カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
すっごく長く感じたよ…マッシロニ燃え尽きたよ…
霧が完全に消え、青空が見えるようになった頃に遠くからパトカーのサイレンの音が響いてきた。街を包んでいた濃霧が消え、ようやく警察達が完璧に動けるようになったようだ。
カズキ達の所にもスーツを着たイギリスの諜報機関や公安の者たちと共にワトソンやサイオンが駆けつけて来た。
「みんな!大丈夫かい!」
「やっほーワトソン‼俺達の大勝利だぜ!」
タクトはドヤ顔でピースサインを見せる。相変わらずの元気っぷりに彼らは平常通り心配はないとワトソンは安堵する。サイオンは公安に拘束されて連れてかれているブラックウッドをちらりと見てカズキ達に向けて苦笑いをした。
「まさかお前達にここまで沢山借りを作られるとはな‥‥よくやってくれた」
「すげえだろ!やるときはやれるんだぜ!」
「ほぼたっくんの変な魔法のおかげだけど」
「本当にあいつらの力ってよくわかんねえな…」
「やる事メチャクチャだけど…」
力を使い切って座り込んでいるカツェとセーラはタクト達を見つめていた。ドイツの時といい、イタリアでの戦いの時といい、彼らのすることは自分達の想像の斜め遥か下を突き抜けるが計り知れない力を秘めている。
そこへ勝利を歓喜を上げているカズキ達の所にジョージ神父がにこやかな笑みを浮かべてやって来たのが見えた。
「やあカズキ君、ケイスケ君、タクト君、そしてナオト…よく頑張ったね」
「このクソ神父‼いつも思うけど来るの遅せえんだよ‼」
「神父ーっ‼この超絶腹筋崩壊的明太子魔導士の菊池タクトの神魔法で一件落着ですぜ!」
「すげえですよ!今回はたっくんが大活躍だったんですから!」
「神父、これ取り返した」
ああだこうだとそれぞれの話でバラバラに騒ぐカズキ達をよそにナオトはジョージ神父に【極限宝具・エクリプス】を渡した。
「よくやった…これで霧の事件は一件落着だよ」
神父のその一言でカズキ達はさらに喜びの声をあげ、タクトを胴上げした。調子づくともう収拾がつかないんじゃないかとセーラはジト目でため息をついた。
「曾叔父様‥‥」
ジョージ神父はふと声を掛けられた方を向く。アリアにおぶられたメヌエットが申し訳なさそうに視線を落としながらジョージ神父を見つめていた。
「曾叔父様…今回の件、お姉様や彼らを巻き込んだ私にも非があります。私が頑なにお姉様や英国政府を拒んだせいでここまでの惨事に…」
自分一人でこの事件を背負うのではなく、もう少し早くアリアに頼っていれば、もう少し早く政府や諜報機関の要請に答えていれば、と考えたメヌエットであったが、ジョージ神父はにっこりと首を横に振ってメヌエットを撫でた。
「メヌ、誰も君を非難する人はいないよ。寧ろ一人でよく頑張ったね…」
「曾叔父様の言う通りよメヌ。それに…あの騒がしい4人組もいるし貴女はもう1人じゃないわ」
「…‼曾叔父様、お姉様…っ‼」
アリアやジョージ神父の優しい笑みに、そしていつまでも騒がしくしているカズキ達を見てメヌエットは涙ぐんだ。もう一人ではないのだ。
「‥‥ところで、お前達は道中で伊藤マキリと遭遇しなかったのか?」
ふと、サイオンは思い出したかのようにカズキ達に尋ねた。彼女は『N』の一員であり、この事件の関係者である。サイオンも驚かされるほどの実力の持ち主であるし、カズキ達がここまで来ていたのなら彼女との戦闘をして突破したはず。サイオンの質問にカズキはむかつくほどのドヤ顔をした。
「へへーん、俺達、勝っちゃったもんねー‼」
「俺達のスーパーコンビネーションアタックで完全勝利だぜ!」
タクトまでもが自信満々に言う。どうやら彼女との戦いに勝ったというのはたぶん本当のようだとサイオンは確信する。彼女を捕えることができれば『N』の組織の詳しい情報が手に入るし今後『N』との戦いに備えることができる。
「それで…伊藤マキリはどうしたのだ?逮捕したのだろう?」
「マンホールの中に落としてありったけのフラッシュバンやゲロ瓶を投げ込んでやったんだ‼」
「あれだけ投げ込んでたら間違いなく気絶してるだろ。ざまあみろ!」
「これで俺達も国際武装警官の仲間入りってね!イエーイ!」
「…黒木ケンジさんに報告しなきゃ」
それぞれ嬉しそうにしているが、それを聞いたサイオンは頭を抱えてため息をついた。そして物凄く申し訳なさそうにして口を開く。
「そのなんだ…喜んでる所申し訳ないが、ここら辺のマンホールの中は地下下水道だ。ほかのマンホールへと繋がっている…」
「え?それってつまり…」
「もしかして、逃げられた‥‥?」
呆然としてしまって恐る恐る尋ねたカズキとケイスケにサイオンは即頷いた。折角の苦労が水の泡になったという事にカズキとケイスケ、ナオトはガックリと膝をついた。
「「「まじかよぉぉぉぉっ‼」」」
「マンホールに繋がっているならまだどっかににいるってわけだな!探そうぜ‼」
約一名、タクトだけがやる気満々の声がタワーブリッジに響いた。
___
「「え゛ええええっ!?もう魔法は使えないの!?」」
事件から2日後、霧一つない快晴の空の下、メヌエットの館にてカズキとタクトが物凄く残念そうに大声を上げていた。喧しい彼らに凛は耳を塞ぎながら面倒くさそうに頷く。
「仕方ないわよ。あんたの魔法、色んな意味でメチャクチャすぎて再現すら不可能のレベルなんだから」
タクトに渡したあの黄色いトンボ玉が付いたブレスレットこと簡易魔法具は本来ならば私生活に使えるレベルの魔法しか使うことができないはずだった。それがタクトが使うとこれまでの魔術師たちの研究の成果を助走をつけてドロップキックをかますほどの規則がメチャクチャの魔法がでてきて困惑した。そしてその魔法を発動する簡易魔法具が完全に壊れてしまったためもう同じ魔法は発動することは無いのだ。
「凛先輩!なんとかしてくださいよー」
「凛先輩なら何でもできると思ったのにー」
「凛先輩だし仕方ねえよ。できねえこともある」
「凛先輩、うっかりだし…」
「あんた達、軽くバカにしてるでしょ?」
遠回しで小バカにしているようにしている4人組に凛はジト目で睨む。
「兎に角、ダメというものはダメ!それに時計塔の方もまた大忙しだし、手が付けられないのよ」
凛は窓の景色を眺めながら遠い眼差しをした。事件の翌日は時計塔もMI6もイギリスの武偵局もあちこちてんやわんやで大変だった。カズキ達が無事に戻ってくるとリサが大泣きして、大喜びしてと表情を忙しくしながらカズキ達に抱き着く勢いで駆けつけてくるわ、再びタクトを胴上げするわであったが、他の所も忙しくしていたようだ。
まず一つはブラックウッドと協力していたブロフェルドを台頭にしたSPECTREが復活していたこと。再びMI5の一員と裏取引をしていたこともあり再び諜報機関にはメスが入るようだ。そしてボスであるブロフェルドを捕えたものの、残党がイギリスから出たという情報もあり、MI6の00シリーズのエージェント達はSPECTREを完全に捕える為に世界中へ赴くとサイオンが苦笑いをして言っていた。
その次に時計塔。霧の事件を解明後、時計塔は霧の原因であった【極限宝具・エクリプス】をどのように封印すべきか、ジョージ神父が中心になってあれこれしているようだ。そして霧のせいでなかなか戻れないでいた君主や教員たちが「今回の事件についてそこら辺KWSK‼」と興味津々に尋ねてくるし、その報告書やら始末書やらと書類の山を相手にしなければならないと副院長であるオルガマリーさんが泣きながら喚いていたと凛が遠い眼差しをしながら言っていた。そして凛も「はやくあのバカ戻ってこないかなー…」とも呟いているようだ。
「霧が晴れてもやっぱり騒がしすぎるわね…」
「メヌ、あのバカ達に変化というのはないわよ」
「ふはは‼相も変らぬ賑やかさであるな‼」
メヌエットやアリアは苦笑いをし、ハワード王子は高笑いしながらカズキ達を見る。外出していたのかメヌエットやアリアはドレスを、ハワード王子はいつもの様に白のスーツを着ていた。
「それにしても‥‥カズキ達の行動には度肝を抜きましたわ」
「そうね、無知にも程があるわよ…」
メヌエットとアリアは呆れるようにカズキ達を見て頷く。実のところ、カズキ達と共にイギリスの国際議事堂をブラックウッドらの魔の手から守った、そしてイギリスを包んでいた霧を晴らしたという功績を称えられ、イギリスの女王陛下への謁見が許されるというトンデモ自体が起きたのも関わらず、カズキが「女王ってだれ?会いたいならキングがいいなー!」とかいうトンデモ発言にメヌエットもアリアも身の毛がよだった。このバカ4人は女王陛下の前でもとんでもないことをやらかす恐れがあるため、ハワード王子とメヌエット、アリアの3人だけ謁見することになった。それを後から聞いたケイスケが「せっかくR武偵になれるチャンスだったのに!」と激怒しながらカズキをボコっていた。無知とは恐ろしい
「おかーさん、ただいまー‼」
メヌエットの館にカツェやセーラ、ワトソンとともにジャックがやってきて、ジャックが嬉しそうにハワード王子に抱き着く。ハワード王子はもう彼女を拒むことなくにこやかに頭を撫でた。
「よくぞ戻ってきた!学校はどうだった?」
「うん!とっても楽しいよ‼」
切り裂きジャックの一件は、ハワード王子や時計塔の活躍もあって彼女は許された。まだ幼いという理由もあるが、ハワード王子のボディーガードを務めるという事になり、彼に任せておけば問題は無いだろうと解決された。そしてジャックは時計塔の生徒として、MI6のサイオンの相棒として活動することになったようだ。
「いやー、何事も問題なく解決して鍋喰って地固まるだな!」
「たっくん、それを言うなら雨降って地固まる‥‥」
「それにカズキ達の方はまだ一件落着じゃないぜ?」
セーラやカツェがまだ他にもあるというのでカズキ達4人は不思議そうに首を傾げる。もう忘れているとセーラは呆れてため息をついた。
「…伊藤マキリの件」
「「「「あっ」」」」
「なんでもう忘れてるんだか。ワトソンが情報を見つけてきたぜ」
「リバティーメイソンの目撃情報なんだけど、伊藤マキリがヒースロー空港にいたのを見つけたんだ。彼女は別の所へと向かうみたいだよ」
「あの野郎、早くとっちめてやる!それでワトソン、伊藤マキリが何処へ向かったのか分かったのか?」
「ヒャッハー‼地の底まで追いつめてやるぜー‼」
「俺達は古に伝わりしチェイサーだからな!」
はしゃいでいるカズキとタクトを無視してケイスケとナオトはワトソンに尋ねた。
「伊藤マキリはアメリカへ向かったよ」
「アメリカか‥‥」
「アメリカンドッグ食べたい」
「アメ横行きたい」
「アメちゃん食べたい」
本当に真面目に聞く気はないのだろうかとアリアは肩を竦めるが、伊藤マキリがアメリカへ向かったという事が気掛かりだった。アメリカではキンジが色金の一件で自分と同じように戦っている。彼女と鉢合わせにならない事願うと同時にまさかアメリカにも『N』とやらの仲間がいるのではなだろうかと心配になった。
「ジョージ神父がすでに手配をしてる。明日か明後日にはいつでもアメリカへ行けるぜ」
「たっくん!次はアメリカだってさ‼」
「ついに俺達ハリウッドデビューしちゃう?皆で行こうぜブロードウェイ‼」
「ハリウッドに行かないし、ブロードウェイにも行かない。それに今回は私とワトソンはロンドンに残る」
ロンドンに残るとセーラが言うとタクトが物凄く悲しそうな面をして驚愕していた。
「ええええっ!?セーラちゃん、俺の事が嫌いになったの!?」
「違う、嫌いになってない」
「ホント!ん…?それってつまりどういう事だってばよ?」
「あっ、ちがっ、そういう意味じゃない‼ジョージ神父に頼まれただけだ‼イギリスに遠山キンジが来るという事だからあいつのサポートをしてくれって‼」
セーラは顔を赤くして言い直すが、結局タクトは意味を理解していないようで終始首を傾げていた。そんなセーラとは反対にカツェは嬉しそうに胸を張る。
「その代わり、あたしが一緒について行ってやるぜ。リサは兎も角、お前等4人でアメリカに向かうとなると心配だしな!」
「ありがてー‼カツェがいるとたっくんよりもとても心強いぜ‼」
「お、おう!カズキ、あたしに頼っていいんだからな‼」
嬉しそうにするカズキにカツェは少し照れながら胸を張った。
「鈍感すぎにも程があるわ‥‥」
「違うわよメヌ。あのバカにそういうの純情さが無いのよ…」
「この4人組…別の意味で面倒ね…」
そんなカズキ達をメヌエットとアリア、そして凛が遠い眼差しで見ていた。
___
濃霧に悩まされることなく飛行機が飛ぶようになったロンドン・ヒースロー空港にてカズキ達を見送る人達はイタリアの時よりも多いようだ。荷物をまとめたカズキ達をハワード王子は笑顔で頷く。
「お前達にはとても感謝をしている…お前達のおかげで余は少し変われたかもしれん」
「何言ってんだぜ王子!王子やサイオンもジャックもソウルメイトだ!いい男になってるぜ‼」
「最初に会った時よりはだいぶまともになってるさ。これなら打倒キンジも間違いねえ」
「王子!俺達、応援してるぜ‼」
「‥‥モテル」
英国王子に何という事を、と普通なら思うがもはや彼らにとって王子も地位も関係なく友達なのだからもう誰も咎めることは無かった。タクト達の応援にハワード王子はニシシと笑った。
「うむ‼余はアリアの好感度をマックスにさせて遠山キンジに打ち勝つように精進する‼任せておけ!」
打倒キンジに燃える王子をもはやだれにも止められなくなった。これキンジと鉢合わせしたらとても面倒な事が起きるんじゃないかとアリアは遠い目をしていた。
サイオンは王子にあれこれモテルアドバイスをしてるカズキ達を見て苦笑いして頷いた。
「お前達は国際武装警官を目指しているようだな…国際武装警官なあらMI6と組むことがある。いつかまた共に戦えることを待っている。いつでも声を掛けてくれ」
「サイオン、またいつか一緒に派手に大暴れしようぜ‼」
「今度は007にスカウトしてよ‼俺ならパーフェクト007になれるからさ!」
いつかその日が来るまで、というかそんな事になるのだろうかとサイオンは笑ってカズキ達と握手を交わした。彼らと行動すると常識を覆すことばかり。いつかまたそんな事に驚かれるかもしれないだろうと微笑む。
「まったく‥‥始まりから終わりまで、貴方達は賑やかね」
車椅子を押しながらメヌエットはカズキ達に呆れてため息をつく。ポカンとしているカズキ達を見てメヌエットはクスリと笑った。
「けれども‥‥その賑やかさは悪くはなかったし、楽しかったわ。ねえたっくん、私も貴女達と同じソウルメイトになれるかしら…?」
「メヌエットちゃん!メヌエットちゃんはもうすでに俺達と一緒のソウルメイトだぜ!」
単純で、純粋で、裏も何もない、タクトの真っ直ぐな笑顔にメヌエットは微笑んで頷いた。そして確信する。彼らはどんな困難にも恐れずに立ち向かい、力を合わせて突破していく。これは推理でもなく、理屈でもない。そんな気がしただけ。
「貴方達なら大丈夫そうね‥‥気を付けていってらっしゃい」
「俺達のハリウッドデビュー、楽しみに待っててくれよな!」
「行こうたっくん‼俺達の栄光の道筋は…えー…凄い‥期待に…応えられる」
「ちゃんとまとめてから言えや。そっちも頑張れよ、メヌエット」
「‥‥またシュークリーム焼くから」
カズキ達騒がしい4人組はメヌエット達に手を振りながら出国ゲートへと向かって行った。こちらに元気よく手を振るタクトを見送りながらセーラは苦笑いをして溜息をつく。
「リサ、カツェ、あのバカ達を頼む」
「セーラ様、お任せください。カズキ様達のサポートをしっかりいたしますね!」
「おうさ、セーラも頑張れよ!」
リサとカツェもにこやかに頷いてカズキ達の後へ続いて出国ゲートへと向かって行った。彼女達が入ればアメリカに行っても多少は大丈夫だろうとセーラはやや心配気味に見送った。
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「賑やかな人達、行っちゃったね…」
ジャックは空高く飛び立っていく飛行機を窓から見ながら少し寂しそうに呟く。ハワード王子は頷いてジャックの頭を撫でた。
「そうだな。嵐ような、いや嵐よりも騒がしく賑やかに行ってしまったな。だがその代わり、明日にはアメリカから遠山キンジという男が来るらしいぞ」
「ホント!じゃあいっぱい遊べるね!」
「うむ‼そして余の恋のライバルでもある‼最初は権力で物言わそうと考えていたが…やはり面と向かい合って挑もうと思う」
ハワード王子は張り切っていた。初恋のライバルはどんな男なのか、アリアが惚れる程の男はどのような実力を持っているのか、カズキ達が言うような色々とヤバそうな男なのかもしれない。会うのが楽しみでたまらなかった。
「やはり…ここはどちらがカレーうどんを服を汚すことなく早く食べることができるか勝負してみるか!」
「おかーさん、応援してるよ‼頑張ってね!」
「殿下、それはちょっと‥‥色々と問題があるのでは?」
やんややんやと遠山キンジとどのような勝負をしようかと楽しみにしているハワード王子達を見ながらメヌエットはクスリと笑う。
「お姉様、楽しみですわね。殿方が来たらどのようにもてなしてあげようか、実は私も楽しみでたまりませんの」
「…やっぱりあのバカ達、余計な事しかしてくれないわね‥‥」
アリアはやつれるようにため息をついた。キンジが来たらどうなるのか、色んな意味でヤバイと。アリアはキンジに申し訳ないと思いながら苦笑いしていつまでも青々としている空を見上げた。今日も霧一つない、いい天気だ。
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「申し訳ございません‥‥私がいながら、ブラックウッド卿の暴走を止めることができず【極限宝具・エクリプス】を奪われることに‥‥」
ロンドンのとあるカフェで、伊藤マキリは氷のような冷たい表情のまま頭を下げた。
「気にする事はないよ、マキリ。こうなる事は筋書通り。いつかあいつを切り捨てる予定だったのだよ」
低いダンディーな声の男性は黙々と書いていた手帳をパタンと閉じてコーヒーを飲んだ。白髪の男性の肩には一匹の青い蝶が止まっている。
「…では既に【極限宝具・エクリプス】を奪われることは時間の問題だったと…?」
「ええ。いくら計算してもブラックウッド卿は敗れる未来しかない。その時間が早かっただけ。それに【終焉兵器・ビッグバン】と【十四の銀河】があればどのみち問題は無い」
「‥‥ネモ提督と同じことをおっしゃいますね」
伊藤マキリは静かに頷いてコーヒーを啜る。
「ではあなたは何故ここロンドンに?このまま長居しますと探偵に見つかるのでは?」
「娘を迎いに来たんだ。あの娘、歌の学校をやめるようでね。彼女が言うには自分の歌を真剣に聞いてくれた教師が自殺をしてしまったらしい。よっぽどショックなようで気を落としているんだ。あとで美味しい料理のお店へ連れてって励ましてあげなくては」
男はにっこりとしながら娘の話をした。相も変わらずおかしい人だと思いながらも平常通りだと思いながら伊藤マキリは男の話を聞きながら静かにコーヒーを啜る。
「心配はない。探偵では私を見つけることはできんさ」
「そうですか…では例の4人組はアメリカへ向かったことはどうするのですか?」
伊藤マキリはやや心配気味に男に尋ねた。初めて敗北を味わった。初めてこのままだと捕まると危機感を覚えた。戦いはハチャメチャで単純なのに、何を考えているのかよく分からない4人組に遠山キンジとは別の意味で彼らを初めて危険だと感じたのだ。
「アメリカ、か‥‥ジキル博士も会うのを楽しみしている。それに、娘‥‥ネモも直々にその4人組に会おうとしているようだよ」
まさかネモ自らがその4人組に手を下そうとしてるのかと伊藤マキリは少し驚いた。果たしてアメリカでどのような戦いが起こるのか、少し気にはしながら白髪の男と一緒にコーヒーを啜った。
ネモの立ち絵、どう見てもアリア亜種ですありがとうございました(オイ
リサがいないからキンちゃん先輩詰みじゃね?と思いながらセーラさんを残すことにしました。まあ原作とは違う展開になるだろうと‥‥思います。まずは王子とカレーうどんの勝負かな?
サイオンにジャックにセーラが味方に…あれ?鬼さん達も詰みじゃね?シカタナイネ!
イギリス編、終了‥‥次のステージはアメリカへ…‼