BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜   作:二毛目大庄

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五大貴族の一角『滅水丸』を護廷隊の仲間にするべく、その修行場である大瀑布を訪れた山本元柳斎重國と兵主部一兵衛。

言葉での説得を試みる山本に対し、護廷隊のメンバーは言葉では纏めれ無い事を諭し、その身に分からせようとする『滅水丸』。

五大貴族として生まれ、超然たる霊圧を有する『滅水丸』に、『元流』開祖・山本はどう対抗するのか。

激突必至の両者の謁見の行方は。


激突

「消え残れ『滅水丸(めっすいまる)』!」

「逃げろ!元柳斎!!」

 

霊圧の高まりを感じ、それが斬魄刀の解放だと瞬時に悟った兵主部一兵衛は、山本元柳斎重國に急ぎ退避を促した。

『滅水丸』の解号の声と同時に(はな)たれた一兵衛のその声に反応した山本は、後ろに大きく跳躍(ちょうやく)した。

斬魄刀の解放と共に、『滅水丸』は右から水平に斬魄刀を振るったものの、そこには山本の姿はなく、空を()いだのみであった。

 

「…ほう」

「『滅水丸』様、いきなり何をなさる」

「いきなり何をする? 何を言う、事前に霊圧を揺らがせて気付かせてやったろう?」

 

『滅水丸』は、そう言って頬を(ゆが)ませると、再び斬魄刀を構えた。

 

「その死覇装(しはくしょう)、仕立てて貰ったばかりか? (おろ)したての死覇装がそれ以上切れぬよう、次はもっと早く()けろよ」

 

見ると、山本の死覇装の前部(ぜんぶ)がぱっくりと裂けていた。

山本の手にじんわりと汗が(にじ)む。

 

ーまずい。 元柳斎のやつ、烈との傷がまだ癒えとらん。 内部霊圧(ないぶれいあつ)が安定しとらんから、霊圧知覚(れいあつちかく)にまで気が回せとらんな… ここは儂が、

 

「おっと動くなよ和尚」

 

身体の予備動作は勿論、霊圧の動きも立てないように動こうとした矢先、その動きは『滅水丸』に制止された。

 

「和尚の目的は、私を倒す事ではない。 これはあくまで、元柳斎と私との戦い。 手出し無用で願いたい」

「さすが、五大貴族と言ったところかのう、今の動きに反応するとは」

「ふっ、元々の才よ」

 

斬魄刀を構えたままの『滅水丸』は、山本から視線を外さず一兵衛と冗談交じりにそう話すと、再び山本に言った。

 

「抜けい、山本よ。 私を力で()じ伏せるか、仲間にするのを諦めて引き退(さが)るか、道は2つに1つ」

「…承知いたした」

 

そこまで言われて、ようやく山本は己の斬魄刀『流刃若火(りゅうじんじゃっか)』に手を掛けた。

戦う、と腹を決めた途端、相手は"倒すべき敵"に変わり、自分と相手との距離は、"間合い"に変わる。

 

「そうだ。 その顔だ」

 

『滅水丸』は満足気にそう言うと、山本との間合いを保ちながら、山本の出方(でかた)を伺った。

腹を決めた山本が強敵なのは分かっていた。

元流(げんりゅう)』開祖にして八剣聖(はちけんせい)の1人。

そして死神統学院(しにがみとうがくいん)の創始者。

今の死神の源流(げんりゅう)は、山本が作ったと言っても過言では決して無い。

霊圧で上回っていても、剣術では互角、(ある)いは…

 

「ぬんっ!」

「!」

 

山本は考え事をしていた『滅水丸』に斬りかかった。

『滅水丸』はそれに少し遅れて反応し、辛うじて斬魄刀の(しのぎ)で受けた。

 

「らしくないですな『滅水丸』様」

「らしくないな山本…いきなり斬りかかるとは」

「いきなり? 霊圧を揺らがせて知らせたつもりだったんですがのう」

「抜かせ!」

 

斬魄刀と斬魄刀が、ぎりぎりと音を立ててぎ合う。

力と力のぶつかり合い。

山本は、刀で相手を押し返し、再び間合いを取った。

まずは小手調べ。 間合いを取って相手の様子を観察する。

そして、ある事に気付いた。

斬魄刀『滅水丸』はすでに解放状態。

しかし刀身は何ら変わった様子は無い。

 

「ようやく思い至ったか」

 

『滅水丸』は再び斬魄刀を納刀すると、居合の構えをとった。

 

「我が斬魄刀の能力、その身に味わえ!」

 

迫ってくる『滅水丸』に山本は、滝を訪れる前に立ち寄った、館の主人の言葉を思い出していた。


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