BLEACH外伝 〜千年後、史上最強と称された集団〜   作:二毛目大庄

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対峙

200年前ー

その当時の儂は、尸魂界で8人の猛者に与えられる称号『八剣聖』を持つ者達をも圧倒する勢いで力を付けていた。

天下無双。

我が流派こそ最強。

そう思っていた。

 

そんな時、奴は現れた。

 

長い髪を結う事無く伸ばしており、見た目には美しい女。

しかし、着物は返り血で汚れ、異臭を放ち、眼は獣のそれだった。

そんな異形の女が尸魂界の外れに現れたと聞き、数人の門下生と駆け付けた。

そこには血溜まりを作った死体が20は転がる、まさに死地だった。

その中に佇む女1人。

それが奴、卯ノ花烈だった。

 

「先生」

 

門下生の1人が奴の姿を見るなり驚き、声を掛けて来た。

 

「あやつですよ。 いま巷を騒がせている極悪人というのは」

「そうか。 こやつか」

 

極悪人の話は聞き及んでいた。

尸魂界を荒し回っている輩が居る、と。

またとない好機。

我が剣技、大義名分のもと存分に発揮できる。

かつて儂と戦った中でまともに渡り合えたのは、八剣聖の総代・東元坂征郎太のみ。

儂は自然と笑みが浮かんでいた。

 

「なかなかのやり手のようじゃの」

 

儂は斬魄刀を抜刀すると、奴との間合いを取った。

草履の擦れる音が響く。

ふと、転がった死体に目をやると、そこには見慣れた顔がいくつもあった。

その中に、東元坂の顔を確認した瞬間、儂の顔から笑みが消えた。

 

「貴様…東元坂を、征郎太を倒したのか」

「東元坂? 貴方は踏み潰す蟻にいちいち名を聞くのですか?」

「…お主らは下がっとれ」

 

一言二言会話しただけで解る迸る狂気。

儂は門下生達に距離を取るように指示し、斬魄刀の柄を握り直した。

 

「『元流』山本重國…参る」

 

 

 

「勝敗?」

 

京楽は目的地に向かって走りながら、その戦いで唯一その場に居合わせた門下生・大六野に戦いの勝敗を尋ねた。

 

「…総師範が生きておられる。 それだけで総師範の勝ちだよ」

「しかし、奴も生きている」

 

当たり障りのない言葉で誤魔化そうとする大六野に食い下がる京楽。

大六野は観念したように話を続けた。

 

「総師範はよく戦っておられた。 しかしお一人ではあの狂人相手には力が及ばなかった。 もうダメか…そう思った所に、八剣聖が現れた。 しかも全員が、だ」

「八剣聖が全員…!?」

「あぁ。 その当時の八剣聖総代・東元坂征郎太殿の霊圧の異変を察知して駆け付けたらしい」

「おぉ、大逆転…!さぞ壮観だったろうな、儂もその場に居合わせたかった」

「しかし」

 

斧ノ木の楽観的な声を遮るように大六野は言葉を続けた。

 

「本当の悪夢はここからだった」


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