カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

7 / 142
 


7話

「いいな?俺達はサイキョーなチームだ。いつも通りやっておけばいけるぜ」

「寝坊したやつが言うセリフじゃないよな」

 

今後からどう行動していくか、いつも通りにいけばいいという方向でカズキはドヤ顔を決めていたがケイスケたちは寝坊してしまったカズキに呆れていた。

 

「これから気を付けて行くぞっていいながらなに言い出しっぺが腑抜けてんだよ」

「…これだと遅刻間違いなしだな」

「フッフゥー‼カズキのどんけつー」

 

 ちくしょう、とカズキは悔しそうにしながらもリサが作った朝食は美味しくゆっくりと頂いた。早くしろとすでに支度をすましたタクト達が文句を垂らす。リサはというと苦笑いしていた。

 

「うるせー‼美味しいものはゆっくり食べるのが俺流だ‼」

 

 ゆっくりと食べ終わったカズキにケイスケ達の餌を請うひな鳥のようにピーピーと文句が飛び交う。やけくそになってばたばたと支度をする。制服を揃えるのも髪を整えるのも授業に必要な持参物を確認するのもやり投げにして準備を済ました。

 

「おら、急ぐぞ。このままだと3回目の遅刻だ。綴先生のきついお仕置きは勘弁だからな!」

 

 ケイスケに急かされ黒のSVRに乗り込み出発した。

 

 

『…対象、黒のSVRに乗り発進。ブルー、動きます』

 

___

 

「いけいけドンドーン‼」

 

 遅刻ながらも渋滞することなくスムーズに進んでいて助手席にいるタクトはノリノリだった。五月蠅いと思いながらもケイスケは運転をする。カーナビを見るとレインボーブリッジへの高速道路は空いている、しかしその周りの道路は渋滞のマークがついていたことに気づいた。今は難なく進んでいるがこの先は渋滞になるだろう。後ろの座席ではリサが寝癖が付いているカズキの髪を整えてあげており、ナオトに至ってはうつらうつらと眠たそうにしていた。ケイスケは今日も遅刻で怒られるだろうと悟り、苦笑いしてため息ついた。

 その時、車の両サイドでゴツリと鈍い音がした。何事かケイスケはサイドミラーを見ると車の両側を大型のバイクが通り過ぎた。どうやら両側を通り過ぎたバイクがわざとぶつけてきたらしい。ドライバーは黒のフルフェイスのヘルメットで顔を確認することはできなかったが明らかにこちらを見ていた。

 

「あの野郎、わざとぶつけやがったな」

 

 せっかくのお気楽気分を消され、更には自分の車を傷つけられたことにケイスケは舌打ちをして去っていくバイクに睨み付けていた。

 

「コノヤロー‼逮捕だー‼」

 

 ケイスケの苛立ちにタクトは悪乗りする。悪乗りに乗ったケイスケがアクセルを踏んでスピードを上げて追いかけようとした時だった。車内に夜8時に全員が集まりそうな踊りをするBGMが流れた。携帯でこのBGMにセットしているのはナオトの携帯だ。目を覚ましたナオトは携帯を取り出すと非通知の電話が表示されていた。

 

『コノ クルマニハ バクダン ガ シカケテ アリ ヤガリマス スピード ヲオトセバ バクハツ シ ヤガリマス』

 

 とぎれとぎれで『爆弾が仕掛けている』という機械音声が車内に響いた。カズキ達は一瞬キョトンとして無言のままだったが、機械音声はもう一度爆弾が仕掛けているということを告げてプツリと通話を切った。

 

「「「はあああああっ!?」」」

 

 カズキとタクトとケイスケが絶叫する。突然の宣告に驚愕するしかなかった。ナオトは五月蠅そうに耳を塞いでいた。

 

「ちょ、ば、ば、爆弾って!?早くね!?」

「これは古に伝わりし…スピードダイ・ハード、ワイルドスピードエディションだ‼」

 

 ケイスケは映画が混ざっているとツッコミを入れたかったがそれどころではなかった。車に爆弾を仕掛けるという手口は今話題に上がっている『武偵殺し』の模倣犯そのもの。まさか『武偵殺し』の犯人の正体は『始末屋』でずっとリサを狙っていたかと考えを張り巡らしていた。

 

「やべえって!?どうすんだよ!?」

 

 カズキはあたふたとしている。まさかもう襲って来たのかと、こちらはまだ何も備えていないというのにと戸惑っていた。

 

「カズキ、落ち着け。まずは爆弾をみつけなくちゃ。リサも落ち着いて」

「す、すみません…」

 

 こんな状況になっていても冷静にいたナオトはカズキを落ち着かせる。カズキと同様、ぱたぱたと焦っているリサも落ち着かせた。

 

「な、ナオトの言う通りだよな…よ、よーし、俺とナオトでどこに仕掛けられたか探す。ケイスケはスピードを落とさないようにしてくれよ」

「んなもん百も承知だ‼」

「ねーねー、俺はどうしようか?歌っておこうか?」

「…なんでそうなる。たっくんは周りになにか来ないかみてて」

 

 カズキとナオトは車のドアを開けて車の腹下を覗く。丁度車の腹下をラジコンカーが車と同じスピードで走っていたのを見つけた。しかし、このラジコンカー、車の速度に反応して赤いREDライトが点滅しているだけではなく、配線が難しくついており、更には緑色の固形物らしきものが黒のテープでグルグル巻きにされてくっついていた。

 

「うそでしょ…C4かよ…」

「…これはヤバイな」

 

 C4爆弾を見たカズキとナオトは顔を真っ青にし、完全に殺しにかかってきているんだなと察した。それを聞いたケイスケもハンドルを握る手を強める。このままスピードを出し続けてもきりがない。

 

「こうなったら…高速道路を通って海に落とすしかねえな」

 

 今なぜかレインボーブリッジへの高速道路がすいている。海に落とすことができればうまく脱出することができる。そう判断して動かそうとした時、今度はタクトの携帯が鳴る。

 

「はーい、モシモしモッシー?あ?キンジ?」

 

 こっちがやばい目に遭っているというのにタクトと同じクラスメイトが電話をしてくるんだとケイスケはイラッとしていた。そんなケイスケに構いなくタクトは電話を続ける。

 

「え?バスジャック?うんうん…レインボーブリッジ?で、手伝ってくれって?」

「たっくん、どういこと?」

 

 電話の内容が気になったカズキはタクトに聞いた。タクトはちょっと待ってねと言って携帯を放してカズキ達の方を見る。

 

「なんか通学用のバスで『武偵殺し』のバスジャックが起きたんだって。それで手伝ってくれってさ」

 

 タクトの話の内容を聞いてケイスケはプッツンと堪忍袋の緒が切れた。タクトにちょいちょいと指で携帯を貸してくれとジェスチャーをする。タクトから携帯を受け取るとすうっと息を吸う

 

「こっちも『爆弾』に追われて死ぬ目に遭ってるんだ、てめえで解決しやがれ‼そんなことで電話すんじゃねえぞボケが‼」

 

 車内に響くほどの怒声を飛ばし通話を切り、タクトに携帯を押し戻してアクセルを強く踏みスピードを速めた。

 

「くそっ‥だからレインボーブリッジらへんが空いているわけかよ」

 

 これは同時、もしくは『武偵殺し』と『始末屋』の別々の犯行のどちらか。バスジャックされたバスがレインボーブリッジ方面を通るから警戒され道路が空いていたということである。このまま自分たちもレインボーブリッジ方面へと向かえばバスジャックと巻き添えになるし、だからといって他の道路を通れば渋滞に巻き込まれ爆発。

 

「くそが、こうなったら…‼」

 

 カズキはハンドルを回し、アクセルを強く踏む。急に方向を変えて猛スピードで走らせるので車内にいるカズキ達は揺れた。

 

「ちょ、どこいくんだよ!?」

「海がダメなら…川に落とす!」

 

 レインボーブリッジや他の通路がダメならもう隅田川か荒川のどちらかに落とすしかない。ナビのマップを見てここら近いとすれば荒川。進行方向を決めたケイスケは急いだ。信号が変わろうが、車が進んでいようがお構いなく飛ばした。

 

「お、俺達は爆弾を何とかするぜ‼」

 

 カズキとナオトは再びドアを開けて車の腹下で並走する爆弾付きラジコンカーを見る。見るのはいいがどうすればいいのか迷った。ついているだろう発信機でラジコンカーはついてきているのだろう。その発信機を撃ち落としてやろうとカズキは腰のホルスターに入れているシグザウエル P226 を引き抜き、リロードして狙おうとした。同じ学年で同じ狙撃科にいる『狙撃の鬼』ことレキ程ではないがそれなりの腕はある。どこにあるか探っている時だった。

 

「さっきのバイクが戻って来た!」

 

 タクトが驚くように叫ぶ。両サイドに先ほどぶつけてきた大型バイクが戻って来たのだった。こちら側にゆっくりと近づいてきた途端、思い切りぶつけてきた。頑丈なバイクなのか急に強くぶつけて来てケイスケのSVRは強く左右に揺れる。その揺れに無防備だったカズキの身体が前へと押し出された。

 

「うおおおおっ!?」

 

 その寸前にナオトがとっさに動いてカズキのベルトを掴んで道路に落ちることはなかった。このまま戻してくれると安堵していたが、ナオトはそんな様子はなっかったようだ。

 

「…リサはしゃがんで防御態勢をとって。カズキ、わるいけど片方放すわ」

「え、それってどういう…」

 

 カズキはちらりと前を見る。自分たちの目の前に大型バイクが並走しており、そのドライバーの片手にはマイクロウージーが握られており、しかも銃口はこちらに向けていた。撃たれる寸前にナオトが9mm機関けん銃で牽制した。カズキはというとナオトが牽制している間、顔面がコンクリートすれすれで焦っていた。

 

「やばいって!?俺死ぬ‼俺死ぬ!?あっぶないっ‼」

 

 その間に反対側からもマイクロウージーで撃たれていた。弾丸が何度も金属に当たる音が響く。

 

「たっくん‼早く撃て!」

 

 ケイスケは叫ぶが助手席いるタクトは何かと座席の下を手探りしており、「あれ?どこだ?」と口にこぼしていた。

 

「たっくん、何してんの?」

「ケイスケ―、銃落とした―。届かない」

「お前マジで何してんの!?」

 

 ケイスケが運転に集中できなくなるくらいのツッコミをいれた。しかもよく見ればタクトはシートベルトをして床に落ちている銃が届かないことに苦戦を強いられていた。

 

「いやシートベルト外せよ!?」

「ケイスケ、交通法的に外したらダメじゃないの?」

「それどころじゃねえよ!」

 

 車内は外の銃撃と同じくらい喧しくなっていた。ナオトが牽制が取れたと判断しカズキを思い切り引っ張って戻す。

 

「ナオト‼早く助けろよ‼死にかけたじゃねえか!」

「でも生きてるじゃん。よかったな」

「そうだな!よかったぜ畜生!」

 

 やけくそになったカズキはナオトと共に銃を撃ち相手に撃たさないよう牽制する。敵の銃撃に苛立つケイスケはアクセルをさらに強く踏んでもっとスピードを上げる。スピードを上げるSVRは両サイドにいる大型バイクをぐんぐんと引きなしていった。

 

「おおっ!?どんどん引き離していく!」

「おらもうすぐ荒川だ‼いつでも飛び降りるようにしてろよ‼」

 

 荒川の川原をお構いなく猛スピードで走る。いよいよ運河が見えてきたところでカズキとナオトはドアを蹴り開ける。タクトもシートベルトを外してドアを開ける。最後に開けたケイスケは叫んだ。

 

「いくぞっ‼せーのっ!」

 

 ナオトとカズキはリサに怪我がないように抱き寄せて飛び降り、ケイスケは愛車のSVRを惜しむように飛び降り、タクトは大はしゃぎで飛び降りた。5人はごろごろと転がってなんとか降りることができた。SVRはそのまま勢いよく川へと落ちて行く。その数秒後大きな水柱を上げて爆発を起こした。5人は水しぶきで濡れながらも呆然としていた。

 

「おいおい…ガチじゃねえか」

 

 カズキはなんとかなったと安堵してヘナヘナと腰を落とした。まさかここまでガチになるなんて思ってもいなかった。リサは不安と恐怖に震えていた。そんなリサにケイスケはぽんと肩を叩き苦笑いをする

 

「ま、俺達はこんなの慣れっこさ。だからそう不安になるな」

「ケイスケ様…」

「ヒューッ‼どうだったリサちゃん、俺のダイ・ハードっぽさは‼風のヒューイでしょ‼」

 

 こんな事態にも関わらず明るくはしゃいでいるタクトにリサは不安をぬぐい、クスリと笑った。この後、爆発を聞いた他の武偵達が事情聴取にきたが受けた後は学校に行かず帰って寝た。

 

__

 

 昨日は本当に災難だった。朝早く起きたリサはほっと一息をつく。裏切り者の自分を仕留めようとさっそく『始末屋』からの先制攻撃がきた。それでも、危険に巻き込まれようとも死ぬかもしれないにも関わらずリサを守ってくれたカズキ達には本当に感謝していた。『こんな』自分を彼らは受け入れて、そして守ってくれる…でもいつか正体がバレてしまったらどうなるのか…そんな不安もよぎっていた。

 

「あまり深く考えてはいけませんね…」

 

 リサは気分を切り替えて、今だ寝ているカズキ達の朝ごはんを作り始めた。

 

「そうだ、新聞を取らなくちゃ」

 

 毎朝外のポストに入っている新聞を彼らは取りに行っている。今日はまだ起きてこないようなので先に取っておこう。そう考えたリサは玄関を出て、外のポストを覗いた。

 

「…?」

 

 しかし今日はなぜかポストの中には新聞紙が入っていなかった。休刊か、と考えたが今日はそんな日ではないはず。まだ届いていないのかと考えたとき、後頭部に金属がこつりと当たった。

 

良い朝だな(フッデモルヘン)、リサ」

「!?」

 

 リサはビクリと震えた。恐怖につられて振り向けば赤いカボチャのマスクをつけた男、『始末屋』のジャック・ランタンがサイレンサーのついたルガーMk1をこちらに向けて立っていた。

 

「ランタン…‼」

「デコイを使ったり、ガキ共のお守りをつけたりと…随分と舐めたマネをしてくれたなぁ、狼女」

 

 ランタンは低く唸ってリサのアゴをくいっと二本指で持ち上げる。マスクで素顔が見えないがかなり怒っていることにリサは恐怖を感じた。

 

「そんなこと…してもいいのですか?私が悲鳴をあげれば…」

「ガキ共が来ると?それはいい考えだな、リサ…だが、できればの話だがな」

 

 ランタンがぱちんと指を鳴らす。どこに隠れていたのかランタンと同じカボチャのマスクやヘルメットつけた男達、ランタンの部下が並ぶ。銃や刀剣の他には爆弾、ガソリンが入ったポリタンクを持っていた。

 

「銃殺、毒殺、爆殺、暗殺…お前は死ななくても、あのガキ共なら一瞬で殺せる。目覚めることもできずに永遠の眠りにつけさせることだって容易い」

 

 リサは戦慄した。自分は治癒能力がある。どんな重症を負おうが治ることができる。だがカズキ達にはそのようなものはない。傷つき、苦しみ、死んでしまうだろう。しかもランタンたちは『イ・ウー』の『始末屋』。瞬殺だってできるし嬲り殺すことさえ簡単にできてしまう。

 

「お前は運がいいな…抜け出した後でもお前は『イ・ウー』の大事な戦力。『戻る』というのなら、裏切り者のレッテルを剥がしてやる。『ジェヴォーダンの獣』よ、選べ。死ぬか戻るか」

「‥‥」

 

 リサは俯く。戻るを選んでも結局は死ぬだろう…それでもリサの考えは既に決まっていた。

 

「戻ります…その代り、彼らを見逃してくれませんか?」

「Humm?協力者は殺す。何のつもりだ、狼女?」

 

 低く唸るランタンの威圧にリサは少々怯んだが、それでも引き下がることは無かった。

 

「彼らは『ジェヴォーダンの獣』ことは知りません。もし見逃してくださるのなら…『ジェヴォーダンの獣』について話します」

 

 それを聞いたランタンはぴたりと唸り声を止めた。しばらく考えている様子を見せたが今度は低く笑う。

 

「いいだろう…これはいい土産になる…」

 

 指をぱちんと鳴らすと後ろにいた部下たちは武器を下ろす。ランタンはリサの腕をつかみ強引に引っ張り連れて行った。リサは寂しそうにカズキ達の家を見る。

 

「カズキ様、タクト様。ケイスケ様、ナオト様。リサは…リサは皆様と一緒にいれて、幸せでした…」

 

__

 

 

「あのカボチャ野郎。やってくれるじゃないの…」

 

 バスジャックも巧く行って、アリアもキンジも誘き寄せることができ自分の計画通りに進んでいた峰理子は朝のニュースに流れている昨日、荒川で起きた車の爆発事故を見て睨んでいた。ニュースやネットではバスジャックの同一犯、2つの爆発事故を起こそうとした犯人としてでっち上げられている。このまま自分に罪を擦り付けようとしているのだ。

 せっかくうまく進んでいる計画の邪魔をされて理子は良く思っていなかった。理子はすぐさま自分のパソコンを開いて電源を付けた。

 

「今に見てなさい…ただのクソガキだと舐めんじゃねえぞ」

 




 ドンパチできているかな…?銃火器とかはあまり知識がないです、ごめんなさい(;´Д`)
戦闘描写もうまくできてないかも…(´・ω・`)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。