Deathberry and Deathgame Re:turns   作:目の熊

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お読みいただきありがとうございます。

三十一話です。
似非三人称に書き換えました。

宜しくお願い致します。


Episode 31. Today is a calm day -in virtual-

<Asuna>

 

 新生アインクラッド二十九層。

 

 全ての建造物が純白の煉瓦で構成され砂や木まで真っ白に染まっているこの層は、SAO時代から観光の名所として有名だった。主住区の白亜の街並みはイタリアやスペインを彷彿とさせ、天気パラメータが良好であれば、蒼い空と白い街のコントラストがそれはそれは美麗な景色を生み出す。

 

 ……だが、フィールドに仕掛けられたこの層だけの特殊設定……というか制約がえげつなかった。

 

 この層の太陽は「偽の太陽」と呼ばれ、プレイヤーの肌が一定以上露出していると十秒に一回、無条件でダメージを与えてくる。

 被ダメージを回避するためには主住区で売っている漆黒のローブを纏う必要があるのだが、これがまあ一面真っ白なフィールド上では異様に目立つ。ご丁寧に《隠蔽》スキルに大幅なマイナス補正がかかっている。おまけにフードで横と上下の視界を遮られるため、戦闘面でも相当のマイナス要素となっていた。

 

 しかも何の嫌がらせか、モンスターたちも全員、揃いも揃って真っ黒い身体をしていた。このため物陰からいきなり現れた相手がプレイヤーかモンスターか一瞬区別がつかず、モンスターだと勘違いした故のオレンジ化や、プレイヤーと勘違いしたための不意打ちキルが頻発し、SAO生還者には半ばトラウマとなっている層だった。

 

 物語としての設定的には、確かこの「偽の太陽」はフロアボスである真っ黒い怪人型モンスターが生み出したものだった。「偽の太陽」が出ている間、つまりフロアボス討伐まではこの層だけ常に快晴が続く仕様になっており、その時までは主住区は白いドームに覆われていたはずだ。

 ボス戦では今までの恨みと言わんばかりに精鋭三十人が突撃し、今までのボス戦以上の気合の入れようで挑んだ結果、わずか十分で戦闘が終了したと記憶している。アスナ自身もフィールド上でモンスターにローブを破壊され、日焼け(深刻)を負わされた分を倍返しするつもりで討伐に参加したことを今でも覚えている。

 

 ……とまあ、そんな嫌な思い出しかない二十九層に再び降り立ち、今はフィールドを歩いて迷宮区を目指していた。

 

 当時既にフロア攻略部隊を一つ任されていた関係で、ボス部屋の位置やそこまでの経路はうっすらと覚えてはいる。ボスに挑みに行くのは明日の予定だが、その前に記憶と違っているところはないかという下見をしに来ている。

 

 無論、一人でではない。アスナの横には同じデザインの黒いローブをひっ被り、細身の片手用直剣で武装したプレイヤーが歩いている。

 しかしキリトではない。彼と二人でダンジョンに潜ったことは何度となくあったが、()()と二人きりで、というのは初めてだったはずだ。

 

「――なんだか幻想的でキレイなところだねー。《スリーピング・ナイツ》の皆も連れてくれば良かったなあ」

 

 

 そう言って横にいる女性プレイヤー、《絶剣》ユウキはフードの下で笑顔を作った。

 

 

 アスナより頭半分程度小さな体躯。今はローブに隠れていて見えないが、最低限の軽装備で固めた速度重視の剣士型武装。フードから零れたパープルブラックの長髪が、偽の太陽光を反射して黒曜石のように煌めいている。フードの下から覗く笑顔を作っているのは少女らしいあどけないもので、見ているだけでこちらも笑顔になれる気がする。

 

「一度ボスを倒せば、このフードなしで見られるわ。皆と一緒に観光するのは、その後でも遅くないんじゃない?」

 

 この先に待ち受けているはずの迷宮区の構造と敵の強さなどを思い出しながら、ユウキの歩調に合わせて純白の道を歩んでいく。

 

「迷宮区の造り自体は単調だし、そこに辿り着くまでの道のりも大部隊に攻略されつつある以上、のんびりお散歩しながら攻略ってわけにはいかないの。うかうかしてると、ユージーン将軍たちが突撃して倒しちゃいそうだしね」

「あー、あの真っ赤なおっきい人かあ。あの人なら確かにあり得るかも。でもあの人、正直ちょっと苦手かも」

「そう? 見た目はちょっと怖いけど不必要に威圧するようなことはしないし、良い人だと思うけど」

「うーん、そうなんだけど……昔通ってた学校で一番厳しかった体育の先生に、ちょっと似てるんだよ。ボク、マラソン苦手だったからよくビリになって『根性が足りん!』って怒られちゃってさ」

 

 コワかったなあ、と苦笑するユウキ。おそらく昔気質な厳しい教員だったのだろう。アスナの通っていた学校にはいなかったタイプだが、確かに理屈を精神論で押し切ろうとしてくる点を考えると、自分としても苦手な部類に入りそうだ。

 

 などと考えていたら、

 

「……あっ!」

 

 唐突にユウキが何かに気づいたような声を上げた。付近にモンスターの気配はない。何か思い出したことでもあるのだろうか。

 

「どうしたの?」

「ねえアスナ。この真っ白な道を二人きりで歩くのって、なんだかデートしてるみたいじゃない?」

 

 話の流れガン無視で、かつ予想外の答えが返ってきた。思わずガクッと身体が傾く。

 

「あ、あのねユウキ、そういうのは気になる男の子と歩いてる時に言う台詞だよ? 女の子が女の子を相手にして言う言葉じゃないの」

「えー。ボク、アスナとならお付き合いしたいのになー」

「だーめ。ちゃんと自分でお婿さん探しなさい」

「ちぇー」

 

 ユウキは口を尖らせて幼子のようにすねて見せたが、すぐにいつもの混じりっ気のない笑顔に戻る。ころころと変化する表情は本当に見ていて飽きず、天真爛漫な妹が出来たらこんな感じなんだろうな、という暖かな気持ちになる。

 

 ……しかし、ユウキという少女の内面は、その外見の朗らかさからは想像もつかない壮絶たる過去に満ちている。

 

 それが彼女を《絶剣》たらしめている要因でもあり、アスナがユウキと出会い友人になれた理由でもあることが、尚更彼女の存在を特殊にしていた。一か月程前、あの二十四層の樹の下で出会ってからの日々は、ユウキ、そして彼女がリーダーを務めるギルド《スリーピング・ナイツ》と共にあったと言っても過言ではない。

 

 それほどまでにユウキの存在は自分の中で大きく、またかけがえのないものとなっていたことを、アスナは改めて実感していた。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 二十九層のボスをワンパーティーで討伐する。

 

 先月、アスナはユウキたちとそう約束した。

 二十七層のボスは《スリーピング・ナイツ》六人にアスナを加えた七人で辛くも撃破できたのだが、二十八層に関しては叶わなかったためだ。まあ、打ち上げ後のノリと勢いに乗っかり、領主級三名に加えキリトやクライン、リーファという手練れ揃いの面子でなだれ込んだのだ。むしろ討伐できない方がおかしいような豪華メンバーだったため、仕方のないことではあったが。

 

 今は二月十五日金曜日の午後。討伐の決行は明日の昼前を予定している。些か急ぎ過ぎと思わなくもないが、先ほどユウキにも言ったように二十七層をワンパーティーだけで討伐されてしまったことを面白く思っていない、あるいは対抗心を燃やしている集団が出張ってくる可能性がある以上、予定をどれだけ早めても早すぎるということはない。

 《スリーピング・ナイツ》は不敗伝説を持つユウキを筆頭に、どのプレイヤーも相当な強さを持つ強力なギルドだ。自分が知識面を補いさえすれば、急いたところでことを仕損じる可能性は極めて低いだろう。

 

 それに、二月には大きなイベントが開催される。

 

 近くエントリーが締め切られ、同時に予選が開始される統一デュエル・トーナメントが行われるのだ。先日行われた大型アップデートにリソースを大量消費した関係で予定が急きょ変更され、非常に大きな盛り上がりが予想される準決勝以降は三月に分割開催されるとのことだったが、それでも予選に注力する以上、二十九層のボス攻略はできるだけ手早く行う必要がある。

 今回のアップデートで追加された新ギミックの練習には相応の時間を割かないと、デュエルで効果的に運用するのは困難極まると思われるということもあり、そういう意味でもアスナたちに悠長にしている時間はないのだった。

 

 追加されたギミックは大きく二つ。

 

 まず一つは、『和式詠唱魔法の追加』である。

 

 これまでALOの呪文と言えば、北欧神話の世界観になぞらえて古ノルド語が用いられていた。ほとんどのプレイヤーにとって未知であろう言語による呪文詠唱はいかにも魔法使いという気分をもたらしてくれている。

 

 しかし、レクト・プログレスからALOを受け継いだ新運営はここに幅を持たせようと考えたらしく、「和風の武装で固めているプレイヤーも多いなら、和風の魔法があってもいいじゃないか」という発想の元、試験的とはいえ三十以上の魔法を導入した。

 スペックやバリエーションなどは今後変化していくだろうが、すでに習得した知人曰く「トリッキーなものから純粋に強いのまでより取り見取り」とのこと。後衛組の戦術がさらに拡張されるのではと期待されている。

 

 もう一つは、『武器解放システムの導入』だ。

 

 そもそも武器解放とは何か。これはよく漫画などで見かける「武器の名前を叫んだら秘められた力を発揮できる」的なアレである。

 「解号」と呼ばれる日本語の詠唱に続けて武器名を唱えるなど、発動のキーとなる何らかのアクションを起こすことにより発動。時間や発動回数制限、発動代償などの縛りは存在するものの、どの武器種でも発現は可能。一対一のデュエルにおいて明確な「隠し玉」として行使することができ、ごく一部のレア武器に限られていた剣の特殊能力というものが、これによってより多くの武器に普及することとなった。

 

 習得には対象となる武器を装備した状態で多くの戦闘を経験する必要がある。しかも同じ武器から同じ能力が発現するとは限らない。

 これはキリトが説明するところによると、使用者の戦闘データを大量に蓄積することでそのプレイヤーの戦闘パターンに合わせて予め設定してある数種の能力の中から最適なものを発現させているのだろうということ。プレイヤーが増えたことで資金的に余裕が出来、つい最近新たなサーバー群を追加したからこそ可能な芸当らしい。

 

 無論、その能力の規模と武器のレア度は大きく関係する。

 その辺の店で売っている剣で鍛練を重ねた所で、発現する能力は単純な一時的ステータスアップや属性強化が関の山。しかし古代級・伝説級や希少鉱石から作り上げた武器ともなれば常識外の能力を手にする可能性も十分にある。

 

 逆にこれまで既に特殊能力を得ていた上位のレア武器は相対的に地位を落とす……と思われたが、こちらにもある程度の効果の拡張が行われたらしい。アスナの知っているところでは、ユージーン将軍の《グラム》は回数制限有りで多段透過攻撃が可能になったとか。

 

「タダでさえ反則気味の能力なのに、二刀でも防げなくなっちまったのかよ……」

 

 とキリトは苦い顔をしていたが、どこかのオレンジ髪プレイヤーは短刀一振りで勝利してみせたというウワサを聞きつけ、文句を止めて鍛練に励むようになった。

 

 ちなみに彼の持つ漆黒の片手用直剣《ユナイティウォークス》も解放できるようになったそうなのだが、その能力については教えてもらっていない。

 

 知人ではリーファが一度だけ、誰も見ていないところで武器解放時のキリトと対峙したことがあるものの、感想を聞いても「なにも言えないです」と首を横に振られた。

 武器解放から瞬く間に負けてしまったことだけはユイから教えてもらったが、それ以上は「次のトーナメントで使用するまでママにもナイショです」と言われてしまった。かつて極寒の地であったヨツンヘイムからかき集めた希少鉱石から鍛えた剣であるため、強力な氷結系の能力だと自分では予想している。

 

 ……ともかく、そんな二大アップデートにALO中が沸く中で開催される統一デュエル・トーナメントなのだ。盛り上がらないわけがないし、キリトやリーファ、ユージーンやサクヤといった強豪たちも参戦を表明している。勿論アスナも全力で挑むつもりだ。「バーサクヒーラー」などといういささか不本意な渾名を頂戴しているくらいであるし、手を尽くさないなど有りえない。

 

 そういうわけで、今日のこのフィールド行脚は明日の行軍ルートの最終チェックであると同時に、自身の戦闘技術の鍛練のためでもあったのだ。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「――ゃぁぁあああああああああッ!!」

 

 裂帛の気合と共に突きを叩き込む。

 

 二十九層のフィールドモンスターは全て黒ローブを纏った人型・亜人型で構成されている。人の基本骨格を持っている相手というのは技の練習相手には最適だ。上段刺突から薙ぎ払い二連続、そして中段突きへと繋がる四連撃《カトラブル・ペイン》の最後の一撃をモロに受け、亜人型戦士モンスター『ダークネス・ブーマ』のHPが急減少する。

 一月前のユウキとのデュエルでは全て見切られ防がれてしまったが、フィールドモンスター相手でそんなことはまず起こらない。全ての斬撃が命中し、人間の胴体と豚の顔を併せ持つ亜人のHPはそのままゼロになった。

 

 アバターが爆散し飛び散るポリゴン片を浴びながら、前方向に短距離ダッシュ。疾駆の勢いを乗せた片手突きを正面の一体に浴びせてふっ飛ばし、袈裟、逆袈裟と二閃してHpを削る。

 

 別の固体によって横から振るわれた石斧の一撃をスウェーで躱し、お返しの刺突を二、いや三発叩き込んで体勢を崩してから、

 

「ユウキ! スイッチ!!」

「おっけー!」

 

 ユウキと高速スイッチで入れ替わる。

 

 一直線に飛び込んできたユウキの腕が霞むように閃き、敵の首に直撃。見事に刎ねて消滅させた。そのまま勢いを殺さずにぐりっと身体を捻り、先ほどアスナが吹き飛ばした一体に照準。凡庸な中段の構えよりやや剣を引き気味にして構え、重心を思いっきり下げてから……、

 

「せー、のっ!!」

 

 一歩踏み込んで跳躍。剣を振るのではなく構えたまま、体当たりのような恰好で突っ込んでいった。

 

 切っ先が敵の胴を捉えそのまま貫通。貫いた衝撃は凄まじく、刃が纏っていた深緑のライトエフェクトの瞬きさえ重みを持っているようだった。片手剣単発突進技《スカッド・アイ》。汎用で使い勝手がよく、ダッシュの勢いで威力が明確にブースト出来る優秀な技だ。

 

 続けざまにユウキは身体を捻り、残った三体のド真ん中にあえて踊り込んだ。同胞を斬殺され怒り狂った豚の亜人らが石斧を振る下ろすも、彼女の余裕に満ちた笑顔は一部も損なわれない。

 正面からの撃ち下ろしを右に一歩で避け、ほぼ同時に左右から襲い来る二撃は、左の一撃をサイドステップで躱しつつ、右の攻撃をパリイすることで難なく凌いだ。

 

 お返しとばかりに繰り出される水平四連撃《ホリゾンタル・スクエア》で右にいた敵を斬り伏せたユウキは一瞬だけこっちを振り返る。言葉に出さずともその意志を汲み取り、アスナは細剣を左肩に引き付け、ダッシュに備えて前傾姿勢を取る。

 

「おりゃぁ!!」

 

 可愛らしい掛け声と共に繰り出された刺突が敵の腹部に突き刺さる。肘を素早く折りたたみつつユウキが左に一歩ずれる。その隙間にすべりこむようにしてアスナは突進。敵は石斧を掲げて防御姿勢をとろうとしているが……構うものかと細剣をかかげ、

 

 

「響け――閃雅姫(レイグレイス)!!」

 

 

 能力を解放。

 

 形状変化はないものの、能力は十分強力。ガードを貫き一定割合のダメージを与える特殊能力『鎧徹し(アーマーピアース)』の純白の光をまき散らす刀身を、躊躇なく石斧に叩きつけた。

 

 同時に、併用したソードスキルの導きにより五連刺突《スターリィ・ティアー》が発動。星の頂点を穿つが如き連撃が狙い澄ましたように石斧の腹に全弾命中する。切っ先が直撃するたびに真っ白い光の刃が石斧のガードをすりぬけガラ空きの胴へと突き刺さった。

 

 倒れゆく豚亜人の身体を躱し、技後硬直時間を消化する。迫りくる最後の一体へ向き直ると同時に左に頼もしい気配を感知。しかしそちらを見ることなく、自然に細剣を引き絞り、

 

「「――せぁああああああああああッ!!」」

 

 寸分違わずシンクロした気合による同時単発刺突で、敵の頭部を貫いた。 

 

 『ダークネス・ブーマ』の群れが全滅したことを確認し、いぇーい! と喜ぶユウキとハイタッチする。自身を追い詰め摩耗するでもなく、八つ当たりでもない。ただ純粋に親友と一緒に戦えているというこの現状が、とても大事なことなのだとアスナは感じていた。

 SAOでは狩りを楽しむなんていう思考になったことはほとんどなく、いずれの戦闘も己の研鑽という確固たる目的の下で行っていた。数値的強さに固執していたあの頃の刺々しさを思い出すと、今でも少し恥ずかしいような悲しいような、そんな感覚を持つ。

 

「やー、順調順調っと。にしてもアスナ、《レイグレイス》の解放ってキレイだよね。なんだか聖なる光の剣って感じがしてさ」

「ありがとう。ユウキの《マクアフィテル》の解放って見たことないんだけど、そっちどんな感じなの?」

「うーん、刀身が濃いアメジスト色のエフェクトを纏うって感じかな。どうせなら金ぴかー! とかの方がカッコよかったのに」

「そ、その真っ黒い剣から金ぴかー、にスタイルチェンジするのは、ギャップ的にどうなんだろう……」

 

 苦笑しながら、アスナは先ほどの戦闘を思い返していた。

 

 ユウキとペアとなって戦線に立つのは先のボス戦でも経験済みだが、やはり彼女は強い。戦闘のセンスや体捌きの鋭さも圧巻だが、何よりもまず動きの速さが凄まじい。先ほどのようなフィールドモンスター相手の通常戦闘では問題なくついていけるが、全力を出されるとどうしてもワンテンポ遅れてしまう。

 あの速さに追いつけそうなのは、アスナの中では二人しか思いつかない。

 全盛のステータスの状態で二刀を持ったキリトか、あるいは……あの《死神代行》こと一護のどちらかだ。後者は医学部合格という快挙を見事成し遂げたらしく、そろそろALOに引き込もうとキリトがあれこれ画策していたのを覚えている。

 

 ……もし一護がユウキと出会い、そして戦うことになったらどちらが勝つのか。

 

 両方ともプレイヤー相手に負けたところを見たことはない。

 一護はSAO時代の《縮地》に代表されるようスピード寄りの剣士で、斬撃と《残月》《過月》というような単発遠距離攻撃を使い分けるスタイルだったはずだ。

 ユウキも同じくスピードタイプだが、こちらは直剣使いらしく刺突が中心。ソードスキルも手数と速度を重視したチョイスを好み、一護とは対照的である。

 

 もしもあの二人が戦うことになれば、きっとSAOの最後の決戦に匹敵するような激戦となるだろう。

 

 見てみたい気もするが、それにはまず二十九層のボスを討伐し、かつVRMMOに、というか新生アインクラッドにそっぽを向きそうな一護をどうにかしてALOに連れてくる必要がある。

 

 後者はキリトやリーナが頑張ってくれているだろうから、まずボス攻略を成功させる必要がある。この後に怒涛の如く控えているイベントに憂いなく参入するためにも、まずはこの最初の難関をクリアしなければならないのだ。

 

 

 

 

 




感想やご指摘等頂けますと、筆者が欣喜雀躍狂喜乱舞致します。
非ログインユーザー様も大歓迎です。

主に初登場のユウキの描写に慣れるためと、新設定お披露目のためのお話でした。
……ところで《マクアフィテル》と《マクアフティル》、どっちが正しいんでしょうかね?
尚、キリトの《ユナイティウォークス》の能力はUW編で出てくるあの超絶チート能力ではありません、一応、念のため。

一護が呼んだ「アイツら」は次話にて登場します。面子は二人、男と女が一人ずつの予定。


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