造られた4本腕   作:habanero

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申し訳ありません!


幸せ

生徒会室の前には真吾が立っていた。

 

『主人、入らないのか?』

 

「入るが…入った時になんて声をかけたらいいか分からなくてな」

 

『そんなの入ってから自然と出てくるだろ』

 

「…入るか」

 

真吾は意を決してドアを叩く

 

 

 

 

「よし、今日は終わり。二人とも終わった?」

 

「「終わった!」」

 

楯無は二人の隣に座る。

 

「今日は何か食べたいものある?」

 

楯無はアレ以降夕食は部屋で作って食べるようになった。

 

そのためリーナとレーナの食べたい物を作っている内に大体の料理が作れるようになった。

 

「「肉じゃが!」」

 

「ふふっ、分かったわ」

 

コンコン

 

「あら、この時間に誰かしら?」

 

「出ますね」

 

虚さんはドアを開けに行く、開けると

 

「すみません、もう時間が遅いの……で」

 

真吾が立っていた。

 

虚さんは唖然としていた。

 

真吾は虚さんにしか聞こえないように小さな声で

 

「刀奈達は?」

 

「居ます…よくご無事で…」

 

「心配かけたな」

 

「いえ…少々お待ちを」

 

真吾は小さく頷き、虚さんは楯無に話しかける。

 

「お嬢様、お客様です」

 

「今日は居ないはずだけど…すぐに終わるならいいけど」

 

「では中に入れますね」

 

外に居る真吾を呼びにいく

 

「真吾さん、どうぞ」

 

「…え?」

 

楯無は何故、真吾の名前が呼ばれているのか分からなかった。

 

だが、それはすぐに分かった。

 

「…」

 

静かに入って来た真吾。

 

楯無は座っていた椅子から立ち上がった。

 

そして、簪、本音と遊んでいたリーナとレーナも気付いた。

 

「真吾…君?」

 

「「パパ!」」

 

リーナとレーナは飛びつくように抱きついた。

 

その後に続くように楯無も抱きついた。

 

「…心配かけたな」

 

真吾は3人を強く抱き締めた。

 

「本当よ…どれだけ泣いたと思ってるのよ」

 

「「パパ…」」

 

「本当にごめんな…」

 

楯無は抱きついたまま顔を上げる

 

目から涙が零れていた。

 

「…おかえり」

 

そして、続くようにリーナとレーナも

 

「「おかえり!」」

 

ようやく帰って来た、ようやく実感できた。

 

「ただいま」

 

これからまたいつもの日常に戻れる、真吾はそれが嬉しかった。

 

 

その後、簪と本音からのダイビングハグを受けた。

 

 

 

 

真吾は3人と共に職員室に向かった。

 

先に楯無が職員室に入った。

 

「あ、織斑先生」

 

「ん?更識か、どうした?」

 

「あの、山田先生は?」

 

「多分もうすぐ帰ってくるが…何かあったか?」

 

「実はですね…ほら来て」

 

楯無は真吾に入ってくるように手招きする。

 

リーナとレーナが抱きついた状態の真吾が入って来た。

 

「どうも…帰ってきました」

 

「や、山田!?死んだんじゃ!?」

 

織斑先生は驚きのあまり、コーヒーに入れようとしていた砂糖を全て落とした。

 

 

「確かに一度死にましたが、それに関しては後ほど…」

 

「!?……そうか」

 

大きく溜め息をついて、近くの椅子に座った。

 

「ご迷惑をお掛けしました」

 

真吾は深く頭を下げ謝罪した。

 

「謝るな、お前が無事に帰って来てくれただけ嬉しい」

 

「ありがとうございます」

 

「真耶はそろそろ帰ってくると思うんだが…」

 

するとタイミングよく資料を持ったお姉ちゃんが帰って来た。

 

「すみません、少し遅れちゃいま…し……た」

 

バサバサバサ

 

真吾を見ると持っていた資料を落とし、そのまま真吾に向かって歩き出した。

 

「嘘…で……しょ?」

 

「嘘じゃないよ」

 

「だ、だって…あの時」

 

「確かに死んだ、けど生きてる」

 

そして、お姉ちゃんは真吾の近くに来ると、真吾の頬に手を当てた。

 

「…本当…なんだね」

 

「本当だよ…」

 

「……よ…か……た…」

 

お姉ちゃんの目からはポロポロと涙を流し、抱き付く。

 

真吾は静かに抱き締める。

 

 

 

 

 

 

「…ありがとう」

 

泣き止んだものの、目はまだ少し赤くなったお姉ちゃん。

 

「心配かけてごめん、本当はもう少し早く帰ってこれたけど…やる事があってね」

 

真吾はお姉ちゃんを離しながら言うと、織斑先生が反応した。

 

「やる事とはなんだ?」

 

「首謀者を潰して来ました」

 

その言葉にその場に居た、リーナとレーナ以外の者は驚いた。

 

「山田…お前だったのか」

 

「そうです」

 

「正体不明のISは真吾君だったのね」

 

「え、真吾ちゃんが!?」

 

「ふむ、雲の上で撃って正解だったな」

 

「…なるほどな、詳しい事は明日だ」

 

「わかりました…お姉ちゃん、明日の夜空いてる?」

 

「大丈夫だよ?」

 

「そっか、じゃあ一緒に夕食どうかな?」

 

「いいわね!あとラウラちゃんも誘いましょ、ね?山田先生」

 

「うん!楽しみにしてるね!」

 

「では、まだ仕事あるそうですし、ここで失礼します」

 

真吾達は職員室を出た後、楯無達が住んでいる部屋に向かった。

 

「真吾君は部屋で待ってて、ラウラちゃん呼んでくるわ」

 

「ああ、わかった」

 

真吾は椅子に座り、その膝の上にリーナとレーナが座った。

 

「リーナ、レーナ」

 

「「?」」

 

「いい子にしてたか?」

 

リーナとレーナは満面の笑みで大きく頷き

 

「「うん!」」

 

「それは良かった」

 

二人の頭を優しく撫で、抱き寄せる

 

すると、楯無がラウラを連れて戻ってきた。

 

「っ!?」

 

ラウラは真吾を見ると、固まった。

 

「ほら、ラウラちゃん」

 

真吾は膝に乗せていたリーナとレーナを降ろし、立ち上がる。

 

「ラウラ、元気にしてたか?」

 

「…」

 

ラウラは無言のまま真吾に抱きついた。

 

「…心配かけたな」

 

「…うん」

 

「だが、もう大丈夫だ。どこにも行かない」

 

「…本当か?」

 

「本当だ」

 

そこでラウラはようやく顔を上げた

 

「お兄ちゃん…」

 

目には涙を浮かべていたが、笑顔になっていた。

 

真吾は優しく頭を撫でた

 

「えへへ…」

 

「ふふっ…よし!じゃあ夕飯を作りましょうか!」

 

楯無は笑みを浮かべながら言った。

 

「そうだな、何作る?」

 

「真吾君はくつろいでていいわよ」

 

「刀奈が作るのか?」

 

「そうよ?」

 

「楽しみにしてる」

 

そう言うと、楯無は微笑みながら台所に向かった。

 

「パパ!ママのご飯おいしいよ!」

 

「そうだよ!今日は肉じゃが作るんだって!」

 

「今日は肉じゃがだと!?」

 

「ん?刀奈が作る肉じゃがはそんなにおいしいのか?」

 

「「「うん!」」」

 

「そうか…じゃあそれまで暇を潰してようか」

 

4人でゲームをしながら待つことにした。

 

楯無はその光景を見ながら料理をしていた。

 

 

 

 

その日食べた肉じゃがは真吾の好物になった。

 

 

「ところで、俺はどこで寝ればいいのだ?」

 

食事を終えた時に、真吾には寝床が無い事に気付いた。

 

「それなら一緒のベッドで寝ればいいのよ」

 

「確かにこのベッドは他より大きいしな」

 

「「パパと寝れるー!」」

 

リーナとレーナは真吾と寝れる事に喜んでいた。

 

それを聞いたラウラは、頬を膨らませていた。

 

「私もお兄ちゃんと寝たいぞ」

 

ラウラは部屋が違うので就寝時間になる前に戻らないといけないので拗ねている。

 

「ねーお兄ちゃん一緒に寝ちゃダメ?」

 

真吾に抱きつき、上目遣いで見てくる。

 

「い、いいんじゃないか?刀奈はどうだ?」

 

一度死んで、心配かけさせた真吾には断れない。

 

「私は構わないわよ?」

 

すると、ラウラは満面の笑みで喜んだ。

 

「うーん」

 

楯無は急に考え事をし始めた。

 

「どうした?」

 

「もう5人で住みましょう?」

 

その言葉にリーナ、レーナ、ラウラは飛んで喜んだ。

 

「そんな事できるのか?」

 

「生徒会長の権限さえあればそんなことちょちょいのちょいよ♪」

 

「じゃあ、決定だな」

 

4本の手で4人の頭を撫でた。

 

「じゃあ、寝るか」

 

ラウラはすぐに部屋に戻ってネコのパジャマを着て戻って着た所でベッドに入って、寝た。

 

 

リーナは左腕で腕枕、レーナと楯無は右腕で腕枕、ラウラは真吾の身体の上で寝ていた。

 

真吾は幸せを感じていた。

 

その幸せを感じながら、ゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

(この幸せが永遠に…)




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