カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
梅雨の終わりが近づいてきているように、こちらの霧の話もきりがいい…なんちゃって(焼き土下座)
黒い黒煙が舞い上がる。カズキは迫っていた爆炎に思わず目を瞑ってしまったが爆熱も黒煙の感触がない。恐る恐る目を開けると自分達の周りに水の壁が張られていた。
「お前等…大丈夫か…?」
カツェが水の壁を張って爆炎を防いでいた。おかげで怪我を負うことは無かったが、かなりの力を消費したためかカツェは肩で息をするほどへばってしまった。
「カツェ‼大丈夫か!?」
「カズキ、心配すんな…あたしはまだやれる…っ!」
「空元気じゃねえか。無理すんな!」
【極限宝具・エクリプス】の力で能力が極限状態になっているブラックウッドの力は想像以上の力であった。今は底無しの魔力であれやこれやと様々な魔法を使ってくる。
「ふ…やはりお前達など相手にならんな」
「うるせーっ‼舐めきってるお前の面を、えーと、びっくりさせてやる‼」
「もう少し考えてから言いなさいよ!」
アリアは思い立ったらすぐに口に出すカズキにツッコミを入れる。アリアはため息をついてガバメントを構えなおす。
「あの魔法がやっかいね…あんたたち、これをどうにかしなきゃならないけど何か考えはあるの?」
「勢い」
「気合い」
「努力」
「うん、そんな気がしたわ」
即答する3人にアリアは既に色々と察していた。キンジがいたなら何かいい作戦か彼のトンデモ体術で切り抜いていただろう。しかし今ここにキンジはいない。ここは自分の力で何とかしなければならないと切り替える。
「もう一度突撃するわ。あんた達、援護をお願い‼」
「よーし‼援護は任せろーっ‼」
「俺も前衛に回る…!」
「アリア!後れを取るんじゃねえぞ‼」
カズキとナオトとケイスケは気合い充分にブラックウッドに向けて駆け出していった。援護どころかそのまま突っ込んでいった彼らにアリアはずっこける。
「だから人の話を聞いて!?」
「あいつらが人の話を真面目に聞くと思ってんのか?」
カツェの言う通り、彼らはノンストップどころか鉄砲玉の様に突っ込んでいくほどフリーダムだというのは色々と察していた。
「あたしもまだ戦える…!あいつらを援護するぞ‼」
「ああもう!仕方ないわね‼」
ブラックウッドはこちらに向かって駆けてきているカズキ達に不敵に笑う。
「無駄な事を…何度やっても同じことだ」
【極限宝具・エクリプス】を掲げると、炎の壁が燃え上がりカズキ達へと迫りだした。突然の炎の壁にカズキとケイスケはギョッとするがナオトは無言のまま突っ走るので勢いで駆け抜けることにした。
「そうだ!そのまま突っ走れ‼」
カツェは手持ちの水のボトルを全て開封して特大の水の塊を飛ばす。水塊は打ち消すように蒸気を発して迫っていた炎の壁を消していく。蒸気を搔い潜る様にカズキ達は走り抜け、カズキはSR-25で狙い撃ち、ケイスケはM16を撃つ。
「そんな豆鉄砲で私を止めれると思っているのか!」
ブラックウッドの目の前に土の壁が発現され弾丸は塞がれた。無駄な事だとブラックウッドは嘲笑っていると土の壁が爆発を起こして崩れた。突然の事に目を丸くするが、すぐに何故爆発したのかを探す。遠くからセーラが爆弾の付いた弓矢を射って来たのだ。
「ナオト、いっけえええ!」
カズキの叫びと同時にナオトが一気に駆けだす。ブラックウッドはこちらに向かってくるナオトに炎の球をいくつも飛ばしていく。恐れずに駆けるナオトはフライパンを手に取り炎の球をどんどん撃ち飛ばしていく。
「…っ‼」
ナオトは無言のままフライパンを振るが、ブラックウッドはひらりと後ろへ下がって躱す。それと同時にナオトに向けて雷の球を飛ばした。
「‥‥いけっ‼」
ナオトはフライパンで踏ん張って防ぎながら大声を出した。その後ろからアリアがナオトの背を踏み台にして飛び越えた。勢いで飛んだアリアは一気にブラックウッドの懐へと迫る。
「妹を危険な目に遭わせた落とし前をつけてもらうわよっ‼」
勢いで2丁のガバメントを連射した。この距離なら直撃は免れない――はずだった。飛んだ弾丸はブラックウッドの体に当たることなく静止をしていた。よく見ると当たる寸前で薄い水の壁によって止められていた。
「ふ…その程度か」
ブラックウッドは鼻で笑うと睨んでいるアリアに向けて暴風を放つ。アリアは防ごうとするが風の力が強く、吹き飛ばされそうになった。
「ぐへーっ!?」
が、たまたま後ろにいたカズキにぶつかりカズキの上で尻もちをついてしまったがおかげで吹き飛ばさる事は未然に防ぐことができた。
「ちょ、まじめにやりなさいよ!?」
「お、俺はいたって真面目だぜ…?」
「お前は何を言ってんだ。俺達は真面目にやってるぞ」
ケイスケまでもがそう言うが、至ってそう見えないのは彼らの性のせいだろうか。このままでは手も足も出すことができなくなるとアリアは焦る。
「‥‥私の相手はシャーロックしかいない。お前達の様とヒーローごっこするつもりは無い」
ブラックウッドは【極限宝具・エクリプス】を掲げると、周りの霧や遠くに見える霧が蠢くように拡大していった。
「‼…この臭いは…っ‼」
アリアは霧からかすかに臭う腐臭に気付き、鼻を覆いブラックウッドを睨む。気づいてないカズキ達はどういうことかと首を傾げた。
「霧の腐食の力を強めた。建築物はじわじわと侵食されいずれ崩壊するだろう。だが、ロープのようなものなどは腐り朽ちていく速度があがっているだろうな…」
ブラックウッドは低く笑い吊るされているメヌエットの方へと視線を向けた。腐食の霧にさらされミシミシと音を鳴らしている。このままだとロープが朽ちて千切れてメヌエットは落ちてしまう。
「この…っ‼あんたって奴は…っ‼」
アリアは怒りと殺気を込めてブラックウッドを睨み付けた。怒りに身を任せて低く笑っているあいつをぶん殴ってやりたい。しかしそれだとブラックウッドの思うつぼ。【極限宝具・エクリプス】を前にどう戦うか必死に考えを張り巡らせていた。
__
「霧がどんどん濃くなっていく…それに腐食の進攻も速まってるみたい」
セーラの表情に焦りが募っていた。いくら彼らが突撃してもブラックウッドに傷1つつけることができていない。強大な魔法の前になす術はないのかと焦っていたが、隣にいるタクトは全くそんな様子がなかった。
「つまり…どういうことだってばよ‼」
「たっくん、もう霧のこと忘れたの!?」
「要はあのM字ハゲを倒せば何とかなるんでしょ?」
「うん、まあそうだけど…」
こんな局面でどうしてこうも楽観的にいられるのか、彼の精神力が羨ましいとセーラは少しばかり思ってしまった。
そんな時、誰かがこちらに駆けつけてくる音が聞こえた。セーラは後ろを振り返るとハワード王子が息を上げながら走って来るのが見えた。
「王子…?なんでこんな所に?」
「王子じゃん!まさか王子パワーを発揮するのか!?」
どんなパワーだとセーラはツッコミを入れるが、ハワード王子はそれどころじゃないような様子であった。なんとか息を整え、深呼吸をしてから顔を上げた。
「お前達、ジャックを見ていないか?」
「ジャック…?王子と一緒じゃなかったの?」
「いいや。ジャックはタクト達の後をついて行った。だから余は心配になってここまで走って来たのだが…」
ジャックがタクト達の後を追っていたことには全く気が付かなかった。それならば既に彼女はもう追いついているはずなのだが、彼女の姿は一切見かけていない。一体何処にいるのかセーラは考え込む。ついてきたのなら彼女もブラックウッドを止めに来たに違いない。
「まさか…!」
一つの答えが出たセーラは霞む霧の先にいるブラックウッドの方を見る。セーラは急ぎ弓矢を構えた。
「たっくん、すぐに走って‼」
「うん?なして?」
「急ぐの!ジャックはブラックウッドと差し違えるつもり…‼」
__
「くそっ…弾がもうわずかしかねえ‼」
ケイスケは舌打ちをする。三戦連続で撃ってきたが流石に斬弾数が底をつきかけてきた。カズキも同じように残りの弾数に焦りだす。
「まずいぞこれ‼これが尽きたら俺接近戦とか得意じゃないし!」
「後は近接も得意なナオトに頼るしかねえな」
「ちゃんと戦ってーっ‼」
ナオトもナオトでひたすらブラックウッドが放つ炎の球や雷の球をフライパンで打ち返し続けていた。アリアは背中に隠している二振りの日本刀を引き抜き構える。
「このままじゃこっちがやられるわ…」
「くそ…どうにかなんねえのか‼」
「もうお遊びは終わりにしようか…」
ブラックウッドは不敵に笑って水晶玉を掲げようとした。その時、奥の霧がゆらりと動いたのが見えた。ブラックウッドは手を止めた刹那、霧の中から勢いよくジャックが飛び掛ってきた。
両手に持っているナイフで斬りかかるがブラックウッドはひらりと身を躱す。着地をしたジャックは再びナイフを構えた。
「じゃ、ジャックちゃん!?」
「これは驚いた。まさか私に歯向かうとはな」
「私達を騙したのが悪いもん!」
ハワード王子の前では無邪気な少女だった様子が一転、おどろおどろしい殺気を放ち、その様子は正真正銘の暗殺者そのものだった。
「それに…おかーさんやおかーさんの友達を傷つける人はゆるさない‼」
ジャックは目にも止まらぬ速さで駆け、ブラックウッドめがけてナイフを振りかざして斬りつけた。しかしブラックウッドの体は霧のように消え、ナイフは空を切った。
「逃がさない…っ‼」
狙った獲物を逃がさないかのように身を低くして更にスピードを速め駆ける。何もない所をナイフで斬りつけたが、見る見るうちにブラックウッドの姿が露わになる。よく見ると彼の頬に切り傷が負っている。ジャックのナイフを躱したものの顔に刃を掠めていた。
「この…出来損ないがっ‼」
斬られたことに怒りを募らせたようでブラックウッドは【極限宝具・エクリプス】をを掲げた。すると赤い電撃がジャックに襲い掛かる。
「ぐ…ああああああああっ!」
ジャックは悲痛な叫びをあげ膝をつこうとしたが、痛みに耐えるかのようにゆっくりと近づいていった。
「おかーさんは…私達が…わたしが守るんだ!おまえになんかに…負けるものか…!」
直撃しても尚刺し違えようと近づいてくるジャックにブラックウッドは攻め手を緩めずに電撃を放ち続ける。
「造られた者の存在の癖に小癪な…もう一度あの世へ送ってやろう!」
ブラックウッドは【極限宝具・エクリプス】を再び掲げる。ジャックの周りに白く光る球体がぽつぽつと現れる。爆発を起こして葬り去ろうと力を込めようとした。
「おらーっ‼『SUGOKU TUKAIYASUI』‼」
突然、ブラックウッドの顔面にソフトボールぐらいの大きさの泥団子のような球体が直撃した。ゴムボールが当たった感触でさほど痛くないのだが虚を突かれた。
「風で爆炎を吹き飛ばす!その間に二人は急いで‼」
「王子!今だーっ‼」
「ジャック‼」
セーラが突風を放ち爆発寸前の光の球を吹き飛ばし爆発を逸らし、タクトは虚を突かれていたブラックウッドに向けて飛び道具魔法『SUGOKU TUKAIYASUI』を放ち続ける。その隙にハワード王子が走りジャックを助け出した。
「おかーさん…!」
「ジャック、言ったはずだ。余の前で死人が出るような真似をするのは許さん‥‥だから勝手にいなくなるな!」
ハワード王子は傷だらけのジャックを抱き寄せ、ジャックはほろりと涙ぐんだ。
「たっくん‼もう少し早く来てよ!」
「カズキ、とっておきは最後まで残しておくもんだぜ?」
いい雰囲気をよそにカズキはプンスカと文句を言っているがタクトは反省の色を見せずにニシシと笑う。
「とっておきって‥‥あんた、何か方法があるの?」
アリアはこの状況でも全く絶望感を醸し出していないタクトに尋ねる。タクトはなにかブラックウッドを、【極限宝具・エクリプス】を止める方法を何かしら持っている、彼女の直感がそう言っていた。
「あるぜ!この漆黒の堕天使的スーパーデストロイモードの魔法使いの俺に、サイキョー魔法があるよ!」
「流石たっくん‼早くそれをぶっ放してくださいよー!」
「そんなもん隠してんならさっさとしとけよ」
カズキはさっきまでの焦りが一転して調子づき、ケイスケは毒づきながらタクトをおちょくるが、タクトはしかめっ面で首を横に振る。
「でも‥‥MPが足りない!だからできない」
「はあああっ!?なんでMP管理をちゃんとしねえんだよ!?」
「馬鹿かお前‼むやみやたらにジャガイモを飛ばしてるからだろうが‼」
お好み焼きの様に軽々と手の平を返すようにカズキとケイスケはタクトにブーブーと文句を言う。この状況でどこまでも騒がしいとアリアは呆れる。
「そこでだ、カズキ、ケイスケ、ナオト!オラにパワーをくれ‼」
「やだし。疲れる」
「なんでたっくんにパワーを分けなきゃいけないんだ」
「逆に俺にくれ」
「なんでそこは断るの!?」
チームなら快く承って力を貸すのが普通なのだが、どうしてここでも空気と展開を読まないのだろうか。
「茶番は終わったか?このまま終わらせてやろう」
そんな事をしている間にブラックウッドは【極限宝具・エクリプス】を掲げた。彼の周りに風と炎と雷と水が混ざったような渦が巻き上がる。
「お前達がどんなに力をあわせようとも…この【極限宝具・エクリプス】の前では、力を極限に高められた私の前では無力だ!」
自分を小物だと言い放ったタクトに向けて、自分の邪魔をし続ける喧しい4人組に向けて炎と風と雷と水の属性が混ざった魔法を放つ。
「させない…!」
「もってくれよ、あたしの体力…‼」
彼らの前にセーラとカツェが立ち、爆風とありったけの水流を放ち防ぐ。ブラックウッドの魔法が強くじりじりと押し上げられていく。炎の熱で、雷の衝撃で、風の鎌鼬で、水の圧力で服がボロボロに、体力が削れていく。それでもなお二人は力を込めて耐え抜く。
「たっくん‥‥‼やれるならちゃんとやって!」
「それまであたしらが抑える‼だから頼んだぜ…‼」
体を張って時間を稼ごうとする二人と同じようにアリアはタクト達をジト目で睨む。
「あんた達‼絶対にそれで勝てるのなら絶対にやり抜きなさい!あんた達が…メヌを、妹を助けるって言ったんだから、しくじったら承知しないわよ‼」
「タクト…余はお前に託すぞ…!」
アリアに続いてハワード王子までもがタクトに託した。タクトは「えー」と言いそうになったがケイスケの鬼のような視線に気づき焦りの表情を隠して頷く。
「たっくん、いまさらそれはないとか言わないだろうなぁ?」
「そ、そんなわけねえよ‼ほらーさっさと俺に厨二パワーをよこせー‼」
「仕方ねえな!たっくん、力を合わせるぜ‼」
「具体的にどうすんの?」
「えーと…あれだ!スーパー戦隊みたいに合体武器でフィニッシュする時みたいに俺の肩に手を乗せるんだ‼」
今思いついたのか、胡散臭いがカズキとナオトとケイスケはタクトの肩に手を乗せる。ノリノリになったのかタクトはドヤ顔で右手を前に出す。
「いくぜ‼漲れ俺達の厨二パワーッ‼」
タクトの右手につけているブレスレットの黄色いトンボ玉が眩しいくらいの光りを放つ。その光は先が見えない濃霧を吹く飛ばすほどに光り輝いていた。タクトはテンションを上げて力を溜め、カズキとナオトは雰囲気でノリノリなのだが、ケイスケはタクトに力を貸しているはずなのだがそんな実感がないようで微妙な表情をしていた。
タクトの右手は眩しいくらいの白い光で輝く。頃合いなのかタクトはドヤ顔をさらに輝かせる。
「行くぜ行くぜーっ‼これが俺達のチームワークでできたサイキョー魔法、『ばよえーん』だ‼」
「たっくん、ネーミングセンスわるっ!?」
「もうちょっとましなのがねえのかよ!?」
「そんな気がした」
それぞれが喧しく騒ぐがタクトは構わず自称サイキョー魔法、『ばよえーん』を放った。放ったと同時に見つけていたブレスレットが粉々になり、白い光は勢いよく飛んでいきブラックウッドの魔法とぶつかる。
「!?この…小癪なあああっ!」
想像以上に力が強く押されていたことにブラックウッドは焦り力を強める。
「なぜお前達なのだ…なぜ私の前に立つのがシャーロックではなく、お前達なのだ…‼」
ブラックウッドは気にくわなかった。ドイツの時といい、この戦いといい、何故立ちはだかるのは彼らなのか。これだけの圧倒的な力を見せたというのにこの4人組だけは弱気にならないのか、諦めないのか、絶望をしていないのか。そして何故、極限の力を得たというのに…何故こちらが押されてきているのか、分からなかった。
「俺達は力を合わせてるんだ‼その極限パワーに頼っているお前なんかに負けないぜ‼」
タクト達は叫んで力を込める。『ばよえーん』こと白い光はブラックウッドの魔法を押し上げ、遂には突き破り【極限宝具・エクリプス】ごとブラックウッドへと直撃した。
「ぬおおおっ!?」
極限の力が押し負けた。直撃した衝撃で【極限宝具・エクリプス】が手から離れ、白い光はブラックウッドを包み込んだ。
「この私が‥‥こんなやつらに‥‥!?」
白い光はさらに衝撃と爆発音を響かせた。衝撃の範囲が広かったのか、メヌエットを吊るしていたロープが千切れ、メヌエットは落下した。
「メヌ‼」
テムズ川へと落ちる前に、アリアが駆けてメヌエットの手を掴んで引っ張り出す。
「お姉様‥‥」
「メヌ‼心配したんだから‼でも‥‥よかった」
メヌエットの無事にアリアもカズキ達も安堵した。ナオトは足元に転がってきた【極限宝具・エクリプス】を拾い上げる。
「これが【極限宝具・エクリプス】‥‥」
全体を包んでいた濃霧がだんだんと消えていき、霧の隙間から太陽の日差しがさし青々とした空が見えてきた。
「おおっ!霧が晴れていく‼」
「やっとジメジメした霧が消えて日差しが見えるようになったな」
「眩しい」
「つまり、俺達の勝ちってことだな!いやったーっ‼」
【極限宝具・エクリプス】の力が消え、仰向けに倒れて気絶しているブラックウッドの下へカツェとセーラが歩み寄る。カツェは無言のままじっとブラックウッドを見つめる。
「カツェ、ドイツでの落とし前はつけるの…?」
「あー‥‥本当は魔女連隊送りにしてケジメをつけようかと思ったけど、あいつらがやってくれたしな。これでいいさ」
カツェは勝利にはしゃいでいるカズキ達を見てふっと微笑んだ。
「それに、あたしらはボロボロだし後は他の奴らに任せて休もうぜ」
お互い、力を使い果たし服も体力もボロボロの状態だった。セーラはやれやれとため息をつきながらも笑って頷く。
「お姉様‥‥わたし…」
「メヌ、いいのよ。私よりもあいつらに言えばいいわ」
アリアはタクトを胴上げしているカズキ達の方を指さす。アリアだけでなくカズキ達が来ていたことにメヌエットは目を丸くする。
「カズキ達が…?」
「ええ。何を考えてるのか分からない騒がしい4人組だけど、大事な友達である貴女を助けるためにここまで来たんだから」
メヌエットはカズキ達を見つめる。今もこっちの事を気にもせずに騒いでいる彼らだが自分の為に体を張って戦ってきた。何を考えているのか、何をやらかすのか分からない連中だけども、ワトソンの言った通り、彼らはメヌエットの為に、大事な友達の為に助けに来たのだった。
これで賭けはワトソンの勝ちだったが、メヌエットは賭けなんかどうでもよくなりカズキ達に微笑んだ。
「ほんと‥‥賑やかなお人達ですわね」
【極限宝具・エクリプス】奪還、そしてブラックウッドとの戦いに勝利。
某動画のカオスな4名様がつかっていた、ばよえーん‥‥元ネタぷよぷよでもかなりの強力な魔法だったり…