ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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ども!pixiv百科事典の執筆をしていたら投稿が遅れた146です!
春休みが始まるが、俺にそんなものは存在しない!基本的に課題地獄さぁ!フハハハハハ!!

そういえば、社長もゲームオーバーしましたね…もう全員死亡エンドとか…無いよね?

さて、今回はギャロウの騒動の続きです。最初に予告しておきますが、今回のμ’sの出番はほとんどありません!ご了承ください。


新たにお気に入り登録してくださった、炎龍 剣心さん ポポイさん
ありがとうございます!


第19話 Dが裁く/断罪の竜騎士

 

 

 

6/22 土曜日 切風探偵事務所

 

 

 

 

 

「海未ちゃん、のりとって~。スティックのやつ」

 

 

「その前に穂乃果はハサミを返してください」

 

 

「ここのデザイン、こんな感じでいいかな?」

 

 

「いいんじゃない?流石ことり先輩ね」

 

 

「アラシ~。材料足りないからド〇キで買ってきて」

 

 

「費用は部費で落ちるんだろうな?」

 

 

「はぁ!?冗談じゃないわよ!アンタらが出しなさい!」

 

 

「だ…ダレカタスケテ~!!」

 

 

「かよちんがバルーンでぐるぐる巻きに~!」

 

 

 

 

 

いつもに増して騒がしい、切風探偵事務所。

 

μ’sのメンバーが集まって、それぞれ紙を切ったり貼ったり。

 

 

今日の練習はオフ。そして、全員でPVに使用する飾りを作っているのだ。

 

 

 

 

 

「それにしても、学校をPVの撮影に使うとはね」

 

 

「スクールアイドルだし、ピッタリだと思ってな。

ただ…許可をもらうのにどれだけ苦労したか…」

 

 

 

 

永斗に言われ、アラシはあの苦労をしみじみと思い出す。

 

 

学校を使うとなると、当然だが許可が必要。

 

理事長の許可はとることができたが、大変だったのは生徒会長だ。

 

 

 

 

「あの堅物生徒会長から許可もらうために、俺がどれだけ頭下げたか…」

 

 

「お疲れ様で~す」

 

 

「お前絶対思ってないだろ」

 

 

「ニートには一生わかんないことっすよ」

 

 

 

 

会話が終わると、2人とも作業に手を戻す。

 

 

なんとか生徒会長の許可を得たが、その条件の一つが「必要なものは自分たちで調達すること」

 

アラシの企画では、学校じゅうを使ってPVを撮影する。

そうなると、それ相応の量の飾りが必要となるのだ。

 

 

学校を使用できるのは明日だけ。つまり、今日中に飾りをすべて作る必要がある。

 

 

 

 

「明らかに人手不足だよな…にこは久坂陽子とか呼べなかったのか?」

 

 

「陽子は練習試合で県外に行ってるわよ」

 

 

 

 

久坂陽子は、以前の事件で関りを持った、キックボクシング部の部長。

 

にこの親友である彼女なら、快く協力してくれると思っていたアラシだったが

部活があるのならどうしようもない。

 

 

 

「希先輩も誘ったんだけど…」

 

 

「生徒会の仕事で無理だそうです」

 

 

「雪穂も友達と遊びに行くって~…」

 

 

 

穂乃果、海未、ことりも心当たりを当たっているようだが、うまくいかなかったようだ。

 

 

 

「一人、暇してて協力してくれらる人なら知ってるけど…」

 

 

 

 

そう言った真姫だったが、表情は渋っている。

 

きっと兄である一輝のことだろう。察したアラシはそれ以上は言わなかった。

一輝は極度のシスコン。言ってしまえば変態だ。関わりたくないのは当然である。

 

 

 

 

「そんなもん期待しても仕方ないか…俺は材料でも買いに…」

 

 

 

 

アラシが立ち上がると同時に、呼び鈴が鳴る。

 

すると、間もなく扉が開き、一人の中学生くらいの少女が現れた。

 

 

 

 

「すいません、依頼…いいですか…?」

 

 

 

 

アラシは大量の折り紙と、まだ膨らまされていないバルーンを見て呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今じゃなきゃダメですか…?」

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

数分後、結局話を聞くことになったアラシと永斗。

 

 

 

 

「よかったんですか?」

 

 

「いや…よくはないけど…依頼を無視するわけにもいかないし……」

 

 

 

というわけで、後の作業は穂乃果たちに任せることにした。

 

 

 

 

「で、依頼は?」

 

 

 

アラシがそう聞くと、少女はピンクのガラケーを取り出した。

 

 

 

「”朱い月の処刑台”。知ってますか?一般人が、殺してほしい人を書き込む闇サイトで

管理人が”有罪”と判断したら、本当にその人が殺害されるらしいです」

 

 

 

アラシはその名前に聞き覚えはなかったが、

闇サイトでの正義のヒーロー気取り。いかにもな事件だ。

 

 

 

「この管理人を探してほしい。それが私の依頼です」

 

 

「そりゃまた。なんでだ?」

 

 

「この人が…命の恩人だからです」

 

 

 

親の仇とか、そういう言葉を予想していたアラシは、その言葉に驚く。

 

 

 

 

「一週間前、銀行にいた私は銀行強盗に人質にとられました。

拳銃は私に向けられ、引き金がひかれそうになった時、空中から縄が伸びて銀行強盗を絞めたんです」

 

 

「空中から縄!?それって……」

 

 

「間違いない。ギャロウだね」

 

 

 

ギャロウの名前に、今までゲームをしていた永斗も反応する。

 

 

ギャロウ・ドーパント。一週間前にアラシ達の前に現れたドーパントで

極めて強力な能力を持つ、手強いドーパントだった。

 

ただ、何より奴の行動が謎だ。

アラシの前に現れたベアー・ドーパントを殺害し、それから姿を見せない。

 

 

 

 

「人を殺すのは許されることではないと分かっています。彼女を肯定するつもりもありません。

ただ、一度話をして、その真意を聞きたいだけなんです」

 

 

「はぁ…でもよ、なんでそこまで深入りするんだ?」

 

 

「それは……」

 

 

 

そのまま少女は黙ってしまい、口を開こうとしない。

 

こうなっては何も聞き出せない。アラシは探偵としての経験上、そう分かっていた。

 

 

 

「分かった、管理人を探してやる。だが、人を殺めた以上、奴は裁かれなければならない。それは理解しとけよ」

 

 

 

 

少女は黙って頷き、そのまま深く礼をして去っていった。

 

そうなると、ここからは探偵の仕事。

アラシは思考を探偵モードに移行し、永斗に指示を出す。

 

 

 

「お前はサイトに書かれてる奴らを、片っ端から当たっていけ。

事務所でゲームとかしてたら、マジ処刑な」

 

 

「アラシはどうすんの?」

 

 

「俺は気になるところがあるから、そっちを当たる」

 

 

 

 

そう言って、アラシは携帯の画面を見て呟いた。

 

 

 

 

 

「朱月組……」

 

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

 

ー永斗sideー

 

 

 

 

 

「はぁ…メンドい…」

 

 

 

 

 

どうも、久しぶりの僕視点。最近見せ場の少ないオタク系ニート、士門永斗です。

 

 

アラシは「片っ端から当たれ」って言ってたけど、正直そんなのやってらんないんだよね~

 

被害者には共通点があると思って、試しにベアーの変身者について検索したけど

そもそも他の例がないとどうしようもないし、他の例も、最近の縊死が死因の殺人事件なんて山ほどある。つまりお手上げってわけ。

 

 

というわけで、適当に一つ選んで来てみたけど…

 

 

 

 

「これ、来るの間違えたな…」

 

 

 

 

僕の目の前にあるのは、都会の中に聳え立つ高層ビル。

とある大手化粧品会社のビルなのだが、なんでも、社長を調べるといろいろな黒いうわさが点在しているらしく、書き込みにも書かれてた。

 

 

だが、どう考えても庶民が入れる場所じゃない。

こんなの、「スイマセ~ン。社長に会えるのは2週間後が最短となっておりますぅ~」

って言われるのがオチだ。てか、僕のイメージがおかしいのはノーコメントで。

 

 

 

「さて、どうしたもんかな…ここで2週間ゲームして待つのも面倒だし…」

 

 

 

 

そんな時、会社に入っていく少年が現れる。ぱっと見だったけど、なんかランスを背負っていたと思う。はたから見れば凄く痛い。

 

 

 

「ちょっとついて行くか…」

 

 

 

気配を殺し、僕は少年を尾行。少年はまっすぐ受付に向かっていき…

 

 

 

 

「社長に合わせてもらおう」

 

 

 

マジかこの子。

 

 

 

「すいません。早くても2週間後になりますが…」

 

 

 

でしょうね。てか、2週間後あってた。

 

 

 

「フッ…俺を誰だと思っている。俺こそ竜と契約し、天界より舞い降りた…」

 

「た…大変です!!」

 

 

 

少年がなんか痛いことを言いかけたと思うと、社員の一人が血相を変えて、エレベーターから降りてくる。その様子はまるで、恐ろしいものを見たような。

 

 

 

「社長が…社長が…!」

 

 

 

 

僕は、受付も少年も気にせず、駆け出した。

 

嫌な予感がする。その予感は多分当たってる。

 

運がいいのか、悪いのか。僕の勘はいきなりビンゴだったようだ。

 

 

 

 

 

「勘弁してよ…本当に…!」

 

 

 

 

 

 

 

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”朱月組”。昔から強い力を持っていた暴力団。

日本各地に支部を持ち、規模なら国内随一である。

 

しかし、先代の組長が失脚し、それ以降鳴りを潜めていた。

 

ところが最近、ガイアメモリの流通に関わっているという噂が流れており、

それは当然、怪物専門探偵であるアラシの耳にも届いていた。

 

 

闇サイト”朱い月の処刑台”。この名前から朱月組を連想したアラシは、直感的に朱月組の関与を疑い、近場の朱月組支部まで来たのだが…

 

 

 

 

「誰もいない…」

 

 

 

結構な大きさの屋敷なのに、人が全くいない。気配も感じない。

まさに、もぬけの殻。もはや不気味さすら感じる。

 

 

 

「逃げた…?いや、不自然だな…」

 

 

 

 

その時だった。

 

突然、物音がしたと思うと、人影がアラシの視界を横切って行った。

 

 

 

 

「ッ…!待て!」

 

 

 

 

アラシはその人影を追い、屋敷内を駆け回る。

 

しばらく走り、アラシは足を止めた。

 

 

人影が逃げ込んだと思しき場所は、屋敷の最奥。

いわゆる、組長室だ。

 

 

 

 

「ここか?」

 

 

 

アラシは引き戸に手をかけ、勢いよく開いた。

 

 

だが、そこに人の姿はない。

 

暗い部屋の中、和室らしい置物が無造作に置いてあるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念、はっずれ~☆」

 

「ッ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬。ほんの一瞬だが、アラシに感じたことのないような戦慄が走った。

 

その原因は、背後から聞こえてきた声。

 

 

アラシが恐る恐る振り返ると、そこには金メッシュの入った青年が立っていた。

 

 

 

 

「さぁ、問題です!オレは誰でしょうか?

 

はい、シンキングタイム終了!正解は…」

 

 

 

 

 

次の瞬間、アラシに謎の人影が飛びかかった。

 

 

人影は飛び蹴りを放つが、驚きながらもアラシはそれを回避。

 

さらに、アラシからもカウンターパンチを繰り出し、人影は吹っ飛んだ。

 

 

 

アラシは冷静になり、その人影の姿を見る。それは…

 

 

 

 

 

 

さっき依頼に来た、あの少女だった。

 

 

 

 

「なっ……そんな……」

 

 

 

 

アラシは驚きを隠せないが、それだけでは終わらない。

 

少女の姿は歪み、その姿は緑色で、サナギのような姿の怪物になり、アラシへ襲い掛かる。

 

 

アラシはドライバーを取り出すが、

永斗の応答を待つとなると、どう考えても間に合わない。

 

 

 

「ぐっ…!」

 

 

 

咄嗟に防御態勢をとるアラシ。そこに容赦なくサナギ怪人は飛びかかった。

 

 

 

 

 

「邪魔すんなよ。クイズの途中だ」

 

 

 

 

 

 

青年はサナギ怪人に手を向ける。

 

すると、小さなワームホールが出現し、そこから伸びた棘がサナギ怪人を貫く。

 

 

奇声を上げ、小さな緑色の爆炎と共に、サナギ怪人は爆散した。

 

 

 

 

「さて、邪魔もなくなったし、答え合わせしよっか」

 

 

 

 

青年は部屋に入り、奥に置かれている、明らかに風変わりな洋風な椅子に腰かけた。

 

 

 

 

「オレは朱月組六代目組長、朱月(あかつき)王我(おうが)

初めましてだよな?半分こライダー」

 

 

 

目の前で起こった急展開。しかし、アラシは冷静に分析し、答えを出す。

 

 

 

 

「組織の幹部だな。スラッシュの時、あの怪物を差し向けたのもお前か」

 

 

「おぉ!当たり!やっぱ、ここを突き止めただけはあるじゃん。

でもさ~気づかなかった?以来の時、アイツは管理人を”彼女”って言ったんだよ?

知らないはずなのにそこまで断言したって、そこで怪しんでくれると思ったんだけどな~

やっぱ、探偵ってそんなもんか…」

 

 

「随分と饒舌だな。サイトの名前も、依頼人も、俺をここに呼ぶためだったってことか?」

 

 

「いや、ちょっと違うね。キミたちを”この事件”に巻き込みたかった。

理由はいろいろあるけど…とりあえず、面白そうだったからかな」

 

 

 

 

会話をしながらも、アラシは警戒の体制を崩さない。

さっき感じた戦慄。あれは間違いなく本物だった。こんな奴でも、力は計り知れない。

 

 

しばらくの緊張状態が続いたが、嫌気がさしたのか、朱月が話を切り出した。

 

 

 

 

「あぁ~ま、いいや。そういえばさ、キミの相棒のところに丁度今、ギャロウちゃんが行ってるんだよね。汚名返上もしなきゃだし、行ったほうがいいんじゃないの?」

 

 

 

 

その言葉に、アラシの表情がこわばる。

 

そして、警戒しつつも、全速力で屋敷から飛び出した。

 

 

 

その様子を朱月は微笑みながら眺めていた。

 

 

 

「さて、ここからどうなるかな…ロウ君に怒られるかもだけど…」

 

 

 

朱月はゆっくり立ち上がり、目の前に大きなワームホールを出現させた。

 

 

 

 

 

「お楽しみはこれからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ー永斗sideー

 

 

 

 

数分後、最上階の社長室に到着した僕たち。

 

そこで目にしたのは、首つり状態で死亡していた、社長の桐谷克美。

目撃者は、秘書である静音羽華。死亡推定時刻は見た感じ、30分前といったところだろう。

 

 

こんな現場は何度も見ているが、やっぱり慣れないな…

 

 

 

 

「貴様は何者だ?」

 

 

 

そう聞いてきたのは、あの少年。彼も社長室についてきていた。

 

 

 

 

「見ただけで死亡時刻まで推定。ただの人間ではないな」

 

 

「僕は士門永斗。ニート探偵だよ。

僕も、探偵として君に聞きたいことがある

 

 

 

君はなんのためにここに来たの?騎士もどき君」

 

 

 

見た感じ、年は僕と大して変わらない。かと言って、正装でもないし、社長の親族には思えない。

何より、死亡推定時刻は30分前。彼もメモリを使って社長の殺害が可能だ。

社長に会いたがっていたのも、何かしらの証拠を隠滅したかったのかもしれない。

 

 

 

「俺がここに来た理由…それは…」

 

 

 

 

少年の言葉に僕は耳を傾ける。僕はだいたいの声のトーン、その他諸々で、その言葉が噓か否かが判断できる。さぁ、何を言う?

 

 

 

 

 

 

「罪が…俺を呼んでいた…」

 

 

 

 

 

 

 

 

はい?

 

 

 

 

 

「罪あるところに俺がある。そして、それを裁くのが…俺だ」

 

 

 

 

 

嫌な予感がする。このセリフ、この格好…

 

もしかして…ただのアホなんじゃ…

 

 

 

 

「天より下りし、我が槍は…いかなる罪も裁く…」

 

 

 

 

うん。そんな気がしてきた。ていうか、アホだ。うん。

 

 

 

「ハズレか。ていうか、僕にしては冷静さを欠いていたかも…」

 

 

 

 

その時、辺りを異様な空気が包み込んだ。

 

 

視界が赤く染まり、霧が立ち込める。

ギャロウに遭遇する直前の、あの感じだ。

 

つまり、奴が…ギャロウが来る…

 

 

 

 

 

 

 

「そこだ!」

 

 

 

 

 

あのアホ…じゃなかった、少年の声が聞こえ、少年は槍を秘書の静音羽華に投げる。

 

だが、その槍は静音秘書を通り過ぎ、彼女の後ろに迫っていた縄を貫いた。

 

 

 

 

「ほぅ…やるな」

 

 

 

僕の背後には、いつの間にかギャロウが立っている。

少年はその姿を見ると、投げた槍を引き抜き、ギャロウに攻撃を仕掛ける。

 

 

しかし、所詮は生身の人間の攻撃。造作もなくよけられてしまうが、素早く体制を切り返し、少年はギャロウに槍を持ったまま、思いっきりタックルした。

 

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 

その勢いで、ギャロウは窓ガラスを突き破り、落下。

 

 

さらに、タックルの勢いで、少年も落下。

 

 

 

 

 

 

いや、やばいっしょ。

 

ここは最上階。どう考えても人が飛び降りて生存不可能な高さ!

 

 

僕はスパイダーショックを装着し、割れた窓の下をのぞき込む。

 

 

そこには、信じられない光景が……

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

なんということでしょう。少年は槍をビルの壁をに突き刺し、落下速度を落としているではありませんか。そして、しばらくして無事に着地。

 

 

 

いや、生身の人間の動きじゃないでしょ…ただのアホじゃないことは分かったけど、もうバケモノだよ…

 

え?僕も仮面ライダーならやれって?アラシはともかく、僕は無理です。

意欲と能力的に。

 

 

 

 

「って、急いで降りないと…」

 

 

 

 

気は進まないけど…仕方ない。

 

 

 

 

 

「それっ」

 

 

 

 

僕も窓ガラスから飛び降り、すかさずスパイダーショックからロープを放出。

 

 

ロープは窓の格子に引っかかり、自由落下する僕の体をストップさせる。

 

そして、ゆっくりロープを伸ばし、僕は安全に着地した。

 

 

 

 

ギャロウもロープを使い、着地していたようで、

僕が地面に足をつけるころには、2人が対峙していた。

 

 

さて、困ったのはここからだ。

 

 

彼の身体能力が化け物じみてても、所詮は生身。

ドーパントに変身せずに挑むなんて無茶にもほどがある。

 

 

かといって、僕も変身できない。

 

 

ドライバーをつけるタイミングはアラシの一任。

仮にドライバーをつけれても、変身すれば意識はアッチに行ってしまう。

 

 

 

 

「無茶だ。そいつは君が何とかできるレベルじゃない」

 

 

 

 

まず、この騎士もどき君をなんとかしないと。そして、可能な限り時間を稼ぐ…

とんだ鬼ミッション。現実はクソゲーだ。

 

 

 

「確かに、此奴は今の俺が何とかできる相手じゃない」

 

 

「そうだね。じゃあ、さっさと逃げて…」

 

 

「俺も、契約の力を借りるとしよう」

 

 

「いや、中二っぽいこと言っても、無理なものは無理…」

 

 

 

 

 

 

少年が取り出したものを見て、僕は言葉を失った。

 

 

 

それは白銀のガイアメモリ。しかも、ドーパントが使用する、グロテスクな見た目ではない。

洗練された、僕たちが変身で使うようなメモリ。

 

 

 

 

 

「そして、ニート探偵。貴様は一つ勘違いをしている。

俺は”騎士もどき”ではない…”竜騎士”だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

《ドラゴン!》

 

 

 

 

”D”と刻まれたメモリのボタンを押し、メモリの名が叫ばれる。

 

ドラゴン…竜の記憶…

 

 

 

「我と契約せし白銀の竜よ、今こそ我が槍に力を!」

 

 

 

 

少年はそう叫び、ランスの形状の槍を構える。

 

その槍をよく見れば、竜の意匠が刻まれており、メモリのスロットも搭載されている。

 

 

 

「ちょっと待って…うそでしょ…」

 

 

 

 

少年は槍にメモリを装填。まるで騎士のように顔の前に槍を構えた。

 

 

 

 

 

 

「変身!」

 

 

 

 

 

 

叫ぶと同時に槍を掲げ、トリガーを引く。

 

 

 

 

 

《ドラゴン!!》

 

 

 

 

 

少年の体を白銀の装甲が包み込む。

 

 

その姿は、西洋の鎧のようなアーマーを纏い、まさしく騎士。

 

 

頭部は竜の頭の意匠が取り込まれており、黄色い複眼。

 

 

胸部の左側には、竜で象った”D”の文字が。

 

 

 

 

 

「我が名はエデン…天より出でし、断罪の竜騎士…仮面ライダーエデン!!」

 

 

 

 

 

少年は…エデンは槍をギャロウに向け、言い放つ。

 

 

 

 

 

「騎士の名の下に、貴様を裁く!」

 

 

 

 

 

 

マジデスカ。

 

 

 

 

 

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「新しい仮面ライダー…」

 

 

 

 

謎の少年が変身した仮面ライダーエデン。

2人目、いや3人目というほうが妥当であろうか。その存在は永斗も知らないものだった。

 

 

切風空介から、かつて仮面ライダーがいたことは聞いていた。

 

 

しかし、自分たち以外の仮面ライダーを見るのは初めて。

 

それも、彼は槍型のドライバーで変身する。ダブルとは異なるシステムの戦士で間違いないだろう。

 

 

 

エデンとギャロウは、互いに殺気を放ちながら、戦闘態勢で様子をうかがっている。

 

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 

 

気迫がぶつかり合い、その殺意が目に見えるように伝わってくる。

 

まさに、一触即発。そこに、テンションの高い声が割って入った。

 

 

 

 

「やぁっと来てくれたんだね、”D"のメモリ!」

 

 

 

 

両者の間にワームホールが出現、そこから現れるのは当然、朱月だ。

 

朱月はギャロウの背後にホールを作り出し、ギャロウが黒い空間の中に吸い込まれていく。

 

ギャロウの姿はそのまま消え、そこに残ったのは朱月とエデン。

そして、アラシの到着を待つ永斗だけになった。

 

 

 

 

「ギャロウちゃんには退散してもらったよ。ここまでやっといて、倒されでもしたら、オレがロウ君に大目玉食らっちゃうからね~。それに…」

 

 

 

朱月は手を掲げ、新たに上空にホールを出現させる。

 

 

 

 

「ニューカマーには、相応しい相手ってものがあるでしょ?」

 

 

 

 

 

ホールから人型の影が落下し、アスファルトの地面にひびが入る。

 

 

降り立ったのは、白いライオンの怪物。

右手に長く、鋭利な爪。頑丈そうな銀の鎧を纏い、その体格はエデンを圧倒している。

 

 

 

 

「アルビノレオイマジン。オレの手駒じゃ、6番手ってとこかな?」

 

 

 

アルビノレオイマジンは、空気を震わすほどの咆哮をし、エデンへと襲い掛かる。

 

 

 

 

「ほいじゃ、あとは楽しませてもらうよ~」

 

 

 

 

朱月は不敵な笑みを浮かべ、ワームホールへと消えた。

 

エデンはアルビノレオの攻撃をかわし、敵に槍を向けて自信ありげに言う。

 

 

 

 

「フッ…竜騎士たる俺の力が、こんな…えっと…

 

マーライオンで測れるものか!」

 

 

 

 

違います。それシンガポールのシンボルです。コイツは突然変異種(アルビノ)です。

 

 

と、ツッコみたかった永斗だが、黙っておく。

 

アラシはまだ到着しない。このライオン怪人は明らかに高い能力を持っている。

いくら新たなライダーと言えど、不利なのは目に見えている。

 

 

 

 

「無駄だ。お前は俺には勝てん」

 

 

「ほぅ。マーライオンってのは喋れるらしいな」

 

 

 

 

アルビノレオは再び、エデンに攻撃を仕掛ける。

 

巨体から振り下ろされた爪の一撃を、エデンは槍で防御。

 

 

流れるような動きでアルビノレオの腕を払いのけ、槍で横腹を殴りつけた。

 

 

 

「ぐぉっ!」

 

 

 

巨体が揺らぎ、そこにエデンは、素早く突きを放つ。

 

 

右腕のアーマーで防がれるが、すかさずもう一撃。

ヒットしたが、鎧の強度は高く、ダメージを与えられない。

 

 

しかし、エデンはひるむことなく次々と槍で攻撃を続ける。

 

 

一切の隙を見せることなく、連撃の雨がアルビノレオに降り注ぐ。

 

 

 

「小癪な!」

 

 

 

アルビノレオは再び咆哮。一瞬攻撃が緩んだところに、アルビノレオは口から火球を放った。

 

 

火球はエデンに直撃し、姿が爆炎に包まれた。

 

 

だが、その数秒後アルビノレオは驚愕することになる。

 

 

 

 

 

「なんだと……!」

 

 

 

 

爆炎の中からは、体勢を崩さず立ったままのエデンが現れた。

 

多少は効いているだろうが、そこまでのダメージには至っていないようだ。

防御力は、そもそもが高いスペックなのだろう。

 

 

 

「俺は竜騎士。竜の力を持つ者に火で挑むなど

愚の…愚の……ちょっこう?こっちょう?どっちだっけ…?」

 

 

 

 

エデンがくだらないことで悩んでいると、

アルビノレオはチャンスと言わんばかりに攻撃を仕掛けようとする。

 

 

それに気づかず、その攻撃はエデンにクリーンヒット。

 

防御力は高いが、やはり効いたようだ。

 

 

 

 

「やるな…この俺に一撃を浴びせるなど…」

 

 

 

 

セリフから馬鹿が丸出しだが、

余裕がないのと、面倒ということで、永斗は相変わらずツッコミを放棄。

 

 

 

 

「俺も少し本気を出すとしよう」

 

 

 

そう言って、エデンは新たなメモリを取り出す。

 

 

それはグリーンのメモリで、Gと刻まれている。

 

 

 

《グリフォン!》

 

 

 

エデンはそのメモリのボタンを押し、

ダブルでいうドライバー部分、腰の部分にあるバックル型メモリスロット”オーバースロット”に装填!

 

 

 

 

 

《グリフォン!マキシマムオーバー!!》

 

 

 

 

スロットから緑のラインがエデンの脚に向かって伸び、膝から下に収束。

 

緑の光を放ち、エデンの脚に爪がついたブーツ型の装甲が装備された。

 

 

 

アルビノレオは何かを感じ取ったのか、

二十体程の金と黒の兵隊”レオソルジャー”を出現させる。

 

 

 

 

「増援か。受けて立つ!」

 

 

 

 

脚の装甲から風が起こり、エデンの体が浮かび上がる。

 

そして空中で加速し、脚の爪でレオソルジャーを切りつけた。

 

 

攻撃を受けたレオソルジャーは爆発。

その衝撃で、エデンの体が宙に放り出される。しかし、エデンは空中で体の向きを変え…

 

 

 

 

 

空中を()()()

 

 

 

 

「喰らえ!」

 

 

 

 

エデンに装着された”ウィガルエッジ”は、風を起こす能力

そして、接した大気を一瞬だけ固体化できる能力を持っている。

 

 

空中を足場にしたことで、エデンはさらに加速。

 

その勢いのまま槍を突き出し、レオソルジャーを一気に何体か撃破した。

 

 

 

槍使いであるエデンにとって、足場は命。

 

空中を足場にできることにより、その力は戦い方によっては何倍にもなるのだ。

 

 

 

この装備をしている間、エデンの攻撃に死角はない。

 

 

数分後には、レオソルジャーは一体残らず倒されていた。

 

 

 

だが、それと同時にウィガルエッジも光となって消えてしまった。

 

 

 

 

 

「時間切れか…それなら…」

 

 

 

 

今度は紫のメモリを取り出すエデン。

 

スロットからグリフォンメモリを抜き、そのメモリのボタンを押した。

 

 

 

 

《ユニコーン!》

 

 

 

 

 

「ユニコーン…?」

 

 

 

そのメモリに疑問を感じたのは、永斗だ。

 

ユニコーンは最近ダブルが倒したドーパントが使っていたメモリ。

しかも、その後メモリの残骸は行方が知れない。これは偶然なのか…?

 

 

 

 

 

「主より授かった新たな力、試させてもらおう!」

 

 

 

 

 

《ユニコーン!マキシマムオーバー!!》

 

 

 

 

スロットにユニコーンメモリが装填され、

スロットから紫のラインが、エデンの胴体部分に収束していく。

 

 

そして光を放ち、エデンの右肩から胴にかけてプロテクターが装着された。

 

 

 

 

「小賢しい真似を…!」

 

 

 

 

アルビノレオは棒付きの鉄球、メイス型のモーニングスターを持ち、殴りかかる。

 

 

その一撃を、一角獣の角が光るプロテクター”モノケロスギア”は完全に受け止め、

右腕に持った槍で強烈なカウンターを放った。

 

 

 

槍はアルビノレオの鎧を粉砕。

 

 

すさまじい勢いで、アルビノレオはビルの壁に叩きつけられた。

 

 

 

 

「これが、騎士の一撃だ」

 

 

「バ…バカな……」

 

 

 

 

能力により、エデンの腕力は攻撃の一瞬のみ数倍にも跳ね上がっていた。

その威力を持ってすれば、大概の防御を打ち破ることは容易い。

 

 

 

 

「さぁ、審判の時だ」

 

 

 

 

エデンは槍を、”エデンドライバー”をオーバースロットにかざす。

 

 

 

 

《ガイアコネクト》

 

 

 

 

電子音が鳴り、エデンドライバーにエネルギーが充填されていく。

 

エデンは姿勢を低くし、槍を構え、詠唱を始めた。

 

 

 

 

「白亜の竜よ、紫苑の角獣よ。誇りを掲げしその牙で、勇猛なるその角で

今こそ其の罪を祓い、敵を穿て!」

 

 

 

 

 

紫電を纏った槍の輝きが最高潮に達する。

 

エデンは踏み込みと同時に、その槍を勢いよく突き出した!

 

 

 

 

 

《ユニコーン!マキシマムドライブ!!》

 

 

 

 

紫竜の穿角(レイ・グングニル)!!」

 

 

 

 

 

 

放たれた紫の衝撃波は、アルビノレオを貫通。

 

 

断末魔は爆炎の中に消え、その姿は形も残らず消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「永斗!ドーパントは…って…」

 

 

 

そこにバイクに乗って到着したアラシ。

 

アラシはバイクから降りて、ヘルメットを取り、状況を確認。

しかし、そこにはドーパントの姿はなく、代わりに爆炎に背を向ける騎士の姿が。

 

 

 

「アイツは…」

 

 

 

その姿を見て、アラシは呟く。

 

エデンの方もアラシに気づき、こちらを見ているようだ。

 

 

 

 

「本当、面倒くさい…」

 

 

 

 

結局わからなかった、ギャロウの正体と目的。突如現れた新たな戦士。

 

そして、対峙する2人の戦士。この先の展開を想像し、永斗はボソッと呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 

 

「あれがマキシマムオーバーシステム。中々興味深いシステムだ。しかし、あの力はドライバーで出せる範囲を超えている。となれば、あれはドーパントの近い力を持つことになり、体に直接挿入することなく毒素が回らないギリギリのところまで力を引き出していることになる。誰が考えたかは知らないが見事なシステムだね」

 

 

 

戦闘の様子を見て、饒舌な独り言を話す男が一人。

 

白衣を着ているが、右手は依然として失われたまま。

組織の最高科学者 天金狼だ。

 

 

そのまま、しばらくしゃべり続けていたが、

少し経つと急に黙り、不敵な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

「計画は順調。そして、”複合メモリ”の実験も順調だ…

 

そろそろ仕上げだ。見せてもらうよ、君の”恨み”がどこに向かうのか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はオリジナルライダーが登場しました!どうだったでしょうか?
最初はアクセルにしようかと迷ったんですが、アクセルはオリジナルフォームが作りにくく、パワーアップまで相当な時間を有するし、キャラ的な問題もありオリジナルライダーにしました。

一応、タグに追加しておきましたが…誰か気づいたでしょうか?

次回はエデンに変身する彼について詳しく。そして、ギャロウの目的も明らかに!
急展開はまだ終わりませんよ~!

感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案などございましたら、よろしくお願いします!


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