ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

17 / 77
西木野一輝(にしきのかずき)
名前の通り、西木野真姫の兄。18歳。
病的なほどのシスコンで、真姫からはひどく嫌われている。早い話、変態。
容姿はつり目で赤い髪をしているなど、真姫の所々似ているが、性格は楽観的でノリは軽く、妹とは似ても似つかない。ただし、妹に近づく男には容赦しない。
長男にもかかわらず病院を継がないなど、色々と謎も多いが…?
名前の由来は、仮面ライダーブレイドに変身する剣崎一真役の、椿隆之さんが真姫推しということで、「剣崎一真」から「一」をとっている。


特技:剣道(全国優勝経験あり)、その他自称オーバースペック(真偽は不明)
好きなもの:真姫、歴史(特に戦国時代、主に戦国時代)、スルメイカ
嫌いなもの:真姫に近づく男、豆腐




恐ろしいのは…私自身の更新速度の遅ささぁ!
最近、壇社長にドはまりした146です。


なぜ!更新速度が遅いのかぁ!!なぜ!連載半年もたつのに、まだ本編が6話なのかぁ!!
それは…私の学校がテストをやたらするからだぁ!!フハハハハハッ!!


さて、テンションがおかしくなってきたので、そろそろ本編に入りたいと思います。

新たにお気に入り登録してくださった、
嗣雪さん レイシャキールさん スターゲイルさん ミルクティー改弐さん
そして満を持して、名もなきA・弐さん!

ありがとうございます!



第17話 誰がためのC/突撃、隣のスクールアイドル

 

 

「あの~…」

 

 

「ハイ、笑って」

 

 

 

 

困惑しながらも、ぎこちない笑顔を浮かべる穂乃果。

 

 

どういうわけか、穂乃果の前にはカメラを持った凛が立っていて、レンズを穂乃果へ向けている。

その横では希がナレーションを入れている。

 

 

 

 

「じゃあ決めポーズ!」

 

 

「え…えっと…お前の罪を数えろ!」

 

 

「これが、音ノ木坂学院に誕生したμ’sのリーダー、高坂穂乃果その人だ」

 

 

「はい、OK!」

 

 

 

 

「OKじゃねぇよ。人の決め台詞パクんのは著作権法違反だ」

 

 

 

 

凛が撮影をストップすると、すかさずバイトの休憩中のアラシが突っ込みを入れる。

 

 

 

 

「何やってんだ。生徒副会長って案外暇なのか?」

 

 

「ひどいなぁ。今度、生徒会で部活動を紹介するビデオを作ることになって、

ウチはその取材をしてるだけや。それに、細かい仕事はえりちに任せてるし、問題ない!」

 

 

「お前の意識に問題があると思う。

まぁ、それで知名度が上がるんなら、悪い話でもないかもな」

 

 

 

 

アラシはふと、メンバーに目をやる。

 

凛はカメラを持ってノリノリだし、穂乃果とことりも困惑はしているが、嫌ではなさそうだ。

今いない真姫や花陽も、たぶん大丈夫だろう。ただ…

 

 

 

 

 

「私は嫌です!カメラに映るなんて!」

 

 

 

 

問題は、ここにμ’s随一の恥ずかしがりや、園田海未がいることである。

 

 

彼女は作詞の才能もあり、スケジュール管理もしっかりしている。

μ’sへの貢献度であれば、マネージャーであるアラシよりも、多分上だ。

 

 

しかし、彼女のこの性格で、いままで幾度となく苦労してきた。

 

 

 

 

 

「取材…なんてアイドルな響き……」

 

 

 

 

 

もういっそ、みんなこのバカ(穂乃果)みたいに単純ならいいのに。と、アラシは思うが、現実はそうはいかない。

 

このミラクル単細胞は、10年に一度とかそういうレベルなのだ。

たくさんいたら、それこそ世界が滅びる。

 

 

 

 

「いいじゃねぇか。どうせライブもするんだし、その練習だと思えば」

 

 

「アラシまで…」

 

 

「ただし、取材に応じたらカメラ貸してくれよ。PVも作らなきゃだからな」

 

 

 

 

 

PVすなわち、プロモーションビデオ。

 

 

アラシもよくは知らないが、ただステージで歌うだけでなく、様々な場所で撮影した映像を組み合わせて作る、作品形式のライブらしい。

 

 

μ’sは既に7人だが、ファーストライブ以降ライブは行っていない。

 

時期的にも、そろそろ次をする頃合いだ。

 

 

 

 

「確かに…まだ3人でしかライブやったことなかったね。

そういえば、あのファーストライブの映像、結局誰が投稿したんだろう?」

 

 

「だよな…永斗でもないし俺でもない。お前じゃないよな?希」

 

 

 

「違う違う。ウチではないよ」

 

 

では(・・)?」

 

 

 

 

希の言葉に少しの不信感を抱くが、すぐに諦め、話を元に戻す。

 

 

 

 

「まぁいいや。じゃあ、PVのためにも取材を受けるのは決まりだ。

海未も新しい曲やったほうがいいって言ってただろ?丁度いいじゃねぇか」

 

 

 

「もぉ!本当に毎回ずるいです!!」

 

 

 

 

 

 

ちょっとだけ、海未の扱い方が分かったアラシだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________

 

 

 

 

 

 

 

放課後、部室。机の上のパソコンに映し出される映像。

そこには授業を受けている穂乃果の姿が映っていた。

 

 

 

 

「スクールアイドルとはいえ学生である。

プロの様に時間外で授業を受けたり、早退が許されるようなことはない。

よって……」

 

 

 

 

穂乃果、寝落ち。

 

 

 

 

「こうなってしまうこともある」

 

 

 

 

映像が切り替わり、パンにかぶりつく穂乃果。

 

 

 

 

「昼食をしっかりとり、再び熟睡」

 

 

 

 

昼からの授業に、当然のように爆睡する穂乃果。

 

 

まもなく、先生に見つかり、背中をたたかれて驚いた穂乃果は、

バランスを崩して机を巻き込み、椅子ごと転倒。

 

 

 

 

「これが、スクールアイドルとはいえ、

まだ若干16歳、高坂穂乃果のありのままの姿である」

「ありのまますぎるよ!」

 

 

 

「よく撮れてたぞ。ことり、グッジョブ」

 

 

「こっそり撮るの、ドキドキしちゃった♪」

 

 

「ことりちゃんが!?なんかショック!」

 

 

 

 

「他にもこんなのがあるよ」

 

 

 

 

そう言って、希は別の動画を再生させる。

 

 

そこに映っていたのは、箒を持って掃除をしているアラシ。

 

 

 

 

『切風アラシ、16歳。年齢は高校生ながら、昼間から働いている。

今日は、この青年の生態を暴いていきたいと思う』

 

 

 

 

丁寧にナレーション付き。しかも、この声は完全にあのニートだ。

 

 

 

 

『バイトが始まり、1時間。通りすがる女子高生に写真を撮られる。

それもそのはず。様々な事件(笑)があり、アラシは学院内では有名人だ』

 

 

 

映像を見ているアラシの肩が震えているが、映像はまだ続く。

 

 

 

『その後、嫌そうにアラシは動物小屋へ向かう。今日は水曜日、動物小屋の掃除の日だ。

小屋に到着し、掃除をしようと近づこうとした瞬間、アルパカの唾が命中』

 

 

 

その後も、悪意たっぷりに編集された映像が5分くらい続く。

 

 

 

『以上が、切風アラシの生態でした。ではまた次回!

制作 士門永斗  協力 音ノ木坂学院新聞部』

 

 

 

 

「今すぐその映像を消せ。俺は製作者どもを消してくる」

 

 

 

 

 

その目に本気の殺意を感じた他のメンバーは、海未、凛、穂乃果の3人がかりで止めに入る。

 

 

 

「落ち着いてください!」

 

 

「そうだよ!」

 

 

「永斗くん死んじゃうにゃ!!」

 

 

「うるせぇ!人がバイトしてる時に、こんなことしやがって…!」

 

 

 

 

 

抵抗するアラシの腕がことりの鞄に当たり、

チャックが開いていた鞄の中身が、床にぶちまけられた。

 

 

 

 

「悪い!って…なんだこれ」

 

 

 

アラシはそこから出てきた写真のようなものに手を伸ばす。

 

すると、その手が届く前に、ことりは写真を目にもとまらぬ速さで回収した。

 

 

 

 

「オイ、ことりそれって…」

「ナンデモナイノヨ」

 

「いやでも…」

「ナンデモナイノヨナンデモ」

 

 

 

この反応にデジャヴを感じたアラシは、それ以上言及するのはやめた。

 

 

 

 

「DVDが完成したら、各部にチェックをしてもらうようにするから、

問題あったらその時に…」

 

 

「でも!その前に生徒会長が見たら…」

 

 

 

 

 

『困ります。貴方のせいで、音ノ木坂が怠け者の集団に見られてるのよ』

 

 

 

 

「って……」

 

 

 

「事実怠け者だろうが」

 

 

 

涙目で訴える穂乃果を、バッサリ切り捨てるアラシ。

 

 

 

「まぁ、そこは頑張ってもらうとして…」

 

 

「希先輩助けてくれないんですか!?」

 

 

「本当はそうしたいんやけど、ウチができるのは誰かを支えてあげることだけ」

 

 

 

「支える?」

 

 

 

 

希の言葉に疑問を感じたのか、穂乃果が首をかしげる。

 

そして、次にアラシが口を開いた。

 

 

 

 

「ずっと聞きたかったんだけど、お前はなんで…」

 

 

 

 

 

アラシのセリフが終わる前に、部室の扉が勢いよく開く。

 

 

そこから出てきたのは、息を切らしたにこだった。

 

 

 

 

「取材が来るって本当!?」

 

 

「知らん。帰れ」

 

 

「そうね…って、騙されるわけないでしょ!」

 

 

 

 

にこはカメラを構えた凛と、マイクを持った希を見つけると、

息を落ち着かせ、満面の笑みで振り返った。

 

 

 

 

「にっこにっこにー♡

皆んなの元気のにこにこにーの、矢澤にこでーす♡

え~っと~、好きな食べ物は~?」

 

 

 

「ごめん、そういうのいらないわ」

 

 

 

希の否定と同時に、全員がうなずく。

アラシにいたっては、中指を上に向けて”ファッキュー”のサインをとっている。

 

 

 

 

「部活動の生徒の、素顔に迫るって感じにしたいんだって~」

 

 

「素顔…?オッケーオッケー。そっちのパターンね~」

 

 

 

 

 

若干がっかりした感じのにこだったが、

すぐに部屋の隅に行って、髪を結んでいたリボンをとって立ち上がった。

 

 

 

 

 

「いつも?いつもはこんな感じにしてるんです。アイドルの時のにこは、もう一人の私。髪をキュッと留めた時に、スイッチが入る感じで……

あっ…そうです。普段は自分のこと、にこなんて呼ばないんで…グホォッ!!」

 

 

 

 

清楚系お嬢様を装うにこにイライラが限界に達したのか、

アラシは鞄をにこの腹部にスマッシュ!

 

 

うずくまるにこを気にもせず、一同はそのまま足早に去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

 

「た…助けて…」

 

 

 

 

KO状態のにこを部室に放置し、一同は中庭に。

 

来ていなかった一年生の2人を集め、花陽に取材をしているところだった。

 

 

 

 

「緊張しなくても平気!凛もいるから、がんばろ?」

 

 

 

 

 

凛のおかげが大きいが、海未に次いで恥ずかしがり屋の花陽も、大丈夫そうだ。

 

 

だが、今回の問題は…

 

 

 

 

 

 

 

「私はやらない」

 

 

 

 

 

Ms.積極性皆無 西木野真姫である。

 

 

凛は呼びかけているが、指で髪の毛をクルクル回しているだけで、来ようとはしない。

 

 

 

 

「予想はしていたが、前途多難だな…」

 

「アラシ君が頼めばイッパツだと思うけど…まぁ、ここはウチに任せて」

 

 

 

 

そう言うと、希はカメラを真姫に向けて、ナレーションを入れる。

 

 

 

 

「真姫だけは、インタビューに応じてくれなかった。

スクールアイドルから離れれば、ただの多感な15歳。これもまた自然なことだ…」

 

 

「何勝手にナレーションかぶせてんのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

結局、1年生全員がインタビューを受けることになり、3人はカメラの前に並んだ。

 

 

 

 

「まず、アイドルの魅力から聞いていきたいと思います。最初に花陽さんから」

 

 

「えぇ!?えーっと…その…」

 

 

「かよちんは昔からアイドル好きだったんだよね!」

 

 

 

 

カメラの前で緊張してしまう花陽を凛がフォロー。

付き合いが長いだけはある。

 

 

 

 

「それでスクールアイドルに?」

 

 

「あ、はい…えっと…ぷっ、ぷふっ!」

 

 

「ちょっと止めて!」

 

 

 

 

インタビューの途中、花陽は突然笑い出し、真姫はカメラを止めさせた。

 

 

その理由は、カメラを持った穂乃果の変顔。

そして、ひょっとこの面をかぶったことりだった。

 

 

 

 

「いや~緊張してるみたいだから、ほぐそうと思って…」

 

「ガンバッテイルカネ?」

 

 

 

 

その様子に笑いが止まらない花陽と凛だが、

海未とアラシはひょっとこ面がトラウマなのか、別方向を向いている。

 

 

 

 

「まったく!これじゃ、μ’sがどんどん誤解されるわ!」

 

 

「ん?真姫がμ’sの心配するなんて…珍しいな」

 

 

「べ…別に私は…」

 

 

 

アラシにそう言われ、赤くなる真姫。

 

シャッターチャンスとばかりに、穂乃果はカメラを向ける。

 

 

 

 

「撮らないで!」

 

 

 

 

 

 

__________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は一同が屋上へと移動。

 

 

今までの映像があまりにもふざけていたので、

そろそろ真面目な風景も必要ということで、練習の様子を撮影している。

 

 

 

 

 

「1・2・3・4・5・6・7・8」

 

 

 

海未が手拍子でリズムをとり、その様子をアラシは横で見ている。

 

 

 

 

「花陽はちょっと遅いです!」

 

「は…はい!」

 

 

 

「凛はちょっと早い!周りに合わせろ!」

 

「はいっ!」

 

 

 

「ちゃんとやりなさいよ~!」

 

「お前はまたステップ間違えてる!昨日言っただろうが!」

 

「わ…分かってるわよ!」

 

 

 

「真姫はもっと大きく!」

 

「はい!」

 

 

 

「穂乃果、疲れたました?」

 

「まだまだ!」

 

 

 

「ことり、今の動き忘れんな!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

「「ラスト!」」」

 

 

 

 

海未とアラシが号令をかけ、全員で決めポーズが決まる。

 

上手くいったように見えたが、まだ反省点があるらしく、海未とアラシは少し話をしている。

 

 

アラシは最近、海未と一緒にダンスのコーチングも行っている。

ステップ考えたりするより、こっちの方が向いているようだ。

 

 

 

 

 

「かれこれ一時間、ぶっ続けでダンスを続けてやっと休憩。

全員息が上がっているが、文句を言う者はいない」

 

 

 

 

 

「ちょっと!なんでアクエリアスなのよ!

スポーツドリンクって言ったら、普通はポカリでしょ!?」

 

 

「そんなに塩分取りたかったら、海水でも飲んでろ!

そんで飲みすぎてそのまま死ね」

 

 

 

 

 

文句を言う者はいたが、希は気にしない。

 

 

 

 

 

 

「でも、こういうのって普通リーダーがするんじゃ…」

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、休憩終わったら次はパートごとのステップ確認します。

イメトレきちんとやっておいてください」

 

 

再び海未が練習を仕切る様子を見て、希はそう呟いた。

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

 

その後、切風探偵事務所。

 

 

永斗にも話を聞きたいということで、ここに来たのだが…

どうやら永斗は珍しく留守。仕方がないので、ここで待っていることにした。

 

 

 

 

 

「ここは…ファーストライブの一件以来やね」

 

 

「だな。真姫と凛は初めてか?」

 

 

「凛は穂乃果先輩と一回来たことあるよ!」

 

 

「私は初めてだけど…」

 

 

 

 

 

真姫が部屋の中を物色していると、

アラシの机に写真立てに入った一枚の写真があるのを見つけた。

 

 

 

その写真には、まだ小学生くらいのアラシと、一人の男性が映っている。

 

 

 

 

「これって…」

 

 

「アラシ君のお父さん!?」

 

 

 

 

「そんな感じだね」

 

 

 

 

永斗がいつの間にか帰ってきていて、穂乃果の質問に答える。

 

 

 

 

「その人は切風空助。この事務所の創始者で、組織と戦ってきた第一人者。

ドライバーを作ったのも、くーさんだね」

 

 

 

「話によれば、俺たちが仮面ライダーになる前にも、別の仮面ライダーがいたらしい。

それが空助だったのか、サポートしてただけなのかは分かんねぇが…

今となっては分かんないことだ。アイツは…空助は…

 

 

 

1年前に死んだんだ……」

 

 

 

 

アラシが発した思いもよらぬ言葉で、μ’sの7人は言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

「ハイ、暗い雰囲気も限界なんで、そろそろ穂むら行こうか」

 

 

「そうやね。永斗くんのインタビューもそこですればいいし」

 

 

「えー…」

 

 

 

 

 

希に続いて他のメンバーも事務所を出て、中には永斗とアラシだけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

「自分から話し振っといて黙らないでよ。トーク能力皆無なの?」

 

 

「うるせぇよ。ただ…ありがとな」

 

 

「別に無理して話さなくてもいいんじゃない。友達だからって、全部話す必要はないと思うし。

あと、何回も言うけど…くーさんが死んだのはアラシのせいじゃない」

 

 

 

 

 

そう言い残すと、永斗も事務所から出て行った。

 

 

一人残されたアラシは、思いつめたような表情で拳を固める。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでも……救えなかったのは確かだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________

 

 

 

 

 

用事があるとかで、にこ、真姫、花陽、ことりとは別れ、

穂むらへは残った5人で行くこととなった。

 

 

のだが…

 

 

 

 

 

「そういうことは先に言ってよ!ちょっと待って、化粧は…」

 

 

「生徒会の人だよ~。ちょっと、家族に話聞きたいってだけだから…」

 

 

「そうゆうわけにはいかないの!」

 

 

 

 

店に入ると店番をしていた穂乃果の母がいたから、話を聞こうと思ったが

カメラを見て、事象を聞くや否や、店の奥へと行ってしまった。

 

ちょっとしたことでも外へのイメージを保とうとする。

さすがは大人の女性といったところだろうか。

 

 

 

「ていうか、化粧してもしなくても同じだt」

 

 

 

 

穂乃果のデリカシーゼロ発言に、店の奥からティッシュ箱が飛んでくる。

 

ティッシュ箱は真っ直ぐ穂乃果の額にクリーンヒット。見事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

化粧がまだ終わりそうにないので、2階に行って妹である雪穂を紹介することにした。

 

 

 

 

「雪穂いる~?」

 

 

「あ…なんか嫌な予感が」

 

 

 

 

穂乃果が扉を開けると…

 

 

 

 

 

 

 

「もうちょい…あと…一穴~!」

 

 

 

 

 

必死にベルトを締めようとする雪穂の姿を見て、穂乃果はそっと扉を閉じた。

 

 

 

 

 

 

雪穂もダメそうだったので、仕方なく穂乃果の部屋に行くことにした。

 

 

 

「すいません…2人ともあんな感じで…」

 

 

「そういえば…お父さんは?」

 

 

「さっき厨房に行ったけど、断られちゃって…」

 

 

「穂乃果の父さんって、なんつーか…ハードボイルドって感じだよな」

 

 

 

 

 

穂乃果のお父さんは無口で、滅多に顔を出さない。

話によると優しい人らしいが、家族以外声を聴いたことがないと、もっぱらのうわさだ。

 

 

 

 

「そう、ここは皆集まったりするの?」

 

 

「俺達は事件がないときに限るけど…海未とことりは毎日来てるんじゃねぇか?

ここの和菓子うまいし」

 

 

 

そう言うアラシは、さっそく団子を口に運んでいる。

 

 

そんなやりとりをしているうちに、希は床に投げ出してあるノートを見つけた。

表紙には、歌詞ノートと丁寧な字で書いてある。

 

 

 

 

「これで歌詞を考えたりするん?」

 

 

「うん、海未ちゃんが」

 

 

「歌詞はだいたい海未先輩が考えるんだ!」

 

 

「じゃあ、新しいステップを考えるのは…」

 

 

「それはいつもことりちゃんが」

 

 

「ことり先輩は衣装も担当してたね」

 

 

 

 

ひとしきりの質問を終えた希に、一つの疑問が生まれる。

 

 

 

 

 

「じゃあ、あなたは何をしてるの?」

 

 

 

この質問はマズいと思ったのか、アラシの顔がこわばる。

永斗の顔も”これ以上言ってあげるな”とでも言っているようだ。

 

 

 

 

「う~ん……御飯食べて~テレビ見て~」

 

「それ日常生活!そうじゃなくて、もっとアイドルっぽいことを言え!」

 

 

「あっ!他のアイドルを見て凄いな~って思ったり、もちろん二人の応援もしてるよ!」

 

「ダメだコイツ…」

 

 

 

アラシの必死のフォローむなしく、希の口からこの言葉が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果ちゃんって、どうしてμ’sのリーダーなん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「辿り着いた…ここが魔都、東京……」

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉原の駅…の屋根の上で、都会を見下ろす青年が一人。

 

 

 

 

その青年は右手に包帯を巻き、大きな槍のようなものを背負っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが…我が新たな戦場」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう呟く青年の手には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白銀に輝く、一本のメモリが握られていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は少し短めですね。次回もこのくらいになる予定です。

感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案ありましたらお願いします!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。