カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 いよいよ武道館ライブが始まりますね…!
 どんなカオスになるのか、武道館に行ける人たちが羨ましい…いつか武道館ライブのDVDは発売されるかな…


66話

 哀れ、とばっちりをくらってしごかれている武偵達を無視しカズキ達、キャバッローネ、その他一行はフレッチャ歩兵戦闘車を先頭に車でローマへの道を飛ばしていく。

 

「もうすぐローマへ突入するぞ‼」

 

 ディーノの掛け声にキンジ達は身を引き締める。ここから先は敵のホーム。五共和国派の残党である武装集団がわんさかと待ち構えているであろう。それらの猛攻を搔い潜り、シディアスのいるサン・ピエトロ大聖堂へと突き進まなければならない。キンジの緊張感を他所にフレッチャ歩兵戦闘車の車内にいる静刃とアリスベルは必死にタクトを止めようとしていた。

 

「いいな‼絶対に所かまわず突撃するなよ、機関砲を撃つなよ‼」

「いいですか‼ローマの街には世界遺産の建築物や古い歴史の建築物がたくさんありますからね‼」

 

「ああ、知ってるぜ!要は壊さないように突撃すればいいんだよな!」

 

 笑顔で親指を突き立ててウィンクするタクトを見てそれ絶対壊すやつだと二人は察して更に必死に止める。そんな様子を見ていたセーラがやれやれとため息をつく。

 

「そう大袈裟な…機関砲は任せて」

「だからこいつらが関わると嫌な予感しかしないから‼」

「お願いですからこれ以上大変な事にならないようにしてください!」

「人生でこんなに胃が痛くなるのは初めてだな…」

 

 アリスベルと静刃は騒ぎ、獏は遠い目をしているフレッチャ歩兵戦闘車を他所にケイスケが飛ばすメルセデス・ベンツの中では殺気立っている鵺の威圧に同乗しているカツェとワトソン、クラエスはしゃべれない空気の中で縮こまっていた。明らかに怒っている鵺の殺気に気付いていないのかカズキがにこやかに話しかける。

 

「ぬえっち!滅茶苦茶怒ってるけどどしたの?」

「あぁん?激おこだじょ‼クエス…あの糞狸め‼よくも鵺を騙してくれやがったな!毛皮をひん剥いて売り捌いてやるじょ‼」

「鵺、頼むから怒りながら角を振り回すのやめてくれ。マジで危ねえから」

 

「な、なあ…戦闘車が突撃するのはいいとして、【究極魔法・グランドクロス】を止める方法はあるのか?」

 

 カツェはずっと気になっていたことを尋ねた。鵺は渋い顔をして考え込む。

 

「一つだけ方法はあるじょ…アリスベルの魔力を打ち消す術式だ。所有者の魔力を空にすれば【究極魔法・グランドクロス】は発動しない。だが、クエスの奴がシディアスにどれくらいの魔力を与えたか…相手の魔力次第ではアリスベルが押し負けるだろうな」

 

 ましてや【十四の銀河】の一つであり、究極の魔法を秘めた秘宝を相手に太刀打ちできるか不安要素は多いし、後はアリスベル次第である。敵でアリスベルの魔術を知っているのはクエスだけ。間違いなく彼女はアリスベルを殺しにかかるだろう。

 

『なんかローマの町の様子がおかしくね?』

 

 無線からナオトが不思議そうに伝えてきた。カズキは車窓から街の様子を覗き込む。ローマの夜の街は街灯や屋内の照明で明るく照らされているが人の気配が感じられない。よく目を凝らしてみると街中に赤褐色の羽を持つクロケットマダラの大群が飛び交っている。

 

「クエスの仕業だじょ…!街中の人間の生気を奪ったな!」

「ちょ、この先メッチャ車が止まってやがるぜ!?」

 

 突き進む道の先にこの先へと行かせないかのように車輛が止まっており、よく見ればARX160やシグSG551等銃器を持った武装集団が待ち構えており、その中には対装甲車両ロケット弾発射器ことMATADORを構えている者が複数見えた。

 

「やべえ!?ロケランを持っている奴がいる!ちょっくら迂回するぜー‼」

「一発はまだしも何発もくらって車内で火葬されるのはゴメンだし」

 

 MATADORに気付いたタクトはセーラのゴーサインですぐさま進行方向をすぐさま右折して狭い道路へと突き進んでいく。装甲のごり押しでガリガリと削られていく壁の音に静刃とアリスベル、獏はビクビクとする。

 

「神様どうか世界遺産が壊されませんように…‼」

「もうやだこいつら…‼」

「静刃、アリスベル…もう覚悟を決めるしかないぞ」

 

「ちょ、あいつら勝手に迂回しやがった!?」

 

 目の前で迂回していったフレッチャ歩兵戦闘車にケイスケはぎょっとする。というよりも目の前の障害を押し付けて行ったことに呆れる。

 

『お前らはタク坊を頼む!ここらは俺達に任せな‼』

 

 無線を通してディーノがカズキ達に指示を出した。この戦いの要は魔力を打ち消すアリスベルと無限の可能性(?)を持っているタクトと彼らにかかっている。

 

「まっかせてくださいよ‼ケイスケ、たっくんを追いかけるぞ‼」

「当ったり前だ‼これ以上ローマで迷子になられちゃこっちが困るっての‼」

 

 ケイスケは愚痴混じりにハンドルを大きく回す。メルセデス・ベンツは派手に迂回しタクトが運転するフレッチャ歩兵戦闘車を追いかけて行く。

 

「よし、このまま追いかける‼ナオト、こっちにこいよ‼」

 

 

『…え?どこ?』

『ていうかあんた達どこ行ってんの?』

 

 キョトンとするナオトとトリエラの声にカズキとケイスケは「あっ」と声を揃える。

 

「しまった‼ナオトは方向音痴だった!」

 

「「「えええええっ!?」」」

 

 カツェ、ワトソン、クラエスは声を揃えて驚愕する。つまりは大型バイクに乗って突き進んでいったナオトはトリエラを乗せてローマの街中で迷子になっている。

 

「と、トリエラがいるし…大丈夫、よね?」

「おらぁ、ナオト‼お前だけ遠回りとかかくも神々しいぞ‼」

「カズキ、それ使い方おかしくねえか!?」

「てゆうかローマ入りして数秒後に迷子とか、ナオトの方向音痴はおかしいよ!?」

「お前等少しうるさいじょ!?」

 

 車内はギャーギャーと喧しく騒ぎ立て、堪忍袋の緒が切れたケイスケは無線機を取り、怒号を飛ばした。

 

「ナオトぉ‼お前はとりあえずさっさとサン・ピエトロへ向かえや‼」

 

『わかった…ところでなんで怒っ(ry』

 

 キョトンと尋ねてくるナオトに対し、これ以上苛立つのはゴメンなのでケイスケは無線を切ってアクセルを荒立ちながら強く踏み込んだ。猛スピードでメルセデス・ベンツを飛ばし、お構いなく街中を駆けていくフレッチャ歩兵戦闘車の後を追いかけていく。

 

___

 

「お前等‼いくぞ‼」

「「「「「うおおおおおおっ‼」」」」」

 

 ディーノの合図とともにキャバッローネファミリーの男達は武装集団と銃撃戦を始める。ディーノは鞭を撓らせ次々に倒していく。飛んでくる銃弾を軽々しく躱していき、放たれるMATADORさえも鞭で後ろにいる部下に被弾しないようにと安全な方へといなしていく。単身で突撃するディーノにキンジは唖然として見ていた。その戦いぶりは自分の背へとついてくる部下達を守る様に見えた。

 

「坊主、集団戦は初めてか?」

 

 ロマーリオに声をかけられハッとしたキンジは無言で頷く。ホームズ、ヒルダ、猴との戦いはサシだったり少人数との戦いばかりで、こんな戦場のような戦いは実際初めてになる。しかしこの戦いではディーノの単騎特攻でどうにかなるのではと疑問が残る。

 

「うちのボスはファミリーや街の人達を守りたいが為にあそこまで強くなった。だがその気持ちが強すぎて…あ、ボス‼あまり一人で突っ走り過ぎないでくださいよ‼」

 

 ロマーリオの声にディーノはピタリと止まり、遠方から狙撃してきた弾丸を躱す。

 

「…っと、調子に乗り過ぎちまったかな?」

 

 弾丸を掠めた頬をさすりながら好戦的に笑う。そんなディーノにロマーリオはやれやれと苦笑いしながら肩を竦める。

 

「うちのボスは1人になると極度の運動音痴になっちまうからな。俺達で部下を守ろうとするボスを支えてやらねえと…いいか坊主?どんなに強かろうが、1人じゃどうしようもない時だってある。チームやファミリーと力を合わせることも大事だ」

「はい…‼」

 

 キンジは頷いた。信頼し合ってチームで力を合わせて戦っていく、それが集団戦であるが、脳裏にカズキ達を思い浮かんだ。あれは個性の押し付け合いでハチャメチャしているが、力を合わせて乗り越えてきた。だからこそ彼らは集団戦が得意なのだろう。

 

「じゃあキーくんも負けてられないね‼キーくん、早速本気モードになろうか♪」

「え?ちょ、理子?なにを(ry」

「えーい♡」

 

 理子はむぎゅりとキンジに抱き着いてキンジの顔に胸を押し付ける。キンジは声にならない声をあげてもがくが理子はそんなキンジを逃がさないようにさらに強く胸を押し付けていく。

 

「いっつもアリアばかりだったから今回は理子で本気になってよ♡」

「ほー…坊主も隅に置けねえなぁ」

 

 ロマーリオはニヤニヤしながら一部始終を見つめる。やがてキンジはジタバタしなくなり、理子を引き離した頃にはヒステリアモードへと変わっていた。

 

「全く…悪い子だ」

「えへへへ、たまにはいいでしょ?」

「理子、バックは任せたぞ。行こうか!」

 

 アイアイサーと理子はにこやかに返事をして駆けていくキンジの後ろへと続いて行った。前線で戦うディーノの下へと駆けたキンジはデザートイーグルを引き抜き、ディーノの死角から狙撃してきた弾丸に狙いを定めて撃つ。デザートイーグルから放たれた弾丸は見事相手の銃弾を弾いた。気づいたディーノはニシシと笑う。

 

「おお、お前もなかなかやるな!」

「ディーノさん程じゃありませんよ」

 

 前方から一斉掃射された銃弾を鞭で一発残らず叩き落すディーノの技量にキンジは苦笑いして答える。陰からマチェットナイフを構えて2人に迫ってきた相手には理子が2丁のワルサーP99を容赦なく撃ちこむ。

 

「あは♪理子も久々に暴れさせてもらうよ♪」

 

「いい仲間じゃないか。お前のコレかい?」

 

 ディーノがニヤニヤしながら小指を立てる。理子はボンと顔を赤らめるがキンジは苦笑いする。

 

「話せば長くなるので…また後ほど」

「やーん、ディーノさんったらー…ウフフフ」

 

 そんな事をしている時に、後ろからひと際喧しい叫び声が近づいてきた。振り向けばたった一人で武偵の生徒達を足止めしていた長い銀髪の黒い戦闘服を着た男が猛ダッシュで駆けつけて来た。

 

「う゛お゛おおい‼跳ね馬ぁ‼骨のねえガキ共を俺に押し付けやがって!」

 

 男は怒鳴りながら腕につけている剣の切っ先をディーノに向けてる。というよりももう武偵の生徒達を片付けてきたのかとキンジは驚愕する。

 

「まあまあ、こっから楽しめるって。というよりもスクアーロ、飛んでいる蝶に気を付けろよ?」

「あぁん?あれは…胡蝶の魔女の使い魔か…それに五共和国派の残党とコーサ・ノストラの武装集団。少しは楽しめるみてえだなぁ」

 

 スクアーロと呼ばれた男はジロリとキンジと理子を睨み付ける。まるで凶暴な鮫に睨まれたような威圧に二人はビクリとするが臆せず持ちこたえる。

 

「ふん…イタリア武偵のガキ共よりかはマシ、か。いいかガキ共ぉ!死にたくなければ死ぬ気で抗え‼」

「さあ行こうか二人とも。しっかりついて来いよ‼」

「「はい‼」」

 

 キンジと理子は意気揚々に返事をし、前線を駆けていくディーノとスクアーロの後に続いて行った。眺めていたロマーリオはやれやれとため息をついて肩を竦める。

 

「ボス、新しい弟弟子ができたみてえに喜んでるな…俺達も続くぞ‼飛んでくる蝶に触れるなよ‼」

 

___

 

「おらー‼俺達のロードに不可能はねえぜ‼」

「たっくん、飛ばし過ぎ…次は右折して」

 

 やっと広い通路に出たものの、相変わらずタクトはノリノリでフレッチャ歩兵戦闘車を飛ばし、もう慣れたかか諦めたかのように冷静にナビしていくセーラに未だに静刃とアリスベルは道中にある古い歴史の建築物や世界遺産を壊していないかガクブルしていた。

 

「どうかこいつらがバカしませんように…!」

 

「ねえ、なんか蝶の大群が追いかけ来てるんだけど?」

 

 タクトが興味津々に訪ねてきた。モニターを見ると戦闘車の周りにクロケットマダラの大群が飛んでいた。それを見た獏が焦りだした。

 

「しまった…‼気を付けろ、クエスが来る!」

 

 獏の忠告通り、フレッチャ歩兵戦闘車の行く先にクロケットマダラの大群をカーペットにして立っているクエスが見えた。

 

「思ってた通り、障害になるわね。特に…アリスベルの能力が厄介になるわ。ここで殺してあげる」

 

 本性を現したクエスは獣のようにギラリと犬歯を見せて笑う。目の周囲から頬にかけてパンダの様に浅黒く色づき、ドレスのスカートを持ち上げるかのようにふわりとした大きな茶色の尻尾が現れた。

 

「すっげえ‼お前、言うなれば古に伝わりし21世紀にきた狸型ロボット、平成狸合戦ぽんぽこ!婚期を逃したたぬきBABAAエディション‼」

「意味が分からないんですけど!?」

「絶対に相手を貶してんだろ!?あとドラえもんは猫型ロボットだ‼」

 

「ツッコミを入れてる場合じゃない‼」

 

 セーラの言う通り、フレッチャ歩兵戦闘車の周りに飛び交うクロケットマダラの大群の動きが激しくなっていく。魔力を持った蝶が重厚な装甲にガンガンとぶつかる音が強く響いてきた。対抗してエリコンKB25mm機関砲を撃ち込んでいくがクロケットマダラの数は減らない。

 

「敵を縛り、力を奪い、それから戦う…これが獗の戦い方。貴方達のなら簡単に殺せるわ」

 

 蝶の大群に囲まれて戦闘車は身動きができなくなってしまった。重厚な装甲に何度も強くぶつかり、いずれは装甲に穴を開け兼ねない。このままだと生気と魔力を奪われてしまう。

 

「いたぞクエスゥゥゥゥッ‼」

 

 その時、鵺の怒声が聞こえたかと思えば鵺が勢いよくクエスに向かってドロップキックをしてきた。クエスは防ぎ後ろへ下がる。

 

「貴様、よくも鵺をコケにしてくれたな!てめーはマジでぬっころす‼」

「おお、こわいこわい」

 

 激昂している鵺に対してクエスはクスクスと笑う。そこへクエスとフレッチャ歩兵戦闘車の周りに飛んでいる蝶の大群に向けて紫色の雷が降りかかる。クエスはひらりと躱すが、クロケットマダラの大群は丸焦げになりぼとぼとと落ちていく。鵺の影からヒルダが現れ、クエスを睨み付ける。

 

「同じく、吸血鬼をコケにした落とし前、つけさてもらうわよ…‼」

「あらあら…やれるものならやってみなさいな」

 

 クエスは殺気立つ鵺とヒルダに対して不敵に笑う。ふと遠くから、彼女たちの後方からクエスに向かって弧を描くように何かが飛んできた。黒い円筒のような物が見えて何かと思った瞬間にクエスの目の前で閃光を炸裂させる。

 

「…っ!?」

「っしゃあ‼今じゃあ‼」

 

 怯んだクエスに向かって鵺は容赦なく右手で視認できない鎌鼬を水平に放つ術式『女平刃(めひらば)』を放った。危険を察知したのか本能的なのか、クエスは咄嗟に魔力を持ったクロケットマダラの大群で壁を形成する。蝶を次々に両断していくがクエスには届かなかった。

 

「この…舐めた真似を」

 

 視覚が戻ってきたクエスはキッと睨み付けるがその間にもクエスに向かって黒い円筒の物が弧を描いて飛んできた。先ほど閃光であろうと蝶で防ごうとしたが、今度は閃光でなく強烈な爆炎を巻き起こした。一気に燃え広がり蝶を焼き、爆炎はクエスにまで迫ってきた。クエスは炎から大きく後ろへと下がる。

 

「ちっ、TH3焼夷手榴弾に引っかからなかったか」

 

 TH3焼夷手榴弾を投げてたケイスケは舌打ちする。そんなケイスケに鵺はナイスと親指を突き立てる。

 

「おしいじょ。あともう少しで焼き狸ができあがったのにな」

「イヤイヤイヤ!?武偵が投げていい代物じゃなかったでしょ!?明らかに殺す気満々でしょ!?」

 

 仲良くハイタッチをするケイスケと鵺にヒルダは思わずツッコミをいれる。

 

「たっくん‼ぼさっとしてないでさっさと行け‼」

「おうよ‼サンキューケイスケ‼お前にはいつかハーゲンダッツを奢る権利を与えよう!」

「そんな事はいいから早くいくよ」

 

 セーラに小突かれてタクトはすぐにフレッチャ歩兵戦闘車を飛ばす。強行突破され、焼き狸にしようとしたケイスケと鵺にクエスは殺意を込めて睨み付けた。

 

「まずは貴方達から嬲殺してやるわ‥‥‼」

 

 そんなクエスに対しケイスケと鵺は中指を突き立てる。

 

「はっ、かかってこいや‼あとこいつを舐めてると痛い目みるじょ‼」

「もっと焼夷弾投げ込んで信楽焼の狸にしてやる」

「というか貴方、運転はどうしたのよ…」

 

 ヒルダは心なしか、父であるブラドが何故この喧しい4人組に負けたのか何となくわかったような気がした。

 

 一方、ケイスケと運転を代わってカズキが運転をして別のルートでタクトを追いかけていた。

 

「か、カツェ…この道をどこへ行けばいいの?」

「このルートなら右だ。このスピードで行けばたっくんに追いつくぜ」

「カズキも運転できるんだ…バランスのとれたチームだね」

 

 ワトソンは納得しながら頷く。ケイスケは運転の他に狙撃ができ、タクトは突撃はするけども運転はでき、誰もが何かしら出来るようになっている(?)。カズキもアクセルを踏んでスピードを上げてメルセデス・ベンツを飛ばしていく。

 

「…あのー、ちょっと聞いていい?」

「あ?どうした?」

 

 助手席でナビをしているカツェが首を傾げる。カズキの様子が少しおかしい。運転している本人は物凄く焦っている。

 

「‥‥アクセルとブレーキってどっちだっけ?」

「」

 

 苦笑いしながら尋ねるカズキにカツェもワトソンもクラエスもあんぐりとする。

 

「ちょ、あなた何言ってんの?」

「も、もしかして…知らないで運転してるの?」

「いやちょっと待て。カズキ、運転したことあんのか?」

 

「初めてだけど?」

 

 笑顔で即答するカズキに対して3人は凍りつく。

 

「ありえない‼なんでケイスケに『よーし、俺に任せろー』なんて言ったの!?」

「カズキ、今すぐあたしに代われ‼もう嫌な予感しかしない‼」

「ちょ、カズキ!すぐに右折して‼ぶつかる‼その前にブレーキ‼」

 

「えーと…ウィンカーってどれ?」




 
 死亡フラグを回避したキンちゃんはここでディーノとスクアーロを特別講師に集団戦の中で鍛えられる、というわけで…一方的な集団戦になりそうだけど(視線を逸らす

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