カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 ドイツの土地は広いですね…それだけでなく、シュトロハイムやラウラやシュピーゲルやらネタが満載(?)
 原作とは違う展開があります。『やがて魔釼のアリスベル』との時間軸を変えているところもあります。すみません


ゾンビ☆パーティー
48話


 羽田空港から飛んで12時間。長い飛行時間を終え、ドイツがフランクフルトへと到着した。税関を抜け、空港のロビーへとたどり着いたカズキ達はくたびれたように背伸びをする。

 

「きたぜドイツー‼」

「うおおお、どこのどいつじゃー‼」

 

 飛行機の中でぐっすりと寝ていたカズキとタクトはすでにテンションが高く、すでにノリノリである。ケイスケは軽くため息をついてこれからの行動を話そうとした。

 

「あのな、ノリノリなのはいいがまず先にやることがあるだろ?」

「ケイスケの言う通りだな!まずは記念撮影だ‼」

 

 カズキは嬉しそうにデジカメを取り出す。記念撮影じゃないだろとケイスケはカズキを小突く。そうしたいのはやまやまだが、やらねばならないことがある。

 

「フランクフルト空港でジョージ神父と合流して移動するんだろ。覚えとけよ」

 

 今回、ドイツに来た目的はジョージ神父の依頼を行う事であり、そして以来の内容も現地で聞くというドタバタとしたスケジュールとなっている。カズキとタクトは思い出したようにポンと手を叩く。これで大丈夫かと心配しつつ、空港を出ようとした。そんな時カズキは約一名、ついて来ていない事に気付いた。

 

「ちょっとまって、ナオトは何処行った?」

「あ、それならナオトは両替すんの忘れてたから、リサと一緒に両替店探しに行ったよー」

 

「おおい!?なんで忘れてんだよ‼しかも勝手にどっか行くなよ!?」

 

 ケイスケとカズキは頭を抱えてしまった。両替店に行ったナオトとリサを探しだすが、今度はタクトがトイレに行きたいと言い出すわ、カズキが空港のお土産店で興奮して買いだそうとするわ、空港から出るのに30分以上もかかってしまった。

 

「あのな…修学旅行・Ⅱだぞ。観光しに来たんじゃないからな」

 

 空港からやっと出て馬鹿3人にゲンコツをいれてケイスケはため息をつく。この先本当に大丈夫だろうか、半ば心配でもあった。そうして空港の駐車場へと進んでいくと、黒のメルセデス・ベンツの近くでジョージ神父がにこやかに手を振っていた。

 

「やあ、ドイツへようこそ。来るのを待ってたよ」

 

 カズキとタクトは大喜びしてジョージ神父の下へと駆け出していく。正直のところ、ケイスケはすぐにジョージ神父に出会えてほっと一安心していた。カズキとタクト、ナオトはドイツへ行くというのにドイツ語の勉強を少しもしていなかったのだ。「ドイツって英語じゃないの!?」と前日に口を揃えて驚いていたので半ば諦めていた。

 

「それじゃあ目的地へと向かいながら依頼の内容を話そうか」

 

 にこやかに乗り込むジョージ神父に続いてカズキ達は乗り込むと、すでに先客が乗っていた。カズキ達が乗り込むや否や、セーラがギョッとしていた。

 

「げっ…またお前達か」

「あっ、セーラちゃん‼やっほー」

「もうジョージ神父の助手みたいになってんじゃん。傭兵やめて雇われたどうだ?」

 

 苦笑いしているケイスケのジョークにセーラはムスッと頬を膨らませてそっぽを向く。タクトがセーラの隣で空の旅は大変だったと語り、セーラはジト目でカズキとケイスケに助けを求めるが二人は無理と首を横に振る。

 

「それで俺達はなにをすればいいの?」

 

 空気を読んだのか、読んでいないのか、ナオトがさり気なく運転しているジョージ神父に当初の目的である依頼の内容を聞いた。

 

「そうだね…ドイツ、ベルリン教会から僕に頼まれてね。彼らが保管している『レリック』が盗まれ、司教が誘拐されたんだ。僕達は司教を捜査するのと、『レリック』の奪還をしなければならない」

 

「『レリック』?」

 

 カズキ達が首を傾げて聞くよりも早く、セーラがいち早く不思議がって神父に尋ねた。どうやらセーラも知らない代物のようだ。

 

「とても古く、遥か昔から教会の人々が保管をしていた物でね。誰が何のために造ったのか誰も分からないんだ」

「それは所謂、パンパースですな?」

 

 それを言うならオーパーツだとセーラとケイスケはカズキにツッコミを入れる。ジョージ神父はクスリと笑い、話を続けた。

 

「それを最初に保管していた者の書記には『死者の魂を静まらせる神器』と書かれているが、誰も信じていないようだ。『レリック』を盗んだのは魔女連隊(レギメント・ヘクセ)の仕業だと騒いでるようだが、どうなんだい?」

 

「魔女連隊?特撮モノか‼」

「え?ネギ麺を減らせ?」

「どうやったらそう聞こえるんだよ。つかなんだよそれ」

「…それドイツ語?」

 

 セーラが答えるのを遮るようにカズキ達が首を傾げた。セーラはうんざりするように項垂れ、ジト目でカズキ達を呆れるように見る。

 

「お前達…人の話をすぐに忘れる。魔女連隊は大戦後、イ・ウーに逃亡した旧ナチス・ドイツの秘密部隊であり、アーネンエルベの超能力部隊のことだ。今はその残党でまとまり、イラン、リビア、北朝鮮等にも雇われるスパイ・テロリスト部隊だ」

 

「「「「ふーん」」」」

 

 いくら説明してもこの4人はどうでもいいように返すのでセーラは肩を竦めてため息をつく。気を取り直して、ジョージ神父の質問に答えることにした。

 

「イ・ウー主戦派も魔女連隊もその『レリック』とかいうのは知らないしそんなのがあったなんて初耳」

「成程、誰の手にも渡らないようにずっと秘密裏にされていたようだね」

 

 セーラも知らないということは、眷属も師団もその存在は知らないようだ。『レリック』について増々謎が深まるばかりである。目的と依頼の内容を知ったタクトは目を輝かせている。

 

「つまり…古に伝わりし宝探し、インディージョーンズスペシャルをやるんですね!」

「よっしゃー‼宝探しなら任せろ!こういうのは得意だぜ‼」

 

 ノリノリであるタクトとカズキにセーラは呆れて肩を竦める。本当に呑気な連中である。師団と眷属の混戦の真っただ中であり、眷属の魔女連隊の拠点であるドイツに堂々とやって来て、しかも恐れていないから本当に厄介だ。

 

「それで、今どこへ向かうんだ?」

「司教が最後に目撃されたドレスデンへ向かうのだけど、その前に君達は長旅で疲れただろう?私の別荘があるラウタ―タールへ行き、休もうか」

 

 それまではのんびりとした車での旅。ケイスケは車窓から見える景色を眺め、カズキとタクトはリサのパーフェクトドイツ語教室を受けていたり、ナオトはパーカーを被ってぐっすりと寝ていたりと各々でドイツの旅を楽しんでいるようだ。

 セーラは何時伝えておこうか悩んでいた。カズキ達がドイツに来る数日前に『妖刕』、『魔釼』とよばれる強い異能者とその他2人が魔女連隊に雇われたという事、実際に見てはいないが、その『妖刕』、『魔釼』は異能者に強いと聞くが、彼らは果たして相手となったら勝てるのだろうか心配であった。

 

__

 

 デュッセルドルフ郊外の草原に建つ古城、ノイエアーネンエルベ城は魔女連隊の宿営地である。今現在は戦役を兼ねてイ・ウー主戦派と共に師団と戦う活動拠点となっている。

 その一室にある指令室にて、魔女連隊の長官を務めているイヴィリタ・イステルはイスに深く腰掛け、視線の先にいる黒い外套を羽織った黒髪の青年と日本の女子高生な制服を着た黒髪のツインテールの少女、艶やかなドレスを着たプラチナ色の髪と藍玉色の瞳をした女性と、ヘラジカの様な角を持つピンク色の髪をしたゴスロリの服を着た少女に目を向ける。

 

「…貴方達にやってもらいたいことがあるの。セイジくん、できるかしら?」

 

 セイジと呼ばれた青年もとい、原田静刃は無言のままこくりと頷いた。イヴィリタはニッコリとして依頼の内容を話した。

 

「ある武偵がドイツに来ているの。貴方達には彼らを捕まえて欲しい。彼らは何をしだすか全く分からないし、少し危険な連中で私達の抗争の邪魔になる。だけど…使えるとなれば即戦力にもなるわ」

 

 武偵と聞いて静刃はピクリと反応した。その静刃の反応をみたプラチナ色の髪の女性、獏はイヴィリタに尋ねた。

 

「捕縛ならば、お前達にもできるのでは?」

「それがね‥‥難しいの。ハッキリ言ってただの武偵と甘く見ない方がいいわ。彼らに常識は通じないし、寧ろ彼らの方が別の意味でおっかないわ」

 

 獏はしばらく考えた。もしかしたら、その武偵は()()()()()()()()()()()()()かもしれない。頷いて再び尋ねた。

 

「報酬の額面は?」

 

 獏は報酬の額を聞いた。この依頼を受ける可能性があるということに黒髪のツインテールの少女、アリスベルは少し不安そうな顔をした。それを見た静刃はアリスベルを落ち着かせる。もしかしたらその武偵は自分達の運命を左右する藍幇に関わってるかもしれない。イヴィリタは笑顔を崩さず頷いて答える。

 

「そうね、ユーロ建てにはさせていただくけど、セイジ君で1億、アリスベルさんで1億、どちらかが成功しても構わないわ。あ、捕縛が難しかったら殺しても構わないわ」

 

 笑顔で物騒な事を言っているイヴィリタに静刃は苦笑いをする。獏は成程と呟いて、核心に迫ろうとした。

 

「ターゲットは誰なんだ?」

「…標的はこの4人よ」

 

 イヴィリタは封筒から4枚の写真を静刃達に渡した。一枚はドヤ顔でダブルピースをしているサングラスをかけた青年、一枚は変顔で「シェー」のポーズをしている青年、一枚はカメラ目線で睨み付けている機嫌が悪そうな青年、そして眠たそうにしている青年だった。その写真を見た獏と静刃はキョトンとし先ほどまでの緊張感が吹き飛んだ。イヴィリタはもう一枚写真を渡して続けた。

 

「彼らの名は順に、吹雪カズキ、菊池タクト、天露ケイスケ、江尾ナオト。あとこれが彼らのブレーンであろうジョージ神父。この神父を暗殺か捕縛をしてくれればさらに倍の額を出すわ。もし、受けるのならばあとで詳しい情報を伝える」

 

「‥‥わ、私達4人で一旦相談する。ショールをくれ。少し外の空気を吸いたい」

 

 獏は酒瓶を抱えて寝ているピンク色の髪のゴスロリ少女、鵺を叩き起こし、静刃とアリスベルの手を引き外へ出た。静刃達はノイエ・アーネンエルベ城の外で『仕事』について相談しようとしたのだが、何を言い出せばいいか皆迷っており、静刃が最初に口を開いた。

 

「‥‥誰だこいつら」

「わ、私も遠山キンジがくるのかと思ってたのですが‥‥誰ですかこれ?」

 

 2013年の時代からとある事情で2010年、2009年へと過去へと渡ってしまっている静刃もアリスベルも神崎アリアか、遠山キンジがくるのかと身構えていたがまさかの変化球で反応に困ってしまっていた。そして獏も困り果てていた。

 

「私にもわからん…だが、過去の人間を殺してしまうと私達も、そしてその先に彼らに関わるであろう人間達に影響を与えてしまう」

「ここはやはり受けるべきなのでしょうか…?」

 

 アリスベルは不安気味に結論を伺った。あちらも武偵ならば抵抗してくるだろうし戦闘になるだろう。静刃はポンとアリスベルの頭を撫でて落ち着かせた。

 

「殺さずに捕えればいい。連中は武偵なら殺してはこねえだろ」

「静刃の言う通りだな。遠山キンジ、神崎アリアでなければ苦戦する相手ではないだろう」

 

 獏も静刃の意見に同意し、この依頼を受けることにした。イヴィリタに話をして来ようと城内へ戻っていった。静刃もアリスベルも城内に戻ろうとしたが、4枚の写真をみて唸っている鵺に気付いた。

 

「おい、どうかしたのか?」

「うーん…この4人組、どっかで見たことがあるじょ。どこだったかなー」

「何か心当たりがあるんですか?」

 

 アリスベルが気になって聞いてみたが、鵺はずっと唸って考え込んでいた。お酒の飲みすぎで酔っているのだろうと静刃は鵺を引っ張りながら城内へと戻った。

 

__

 

 獏達がこの依頼を受けると承諾し、正式な眷属の傭兵になってくれたことにイヴィリタは安堵した。これで一段と師団の連中を追い詰めることができるだろう。アジア圏の方は藍幇と遠山キンジらが戦っているが、藍幇の雲行きは怪しい。いずれ遠山キンジ達はこのヨーロッパへ来るだろう。その時はこちらの流儀でもてなしてやろう。

 

 イヴィリタは大きく息を吐いて真剣な表情で窓の景色を見る。いくつか問題がある。無所属でハチャメチャしているあの4人組だけじゃない、この眷属と師団の抗争とは別に何か不穏な気配があるのだ。

 

 イヴィリタが考え囲んでいる時に、ノックの音が聞こえた。ドアが開くと黒いおかっぱ頭で眼帯を付け黒の軍服に黒のベルベットのローブ、とんがり帽子を被った少女が入ってきた。ビシリと敬礼をし、イヴィリタに視線を向けた。

 

「西方大管区フランス管区所属、魔女連隊連隊長、カツェ・グラッセ、帰参しました」

「ご苦労…崩していいわよ。それで捜査の方は何か進展はあった?」

 

 イヴィリタはカツェに尋ねると、カツェは申し訳なさそうに視線を落とす。

 

「いえ‥‥未だに手がかりは見つからず、行き詰まっております…」

「そう…カツェ、ごめんなさいね。香港へ偵察へ向かう予定だったけども急遽貴女とパトラを呼び止めて捜査をさせてしまって」

 

 本来ならば、エースである連隊長のカツェを偵察を兼ねて香港へ向かわせる予定だったが。しかし、その前にこちらで事件が起きたため、急遽予定を変えて捜査をさせていた。カツェは首を横に振ってキッと真剣な眼差しで見る。

 

「そのようなことはありません!同志5人を無残に殺した猟奇殺人犯を捕え、逆さ磔打ち首獄門にしてやります!」

「そうね‥‥同志である魔女5人の頭蓋骨を引き抜くなんてよっぽど恨みがある奴か、いかれている奴だわ」

 

 数日前、5人の同志が殺される事件が起きていた。どれも殺された後に頭蓋骨が引き抜かれた遺体で発見されたのだ。こんな殺しをするのはリバティーメイソンやバチカンといった師団の仕業ではない。まるで何かの儀式の生贄のようだ。一体何が起こるのか、イヴィリタには分からない。

 

「それと、セーラはどうしているのかしら」

 

 一先ず猟奇殺人犯は捜査を続けるものとして、イ・ウー主戦派であるセーラ・フッドの動向を尋ねた。彼女も傭兵であるが故、行動が読めないのだ。彼女が言うにはジョージ神父のスパイをしていると言っているが、信用は薄い。あのセーラが契約金を無視して主戦派の代表戦士として出ているのが珍しいのだ。

 

「パトラの星占術によると、セーラは今ジョージ神父と例の4人組と共にラウタ―タールにいるようです」

 

 またあの神父と4人組か、イヴィリタはため息をつく。セーラは今敵なのか味方なのか見定める必要がある。

 

「カツェ、セイジ君達にすぐに出るよう伝えておきなさい。彼らに武器や弾薬の用意を‥‥あと『なめてかかっていると殺される』と言伝をお願い」

 

 カツェは敬礼して部屋を出て行った。イヴィリタは手元の資料の写真に写っている騒がしそうな4人組を見る。リバティーメイソンの主力部隊、アメリカのロスアラモスに恐れもせずに噛みつき、辺りを混沌と化する。まさか師団ではなく無所属の連中に悩まされるとは思いもしなかった。

 

「はぁ…このドイツの地で何が起きるのかしらね…」




 カツェとパトラは香港に向かうところを、猟奇殺人があったため香港行きをやめて同志を殺したヤローを探しております

 アリスベルも物語は好きですね…とくに女性キャラのおっぱゲフンゲフン

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