楯無はリーナとレーナの引越しの為、真吾の部屋に来ていた。
「…」
この部屋に住んでいた。
大好きな真吾君が、この部屋に。
リーナとレーナの衣類を黙々とクローゼットから出す。
何も考えずに…
すると、クローゼットの奥に白い紙袋があることに気付く
気になり、クローゼットから出して、中を見てみる。
その中には、真耶、楯無、ラウラの名前が入った小さな箱が3つ、リーナとレーナの名前が書いてある少し大きな袋が2つ入っていた。
楯無は自分の名前が書いてある小さな箱を手に取り、開けた。
中には猫のチャームが付いたイヤリングが入っていた。
それを手に取る。
「…可愛い」
静かに呟く
そのままイヤリングを付け、白い紙袋とリーナとレーナの衣類を持って部屋を出た。
部屋に戻ると、二人はベッドの上で座っていた。
「リーナちゃん、レーナちゃん…」
「「ママ…」」
帰って来た楯無に駆け寄り抱きつく
荷物を置き、二人の頭を優しく撫でる。
「…よしよし」
そして、ベッドの上に移動し紙袋の中から二人の名前が書いてある袋を渡す
「…パパからのプレゼントよ」
「「…パパから？」」
そう言い、袋を開けた。
リーナには赤い熊、レーナには青い熊のぬいぐるみ
「あら、可愛い熊のぬいぐるみね」
二人はそのぬいぐるみをギュっと抱き締める
「「うん…」」
その顔には少し笑顔が戻っていた。
「それじゃあ、夕食を食べに行きましょ」
二人はぬいぐるみを抱きながら小さく頷く。
部屋を出て食堂に向かう。
食堂に入ると既に沢山の生徒で賑わっていた。
楯無達は食事を受け取り、席に座る。
リーナとレーナにとっては真吾が居ない初めての食事
二人は黙々と食べていた。
周りの生徒は、真吾に起きた事を知っている。
真吾達を微笑ましく見ていた者は見ていられなかった。
逆に、悪く思っていた者は今回の件を嬉しく思っただろう。
だから
「楯無さん、こちらで一緒に食べませんか？」
楯無は食事の手を止め、声がした方を見る。
楯無と同じ学年の生徒、複数人が居た。
そう、以前問題を起こした者達だ。
「ごめんなさいね、遠慮しておくわ」
楯無は丁寧に断る、だが引き下がるはずがない
「どうしてですか？」
「この子達と食べるからよ」
そう笑顔で答える。
すると
「いいじゃないですか、そんな
その言葉にリーナとレーナは食事を止める。
そして
「
そう言うと、その生徒の周りに居た生徒は笑う。
「ふ・ざ・け・る・な・！」
その場が静まり返ると同時に
楯無はその生徒の首を掴んだ
「っ！」
「もう一度言ってみなさい…」
その場に居た者は驚いただろう。普段との変わりように
「私の娘でもあるこの子達をそのように言うのであれば…」
「殺すわ」
「ッ！ご、ごめんなさい！」
その生徒は身体をガタガタと震わせ謝る
「…」
だが、楯無は手を離さない
このまま殺してしまおうかと考えていた。
そこで、リーナとレーナは楯無の服を引っ張った。
「「ママ…帰ろ…」」
俯いたまま喋る。
そして、手を離し
「……貴方達、次は無いわよ」
そう言い残し、楯無は二人と手を繋ぎ帰った。
部屋に戻り、3人でシャワーなどを済ませ、一緒のベッドに入る。
「次からはお部屋で食べましょ」
「「うん…」」
二人はぬいぐるみを抱き締めながら頷き目を閉じた
楯無は二人の頭を優しく撫でながら目を閉じた。
逢いたいよ……真吾君（パパ）
次は真耶とラウラですかね。
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