BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜   作:二毛目大庄

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山本十字斎重國と四楓院夜影の白打対決は、山本十字斎重國が放った『元流拳術・双骨』によって幕を閉じた。

山本から翁草を受け取った夜影は、ある所へ向かった。


誇りを捨てる時

「説明して貰おうか、四楓院」

 

五華室と呼ばれる真っ白な広い部屋には、同じく真っ白な五角形の机。そこに五人、椅子に腰掛け話し合いをしていた。

夜影を詰問する声が低く野太い声が響く。

 

「説明も何も、儂は山本の下に付くと言っておるんじゃ」

「貴様、自分が何を言っているのか分かっているのか? 我ら五大貴族の一角を為す貴様が、たかが一介の死神の下に付くなどと… 」

 

緊張感が部屋を覆う。

 

「ましてや貴様は天賜兵装番。 霊王様にも申し訳が立たぬわ」

「奴が、山本が欲しているのは天賜兵装ではない。儂の白打じゃ、安心せい」

「その白打で負け、実力は越えられたも同じ。 果たして天賜兵装が目的では無いと言い切れるのか?」

「儂の白打が役に立つかどうか、お主の身で確かめてみるか?」

「…面白い」

 

2人が立ち上がった瞬間、伸びやかな、まるで緊張感のない声が一触即発の空気を割った。

 

「まぁー辞めんしゃい、2人とも」

「志波…」

「夜やん、十字斎の実力は確かなんだろ?」

「あぁ。そこは儂が保証する」

「じゃあ僕らも尸魂界を思う気持ちは同じ。力になろうじゃないの」

「志波、貴様まで…」

 

志波と呼ばれた男・志波陸鷹(りくおう)が続ける。

 

「悪霊、いや、今は虚と言うのかな? 奴らが力を付けてきているのは間違いないんだし、何やら虚以外のキナ臭い匂いもするしね…」

「虚以外の敵…?」

「いや、これはまだ憶測の域を出ない話だけどね。 とにかくー」

 

陸鷹は立ち上がった。

 

「僕も十字斎の下につこうと思う」

「な…! 力になるだけでなく、下につくだと…!?」

「あぁ」

「バカな…四楓院だけでなく、志波までも…」

「君も行くだろう? 朽木」

 

今まで3人のやり取りを無言で聞いていた朽木と呼ばれた男は、そう聞かれるとスッと立ち上がり言った。

 

「瀞霊廷で生まれ瀞霊廷に育てられた我が身。 そこに命を差し出すのに、髪の毛一本すら入る余地は無い」

「待て!四楓院、志波、朽木! 貴様ら五大貴族の誇りは無いのか?御先祖様に申し訳無くないのか!?」

 

その問いに答える代わりに、朽木は問いかけた。

 

「兄が先程からしているのは面子の話か?」

「!!」

「なるほど我ら五大貴族が一介の死神の呼び掛けに集い、そやつの創設した組織に入るならば五大貴族の面子は潰れるだろう。 しかし、巨悪を倒すのに誇りなど邪魔なだけだ。違うか?」

「…」

「下らぬ誇りが世界を滅ぼす。 尸魂界を護れるなら五大貴族の誇りなど要らぬ」

「…分かった、そこまで言うなら止めはせん。 五大貴族がもつ生まれながらの霊力、存分に発揮してこい」

 

その言葉と同時に、夜影と朽木は立ち上がった。

5人居た机には、もはや2人しかいなかった。

 

「…兄達はどうする」

「私達はもう少し考えるよ」

「ならば我らは行ってくる」

「あぁ。気を付けろ」

 

五華室を出た四楓院は「十字斎からの預かり物じゃ」といって朽木に椿を、志波に水仙を手渡した。

そうして3人は歩き出した。

自らが持つ、強大な霊圧と、瀞霊廷を護る覚悟を胸に。


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