大型暴力団”朱月組”の組長にして、称号”傲慢”を持つ組織の七幹部の一人。19歳。
髪には金のメッシュが入っており、口調は常にテンションが高く、誰に対しても軽い態度をとる。また、相手に質問をして自分で答えるという変わった癖を持つ。使用メモリは不明だが、ドーパントにならずども、異世界の怪人を呼び出すことができる。現時点では戦闘能力は未知数。
名前の由来は仮面ライダーキバのラスボス「バットファンガイア」の真名”「暁」が眠る素晴らしき物語の果て"から「あかつき」。バットファンガイアの称号「キング」から「王」。ファンガイアは「牙」でライフエナジーを吸い取るので、牙の読み方を変えて「が」。
特技:将棋、歌、喧嘩
好きなもの:派手なもの、争い、変わり種の飴
嫌いなもの:自分より目立つ奴、使えない奴
思ったより遅くなった…146です…
さて、まずは…
仮面ライダーW漫画化キタァァァァァ!!
いや、これは予想外!映像化じゃないと聞いて少し残念だったんですが、まさかの予想を斜め上に!!しかも脚本が三条さんときた!これは読むしかないでしょう!
さて、それではそろそろ本編どうぞ!今回は大量にオリキャラが出てきます。
新たにお気に入り登録してくださった
msterさん、銀の鐘さん、カグラZさん、シュバルツ レインさん、ナゴナゴさん、鮭ふりかけさん、仮面戦士十年記さん、コナミさん、仙石千歳さん、天ケ瀬奈月さん、Suilennさん、クロムスさん、ゲーム中毒患者さん、おみや1921さん、チキン革命さん
ありがとうございます!!いつものように確認が甘いので、呼ばれてない人がおられましたらご指摘お願いします。
ーアラシsideー
ラピッドとルーズレス。2人のエージェントを制し、新たなメモリ、ライトニングメモリを入手した俺たち。
更に、絵里と希がμ’sに加入し、μ’sは9人に。
その上、色々あって俺たちで探偵部を結成。オープンキャンパスも迫り、ここからが本格的に…
なるはずだったのだが、現在、部室は絶望の渦中にあった。
それは、突然の花陽の一言。
『オープンキャンパス…出られなくなりました……』
その後俺たちは現実を直視できず、現在進行形で落ち込んでいる。
そんな中、俺がふと我に返り、口を開く。
「いや、待て。いったん落ち着こう。
そもそも、なんでそんなことになったんだ?」
そうだ、まずは原因を聞かないことには始まらない。
場合によっては解決できる内容かもしれない。
すると、花陽がそれに答える。
「元々、時間ピッタリで部紹介のスケジュールが決められていたところに、急遽新しい部活ができたらしいです。今からスケジュールを変えるとなるといろいろと大変で、そこで、全部の部活がクジを引いてハズレの部が部紹介を譲るということに…」
今度は凛が。
「で、凛が代表してクジを引こうとしたら、なんか瞬樹くんが『我が神魔眼を開放すれば、アタリを引くくらい容易い…』とか言って、勝手に引いたらハズレが……」
それを聞いた全員の視線が、入口にいる瞬樹の方に集まり
「全部お前のせいじゃねぇか!!」
「グファァッ!!」
俺は、ドヤ顔でポーズを決める瞬樹に、思わず飛び蹴りをかました。
「待て!部は全部で17ある。つまり、全ての部に等しく17分の1の確率があったわけだ。
それを俺のせいにするのはどうなんだ!?」
「やかましい!計算ができたのは褒めてやる。でも、お前はそろそろ自分のミラクル不幸体質を自覚しろ!!常日頃から天文学的確率の壁を破って来てるお前が、たかが17分の1を的中させないとでも思ってんのか!?」
「フッ…これこそ、竜騎士に定められし宿命…
おっとアラシよ、まずはその掲げた椅子という名の鈍器をしまおう。そして一端落ち着くのだ。いや、他の奴らも物を投げるな!オイにこ、流石に石はアウトだって…ギャァァァァァ!!」
花陽とことり以外の全員から粛清を受け、瞬樹がKOしたのを確認すると、俺は話を元に戻す。
「ところで、その新しい部って何の部活なんだ?」
「確か…ゲーム研究会だったと…」
ゲーム研究会…聞いたことがあるな。
俺が清掃員のバイトを始めたばかりで、アイドルをしようと決める前、ことりが持ってきた部活の功績の一つに入っていた覚えがある。
確か、部の設立のため、部長が殴り込みしたという内容だった気がする。
「なんで今になってそんな部が…?」
「私は知らないわよ」
俺が目線を向けると、絵里は激しく首を横に振る。
部の承認には生徒会を通す必要がある。それなら、絵里が知っているはずなのだが。
「あー、それならウチやね。えりちが学校休んでた日に部の申請が来たから、面白そうだったし、そのまま承認したんよ」
希の一言に、さっきと同じような空気が流れ…
「やっぱ、お前のせいか!!」
「ストップ、アラシ!瞬樹はともかく、女の子に飛び蹴りはマズいから。
画的にもモラル的にも」
「放せ永斗!前々からこの適当な態度が腹立ってたんだよ!!
いい加減、報酬もちゃんと払えやコラッ!!」
俺が永斗に抑えられる光景を見て、ニヤニヤと笑う希。
クッソ!やっぱ腹立つ!!
「アラシは落ち着いて!希先輩も笑うのやめてください!
今は、そんな事している暇はないでしょう!!」
海未が声を上げると、部室が一気に静かになる。
流石は海未。俺でさえも恐怖を感じる。
「ゲーム研究会に交渉に行きましょう」
__________________________
「ここが…ゲーム研究会…?」
交渉のため、ゲーム研究会の活動場所に来た俺たち。
全員行くとなると迷惑かもしれないし、何より瞬樹あたりが何を言うかわかったもんじゃない。
そこで、選ばれたのは俺、永斗、海未、絵里。ゲームに精通している永斗を除けば、メンバー内でも比較的まともな人物で構成されている。
他の奴らは練習をさせ、俺たちは交渉に向かったわけだが…
そこは体育館の器具庫。他の部活動の備品をいい感じにどかして場所を作り、そこで数人が携帯ゲーム機の画面をのぞき込んでいた。
「ん?これはこれは。アイドル研究部の皆さんじゃないか。
ようこそ我らがGAME PLAYING ORGANIZED PARTY。略してG‐POPへ!
私が会長の
俺たちに気づいた三つ編みの眼鏡が、こっちを向いて叫んだ。
なるほど、今のでコイツが面倒な奴だということは分かった。少し瞬樹と同じ匂いがする。
緑色のリボンを見る限り、3年生のようだ。新聞部の部長といい、希といい、この学校の3年生は大丈夫なのか?
「おっと?そこにいるのは絵里じゃないか。
先日は不在の時に生徒会にお邪魔してすまなかった。いや、特に他意は無いよ。ただ、堅物の君より希の方が我々の存在を許してくれると思い、少しタイミングを見計らわせてもらっただけさ」
そういうのを他意というのではないだろうか。
「アラシ、本題に入りましょう。この子はしゃべらせると止まらないから」
絵里の言う通り、俺たちが聞いていなくても一人で大声で話し続けている。
これはもう少し時間がかかりそうだ。
数十分後。
やっと独り言が終わり、事情を説明。
俺たちがラブライブ出場と廃校阻止を目標としていることを伝え、そのためにもオープンキャンパスでライブをすることが必要だということを伝えた。
「なるほど…それで我々の部紹介の時間がほしいと…
確かに、我々は結成したての部。見ての通り、部室も持ち合わせていない。
そして、我々が欲しているのは有象無象のゲーム好きではなく、圧倒的情熱と実力を兼ね備えた人物。新入生が入るときは、こちらからスカウトに行くつもりだ」
「じゃあ…」
それなら、部紹介の時間は必要ないはずだと、期待を込めて言葉を出そうとするが、
「だが断る。この灰間彩が最も好きなことの一つは」
「「自分で強いと思っている相手に、NOと断ってやることだ」」
灰間の声と被ったのは、永斗。
「フッ…こんなところに同志がいようとは…」
「女の子ばっかりの学校だから諦めてたけど、先輩みたいな人がいて嬉しいよ」
そう言って、2人は固く手を握り合う。
わけのわからない友好関係を広げるのは止めていただきたい。
「他の部ならば快く差し渡した所だが、私はそこの絵里と少し因縁があってね。
なぁに、大したことじゃない。ただ、私が部の申請書を持って殴り込みに行った際、停学処分にしたことを根に持っているだけの話さ。なにぶん、やられたらやり返さないと気が済まない性分でね」
なんて器が小さいのだろうか。ていうか完全に自業自得だと思う。
「お願いします!そこをなんとか!」
話を聞いていた海未が突然頭を下げ、俺たちもそれに釣られて頭を下げる。
ここで時間を確保できなければ、廃校阻止のラストチャンスが潰えてしまう。
そうなれば、ラブライブ出場も壊滅的。アイドルを嫌がっていた海未も、今となっては強い思いが生まれているようだ。
「まぁまぁ。私は悪魔だのハイエナだのと揶揄されることはあるが、鬼ではない。
私たちは言ったように部室を持っていない。部室を使えなければ、ネットゲームもできない。
そこでこうしないか。そっちは部室、こちらは部紹介の時間を賭けてゲーム勝負をするというのは」
灰間の提案に戸惑いを隠せない俺たち。
部室を賭けるとなると、リスクは凄まじい。元々部室なしで活動してきたとはいえ、人数が増え、探偵部も兼ねるようになった俺たちにとって、部室の存在は大きいのだ。
それに勝負内容がゲームとなると、相手の独壇場だ。果たして勝てる見込みがあるのか…
俺たちは一度小さく集まり、小声で話し合う。
数分した後、俺は灰間の方へ振り返り、言った。
「わかった。その勝負受けよう」
時間を確保できなければ、それこそお終いだ。今は多少のリスクに怯んでいる余裕もない。
やるしかねぇ…μ’sの大勝負前の肩慣らしだ。
「決まりだね。勝負は明日の放課後。楽しみにしておくよ」
_____________________________________
翌日、放課後。
アイドル研究部、ゲーム研究会が集まったのは、新聞部部室。
コンピュータもあり、広い机もあり、全員入っても余裕がある。
この話を聞きつけた鈴島貴志音が、取材をする条件付きで部室を貸してくれた。
今も手帳とカメラを構えて、ワクワク顔でスタンバイしている。
そういえば、ユニコーンの一件の時の約束も果たしていない。
こちらからもじっくり聞きたいことがある。それはまた今度でいいとしよう。
「全員揃ってるみたいですね」
ゲーム研究会の代表者が言うが、それは灰間ではない。
昨日一緒にゲームをしていた中の一人だ。ずっとニコニコしていて気持ちが悪い。
「会長はどうしたんだ?」
「会長は昨日、備品を勝手に動かされた部活と、器具庫を勝手に使われた体育館の責任者から苦情を受けまして」
無断だったのか、アレ。
「そこで会長が力の限り反抗したところ、一週間の停学処分に」
何がしたいんだアイツ。
絵里に視線を向けると、黙って頷いた。どうやら本当なようだ。
「私は副会長の、2年
俺たちは用意されていた椅子に腰を掛ける。
反対側にはゲーム研究会が。全部で5人といったところだ。
「今回のルールを説明します。あらかじめ決めておいたゲーム内容で、全部で5回の対決を行い、先に3勝した方の勝ち。勝者には要求した戦利品が譲渡されます。ルール違反はもちろん失格。時間の都合上、先鋒と次鋒戦、中堅と副将戦を同時に行います」
木部の解説が終わると、こちらからは先鋒、次鋒の穂乃果と海未が。
あちらからは木部と別の2年生が前に出た。髪は肩にかかるくらいまであって、ツリ目が特徴的だ。
「アタシの相手はアンタだね」
そう言って、別の2年生は穂乃果に手を差し出す。
「アタシは
いい勝負にしようぜ。ま、勝負になればだがな」
「うん!いい勝負にしようね!」
予想外の反応だったのか、少し戸惑う虎谷。
かなり挑戦的で男勝りなようだが、ウチのバカには煽り耐性という概念すらないんだぞ。
それぞれ指定された席に座り、対戦相手と顔を合わせる。
その様子を確認した新聞部の鈴島が、なぜか用意されているゴングを鳴らした。
「それでは、先鋒、次鋒戦開始!!」
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『さぁ。盛り上がってまいりました!アイドル研究部VSゲーム研究会!!
実況は私、三度の飯より競馬と駅伝が好きな新聞部の実況担当こと、
解説はアイドル研究部の士門永斗選手でお送り致します!』
『帰りたいです』
いつの間にか設けられた解説席で何かが行われている。
『ただいま行われている競技は、高坂選手VS虎谷選手で人生ゲーム。
園田選手VS木部選手でポーカーとなっております!』
見た感じだと、人生ゲームは2人でしている割にはかなり白熱している。
「よっしゃぁぁっ!!宝くじが当たって200万円!!これは完全に勝負あったな!!」
「いや、まだまだ!私も…やった!テレビ局に就職だ!」
「八ッ!いくら高収入のテレビ局といえど、医者であるアタシに負ける要素は……
何ぃ!?医療ミスが発覚し、敗訴して慰謝料1000万だとぉぉぉぉ!?」
「よし!この調子で…
やった!作った番組が大ヒットして、昇進!!」
「バカなぁぁぁぁ!!」
どうやら穂乃果が優勢なようだ。にしても、人生の山と谷が激しいな、この人生ゲーム。
実力があまり関係ない人生ゲームに穂乃果を置いたのは正解だったようだ。
『さぁ、注目はポーカー対決!情報によりますと、ゲーム研究会副会長の木部選手は、通称”仮面の道化”。日常より常に口に笑みを浮かばせており、不気味な雰囲気な彼女ですが、騙し合いなどの駆け引きがカギとなるゲーム、まさにポーカーなどでは無双の強さを誇ると言います!
そんな木部選手を相手に、園田選手はどんな手を取るのk』
『あー…あんまりそーゆーの関係ないと思うよ』
『えっ?』
食い気味な永斗の一言に、言葉が止まる実況の寺田。
俺も永斗同意見。なぜなら……
「えっと…まだですかね…?」
「もう少し…決めました!これとこれを交換…
……よし!これで勝負です!!勝てます!!」
「受けます」
2人が手札を見せると、木部がスリーカード。海未がワンペア。
そう、海未が弱すぎるのだ。これには実況も絶句している様子だ。
今回の形式は”テキサスホールデム”。世界的に主流なポーカーの形式だ。
詳しい解説は省くが、要するに賭けを繰り返して、所持チップがゼロになったら負けとなる。
駆け引きが重要となるこの勝負。海未の何が弱いかというと、駆け引きに関するすべて。
カード交換の考え時間がやたら長く、ブラフを張っても手札が弱ければ明らかに表情が曇り、強ければ表情が晴れる。手札の強さ具合によってかなり細かく表情が変わるものだから、対戦相手からすれば相手の手札が丸わかりだ。
最初は警戒していた木部だが、数回でただの馬鹿正直だということに気づき、それ以降は海未の顔を見て勝負の乗り降りを正確に判断。結果として未だ勝負に負けていない。
対する海未は残りチップもあとわずか。負けるのも時間の問題だろう。明らかに人選ミスった。
「いや、まだです!ポーカーは一発逆転のある勝負。次の勝負で必ず!」
無理の方に俺の心臓を賭けてもいいとすら思える。
『……ではでは!人生ゲームの方はどうなってるでしょうか?』
実況も諦めたようだ。
永斗は既に寝ている。せめて見てやれ、海未がいたたまれない。
十数分後。
ポーカー対決はその後なんの転機も無く、普通に海未の負け。
木部はそれでも気を使って賭けるチップを少なめにしてたみたいだ。これでも続いた方だろう。
海未は理解できなさそうな様子で、「なぜです…」と呟きながら部屋の隅に頭を打ち付けている。後でほむまんでも奢って慰めてやろう。
人生ゲーム対決は穂乃果が優勢だったが、途中のギャンブルスペースで穂乃果が大金をかけて大敗。その上、終盤で家が全焼し、結果的に多額の借金を背負ってのゴールとなり、負けた。
穂乃果の将来が非常に心配になる一戦だった。こっちは後で説教しておく。
『さぁ、これでアイドル研究部は後がなくなりました!勝利には残りの3戦の全勝が必要となります!』
『分かってたけど…あー、僕が出るの面倒くさい。
最近、僕やたらシリアスだからさー。結構疲れてんだよ』
永斗が何か言っているようだが、気にせず次の対戦だ。
次は中堅、副将戦。そろそろアイツが来るはずだが…
「間に合いましたか?少し道に迷ってしまって」
「来たか。悪いな、わざわざ来てもら…って……?」
扉が開き、聞き覚えのある声が聞こえた。
待ってましたとばかりに振り向くと、そこには身長150cm後半くらいの少女が。
いや、誰だお前は。
「おっと、コレを付けたままでした」
そう言って、少女は自身の顔に手をかけると、その顔はペリペリと剥がれ、今度こそ俺の期待した奴の顔が。黒音烈の顔が現れた。
「手続き踏むのが面倒だったんで、生徒に扮して潜入させてもらいました。制服は通りがかった方から拝借を。マスクは自家製、カツラは百均で。声色はそのままです」
「オイ、手口が完全に常習犯だろ」
「瞬樹が一人で事件を解決できると思いますか?静岡にいる間、事件に関する情報はあらゆる手段を用いてボクが手に入れてたんです。経験上、こういう時は顔を残してしまうと面倒なんで。ここには監視カメラ無いですよね?」
真顔で淡々とそんなことを言い、カメラを探す烈を末恐ろしく感じる。
「まぁいいとしよう、中堅戦頼んだぞ!」
前回の勉強合宿で、コイツが相当頭の切れる奴だということは分かった。
他に頼りになる奴がいないということもあり、烈に助っ人に来てもらうことにしたのだ。
だが、問題は…
「我が名は竜騎士シュバルツ!天より降臨せし、神々の使者!
遊戯といえども、我が信念に一片の迷いなし!」
副将を務めるのが、メンバーを絶望に叩き落した張本人であり、自称竜騎士(笑)の超不幸体質を患ったその信念をぶち壊されまくったくせにまだ出しゃばろうとする害悪人間の、津島瞬樹だということだ。
本当は絶対に出したくなかったのだが、試合内容が決まった途端に出たいと言い出しやがった。
当然、全員が猛反対。俺、海未、絵里、ことりによるそれぞれ30分の個別説教の後でもまだ出たいと言い張るので、負けたら金輪際竜騎士を名乗らないという条件付きで、試合に出すことにした。
戦いだと頼り甲斐のあるやつだが、それ以外の時は痛さとポンコツを兼ね備えたハイブリットゴミ。正直信じたく無いが、信じるしかない。
「中堅戦、副将戦開始!!」
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『さぁ、始まりました中堅戦、副将戦!もう後がないアイドル研究部が送り出したのは、助っ人の黒音選手と津島選手!試合内容はチェスとカードゲームですが、これをどう見ますか?』
『タピオカパンが食べたいです』
もはや聞いてすらおらず、マンガを読み続ける永斗。
本来なら構わないが、俺が解説をするのもそろそろダルい。
ここは永斗に働いてもらうとしよう。
「凛、GO」
「はいにゃ!」
俺の合図でスタンバイしていた凛が実況席に乱入。強引にマイクを奪った。
『えー、飛び入り実況の星空凛です!よろしくにゃ!』
『ちょ、何を…』
突然のことに戸惑う本来の実況。
『チェスとカードゲーム…チェスって将棋と似てるんだよね?
これについてどう思いますか?』
『……』
『聞いてる?永斗くん』
『聞-いーてーまーすーかー!にゃーにゃーにゃー!』
『あーもう分かったから。耳元でマイクで喋んないで!』
流石の永斗も、凛が相手では根負けするらしい。
永斗はため息をつき、マンガを机に置き、嫌々話し始めた。
『カードゲームもチェスも、運より実力がカギになるゲーム。
チェスに関しては運の介在する余地のない完全に実力のゲーム。経験者に圧倒的な分があるゲームの一つだね』
『では、黒音選手と対戦する、ゲーム研究会の鹿東選手の方が有利ということですか?』
なんとか凛からマイクを取り戻した実況の寺田が尋ねる。
だが、永斗は首を横に振り
『チェスでは確かに経験がものをいう。でも、それ以上にものを言うのは
才能とセンスだ』
「チェック」
永斗が言い終わると同時に、烈の声がそう告げる。
盤面をみると、烈が操る黒い駒の方が、素人目から見ても明らかに優勢。
ナイトがキングを仕留められる位置に設置されていた。
『おぉ!なんかわかんないけど凄いにゃ!』
『ちょっ、マイク放してください!でもこれチェックですよね?まだ勝負はついてないんじゃ…』
『いや、これはもう詰んでる。パッと見はまだ逃げの余地があるけど、逃げた後でも確実に仕留められる。見た感じ…あと3手で確実にチェックメイトだね』
烈は以前は事件や組織に関する情報を自分で探っているといった。
そんな情報を手に入れるためには、特に後者は正攻法では絶対に手に入らない。
きっと、ハッキング、潜入みたいな手段をとっていたのだろう。さっきの変装術が最たる証拠だ。
そんな奴が頭が切れないわけもないし、読み合いの勝負に弱いわけがない。
そして、永斗が宣言した3手目。相手も状況を察し、青ざめている。
烈は自分のナイトを……
動かさず、全く別のところにあるポーンの駒を進めた。
この一手には一同ポカン。
『これは…黒音選手のミスでしょうか?』
『いや、これは……』
「何やってんのよ!さっさとその馬でやっちゃいなさいよ!」
「行けー!スピリチュアルパワー全開やー!」
「2人とも落ち着いて!」
実況席は困惑気味。観客席からは怒号、応援、叱責が聞こえる。…絵里も苦労するな。
真姫は既に飽きたのか、髪の毛先チェックを行っている。真姫も案外、永斗と似たようなところがあるよな…
しばらく展開が続き、またしても烈の絶好のチャンス。
だが……
『おおっと!?またしても外した!』『にゃ!』
その後も仕留める寸前まではいくが、その度に烈はチャンスを逃している。
しかも、少しずつ相手の駒を減らしながら。
なるほど、アレだ。コイツ、わざと外してやがる。
『やっぱり…自分が不利な状況にならないよう、絶妙なプレーでわざと試合を長引かせてる。
いや、いたぶってるっていた方が妥当かな』
耳を澄まして聞くと、対戦する2人の間にはこんな会話が。
「おっと、そうきますか。なら、ボクはここで」
「……」
「ポーンがとられてしまいましたね。それなら、君がずっと守ってきたクイーンを…」
「……」
「おや、駒が最初の半分になってしまいましたね。まぁ、勝負には関係ありませんが。
そちらの番ですよ?今にもキングを討ち取りそうなナイトをとらなくていいんですか?最も、とれればの話ですが。手薄な軍勢を盾にするという手もアリじゃないですか?いや、それでは駒がさらに少なく…別に問題ありませんか。例えキングだけになっても、ボクがキングを仕留めるまで終わりませんから」
『『うわぁ・・・…』』
これには実況の2人も引いている。事実、対戦相手は今にも泣きだしそうだ。
最初から警戒すべきだった。そういえば最初に「参ったは無し」というルールを取り付けたのも、これが目的か…性格の悪さが出まくってるな。
こっちサイドの観客席もドン引き。
徐々に軍勢を削がれ続け、勝ち目がゼロになっていきながらの公開処刑。盤面が軽く地獄絵図だ。
『…気を取り直して、カードゲーム対決はどうなっているでしょうか!
津島選手と対戦する九十九選手は、公式大会で”鉄壁の竜使い”と呼ばれる猛者とのことです!』
『なにそれ痛い』
チェスが見てられなくなったので、全員がカードゲームに注目する。
だが、盤面を見てもルールがわからないので状況がわからない。
にしても、瞬樹がえらく自信満々だったのが気になる。
カードゲームって運も重要らしいが、大丈夫なのか?
とりあえず会話だけ拾っとくと。
「ハッハッハ!もう終わりの様ね!
貴方のライフはすでに1。対して私は鉄壁の守りで守り切った10のライフがあるッ!
貴方の場はザコの悪魔モンスターのみ。この勝負、貴方に勝ち目は無いッ!」
「フッ…どうかな?今宵の俺は悪魔の主。竜騎士とは違う俺を見せてやろう。
…来たようだな!我がメインフェイズ!俺はコストを支払い、場の万鍵泥棒グシオン、漂う悪魔デカラビア、司愛の騎士エリゴスを依り代に、我が切り札を呼び出す!」
「そ…そのカードは…ッ!」
「このカードは場の72柱の、戦士、水獣、獣系統の3体を依り代にして召喚できる!
君臨せよ!時と雷の魔導王バアル!!アタックフェイズ!バアルよ、敵の世界鎮める大蛇ヨルムンガンドを攻撃!バアルの攻撃力はヨルムンガンドの防御を上回る!雷に焼かれよ、グローム・アラクネア!!」
「グッ…!だが、それ以上は何も…」
「バアルの能力発動!依り代をすべて捨て、引き続き俺のターンを行う!」
「な…何ぃッ!」
「再び俺のターン!俺は魔学者フォラスを召喚!能力により自陣のカード一枚を手札に戻し、そのコストの合計になるよう、待機状態で墓地からカードを場に復活させる。バアルを手札に戻し、出でよ!グシオン、デカラビア!更にフォラスは戦士系統!3体を依り代とし、再び出でよ、時と雷の魔導王バアル!
バアルでライフを攻撃!貴様の残りライフは7。そして、バアルの能力で再び俺のターン!」
「そ…そんな…」
「さぁ、そろそろ終わりにしよう。このカードは場の上級悪魔一体を依り代にすることで召喚が可能!降臨せよ!魔界三皇帝ベルゼブブ!!場に出た時の能力で、貴様の手札は全て腐敗、墓地送りだ!
フォラスで攻撃、残りは5。ベルゼブブはバアルを依り代としたとき、一撃で5のダメージを与える!これで終局だ、ファントム・ロード・レクイエム!!」
「バカなぁぁぁぁッ!!」
よく分からんが、終わったらしい。
『よくわかりませんが、津島選手が勝利したようです!』
『よくわかんないけど、瞬樹くん凄いにゃ!』
いや、お前らもわからんのかい。
『よくわかんないけど、グッジョブ瞬樹』
絶対分かってるだろ、永斗は。
すると、打ちひしがれる九十九とか言った対戦相手が瞬樹に、
「貴方、その悪魔デッキ…その戦いっぷり…痛々しすぎる口調…まさか……
静岡で連戦連勝を飾った伝説のプレイヤー……」
「そう、我こそが”沼津の魔王”だ」
いや、そこは”竜騎士シュバルツ”で統一しろよ。つーかダセェな、オイ!
「おや、あちらは終わったみたいですね。それならチェックメイトです」
「負けました」
食い気味に敗北宣言をする鹿東。
その顔に悔しさはみじんも無い。ただ、地獄が終わったことを喜んでいた。
___________________________________
『これでチェス、カードゲーム共にアイドル研究部の勝利!
決着は大将戦に委ねられました!』
『最後は永斗くんの出番だから、解説は我らが鬼将軍アラシ先輩にゃ!』
『しばき倒すぞ、凛コラ』
言ったように、ウチの大将は永斗。よって、暇そうな俺が解説になった。
俺はゲーム研究会側の観客席をチラリと見る。
ずっと気になっていた奴がいた。試合中もずっとゲーム機を覗き込み、一度も顔をあげなかったヘアピンとマスクを着けている、髪の短い少女。服装は制服ではなく、パーカーにジャージの下。俺が言うことではないが、女子の私服には見えない。
ゲーム研究会は人数がそれほど多くない。大将で出るとするなら、奴だ。
『大将戦は、やっぱり電子ゲーム対決!今回のゲームは、幻夢コーポレーション製の格闘ゲーム”ノックアウトファイター”の一対一の1ラウンド制ゲームです!』
『凛も持ってるよ!やっぱり凛は”ランダー”が好きかな~』
『いやいや、ここは女性ファイターの”モア”でしょうよ!
使い勝手もいいし、なにより可愛いです!』
『こっちの方がカッコイイにゃ!必殺技とか!』
『あ、それは同意です!』
お前らはいつの間に仲良くなったんだ。
『あー、実況が機能しなくなったから、俺が仕切るぞ。
両者プレイヤー前へ。挨拶と握手を』
俺に言われて渋々前に出る永斗。だが、相手側は動こうとしない。
『おい、聞いてたか。とりあえず形式でいいから、挨拶を…』
「一年、
握手はしたくもないし、する気もない。人間の手にどれだけの雑菌がついてると思ってんの?握手をしたことで得られるものと、その損害は絶対に釣り合わない。大体、立ち上がって礼をして戻るだけなんて、合理性に著しく欠ける。損傷する筋線維の分だけ無駄だ。ここにゲーム機があるんだから、さっさと初めて終わらせよう」
なんだこのクソ可愛くない一年生は。
天金と永斗の面倒くさいところを抽出して、にこの生意気なところを掛け合わせたような性格しやがって。
永斗は特にイラついてる様子もなく、黙って自分のゲーム機を手に取った。
相変わらず目に闘志は見えないが、ゲームの腕は何よりも確かな奴だ。何も問題は無い。
「大将戦、開始!!」
_______________________________
『勝負のゴングが鳴りました大将戦!実況は引き続き、寺田と』
『星空がお送りするにゃ!』
ゲーム開始から1分程。お互いに様子を見あっている段階だ。
ゲーム画面はスクリーンで全員に見えるようになっている。
『楯銛選手が使用するのは、スピードファイター”カトラス”!対して士門選手はテクニックファイター”フラン”です!』
『永斗くんのフランは後半戦で有利になるタイプ!テクニックが高いから、バシバシ急所に叩き込むにゃ!』
『これ俺いらないんじゃないか!?』
ここ一番で実況している2人。試合は未だに大きな動きを見せず、それでも少しずつ永斗のライフが削られていく。
『おっと、ここで情報が入りました。
なんと!楯銛選手はこのゲームを含め、数々のゲームでトップクラスのスコアをたたき出す天才ゲーマー、ハンドルネーム”ランス”とのことです!』
『ランスって、いっつもランキングの凄い上にいる人だ!
その人が相手で、永斗くんは…って、あれ…?』
凛も気づいたか。寺田も不可解そうな顔をしている。
そう、相手が使うのは速攻のファイターと見た。ゲームもリアルも戦闘の基本は同じ。
テクニック重視の奴は、速攻に長けた奴には弱いはずだ。
にもかかわらず、永斗は序盤を耐えきり、今も劣勢というところまでには至ってない。
いや、それどころか永斗の攻撃が刺さり始め、優勢に傾きつつあった。
『トッププレイヤー相手にあのプレー…士門選手はいったい…』
もうこれ以上の解説はいらないだろう。間もなくすれば、永斗が勝つのは目に見えてる。
以前に一度、永斗のプレーを見たことがある。古風なシューティングゲームだったが、地球随一の頭脳と知識を無駄に使ったプレーで、とんでもないスコアをたたき出していた。
リザルト画面で永斗のスコアがあったのは一番上。ハンドルネームは…
「天才ゲーマー…”∞”…!」
そう呟いた楯銛のプレースタイルが急変。
焦ったように攻撃を仕掛けはじめ、永斗に反撃の隙も与えなくしようとする。
「負けられない…勝たなきゃいけない…!
ボクは…コイツだけには……!」
思いつめたような口調で攻撃を続けるが、速さを重視しすぎて単調になった攻撃は難なく読まれて躱される。
攻撃の後、ガード不能の瞬間。既に相手のライフゲージはゼロに近い。
永斗はとどめの一撃を、敵キャラクターに…
プツン
その瞬間、ゲームの画面は暗転。事実上の中断となる。
永斗がすごい剣幕でこっちを睨みつけてくる。ゲームを邪魔されたときの永斗は本当に怖い。
機械音痴の俺が何かしたと疑っているようだが、今回は違うと目で訴える。第一、俺何にも触ってねぇし。
結局、今回の対決は永斗の勝利ということで収まった。
俺たちが勝利したことによって、オープンキャンパスの部紹介時間を奪取。
目的は達成されたわけだが…
俺は勝負が終わった後の、何かに怯えているような、もしくは恨みを抱いているような、ゲーマー”ランス”の顔が気になって仕方がなかった……
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勝負の日、夜8時ごろ。学校にて。
後者の裏、月の光が届かない場所。暗闇に覆い隠された人影は、その手にアタッシュケースを持ち、電話で会話をしていた。
『活動は順調か?』
携帯電話から聞こえる、加工されていない声は、紛れもなく組織のエージェント部隊のボス、ゼロのものだ。
「えぇ。仮面ライダーの3人の接触にもすでに成功しているわ」
『適合者はこの近辺に集まりつつある。引き続き音ノ木坂周辺での活動を続けろ。
ただし、学生の死人は出すな。販売するメモリは考えて行動しろ』
「わかってるわ。事件性が目立つと活動がしにくくなる。それに、適合者がいる可能性が高い場所での殺人はリスクが大きい。それとも…何かこの学校に思い入れでもあるのかしら?」
『口には気を付けろ、クソガキ。貴様こそ大丈夫なんだろうな。
場合によっては貴様の称号、七幹部”暴食”を剥奪することにもなるぞ』
”暴食”。そう呼ばれた少女は、口に笑みを浮かべて
「口調も性格も変えて接している。絶対にバレないわ。
それに、今回のはかなりの有望株。メモリとの適合率は90%を超えている。これはかなり有意義なデータが取れるんじゃない?」
それだけ言って、少女は電話を切り、暗闇の中で不気味な笑い声をあげる。
”暴食”。それは古き時代、最も重き罪として戒められた罪。
善も悪も欲も感情も、全てを食らいつくす
純然で純粋な、欲の権化___
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同刻、楯銛宅。
床が見えない程に物が散乱し、その上に無造作にパソコンが置いてある個室。
その部屋で彼女は、楯銛赤里は頭を抱え、呟いていた。
「まだだ…まだ負けてない…ボクはまだ…
勝たなきゃいけないんだ…そうしないと……
その時、電源がついたままのパソコンの画面。
その画面が一瞬揺らぎ、奥に怪しく輝く光があった……
こんなつまらんことに13000字も使いました。スイマセン…
ギャグ回にしては弾け度合いが足りませんよね?これ、ご察しの通り次回も続きます。しかも、恐らく今回は3話完結のストーリーになる予定です。
ちなみに、今回登場したキャラクターは全員「仮面ライダーエグゼイド」の登場人物から取っております!
オープンキャンパス前に、探偵部として彼女たちを活躍させようと思います!
感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案などございましたら、よろしくお願いします!