ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

20 / 77
どうもです。146です。最近エグゼイドにハマりすぎてヤバイです。

さて、今回はエデンの変身者についてと、ギャロウの事件の真相です!
更に新キャラも登場いたします!最後までご覧ください!

それではどうぞ!


第20話 Dが裁く/罪の代償

~前回のあらすじ~

 

 

僕は士門永斗。通称引きこもりニート、略して引きニートな探偵の片割れ。

μ’sのPV撮影の準備をしていた僕たちに舞い込んできた依頼。

”朱い月の処刑台”の管理人を探すため調査に出た僕たちだったが、そこで起きたのは殺人事件。

そして、そこに現れた怪物を操る男と、自称竜騎士の新ライダー。

急展開な物語に、僕たちは…

 

 

すいません、もう言うことないんで本編行ってもらってもいいですか?

 

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 

 

 

「アイツは…」

 

 

 

アルビノレオイマジンを撃破し、爆炎に背を向ける仮面ライダーエデン。

 

エデンは槍を下ろし、アラシのほうへ歩いてくる。

 

 

 

「貴公が主の言っていた、もう一人の戦士か…」

 

 

 

そう言うとエデンは、ドライバーからメモリを抜き、トリガーを押して変身を解除。

右手に包帯を巻き、ダークブルーの髪をした少年の姿が現れる。

 

 

 

「我が名は竜騎士シュバルツ…戦士として、貴公に話が…」

 

 

 

少年がそう言って歩き出した、その時。

 

踏み出した足が、不自然にも転がってきた空き缶を踏み、転倒。

さらに、転んだ先にはさっきの爆発の瓦礫。頭部を強打。

挙句の果てには、空から落ちてきた鳥のフンが、顔面にスパーキング。

 

少年は気を失ったらしく、起き上がってこない。

 

 

その光景を唖然としてみていた、永斗とアラシ。

 

 

 

「どうすんの、コレ」

 

 

「可哀想すぎるし、とりあえず連れてくか」

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

というわけで、切風探偵事務所。

 

 

もう夕方だが、ほとんどのメンバーは残って飾り作りを続けていた。

 

ただ、花陽だけは体調が優れないということで、早めに帰宅したらしい。

明日の撮影に支障をきたしてはいけない。

 

 

で、連れてこられた自称竜騎士の少年はというと…

 

 

 

「ふむ…これはなかなかいける…」

 

 

一心不乱に出されたカップ麺の担々麺をむさぼっている。

 

目が覚めたかと思えば、腹が減ったとうるさいから適当に食わせたのだが

そうすれば食べるのに集中し、何も話さない。

 

しかも、奴は担々麵におぞましい程の唐辛子をぶち込んでいる。

超甘党のアラシから言わせれば、見ているだけで頭痛がする。

 

 

「この人が、新しい仮面ライダー?」

 

「とてもそうは思えませんが…」

 

 

 

穂乃果と海未も、目の前にいる辛党が仮面ライダーとは信じられないようだ。

穂乃果は一度会ったことがあるのだが、完全に忘れてしまっているらしい。

 

 

イライラが限界に達したアラシは、少年から担々麵を取り上げた。

 

 

「何をする!?」

 

 

「いい加減にしろ!聞きたいことは山ほどあるんだ。

話す気がないんだったら、今すぐ出ていけ!」

 

 

「そっちから連れてきておいて何を…

だが、まぁいい。この辺で我が名を知らしめておくとしよう」

 

 

 

口周りについた赤いスープをふき、少年は右手で顔を抑える。

 

 

「我が名は竜騎士シュバルツ!天界の竜騎士なり!」

「よし、コイツ外に捨てるぞ」

「わっ!ちょっと待て!何のつもりだ!!」

 

 

アラシは少年の服の襟をつかみ、外に出そうとするが

少年は必死に抵抗し、そこにいようとする。

 

 

 

「誰もテメェのペンネームなんて聞いてねぇんだよ

本名を言え。フルネームだ」

 

「い…いいだろう。我が名は津島=シュバルツ=ニブルヘイム…」

「殺すぞ」

「津島瞬樹です」

 

 

 

本気の殺意がこもった視線に、一瞬でキャラを放り捨てた少年。

竜騎士とはなんだったのだろうか。

 

 

 

「じゃあ瞬樹。そのドライバーはどこで…」

 

 

 

その時だった。

 

一瞬ドアが開いたような音がしたかと思うと、

アラシの頬、凛の髪をかすめ、瞬樹の顔の横にナイフが突き刺さった。

 

突然飛んできた凶器に、μ’sの一同は顔が引きつっている。

顔のすぐそばをナイフが通った凛に関しては、口をパクパクさせたまま声が出ない。

 

 

 

 

「探しましたよ、瞬樹。帰りますよ」

 

 

ドアのほうから高い声が聞こえ、全員が振り向いた。

そんな中、瞬樹はうれしそうな表情をして言った。

 

 

 

「遅いぞ、烈!」

 

 

 

”烈”その名前を聞いて、全員がドアのところに立っていた人物を二度見した。

 

なぜなら、そこにいたのはどう見ても少女。

声も高く、顔立ちも少女にしか見えない。身長だって160も無いだろう。

唯一男らしいと言ったら、短髪であるということくらいだ。

 

 

 

「不幸体質のくせに、勝手にどっかに行って遅いとか…殺しますよ。

おや、そこの方々は音ノ木坂の…転校に先立って学友の集いですか?」

 

 

 

その言葉に疑問を持ったのは、アラシだ。

 

 

「転校って…誰が?」

 

 

「言ってないんですね…そこにいるクソ竜騎士…

じゃなかった、津島瞬樹は、週明けから音ノ木坂学院に転校してくる男子学生です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「はいぃ!!??」」」」」」」」」

 

 

 

数秒間の間が空き、一同驚愕。

瞬樹はというと、誇っているような表情でカッコつけている。

 

 

 

「えーと…僕の記憶じゃ音ノ木坂って女子高だよね?」

 

「凛もそう思うけど…」

 

「ならば俺から解説してやろう!」

 

 

永斗と凛が困惑する中、瞬樹がここぞとばかりに出てくる。

 

 

「近年、生徒が減少を続ける音ノ木坂。それは知っているだろう?」

 

「まぁ…」

 

 

返事をしたのは真姫。事実、一年のクラスは1つしかなく、席も余っている状態だ。

 

 

「そこで!男女共学性を視野に入れ始めた理事長は、

数名のテスト生の一人として、この俺を指名したわけだ!」

 

 

 

その解説を聞き、大体を理解したアラシ。

 

理事長はアラシ達の正体を知っている。そこに新たなライダーを送り込むとは…

偶然でないとすれば、理事長は一体…

 

 

 

「とは言いつつ、本当は瞬樹の強い希望が大きいですね。

静岡での役目も終わったし、新しい学校でボッチを解消したいと…」

「余計なことを言うな、烈ぅぅぅ!」

 

 

絶叫が事務所に響くが、みんな飽きたのか、既にそれぞれの作業に戻っている。

それを見た烈も、無表情のまま瞬樹を持っていこうとするが…

 

 

 

「待て、俺には役目がある…竜騎士として、罪を見過ごすわけにはいかない…

というわけで烈!これから俺たちで調査だ!」

 

 

 

それを聞いた烈の目が、若干鋭くなる。

表情は相変わらず変わっていないが、気持ち怒っているようにも見えなくもない。

 

 

 

「また勝手なことを…」

 

 

 

烈は、瞬樹の腹部に強烈な一撃を食らわせ、首に針のようなものをさした。

 

瞬樹はまたしても気を失い、その場に倒れこむ。

 

 

 

「あと一時間くらいで目を覚ますので、好きにしてください。

邪魔なようなら粗大ごみにでも出しておいてください。ボクが回収しに行きますから。

 

おっと、自己紹介が遅れました。ボクは黒音 烈です。以後よろしく」

 

 

それだけ言い残し、竜騎士の屍を置いて、烈は出て行った。

 

 

 

 

「あ…ま、いいや。俺たちは引き続き調査だな」

 

 

目の前でおきたことについて、考えるだけ無駄だと思ったのか、アラシは思考を元に戻す。

 

 

「え~もう夕方だよ…?」

 

 

「明日PV撮影だろうが。それまでに終わらせるのがベストだ」

 

 

永斗も嫌がりながら、検索のため、奥の部屋に行こうとする。

 

 

 

「えっと…この人どうしよう?」

 

 

 

その時、ことりが指さしたのは、瞬樹の屍。

 

 

その屍は、アラシによって路上にリリースされたそうな。

 

 

 

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

 

「さて、まずは何から…」

 

 

 

永斗は地球の本棚を起動させ、本棚を前に検索する事柄を考える。

 

今回の件。わからないことが多すぎる。こういう時は、永斗の能力が重宝される。

 

 

 

「まずは”メモリ”。キーワードは”ギャロウ”、”処刑”」

 

 

 

ギャロウについては、最近一度検索した。

だが、その能力は首を絞める縄の生成。そして、中にいる生物の死への生命活動を強める空間”ギャロウフィールド”の展開のみだった。

前回、奴が使ったような大剣等の能力は無いはずなのだ。

 

 

 

「最後は…”複合”」

 

 

 

そのキーワードで、本は一気に減り、一冊が残った。

 

 

 

「やっぱり、”複合メモリ”だね」

 

 

永斗は本を開き、英語で書かれたページをパラパラと読んでいく。

 

 

要約すると、複合メモリとはその名の通り多数のメモリを複合したメモリ。

ただ、それにはいくつかタイプがあり、まずは複数のメモリを合体させて一本のメモリにするタイプ。これには天金のエレメントが該当する。

 

そして、メモリ自体が他のメモリの能力を奪う能力を持つメモリ。このタイプも該当例があり、組織に使い手も存在するようだ。

 

最後は、一本のメモリに他のメモリに能力のみを移植するタイプ。メモリの名称も姿も変わることがなく、最も量産化が期待できるタイプだ。

しかし、このメモリを使うにあたり、使用者は尋常じゃない負担がかかる。現時点では、まず前提条件として、適合率が極めて高い必要がある。その上操るとなれば、凄まじい精神力。何かに対する強い感情があるはずなのだ。

 

 

 

「次は、ギャロウの変身者について調べようか」

 

 

永斗は地球の本棚をリセットさせ、再びキーワードを入れる。

 

 

 

「キーワードは”ギャロウ”、”女”」

 

 

”女”は、あの偽依頼者が口走ったことだ。

信頼性は薄いが、今はこれにかけるのが最善だ。

 

 

「”桐谷克美”、”静音羽華”、”網野角蔵”」

 

 

 

ギャロウの事件の関係者たち。最後の奴は、殺害されたベアーの変身者だ。

さらに永斗は、他の被害者と思しき人物の名前も入れていく。

 

 

ここまでキーワードを入れたが、まだそこそこの量が残っている。

 

これ以上、入れるキーワードも見当たらない。

諦めて適当に本を眺めていると、気になる本が一冊。

 

 

 

「これは…」

 

 

 

永斗はその本を読んで、確信に近い推測を得た。

 

 

もう一度違うキーワードを入れて検索。それで、永斗の推測は確信に変わった。

 

ギャロウの正体はかなり絞られた。動機はおそらく間違いない。

 

そうなると厄介だ。正体までは特定できても、次の被害者までは特定ができない。

 

 

 

「お手上げだね…後は頼むよアラシ」

 

 

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 

 

 

「了解。頼まれた」

 

 

 

永斗から検索の結果を聞いたアラシは、通話を切り、スタッグフォンをしまう。

やはり、”朱い月の処刑台”は朱月の仕組んだフェイクだったようだ。

 

そして、後ろにいる人物のほうへ振り返った。

 

 

 

「つーわけだ。アンタの素性は調べさせてもらった。

話聞かせてもらおうか、静音羽華」

 

 

 

その人物は、殺された化粧品会社社長の秘書、静音羽華。

 

永斗から話を聞いたところ、ギャロウは彼女も殺そうとして失敗したらしい。

犯人ではないにせよ、事件に深く関わっていることは間違いないということで、聞き込みに来ていた。

 

 

 

「その前に…そこの人は…?」

 

 

 

静音はアラシの後ろ。2人がいる建物の扉の方を指さす。

そこには…

 

 

 

 

「竜騎士、降臨」

 

 

 

さきほどアラシがポイしたはずの瞬樹が立っていた。

 

 

 

「おい、テメェどっから湧いてきた」

 

「フッ…俺は天界の竜騎士。我が魔力を使えば、神足通でどこであろうとドアtoドアだ」

 

「そうか。じゃあ、そのまま頭にプロペラでもつけて、どこかに飛んで行ってくれ」

 

 

 

瞬樹を適当にあしらい、外へと追い出して扉を抑えるアラシ。

 

だが、数秒後に扉をガンガン叩く音と共に、瞬樹の叫び声が聞こえてきた。

 

 

 

「わぁぁぁぁ!!謝るから!謝るから中に入れて!

目が覚めたら路上だし、知らない人いっぱいいるし、烈に連絡したら『餓死寸前になるまで迎えに行かない』って言うし!!だから、ガシェット使ってここを探し当てたんだよ!

黙ってるから中に入れてぇぇぇ!!俺を見捨てないでぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

あの自称なんとか騎士の素顔に少々引きつつも、

近所迷惑になるのも困るので、仕方なく中に入れることにした。

 

 

 

 

「竜騎士、再臨」

 

 

 

アラシは、もうツッコむのはやめようと心に誓い、静音の方へ向きなおす。

 

 

 

「よし、まずはこっちが持ってる情報を言っておこう。

今回の被害者、こないだの社長とベアーとあと数名。あとはアンタ。

全員が音ノ木坂学院の卒業生か元職員。さらに同時期にいた連中で、その上全員が水泳部の関係者だ。これが無関係とは思えねぇよな」

 

 

その言葉で、静音の表情が変わる。まるで、何かを恐れているかのように。

 

 

 

「そんで、アンタが一年の時の夏。事件は起きた。

当時の部員の一人、石井聡美が突然行方不明に。事件から十年以上経っても、まだ発見されてない。

心当たりあるよな?原因はもしかして……

 

 

 

”いじめ”とか?」

 

 

 

 

静音の表情が、さっきよりも明確に恐怖へ変貌した。

もはや疑う余地はない。彼女は間違いなくこの件に関わっている。

 

 

 

 

「つまり、アンタ等のいじめが原因の怨恨で、犯人は石井…」

「違う!聡美はもう…」

 

 

そこまで言いかけて、静音は慌てて口を塞ぐ。

だが、それはもう遅かった。

 

 

 

「”もう”なんだ?もしかして、こう言おうとしたんじゃないのか?

”聡美はもう死んでる”って……

残念ながら、それについても調べがついている。詳しく聞かせてもらおうか」

 

 

それを聞くと、静音は観念したようにへたり込み、力なくうなだれる。

そして、辛そうな表情を浮かべ、語りだした。

 

 

 

「殺された社長…桐谷先輩は、金持ちで、成績優秀、運動神経抜群で、当時の水泳部では群を抜いていた。その名前は、私が中学生の頃から知れ渡り、私は先輩にあこがれて入部したわ。

でも、私と同時期に入った転入生の聡美は、前いた学校では有名な選手で、それは桐谷先輩を凌駕していた。先輩はそれが気に入らず、嫌がらせをするようになったの」

 

 

「それで、それが原因で自殺したってか?」

 

 

「違うの!私は悪くない!あんなこと、やっちゃいけないことだって本当はわかってた…でも、先輩は人気もあって、力もあったから、従うしかなかったの!死体だって、先輩が隠そうって言いだしたし、どこにあるかは知らない!それに、結局は耐えられなかったあの子も悪いんじゃない!!私は何も悪くない!!」

 

 

 

懺悔の言葉もなく、勝手なことを言い続ける彼女に、アラシは思わずこぶしを固める。

 

 

だが、それよりも先に、瞬樹の槍が静音の顔をかすめて、タンスへと突き刺さった。

 

 

 

「瞬樹…」

 

 

「ふざけるな。人を殺しておいて、何が悪くないだ!相手がどんな気持ちだったか、貴様に想像できるか?嫌がらせをされるとわかりながら毎日貴様らに顔を合わせ、怯えながら生きる。理不尽なことを言われても、必死に耐えようとしたその心を、貴様らは壊した。栄光が待っていたかもしれない人生を、そんな下らない理由で奪ったんだ!!人は死んだらそこで終わりだ。己の罪の重さに、背を向けるな!!」

 

 

 

アラシは、激高する瞬樹を見て、少し驚いたような表情を浮かべる。

ただの痛いやつかと思ったら、そういうわけでも無さそうだ。

 

アラシはフッと微笑み、すぐに表情を変えて静音の胸ぐらを掴んだ。

 

 

 

「俺も概ねコイツと同意見だ。こうやって、テメェを殴りたい衝動を我慢して話を聞いてやってんだ。

質問に答えろ。石井聡美と友好関係にあった奴で、この事件の真相を知ってる奴は誰がいる」

 

 

「……聡美の友達といえば、同じく水泳部だった内藤一葉くらいよ。

事件のことを知ったとすれば、少し前にあった同窓会。当事者で事件について話してたから……」

 

 

 

 

 

その時、遠くから銃声音がしたかと思うと、追うように窓ガラスが割れる音が。

 

 

そして、静音の胸元から鮮血が飛び散った。

 

 

 

「ッ…!まさか…!」

 

 

アラシが振り向くと、割れた窓から銃を持ったまま去っていく影が見える。

体格からおそらくは女性。態度は銃を使い慣れてるようには見えない。

 

おそらく、ギャロウの変身者で間違いない。

 

迂闊だった。殺すという目的のためならば、何もメモリを使う必要はない。

 

 

後を追いたいところだが、今は静音の止血が先だ。

 

 

 

「瞬樹!救急車だ!!」

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

病院に搬送された静音は、一命をとりとめたものの、意識は戻らず。

 

その後、検索で内藤一葉について調べたところ、数日前から行方をくらましているらしい。

彼女が黒でほぼ間違いないだろう。

 

 

 

 

「本当に来るんだろうな?」

 

「あぁ、間違いない。竜騎士の勘だ」

 

「今の発言で信憑性が著しく欠けたんですけど…」

 

 

 

アラシ、永斗、瞬樹は音ノ木坂の屋上で、待ち構えるように立っている。

 

というのも、

 

 

「当時の水泳部員で、襲われていない奴らはいなくなった。

だが、復讐心というのは次から次へと矛先を変える。次に奴が恨むとするなら、あんな状況を生んだ環境。すなわち、この学校というわけだ」

 

 

 

それで、朝からここで見張りを続けている。周辺にはガシェットを配置し、死角はない。

 

もし、当たっているならば一大事だ。

なぜなら、今日はPVの撮影。μ’sも朝から校内の飾りつけを行っており、ここにドーパントが現れれば、巻き込むことは避けられない。

 

 

 

その時だった。

 

学院周辺を巡回していたバットショットが、人の姿をとらえ、スタッグフォンに映像が映し出される。

その姿は、アラシが見たあの人影だった。

 

 

 

「来たな。準備はいいか?」

 

「もち。倒れた時用のマクラも備えてるよ」

 

「フッ…愚問だな。言われるまでもない」

 

 

 

《ジョーカー!》

 

《サイクロン!》

 

《ドラゴン!》

 

 

 

アラシと永斗はダブルドライバーを装着し、瞬樹はエデンドライバーを構える。

 

そして、それぞれメモリの音声を鳴らし、装填!

 

 

 

 

「「変身!!」」

 

「変身!」

 

 

 

《サイクロンジョーカー!!》

 

《ドラゴン!!》

 

 

 

3人がダブルドライバーを展開、エデンドライバーのトリガーを引く。

アラシは風に包まれ、仮面ライダーダブルへと変身。瞬樹は白銀の装甲を纏い、仮面ライダーエデンに変身した。

 

永斗は意識を失い、その場に倒れるが、マクラが功を奏して頭は無事だったようだ。

 

 

 

「来い!ハードタービュラー!」

 

「出でよ、ライバーン!」

 

 

それぞれの専用マシン。ハードタービュラーとマシンライバーンが翔来。

2人の戦士は各々の愛機へ搭乗し、学院を見据える姿へ飛び出した。

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

《ギャロウ!》

 

 

赤いメモリを取り出した女の目には光はなく、感じられるのは燃える復讐心のみ。

 

女は手の甲にメモリを挿入し、赤い処刑人____ギャロウ・ドーパントへ姿を変えた。

 

 

ギャロウは学院に手を向け、手のひらに不気味な光が集まる……

 

 

 

その光が強まる前に、上空からエデンの一撃がヒット。

たちまち、その光は消え、さらにダブルが重い拳を叩き込んだ。

 

 

 

「なぜ…邪魔をする…!」

 

 

攻撃を受けたギャロウは、2人の仮面ライダーに攻撃対象を変え、

背中から伸びたギロチンアームが2人に襲いかかる。

 

 

 

「内藤一葉だな!我が名は竜騎士シュバルツ」

 

 

 

エデンはギロチンアームの猛撃を受けながらも、ギャロウに語りかける。

 

 

 

「貴様と…話がしたい…」

 

 

エデンの言葉は届いていないのか、攻撃は止まらない。だが、エデンは続ける。

 

 

「話は聞いた。貴様は友を奪った仇を憎み、環境を憎み、世界を恨んだ。

だが、それに意味はあるのか?」

 

 

「何だと…?」

 

 

その言葉に、ギャロウの攻撃がピタリと止まる。

 

 

 

「何かを恨んだところで、友が帰ってくることはない。

貴様がやっていることは、ただ己の罪を重ね、己を苦しめているだけだ!」

 

 

 

『なるほどね。不自然だと思ってたんだ。複合メモリは強力だけど、リスクも大きい。

ただ人を殺すだけが用途なら、複合メモリは欠陥品と何ら変わらないはずだよ』

 

 

エデンの言葉に、ダブルの永斗側が口を挟む。

ギャロウは何も言わないが、殺意が増しているのがわかる。

 

 

「貴様が恨んでいるのは、仇でも、世界でもない。

貴様が本当に許せないのは……友を守れなかった、自分自身だろう?」

 

 

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

その瞬間、ギャロウの殺意が爆発し、背中から先端に凶器がついたアームが無数に伸びる。

 

2人はその攻撃をとっさに避け、攻撃を受けた地面がズタズタになった。

 

 

『マズイね…暴走してる。メモリブレイクしたら使用者の命に関わるかもね…』

 

「んだよ、それ…!」

 

 

ダブルがギャロウに飛び蹴りを放ち、ギャロウの体が後退する。

 

しかし、すぐに体勢を戻し広範囲にギャロウ・フィールドを展開した。

 

 

「気をつけろ!今は一撃くらったらアウトだぞ!!」

 

 

 

「この世界は腐っている…上に立つものは罪に汚れ、人を苦しめ続ける!

罪人は許されない!この世界は…処刑されるべきなんだぁぁぁぁ!!」

 

 

 

ギャロウが叫ぶと、音ノ木坂学院の上空に、校舎を両断するほどの巨大なギロチンが出現した。

 

 

「あれを落とすつもりかよ!校舎崩壊じゃすまねぇぞ!」

 

 

「ここは俺に任せろ!そっちはノコギリを頼む!」

 

 

『簡単に言ってくれるね…』

 

 

そう言いつつも、ダブルはハードタービュラーに乗り込み、校舎へ向かっていく。

 

 

 

「どうすんだよ!あんなの壊せんのか!?」

 

『普通に考えて無理だね。ギャロウを倒せば消えるはずだから、それまで時間稼ぎかな…

まぁ、あの竜騎士がどうやってメモリを処理すんのかはわかんないけど…』

 

「アイツなら大丈夫だ。俺たちは止めとけばいいんだよな?」

 

 

 

《ルナメタル!!》

 

《ルナ!マキシマムドライブ!!》

 

 

 

ダブルはドライバーに刺さった2本のメモリを入れ替え、再び展開。

そしてルナメモリをメタルシャフトを装填した。

 

 

「『メタルイリュージョン!!』」

 

 

 

ギロチンの下に回り込みシャフトを振り回し、巨大な光の魔方陣が現れる。

 

ダブルは、ソレで降りてくるギロチンを受け止めた。

 

力を込めるが、凄まじい力で押し返される。正直、分は悪い。これでは何分持つかわからない。

 

 

「頼むぞ瞬樹…!」

 

 

 

 

 

 

一方、エデンとギャロウの戦いは激しさを増す。

 

 

伸びてくるアームとロープを躱し、反撃を加えようとするが、大剣でガードされる。

 

今はギャロウ・フィールドが展開されているため、一回のダメージが即死に繋がるのだ。

 

 

「避け続けるのは、竜騎士の戦いではない!」

 

 

《フェニックス!》

 

《フェニックス!マキシマムオーバー!!》

 

 

エデンは朱色のメモリを取り出し、オーバースロットに装填。

スロットから伸びたラインが背中に集まり、朱の翼が装着された。

 

エデンは翼を羽ばたかせ、上空に飛翔。

急降下し、槍でギャロウに一撃を加える。しかし、その際にアームの一本がエデンの体を切りつけてしまった。

 

普通はそのまま傷が広がり続け、体は急速に死へと向かっていく。

しかし、その瞬間エデンの体を炎が覆い、傷は完全に消えて無くなった。

 

エデンに装着された"イモータルフェザー"は、装着者に飛行能力と治癒能力を授ける。

 

傷が瞬時に塞がってしまえば、ギャロウの能力を無効化することが出来る。

 

 

攻撃を恐れる必要がなくなったエデンは、攻撃を受けながら接近。

懐に入り込み、胴体に鋭い突きが炸裂した。

 

 

「ぐっ……邪魔をするな…お前には分からないのか…

罪人が溢れるこの世界なんて、守る価値などどこにも無い!ならば、私が全てを…

罪人(わたしたち)を終わらせるしか無いんだ!!」

 

 

「分かるさ。罪を犯さずに生きれる人間なんて居ない。

罪から悲劇を生まないために、憎しみを生まないために戦うのが……断罪の竜騎士(おれ)だ!!」

 

 

 

エデンは更に槍に炎を纏わせ、ギャロウに突き出す!

 

その一撃を大剣でガードするが、威力に耐え切れず、大剣は粉砕されてしまう。

 

 

 

「人を恨み、世界を恨み、己を恨んだ悲しき女よ…

騎士の名の下に、貴様を裁く!」

 

 

 

 

エデンがドライバーをオーバースロットにかざし、炎がエデンの全身に広がる。

 

 

 

《フェニックス!マキシマムドライブ!!》

 

 

「無限の時を生きる者よ。我が望みは慈愛なり。

我が牙と一つとなりて、愛より生まれしその命を導け。滅さず、滅びずの刃となれ!!」

 

 

槍を地面に突き刺し、翼を広げて飛び上がる。

 

空中で蹴りの構えをとると、炎はエデンの脚に収束していく。

 

 

聖炎の不滅剣(フレイム・デュランダル)!」

 

 

 

エデンは翼を広げたまま、ギャロウに突っ込んでいく。その姿はまるで、一本の剣のように。

 

 

無数のアームのガードを粉砕し、渾身の一撃がギャロウに突き刺さった。

 

ギャロウは爆散し、内藤一葉の姿へと戻る。そして、フェニックスの炎が内藤一葉を包み込んだ。

 

 

エデンはギャロウを倒すと同時に、フェニックスの治癒の炎を纏わせた。

そうすることで、倒された際に生じる複合メモリの反動を緩和した。これなら死に至ることは無い。

 

 

 

「友のためにも、罪を背負って生き続けろ。

それが、俺からの審判だ…」

 

 

 

安らかな顔で眠る内藤一葉の手の甲から、ギャロウメモリが排出され、木っ端微塵に破裂した。

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

音ノ木坂学院内。

 

そこはμ’sのPV撮影用に、校内がステッカーやバルーンやらで飾り付けられている。

外のさっきまでの戦いが何だったのかと思えてくるほど、楽し気な空間が広がっていた。

 

 

そこに、戦いを終えたアラシと永斗がやって来る。

 

 

「あ!アラシ君お疲れ!」

 

「お疲れじゃねぇだろ!あんだけ逃げろっつったのに!」

 

 

 

駆け寄ってきた穂乃果の言葉を聞くや否や、彼女の頬を思いっきり引っ張るアラシ。

 

 

「痛い痛い!ごめんって!」

 

 

アラシが手を放すと、穂乃果は痛そうに頬を撫でる。

 

 

「全く…俺たちがどんだけ大変だったか分かってんのか?

もう少しでヤバい所だったんだからな…」

 

 

 

そう、ダブルはギロチンを抑え続けることに成功したが、本当にギリギリだった。

もう少し長引いていれば、結果がどうなっていたかわからない。

 

 

「いや~。アラシ君たちが守ってくれると思ったら、安心かな~って…」

 

 

「信頼してくれてるのは嬉しいが、お前らはもっと自分の身を案じろ。

それに、今回のMVPは間違いなくアイツだ」

 

 

 

アラシが指さす方向には、μ’sのメンバーに自身の武勇伝(嘘)を嬉々として語っている瞬樹の姿が。

 

 

「ただのバカじゃなかった。アイツは、信頼できるバカだ」

 

 

 

「す…すいません!遅くなりました!」

 

 

そこに、花陽が遅れて駆け足でやって来た。

 

 

「花陽、体調はもう大丈夫なのか?」

 

 

「はい。もうすっかり元気です!」

 

 

「そうか。飾りつけは終わったから、撮影まで休んどけ」

 

 

アラシがそう言うと、花陽は他のメンバーの方へ。

それと同時に、瞬樹がもの凄いスピードでこちらへやってくる。

 

 

 

「おい、今の少女は誰だ?」

 

 

「あ?花陽がどうかしたのか?」

 

 

「…天使だ……」

 

 

「そうか…いや、もう一回言って」

 

 

「後光が見え、翼が見えるほどに美しい……

真なる天使である我が妹に到達しうる美しさだ……」

 

 

「マジかコイツ……」

 

 

「そこの初対面の少女に心を奪われたシスコン竜騎士。ボクのことは無視ですか」

 

 

アラシが色々と引いていると、背後にはいつの間にか烈が立っていた。

 

 

「烈!迎えに来てくれたんだな!?

フッ…俺は信じてたぞ。竜騎士に仕える身であるお前が、あんな非道の所業をするわけが…」

 

「違いますよ。ボクはアイドルの撮影に興味があっただけです」

 

 

それだけ言って立ち去ろうとする烈の手を、瞬樹が必死に掴んだ。

 

 

「待ってくれ!謝るから!俺、確実に餓死するぞ!?」

 

 

「すいません。何言ってるかよくわかりませんね。

なにぶん、上からの声が聞こえづらいもので」

 

 

「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!!もう勝手なことはしないと誓いますから!!」

 

 

 

誇り高い騎士の設定は何処へやら。

烈に見事なDOGEZAを繰り出す瞬樹。

 

 

「本当に誓いますか?」

 

「誓います」

 

「神に誓いますか?」

 

「誓います」

 

「騎士道に誓いますか?」

 

「…………」

 

 

瞬樹が黙ったのを見ると、烈は体の向きを変え。

 

 

「今日は燃えないゴミの日でしたね。早速、瞬樹の部屋のガラクタを…」

 

「うわぁぁぁぁぁ!!俺の騎士コレクションだけはやめてください!

騎士道にでも何にでも誓いますから!ちょっと聞いてます烈さん!?」

 

 

 

 

無慈悲に去っていく烈を、涙目で追いかける瞬樹を見てアラシは思う。

 

 

やっぱりただのバカなのかもしれない……

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

ーアラシsideー

 

 

 

その後、無事にμ'sのPVは撮影された。

 

7人になって初めての曲。曲名は「これからのSomeday」。

 

夜にまで及んだ撮影が終わると、永斗による超速編集が加えられ、

動画はμ's公式のチャンネルから、動画投稿サイトにアップされた。

 

 

そして全ての仕事が終わり、帰ろうとした時…

 

 

 

 

「心当たりあるか?」

 

「あるわけないじゃん」

 

 

 

俺と永斗は理事長室。俺たちの前には理事長が。

 

ここに来るのは、もうトラウマになりつつあるあの一件以来だ。

 

 

 

「突然呼んでしまって、ごめんなさいね。

というのも、怪物からこの学校を守ってくれたみたいね」

 

 

「なんだ…理事長みてたんすか…」

 

 

「知らない?今、貴方達がネットで話題になってるのよ?」

 

 

 

そう言って、理事長はパソコンの画面をこちらに向ける。

 

俺たちの行動はやはり目立ったらしく、様々なサイトで取り上げられてしまっていた。

 

まぁ今回は仕方ないだろう。これで仕事がやりづらくなることはないと思うが……

 

 

 

「ところで貴方達、収入は安定していないでしょう?」

「そうですね」

 

 

理事長の質問に、俺は即答する。

 

俺たちの主な収入源は探偵活動の報酬。

しかし、最近というと、事件に仕事が絡まないことも多いし、

依頼があったにしても、犯人のマッチポンプやらばっかりでロクな報酬を貰っていない。

 

 

 

「今回、私達は直接貴方達に命を救われました。それに加え、普段からの活動。

貴方達には、しかるべき報酬を与えたいと思います。

具体的に言うと、貴方達の功績に応じて、報酬に加えてこちらから追加報酬を与えるというものだけど…どうかしら?」

 

 

「マジですか!?」

 

「おぉ…大躍進…」

 

 

思いがけない提案だった。

思えば、借金も増えて、毎日の生活とニートの相棒に困窮しながらも戦い続けた俺……

それがついに報われた!天は俺を見放さなかった!

 

 

 

「ぜひお願いします!!」

 

 

「分かったわ。ただ、こちらからも一つ条件があるのだけど…」

 

 

「「?」」

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

 

翌日、月曜日。

 

 

生徒が登校すると、全校生徒が集められ、全校朝会が行われた。

 

前で話すのは、理事長。そして、横には制服姿の瞬樹も立っている。

 

 

「今回、生徒数の減少を受け、この学院を共学性にすることも視野に入れ始めました。

そこで、テスト生として男子生徒を編入させ、その結果次第で今後の方針を決めたいと思います。

彼は静岡の内浦から来た、津島瞬樹君。一年生のクラスに編入してもらいます。そして…」

 

 

 

舞台袖から出てきた人物に全校が、

主にμ'sのメンバーと、瞬樹が驚愕する。

 

 

 

「今日は一人だけが編入する予定でしたが、急遽、この2人が編入することになりました。

元清掃員の切風アラシ君と、士門永斗君です」

 

 

 

主にアラシの存在に、全校がどよめく中、2人は小声でつぶやく。

 

 

 

「マジか…」

 

「面倒くさい…」

 

 

 

 

 

新たな仲間も加え、物語は新たなステージを迎える……!

 

 

 




はい、アラシと永斗を転入させました!
これは物語当初から決まっていたことで、マネージャーとしてもこちらの方が便利かと…
事務所はどうするんだ?と思った方は、次回に詳しく書く予定なんでお待ちください。

今回の新キャラは2人とも語ると長いので、質問がございましたら受け付けたいと思います。

次回はテスト回!察しのいい方なら…もう分かりますよね?

感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案などございましたら、よろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。