BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜   作:二毛目大庄

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元の字に集いし者達

少し大き目の屋敷にその看板は掛かっていた。

 

『元字塾』

 

山本十字斎重國が塾長を務める剣術塾である。

もとより、死神統学院総長でもある山本の塾である為、他の流派のどの塾よりも賑わっていた。

さらに賑わいを見せたのは、先般の虚侵攻戦で目覚ましい活躍を見せたからだった。

この戦をもって、山本は尸魂界八剣聖に数えられた。

その山本の塾が、賑わない訳がない。

元字塾の道場は、今日も大勢の塾生が汗を流していた。

 

その元字塾本部の一角「柳の間」に、錚々たる面子が汗も流さず集まっていた。

まだ年は若い、青年風の男がまずは口を開いた。

 

「何やら、先生が新たな組織を作ろうとしているらしい」

「あぁ、それは俺も小耳に挟んだ」

 

中年のザンバラ頭の男が応じる。

 

「組織?」

「聞いたところによると、尸魂界と瀞霊廷を護る、そんな隊らしい」

「名前は何と言うのだ?」

「それはまだ決まっていないらしい。ただ、真名呼和尚が決めると…」

「和尚も一枚噛んでいるのか…!」

「隊員は…隊長は誰がやるんだ?やはりうちの沖牙師範か?」

「いや、師範に先程聞いたところ、今は声は掛かって居ないらしい」

「では誰だろう、まさか最近道場をうろちょろしているあのガキではあるまいな」

「確かに奴の霊圧と腕は確かだと思うが…」

 

誰からともなくでた質問に、青年は淡々と答えていく。

一瞬、静寂が訪れ掛けたが、それは怒声によって破られた。

 

「バカな!」

 

先程から肩を震わせていた髪を後ろで纏め上げた男が、怒声と共に立ち上がった。

感情的になりやすいのか、すでに息が上がっている。

 

「なぜ儂らに声が掛からん!なぜ声が掛からんのに貴様らは冷静でいられる!儂らは元字塾の筆頭塾生ではないのか、誇りは無いのか!」

「黙れ斧ノ木!!」

「大…六野…」

 

斧ノ木と呼ばれたポニーテールの男は、青年風の男・大六野厳蔵に突然自分の名前を呼ばれて目を剥いた。

 

 

「叫びたいのが貴様だけだと思うか!」

 

斧ノ木は周りを見渡した。

そこに居る全員が俯き、拳を固く握り、唇を噛んでいた。

悔しいのは斧ノ木だけでは無かった。

 

「すまん…」

 

そう言うと、床にどかっと腰を下ろし冷静さを取り戻した。

 

「で、だ」

 

斧ノ木を諌める為にわざと声を荒げた大六野は、すでに冷静だった。

 

「我等も当然、微力ながら力になりたい。そこで良い案がある」

 

大六野はそう言うと、もっと話合いの円を縮めるように指示をし、小さく「名案」を皆に告げた。

 

「おお!」

「なるほど、それはいい考えだ」

「す、すまん、聞こえんかった、もう一度…」

「やるではないか、大六野!」

「大六野殿は策士ですなァ!」

「いや、それ程でも…では行動を開始してくれ!」

『おう!』

 

大六野は普段は冷静だが、この時ばかりは皆に褒められ、気分が高揚していた。

それが後に、大変な事態を引き起こすとは、誰も予想だにしていなかった。

 


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