BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜   作:二毛目大庄

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五大貴族が開く会合『梅花(ばいか)』において、山本十字斎重國の理想とする隊に他の五大貴族を仲間に入れる任を与えられた四楓院夜影。
話し合いの末、五大貴族の志波・朽木の両家を仲間に入れる事に成功し、五大貴族が生まれながらに持つ強大な霊圧を味方につけることが出来た。

一方、尸魂界全土に散っている腕の見込んだ者を当たって廻っている山本と真名呼和尚は、剣術でも白打でもない、とある達人の屋敷を訪れていた。


散らば本望

「別に構いませんぞ」

「よし、ならば鬼ごとで…って、え?」

 

断られると思い込んでいた十字斎は、まさかの快諾に驚いた。

 

「私で良ければ、お力になりましょうぞ」

「本当に良いのか?」

「えぇ。 私が隊長など恐れ多い事ですが、十字斎殿が行動した事に、今まで間違いなどございませんでしたから」

「命に危険が及ぶ事もあるかもしれん」

「それは元より承知。この命、尸魂界の為に散らば本望」

 

そう言って、巨躯の男は十字斎に向かって右手を差し出した。

山本もそれに応じて右手を差し出し、2人は固い握手を交わした。

 

 

数刻前ー

 

 

「十字斎」

 

次の隊長候補の屋敷に向かってる途中、真名呼和尚が話し掛けた。

 

「夜影のやつ、説得に成功しているだろうか」

「できれば五大貴族には全員仲間になって貰いたいが、一筋縄では行かんだろう」

「誇りがどうのとか言ってそうだな」

「恐らく、説得が難航しているところに陸鷹が声を上げ、陸鷹と朽木は賛同してくれるだろう。しかしー」

「しかし、どうした?」

「しかし儂が五大貴族の中で最も重要視しているのは、四楓院でも、志波でも、朽木でもない」

 

そう言うと山本は唇を少し噛んだ。

 

「あのお方は簡単では無いぞ…」

「『滅水丸』か…」

 

話しをしている間に2人の目に大きな屋敷が飛び込んできた。

 

「ここは…」

「やはりこやつの力は必要だろう」

「確かに、白打に続いて刀の力ではないな」

 

ニヤリとして和尚が言うと、再び2人は歩みを進めた。

ちょうど門の辺りに来た時、期せずして中から声が聞こえた。

 

「十字斎殿と真名呼和尚ですかな?」

 

突然自分の名を呼ばれた十字斎は面食らった。

 

「…そうだ」

 

どこからか見ているのか。

十字斎はなるべく首を動かさないように辺りを見回した。

誰も居ない。

 

「そう驚かなくとも結構。我が屋敷の三里四方に張った結界に、お二人の霊圧が反応しただけの事」

 

屋敷の主はそう種明かしをすると、ギィッと門を開いた。

そこには山本が見上げなければならない程の巨躯の男が居た。

 

「刀も白打も使えない私に何の用ですかな?」

「詳しい話は中でしたいのだが良いかな? 大鬼道長・握菱鉄斎」

「これは気も利かず申し訳ありません。中へどうぞ」

 

握菱鉄斎と呼ばれた男は、山本と和尚を中へ招き入れた。

広い床の間に2人を通すと、鉄斎はお茶を淹れて2人に出し、同じ質問を山本にした。

 

「して、私に何の用ですかな?」

 

山本は単刀直入に言った。

 

「お主に新たな組織の隊長になって貰いたい」

「別に構いませんぞ」

「よし、ならば鬼ごとで…って、え?」

 

断られると思い込んでいた十字斎は、まさかの快諾に驚いた。

 

「私で良ければ、お力になりましょうぞ」

「本当に良いのか?」

「えぇ。 私が隊長など恐れ多い事ですが、十字斎殿が行動した事に、今まで間違いなどございませんでしたから」

「命に危険が及ぶ事もあるかもしれん」

「それは元より承知。この命、尸魂界の為に散らば本望」

 

そう言って、巨躯の男は十字斎に向かって右手を差し出した。

山本もそれに応じて右手を差し出し、2人は固い握手を交わした。

 

帰り際山本は鉄斎に、白罌粟を手渡した。


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