BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜   作:二毛目大庄

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巨炎衆覆

「馬鹿な…解放でこの霊圧だと…?」

 

辺り一帯を、身を焦がすような炎が支配した。

思わず言葉を洩らした狛村陣右衛門を含めた、その場に居た皆が額に汗を浮かべていた。

 

「流刃若火… さすが焱熱系最強と言うだけありますね」

「この炎、その身で味わえ」

 

卯ノ花烈の称賛の言葉に、言葉少なに返すと山本十字斎重國は烈に斬りかかった。

 

「剣とは。 踏み込みが命」

 

烈は造作も無く山本の剣撃をかわすと、右足で地面を踏み込み、右斜め下から左上に斬り上げた。

踏み込んだ地面は割れていた。

 

「これ、誰に物を言うとる」

 

尋常ではない踏み込みと、烈のしなやかさが載った眼にも止まらぬ剣撃を、山本は顔一つ歪めずに見切った。

たった2、3回の剣のやり取りで、お互いの力を把握し合った両者は、間合いを取った。

 

「剣に関しては、少しは腕を上げたようですね」

「…お主が地下におる間、儂もそれなりの死線をくぐり抜けてきた」

「そのようですね」

「ここに集まっている何人かとも剣を交えた。 そして打ち勝ってきた」

「…何が言いたいのですか?」

「だからこそ儂はお主に負ける訳にいかぬ。 儂がお主に負ける事… それは儂の敗北だけでなく、尸魂界の敗北を意味する」

 

山本はそこまで言うと、構えを解き、自身の斬魄刀・流刃若火を右に振った。

 

「あ、あの構えは」

 

2人の戦いを遠巻きに見ていた雀部長次郎は声を上げた。

 

「よう見とけ。 100年に一度拝めるかどうかの演目じゃ」

「まさか…」

「卍解ーー『残火の太刀』」

 

山本の言葉を合図にしたかのように、今まで辺りを支配していた強大な炎が姿を消した。

直視出来ない程の炎を纏っていた流刃若火は、黒焦げた斬魄刀になり、煙が一筋立ち上がっているのみであった。

 

「…卍解、と言いましたね?」

「いかにも」

「まさか貴方が卍解を修得しているとは思いませんでした。 が」

 

烈は流刃若火を指差した。

 

「その、今にも折れそうで消し炭のような小さい刀が卍解ですって?」

「ほう。 お主にはそう "見える" か」

「先ほどまでの身を震わすような霊圧も感じられない。 勝負を捨てましたか」

「得てして巨大なものとは全貌が掴みにくいものよ。 ほれ、掛かってこんかい」

 

山本はあえて挑発的な言葉を投げ掛けた。

 

「面白い…例え貴方が卍解を修得しようと私には敵わない」

「お主は相変わらずじゃのう…」

「我が名は『八千流』。 天下無数にある全ての流派、そしてあらゆる刃の流れは我にあり!!」

 

烈はそう叫ぶと、山本に斬り掛かった。

その顔には汗が浮かんでいた。


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