カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 カオスな4名様もかのvs食人族サバイバルホラーゲームを始めたようで
 この人達だからきっとカオスなことになるんだろうなーって思ってたらしょっぱなから起きてて吹いた





 


124話

Day:7

 

キンジはやつれ気味にため息を大きくついた。今自分は建ち並ぶ高層ビルの間にできている日が射しにくい路地のど真ん中を歩いている。辺りを見回せば一日中通りを行き交う通行人達の姿はおらずそしていつもなら喧騒に響かせながら行き交う車の姿もない。静寂となったこのエリアを歩いていた。

 

「ったく…理子のやつ、呼び出しておきながら何処にいるんだよ」

 

 キンジはムスっとしながら携帯で指定されている場所を探す。それは昨日突然のことであった。急に理子から電話がかかり『明日、この場所に来てほしい』と頼まれたのであった。この前は変装して2年生として、その次は公安0課に無理やり協力させられて、そして今度は理子から無理やり呼び出されてとあっちに行ったりこっちに行ったりとややうんざりしていた。

 

 ましてや今日はタイミングが悪い。この日は『参観日』という武偵校の大規模訓練が行われているのだ。東京の街の一角を貸し切り状態に全学年が参加し、まさにその真っ只中である。

 

 本当は他の生徒に見つからないように変装して行かなければならないのだが理子から『変装しないで来てほしい』と言われたのだ。もし断ってしまったら理子が何をしてくるか分からない。もしかしたら女装しているのを知っててアリアに告げ口するかもしれない。キンジは仕方なく変装しないであかりやアリアら他の生徒に見つからないように慎重に向かっていた。

 

「次はこの辺りを‥‥おっと」

 

 キンジは次の角を曲がろうとしたが慌てて物陰に隠れる。隠れたと同時に幾人かの武偵がチームを組んで通り過ぎていった。

 

「ほんっと面倒な時に呼んでくれたな」

 

 人の気配がいなくなるとキンジはこれで何度目かのため息をつく。この『参観日』、内容的には3年生は2年時に登録申請したチームで行動、2年と1年は開催日前に提出したチームの編成書あるいはランダムで組んだチームで行動。赤組と白組で分かれ、相手を捕えながら各地点にあるフラッグを回収しその地点を占拠、そして本拠点にあるフラッグを取った組の勝利と何処かのFPSのようなルールだという。

 

 そんなチーム戦でたった一人で行動するというのは自分がチートキャラでなければ自殺行為。見つかったら集中砲火されて捕えられてしまうだろう。更には留年している身で変装をしていないのだから他の生徒に見つかった時点で退学だ。まさに命がけの行動にキンジは肩を竦める。

 

「アリアのやつ、きっと今頃張り切っているんだろうな‥‥」

 

 『参観日』というのだから保護者は勿論、企業や軍、そして政治家たちが武偵達の活躍を見に来ている。この人達は今回特別に用意された豪華客船『彼岸丸』に映像で観戦するようだ。この大行事に自分の祖父母だけでなく、アリアの母親も見に来ているだろう。自分の活躍を是非とも母親に見せたいとアリアは気合いを入れているはずだ。

 

 この行事にチーム・バスカビールは参加している。アリアや白雪、理子、そして白雪。自分がチームに抜けていてもしっかりとやって行けれるはずだ。『チーム』という言葉にキンジはふと気付いた。

 

「ということは‥‥あいつらも、参加してるよな?」

 

 あいつら…悉く自分の胃を苦しめ続けてきたあの喧しいハチャメチャな4人組。その4人組と一緒にいるリサは唯一の癒しなのだが。こんな大きなイベントなのだ、彼らが静かに黙っているわけがない。嫌な予感しつつもキンジは今は見つからないことを願って理子が指した場所へと向かう。

 

「‥‥?」

 

 ふと何かの気配を察したのかキンジはピタリと止まって振り返る。背後や辺りには人の姿は誰もいない。それでもキンジは違和感を感じた。

 

 誰かにつけられている。理子のいたずらか、あるいは獅堂達公安0課が後をつけてきたかと一時は考えたが今はそんな事を気にしている場合ではない。キンジは再び走り出した。

 

___

 

「静刃のやつどこに行きやがった‥‥」

 

 『参観日』実行委員及び今訓練の本部のテントにて獅堂は苦虫を嚙み潰したような表情でドローンから映し出されている映像を睨み付けていた。このイベントで()()()()()に備えて公安0課も待機することになっていた。

 

 獅堂本人はあまり乗り気でなく本当は参加するつもりではなかったのだが、この『参観日』にあの菊池サラコが観戦に来ている事を知り急遽飛び入りで参加したのであった。

 

 

「あの女が出るとなると‥‥間違いなく何か起こる」

 

 獅堂は何度も映像を切り替えて探す。菊池サラコがいるとならばこの『参観日』にあの喧しい4人組がとんでもない事をやらかすはずだ。そうなる前にあの4人組が何処にいるか、見つけ出して事を起こす前に止めなければならない。

 

「‥‥くそが。まだまだやる事が山積みだというのに面倒な事をしてくれやがって」

 

 まだ伊藤マキリを見つけていない上に、遠山キンジと原田静刃の二人と連絡が取れない。可鵡偉ら他の面子は既に配置して探しているが中々見つからない。

 

「‥‥む?」

 

 ふと切り替えた映像に獅堂は眉をひそめる。建物の物陰から白いボディーアーマーを着た5,6人の武装した連中が誰かの跡をつけるかのよう動いているのが一瞬だけ見えた。

 

 武偵達の中であんな人物がいただろうかと獅堂が疑問を抱えたその時、どこ遠くで爆発音が響いた。音がした方角は『参観日』が真っ只中行われている場所だ。最初の爆発音を皮切りに立て続けに爆発音が響きだした。

 

 ざわめく本部、慌ただしく動き出した教員、無線を繋ぎ連絡しだす軍、これは組み込まれていない事態だと気付いた獅堂はすぐに携帯を取り出した。

 

「不知火‼何が起きた‼」

 

『獅堂さん―――‼道路、屋内各所で爆発が起きた同時に強襲が―――』

 

 不知火の声を遮るかのように激しい銃声と爆発音が響く。獅堂は苛立つように舌打ちをした。嫌な予感がしていたがやはり起きてしまった。

 

『あの爆破、おそらく武装検事試験会場の爆破及びショッピングモール襲撃と同じ爆弾が使われたものかと―――!』

「ということは遠山とあのバカ4人組を狙ったやつらか!不知火、可鵡偉と共に遠山を探せ‼」

 

 奴等の狙いは遠山キンジか。あの会場に遠山キンジがいたから起こしたのか。だとすれば首謀者は伊藤マキリら『N』なのかと更に積み重なって来た疑問を抱きつつ自分も向かうとしたその時、本部に武装検事の一人が大慌てで駆けつけてきた。

 

「た、大変です‥‥‼豪華客船『彼岸丸』がジャックされてます…‼」

 

 その報告に教員のみならず獅堂までもが目を丸くした。会場を襲撃するのみならず、保護者や政治家たちがいる豪華客船をジャックするとは。獅堂はますます苛立ちを募らせた。

 

___

 

「あ、危なかった‥‥」

 

 突然起きた爆発に遠山キンジは冷や汗を流し焦りだした。爆発が起きた場所、あれは数分前に他の武偵の生徒に見つからないように身を隠した場所だ。少しでも遅かったら爆発に巻き込まれていただろう。考えただけでもぞっとする。

 

 しかし次々の起きている爆発はただ事ではない。これは訓練の一連ではないことには気づいた。アリアは無事なのか、自分が置かれている立場よりも彼女のもとへ行かなければ。キンジはホルスターからベレッタM92Fを引き抜く。

 

「―――――いたぞ、遠山キンジだ」

 

 巻き上がる黒煙の中から白いボディーアーマーを着て白いフルフェイスマスクで顔を隠した武装した男達が4,5人現れた。他の武偵の生徒でも、公安0課の誰かでも、そして武装検事でもなく、明らかに自分を狙っている事にキンジは既に察していた。もしや以前兄が言っていた自分の命を狙っている連中か。キンジは臨戦態勢に移るが半ば焦っていた。ヒステリアモードになっていない中でこの数を相手できるか、一人でヒステリアモードになれるには少し時間もかかる。じりじりと間合いは狭まっていく。あと30秒あればヒステリアモードになれるが、その猶予も次第に無くなってきた。

 

 

 

 

 

「巻き込まれたくなかったら下がりなさい」

 

 

 ふと聞こえた声にキンジは武装した連中が引き金を引く前に大きく後ろへと下がった。それと同時に武装した連中の足下から紫の電撃が巻き起こった。キンジはまだ未完全だが薄らヒステリアモードになれたおかげで声の主が誰なのか、その声の主が何処にいるかもすぐに分かった。

 

 

「‥‥ヒルダ、助かった」

 

 キンジの影から黒いフリルの付いた日傘をさし、ご満悦の様子のヒルダが現れた。

 

「ふふ、これで借りが増えたわね。まあ有難く思いなさい?」

「もう好きしてくれ。ヒルダがここいるという事は‥‥」

 

 

「やほやほー♪キーくんおひさー」

「きんちゃあああああああああん‼」

 

 

 キンジが予想した通り、巻き上がる黒煙の中から理子と白雪が飛び出す様に駆けつけてきた。理子はすでにワルサーP99を、白雪は既に刀を抜いているという事はもう戦闘が起こっているようだ。

 

「理子、白雪!二人とも大丈夫か?」

 

「りこりんは大丈夫。そんな事よりこいつらキーくんとアリアを狙ってんだから気をつけないと」

 

「やっぱりそうか。アリアを見つけないと‥‥!」

 

 自分は兎も角、アリアが心配だ。そして自分とアリアの二人を狙うだけなのにここまで派手な襲撃をしてきた連中を止めなくては。

 

「キンちゃん!私、キンちゃんが女装の癖がついててもずっとキンちゃんの味方だからね!」

 

 

「「えっ?」」

「えっ」

 

 白雪の一言に理子とヒルダは目が点になり、キンジはピシリと凍りついた。白雪がどうして突然そんな事を言って来たのか。キンジはもう分かってしまった。

 

「カズキの野郎ぉぉぉぉぉっ‼」

 

 間違いなく、いやどう考えても、カズキがばらしてしまったのだろう。やはりがま口財布のように口が堅い男を信じるべきではなかった。今は止めなくてはいけない事態があるのだがそれよりも先にこの状況を何とかしなくては。

 

「し、白雪!俺は女装癖があるんじゃない。それはカズキ(あのバカ)の世迷い言でry」

 

 

「きぃぃぃんんんんじぃぃぃぃっ!!!」

 

 

 キンジの弁明を遮るかのようにそれは怒声を飛ばしながらやってきた。キンジは顔を青ざめてゆっくりと声の聞こえる方へと向けた。桃色の髪を靡かせて鬼のような怒りの形相でアリアがこちらに駆けてきているのが見えた。よく見るとかなめがアリアに襟首を掴まれて引っ張られている。そしてそのかなめは『マジでゴメン』というかのように涙目でキンジを見つめていた。

 

「アリア‼無事かry」

 

「風穴ぁぁぁぁっ‼」

 

 いうよりも速くアリアのドロップキックが炸裂し、追い打ちをかけるかのように2丁のガバメントを引き抜いて本当に風穴を開けさせようとする前に理子に止められた。

 

「このバカキンジ‼留年して更に他の女の子に手を出そうとしてるなんてどういうつもりなの!?」

「待て待て待て‼留年はともかく、何そのありもしない話!?というかそんな話してる場合じゃないだろ!?」

 

 

 はっと気づいたアリアはブンブンと首を横に振って自信を落ち着かせると真剣な表情でキンジを見つめる。

 

「そうだったわ‥‥キンジ、先程豪華客船『彼岸丸』がジャックされたの。ママを助けなきゃ‥‥!」

「かなえさんが‥‥!」

 

 やはりアリアの母親も来ていた。自分とアリアの命を狙っているのなら血縁者を人質にとってくる。今回はこの『参観日』を観戦しにきた人達と大人数を人質に取られた。こんな姑息な手にキンジも怒りを感じていた。

 

「俺達二人を狙うってのにここまで派手にやりやがるとはな。アリア、かなえさんを助けて首謀者をとっちめるぞ」

「当たり前よ。こんな事をしでかした奴等はもう風穴じゃすまされないわ」

 

 今すぐにでも向かって助けに行こう。怒りと再びチームを組める高揚感と気合いで士気が上がっている二人に理子が物凄く申し訳なさそうな表情でアリアとキンジを止めた。

 

「あー、そのね‥‥二人ともすっごーーーく申し訳ないんだけど。その事ならもう向かってる人達がいるの」

 

「へ?それってどういう事よ」

 

 止められてアリアは機嫌が悪くなったうえに眉をひそめて問い詰めるがそれでも理子は申し訳なさそうに視線を逸らしながら話を続ける。

 

「うん、本人たちが言うにはね?キーくんとアリアを囮にして誘き寄せている間に自分達が突撃してとっちめるとかいう作戦なんだけど‥‥その行き方がねー‥‥」

 

「本人『たち』?おいそれってまさか‥‥」

 

 理子が申し訳なさそうにしているわけ、そしてその作戦を考えたのが誰なのかキンジは全てを察したその時、どこかから鈍い駆動音が響いた。その音は鳴りやむことは無く、寧ろこちらに近づいて来ていた。

 

「な、なんなのこの音‥‥?」

 

 アリアは戸惑っていたが、理子とヒルダはうんざりした表情をしていた。もうなんだか嫌な予感がしていたキンジは音のなる方へと顔を向ける。最初は遠くて見えなかったが、漸く向かってきているそれが何なのかはっきりしたところでキンジは目を丸くした。

 

 

 

 独特な迷彩柄のフォルムで、貫くように伸びた砲塔。そして二つのキャタピラで道路を走る‥‥それは紛いもなく戦車だった。

 

 

「戦車ぁぁぁぁっ!?」

「な、なんで戦車がこんなところを通ってんのよ!?」

 

 キンジとアリアは驚愕したが理子はもう視線を逸らし、かなめはどこか遠い眼差しをしていた。

 

「というかしかもあれ‥‥最近開発された新型の戦車、『TM-02 ハンジャール』じゃないの!?」

 

 更にアリアは声を荒げて理子に問い詰める。ハンジャールと聞けばどこかの国が開発した戦車であり、近未来的なデザインが特徴的で小型・軽量でありながら火力や機動力はどの戦車にも劣らないと言われる。そのTM-02ハンジャールはキンジ達の前に止まる。

 

『スポォォォォン‼キンジ、アリア、やっほー!』

 

 拡声機で響く声にキンジとアリアは「あっ」と声を揃えた。戦車で現れる武偵なんて世界中探してもあの4人組しか思い浮かばない。

 

「た、たっくんか!?何してんだお前!?」

 

『俺達もいるぜ!キンジ、アリア、こっからは俺達に任せておきな!』

 

「カズキ‼あんたもいるのね!というか任せきれないわよ!?」

 

 間違いなく彼らに任せたら大惨事になり兼ねない。絶対に任せきれない。しかし彼らはそんな事は気にしてない。

 

『ここで油を売ってる場合じゃねえだろ?理子、白雪、そっちは頼んだぞ』

「あーうんケーくん?言っても無駄かもしれないけど程々にね?」

『あれ?キンジ達いるの?』

「バカバカ‼ナオト、こっちに主砲を向けんな!」

 

 やはりこの戦車に騒がしい4人組が揃いも揃って乗っていた。アリアとキンジはもう決めた。彼らが豪華客船に突撃するよりも先に自分達が突撃してアリアの母親を助けなくては。

 

『おい時間がねえ。さっさと行くぞ』

『ケイスケ、どんどん飛ばしていこうぜ!』

『あ、こっちに曲がった方が近道できるっぽいぞ?』

『瓦礫の山が邪魔だな‥‥よっしゃ俺に任せろ!レッドマウンテンブラストーッ‼』

 

 タクトの気合いの込めた叫びと共にTM02ハンジャールは主砲を放った。瓦礫の山になっていた場所は砲撃で吹っ飛ぶ。

 

「何してんのお前ぇぇぇぇ!?」

「ちょ、バカなの!?武偵が街を破壊してどうすんのよ!?」

 

『救えるのは仲間だけだっつってんだろ。更地になろうがどうなろうが知ったこっちゃねえし』

「イヤイヤイヤ!?ケーくん、大問題だから‼大問題になるから自重して!?」

 

 理子が無線を通して説得しようとするが彼らの暴走(?)と戦車は止まることは無い。TM02ハンジャールはスピードを上げて進んでいく。願わくば建物は破壊しないで欲しい、キンジ達はひやひやしながらその戦車を見送った。

 

『おいケイスケ、これって‥‥‼』

 

 ふとカズキがわなわなと驚きの声を上げる。漸く事の重大さに気づいてくれたのかとキンジは思っていたが、カズキの驚きの声は喜びの声に変わった。

 

『ガールズオブパンツァーじゃね!?』

 

「謝れ‼全国のガルパンファンに謝れ‼」

 

 しかもテーマも間違えているし。やっぱり彼らだけでは任せてられない。自分達も多くの人が人質にされている

豪華客船『彼岸丸』へと急ぎ向かうことにした。




 
 これがやりたかっただけ

 全国、全世界のガルパンファンの皆様‥‥本当にすいませんでした(焼き土下座)

 戦車はGTAのTM02ハンジャール‥‥ポーランドのPLー01がモデルだそうです。
 PL-01の近未来チックなデザインは好きです。あとまほ様が好きです(オイ

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