ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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どうも146です。テストマジ爆ぜろ!(やけくそ)

今回はキャラ紹介お休みします。
ていうか深夜投稿するはいいが、起きるのがツラい…


今回はユニコーンの正体&オリフォームです!



第15話 Nの襲来/ウザくてバカでかわいい奴

「はぁぁぁぁ!!」

 

「でやぁぁぁぁっ!!」

 

 

闇夜の中、サイクロンメタルにチェンジしたダブルのシャフトと、スラッシュの剣が火花を散らす。

 

今回は、最初からスラッシュが得意な一刀流スタイル。

だが、迫る剣撃をなんとか弾きながら、ダブルも反撃を加えていた。

 

 

「どうして今回に限って現れた!天金の命令か?」

 

 

戦いながらも、アラシがスラッシュに尋ねる。

 

 

「笑わせるな。私は奴の配下ではない」

 

「何!?」

 

 

スラッシュは、ダブルの一撃を剣で防御する。

 

 

「我々の組織は、内部に複数の集団が存在する。

私が所属するのは”ある男”が組織したエージェント部隊」

 

 

スラッシュがダブルのシャフトを弾き、体に鋭い斬撃を浴びせる。

体勢が崩れたダブルに、スラッシュは剣先を向けた。

 

 

「コードネームは……”ファースト”」

 

「ファースト…一番手か…」

 

『道理で強いわけだ…』

 

 

その時だった

 

 

スラッシュが剣を振り上げた瞬間、

上空から飛んできた針が、地面へと突き刺さった。

 

 

2人が上方に目をやると、そこには謎のハチの怪物。

 

 

「なんだあいつ?新手のドーパントか?」

 

『いや…あれは…』

 

 

ハチの怪物は急降下し、ダブルに迫る。

ダブルは姿勢を低くして、その攻撃を回避。さらにシャフトを、ハチの怪物の腹部に叩き込んだ。

 

ハチの怪物はそのまま地面に落下。

だが、すぐに姿勢を戻し、上空に飛び上がった。

 

 

「ゴラゲパ・デババギバ・クウガ!」

 

「あ?何言ってんだ!?」

 

 

ハチの怪物は再び針を、ダブルにめがけて発射。

シャフトで弾き飛ばそうとするが、勢いが凄まじく、弾くことができない。

 

 

「痛ぇ…厄介だな…」

 

『それなら…』

 

《オーシャン!》

《ルナ!》

 

 

ダブルはドライバーのメモリを2本とも入れ替え、再び展開。

 

 

《ルナオーシャン!!》

 

 

黄と藍の形態 ルナオーシャンに変身し、オーシャンアローを構える。

強化された動体視力で、発射される針を回避。

 

狙いを定め、矢を放った。

 

矢は見事に命中。ハチの怪物が悶絶の声を上げる。

 

 

「お前の相手をしてる暇は無ぇんだよ!!」

 

《オーシャン!マキシマムドライブ!!》

 

 

オーシャンメモリをアローに装填し、弦を引く。

アローにエネルギーがチャージされ、一本の光の矢が放たれた。

 

矢は真っすぐハチの怪物に飛んでいくが、俊敏な動きで避けられてしまう。

 

 

「ゾボゾべ・サデデギス!」

 

『何言ってるかわかんないけど、粗方”どこを狙っている”とでも言いたいのかな?』

 

 

そう言うと、ダブルは右手で上を指さした。

 

そこには、避けられた矢がエネルギー球となって、

ハチの怪物の頭上に浮かんでいた。

 

 

 

「『オーシャンサウザンド!!』」

 

 

エネルギー球は空中で四散。無数の光の矢に変化。

そして、一斉にハチの怪物へと降り注ぐ。

 

この量を避けることはかなわず、ハチの怪物は木っ端微塵に爆発した。

 

 

『変身者がいない…やっぱりドーパントじゃ…』

 

「永斗!後ろ!!」

 

 

振り向くと、シカのような角を持った別の怪物が、すぐそこまで突進してきていた。

アラシはいち早く気配を感じ取ったが、時はすでに遅し。

 

巨大な角が、ダブルに迫りくる……

 

 

 

ザンッ!

 

 

 

一つの斬撃音がしたと思うと、怪物の体はガラスのように変化。

そして、砕け散るような音とともに消滅した。

 

消滅した怪物の先には、剣を振り下ろした体勢のスラッシュ。

 

 

「お前…なんで……」

 

 

アラシがその行動の真意を聞こうとするが、

その言葉は複数の奇声によってかき消されてしまう。

 

気づくと、2人の周りは5体の怪物によって囲まれていた。

 

 

それぞれ、緑の目をした人型の蜘蛛みたいな奴や、パンダとシャチが合体したような歪。

全身灰色のカマキリのような怪物、体にラインのはいったカメレオン。

そして、緑色の体に銅の文様と翼、鋭い爪を持った巨大な龍。

 

 

「別世界の怪物…朱月の差し金か……

邪魔をするな……!」

 

 

スラッシュは持っていた剣を捨て、一本の日本刀を出現させる。

 

 

「天下五剣 鬼丸国綱」

 

 

抜刀し、剣を構えるスラッシュ。

研ぎ澄まされた殺意で、辺りが凍り付く。

 

 

 

「レベル2」

 

 

 

次の瞬間、ダブルの後ろにいたカメレオン怪人が爆散。

 

そこにいたのは、スラッシュ。

だが、その半身は紫の炎を纏った異形と化している。

 

 

その様はまさしく───鬼

 

 

 

その姿をとらえた、カマキリとパンダの怪物はスラッシュに攻撃を仕掛ける。

だが、その攻撃が届く前に、斬撃が2体の体を裂断。

爆散し、それぞれメダルと灰になって消えた。

 

 

背後からスラッシュを狙う蜘蛛怪人。

それに気づいたスラッシュは、刀を蜘蛛怪人に振りかざす。

 

斬撃を何とか回避し、エネルギー弾を生成する蜘蛛怪人。

 

しかし、放たれたエネルギー弾は、一瞬でかき消されてしまった。

爆炎から現れたスラッシュは無数の剣を生成。炎を纏わせ、蜘蛛怪人に放つ。

 

全てが蜘蛛怪人に突き刺さり、爆発した。

 

 

残された巨大龍は、炎の息をスラッシュに放出。

炎がスラッシュを包んだように見えたが、そこには既にその姿はなかった。

 

 

スラッシュがいたのは、巨大龍の上。その一太刀は銅の翼を一撃で粉砕。

着地したスラッシュは構えの姿勢をとり、殺意を巨大龍に向ける。

 

 

「我流剣 三ノ技…」

 

 

スラッシュと姿が消えたと思うと、次の瞬間には巨大龍の向こう側に。

 

 

 

羅刹(らせつ)

 

 

 

巨大龍の体がバラバラに切断され、叫び声も上げず、大爆発を起こした。

 

 

「強い……」

 

 

アラシ、永斗は共に、驚くことしかできなかった。

こういうことを、格が違うというんだろう。

 

すべての怪人を倒し終えたスラッシュは、今度はダブルに剣を向ける。

 

 

「次はお前だ、仮面ライダーダブル」

 

 

その時、スラッシュの体に異変が起こる。

 

 

「ぐっ…ぐぁあっ!」

 

 

見ると、スラッシュの右手の生体コネクタが怪しく光り、体の炎が強くなる。

スラッシュ自身も苦しんでいる様子だ。

 

 

「ここまでか…覚えておけ、貴様を倒すのは…私だ」

 

 

 

そう言い残すと、スラッシュは姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を見ていた朱月。

 

 

「まさか、レベル2まで使えるとはね。さすがは”S”のメモリ…いや、あの能力は本来”剣士の記憶”には内包されていないんだから、凄いのはファースト君か

 

それにしても、あの姿……彼は一体、何を抱えてるのかな?」

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

6月2日 音ノ木坂学院

 

 

 

 

昨日、もう既に部員の人数はそろっていたという、衝撃(?)の事実に気づいた穂乃果たち。

 

そこで、生徒会室に部の承認をもらいに行ったところ、「もう学院内にアイドル部が存在する」らしい。生徒副会長によれば、そこの部長と話をつけ、2つの部を1つにできれば部として認められるとのことだ。

 

 

そういうわけで、そのアイドル部に来ているわけだが…

 

 

「あなたがアイドル研究部の部長!?」

 

 

そこにいたのは、昨日現れたμ’sアンチのツインテール少女 矢澤にこ。

 

彼女こそ、アイドル部の部長だったのだ。

 

 

穂乃果たちも心底驚いていた。

大体、毎日通るこの廊下に部室があるなんてことも気づかなかった。

 

よくよく見れば、扉の窓の隅に”アイドル研究部”というシールが貼ってある。

 

 

「ウニャァアアアッ!!」

 

 

にこは腕を振り回し、猫のような声で威嚇。

隙が生まれ、その間に扉を開けて部室に閉じこもってしまった。

 

 

「部長さん!開けてください!」

 

 

穂乃果は扉をドンドン叩くが、開く様子はない。

それどころか、にこは室内に入れないように、扉の前に箱を積み上げている。

 

 

「外からいっくにゃー!」

 

 

その言葉を聞いたにこは、即座に反応し、窓から逃げようとする。

窓を開け、身を乗り出すと、もうそこまで凛が走ってきている。

 

 

にこは急いで窓から降り、全力ダッシュ!

 

 

しかし、すぐに力尽き、凛に捕まってしまった。

 

 

「捕まえたー!!」

 

 

だが、にこは自身の凹凸のない体を利用し、スルリと凛の腕から逃れる。

 

 

「あっ!しまったにゃ!」

 

「捕まるもんですか!」

 

 

 

 

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ーアラシsideー

 

 

 

 

今日は雨天。しかし、バイトはかっぱを着れば問題なく行える。

ということで、俺はいつも通り清掃を行っているのだが…

 

 

「ファースト…か…」

 

 

昨日現れた、組織のエージェント一番手を名乗る人物 ファースト。

その実力は名に相応しく、圧倒的だった。

 

 

言ってしまえば、次元が違う。

 

 

「勝てるのか…?俺たちに……」

 

 

あの時、俺は奴に殺意を向けられたとき、怖気づいていた。

結局…俺は1年前と何も変わって無いってことかよ……!

 

 

 

「空助……」

 

 

 

その時、向こう側から人影が走ってくるのが見えた。

そいつの正体は、矢澤にこ。そして、それを追ってるのは凛だ。

 

 

「あっ!アラシさん!その人捕まえてください!!」

 

 

この瞬間、俺の中で次のような思考が展開された。

 

 

にこがこっちに向かって走ってくる→凛が捕まえろと言ってくる

→俺はこいつが嫌い→俺は今ムシャクシャしている→ただいま箒を装備中→

 

 

 

 

俺は走ってくるにこに向かって、箒を思いっきりフルスイングした。

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

 

「捕まえろとは言いました。ですが、誰がノックアウトさせろと言いましたか!?」

 

「そこにいたコイツが悪い」

 

「どんな理屈ですか!」

 

 

箒がクリティカルヒットし、にこはそのままKO。

そのことについて、俺は海未に説教を受けていた。

 

 

「でもいいじゃん。部室に入ることができたんだし」

 

 

穂乃果の言ったように、ここはアイドル研究部の部室。

 

室内にはアイドルのポスターやら、グッズやらが飾られており、

他の奴らはそれを見てはしゃいでいる。特に花陽の興奮が異常なレベルだ。

 

 

「こ…こ…これは…伝説のアイドル伝説DVD全巻BOX!!各プロダクションや事務所、学校などが限定生産を条件に歩み寄り、古今東西の素晴らしいと思われるアイドルを集めたDVD−BOXで、その希少性から伝説の伝説の伝説!略して”伝伝伝”と呼ばれる、アイドル好きなら誰もが知ってるDVD−BOXです!」

 

 

さっきからこの調子だ。キャラ変わりすぎだと思う。

 

 

「通販、ネットと共にオークションで瞬殺なのに、2セットも持っているなんて…」

 

「家にもう一セットあるけどね」

 

「じゃあこれみんなで見ようよ!」

 

「ダメよ。それは保存用」

 

 

保存用って…保存してどうすんだよ。売んのか?

ん?そういえば……

 

 

 

数か月前

 

 

 

「永斗ぉ!!ダブった人形買うなって、何回も言ってんだろうが!!」

 

「何言ってんの。観賞用、保存用、実用用で3つはいるでしょ!」

 

「人形に実用もクソも無いだろうが!!」

 

 

 

なるほど、にこは永斗と同人種か。苦手なわけだ。

ちなみに、花陽はDVDの視聴を拒否され、露骨に凹んでいる。

 

すると、今度はことりが棚にある何かに視線を向けている。

あれは…色紙?

 

 

「気づいた?秋葉のカリスマメイド ミナリンスキーさんのサインよ」

 

 

カリスマメイド…やはり、オタク文化はよくわからん。

 

 

「って、ことり知ってんのか?」

 

「え…いや…」

 

「ま、ネットで手に入れたものだから、本人には会ったことないんだけどね」

 

 

それを聞いたことりは、ホッとしたような表情を浮かべる。

 

 

「それで、何しに来たのよ?」

 

「おっと、そうだった。アイドル研究部さんっ!」

「にこよ」

「にこ先輩、実は私たちスクールアイドルをやっておりまして」

 

「知ってる」

 

 

知ってるだろ。昨日解散しろとまで言ったんだし。

 

 

「どうせ希に、部にしたいなら話をつけてこいとでも言われたんでしょ。

いずれ、そうなるとは思ってたけどね」

 

「おおっ!それなら話が早い!なら…」

 

「お断りよ」

 

「え?」

 

「お断りって言ってんの」

 

 

にこははっきりと、そう言い放つ。

 

 

「そこのバイト探偵にも言ったでしょ。あなた達はアイドルを汚しているの」

 

「そんな…」

 

「穂乃果、別にコイツに頭下げる必要は無ぇよ。

全員でコイツを袋叩きにして、ここから追い出せばいいだけの話だ」

 

「アラシさんがいつもに増してバイオレンスにゃ!!」

 

 

俺の発言を聞いたにこは、表情を変え、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

「何?3年間部長を務めた、私に逆らうっていうの?」

 

「こんな部、所詮お前の夢の残骸。

老害はさっさと消えて、未来あるやつらに部を渡したらどうだ」

 

「誰が老害よ!!」

 

「悔しかったら、アイドルらしいことの一つや二つ、やってみろ」

 

「わかったわよ、見てなさい…」

 

 

そう言うと、にこは後ろを向き、そして……

 

 

 

 

「にっこにっこに〜♡

 

あなたのハートに にこにこに~♡

 

笑顔届ける矢澤にこにこ〜♡

 

にこにーって覚えてラブにこっ♡」

 

 

 

 

目の前で謎の儀式が行われ、一同唖然、硬直。

 

 

 

「どう?」

 

 

それぞれの反応はこんな感じ。

 

 

「うっ…」←穂乃果

 

「これは…」←海未

 

「キャラというか…」←ことり

 

「私無理…」←真姫

 

「ちょっと寒くないかにゃー」←凛

 

「フムフム…」←花陽

 

「うわっ……」←俺

 

 

「そこのあんた…今、寒いって…」

 

 

にこは目元を暗くし、凛をにらみつける。

 

 

「い、いや、すっごく可愛かったです!ホント、サイコーです!」

 

「あっでも、こういうのもいいかも♪」

 

「そうですね!お客様を楽しませるという、努力は大事です!」

 

「素晴らしい!さすが、にこ先輩!!」

 

「やっぱり無理……」

 

「悪い、殺意が沸いた」

 

「真姫とアラシは空気読んでください!」

 

 

薄っぺらい誉め言葉+2人のド直球な批判に、にこが肩を震わせる。

 

 

 

「出てって」

 

 

 

にこに力づくで追い出され、廊下で呆然とする俺たち。

 

 

「あ~あ、追い出されちゃった…」

 

「ま、俺はまた仕事で会うんだが」

 

 

アイツ、やっぱ変だ。

いや、普通に変だが、そういう意味じゃない。

 

 

どこか張りつめてるというか…脅迫行為のせいか…?

いや……

 

 

「お前…そんなに弱く無いだろ……?」

 

 

 

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その数時間後、雨のせいで練習ができず、今日はそのまま解散。

各々が自宅に戻ったのだが、μ’sのバカトップ2が向かったのは…

 

 

「お邪魔しまーす!」

 

「永斗くんいる~?」

 

 

切風探偵事務所だ。

 

永斗はソファでゲームをしていたが、2人が来た瞬間、あからさまに面倒くさそうな顔をする。

 

 

「あっ、タドクエにゃ!

凄い!もうここまで進んでる!!」

 

「ここまでって…もう暗黒騎士クエは282週目だけど」

 

「に…にひゃくはちじゅうに!!??」

 

「全然落ちないよ邪神の剣…もう1%とか優に超えてるでしょ

あ~もう!この演出スキップできないの!?」

 

 

ゲーム機を操作しながら愚痴を垂らす永斗。

そうこうしているうちに暗黒騎士を倒したが、またもドロップはなかった。

 

 

「あれ?アラシ君は?」

 

「アラシなら調査に行ったよ。

なんでも、にこ先輩の周りをもっと調べるって」

 

「ふ~ん……」

 

 

コーヌスの一件以来、アラシはμ’sのメンバーに事件の事を話すようにしている。

 

だから2人も、アラシたちがにこの護衛をしていることは知っていた。

 

 

「探偵か…大変だね……

そうだ!私たちで、その事件を解決しようよ!!」

 

「にゃ!?」

 

 

穂乃果の突然な提案に、凛も驚きを隠せない。

だが、すぐに

 

 

「面白そうにゃ!!」

 

「でしょ!名探偵ほのりんホームズ結成だ!」

 

 

あっさり受け入れた。

そう、このバカ2人は単細胞なのだ。

 

 

「というわけで、ヒントちょうだい!」

 

「速攻でヒント求める探偵って……」

 

 

永斗は軽くあきれるが、とりあえずこの2人の好きにさせとけば、ゲームに集中できると考え

机の上に置いてあったスタッグフォンを渡した。

 

 

「この中に昨日の調査映像が一通り入ってるから、これ見といて」

 

 

それだけ言うと、永斗は奥の部屋に消えていった。

 

 

「よ~し!ほのりんホームズ出動だ!」

 

「にゃ!」

 

 

__________________________

 

 

 

ーアラシsideー

 

 

 

「よし…ここだな」

 

 

 

しばらくバイクを走らせ、俺はとあるキックボクシングジムにやって来た。

 

今日はキックボクシング部はオフ。

オフの日は、部長がここで練習をしているらしい。

 

そう、俺は部長である久坂陽子に話を聞きに来た。

昨日は断られてしまったが、彼女が必ず何かを握っているはずだ。

 

 

中に入ると、半そで姿の久坂が、俺を見つけてにらみつけてきた。

 

 

 

「何しに来たの?」

 

「決まってんだろ。話を聞きに来た」

 

「いやだって言ってんでしょ。さっさと帰って!」

 

「それで帰るんだったら、探偵は務まん無ぇよ」

 

 

久坂は険しい表情を続けるが、

しばらくすると、こちらにヘッドギアとグローブを投げてきた。

 

 

「勝負よ。私が勝ったら、今すぐ出てって」

 

 

大した自信だな。

当然か。久坂はキックボクシングで地区大会の優勝経験もある。

 

 

「わかった。だが、俺が勝ったら話を聞かせてもらうぞ」

 

 

俺はヘッドギアとグローブをつけ、リングに上がった。

 

 

 

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一方そのころ切風探偵事務所。

 

 

 

「全っ然わかんないね」

 

「うん」

 

 

全ての映像と資料を見終えたが、2人には何の見当もついていなかった。

 

 

「う~ん…怪物にヒントがあるのかな~?」

 

「馬…角…やっぱわかんないにゃ~」

 

 

すると、穂乃果が何かに気づく。

 

 

「ユニコーン…はっ!もしかして!

名前の中に”にこ”って入ってる!!」

 

「ホントだ!しかも、怪物が出る前ににこ先輩いなくなってる!」

 

「じゃあ…全部自作自演…?」

 

「あの性格ならありえるにゃ!」

 

「それじゃあ犯人はにこ先輩で……

いや、待てよ……」

 

 

ここに来て黙り込む穂乃果。

もう一度映像を見ているうちに、また何かに気づいたのだろうか。

 

 

「そうか…そういうことか…」

 

「何か分かったんですか!?」

 

「フッフッフ…気づかないかね?ワトリン君」

 

「にゃ!?」

 

「謎はすべて解けた!真実はいつも一つ!ジッチャンの名にかけて!」

 

「おぉ!パクり感が半端じゃないけど、なんか凄いにゃ!」

 

 

そんな謎劇場を見せられた永斗は、

関わるのが面倒なので、見てないふりをしていた。

 

 

 

 

________________________

 

 

 

ーアラシsideー

 

 

リングに上がり、久坂と顔を合わせる。

 

ルールは簡単。俺があいつを倒せば俺の勝ち。

男女のハンデとして、あいつは俺の顔に一発叩き込めば勝ちとなる。

 

 

「本当にいいの?ハンデ有りだと、すぐに終わるわよ」

 

「それはどうかな。キックボクシングは初めてだが、

俺とお前じゃ、くぐってきた修羅場が違う」

 

「言うじゃない…」

 

 

 

ジムのコーチの掛け声で、特殊ルールマッチが開始された。

それと同時に、久坂は俺の顔面を狙い、蹴りを放ってきた。

 

流石は優勝経験者。そこらのドーパントなんかより、全然鋭い蹴りだ。

 

だが、俺は落ち着いてそれを回避。

これで決まると思っていた久坂は、多少の驚きの様子を浮かべる.

 

 

「それで終わりか?だったら…」

 

 

今度は俺が、左足で蹴りの構えをとる。

久坂はそれに気づき、左手でガードをしようとする。

 

だが、それはフェイント。

俺はほぼノーモーションで、久坂の顔の右側に蹴りを放った。

 

若干の反応が遅れながらも、久坂は構えていた左手を右側に移動させ、ガード。

俺の一撃を完全に受け止める。

 

久坂は素早い動きで、カウンターをまたも顔面を狙って放つ。

それを俺は…

 

 

「はっ!!」

 

 

 

バク転でかわした。

 

着地すると、俺は右足を軸とし、利き足の左足で回し蹴りを放った。

蹴りは久坂の顔に届く寸前に止まり、俺は足を下ろした。

 

 

「俺の勝ちだ。さぁ、話を聞かせてもらおう」

 

 

 

ジムを離れ、近くの公園まで来た俺たち。

久坂はスポーツドリンクを、俺はおしるこを飲んで、ベンチに座っていた。

 

 

「まず聞きたいのは、お前と矢澤にこの関係だ。

お前が退部する前、お前らの関係はどんな感じだった?」

 

 

久坂は少し間をあけ、語りだした。

 

 

「親友だった。少なくとも、ほかの誰よりも。

アイドルのことだって、私は消極的じゃなかったし、最後まで残っていたのも私だった。

あの頃は…毎日が本当に楽しかった……ただ…」

 

 

そこまで話すと、久坂は突然黙ってしまう。

 

 

「ごめんなさい…ここからは…どうしても……」

 

 

その表情は、どこか苦しそうだ。何かに怯えているような…

 

 

「あぁ、それだけ聞ければ十分だ」

 

 

俺はおしるこを飲み干し、ベンチを立つ。

 

 

「お前は優勝経歴があるといっても、全国に出てからはいい結果を残していない。

成績だって伸びてないみたいだしな。

 

本当は後悔してるんだろ?にこを裏切ったこと」

 

「それは…」

 

「安心しろ。明日、俺が決着をつけてやる」

 

 

そのためにも、あと1つ…証言が必要だ…

 

俺は握った紙に書かれた住所を再確認し、

そこに向かってハードボイルダーを走らせた。

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

翌日 昼休憩、音ノ木坂学院

 

空き教室に呼び出されたのは、久坂陽子、夏目甲児、鈴島貴志音、矢沢にこ、あと数名の合計6人。

 

そこに現れたのは、穂乃果と凛。

なぜか探偵のコスプレをしている。ちなみに永斗から借りたものだ。

 

一つ、それっぽく咳払いすると、穂乃果は気取った口調で話し出した。

 

 

「みなさんに集まってもらったのは、他でもありません。

そこにいる、矢澤にこさんの脅迫事件のことについてです。

 

実は私……犯人が分かりました!!」

 

 

穂乃果のすごいドヤ顔で言ったセリフを聞き、何人かがザワザワする。

あと何人かは、凛が連れてきた全く関係ない人なので、キョトンとしている。

 

 

「これを見てください」

 

 

 

穂乃果がそう言うと、凛がバットショットをホワイトボードに向ける。

 

すると、バットショットから映像が映し出される。

これは穂乃果の無茶ぶりで、永斗が急いでつけた機能だ。

 

映し出されたのはダブルの戦闘映像。

 

ダブルが敵の懐に入り込み、ユニコーンの顔面に蹴りを入れようとする。

そこでユニコーンが右手でガードし、うずくまった。

 

凛はそこで映像を止めた。

 

 

 

「分かりましたか?この時、怪物は右手を打ってうずくまりました。

ですが、ここのダメージだけ大きいのは不自然じゃありませんか?」

 

 

 

穂乃果の言葉に、いくつか「確かに…」という声が聞こえる。

 

 

「そう、犯人は手をケガしていた!そして、怪物のこの戦い方…

犯人はあなたです!久坂陽子さん!!」

 

 

穂乃果は久坂を指さし、バシッと断言した。

 

 

「な…何言ってるの!私じゃない!!」

 

 

久坂は反抗するが、穂乃果は鼻で笑ってさらに続ける。

 

 

「無駄ですよ。あなたは1週間前に事故で手を負傷している。

そして、あなたはキックボクシング部の部長!これだけ揃えば間違いな……」

 

 

穂乃果は視線を感じ、ふと後ろを向く。

そこに立っていたのは、鬼のような形相のアラシだった。

 

 

「ア…アラシ君……」

「ちょっと来い」

 

 

2人はアラシに連れられ、廊下へ連行。

しばらくすると、アラシだけが教室に戻ってきた。

 

 

「確かにうちのバカが言ったように、一見犯人は久坂陽子のように思える」

 

 

何事もなかったように推理を話すアラシに、若干の恐怖を覚える一同。

だが怖いので、あの2人はどうなったか誰も聞かなかった。

 

 

 

「だが、それはフェイクだ。よく考えてみろ。

 

咄嗟だったとはいえ、ケガをしている手でわざわざガードする方が不自然だ

格闘家が、その程度の判断もできないとは考えにくい」

 

 

その言葉で、教室の空気が一気に緊張する。

確かに、アラシが久坂と戦った時、久坂は右の攻撃を左手でガードしていた。

 

 

「でも、それじゃあ犯人までは分からないんじゃないですか?」

 

 

そう言ったのは、新聞部の鈴島貴志音。

しかし、アラシは落ち着いて映像を再び再生した。

 

その映像に映ってるのは、離れたダブルに攻撃せず、急接近したダブルに驚くユニコーン。

 

 

 

「この時、ユニコーンは離れた仮面ライダーに攻撃しなかった。

でも、これは攻撃しなかったんじゃない。できなかったんだ。

そして、離れているとはいっても、接近されて隙を作るほど驚くのも妙だ

つまり犯人は……

 

遠くの敵が見えていなかった」

 

 

その言葉を聞いた一同の目線は、ある人物に集まる。

 

 

「ガイアメモリを使用すれば、着用している衣服やアクセサリーは、メモリの中にデータとなって保管される。当然、眼鏡も。すなわち犯人は視力が悪く、いつもは眼鏡をつけているが、メモリ使用の際に眼鏡が無くなったことで遠くが見えなくなった。この中で、視力が悪くて眼鏡をかけてんのは1人だよな…?」

 

 

アラシはある人物を指さし、目線を鋭くする。

そして、言い放った!

 

 

 

「アンタだよ、夏目先生!」

 

 

 

 

そう言われたのは、元アイドル部顧問の夏目甲児。

だが、夏目は落ち着いた様子で反論する。

 

 

「何をバカなことを…眼鏡をかけている?それだけで僕を疑うのかい?」

 

「それだけじゃない。5年前、ある学校で突然女子生徒が学校に来なくなり、間もなく自主退学。そして、3年前は男子生徒が遺書も残さず自殺。他にも多くの学校で、そんな事例が続いている」

 

「それが?よくある社会問題じゃないか」

 

 

「そうだ。だが、これらの生徒は全て、アンタが関係を持った生徒たちだ。しかも、アンタの交際相手は次々と謎の失踪を遂げている。これが偶然なわけないよな?」

 

 

夏目はしばらく黙っていたが、すぐに開き直り、弁解する。

 

 

「偶然さ!それとも、何か証拠でも?」

「あるよ」

「ッ……!」

 

 

アラシはポケットから一本のメモリを取り出した。

それはフロッグのギジメモリ。フロッグポッドで録音した音を、再生することができる。

 

 

「その事件の関係者に、片っ端から聞き込みに行った。

案の定、中々話してくれる奴はいなかったが、昨日の夕方からさっきまでで数人の証言を得られ、それらの証言すべてに、夏目甲児という教師の名前が出てきた。

 

アンタは昔から気に入った人物に目を付け、そいつをあらゆる手で追い詰めて、心が壊れていくのを楽しんでいた。3年前、矢澤にこに目を付けたアンタは、アイドル部のメンバーを全員辞めさせ、以後関わらないように脅しでもしたんだろう」

 

 

アラシの推理を、夏目は黙って聞いている。

当事者であるにこは、衝撃の事実に驚いている様子だ。

久坂は、聞きながら黙ってうなずいている。

 

 

「しかし、にこはそれでもアイドル部を続け、全く折れる様子がない。

そこで、2年前から脅迫状等を送り続け、にこを追い詰め続けた。それでもまだ折れないにこに、しびれを切らしたアンタは、ガイアメモリを購入し、足音や姿を現したりで、直接恐怖を与えた。

それらを全部、親友だった久坂の仕業にするため、アンタは変装して俺たちの事務所に現れ、調査と護衛を依頼。俺たちを利用して、久坂を脅迫の犯人にしたかったんだろう。親友に裏切られただけでなく、恨まれているとなれば、さすがのコイツも応えるだろうからな

 

 

どうだ、まだ言い逃れるつもりか?夏目先生よぉ!!」

 

 

 

推理が終わり、しばらく沈黙が流れる。

すると、夏目はかけていた眼鏡を床にたたきつけ、高笑いを始めた。

 

 

 

「そうさ!僕は気に入った生徒を壊すのが生きがいだった!

弱くいくせに屈さない。そんな奴らをこの手でぶち壊すのがな!!だが……」

 

 

 

夏目は、壊れた眼鏡を踏みつけ、にこを指さす。

 

 

 

「そいつだけは壊れなかった!!親友に裏切られても、恐怖を与えられても、

なぜだ!なぜお前はそれでも生きていける!!」

 

「アンタには一つ誤算がある」

 

「誤算だと?」

 

 

今度はアラシが、にこを指さして言った。

 

 

 

「コイツはバカなんだよ」

 

「はぁ!?」

 

 

 

予想外の答えに再び沈黙が流れるが、にこがアラシの胸倉を掴み、声を荒げる。

 

 

「アンタはここに来て罵倒ってどういうことよ!」

 

「やめろ。話を最後まで聞け」

 

 

アラシは、文句を言うにこをアイアンクローで制し、再び話し始めた。

 

 

「コイツはバカなんだ。バカだから、誰もついてきてないのに気づきもしなかった。

バカだから、裏切りの先にあった迷いに気づかなかった。バカだから、怪物の姿や音も、幻聴や幻覚ということで自分に納得させた。バカだから、誰かに頼らず、自分だけでなんとかしようとした。

 

 

バカだから…自分も人も、疑うことを知らねぇんだ」

 

 

 

若干バカ連呼にイラつきつつも、にこは黙って聞いている。

 

 

「コイツはどんな時も、”自分は正しい、強い”って自信を持ち続けたんだ。

だからコイツは、決して折れなかった。

 

わかったか夏目!お前はとっくに、この規格外のバカに負けてんだよ!!」

 

 

それを聞いた夏目は、またしても不気味な高笑いを始める。

そして、懐からユニコーンメモリを取り出した。

 

 

《ユニコーン!》

 

 

 

ボタンを押し、鎖骨部分にメモリを挿入。

その姿はユニコーン・ドーパントに変貌した。

 

 

「逃げろ!!」

 

 

アラシがそう言い終わる前に、一同は扉を開け、その場から逃げ出している。

だが、にこは逃げ遅れ、まだそこにいる。

 

それを見つけたユニコーンは、にこめがけて飛び蹴りを放った。

 

 

「にこ!!」

 

 

それに気づいた久坂は、にこを助けようと引き返すが、間に合わない。

ユニコーンの一蹴が、にこに届いてしまう……

 

 

 

 

寸前、アラシがにこを突き飛ばし、代わりにアラシに蹴りが直撃。

アラシの体は壁にたたきつけられ、壁を粉砕した。

 

 

「ちょっと!何やってんのよ!?」

 

 

にこはアラシのもとに駆け寄り、体を起こす。

 

 

「痛ってぇ…触んな」

 

「何よ!心配してあげてるのに!」

 

「元はといえば、お前がもっと早くに相談しなかったせいだろ!」

 

「言い分が理不尽過ぎない!?」

 

 

ユニコーンがそこまで迫ってるというのに、なんだか気楽な2人だ。

 

 

「いくら自信があっても、どうしようもないことだって山ほどあるんだ。

そういう時こそ、仲間を頼れ」

 

「私にはもう、仲間なんて…」

 

「違うだろ。お前は前も後ろも向かず、自分だけを見てきた。だから気づかないだけだ。

 

周りをよく見てみろ。お前を助けられる仲間は……ここにいる」

 

 

そう言って、アラシはダブルドライバーを取り出した。

 

 

「俺が仲間になってやる。だから、お前も俺を頼れ。

お前自身は嫌いだが、そういう根拠のない自信は嫌いじゃない」

 

アラシはにこに手を差し出す。

にこは、少々表情をゆがめながらも、その手を取った。

 

 

「信じて…いいんでしょうね?」

 

 

その時、にこの体が桃色の光に包まれ、光は収束し、球に。

その球はアラシの中に入っていった。オーシャンの海未の時と同じだ。

 

 

「矢澤…にこぉ…」

 

 

教室の中から、ユニコーンがこっちへ向かってくる。

アラシはにこを逃がし、ドライバーを装着。

 

 

《ジョーカー!》

 

 

 

ジョーカーメモリをベルトに装填。

転送されてきたサイクロンメモリを押し込み、ドライバーを展開した。

 

 

 

「変身!!」

 

 

《サイクロンジョーカー!!》

 

 

アラシの体が風に包まれ、仮面ライダーダブルへと変身。

それとほぼ同時にジャンプし、ユニコーンにパンチを叩き込んだ。

 

 

「はなっから容赦しねぇぞ!サイコ教師!!」

 

『いつにも増して、やる気満々だねー』

 

 

さらにダブルは、次々と技を叩き込む。

ユニコーンに攻撃のチャンスさえ与えない。

 

だが、ユニコーンは強靭な脚力で、一歩で距離をとる。

そして、角からエネルギー破を発射。

 

 

「そんなこともできんのかよ!」

 

 

その攻撃をダブルは何とか回避。

ユニコーンはその攻撃をさらに続ける。

 

 

『遠距離戦がお望みかな?じゃあ…』

 

 

ドライバーから2本ともメモリを引き抜き、入れ替える。

 

 

 

《ルナジョーカー!!》

 

 

 

ダブルは、右は黄、左は黒のトリッキー形態 ルナジョーカーに変身。

右腕を伸ばし、ユニコーンの体に巻き付け、こちらに引き寄せる。

 

 

「おらぁ!!」

 

 

寄ってきたユニコーンに、ダブルは片足キック。

その勢いでユニコーンは吹っ飛び、倒れる。

 

 

 

「お前に壊された人生の分の怒り、まとめて喰らえ!!」

 

《ジョーカー!マキシマムドライブ!!》

 

 

 

ジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填。

 

ダブルの体が2つに分かれ、右側が分身し、腕を伸ばして予測不能な打撃を繰り出す。

 

 

「『ジョーカーストレンジ!』」

 

 

そして、左側がエネルギーが込められた腕で、ユニコーンにトドメの手刀を叩き込んだ。

 

 

 

「ぐぁあぁぁああぁぁ!!!」

 

 

 

断末魔を上げ、ユニコーンは爆散。

 

だが、ダブルは気づいている。

その後ろの殺気に…

 

 

 

「来たか…」

 

 

 

ユニコーンの爆発の跡から、スラッシュが姿を現す。

 

 

「さぁ、続きと行こうか…」

 

 

スラッシュは剣を構え、ダブルへ襲い掛かった。

 

腕を伸ばし、木をつかんで上昇。スラッシュの攻撃を回避するダブル。

さらに、頭上から一撃を加えようとする。

 

 

気づいたスラッシュは剣で防御。

 

ひるんだダブルに向かって、生成した大剣を振り下ろした。

 

 

だが、そのダブルは幻影。

本物は、スラッシュの死角に潜り込んでいた。

 

 

気配を察知したスラッシュは、大剣をそちらに振る。

決定的な一撃は避けたものの、ダブルは攻撃を受け、吹っ飛んでしまった。

 

 

 

「やっぱ強いか…」

 

『本当に勝てるの?このチート性能』

 

 

 

ちょっと前のアラシなら、諦めていたかもしれない。

でも、アラシはにこの強さを知った。

 

自信だろうがなんだろうが、にこに負けてはいられない!

 

 

「当たり前だろ。幹部だろうが、ボスだろうが、俺たちが全員ぶっ倒す!!」

 

 

 

その時、彼方から飛来する謎の光る物体。

それはダブルの前で止まり、光が消え、ダブルの手に収まった。

 

 

「新しい…メモリ…!」

 

 

そのメモリは、音符で”R”と刻まれたピンクのメモリ。

 

 

 

《リズム!》

 

 

 

ダブルはルナメモリをヒートと、ジョーカーメモリを新たなメモリと入れ替える。

 

 

 

《ヒートリズム!!》

 

 

 

ドライバーを展開し、ダブルの体が変化

右側は赤く変色し、左側はピンクに。

 

その左腕にはグローブのようなものが装備され、

体のいたるところに、動きを補助するスプリングや、小型ブースターがついている。

 

これこそ”熱き鼓動”の形態 仮面ライダーダブル ヒートリズム!

 

 

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

「”R”のメモリ…面白い…!」

 

 

スラッシュはレイピアのような、細い剣を生成。

俊敏な動きでダブルに攻撃を仕掛ける。

 

しかし、ダブルはその攻撃を、無駄のない動きでよけ続ける。

 

 

「ならば…!」

 

 

今度は大剣を振りかざすスラッシュ。

 

さっきのように縦一閃に斬撃を放つが、ダブルはリンボーダンスのような動作でかわした。

 

さらにダブルはジャンプして大剣に飛び乗り、さらにもう一段ジャンプ。

スラッシュの胴体にキックを喰らわせ、軽快に着地した。

 

 

「すげぇな!体が軽い!!」

 

『リズム…鼓動の記憶か…

アラシ、ちょっと動きを僕に合わせて』

 

 

スラッシュは大剣を捨て、日本刀を生成。

本気になったということだろうか。だが、レベル2は使わないようだ。

 

スラッシュは刀を構え、一瞬で間合いを詰め、切りかかる。

 

ダブルはそれを、ステップを踏むように避け、腹に一撃を叩き込んだ。

 

 

「なっ……!」

 

 

隙が生まれ、次々と攻撃を畳みかける。

キック、パンチ、チョップ、エルボー。その様はまるで踊っているようだ。

 

 

『やっぱり、リズムに合わせての攻撃が有効だ。

コンボを重ねるほど、威力も上がってる』

 

「お前、いつダンスなんて覚えたんだよ」

 

『音ゲーなら熟知している』

 

「さいですか」

 

 

攻撃から立ち上がったスラッシュが、刀を横に構え、意識を集中させる。

次で決める。そう言っているように感じる。

 

 

ダブルもそれを感じ取り、左腕の”リズムフィスト”にメモリを装填。

 

 

《リズム!マキシマムドライブ!!》

 

「我流剣 二の技…」

 

 

 

双方が飛び上がり、剣と拳を交える…!

 

 

 

「『リズムスマッシュフィーバー!!』」

 

皇牙(こうが)

 

 

スラッシュから放たれた、神速の一太刀。

ダブルはそれを拳で迎え撃つ。そして…

 

 

 

迫る刃を粉々に砕いた。

 

 

「『らぁぁあぁぁぁ!!!』」

 

 

炎を纏った拳の連撃が、スラッシュに叩き込まれる。

 

そして、最後の一撃がスラッシュの体に直撃。

スラッシュは勢いよく地面にたたきつけられた。

 

 

土埃が晴れ、地面が見える。

しかし、そこにスラッシュの姿はなかった。

 

 

『逃げ足だけは早いね。組織の連中は』

 

「まぁでも、今回のは黒星ってことでいいのか?

結局、あの鬼モードは使われなかったし」

 

『確かにね、あれ使われたらマズいかも。だから…』

 

「だったらそれまでに強くなる。だよな相棒」

 

『今回、僕見せ場なかったんだから、そのくらい譲ってよ…』

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

6/4 活動報告書

 

 

 

ユニコーンを撃破、夏目も逮捕。矢澤にこ脅迫事件は幕を閉じた。

 

にこと久坂陽子はあの後仲直りし、再び友達になったらしい。

しかし、引き続きキックボクシングは続けるそうだ。

 

しかし、やはり謎なのは、このリズムメモリ。

 

永斗が検索しても分からないらしく、正直打つ手はない。”あて”もまだ使えそうにないし…

 

今回書くことはこれくらいだ。あと、いつもと違うといえば…

 

 

 

 

「いい?手はこうやって、ここに持ってきて、”にっこにっこ~♡”よ!」

 

「だから私はやらないって…」

 

「なるほど…さすがにこ先輩!」

 

「ほら!海未ちゃんもやって!」

 

「わ…私もですか…?」

 

 

ここがアイドル研究部の部室。そして、メンバーに矢澤にこが加入したことだ。

 

なんだかんだ言って、にこもまだアイドルをやりたかったらしい。

それか、また仲間がほしくなったか…

 

なんにせよ、μ’sに騒がしいのが増えたのには変わりはない。

 

 

俺たちもまだまだ強くなる必要がある。これからも、コイツらと一緒に。

 

 

 

「アラシ、何やってんの!アンタも一緒にやりなさい!」

 

 

 

前言撤回、やっぱりコイツは嫌いだ!!

 

 

 

 

_____________________________

 

 

 

 

「ご苦労だったな。朱月」

 

「いやいや、どうってことないよ~」

 

 

とある建物の屋上で話すのは、朱月と黒服の男。

 

 

「アイツは放っておけば、またレベル2を使っていた。

やはり、ファーストはまだ不安定か…」

 

「ふ~ん、ファースト君が心配なんだね~()()()

 

 

”ゼロ”そう呼ばれた黒服の男は、朱月に質問をぶつける。

 

 

「お前の組のメモリ事業拡大。調子はどうだ?」

 

「大抵はいいんだけどね…

実は、ウチの静岡支部がつぶされた」

 

「何…?」

 

 

思わぬ答えに、男の目が鋭くなる。

 

 

 

「アッチもただ黙ってはいないってことだね…」

 

 

 

まだ見ぬ相手を見据える朱月の目は、荒々しく輝いていた。

 

 

 

______________________

 

 

 

ところ変わって、理事長室。

またも誰かと電話で話す理事長。

 

 

 

「ええ、準備は完了したわ。対象も既に選定済みよ」

 

 

そう話す理事長の机の上、そこには…

粉砕されたユニコーンメモリが横たわっていた……

 

 

 

 

 

 

 




いろいろ詰め込んだ上にカットしてこんな感じになりました。反省しております。

そして、前回の投稿の後、多くのドーパント案が!
本当にありがとうございます!引き続き募集しております!!

さらに評価バーに色が付きました!評価してくださった皆様、本当にありがとうございます!(2回目)

今回は、異世界の怪人が登場しましたが、それぞれ何か分かるでしょうか?
全部平成ライダー怪人です。分かったら感想にでも書いていただけると嬉しいです。


感想、評価、アドバイス、オリドーパント案等ありましたら、よろしくお願いします!

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