そんなの貴利矢ショックに決まってるじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁ!!
貴利矢さん退場早すぎでしょ!唯一まともなライダーだったのに…
残ったやつ、二重人格、甘党、ボッチ、チャリで来た、しかいねぇよ!?どうすんの!?
大丈夫だ、まだ復活がある。東映サイトで見た花束はきっと目の錯覚だ。(錯乱)
未だショックから立ち直れない状態で書き終えた12話です。
「『これで決まりだ!』」
組織の研究所で一人、記録映像を見る天金。
その映像は一週間ほど前、ダブルがオーシャンメモリを入手し、
コーヌス・ドーパントを見事撃破した時のものだった。
「園田海未は適合者…これで僕の立てた仮説は立証された」
そうつぶやく天金の背後のホワイトボードには、
ボードが真っ黒になるほど文字で埋め尽くされている。
小難しい数式などが無数にあるが、それらすべてがガイアメモリに関係したことだ。
「次のターゲットは…
研究に過程はつきものさ…」
そう言うと、天金は装置からガイアメモリを取り出す。
そのメモリは赤、青、緑、黄色に分かれており、”E”の文字が刻まれている。
椅子に掛けていた白衣を羽織り、天金は歩きながら研究室の扉を開けた…
______________________________________
「………」
「………」
コーヌスを倒し、アラシがμ’sに復帰してから早6日。
今のところドーパントは出現せず、アラシも彼女たちとの日々を改めて楽しんでいる。
だが、それでも避けられない問題。それは圧倒的赤字と絶望的空腹だ。
ドーパントが出ないということは、怪物専門探偵である2人に仕事がないという事。
アラシも永斗も、体力温存のため完全セーブモード。椅子に座ったままピクリとも動こうとしない。
アラシは空腹より赤字のほうが精神的にきているらしく、2分に一回のペースでため息をしていた。
「なぁ永斗」
そんな中、アラシが不意に口を開く。
「何?」
「検索で空腹と赤字をいっぺんに何とかする方法とか探せないの?」
「地球の本棚はYahoo知恵袋じゃありませ~ん……」
「そうだ、閑古鳥を捕まえて焼き鳥にすれば万事解決じゃねぇか!
よーし!早速2人で閑古鳥を捕まえに……」
「閑古鳥は実在しないし、仮に捕まえられたとしてもガス止められてるから調理不可。以上」
極度のストレスで壊れたアラシと、ツッコミを放棄してマジレスする永斗。
事件があってもこんな2人に依頼したくない。
しかし、なんとかこの生活から脱出しなければと思い、2人は我に返る。
「こうなったら……あの手を使うか…」
「マジ…?」
__________________________________
ーアラシsideー
俺たちは事件が終わった後、依頼人から報酬をもらいそれで生活している。
しかし、依頼人が事件の関係者であったり、その他いろいろな事情などで
その場で報酬を払うことができない依頼者もある。
”あの手”とは、そんな奴らから未払いの報酬を回収することで、
ちなみに期間に応じて利子も付けている。オイ、誰だ闇金会社って言ったやつ。
とりあえず2軒回って、集まった額はおよそ5万円。
財布に万札が入ることがこんなにも嬉しかったのは、いつぶりだろうか…
とにかく借金返済の分を差し引いても、これで3週間は食っていける。
次に来たのはとある一軒家。
ここに住むのは……
「あ、久しぶりやん。アラシ君」
生徒副会長、東條希。
先日、未来予知の書き込みについて彼女に捜査依頼され、結局その書き込み主が未来を予知するドーパントになって彼女の命を狙っていた。
いろいろあったが、なんとか護衛に成功。
その直後に俺たちの正体が理事長にバレたり、借金が倍増したりして、報酬はまだ受け取っていなかった。
「報酬のことやろ。わかってる、ほら持ってって」
そういうと希は分厚い封筒を俺に手渡した。
「え、こんなに!?」
「ウチも命を守ってもらったんやし、このくらいはせんとね」
俺はありがたくそれを受け取り、希の家を後にした。
「それにしても分厚いな…いったい何十万入って……」
肩たたき券
「ちくしょぉぉぉぉおぉぉおぉ!!!」
やけに分厚いと思ったら全部肩たたき券じゃねぇか!
命守ってもらったお礼が、お父さんへの誕生日プレゼントレベル!?
まんまと騙された…アイツは今頃この状況を想像してニヤニヤしてんだろうな。
クッソ腹立つ……!
「とにかく、今すぐ戻ってもう一回報酬を…」
その時だった。
突然、凄まじい風が吹き、辺りの物を一斉に吹き飛ばした。
その風の強さは尋常ではない。まるで電柱も飛んで行ってしまいそうな、そんなレベルだ。
俺はそんな風の中、吹き飛ばされないように踏ん張る。
その数秒後、風がやみ、あたりが静寂に包まれる。
ひっくり返った車、粉砕された窓ガラス、剥がれた屋根のレンガ。
さっきまでの街からは想像できないような惨劇が、数秒間のうちに作り出されてしまった…
台風?いや、それにしては突然すぎる。
「一体、何が起こったんだ……?」
そんな俺を見つめる白衣の男がいたことに、
俺はその時、気づかなかった……
_____________________________________
ー永斗sideー
僕たちは事件が終わった後…ってアラシが説明しただろうから、説明は割愛。
というわけで報酬未払いのお宅に訪問するわけですが…
おっと、僕がまた「面倒くさい」っていうと思ったそこの君、残念でした。
なぜならそのお宅があるのは秋葉原。そして今日は…
幻夢コーポレーションの最新作「タドルクエスト」の発売日!
さすがの僕もテンション上がる。
幻夢コーポレーションはニ〇テ〇ドーみたいにたくさんのソフトを発売していない。
発売されたのはわずか5本やそこらだが、それら全てのクオリティーが高く、その辺のゲームとは一線を画しているほど。それ故にゲーマー勢からの評価も高い。
こないだ発売した「マイティアクション」も幻夢製だ。
僕自身も幻夢のファンなので、今回のソフトは何としても欲しい。
今回のミッションはこうだ。
数件分の未払い報酬を入手
↓
その中から5000円くすねる
↓
ゲーム屋に行ってソフトを入手
報酬から勝手にゲームを買ったなんて知れたら、アラシにシバかれる。
ていうか消される。
よって、今回のミッションは内密かつ迅速に。
既に報酬のほうは受け取った。あとはゲーム屋に急ぐだけだ。
数分後
店に着くと、そこには長蛇の列。幻夢は最近人気出てきたし、当然っちゃあ当然か。
といってもゴミのようだって言うほど人もいないし、
待ってもせいぜい30分くらいだろう。気長に待ちますか……
「わ~…すごい人だにゃ…」
僕が行列に並ぶと、店内に一人の女の子が入ってくる。
髪はオレンジでショートカット。体系は子供っぽいかな?
結論からして、めっちゃ可愛い。(確信)
その子はじっとこちらの方を見てくる。
そんな目で見ないで…可愛すぎて火傷するから……
「あの~どこかで会ったことないですか?」
まさかの逆ナン!?やめときなって…こんなニート誘ったって何も…
あれ?確かにどっかで会ったことあるような…
「思い出した!μ’sのマネージャーさんだ!」
「あ…ライブの時の…」
そうだ、この子はライブを見に来てくれた子だ。
「君も好きなの?幻夢」
「そうなんだー!凛、あんまりゲームとかやらないんだけど、ここのゲームだけはすごい面白くて!あ、星空凛っていうにゃ!よろしく!」
「士門永斗。よろしく…ちなみに年齢は高1」
「凛と同い年だ!背が低いから中学生かとおもってたにゃ!」
今サラッとひどいこと言わなかった?
どうせ僕はアラシみたいにイケスタイルじゃないですよ~だ。
そんな感じで話し続けていると、いつの間にか30分過ぎていて、僕の前の行列もなくなっていた。
趣味が合う人と、こんなに話したのは初めてかもしれない。
「次のお客様~」
僕は無事、「タドルクエスト」を購入。
機会があればこのゲームについても彼女と話したいものだね。
また会えるかな……
____________________________________
翌日
ーアラシsideー
月曜日が来た、即ちバイトの日々が戻ってくる。
昨日集めた分だけあれば、これからしばらくは大丈夫だろう。
しかしこれは単なるその場しのぎに過ぎない。もっと根本的に解決しねぇと…
それと気になるのが、あの時の強風だ。
調べてみたが、最近起こった騒動にも強風によるものがあった。
しかもその時は、風で建物数軒が木っ端みじんになっている。
他にも最近、火災や地割れ、あと突然森の木が粉砕されたりしている。何か関係があるのか…?
「あ~アルパカさん可愛い~♪」
「ことりちゃん最近よく来るよね」
「急にはまったらしいです」
今は昼休憩。よって
人が考え事してる時にのんきに…ていうかなんで学校にアルパカがいんだよ!
「可愛い…かな?アラシ君はどう思う?」
「別に…俺動物嫌いだし」
「え~可愛いよ~?首の辺りとかフサフサだし~はぁ~幸せ……」
アルパカの首をモフモフし続けることり。
大丈夫か?嚙まれたりするんじゃ…
「アラシ君も触ってみなよ♪」
「いや…だから俺は…」
「いいから♪」
ことりにグイグイ押され、恐る恐る茶色いアルパカに近づいていく。
本当に大丈夫……
ガブッ!!
「ぎゃあぁぁぁぁ!!」
手を出すや否や噛みやがったコイツ!
こうなったら俺のマキシマムで…!
「ダメだよ!」
「だからなんで心読んでんだよ、穂乃果!」
すると、後ろから体操服姿の少女が現れ、アルパカ小屋へ向かっていく。
そして俺を嚙んだアルパカの首や頭らへんをなでると、アルパカは急におとなしくなった。
あの子は…ライブを見に来てくれたメガネの子だ。名前知らねぇけど。
「遊んでて楽しかっただけだと思います…だから大丈夫だと……」
「本当に大丈夫なんだよな!?思いっきり手ぇいかれてますけど!!?」
メガネの少女は、くっきり歯形がついた俺の手を見て表情を変える。
「多分……」
「多分ってどーいうこと!?」
「もしかしたら…嫌いなのかも…?」
「結構スッパリいくね、お前!」
「あ!よく見たら花陽ちゃんじゃない!ライブに駆けつけてくれた!」
穂乃果が少女の顔を見て声を上げる。
てか、俺のはスルーの方向かな?
すると突然、穂乃果がその…花陽?の肩をつかみ…
「ねぇ、あなた!!」
「は…はい…」
「アイドルやりませんか?」
直球だな。ことりと海未も同じようなツッコミを入れるが、穂乃果は気にしない。
「君は光っている!!大丈夫!悪いようにしないから!!」
「なんかすごい悪人に見えますね…」
「俺には詐欺師に見える」
急にそんなことを言われ、花陽も戸惑っているようだ。
だが、穂乃果の行動にも一理ある。言葉には一理もねぇが。
μ’sはファーストライブをやり遂げたとはいえ、まだ非公認な部の状態。
一刻も早くメンバーを5人以上にする必要があるのだ。
「あ…あの…西木野さんが…」
「ん?何て?」
花陽が何か言ったような気がしたが、声が小さくて聞き取れなかった。
相変わらず声小さいな。いったい何に自信がねぇんだよ…
「に…西木野さんがいいと思います…すごく…歌、上手なんです……」
「西木野って…真姫か?アイツならずっと誘ってんだけどな…」
勧誘しても勧誘しても乗ってくれる気がしない。
作曲も、してないの一点張りだし…アイツは絶対向いてると思うんだけどな。
「あ…私、余計なことを…」
「いや、気にすんな。ありがとな」
俺が礼を言うと、花陽は足早に去っていった。
体操服も着てたし授業の前だったんだろう。
「って、お前ら授業は?」
「あっ忘れてた!急がないと!」
「ちょ…待ってください!確か、次は家庭科だったはず…」
「穂乃果ちゃん、そっち家庭科室じゃ……」
しばらくすると、穂乃果が猛スピードでUターンして戻ってきて、3人一緒に反対方向に走っていった。
「大丈夫かよアイツ等…」
3人が去ったあと、俺は一人アルパカを見つめる。
「かわいいかね?こんなn」
ペッ
ベチャッ
「………」
その時、凄まじい殺意が生まれたことだけは覚えている。
_____________________________________
一日最後の授業が終わり、次々と帰る支度をする生徒たち。
小泉花陽もその一人だった。
「かーよちん!決まった?部活」
そんな彼女に話しかけたのは、幼馴染である星空凛。
「今日までに決めるって、昨日言ってたよ?」
「そうだっけ…明日、決めようかな…?」
凛から目をそらし、教科書をカバンに入れる花陽。
よっぽど部活のことに触れてほしくないのだろうか。
「早く決めないと、みんな部活始めてるよ?」
「え…えーっと…凛ちゃんはどこ入るの?」
「凛は陸上部かな~」
「陸上か……」
花陽はその答えに納得だった。
昔から足が速いし、運動も大体できる。運動が得意ではない自分からしたら、憧れのようなものだった。
だが、自分が入ろうとは思えない。最近、運動をしたいと感じているのは確かだ。
しかし、いざ踏み出そうとなると”何か”が自分にブレーキをかける。
それでいいのか?本当に?と、しつこく何度も。
結局、今まで部活は決めずじまいだった。
「もしかして~…スクールアイドルに入ろうと思ってたり?」
「えぇ!?」
花陽は思わず指を合わせ、戸惑いの表情を浮かべる。幼馴染である凛はそれを見逃さない。
「ダメだよかよちん、嘘つくとき必ず指合わせる癖があるから、すぐにわかっちゃうよ~
ホラ!一緒に行ってあげるから、先輩たちのところに行こ!」
「え!?違うの…本当に…
私が……アイドルなんて……」
花陽は自信なさげに顔をうなだれる。
アイドルは花陽の昔からの夢だった。だが、大人に近づくたび、夢よりも自信の無さが前に出てしまうことが多くなった。
目の前に夢をつかむ方法があるのに、手を伸ばそうとしない、できない。
凛はそんな花陽が気になっていた。花陽がずっとアイドルに憧れていたのは、誰よりも知っている。
「かよちん、そんなにかわいいんだよ?人気出るよ」
花陽を連れ出そうと凛は腕を引っ張るが、花陽はそれに抵抗する。
「待って…それじゃあ、一つわがまま言ってもいい……?
私が…アイドルやるって言ったら……一緒にやってくれる?」
「凛が……?」
凛はしばらく黙っていたが、すぐに否定しだした。
「ムリムリムリムリムリ!凛はそんなの似合わないよ。ほら、髪もこんなに短いし…
凜には絶対無理だよ……」
「凛ちゃん…」
凛は小学生のころからズボンにシャツと、男の子のような服装をしていた。
ある日、スカートをはいて登校したところ、クラスの男子にからかわれてしまい、結局家に帰って着替えてくることになった。
それ以来、花陽は凛がスカートをはいているところを見たことがない。
最終的に凛が引き下がり、花陽は今日μ’sのところに行くのをやめた。
__________________________________
ー永斗sideー
「こんな平日に外に出るとか…マジであり得ない…」
時刻は5時頃を回る。ニュース番組が始まり、休日の昼前の次にテレビがつまらない時間帯だ。
そんな時間に僕が外出する理由。それはアラシが残したこの書置き。
5時30分からタイムセール!卵特売は絶対逃すな!!
まず一つツッコミたい。雑。
値段どころか店舗の記載もなし。書置きの教科書があったなら、悪い見本として使われるやつだ。
新しいゲームが手に入ったのだから、本来なら一日中やってたいのだがそうはいかず。
といっても、半日で中ボスの魔法使いくらいなら倒せるようになった。この調子なら1週間でストーリー2週はできそうだね。まぁでも録画したアニメもあるし…じっくりやるか。
そんな時、見覚えのある姿が僕の目に映る。
あれは…この間知り合った凛ちゃんだ。なんか悩んでいるのか、上の空だ。
こんなにサクッと再会するとは。運命の再開的なフラグ立ててたんだけど……
「おーい、凛ty」
声をかけようとした、その時。
凛ちゃんの頭上の電信柱が、急に倒れそうになる。
マジデスカ
凛ちゃんはそのことに気づいていない…声をかけても、反応する前につぶれる…
「くっ……」
普段使わない足の力を入れて、凛ちゃんのもとへと駆け出す。
間に合わない……こうなれば…
「スタッグフォン!」
スタッグフォンにギジメモリを挿し、クワガタ型のロボへと変形。
僕はソレを電柱に向けて飛ばした。
スタッグフォンが電柱を持ち上げ、一瞬倒れる電柱が空中で停止する。
僕はその隙に凛ちゃんの背中を突き飛ばした。
次の瞬間、電柱は倒れて木っ端微塵に。まさに間一髪…
「士門…永斗くん……?」
「大丈夫?無事でよかった……」
あれ?なんで僕、こんなに安心してるんだ?
人の命を救うなんて、これまでに何度もあった。でも今のはそれらとは明らかに違う…
あ〜もういいいや。考えるのも面倒くさい。
「なるほど…これは予想外の結果だ」
僕が凛ちゃんの体を起こし、その場から離れようとした時。
僕たちの目の前に白衣を着た男が現れる。
「星空凛の運動神経ならこれくらい避けるのは容易いと思ったが…まさか第三者が干渉するとは。
想定外の現象……これだから研究はやめられない…」
男は何かをブツブツと独り言している。キモい。
「でもまさか君が出てくるとはね。
久しぶり、士門永斗君……」
コイツ…僕のことを知っている?でも僕は…
「誰、君?」
正直、僕は覚えてない。だったらこっちから聞き出すしかない。
「誰…か…これは面白い問いだ」
は?
「"誰"という問いは何を基準に定義するのか。まず"誰"という問いには単純に名前を聞くだけの場合もあり職業を聞く場合や身分を聞く場合もある。ただそれを小説などの文脈上もしくは会話文で使用した場合詩的表現に近いものとなり単純に名前等を問いている可能性は低くなる。つまり彼が聞いているのは"僕が何者か"という可能性が最も高くそれを語るには僕の人生を一度振り返った上で様々な証明を繰り返し"僕"という定義を………」
前言撤回。こんな面倒くさいやつ知らない。
「まぁ、それをやっている暇は無いから、名前と素性だけ紹介しよう。
僕は天金狼。組織の最高科学者…と言ったら分かるかな?」
最高科学者…こんな時にとんだ大物に出会うとは…
でも今の僕は戦闘力皆無の下級戦士以下。今は……
「逃げる」
僕は呆然とする凛ちゃんの手を取り、反対方向に走り出した。
「逃がさないよ」
白衣の男、天金だったかな?がメモリを取り出す。
なんか無駄にカラフルなデザイン。あんなメモリは見たことがない…
《エレメント!》
天金が首元にメモリを挿すと、その姿は白金の異形へと変化した。
異形ながらも神々しい。精霊のような姿だ。
エレメントは僕たちの方へ手をかざす。すると、急に目の前の地面がせり上がり、僕たちの前に壁を生成した。
「やっべ」
僕たちの逃走経路は完全に閉ざされた。
「エレメント…元素の記憶か。四大元素、火、水、土、風を操る力。検索の通りだ」
アラシに最近の謎の現象についての検索を頼まれ、既にエレメントメモリの仕業だということは掴んでいた。
だが、そのメモリは販売されておらず、作られてすらいなかったはずだが
最高科学者だったら不思議ではない。
「いいだろう?ファイア、ウォーター、ランド、ウィンドの4本を合成して作った僕の自信作さ」
「で、その最高科学者さんが最高傑作引っさげて、僕たちに何の用?」
「僕は研究が好きなんだ。仮説を立て、証明し、検証する。
今回の検証にはその子が必要だったんだが…思わぬ収穫があった。
士門永斗君に星空凛君。2人とも大人しく僕について来てもらおう」
なるほど…でも僕だって敵のネタバレは知ってたんだ。当然、先手だって打ってある。
「下手な誘いだね。そんなんじゃギャルゲーのチョロインだって落とせないよ?」
目の前にあった壁が崩壊し、轟音と共にリボルギャリーが現れた。
「乗って」
凛ちゃんをリボルギャリーに乗せて、オート運転機能を作動。
一目散にエレメントから逃げ出した。
「凛ちゃん、意識ありますか?」
さっきから全く喋ってない凛ちゃんを心配し、リボルギャリー内で声をかける。
「大丈夫…だけど…」
「安心して、勝算はある。僕たちが車内にいる間、相手が下手に攻撃すると車体ごと爆発して僕たちも無事じゃ済まない」
「それって大ピンチにゃ!」
うん。こんな時になんだけどネコ語かわいいね。
「それは逆にチャンスだよ。相手は僕たちを"生きたまま"手に入れるのが目的だ。
だから下手に攻撃することはできない。最高科学者ならそのくらいわかってるはずだ」
____________________________________________
「なんて、考えてるのかな?」
エレメントはそう呟き、走るリボルギャリーに手を向ける。
すると、空中に大量の水が生成され、洪水のようにリボルギャリーの足元を埋め尽くした。
「属性の力はこう使うんだよ」
エレメントはさらに発生させた突風で水を吹く。
急激に冷やされた水は瞬く間に凍りつき、リボルギャリーの動きを完全に停止させた。
__________________________________________
「そうくるか……」
「止まっちゃったよ!どうするの!?」
リボルギャリーが止まり、凛は焦っている様子だ。
だが、永斗は相変わらず冷静。まるで最初から予想していたように…
「ここまでくれば大丈夫かな」
永斗はサイクロンメモリを取り出し、ボタンを押す。
《サイクロン!》
「変身」
____________________________
機体が止まったにも関わらず、一向に出てくる様子がない2人。
観念したのか?いや、そうは思えない。
「まさか…」
エレメントが上を見ると、そこには"奴"の姿。
ビルから飛び降りながら、こっちへ落ちてくる切風アラシの姿があった。
「変身!」
《サイクロンジョーカー!!》
仮面ライダーダブルに変身したアラシは、すかさずジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填。
《ジョーカー!マキシマムドライブ!!》
「『ジョーカーエクストリーム!!』」
空中でダブルの体は2つに割れ、そのままエレメントに激突。
ダブルの必殺キックがエレメントに炸裂した。
さっきのエレメントとの会話、そしてリボルギャリーでの移動中に永斗はアラシにメールを打っていた。
メールを受けたアラシは急いで指定されたビルの屋上まで移動。
永斗はエレメントから逃げるのと同時に、エレメントをそのビルの近くまでおびき寄せた。
それによって上空からの不意打ちマキシマムに成功。エレメントに重い一撃を食らわせた
はずだった。
「そう簡単にはいかないか…」
煙の中からエレメントの姿が現れる。
さっきの攻撃でエレメントは当たる直前、自身の前に土の壁を生成していた。
ジョーカーエクストリームは体を分けることで放つことができる、必殺二段キック。
だが、一発目が破壊したのは壁のみで、エレメントに当たったのは二発目だけ。これでは威力は半減している。
それでも通常のドーパントを倒すには十分な威力。
それで倒れもしないということは、エレメントの防御力も並ではない事を物語っていた。
「直接会うのは初めてかな?会いたかったよ、仮面ライダー君」
「奇遇だな。俺もアンタに聞きたいことが山ほどあるんだ。最高科学者さんよぉ」
『あ〜アラシ、そういう表現は…』
「山ほど…これは中々面白い表現だ。まずは何を持って山とするのか。宮城県の日和山は3メートルだが山であるが明確な山の定義は存在しないため仮に標高10メートル以上を山として"言いたいこと"一つを仮に一辺1メートルの立方体とし…いやその中には重大なものもあればそうでもない物もあるだろうからどこからどこまでが1立方メートルか定義し……」
「どうしたんだ、コイツ」
『そういうキャラだから。これ今のうちに逃げれるんじゃない?』
「だな」
すると周辺が炎で包まれ、ドームのようにダブルとエレメントを囲んだ。
「せっかくの実験サンプルだ。そう簡単には逃がさないよ」
「こっちだって逃げれるとは思ってねぇよ!」
ダブルはエレメントに飛び蹴りを放つ。だがその一撃は受け止められ、至近距離でエレメントは火球を放った。
「ぐっ……!」
吹っ飛ぶダブルの周りにエレメントはさらに竜巻を発生させ、そこに巨大な火球を放った。
竜巻が炎を帯びて炎の竜巻となる。
その熱と風は、中にいるダブルの体力を急激に削っていった。
『目には目を』
「火には火を…だな!」
《ヒート!》
《ヒートジョーカー!!》
ダブルはヒートジョーカーにチェンジし、地面に炎の拳を叩きつける。
その衝撃で爆煙が生じ、竜巻をかき消した。
「『はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』」
《ジョーカー!マキシマムドライブ!!》
「『ジョーカーグレネード!!』」
ジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填し、マキシマムドライブが発動。
ダブルが再び2つに分かれ、今度はエレメントに殴り掛かる。
一撃、二撃とエレメントに直撃。
三撃も直撃し、エレメントの体が後退する。だが、倒れるどころか膝をつく様子もない。
「それで終わりかな?」
「まだだ!」
《オーシャン!》
ダブルは最近手に入れたオーシャンメモリを取り出し、ドライバーのジョーカーメモリを引き抜く。
《ヒートオーシャン!!》
右が赤、左が藍の戦士へと変身し、オーシャンアローから炎と水の2本の矢を発射した。
エレメントは風でその2本を受け止め、それらは空中で消滅。
ダブルの上に巨大な岩を生成し、ダブルに落とした。
オーシャンの感覚強化により気づいていたダブルは、その攻撃を回避。
今度はチャージした1本の水の矢エレメントに発射。エレメントに直撃し、僅かながら体勢が崩れる。
その瞬間、ダブルは無数の炎の矢をエレメントに放つ。
一発残らずエレメントに命中。その姿は完全に炎に包まれた。
しかし、エレメントは数秒後には炎をかき消し、何事もなかったかのように現れた。
「予想以上だ。"O"のメモリを手に入れたからといって、これほどとは…一体何が…」
その時、エレメントは気付いた。
さっきからダブルが、リボルギャリーから自分を遠ざけようと戦っているのに……
「なるほど…興味が湧いた」
エレメントは体の向きを変え、リボルギャリーを向く。
そして、火、水、風、土の巨大なエネルギー弾を作り出しリボルギャリーに放った。
その時何よりも早く動いたのは。
ダブルの右側。永斗だった。
「『ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』」
リボルギャリーとエレメントの間に入ったダブルは、エレメントの攻撃を全て直撃。
煙が晴れると、そこにはダブルもリボルギャリーもいなかった。
「逃げた…戦いの熱で氷が溶けてたか。僕としたことが…
まぁいい、チャンスはいくらでもある。それまでに……」
天金は変身を解除し、エレメントメモリを見つめていた……
__________________________________________
放課後。生徒も部活を終え、帰る頃。
理事長室で電話で誰かと会話する、南理事長室。
「えぇ、分かったわ。計画は順調よ。早ければ今月中に実行に移せる。
分かってる、この計画は…私たちにとって、最後の切り札なんだから……」
今回はかなりチートかな?まぁいつものことです。
エレメントの直撃を食らったダブル…そして、永斗の心に変化が…?
本編では花陽メインでしたが、この作品では他の2人にもスポットライトを当てるつもりです!
感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案ありましたらお願いします!