カオスな4人衆!?最強のSランク武偵を目指せ‼ 作:サバ缶みそ味
カオスな四人衆、ようやく100話に到達しました…!
スランプにも負けず、続けてこれたのもソウルメイトの皆様のおかげです…本当にありがとうございます…
「たっくん何してんだよ!?」
カズキ達が光屈折迷彩で見つかることなく基地へと着地できたと同時にタクトがパラシュートを開いて降下していっていた。カズキとケイスケは慌てふためきタクトを呼ぶのだが、当の本人は全く気にせず寧ろ楽しんでいた。
『大丈夫、大丈夫!これでも援護射撃とかできるから!』
タクトは無線ではしゃぎながらカズキ達に返事をし、無線を通して持っていたハンドガンを明後日の方向へ発泡している音が聞こえてきた。
「あんのバカタレえええええッ‼」
「おい!?お前達はどうして人の話を聞かない奴等ばっかりなんだ!?」
みるみる降下していくタクトをケイスケは憤慨しながら叫び、マッシュは想像の遥か斜め下の行動をするタクト達に振り回されキリキリと胃が痛みだす。ブラックホークでタクトを連れ戻す時間はもうないし、Looの援護をしなければならない為これ以上ヘリのチームを下すわけにはいかない。
「たっくん‼自力で何とかしろよ‼」
『任せときな、俺は無敵だっ‼』
タクトは自信満々に返事をするのだが果たして本当に大丈夫なのだろうか。マッシュは遠山兄弟とは別の意味で厄介な4人組に頭を悩ませていた。
「たっくんとLooを集中砲火されるわけにはいかねえ。おっさん、ブラックホークの光屈折迷彩を解いて敵を誘き寄せてくれるか?」
「勿論でございます。その代り、相手に丸見えの為多少ヘリは荒く動きますよ?」
アンガスの問いにケイスケは『慣れている』と苦笑いして答えた。ブラックホークの光屈折迷彩は解かれ、ブラックホークは速度をあげて飛行しているLooの近くまで飛ぶ。Looを撃ち落とそうと飛んできている戦闘ドローンを撃破する為、ケイスケはM134ミニガンで狙いを定めて引き金を引く。
「ああくそっ‼たっくんがいないせいで2人分の仕事をしなきゃなんねえ!」
ケイスケは愚痴りながらM134ミニガンを撃ち続けた。メンバーの一人が予想外の行動をして冷静にいられるケイスケにマッシュは感心する。
「よく冷静でいられるな…」
「あぁ?空はヘリ飛ぶもんだからな!」
M134ミニガンの銃声で聞こえなかったのか、人の話を聞く耳を持たないのか、会話にならない返事を適当に返して来た。本当は内心かなり慌てていたようだ。
「数が多すぎ‼レキ、てめえもドラグノフじゃなくて機銃を撃って手伝え!」
「‥‥タクトさんほどの働きにはなりませんよ?」
「いや、たっくん以上だ。たっくん、途中で遊ぶからな」
本当にタクトという男は何なのか。仲間内でもこんな扱い(?)で自由すぎる人物にマッシュは遠山キンジを相手した以上に頭を抱えた。
___
「おい、これも作戦のうちなのか?それとも俺達に対するサプライズか?」
「あー‥‥やっぱりタクト先輩らしいですね‥‥」
降下してくるタクトを見上げてローガンは呆れ、かなめは少し遠い眼差しでタクトを見ていた。幸か不幸か、タクトが降りてきているせいで迷彩柄の兵士や白いボディーアーマーの兵士達がタクトとLooを集中狙いし、こちらの侵入には気づかれずにすんだ。
「さすがはたっくんだな、俺達でもできない事を普通にやらかしてる」
「ナオト、それどころじゃないと思う」
タクトの行動にナオトは感心していたが、カズキの言う通りそれどころではない。このままタクトが何もせずに降下していくと途中で敵の弾丸の雨霰で蜂の巣にされてしまう。
「仕方ない‥‥俺が行く!その間に行ってこい‼」
ため息をついたローガンは光屈折迷彩を解いて敵陣へと駆けて行った。突然現れて襲い掛かって来たローガンに敵方は驚愕し、矛先をローガンへと変えて撃っていく。
「先輩、フランクさん!今のうちに行きましょう!」
かなめの指示にナオトとカズキは頷き、フランクはカメラで写真を撮りながら相手に気づかれないようにヒューメイン研究所内へと潜入を開始した。
「なに?突然侵入者が現れた?」
アーノルドは急に入った報告を聞いて眉をひそめた。Looの近くにブラックホークが現れ、降下している謎の男とLooを狙って撃っていると手から鋼鉄の爪を出している男がいきなり現れて襲い掛かって来たという。突然現れた3人の侵入者にこちらは混乱をしている。事態を落ち着かせるためアーノルド自ら現場へ駆けつけようと考えたが、ふと何かに気づいて足を止めた。
「‥‥」
これがただの襲撃ではなく、侵入者達がジーサードの仲間で、この施設にジーサードがいる事を知っているとすれば。ジーサードリーグはあらゆる戦いも駆け抜けた実力を持つ者ばかり、このような真正面から突っ込んでくる連中ではない。ガイノイドもブラックホークも突然現れた侵入者もついでに敵陣に向かってパラシュートで降下してきている意味の分からない男も囮だとすれば‥‥状況を考えたアーノルドははっとして無線で部下達に知らせた。
「既に内部に侵入している…!半数は迎撃に移り、残りの半数は私と共に侵入者を探すぞ‼」
急に現れたという事は、敵は光屈折迷彩を使って姿を消して接近したのだろう。アーノルドは部下達にバイザーをつけるように指示をし、自分もバイザーをつけてRKK-74を背負い、片手にH&K G3A3を持って急ぎ駆けた。
ローガンが囮になってくれたおかげで無事に降下できたタクトは研究所の屋上に着地した。パラシュートを外すと誰も見てないのにドヤ顔で無線で伝えた。
「こちらたっくん。これより潜入する」
『もうさっさと潜入しろ、バカ』
激しい銃声を響かせながらケイスケがもう諦めたかのようにぶっきらぼうに返す。いざここから潜入と乗り気だったが、何処にジーサードが囚われているのか何処に行けばいいのか全く分からず途方に暮れてしまった。
「やべー、どっから攻めればいいか分かんねえぞ…」
そう悩んでいるとこちらにふよふよと飛んでくるのが見えた。何かと思いキョトンとしていたがそれはミニガンが装着されている戦闘ドローンだった。付けられているカメラアイがギョロリとこちらを見ると、ミニガンの銃口が回転しだす。
「ちょ、それはまずいってぇぇぇぇっ‼」
ギョッとしたタクトはミニガンの火が吹く前に一目散に大きなダクトへと駆け込み中へ入る。間一髪、ハチの巣にされる前に逃げ込むことができた。
「こ、ここから何処へ行けばいいんだろ…」
一難去ってまた一難、タクトは行く先が分からないままダクトの中を匍匐前進で進んでいった。
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施設内に潜入したカズキ達は長い長い廊下を只管駆けていた。光屈折迷彩で身を隠しているため相手に気づかれずに済むのだが、今のところ敵に出くわしていない。
「それで、ジーサードはどこに閉じ込められてんだ?」
「場所はマッシュがハッキングして把握できてますよ」
ナオトの問いにかなめが元気よく答えタブレットを見せる。立体的な施設内の図が表示されており、地下のあたりで白い点が点滅をしていた。
「地下三階にサードが囚われてます。ローガンさんやケイスケ先輩達が地上で奮闘してますので急ぎましょう」
「あとジーサードを助けたついでにたっくんを見つけないとな!」
「もはやついで扱い‥‥」
自業自得なのだが色々とやらかしてるタクトと合流しなければならない。増援を呼ばれて来る前までにジーサードの救出をして脱出しなくてはならないので時間との勝負となる。
地下へのエレベータを目指すために曲り角を曲がろうとした時、通りの先に迷彩柄の兵装をした数名ほどの兵士が見えた途端、いきなりこちらを撃ってきた。戦闘を突っ走っていたカズキをナオトは慌てて引っ張って戻す。弾が当たる前に戻されたカズキは冷や汗をかいていた。
「あぶねっ!?ちょ、こっちは見えてないんだろ!?」
「あれは…相手はバイザーをつけてます。恐らくこちらの姿は丸見えになっているんですね…」
かなめは半透明の
「くー…狭い通路で乱射してくるんじゃねえよ」
カズキは面倒臭そうに愚痴をこぼした。このままでは通ることもままならなず、立ち往生してしまう。一声に突撃できればいいが通路が狭いため、格好の的になる。どうにかできないか考えたカズキは何かいい手を思いついたのかにやにやした。
「何かいい手でも思いついたのか?」
「まあ見とけって、ナオト。ここはかっこよく決めてやるからよ」
ジト目で見てくるナオトにカズキはドヤ顔でポーチからMK3A2手榴弾を取り出し、壁に背を当てて相手を見ずに、相手から見えないような恰好で投げようとした。それを見たナオトは不安げに見つめる。
「お前その投げ方、一度も成功したことねえじゃん」
「こういう時こそ、ピンチをチャンスに変えるんだぜ?いくぞ?」
止めようとするナオトに構わずカズキはピンを引き抜いて裏手で投げた。ピンが抜けたMK3A2手榴弾は弧を描き、天井にぶつかりナオト達のすぐ近くに落ちた。対抗して撃とうとしていたナオトとかなめの目の前に転がって来たのでギョッとして大慌てでその場を離れた。
「ばっかあぶねえ‼」
「か、カズキ先輩、少しは投げ方を考えてくださいよ!?」
「あれ?おっかしいなぁー‥‥」
爆発を免れてひやひやしたかなめは真面目に投げるようカズキに訴えるがカズキはキョトンと首を傾げていた。この光景に写真を撮っていたフランクは苦笑いをする。
「まさに味方殺しのクソ爆弾だな‥‥」
「こ、この先もまだいますからグレネードは節約してください…」
かなめは背負っていた
「いやー、やっぱかなめちゃんすげえなー…俺達も負けてらんねえな!ズットモコンビネーションを見せてやろうぜ‼」
「いいけど、もうグレネードで変な投げ方すんなよ…?」
カズキはMP14EBRをリロードし、ナオトは黙々とAK47を構えて突っ込んでいった。カズキがフラッシュバンを投げ込み、相手が怯んだところをナオトが掃射。ナオトが先行してカズキが援護射撃、相手に突撃するかなめを二人で支援したりと連携を活かして迫りくる迷彩柄の兵士達を倒していった。
「もうすぐ地下エレベーターです!」
もう間もなく地下へのエレベーターへと辿り着ける。迷彩柄の兵士達は手強い相手であったが何とか一気にジーサードの下へと行ける、これは余裕ではないかとカズキが安堵した時だった。こちらに向かって弧を描くようにM67破片手榴弾が飛んできた。
「
ナオトが咄嗟にカズキ達に伏せるよう叫んでM67手榴弾に狙いを定めてAK47を撃つ。弾丸に直撃したM67手榴弾は明後日の方向へ飛んで爆発を起こした。飛び散る破片に当たらないように伏せ、ナオトは飛んできた先へと睨み付ける。地下エレベータの手前で待ち構えている複数の迷彩柄の兵士達の真ん中に筋骨隆々で逞しい体格をした男がかなめ達を睨んでいた。
「‥‥やはりジーサードリーグの一味、そしてジーサードの妹のジーフォースが来たか。ジーサードを取り返しに来たのか?」
「まさか貴方がここにいるなんて‥‥最悪のタイミングね…」
「かなめちゃん、あの筋肉モリモリマッチョマンの人と知り合いなの?」
筋骨隆々の男を見てかなめはかなり焦った様子でいた事にカズキは不思議そうに尋ねた。かなめはゆっくりと頷いて口を開く。
「あれは米陸軍で最強といわれているコマンドー部隊の隊長、アーノルド・シュバルツ‥‥一度サードをあと一歩のところまで追いつめた滅茶苦茶な男です…アーノルドさん、貴方なら兄の味方になってくれると信じてたのに‥‥」
「すまないな。これも副大統領の命令だ。一つ聞こう、大統領を誘拐したのはお前達か?」
真剣な眼差しで見つめるアーノルドにカズキが『大統領ならいるよ!』と言おうとしたがナオトに止められた。もしここで大統領がいると言ってしまえば容疑がかかってしまう。いくらここで真実を言おうが大統領がこちらにいる時点で誘拐の容疑が濃く、信じてもらえないだろう。沈黙するかなめにアーノルドは深くため息をついた。
「‥‥まあいい。問い詰めるのは最後にしてやる」
アーノルドはG3A3を構えて引き金を引こうとした。その刹那、かなめはアーノルドが引き金を引いて撃つよりも速く迫り、単分子震動刀を振り下ろした。アーノルドはG3A3で防ぎ、彼女の袖を掴んで投げた。かなめが受け身を取って着地すると同時に部下達に一斉に掃射するよう合図を送る。カズキとナオトは撃たせまいとフラッシュバンを只管投げ込みかなめを援護して引き戻した。
「カズキ先輩、ナオト先輩、フランクさん‼遠回りになりますが階段から行きましょう!」
「あのアーノルド・シュバルツは爆弾とUZI1つと筋肉で敵テロリストのアジトを爆発させて全滅させた程のバケモンだ。戦うのは一苦労するぞ!」
「急ごう!あの筋肉モリモリマッチョマンと戦うのはヤバそうだしな!」
あくまで目的はジーサードの救出。明らかに戦ったらヤバそうな相手と戦って時間を費やすわけにはいかない。カズキ達は急ぎ会談を降りて地下へと向かう。アーノルドはカズキ達を逃さなかった。
「奴等はジーサードの下へ行く!我々は地下エレベーターで降り、先回りして迎撃するぞ‼」
ジーサードの救出をして国外へと逃亡するつもりなのかと考えたアーノルドは大統領を救出するために彼らを一網打尽するつもりでいた。外の敵も気にはなるがそれよりもカズキ達をジーサードの下へと行かせるわけにはいかない。急ぎエレベーターへと乗り込もうとした時、上の階の施設のどこかで大きな爆発音が響いた。
「なっ、爆発だと…!?」
それもただ一発だけではない、何発も喧しい程の爆発を響かせた。よもや上空に飛んでいるブラックホークかそれともガイノイドが爆撃をしてきたのか、そうまでしてでもジーサードを救出したいのかと怒りを感じたアーノルドはすぐさま外の部下達に無線を通して確認した。
「今の爆発は何だ!?相手の攻撃か!?」
『い、いえ…‼敵方の砲撃は見られず‥‥お、恐らく施設内からかと…‼』
内部での爆発だと、それを聞いたアーノルドは眉をひそめた。爆発が聞こえたのは施設の上階、既に敵方が潜入して爆破行為をしたのか。いや、ジーサードの救出を優先とするならばその必要がないはず。上の階にはジキル博士がいる。爆発が起きたのならばあちらの方も心配せねばならないのだが今はかなめ達をジーサードの下へと向かわせるのを阻止しなければならない。
「状況が混乱する…!急ぎ地下へと行くぞ‼」
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「よっと!あー…狭かったー」
かなめ達がアーノルドと戦闘中になる数分前、ダクトの中を匍匐前進していたタクトは通気口を蹴り開けて何とか降りることができた。戦闘にもならず、黙々と進んでいたので退屈したのかタクトは背伸びをしてやる気を引き戻した。
「さて、こっから俺のミッションスタートだな!」
ここからは1人での潜入。自分は上の階から進んでカズキ達と合流をしてジーサードを助けに行く。いざ行こうとしたが、ふとタクトはキョロキョロと部屋の中を見回す。
「えーと…ここどこ?」
果たしてここは何階だろうか。今自分が何処にいるのかもさえ把握できていない。今自分がいる部屋は何かのラボのようであちこちに変わった形をした銃が飾られていた。銀一色に彩られたオモチャの様な光線銃やらヘカート程の大きさでカブトムシの角の様な形をした物までどれもこれもタクトの興味にひかれるものばかりだった。
「うん?これ、かっけええ!」
タクトは銃身に一筋の赤い光が灯されている銃に目を輝かせた。携帯電話の充電器のような物に繋がれた銃を取るとまじまじと物色しだす。
「えーと…?『Mining Laser』?レーザー銃!?すっげえ‼」
使い方すら知らないタクトは嬉しそうにMining Laserを取った。よく見ると銃身にスイッチの様なものがあり、即座にスイッチを押した。
≪Long-Range≫
「うおおおおおっ!?しゃべったぁぁぁぁっ‼どこぞの魔法道具みてえ!」
機械まじりの音声が出たことにタクトは感激して更にスイッチを押し続けた。ホライゾンだのスーパーヒートだのスキャッターだのと英語の音声にタクトは機械の進歩に感動した。
≪Explosive≫
「ん?エクスプロージョン?‥‥まさか本当にビームが出るわけ…」
タクトは好奇心に駆られ、本当にビームが出るのか試しに天井めがけてMining Laserの引き金を引いた。Mining Laserの銃口から赤い閃光が飛び出し、直撃した天井は爆発と共に大穴が開いた。ぽっかりと大きく空いた穴にタクトは一瞬目を丸くしたが、すぐに星の様に輝きだした。
「か‥‥かっけええええ‼これで俺は無敵じゃねえか!」
いいものを手に入れたとタクトは満足気になり、更に意気込んで扉に向かってMining Laserを撃った。
「よーし、待ってろよジーサード‼所かまわず撃ちまくるレーザー厨で評定のある菊池タクトがこれで助けにいくぜ‼」
タクトはMining Laserのダイヤルを≪Explosive≫にしたままあちこち撃ちながら駆けて行った。
___
「おい、施設内であちこち爆発が起きてるんだが‥‥?」
ブラックホークから施設内であちこち爆発が起きている様を見ながらマッシュはキリキリ痛みだす胃を抑えつつケイスケをジト目で睨む。ケイスケは視線に気にせず只管機銃を撃ち続けた。
「‥‥これ、絶対にタクトさんやらかしてますよね?」
「レキ‥‥だってたっくんだもん」
凄い武器を絶対に持たせてはいけない人に持たせると、とんでもないことになるんですね(コナミ感)