カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 長らくお待たせしました‼

 ショックなことがあったり、落ち込んでスランプになりかけたけど、コツコツとやっていこうと思います。
 武道館ライブのDVD、欲しい‥‥(切実


86話

 濃霧で先が見えないひと気のないロンドンブリッジにてブラックウッドはその先をじっと見据えていた。微動だにもせず、誰かを待ち続けているかのように目を鋭くしていた。

 

 ふと、濃霧が揺らぎだしブラックウッドはぴくりと反応した。ゆらりと動いた霧の先をじっと殺気を込めて睨み付ける。うっすらと4つの人影が見えた時、ブラックウッドの眉は深く潜めた。

 

「ケイスケ!ここで間違いねえんだろうな!」

「ああ。てか俺がちゃんとナビしてんのにお前等は勝手に明後日の方向を向かうんじゃねえよ!」

「そうだぞナオトー!お前が一番方向音痴なんだからな!」

「俺よりもたっくんの方が勝手にどっか行こうとするんじゃ…?」

 

 喧しく騒ぎ立てながらカズキ達は濃霧の中を切り抜けてきた。既にブラックウッドの下までたどり着いたというのに完全に目の前にいる元凶のことをすっかり忘れているようだ。

 

 そんな完全にアウトオブ眼中にされているブラックウッドはピクピクと額に青筋を浮かべながらカズキ達を睨み付ける。

 

「‥‥なぜだ」

 

「あ、もう敵が目の前にいる」

「おおっ‼いつ時かのМ字ハゲ‼」

「おおい‼ナオトー!それを先言えよ‼弾もリロードしてねえんだから!」

「というかお前はさっさとしとけ!こんなじめじめとした霧はもううんざりなんだからよ‼さっさと空気読めない糞ペテン師をぶちのめすぞ‼」

 

 今頃気づき、それぞれ言いたい放題の4人組にブラックウッドは冷静さを欠けたかのように怒りを露わにした。

 

「なぜシャーロックは私の前に現れない‼なぜ私の前に立ちはだかるのはこんなマヌケ面の連中なのだ‼この【極限宝具・エクリプス】を発動させ自分の血族を、王家を、このイギリスを根絶やしにしようとしているのになぜあいつは現れないんだ‼」

 

 この禁忌の秘宝を使って腐食の霧をイギリス全土へ広げ、猟奇殺人犯の事件を再発や世界最大であった秘密結社と手を組んで事件を起こし、この国の最大に危機に瀕しているのに、かつて自分をペテン師だと言い放ったあの忌々しい探偵へ復讐しようとしているのに自分の前に現れないことにブラックウッドは苛立ちを募らせ、怒りを吐いた。

 

「てめえのような小物なんか相手にするわけねえだろ」

 

「‥‥なんだと?」

 

 ブラックウッドはすっぱりと言い放ったケイスケに殺気を込めて鋭く睨み付けた。ケイスケは今にも殺しにかかるほどの勢いのあるブラックウッドに怯みもせずに睨み返した。

 

「ジャックの事だって、スペクターの事だって、伊藤マキリの事だって、そしてその【極限宝貝・エクリプス】の力だって全部お前の力でやったもんじゃねえだろ!」

「そうだそうだ‼自分の力でやってきてないくせに全部自分の手柄だと自慢してる奴なんかにシャーロックは見向きもしねえぜ‼」

 

 

 あっかんべーしながら相手を煽るタクトにブラックウッドはついに堪忍袋の緒が切れた。低く笑いながら天を仰ぎ、大きく息を吐く。そして右手に持っている水晶玉、【極限宝具・エクリプス】を掲げた。

 

「ならば…貴様らガキ共を殺し、シャーロックの曾孫共諸共なぶり殺しにしてくれる‼」

 

 水晶玉が光り、突風が巻き起こる。カズキ達は吹き飛ばされないように踏ん張り身構える。

 

「やっべえー!?すっげえお冠じゃん!」

「カズキ!今頃怖気づいても遅せえぞ‼やるっきゃねえんだからな!」

「…というかメヌエットはどこ?」

「あ、そうだった。こらーっ‼メヌエットちゃんをどこにやりやがった‼」

 

 喧しく喚く連中にブラックウッドは無言のまま後方へと指をさす。濃霧はブラックウッドに従うかのように薄くなり、タワーブリッジの上部通路、ウォークウェイズに吊るされているメヌエットの姿が見えた。もしロープが切れてしまったら川へと落下してしまうだろう。

 

「奴の血族を人質にすれば奴が現れると思っていたが…もう人質などどうでもいい!お前達を始末した後に処分してやる…!」

 

「やれるもんならやってみろ‼俺はなぁ無敵だっ」

「たっくん、煽ってる場合じゃない」

「大丈夫だってナオト!ケイスケ、まだゲロ瓶とか手榴弾とかフラッシュバンとかあるだろ?」

 

 それを投げるつもりでカズキは余裕綽々の表情でケイスケの方へと視線を向けるが、ケイスケはしかめっ面で首を横に振る。

 

「ねえよ。つかマキリとの戦いで全部使いきったぞ」

「そうだったぁぁぁぁっ‼」

 

 カズキは思い出したかのように驚愕する。スペクターとの戦いやマキリとの戦いといった連戦続きでほ手榴弾を使い切り、弾を消耗させてしまっている。焦るカズキに現状を理解してないタクトは爽やかな笑顔を見せる。

 

「お前等心配すんなって!ナオトの格闘スキルに俺のサイキョー魔法があればどうにかなるって」

「お前、ナオトならまだしも穴あき魔法とクソみてえなボールをぶつける魔法しかねえじゃねえか」

 

 今あるのはわずかな弾とナオトの神父から授かった万能なフライパンとタクトの頼りになりそうで彼自身のせいで頼りにならない魔法しかない。

 

「お前達から来ないのならこちらから行くぞ‥‥‼」

 

 痺れを切らしたブラックウッドは【極限宝具・エクリプス】を掲げる。水晶玉は赤く光り出し、炎の渦が巻き上がりだしカズキ達へと襲い掛かってきた。

 

「ちょ、来てる来てる!?たっくん、なんか他にも魔法は無いの!?」

「カズキ、任せな!俺の新魔法パート3‼」

 

 焦るカズキを落ち着かせるようにタクトは自信満々に右手をかざす。右手の黄色のトンボ玉がついたブレスレットが光り出し、タクトの右手からちょろちょろと水が流れ出した。如雨露から水を出すほどの勢いでしかなく、目を点にしているカズキとケイスケに対してタクトはドヤ顔を見せた。

 

「名付けて、水魔法『HIN NYOU』‼」

 

「もっと真面目な魔法はねえのかよ!?」

「馬鹿じゃねえの!?そんな頻尿みたいなので対抗できるわけねえだろ!?」

 

 期待した自分達がバカだったとカズキとケイスケはタクトに怒声を飛ばす。ギャーギャーと喚ている間にも炎の渦は迫ってきていた。ケイスケはタクトを引っ張り、カズキは猛ダッシュで迫りくる炎の渦から逃れようとした。

 

「めっちゃやべえって‼」

「やるしかねえつってんだろ!覚悟を決めろ‼」

 

 ケイスケはカズキの尻に蹴って喝を入れ、ナオトの方へと視線を向けた。ナオトは意を決したのか炎の渦の方へと走り込み飛び込み防御態勢をとって抜け出した。多少ボディーアーマーに火や焦げがついているがそれをも気にしないでAK47をブラックウッドへと向けて撃ちだす。

 

「ふ…勇気と無謀をはき違えているようだな」

 

 ブラックウッドは自分の前に土の壁を発現させ銃弾を防ぎ、刺々しい岩の塊がナオトの方へと地を走る様に迫った。ナオトは無言のまま後方へ下がって躱す。

 

「後ろで虫ケラの様に逃げている仲間をほっといていいのかね?」

 

 ブラックウッドは不敵に笑ってナオトの後ろの方へと指をさす。向こうでは迫る炎の渦をどうにか対処できずに必死に逃げているカズキ達がいる。

 

「ナオトーっ‼お前だけずるいぞ‼俺にもカッコいい所つくらせろー‼」

「やるならさっさと仕留めて何とかしやがれ‼」

 

 未だに右手からちょろちょろと水を出しているタクトと苛立ちながら怒声を飛ばすケイスケはナオトに文句を言いながら必死に炎の渦から退避している。カズキは炎の中へと飛び込んで抜け出そうと試みるが先ほどよりも勢いが増し迫ってきていた。

 

「何とかしてくれ悟空ーっ‼」

 

 カズキは思わずそう叫んだと同時にタクトの右手から出ている水が吸われるように後ろへと流れ出し、彼らを守る様に水の壁が現れ炎の渦を飲み込んで消火した。突然炎の渦が消えたことにブラックウッドは眉を顰める。その瞬間、濃霧の中から勢いよく弓矢がブラックウッドへと向かって飛んできた。ブラックウッドはひらりと顔を逸らして弓矢を躱す。

 

 突然のことでケイスケとタクトはきょとんとしてカズキは後ろへと振り返る。濃霧の中を抜けだす様に弓を携えているセーラとニッと笑っているカツェの姿が見えた。

 

「待たせちまったな!あのM字ハゲをぶちのめしてやるの手を貸すぜ」

「あの伊藤マキリを突破するなんて…ほんとお前達はすごいのかそうじゃないのかわかんなくなってきた」

 

「カツェ、セーラ‼助かりんべーっ‼」

「手が多い方が助かる…」

 

 カズキは嬉しそうにはしゃぎ、ケイスケは安堵の一息をつく。カツェはニッと笑って頷き、ブラックウッドの方へと睨み付けた。

 

「へなちょこ魔術師、覚悟しやがれ…!てめえはあたしの他にも別の奴の逆鱗に触れてやがるんだからな!」

 

 カツェの横からアリアが駆け抜け、二丁のガバメントを引き抜いてブラックウッドに向けて何度も撃った。ブラックウッドはマントを翻して銃弾を防いだ。静かに睨み付けているアリアに静かに低く笑った。

 

「ふ…こちらに来てくれるとは手間が省けた。そこに吊るしてある木偶もろとも嬲殺してやろう」

 

「やってみなさいな!あんたはもう風穴だけじゃすまないわよ‼大事な妹に手を出した事、ホームズ家にケンカを売ったことを後悔させてやるわ‼」

 

 アリアは怒り心頭のようで、ブラックウッドを睨み付けながら荒々しく叫んだ。カズキはSR-25を、ケイスケはM16をリロードして彼女の横に立つ。

 

「アリア、いっちょ派手にぶちかましてやろうぜ!」

「怒るのが分かるが、冷静さを欠けてヘマするなよ」

 

「そんなこと、分かってる…多少不安な所はあるけど、今回はあんた達と組んであげるわ」

 

 いつもなら頼りになる相棒であるキンジが力を貸してキンジが助けてくれるが、今回はそのキンジはいない。自分の力で戦い、そして頼りになるかどうか多少心配だし喧しくてやることメチャクチャだけどもやる事はやるこの4人組と共に力を合わせて立ち向かう。ケイスケの言う通り、冷静さを失えばあの魔術師に勝てる事も妹を助けることもできない。アリアは大きく深呼吸して二丁のガバメントを構える。

 

「行くわよ。援護をお願ry」

「行くぜえええっ‼ナオトに続けーっ」

「お前はアリアより前に出るな!」

「ああもう‼なんで人の話を聞かないのよこのバカ共は!」

 

 カズキ、ケイスケ、アリアの3人は喧しく騒ぎつつ走り出す。いつも通りだとセーラは呆れてため息をつく。弓矢のストックも、風の魔力もまだ充分ある。セーラは後方から彼らの援護に回るように弓矢を引く。

 

「よし、あたしらもいくぜ。たっくん、さっきの水の魔法があればいつでもすげえのをぶちかませる!」

「えー。『HIN NYOU』は使い続けてたらなんか喉が渇いてきたから無理」

「お前の魔法はとことん変なのばっかりだなおい!?」

「たっくん、魔法の原理がメチャクチャ…」

 

 カツェとセーラの異能者からしてタクトが使う魔法は法則すらも完全に無視をしたメチャクチャおかしい魔法だった。彼が秘めている力とやらのせいなのか、それとも彼の理解できない思考のせいなのか、よくわからない。

 

「俺はとにかく『SUGOKU TUKAIYASUI』を撃ちまくるぜ‼」

「ああうん‥‥せ、セーラ、あたしもとりあえず前線へ駆けるから後は任せた!」

「ちょ、私にふらないで」

 

 セーラは慌てて止めようとするがカツェはそそくさとカズキ達の後を追った。セーラはちらりと只管ソフトボールほどの泥団子の様なものを飛ばしているタクトを見つめる。一応(?)彼なりに戦っているのだ、セーラは苦笑いをしてタクトとともに後方の援護に集中した。

 

「…たっくん、無暗に撃ちすぎ。それじゃ仲間に被弾する」

「ひゃっはーっ‼ここは通さねえぜ~っ‼」

 

 完全に人の話を聞いていない。彼らしいというが、それに納得してしまっている自分もどうかしていると思いつつセーラは弓矢を射る。

 

「ちょっと!?なんか変なのがこっちに飛んできて当たりそうになってるんだけど!?」

 

 アリアはさっきから後ろから飛んできている泥団子に焦りながら叫ぶ。先ほど危うく後頭部に直撃するところだった。

 

「それはたっくんのジャガイモ魔法だ。気合いで躱せ」

「アムロッ、当たらなければどうということは無いっ」

 

「なんでがFF(フレンドリーファイア)が当たり前みたいに言っているの!?あとだれがアムロよ!」

 

  似ていない赤い彗星のモノマネをしているカズキを無視してようやく前線で戦っているナオトの下へと追いついた。ブラックウッドが【極限宝具・エクリプス】を再び掲げると濃霧の中でパキパキと凍りつく音が響き、氷の槍が何本も発現された。

 

「くるぞ!」

 

 AKからフライパンへと持ち替えたナオトが横目で後ろにいるアリア達に向けて叫んだと同時に一斉に氷の槍が飛んできた。タクトが飛ばしている泥団子みたいなものを貫いて飛んでくる氷の槍をアリアはひらりと軽々と躱し、ナオトは躱しながら躱しきれないものはフライパンで叩き割る。

 

「お前等軽々と避けるとかずるいぞ‼」

「お前はもっと頑張れよ‼」

 

 慌てながらも必死に躱そうとしているカズキとケイスケに向かって氷の槍が飛ぶ。そうはさせんというばかりに風を纏った弓矢が飛んで氷の槍を割る。その直後にブラックウッドに向かって水の弾幕が飛んでいった。同じく追いついたカツェがやれやれとカズキに微笑む。

 

「カズキ、ほんとに無茶してんな…」

「カツェさすが!さすカツェだぜ‼」

 

「このまま思い切りぶっ放すぞ‼」

 

 ケイスケは怒号を飛ばしながらM16を、頷いたカズキはSR-25で狙いを定めながら何度も撃つ。やっとまともな援護が来たとアリアは苦笑いをしつつガバメントを撃った。

 

「そんな豆鉄砲でこの極限の力を持った私に勝てると思っているのかね?」

 

 ブラックウッドは不敵に笑うと【極限宝具・エクリプス】を光らせる。彼の周りに土の壁が現れ銃弾を防いでいく。

 

「だったらこれでどうだ!」

 

 カツェは懐から水の入ったボトルを取り出し口に水を含むとボトルの底を貫くように勢いよく高水圧の水流を飛ばす。高水圧の水流は土の壁を貫いたが、手応えは無かった。ブラックウッドは黒い風を纏って浮遊し、【極限宝貝・エクリプス】を掲げ、黒い暴風を放った。カズキ達は吹き飛ばされまいと防ぐが、風の中に小さな土の塊がビシビシと体に打ち付ける。

 

「‥‥竜巻地獄(ヘルウルウインド)…‼」

 

 セーラは右手を向けて暴風を放ち、ブラックウッドが放った黒い風を相殺させていく。風を纏っていたブラックウッド自身にはダメージはなく、ブラックウッドは不敵に笑っていた。

 

「炎に水に土に風…あいつの魔法もメチャクチャやべえな…」

「魔法の原理はよくわからないけど…あの水晶玉の仕業ね」

 

 カツェは苦虫を噛み潰したような面で舌打ちをして睨み、アリアはブラックウッドが持っている水晶玉へと睨みつけていた。【極限宝具・エクリプス】は持ち主の能力も周りの環境もありとあらゆるものを極限へとカンストさせる秘宝だ。今のブラックウッドは極限状態のチート魔術師となっている。

 

「今の私は極限を極めている…お前達の様な虫けらがいくら集まろうが私を止めることはできん」

 

 ブラックウッドは低く笑い【極限宝具・エクリプス】を掲げる。カズキ達の周りにぽつぽつと丸い光の球体が現れだす。これが何なのか、いち早くカツェは察して叫ぶ。

 

「お前等伏せろ——っ‼」

「もう遅い…爆ぜるがいい」

 

 ブラックウッドの合図と同時に、光の球体が凝縮されるとカッと光だし爆炎が巻き上がりだした。




 リハビリを兼ねて短めにしてます(タブン
 
 甘々な成分が早く欲しいよ(オイ

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