BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜 作:二毛目大庄
夜、斬魄刀を腰に挿す身長差のある男が2人、帰宅の途についていた。
1人は小柄な男で、その顔立ちには幼さが残っていた。
もう1人は大柄で筋肉質、短く刈り込んだ頭髪が特徴的な男だった。
「
「
「良いんだよ。 それを言われてもしょうがねぇんだ、あいつは」
大柄な男に生熊と呼ばれた小柄な男・
「200年前の事、ですか」
「そうともよ。 あいつは200年前の
血みどろ、と聞いて大柄な男・
「
「実際感謝してるぜ、-
「あの時山本殿と
「まぁ、それも俺達の武運ってこった」
生熊はあっけらかんとそう言い放つと、「しかし」と話題を戻した。
「新たな八剣聖を入れると言っていたが」
「山本殿と
「確かに、な」
話しながら歩いていると、自分の屋敷に到着したのか賽河原が足を止めた。
生熊もそれに合わせ足を止める。
「興征が言っていた、
「別命の為会合に参加しなかったとの事ですが、会合より重要な事とは一体…」
生熊は、すでに日の落ち切った空を見上げた。
「俺達の知らない所で、何かが動いているのかもな」
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「そろそろ来る頃だと思っとったわい」
夜更けにも関わらず死覇装をしっかりと着込んだ屋敷の
からん、と音を立て転がった木札は古く、表面に書かれた『
「
「貴様に言われずとも分かっている」
「ほっほ、威勢が良いのう。 若いと言うわ羨ましいわい」
屋敷の主・
「葛貫、貴様何故
「言えば聞いたか?」
葛貫の問いに答える事はせず、大六野は己の腰に挿さる斬魄刀を鞘ごと抜くと右手に持ち替えた。
「…ここではまずいのう。 場所を変える、付いて参れ」
葛貫に導かれるまま、大六野は闇に姿を消していった。
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「至急隊長に御報告しろ!」
「隊長は席を外しております…!」
「馬鹿野郎、何の為の
四番隊隊舎・護廷十三隊救護詰所は突如として騒然とした雰囲気に包まれた。
それは、1人の男の目覚めによるものだった。
「
「
先程から指示を飛ばしている男に斧ノ木と呼ばれた、四番隊副隊長・
「奴が、奴が意識を取り戻しました!」
「なに…?」
「現世で虚に襲われた、七番隊第四席・
その言葉を聞き、斧ノ木は急ぎ病床へ駆け付けた。
意識を取り戻したものの、未だ混濁激しい仁峰は、口を金魚のようにぱくぱくとさせている。
「隊長には?」
「只今連絡を取っております」
「総隊長には」
「いえ、それが…」
「何をしておる、早ようー」
斧ノ木が総隊長のもとに伝令を走らせようとしたその時、仁峰の口から声が漏れ出した。
「待て、何か言おうとしておる」
「…ば…おり」
「ゆっくりで良い、お主らを襲った奴を確実に頼む」
「
「なっ…!」
斧ノ木は男の特徴を聞き、驚いた。
陣羽織の男に心当たりが有った。
尸魂界広しと言えども死覇装の上に陣羽織を羽織る男は、斧ノ木が知る限り1人しか居なかった。
その推測は、護廷十三隊が持っていた"疑惑"を"確信"へと変え、ともすると戦へと発展しかねない危うさを孕んでいた。
「…伝令は良い、儂が総隊長に報告する」
斧ノ木は一番隊隊舎へと走った。
ついに意識を取り戻した七番隊隊士・伊座屋仁峰。
仁峰ともう1人の七番隊隊士・斎賀栄八を襲った人物が仁峰の口から語られ、その正体が陣羽織を羽織った八剣聖・玉輝衛童だと判明する。
そして"20年前の再現"を目論む八剣聖は、八剣聖総代・東元坂興征が、副総代・葛貫勢五郎と玉輝衛童に出した別命により、大きく揺れる。
護廷十三隊・八剣聖・『元流』元字塾、そして尸魂界全土を巻き込む大戦が今まさに始まろうとしていた。