造られた4本腕   作:habanero

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真吾が殺されたその日の話しです。


待っていてくれ

無人機が真吾の下から去って1時間

 

既に日は落ちかけている。

 

戦闘が行われていた無人島で、真吾は必死に生きていた。

 

大切な者の居る場所に帰る

 

ただそれだけを考えて、下半身がある場所まで這いずっていた。

 

下半身をくっ付けてしまえば後は簡単だ。

 

だが、うまく力が入らず、前になかなか進めない。

 

意識がまた遠くなる。

 

それでも前に進む

 

「…も……う………す……こ………し…」

 

真吾の指先が足を掴む

 

掴むが、そこから動けない

 

力が入らない

 

「………………」

 

視界が暗くなってきた

 

真吾は最期まで諦めなかった。

 

そう最期まで。

 

真吾の目から零れる雫

 

 

「…か……え…る……だ………か………ら……」

 

 

 

「………ま………って………ろ―――――――」

 

 

その言葉と共に、真吾は息をする事は無くなった。

 

 

 

 

 

 

『おい、主人』

 

少し幼い声がする。

 

どうやらまだ、生きているらしい。

 

『いや、主人は死んだ』

 

まだ声がする。その正体を見ようと、目を開ける。

 

真っ白な空間が広がっていた。

 

『…何処だ』

 

『ここは俺の意識の中だ』

 

目の前にこの空間とは真逆な真っ黒なゴスロリ姿の赤髪少女がいた。

 

『……誰だお前は』

 

『俺はヴィヒター、主人が名付けてくれたんだろ?』

 

『…お前がヴィヒターだと?』

 

『そうだ、これをみれば分かるだろ』

 

するとヴィヒターだと名乗る少女は見慣れた黒い4本の腕を出した。

 

『どう?』

 

『…マジかよ』

 

『どうやら信じてくれたみたいだな』

 

『ああ、ここはお前の意識の中と言ったな』

 

『言ったぞ』

 

『何故、ISであるお前の意識の中に俺が居るんだ』

 

『知らん』

 

ヴィヒターは即答した。

 

『…』

 

『けどこうして今主人はここに居る』

 

『そうだな…今は深く考えないでおこう』

 

『で、どうするんだ』

 

『どうするとは?』

 

『主人はこのままでいいのか?』

 

『どういう意味だ?』

 

すると、ヴィヒターは真吾の周りを歩き始めた。

 

『やられっぱなしでいいのかという意味だ』

 

その言葉に真吾は当たり前だとでも言うように

 

『それは嫌だな、潰さないと気が済まないな』

 

『あははっ!流石は主人だな!』

 

ヴィヒターは笑いながら足を止めた

 

『潰しに行くか?』

 

真吾は即答だった。

 

『ああ、先に奴らを潰しに行くぞ。その後に帰るぞ』

 

『家族の為か』

 

『当たり前だ』

 

ヴィヒターは微笑む、そして

 

『じゃあこの手を掴め』

 

ヴィヒターは手を差し出す

 

真吾はその手を掴む。

 

すると

 

『また外でな』

 

 

その言葉と共に視界が暗くなる。

 

 

 

 

 

 

オータムとマドカは真吾を救出する為、無人島に向かっていた。

 

「おい、マドカ!あとどれ位だ!」

 

「うるせえ!もうすぐだよ!」

 

「真吾の野郎、死んでねえだろうな!?」

 

「真吾さんが死ぬわけねえだろ!だが、今回は流石にわかんねーよ!」

 

「ちくしょう!」

 

「…っ!あったぞ!あそこの島だ!」

 

無人島を見つけ近づく

 

するとマドカがISを感知した

 

「おい、誰か居るぞ!」

 

「敵か!?」

 

1機のISが赤く光り輝いていた。

 

光り輝いて正体が分からない

 

すると、次第に光が弱まっていく

 

そして、その光の正体が現した。

 

「…あれは!」

 

オータムはそのISに近づく、マドカも後ろを追う。

 

そのISには色は違うが見覚えがあった、間違いない。

 

オータムは確信する。

 

「おい!真吾だろ!」

 

「真吾さんなのか!?」

 

そのまま地面に着地し、話しかける。

 

「…ああ」

 

「お前、身体大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫…なようだ」

 

オータムとマドカは真吾の身体をIS越しに触る。

 

「だ、大丈夫だから!」

 

「そ、そうか!」

 

「だ、大丈夫なようだな!」

 

真吾の身体から手を離す。

 

「それよりも…そのIS…もしかして!」

 

オータムは真吾のISが変化しているのに気付いた。

 

ヴィヒターは以前より一回り大きくなっていた。

 

その他に、色が黒から赤黒くなっているのと

 

後ろには大型のリングが浮いている

 

「ああ、2次移行だ。そのお陰で身体は元通り」

 

「真吾さん、これからどうするんですか?」

 

「帰る…といいたいが……血を流しすぎた。束さんの所まで案内してくれ」

 

流石に血は戻ってないので貧血気味だ。

 

「おい、真吾…学園に戻らなくていいのかよ」

 

「…今はまだダメだ」

 

「あいつらか…」

 

「そうだ、ゴミ共を潰す。じゃないと危険だ」

 

すると、オータムとマドカが気の抜けた声で

 

「はぁ…ともあれ、無事で良かったぜ」

 

「そうだな、じゃあ束博士の所まで行くぞ」

 

「ああ、済まないな」

 

オータムは真吾を支えながら束の秘密ラボまで移動した。

 

「…待ってろよ……ゴミ共め……家族との時間………奪った事を後悔させてやる…」

 

真吾は誰にも聞こえない位、小さな声で呟いた。

 

 

 

 

(待ってろ、すぐに終わらす…そしたら、皆で出かけよう)

 

 

 

 

 

 

 

番人は蘇った、家族に逢いに




ヴィヒターはゴスロリ赤髪幼女でオレっ子

真吾君、貧血状態で復活です。

2次移行の情報は後ほど載せます。

パパ激おこです。

誤字脱字感想お待ちしております!

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