ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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思いの外時間がかかりました。146です。
今回はセンター決定戦三本勝負!さらに、その陰にはドーパントも…?

そんで、関係ないけど、もう少しでスーパーヒーロー大戦!

当日は都合上無理だけど、必ず春休み中に見に行ってやる…
あわよくばウルトラマンオーブも一緒に…





第18話 誰がためのC/リーダーの行方

ーアラシsideー

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーダーには誰がふさわしいか…」

 

 

 

 

にこの言葉で、部室に緊張が走る。

 

そう、それは先日のこと。

 

 

 

 

 

『穂乃果ちゃんって、どうしてμ’sのリーダーなん?』

 

 

 

 

この言葉からすべては始まった。

 

俺も薄々感じていたが、穂乃果はリーダーらしいことはほとんどしていない。

言ってしまえば、俺もマネージャーらしいことはしていないのだが、とりあえず置いておこう。

 

 

 

穂乃果がリーダーにふさわしくない。

 

この事実が明るみになったとたん気張りだしたのは、他でもないにこだ。

唯一の3年生だが、そんなこと誰も気にすることがない。それを気にしているのだろう。

 

ぶっちゃけどうでもいいし、それはコイツの小学生みたいな見た目と頭のせいなんだが、

とにかく、にこは自分の威厳を見せたくて仕方がないらしい。

 

 

 

 

「だいたい、私が部長についた時点で、一度考え直すべきだったのよ」

 

 

「リーダーね…」

 

 

「私は穂乃果ちゃんでいいけど…」

 

 

「ダメよ。今回の取材で分かったでしょ?この子はリーダーにまるで向いてないの」

 

 

 

 

ことりの主張をバッサリ切り捨てるにこ。

 

にこもリーダーって感じじゃないと思うんだが、本当にコイツの自信はどこから来るのだろうか。

 

 

 

 

「それもそうね」

 

 

「お前も結構ストレートに行くのな。真姫」

 

 

 

「そうとなったら、早く決めたほうがいいわね。PVもあるし。

リーダーが変われば、必然的にセンターだって変わるでしょ?新リーダーが、次のPVのセンターよ」

 

 

 

なるほど。コイツはリーダーの座に乗じて、センターも奪う気だな。

 

 

 

 

「アラシはちゃんとPVの案を考えてるんでしょうね?

私の…じゃなかった。μ’sの初PVなんだから、失敗は許されないわよ!」

 

 

 

 

オイ、今「私のPV」って言いかけたよな。心の声がダダ漏れじゃねぇか。

 

 

それと、さっきにこが言ったように、PVの企画は俺が担当することになった。

歌とダンスは既に練習は始まっている。あと決めるのは、場所や形式。

正直言って、まだあまり決まっていない。あまり時間はとってらんないんだけどな…

 

 

 

 

 

「でも…誰が…?」

 

 

 

花陽の質問を聞くと、待ってましたとばかりに、にこはホワイトボードをひっくり返す。

 

もう既に文字が書いてあるところ、用意周到である。

コイツの情熱は、本当にわけのわからんところに向くな…

 

 

 

 

 

「リーダーとは!まず第1に、誰よりも熱い情熱を持ってみんなを引っ張って行けること!

次に!精神的支柱になれる懐の大きさを持った人間であること!

そして何より!メンバーから尊敬される存在であること!

この条件を全て満たしたメンバーとなると…!」

 

 

 

「海未先輩かにゃ?」

 

 

「なんでやねぇーんっ!!」

 

 

 

にこの熱い演説は、どうやら皆に届かなかったようだ。

つーか、そもそも考えてみ。

 

熱い情熱はともかく、こないだの…

 

 

『ちょっと!なんでアクエリアスなのよ!

スポーツドリンクって言ったら、普通はポカリでしょ!?』

 

 

 

これのどこが懐が深いんだ。浅すぎて足がつくわ。

 

尊敬つったって、そうしてるのは花陽や海未くらいで、

俺と凛にいたっては小学生扱いだぞ。現実見ろ、現実。

 

 

 

 

「私がリーダーですか!?」

 

 

「そうだよ海未ちゃん!向いてるかも、リーダー!」

 

 

「それでいいのですか!?リーダーの座を奪われようとしているのですよ?」

 

 

「別に…みんなでμ’sをやっていくのは一緒でしょ?」

 

 

 

 

そもそも穂乃果にはリーダーとしての自覚がなかったらしい。

まあ、今までリーダーが機能を果たしていなくてもやっていけたし、

リーダーが誰でもいいってなれば、そうなのかもしれない。

 

 

 

 

「でも、センターじゃなくなるかもですよ?」

 

 

 

 

そう、花陽言う通り問題はそこなのだ。

 

穂乃果もそれに気づき、しばらく考えていたが…

 

 

 

 

 

「まぁ、いっか!」

 

 

「だろうな」

 

 

 

穂乃果の答えに、俺以外の奴は驚く。言い出したにこまで驚く始末だ。

 

穂乃果の返答は予想できたいた。

この単細胞のことだ、”みんなで歌えればそれでいい”とか思ってるんだろう。

 

 

 

 

「じゃあ、リーダーは海未ちゃんということで…」

 

 

「待ってください!

 

 

 

 

無理です……」

 

 

 

 

うん。こっちもそうだと思った。

 

 

 

 

 

「ことりは…副リーダーって感じだな。一年ってわけにもいかねぇし…」

 

 

 

 

にこの思惑通りになるのは、なんとなく気に入らない。

だが、思いのほか適任者がいないのだ。

 

 

 

 

「仕方ないわね~」

 

 

 

 

「やっぱり穂乃果ちゃんがいいと思うけど…」

 

 

 

 

「仕方ないわね~!」

 

 

 

 

「私は海未先輩を説得したほうがいいと思うけど」

 

 

 

 

「仕方ないわね~!!」

 

 

 

 

「投票がいいんじゃないかな…?」

 

 

 

 

「し・か・た・な・い・わ・ね~!!!」

 

 

 

 

 

にこは自分の存在を主張し続けるが、全員が華麗にスルー。

 

しまいには、メガホンで訴えるが…

 

 

 

 

 

「で、どうするにゃ?」

 

 

 

 

この始末である。

 

 

 

 

 

 

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「わかったわよ!こうなったら…歌とダンスで決着をつけようじゃない!!」

 

 

 

 

1時間ほど後、俺たちはなぜかカラオケ店に。ついでに永斗も緊急収集された。

 

 

にこはこの期に及んで、まだ諦めてないらしい。

人望ないんだし、さっさと諦めればいいのに…

 

 

でも、実力で白黒つけるというのは嫌いじゃない。

にこにしては、中々理にかなった手段だ。

 

でもどうせアイツのことだから、

 

 

 

『クックックッ…こんな事もあろうかと

高得点の出やすい曲のピックアップは既に完了してあるのよ。

これでリーダーの座は確実に…』

 

 

 

とか思ってるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

「でも、私はカラオケは…」

 

 

「私も特に歌う気はしないわ」

 

 

 

「それなら結構。リーダーの権利が消失するだけだから」

 

 

 

 

海未と真姫は渋るが、にこにとっては好都合なようだ。

特に真姫は歌、めっちゃ上手いからな。

 

 

 

「つーか、にこでも”消失”なんて言葉知ってるんだな」

 

 

「現役の高3よ!馬鹿にしすぎじゃない!?」

 

 

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

 

「ふぅ…恥ずかしかった…」

 

 

 

 

7人目の海未が歌い終わり、採点が始まる。得点は…

 

 

 

 

《93点》

 

 

 

 

「海未ちゃんも93点!」

 

 

「これでみんな90点以上よ♪

みんな、毎日レッスンしているものね♪」

 

 

「真姫ちゃんが苦手なところ、ちゃんとアドバイスしてくれるし…」

 

 

「気づいてなかったけど、みんな上手くなってるんだね~」

 

 

 

 

高得点に一喜一憂する一同だが、一人顔色が悪いのはにこだ。

 

 

 

 

「こいつら、化け物か…」

 

 

 

 

アイドル歴一応3年目ということもあり、よほどの自信があったんだろうが

結果は真姫、花陽に負けて94点で3位だった。

 

 

まぁ、皆90点以上ってのも別に不思議ではない。

元々の才能も高い奴らだし、何より楽しんで練習してる。

 

 

人は好きなもの、もしくは生きる上で必要なものは、身に付きやすいものだ。

 

 

 

「にしても、このパフェうまいな…始めてきたが、カラオケも悪くn」

「あっ!そういえば、まだアラシと永斗が歌ってないじゃない!」

「はぁ!?」

 

 

 

コイツ…せめて俺たちに勝って、デカい顔しようとしてんな!?

 

 

 

 

「歌わねぇよ!俺はリーダー決定戦に関係ない…」

「え、歌わないの?僕もう予約したんだけど。デュエットで」

「なんでテメェはここだけやる気満々なんだよ!」

 

 

 

永斗の奴、今までゲームもせず静かだと思ったら、歌う曲考えてたのかよ!

 

 

 

「俺、曲とか全然知らねぇぞ!?」

 

 

「大丈夫大丈夫。アラシも知ってるから」

 

 

 

そうこうやってるうちに、イントロが流れ始める。

 

 

この曲は…

 

 

 

 

「Finger on the Triggerか…」

 

 

 

 

この曲は昔、永斗が事務所に来た頃。

永斗が空介と一緒によく歌ってた曲だ。確か、なんかのアニメの歌だったか?

 

 

 

「これなら知ってるでしょ?アラシのことだし、歌ってなくても耳コピできてると思うよ」

 

 

 

「そうだな…仕事中にうるさくて、何回お前と空介を怒鳴ったか覚えてねぇけど…

仕方ない、歌ってやるよ」

 

 

 

 

 

永斗がこの曲を選ぶとはな。アイツなりの励ましのつもりか?

 

 

 

そうだな。悔やんだって仕方ない。

 

 

 

今は、コイツらと楽しむか!

 

 

 

 

 

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《97点》

 

 

 

 

 

「うそでしょぉ!?」

 

 

 

 

 

俺と永斗のデュエットは97点。

真姫の98点には敵わなかったものの、花陽、にこを抜いて2位。

 

 

つーわけで、にこの完全敗北。当人は点数を前に打ちひしがれている。

 

 

 

 

「すごいよ!2人ともこんなに歌うまかったんだね!」

 

 

「コイツと息ぴったりだったのが、ちょっと不本意だがな」

 

 

 

 

 

 

 

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「次はダンス!今度は歌の時のように甘くないわよ!」

 

 

 

 

今度はゲームセンターに移動。

音ゲーを使い、ダンスの勝敗を決めるつもりらしい。

 

 

 

 

 

「ことりちゃん、もうちょっと右!」

 

 

「あ~…とれないよ~!」

 

 

「ちょっと貸して。こういうのは、タグに引っ掛けて…」

 

 

「「お~!」」

 

 

 

「アンタら緊張感なさすぎ!」

 

 

 

 

ことりと穂乃果がクレーンゲームで苦戦しているところを、

永斗がワンプレーであっさり取る。

 

 

ここはゲーセン。永斗にとっては、水を得た魚のようなものだろう。

 

 

 

 

「次は何やる?格ゲーか、それとも…」

 

「いつになく永斗くんの目が輝いてるにゃ!」

 

 

「人の話を聞きなさいよぉ!!私たちがやるのはコレ!」

 

 

 

 

そう言って、にこはゲームマシンを指さす。

 

 

 

「アポカリプスモードエキストラ!!これで勝負よ!」

 

「え~、それならドレミファビートやろうよ。

最近、幻夢がアーケードゲーム業界にも手を出し始めたらしいから」

 

 

「だいたい、凛は運動は得意だけど、ダンスは苦手だからな~」

 

 

 

 

凛と永斗が提案するが、2人は頑なに首を横に振り続ける。

どうせ…

 

 

 

『クックック…ダンスゲーム経験0の素人が挑んで、まともな点数が出るわけないわ。

カラオケの時は焦ったけど、これなら…』

 

 

 

とか思ってるんだろうが。

 

 

 

 

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「なんかできちゃったー!」

 

 

 

 

凛がプレイを終え、スコアはAA。

 

対して、にこのスコアはA。またしても敗北である。

 

 

 

ついでに俺や永斗もやった。スコアはAAとB。

 

 

来るパネルの場所をタイミングを合わせて踏むだけだから、割と簡単だった。

ただ、リズム感が足りなかったのか、最高のSには届かなかった。

 

 

永斗は最初のほうはリズム感バッチリだったが、中盤からバテ始め、

終わるころには屍になっていた。

 

 

 

 

「だからドレミファビートにしようって言ったのに…」

 

 

 

って言ったっきり、アイツはベンチで死んでいる。

そのうち復活するだろ。多分。

 

 

 

 

 

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「歌とダンスで決着がつかなかった以上、最後はオーラで決めるわ!」

 

 

 

「オーラ?」

 

 

 

「そう!アイドルとして一番過言ではないものよ!

歌も下手、ダンスもイマイチ、でも何故か人を引き付けるアイドルがいる!

それは即ちオーラ!人を引き付けて止まない何かを持っているのよ!」

 

 

 

「そうか、お前が威厳見せられなくて超焦っているのはわかったし、

そんなことに俺たちが付き合わされるのは、すっげぇムカつくが…

 

 

そのオーラ対決が、なんで秋葉原なんだ?」

 

 

 

 

俺たちは今、秋葉原のアイドルショップ前。

 

正直、オーラなんて対決できるものではないと思うが…

 

 

 

「そんなの決まってるじゃない!」

 

 

 

すると、にこはどこからか大量のチラシを取り出す。

 

 

 

 

「ビラ配りよ!!オーラがあれば黙っていても人は寄ってくるもの。

一時間で一番多くチラシを配れた人が勝者よ!」

 

 

 

 

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というわけで始まったビラ配り対決。

 

 

 

 

「う~ん。なかなか減らないな~」

 

 

 

穂乃果は前に何度か経験があるが、やはりいつもうまくはいかない。

 

20分ほど経つが、4分の1も配れていないのが現状だ。

 

 

 

すると、そこに一人の青年が通りかかったので、その人に声をかけることにした。

 

 

 

「μ’sです!スクールアイドルやってます!」

 

 

 

青年は右腕に包帯を巻き、大きな槍を背負い、

髪の色は暗い青で、ピンクに近い瞳の色をしている。

 

 

 

 

「ミューズ…神話の女神の名か…」

 

 

 

 

 

青年はチラシを手に取り、つぶやく。

 

 

 

 

「そういえば、誰かがそんなこと言ってたような…」

 

 

「つまり、貴様らは神の使い…ならば、一つ忠告をしておこう」

 

 

 

 

 

すると、青年は右手で片目を抑えるようなポーズをとり、語りだした。

 

 

 

 

 

「この世界は終焉に近づいている…この世界を救うことができるのは、大いなる力と契約せし戦士のみ…貴様らが終末の運命を受け入れるというなら、何も問わない。だが、運命に抗い、剣をとるというなら…この俺と盟友の結びを……」

 

 

 

 

そこまで言うと、青年は突然後ろを振り向いた。

 

 

 

 

「この気配…出たか……」

 

 

 

 

 

それだけ言ったと思うと、青年はどこかへ走り去ってしまった。

 

その様子を、呆然と眺める穂乃果。

 

 

 

 

 

「何だったんだろ…今の…」

 

 

 

 

 

 

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ーアラシsideー

 

 

 

 

 

開始から30分。俺の調子はというと、あまり良好ではない。

 

 

女性は受け取ってくれる人が多いのだが、男性は逆だ。

 

あと、秋葉原は変な恰好している連中が多いから、なかなか話しかけづらい。

 

 

他の奴らもなかなか苦労しているようだ。

 

にこの奴も、どうせ…

 

 

 

『クックック…今度こそ…チラシ配りは前から得意中の得意、

この、にこスマイルで……!』

 

 

 

 

とか思ってたんだろうが、

さっき見に行った感じだと、殆どチラシの量は変わってなかった。ざまぁ。

 

 

永斗に関しては、チラシを適当に置き、

「自由にお取りください」の張り紙を張って、地べたで寝ている。

もう無駄だと思ったので、ツッコむのはやめておいた。

 

 

 

 

「何にせよ、油断してるとにこにも負けかねねぇからな…」

 

 

 

 

焦って人を探していると、俺の肩が一人の男性にぶつかる。

 

 

 

 

「あっ!スイマセン…って……」

 

 

 

 

その男性はぶつかった衝撃で、持っていたバッグの中身をぶちまける。

 

 

そして、その中に入っていたものに、俺は絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

「ガイアメモリ……!」

 

 

 

 

 

俺にメモリを見られたのに気づき、男はメモリだけ拾ってその場から逃げ出す。

 

 

 

 

「待てや!」

 

 

 

 

俺はすぐに追いつき、男を行き止まりへと追い込んだ。

 

まさかこんなところでメモリに出会うとはな…

もうここまで、一般人にメモリが流通してるなんて……

 

 

 

 

「こうなれば…」

 

 

 

 

 

切羽詰まった男はメモリを取り出し、手のひらにメモリを突き刺した。

 

 

 

 

《ベアー!》

 

 

 

 

男の体は光に包まれ、全身に毛皮を纏い、鋭い爪をもった怪物

ベアー・ドーパントに姿を変えた。

 

 

 

 

 

「グアァァァ!!」

 

 

 

ベアーは腕を振り上げ、こちらに迫ってくる。

俺はすかさずダブルドライバーを装着。

 

俺と永斗の意識が繋がると…

 

 

 

 

『zzz…』

 

 

 

 

寝息が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

「まだ寝てんのか!いいかげん起きろやクソニート!!」

 

 

 

俺の叫び声で目が覚めたらしく、力のない永斗の声が聞こえてくる。

 

 

 

 

『あれ?今、朝?というわけで、二度寝を…』

 

 

「それ以上寝ぼけるんだったら、俺が永遠に眠らせてやろうか!?」

 

 

 

 

さすがに観念したらしく、ドライバーにメモリが転送されてくる。

 

 

 

 

《ジョーカー!》

 

 

 

 

俺もジョーカーメモリを装填し、ドライバーを展開。

 

 

 

 

《サイクロンジョーカー!!》

 

 

 

 

 

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「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

 

 

 

ダブルは迫りくるベアーの巨体をいなし、攻撃をかわす。

 

 

しかし、ベアーは二撃目をダブルに叩き込む。

 

ベアーのパワーは凄まじく、ダブルは勢いよく吹っ飛んでしまった。

 

 

 

 

「クッソが…」

 

 

 

 

ダブルはすぐに体勢を戻し、次の攻撃に備える。

 

 

ベアーが放ったパンチを、ダブルは見事に回避。

だが、その一撃はコンクリートの地面をえぐりとった。

 

 

 

 

 

『パワーが面倒。力だけなら最近会ったやつで一番じゃない?』

 

 

「かもな、さすが熊。で、どうすんだ?」

 

 

『動きで翻弄が、一番楽だね』

 

 

 

 

 

その一言で意思を読んだアラシは、ジョーカーをリズムに入れ替える。

 

 

 

 

《サイクロンリズム!!》

 

 

 

 

「っしゃあ!いくぜ!!」

 

 

 

 

 

サイクロンリズムにチェンジしたダブルは、ダンスの動きでベアーの攻撃を回避。

 

 

その動きに驚き、隙が生まれたところを、サイクロンの素早い動きで攻撃。

 

 

ベアーの巨体がよろければ、更に隙が生まれる。

そんな感じで、連鎖的に連撃を叩き込んでいった。

 

 

 

 

「ぐっ…仮面ライダーなんて、聞いてないぞ!」

 

 

 

 

 

たまらず、ベアーはその場から逃げ出す。

ダブルもすぐにそれを追う。

 

この辺りはもともと人通りの少ない場所。少しいた人も、さっきの騒ぎで逃げている。

変身解除されて、人ごみに。なんて心配はない。

 

 

 

ベアーの背中を追い、追いつきそうになったその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りの雰囲気がガラッと変わった。

 

 

 

 

空気は冷たくなり、足元には霧。まるで目が赤くなったかのように、建物、地面、空までも、全てが赤く染まって見える。

 

 

 

 

『なにこれ……』

 

「モタモタしてると逃げられる。追うぞ!」

 

 

 

事実、ベアーは様子の変化も気にせず、逃走を続けている。

 

 

ベアーはダブルから逃れようと、角を曲がったが、

永斗の記憶だと、その先も行き止まり。これで、完全に追い詰めたはず。

 

 

そう信じ、ダブルは曲がり角を曲がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……」

 

 

 

 

 

 

 

その先の光景に、ダブルは言葉を失う。

 

 

 

そこにはベアーの姿はあった。

 

 

 

しかし、どこからか釣り下がった縄で首をつられた、変わり果てた姿で…

 

 

 

 

 

「スタッグフォン!」

 

 

 

ダブルはスタッグフォンを変形させ、ベアーを吊っている縄を切断。

 

ベアーの体は落下するが、動く気配はない。

 

 

 

 

「死んでる…嘘だろ…?」

 

 

『僕たちがベアーから目を離したのは、ほんの数秒。

その間にドーパントを殺せるとなると…』

 

 

 

 

 

ダブルは視界の奥に、人影があることに気づく。

 

 

その人影は歩いてこちらへと向かってきて、ゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

「これでまた、この世界から罪人が減った」

 

 

 

 

濃かった霧が薄くなり、人影の姿がはっきりとあらわになる。

 

 

 

 

現れたのは、ローブのようなものを着て、顔がろうそくの火のような炎で覆われた怪人。

ドーパントであることは言うまでもない。

 

 

 

 

『ギャロウ…絞首台の記憶…』

 

 

 

 

「貴様は罪人か?それとも…」

 

 

 

 

 

ギャロウはダブルに向けて手を伸ばす。

すると、ダブルの頭上に縄が出現。ダブルの首をめがけ、襲い掛かる。

 

 

 

 

 

「ヤベぇ!!」

 

 

 

ダブルは反射的に回避。しかし、縄はまだこちらを向いている。

 

 

 

 

『ギャロウ、すなわち絞首台の記憶は、その名の通り縄で敵の首を絞める。

さらにこの空間は、いわば”処刑台”。この空間の中では、ギャロウの攻撃は一撃必殺。

首を絞められれば数秒と持たない。文字通り一発で殺せる能力だね』

 

 

 

「冷静に分析してる場合じゃねぇ!」

 

 

 

『まあ、まだ推測の段階だけどね』

 

 

 

「推測かよ!」

 

 

 

 

 

だが、今はその推測に頼るしかない。とにかく一回でも捕まればゲームオーバーだ。

 

 

 

ダブルは迫る縄をかわし、ギャロウへと近づいていく。

 

ギャロウに攻撃を浴びせようとしたが、背後からもう一本の縄が現れ、

ダブルはそれを避けるため、一度ギャロウから離れた。

 

 

 

「いいかげん鬱陶しいな」

 

 

 

ダブルはサイクロンをヒートへとチェンジ。

 

 

 

 

《ヒートリズム!!》

 

 

 

 

リズムフィストが炎を纏い、迫る縄に拳を突き出す。

 

すると、フィストから炎が噴出し、縄を跡形もなく焼き払った。

 

 

 

 

『確かにさっきの能力は強力だ。でも縄自体は大したスピードでもないし、こんな感じに簡単に処理もできる。僕たちにとっては、そこまで厄介とは言えない能力だったかな?』

 

 

 

永斗の声で得意げに話し、拳を構えてギャロウへと駆け出すダブル。

 

だが、ギャロウに焦った様子はない。むしろ、冷静のようにも見える。

 

 

 

 

「前座はここまでだ」

 

 

 

 

そう言うと、ギャロウの手に剣が現れる。

 

それは身の丈程もある大剣。処刑人の斬首用の剣といったところだろうか。

 

 

 

ギャロウはそれをダブルへと振り抜く。ダブルはその攻撃をすんでの所で避けた。

 

 

 

 

『これもギャロウの能力?パワーバランスおかしいでしょ』

 

 

 

 

だが、大剣はスラッシュで一度経験している。それを攻略したのもヒートリズムだ。

 

 

この間のように刀身へと飛び乗ろうとするが…

 

 

 

 

 

「悔い改めよ」

 

 

 

 

 

ギャロウの背中から、今度はギロチンの歯がついたアームが伸びてきた。

 

 

 

 

 

「このチート野郎……!」

 

 

 

 

《ルナトリガー!!》

 

 

 

 

 

 

ダブルはルナトリガーにチェンジし、光弾でギロチンアームを退ける。

 

 

 

恐らく、今までの攻撃すべてが一撃必殺。ここまで多彩な攻撃だと、攻略も容易ではない。

 

 

ダブルは身構えるが、対照的にギャロウはすべての装備を解除する。

 

 

 

 

 

 

「よそう、我は罪人以外を殺すつもりはない」

 

 

 

 

 

 

そう言うと、ギャロウは背を向け、ダブルから遠ざかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「罪人は裁かれ、腐った世界は首を切られる。

その処刑人こそ…我だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーアラシsideー

 

 

 

 

一時間後、部室。

 

 

 

チラシ配り対決が終わり、全員が部室に戻っている。

にこはと言うと、やはり良くなかったのか、回る椅子でぐるぐる回りながら絶望の表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっぱりみんな同じだぁ」

 

 

「そうですね。ダンスが苦手な花陽は歌がよくて、

カラオケが悪かったことりはチラシ配りが良く…」

 

 

「結局、みんな同じってことなんだね♪」

 

 

 

 

「にこ先輩も流石です。みんなより全然練習してないのに、同じ点数なんて」

 

 

 

 

凛の一撃でとどめを刺され、にこはそのまま机に突っ伏した。

 

 

 

 

「でも、どうするの?これじゃ決まんないわよ?」

 

 

「そうだな真姫。このままだと俺がリーダーってことになるが…」

 

 

 

 

その俺の言葉に反応したのは、撃沈していたにこだ。

 

 

 

 

「なんでアンタがリーダーなのよ!」

 

 

「カラオケもダンスもよかったんだから、順当だろうが!」

 

 

「チラシ配りはダメダメだったじゃない!!」

 

 

「あれはドーパントが出たから…って、マジでヤバかったんだからな!」

 

 

「ふ…二人とも落ち着いて…」

「「花陽、うるさい!!」」

「ご…ごめんなさい…」

 

 

「で、誰がリーダーをするのですか?」

 

 

「やっぱり海未先輩がいいと思うにゃ!」

 

 

「私はやっぱり穂乃果ちゃんが…」

 

 

「私はそもそもやる気ないし…」

 

 

「じゃあ、なくてもいいんじゃないかな?」

 

 

「そうだな…って……」

 

 

 

 

 

「「「「「「えぇ!!??」」」」」」

 

 

 

 

 

なんかどさくさに紛れて言ったが、穂乃果からの予想外の提案で、一同は声を合わせて驚く。

 

 

 

 

「うん。リーダーなしでも全然いいと思うよ。

今までそれで練習してきて、歌も歌ってきたんだし」

 

 

「でも、それではセンターが…」

 

 

 

そう、さっきも言ったがそれが問題だ。

企画する側からしても、センターは決まっていたほうがいい。

 

 

だが、穂乃果にはアイデアがあるようで、話を続ける。

 

 

 

 

「私思ったんだ、皆で順番に歌えたら素敵だな~って。

そんな曲、作れないかな~って…無理かな?」

 

 

「つまりは…全員がセンターってことか…」

 

 

 

 

全員がセンター。そのありきたりで、誰も思いつかなかったアイデアに

全員が目を輝かせているのがわかる。

 

 

 

 

「歌は…作れなくもないですね」

 

 

「そういう曲、なくはないわね」

 

 

「ダンスも、今の7人ならできると思うよ♪」

 

 

 

 

全員がセンター…そんな前例、永斗に聞いたって知らないだろう。

初仕事だ。そのくらいの方が、俺もやりがいがある。

 

 

 

「俺も賛成だ。海未、真姫、ことりは、これから頑張ってもらうことになるが、やってくれるか?」

 

 

 

「「「もちろん!」」」

 

 

 

3人は声を合わせて、そう返事をする。

本当に頼もしい奴らだ。

 

 

 

 

「じゃあ決まりだね!みんなが歌って、みんながセンター!」

 

 

 

 

その提案に異議を立てるものはいない。

 

いろんな奴らが、肩を並べて、主張しあって前に進む。

 

 

それが、このグループ…μ’sだ!

 

 

 

 

 

 

 

とは言っても、本当は全員わかってんだろうな。

 

 

何事にもとらわれず、やりたいこと、面白そうなことに躊躇なく飛び込む。

 

 

それは穂乃果にしかないもの。

 

 

穂乃果が紛れもない、μ’sのリーダーなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ、PVの撮影場所…

ピッタリな場所があるじゃねぇか」

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________

 

 

 

 

 

 

全員がセンターという考えに賛同し、練習に励むμ’s。

 

 

その様子を、希は微笑みを浮かべて見ていた。

 

 

 

 

「あの子たちの今後…楽しみやね」

 

 

 

 

希はカードを一枚取り出し、それを見てまたも微笑んだ。

 

 

 

 

「星は動き出した…ってことかな?」

 

 

 

 

 

 

 

そのカードに描かれていたのは、”運命の車輪”。

 

 

 

 

 

 

 

その意味は「出会い」そして…「運命」

 

 

 

 




今回はレイシャキールさん考案の”ベアー・ドーパント”と、
ホワイト・ラムさん考案の”ギャロウ・ドーパント”を使わせていただきました!

レイシャキールさん、ベアーの見せ場少なくてすいませんでした!
他のアイデアは、きちんと活躍させますんで……


今回の騒動、次回に続きます。そして、次回から急展開が…?


感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案などございましたら、よろしくお願いします!

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