カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼   作:サバ缶みそ味

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 話が180度変わりますが、Fateのアポクリファは面白いですね!(コナミ感
 最初カオスな4人衆はFGOでやろうと考えてたけど物語と設定が壮大すぎてやめたのは内緒だよっ

 


106話

「ええい‼どいつもこいつも何をしているのだ‼」

 

 副大統領のリチャードは苛立っていた。ジーサード達を一歩も入れさせないためにFBIやCIA、そして武偵や警察を集めて防衛線を張っていたが悉く突破され、遂にジーサードがホワイトハウスへと辿り着いてしまった。リチャードは荒々しくデスクを叩き、苛立っているリチャードの顔色を窺ってびくびくしている部下達を睨み付ける。

 

「何をしている‼さっさと迎え撃て‼館内に一歩も入れさせず射ち殺せ‼」

 

 部下達は慌ただしく執務室を出て行く。銃声が響く外ではジーサード達が戦っているのが見えた。その中に大統領の姿は無い。事を急いたのか、いち早く副大統領の下へと向かいたいのかとリチャードは髭を摩りながら様子を見る。

 

「使えない者共め…」

 

 リチャードははき捨てて苛立ちで拳を握る。この数ならば奴等も館内へは簡単に入ることはできまい。それに、もしも突破されてもこちらにはまだ『アレ』がある。そこへ向かう時間もある。リチャードはゆっくりとこの執務室を出ようとした。

 

『ふぉおおおおおおおおっ‼』

 

 その時、どこからか喧しい声が響いた。何事かとリチャードは後ろを振り向いた。

 

 

 轟音を立てながら黒く分厚い装甲が施されたスーパーカーが白亜色の石柱を破壊し、窓や壁を突き破り、執務室へと突っ込んできたのだった。

 

__

 

「ふぅーっ‼ここがホワイトなハウスかー!」

 

 ロケットブーストで一気にホワイトハウスへとダイレクトアタックしたヴィジランテのドアを開けてタクトが目を輝かせながら内部を見回す。人生で一歩も入る事はできないだろうと思っていた大統領の官邸、ホワイトハウスに足を踏み入れることができたタクトにとっては心躍らせ、喜びと感動で溢れかえっていた。一方の大統領のマイケルはこの惨状に頭を抱えていた。

 

「‥‥やってしまった‥‥」

 

「どうです大統領‼この真紅の稲妻タクシードライバー頭文字Kの腕にかかればあっという間に到着ですぜ‼」

 

 今の大統領の落ち込みに全く気にしてないどころかこの惨状に動じていないタクトは満面の笑みでサムズアップした。自分を褒めたたえ続けるタクトにマイケルは大きくため息をつき、いつまでも落ち込んではいられないと首を横に振った。

 

「‥‥事後処理を考えている場合ではないな、今はリチャードを見つけることが先決だ」

 

 リチャードを探し、この事件をいち早く終わらせなければ。これ以上アメリカを混乱させるわけにはいかない。マイケルは気を引き締めてヴィジランテから降りて踏み入れた。

 

「げほっ…げほっ…!何が起きた…‼」

 

 舞い上がる土煙の中からマイケルは聞き覚えのある声を聞いた。辺りを見回すと土煙の中で誰かいる。しだいに土煙が晴れ、隠れていた黒いシルエットが明らかになり、咽ているリチャードの姿を見つけた。

 

「リチャード―――‼」

 

「ごほっ…む…マイケル…!貴様の仕業か―――!」

 

 お互い重々しい剣幕で鋭く睨み付ける。一言も発せず黙ったまま睨み合ったまま執務室に静寂が流れ、壁にでかでかと開いた大穴から銃声と爆発音が大きく響いた。タクトは全く気にせず執務室をあちこち物色していた。重々しい空気の中、マイケルが最初に口を開いた。

 

「そこまでだ、リチャード。お前のクーデターは私達が止める」

 

「クーデター?笑わせる、これは革命だ。お前達の様な腐った思想を持つ者を根絶やしこの国を本来あるべき姿へと戻す戦いだ」

 

「リチャード!それは破滅への道だ!再び世界を巻き込む戦争を起こし、多く人間の血を流すことになるぞ!」

 

「ふざけるな!お前は平和だの共存だのと抜かすがそんな物で『N』の様な国をも脅かす存在を止めることができるか‼そんな練乳のように甘い戯言、偽善は国を腐らせる!我々には力が、どの国にも負けない力が必要なのだ。お前や、ジーサードのようなヒーローなぞ邪魔なだけだ‼」

 

「あのー、ちょっといい?」

 

 熱弁するリチャードを挫かせるかのようにタクトがひょっこりと二人の間に立った。ホワイトハウスに突撃してきたバカはこいつかとリチャードは殺意を込めて睨み付ける。そんな威圧をも気にせずタクトはリチャードに尋ねた。

 

「力だとか云々言うけどさ、他の方法も考えられないの?」

 

「どういう事だ‥‥?」

 

「何か話を聞てるとさ…他を貶すんじゃなくて、あれこれ考えず手を取り合って力を合わせるとかさ。そうすれば『N』とかに対抗できるんじゃない?」

 

「‼」

 

 リチャードは一瞬言葉が詰まり、何とか言い返そうとしたがタクトはそれを遮り話を続ける。

 

「母ちゃんが言ってたぜ?『どんなに己が優れようとも、誰かを蹴落とし一番になろうとしても、誰かと力を合わせないとダメな時だってある』って」

 

「タクト君…君の言う通りだ」

 

 マイケルはタクトの肩を軽く叩いて微笑み、真剣な眼差しでリチャードを見つめた。

 

「…お前の立てる国に友に立つ者はいない。誰かと共に歩もうとしないお前に、国を語る資格はない‼」

 

「黙れ…‼私の邪魔をするのならばただ潰すのみだ‼まずはお前達から排除してやる‼」

 

 怒りに震えるリチャードは懐に隠し持っていたP250を引き抜いてマイケルに向けて引き金を引いた。銃声が響く寸前に相手が銃を出した途端にタクトが咄嗟にマイケルを押し倒し、リチャードから放たれた弾丸を躱す。

 

 躱されたことにリチャードは舌打ちをするがすぐさま執務室を出て行った。廊下からリチャードの苛立ちの混ざった怒声が響く、内部に既に入られたことを知らせリチャードの部下達に始末させるつもりであろう。

 

「リチャード…‼タクト君、すぐに追いかけよう!」

「大統領の護衛なら任せておきな!」

 

 タクトは意気揚々に執務室のドアを蹴り開け持っている銃の引き金を引いた。よく見ると、それはいつも使っているM16ではなくMininng Laser。

 

「あ、やべっ」

 

 気づいた時にはもう遅し。引き金を引かれたMininng Laserは銃口から赤い閃光を放ち、廊下の突き当りの壁に当たると爆発を起こして大穴を開けた。

 

 庭園で戦いを繰り広げていたジーサード達からもホワイトハウスの一部で爆発が起きた様子は見えていた。ジーサードとかなめは爆発音を聞くと直ぐにホワイトハウスの方へ視線を向ける。ホワイトハウスの壁に大穴が開き、焦げた部分から出た黒煙が空へ高々に上っていく。

 

「やべえ‥‥俺、無事に兄貴と再会できっかな‥‥」

「さ、サード!き、気をしっかり!大丈夫だから、きっと大丈夫だから‼」

 

「たっくん、いきなりやらかしてるなぁ‥‥」

 

 白目をむきかけるジーサードをかなめが必死に励まし、そんな二人を他所にケイスケは他人事のようにタクトの所業を感心しつつカズキとナオトが早く来ないか待ちぼうけしていた。

 

 外でホワイトハウスを廃墟と化しないかハラハラしているジーサードとかなめの事は全く気にしていないタクトはマイケルと共にリチャードを追っていた。二人の行く手をリチャードの部下達が遮り始末しようとしてくるが、マイケルに殴られ、投げられ、彼の後ろで死屍累々と化していた。

 

「大統領、めっちゃ強っ‼」

「これでも巷では『戦う大統領』と呼ばれているからね…‼」

 

 マイケルは苦笑いしつつ再び襲いかかってくるリチャードの部下を次々に投げ倒しては鳩尾に拳を入れて気絶させていった。リチャードは駆け足で階段を降り続ける。どうやら地下へと向かっているようだ。

 

「地下室なら追いつめれるぜ‼」

「いや、地下室には緊急脱出用に用意されている航空機や戦闘車両が収容されている地下施設へと続いている通路がある」

「マジで!?かっけええ!」

 

 タクトは目を輝かせ足を速めていく。まさかホワイトハウスにそんな施設が隠されているとは思いもしなかった。あそこには航空機もある、もしそれに乗られてしまっては逃げられてしまう。いまここで、この地で彼を止めなくては。マイケルも急ぎ地下へと階段を降りていく。ホワイトハウスの地下階にある書斎室、リチャードはその部屋に逃げ込んだのを見て入ったが姿がない。タクトがキョロキョロと探している間にマイケルが部屋の隅の本棚にある黒緑の分厚い本を押し込んだ。ガコンと何かが押された音がしたと思いきや本棚が自動に動き、ホワイトハウスに似合わない鈍色の隠し通路が現れた。

 

 タクトとマイケルは薄暗い通路を駆けていく。仄かに光る場所へ向かって突き抜けていくと、そこは広い空間が広がった場所だった。辺りを見回せば、古めかしい戦車やガトリング砲、最新の航空機から戦闘ヘリまで博物館に展示されている物のように置かれていた。しかし何処を見回してもリチャードの姿が見えない。隠れて襲いかかってくるかもしれない、タクトはマイケルを守りつつ注意深く見回した。用心していたタクトであったが、通路の先にある物を見ると子供の様に目を輝かせた。

 

「ねえねえ、あそこにあるのって‥‥‼」

 

 はしゃぐタクトが指さす先を見たマイケルは驚愕し、愕然とした。

 

「そんな馬鹿な…こんなところにもあったのか…!?」

 

 マイケルは『それ』を見て驚き、タクトは興奮して目を輝かせている間に『それ』は動き出した。軋む金属音を響かせゆっくりと動きを確認する。

 

『80%か…本当は完成させるまで待つつもりでいたが、貴様らを始末するには未完成でも十分だ』

 

 拡声機からリチャードの声が響いた。リチャードがここまで来たのは航空機に乗って逃げるのではなく、『それ』に乗ることが目的だった。ここにいてはまずい、マイケルはタクトを引っ張って後ろへと下がる。

 

『さあ、この私を止めてみせろ‼』

 

 リチャードは叫ぶと『それ』はブーストを噴かせ高々と上へと飛んでいった。

 

___

 

「うおっ!?なんだ!?」

 

 ケイスケは突然の揺れに焦り辺りを見回す。地震ではないようだが、庭園の一部がミシミシと音を響かせながら隆起すると爆発を起こした。外で戦っていたジーサードもFBIやCIA、軍の者達も一斉にその場を見た。すると、爆煙に紛れて何かが飛び出してきた。

 

『フハハハハハハッ‼』

 

 高笑いを響かせながらそれは姿を現した。アトラスが装着しているような先端科学兵装P・A・A程の大きさだが鈍色のメタリックな分厚い装甲をした人型の特殊機動重装甲兵器だった。背部には二基の大きなコンテナ型のユニットが装着されており、黄色いモノアイが鋭く光る。

 

「この声は…てめえか、リチャード‼」

 

 声を聞いて思い出したジーサードは鈍色に光る特殊機動重装甲を纏ったリチャードを睨み付ける。特殊機動重装甲兵器はモノアイが付いた首をジーサードに向けてモノアイを光らせた。

 

『久しいな、ジーサード…!悉く私の邪魔をしてくれたな!このアイアンブリゲイド試作機Ⅱ型で始末してやる‼」

 

 まさかあのアイアンブリゲイドをここまで小さくさせ、パワードスーツへと化させるとは。これは間違いなくあのジキル博士の仕業だろう。リチャードは背部のコンテナを開かせると、マシンガンやガトリング砲、グレネードランチャーやらといったいそんな容量をどうやって入れたとツッコミを入れたい程の火器兵器が展開され、一斉に斉射してきた。

 

「おいいっ!?どうやって詰め込んでんだよ、そんな武器!?」

 

 そんなジーサードの内心を察してくれたのかケイスケが慌てながら被弾しない場所へと逃げていく。まわりにFBIやCIA、軍人、そして己の部下がいるにも拘らずリチャードはジーサードに向けて撃ち続けた。ジーサードは舌打ちして飛んでくる弾丸を防ぎ、躱しながらリチャードへと迫った。

 

「てめえ…自分の部下も巻き込み殺すつもりか‼」

『私の足手まといになるのならば使えぬ部下なぞ不要だ‼』

「っ‼この野郎‥‥っ‼」

 

 ジーサードは懐まで迫り、全身の骨格、筋肉を連動させて放つ高速の拳『流星』を放った。その拳はアイアンブリゲイドの腹部に直撃し、鈍い金属音が響いた。一瞬、リチャードは動きが止まったが、モノアイを光らせジーサードの腕を掴んだ。

 

『そんな攻撃、このアイアンブリゲイドの装甲には無意味‼』

「なっ…!?」

 

 リチャードは腕を掴んだままジーサードを荒々しく振り回して投げ飛ばした。ジーサードは受け身を取って着地をするが、それを先読みしてかリチャードはグレネードランチャーの銃口をジーサードに向けて放とうとしていた。

 

「LOooooッ‼」

 

 その時、上空からLooが急降下してきて勢いでリチャードにぶつかってきた。体当たりされた衝撃でリチャードは押され、握られたグレネードランチャーの砲口が逸れ、放たれた砲弾はジーサードから離れた場所へと飛んでいき爆発した。

 Looは追撃をかけるように両肩部に迫り出したMK47ストライカーからリチャードに向けて何度も何度も40×53㎜グレネード弾を発射させた。見る間に爆炎がリチャードを包み込むが、爆炎の中からリチャードが高笑いしながら飛び出して来た。

 

『フハハハッ‼そんなもの、効かんわ‼』

 

 リチャードは何度も当たるグレネード弾をものともせずLooへと迫る。Looはこちらに向けて伸ばしてくるリチャードの手を掴み取っ組み合いになった。軋む金属音を響かせる力の押し合いはLooが押されていた。

 

『所詮はガイノイド‥‥!その程度の力だ‼』

 

 リチャードはLooの右肘を掴み、力いっぱい引っ張る。ビキビキと金属の嫌な音を響かせ、Looの右前腕を捥ぎ取りLooの腹部に蹴りを入れて思い切り蹴り飛ばした。倒れるLooに向け、マシンガンを掃射してきた。

 

「この野郎っ‼やりすぎだっての‼」

 

 ケイスケはポーチからMK3手榴弾を取り出しピンを引き抜いてリチャードに向けて投げた。投げ込まれたMK3手榴弾は頭部に当たり爆発を起こすが、分厚い装甲にびくともしない。リチャードはケイスケの方へゆっくりと向くとマシンガンの銃口をケイスケに向けて撃とうとした。

 

「てめえの相手は俺だ‼」

 

 ジーサードがリチャードに思い切り跳び蹴りをお見舞いし、蹴飛ばした。

 

『無駄なことを。忌々しいハエが‼』

 

 リチャードは標的をジーサードに定め、マシンガンやガトリング砲を乱射していく。ジーサードが戦っている間にケイスケは倒れているLooに駆け寄った。

 

「Looっ‼大丈夫か!?」

「LOooooo‥‥‼」

 

 Looは起き上がり、へっちゃらだと言うかのようにフンスと張り切って頷いた。それでも捥がれた右腕から緑色のオイルが漏れ、所々に銃弾が直撃し傷ついた体や四肢を見るといくらガイノイドとはいえ痛々しく感じた。

 

「メカとはいえもっと自分の体を大事にしろっての‥‥」

「Loo…?」

 

 ケイスケは苦笑いしながらLooを撫でた。頭を撫でられてLooはハテナと首を傾げる。ケイスケは一息ついてリチャードの方へ睨み付けた。

 

「つっても、あのメカ野郎の装甲をぶち破る事はできねえのか…?」

 

 今持っている手榴弾やM16ではあの装甲にダメージを与えることは出来ない。打開できるかもしれないMininng Laserを持っているタクトは大統領と一緒にホワイトハウスに突っ込んだまま戻ってこない。カズキとナオトが駆けつけてきても巻き返すことはできるのだろうかとケイスケは悩んだ。

 

「ケイスケ先輩、まだ方法はありますよ」

 

 ふと悩むケイスケにかなめが声を掛けた。ケイスケははっと顔を上げてかなめを見つめた。

 

「まだあるのか?」

「はい、Looの兵装に陽電子砲(ポジトロンカノン)が搭載されてます。これを撃てばあれを倒せるかもしれません‥‥」

「なるほど、要は凄いビームなんだな?」

「すごい端折りましたね!?」

 

 陽電子砲とやらは何ぞやとあまり深く考えないケイスケにかなめが思わずツッコミをいれた。その陽電子砲を当てることができればもしかしたらあの硬い装甲を破壊し、リチャードを倒せるかもしれない。

 

「けれど、それを放つまで少し時間がかかります…」

「狙われたら終わりってか…」

「はい、それまで私とサードで時間を稼ぎます。ケイスケ先輩はLooを守ってください‼」

 

 かなめは単分子震動刀を持ち、自分の周りに3枚の磁気推進繊盾(P・ファイバー)を浮かばせてリチャードと戦うサードの下へと駆けて行った。

 

「ったく、やるしかねえな…Loo、急げよ?」

「Loo!」

 

 ケイスケはやれやれと頭を掻きながらM16を構え、二人の戦いを見守るだけでいいのか、何かできる事があるはずと悩みながらも様子を見ていた。

 

_____

 

 

「やっべえええ!?あのロボかっこいいんですけど‼」

 

 地下では未だにタクトが目を輝かせて興奮していた。アイアンブリゲイドに乗ったリチャードは既に外へと無理矢理出て行った。今ではケイスケ達が戦っているだろう。今すぐ駆けつけてピンチのところ助けてカッコいい所を見せてやろうとタクトは張り切り持っているMininng Laserを見る。よく見れば、Mininng Laserのメーターらしき部分が点滅していた。

 

「え…もしかして、エネルギー切れ寸前!?早いな!?」

 

 ヒューメイン研究所でやたらと撃ちまくり彼方此方を爆発させたことが原因であったがタクトはそんな事には気づいていなかった。メーターから見て撃てるとすれば後一発、ピンチな状況であったがタクトは嬉しそうに笑っていた。

 

「後一発のビームで倒せば‥‥なんかかっこよくない?」

 

 絶対に惚れ惚れするだろうとタクトはにやけながら急いでケイスケ達の下へと向かおうとしていた。しかし、マイケルが置いて行く訳に行かないと思いだしたタクトは振り返る、マイケルはリチャードが乗ったアイアンブリゲイドがあった場所のすぐ近くにあった12枚もの液晶画面があるパソコンをじっと見つめながらキーボード入力していた。

 

「マイケルー、どったの?」

「あいつは確かまだ未完成といっていた…」

 

 マイケルはあのアイアンブリゲイドは80%で未完成と言っていた。もしかしたらまだ欠陥が残っているかもしれない。そこを突けば打開できるかもしれない。しかしタクトはそんな事言ってたっけなー?と首を傾げていた。

 

 

「残りの20%に賭ける‥‥‼」

 

 キーボードの入力が終わると12枚の液晶画面にアイアンブリゲイドの図面が映り、何やら長い数字の計算やら設計図やらグラフやらが表示された。

 

「タクト君、マッシュに解析を頼んでくれないか…!」

「よーし任せろ!‥‥えーと、エリンギ?シイタケ?ブナシメジ?聞こえるー?」

 

『エリンギでもシイタケでもブナシメジでもなくてマッシュだ‼いい加減覚えろ‼』

 

 無線からマッシュが怒号と共にツッコミを入れてきた。

 

『外では副大統領がパワードスーツを着て大暴れしている‥‥!何か打開策でも見つけたのか!』

「ふっ、この漆黒の味噌汁ハッキングマスター菊池タクトの頭脳解析な判断でry」

『そんな事いいから早く言え!?』

「せっかちだなもー‥‥大統領がアイアンブリゲイドのデータ見つけったてさ」

 

 マッシュが『本当か!?』と言い切る前にタクトは無線機をマイケルに渡した。

 

「マッシュ、君のパソコンにアイアンブリゲイドのデータを送る‥‥君ならばアレを止める方法を見つけられるはずだ」

 

『まさかホワイトハウスからそんなデータが送られるとは‥‥恐れ多いと言いたいが、ジーサード達を助ける為に僕がやらねばならないだろうな。解析は任せてくれ‼』

 

___

 

「うおっ!?また爆発したぞ!?」

 

 カズキは遠くから聞こえる爆発音に驚いていた。カズキとナオトはアーノルドが率いるコマンドー部隊と共にホワイトハウスへと向かっていた。

 

「あの黒煙…すでにホワイトハウスでは激戦が繰り広げているな…」

 

 アーノルドは重々しく呟いた。今頃ホワイトハウスではケイスケ達がリチャードらと戦っている。自分達も急ぎ戦いに参戦しなくてはとナオトはハクチョウドラッグのアクセルを強く握りスピードを上げていく。

 

「なあナオト‥‥たっくん、ホワイトハウスを壊してないかなー…」

「無理だろ。たっくんだもん、絶対何か壊してるだろ」

 

 だよねー、とカズキは苦笑いした。ふと、頭上で大きな風切り音が響いた。見上げるとブラックホークが上空に飛んでいるのが見えた。マッシュ達が迷子になっている自分達を見つけてホワイトハウスまで先導してくれるのだろうかとカズキは不思議そうに見た。

 

「おろ?誰か降りてきた‥‥?」

 

 ブラックホークから誰かが降りて、パラシュートを広げてこちらに向かって降りてきたのが見えた。ナオト達も気づき止まって目を凝らして見る。カズキ達の前に降りてきたのはレキだった。

 

「カズキさん、ナオトさんこんなところにいたんですね。探しました…」

 

「お、おう!け、決して迷子になったわけじゃねーからな!新しい味方を引き連れてやったんだぜ‼いやーここまで緊張する戦いはかとぅでんでないぜ!」

 

「焦って噛んでるぞ?」

 

 焦りながらも噛みながらも笑ってごまかすカズキにレキはジト目で見つめる。

 

「というか探してたってのはどういう事?」

「はい…今、ホワイトハウスでケイスケさん達がアイアンブリゲイドに乗った副大統領と戦って苦戦を強いられています」

 

「まじでか!?こうしちゃいれられないな!ナオト、超スピードで行こうぜ‼」

 

 完全に置いてけぼりで焦るカズキをレキが止めた。じっとこちらを見るレキの目力にカズキは何か悪い事でもしたのかと焦る。

 

「大統領から送られてきたアイアンブリゲイドのデータをマッシュさんが解析しました‥‥アイアンブリゲイドを止めるには、私とカズキさんの狙撃が必要です」

 

「‥‥え゛っ!?うそっ、俺の狙撃がデッテルガツッタルクンヌルダカ!?」

 

「あのカズキさん?今何て言ったんですか?」

 

 カズキの何言ってるか分からない噛み言葉でどこか無表情なレキが初めてカズキ達の前で戸惑ったのであった。




 遂に副大統領の対決…‼
 リチャードの乗るアイアンブリゲイド…はい、もうあれです。メタルなウルフです。リチャードって名前ですし、練乳ですし、はい…

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