

 

ガキンという音が聞こえ、ヘルの鎌は粉々に砕け散った。

鎌の攻撃を受け止め、逆に破壊したのはエデンの槍。ただし、マキシマムオーバーロードによってエデンドライバーも変形しており、その形状はより細く尚且つ強靭な、一角獣の角のようなランスに。

 

 

「く…うおぁぁぁぁぁ!」

 

 

ヘルは別の武器、棍棒を生成して攻撃を再開する。

だが、全ての攻撃がエデンに弾かれる。どれだけ攻撃しても、全く通用しない。

 

余裕がある。それがエデンが感じる感覚だった。

こちらの動きの方が圧倒的に速く、腕に意識を向ければ力が沸き、武器を一撃で破壊する馬力が簡単に出る。

 

ヘルが逃げようとしても、今度は足に力を込めれば過剰な速度でそれに追いつく。

反撃を避けることも受け止めるのも自由で、槍を振るえばヘルの体が吹き飛び、地を転がった。

 

 

「強い…!強いぞ!そうだ、これが竜騎士の力だ!」

 

 

ここまで一方的な戦いはしたことが無い。恐怖を忘れたような、今なら誰にでも勝てるような自信が、瞬樹の頭を埋め尽くす。

 

これでいい。俺は強くなった。もう誰にも負けない。

あの誓いに嘘をつかなくて済む。どんな悪だろうが、この手で裁ける。

 

 

「ズルい……ズルい!お前も!どいつもこいつも特別で!私の友達を奪おうとする!なんで私ばっかり“こっち側”なの!?理不尽だ、不公平だ、不平等だ!」

 

 

ヘルがそんな事を叫ぶ。どういう意味かは、もうどうでもいい。

だが、これだけは思った。俺は、貴様とは違う。

 

 

『弱き者を加害するのは、神の慈悲に反する行いだ』

『もうアイツに興味ないや』

 

黙れ。もうそんなこと言わせない。この力で、お前たちを否定してやる。

 

 

これが、俺の目指した騎士だ。

 

 

「トドメだ!」

 

 

《ガイアコネクト》

《ユニコーン!》《ドラゴン!》

《マキシマムドライブ!!》

 

 

ドラゴンメモリが装填された槍をロードドライバーにかざし、渦巻く高エネルギーが槍に収束。全身全霊を右腕に宿し、視線の先にいるヘルの胴体に狙いを定めた。

 

その瞬間、理屈は無いがハッキリと形を示す恐怖が、花陽の心を貫く。

 

 

「瞬樹くん!やめて!」

 

 

普段なら間違いなく届いていた、その声。

だが、今の彼は違う。

 

 

今の彼は、誰の言葉にも耳を貸さない。

 

 

 

闇穿つ紫獣の雷角(オーバーレイ・ゲイボルグ)!!」

 

 

 

亜音速に達する速度で放たれた槍は、その空間に一直線の光の尾を残し、ヘルの体を貫く。

衝撃の刹那、紫電が走る。断末魔を上げる時間すら与えることなく、ヘル・ドーパントの肉体は爆発四散した。

 

 

「…勝った……!」

 

 

拳を握り固め、その感覚を反芻する。気分がいい。鼓動が高鳴る。

いつぶりの勝利か。勝利は、いつも自分の正しさと強さを証明してくれる。

 

煙が晴れ、倒れた人影が見える。

花陽と凛は、そのヘルだた人物に声を上げて駆け寄った。

 

 

「珊瑚ちゃん!」

「さっちー!」

 

 

その名前を聞き、瞬樹は驚いた。ヘルの正体は知らなかったが、それなら前回ヘルに遭遇したことも納得だ。それに、彼にとってドーパントの正体など些事だった。

 

そう、その時はまだ。

 

 

何かおかしい。永斗は何故かそう感じた。

まず、メモリが排出されていない。その上、灰垣珊瑚が余りに大人しい。いくら撃破された直後といえど、違和感を拭えない。

 

永斗も彼女に駆け寄る。凛と花陽の声にも、珊瑚は目を覚まさない。

まさか。半ば冗談めいた可能性が頭に過ぎり、永斗は彼女に触れる。

 

そして、その可能性が現実であると、確認してしまった。

 

 

 

「………死んでる…!?」

 

 

 

嫌に静かで、その言葉は残酷にも鮮明に聞こえて。

誰も、その言葉を受け入れられず、時間が止まったようだった。

 

 

死んだ?誰が?

灰垣珊瑚が?花陽と凛の友人が?何故?誰が殺した?

 

 

彼女を倒したのは誰だ?彼女を痛めつけたのは誰だ?

泣き叫び、悔しそうに顔を歪める仲間たちは、誰を見ている?

 

 

俺だ。

 

 

俺が、殺した。

 

 

 

「なん…で……?俺が……っ?」

 

 

瞬樹の中で、世界が崩れ去るように。目の前が闇に閉ざされ、頭から一切がドロドロに溶けて消えてしまう。そんな絶望が、輝いていた騎士の姿を塗り潰した。

 

俺が彼女を殺した。花陽の友達を殺した。

俺は花陽の願いを違えた。あの誓いを違えた。

 

力に溺れ、悦に浸り、弱者を嬲って、殺した。

これが、俺の目指した騎士か?

 

 

「違う……違う違う…ッ!俺は…こんなこと……!」

 

 

悪夢だ。夢ならば醒めて欲しい。だが、あの時感じた悦楽は間違いなく現実だ。

その悪夢はまだ苦しめ足りないようで、立ち尽くす瞬樹の前に、「彼ら」は降り立った。

 

 

「思ったより早かったなぁ、ヒデリ」

「あぁカゲリ。ついにその日が来た、神は大層喜んでおられる!」

 

 

瞬樹に敗北の記憶を植え付けた、修道服の二人組。ヒデリとカゲリ。

この悲劇の中で、彼らだけは異質に、笑っていた。

 

 

「貴様…たちは……」

 

「騎士のライダーよ、感謝する。薄弱ながらも神の思し召しに報わんとする、その心意気。実に見事」

「あんたのお陰で手間が省けた。しかも超いいタイミングでその女殺してくれてさぁ。めっちゃ上機嫌、って神さんも言ってる気ィするわ」

 

 

その時、珊瑚の死体が異変を見せる。

体が粒子状に分解していき、大量の黒い霧が肉体から溢れるように放出されては、周囲の空間に溶けていく。

 

最後に残ったのは、彼女が着ていた衣服のみ。

灰垣珊瑚の体は、跡形もなく消え去っていた。

 

 

「冥府の門は開いた」

「終末を告げる鐘が聞こえたか」

 

「「地獄はまだ、終わらない」」

 

 

 

この瞬間を境に世界が塗り替えられた事は、生きる人々は気付かない。

 

その世界の中でただ一人、開いた地獄を祝福する男がいた。

白いローブを纏い、寝室のベッドに腰掛けたその男は、窓を開いて空に手を伸ばす。

 

 

「待ってたよ、珊瑚。さぁ…僕と一緒に楽園を取り戻そう」

 

 

その時、男の背中に翼が生えたようだった。

真っ白のようで、真っ黒のようでもある、「天使」の翼が。

 

 

 

奇跡と、悲劇を、繰り返し、

これは天使が楽園へと還るまでの、聖戦の記憶だ。

 

 

 

 




瞬樹メイン回です(曇らせないとは言ってない)。
今回からはH編。長くなる…かどうかは分かりませんが、かなり重要なパートとなります。

しれっとエデンも強化入れました。エデン・オーバーロードをよろしくお願いします。今回の出番はアレでしたが、多分恐らくまだ活躍するので。

感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案などございましたら、よろしくお願いします!


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