遊戯王ARC-V 崩壊都市の少女 作：豆柴あずき
「俺はカードを２枚伏せ、ターンエンド」
見たこともない召喚法――シンクロ召喚に驚いている間に、ユーゴはカードを素早くセット。ターンをこっちへと渡してくる。勿論その間も、常にバイクに乗って動き回ったままだ。
「私のターン、ドロー！」
さっそく手札を増強し、思考する。
ユーゴがいきなり召喚してきたモンスター、《
とはいえ、
「こいつはあんたのベイゴマックスと同じく、自分フィールドにモンスターがいない場合に特殊召喚できる！ 来い、《
まず一枚、プレートへとセッティング。すると一隻の白い宇宙船が頭上に現れたが――すぐに黄色い光に包まれ、そのステータスを大幅に減らしていった。
《太陽風帆船》は自身の効果で特殊召喚した場合、その攻守を半減するデメリットがある。だから２４００とそれなりの守備力を持っているにも拘らず、とても壁には適さないモンスターだった。
けど……すぐエクシーズするなら関係ない！
「手札から《アステル・ドローン》を召喚。こいつは効果で、自身をランク５のエクシーズ素材にすることができる！」
「ランク？ エクシーズ？ なんだそりゃ」
「エクシーズを、知らない……？」
ユーゴが放った言葉を聞き、思わず唖然として呟く。
なにせ私達ハートランドの市民は勿論のこと、侵略者だってエクシーズの事は熟知している。エクシーズを知らない決闘者に会うなんてケースは、これが初めてだった。
改めて思わざるを得ない。ユーゴって、どこからやって来たの……？
「だから、何する気かって聞いてんだろ！？」
「今から見せてあげる！ 私はレベル５の《太陽風帆船》と、レベル５扱いとなった《アステル・ドローン》でオーバーレイッ！」
宣言した直後にオーバーレイネットワークが形成し、素材となるモンスターは光となって吸い込まれていく。その光景をユーゴは、驚きとともに見つめていた。
それはついさっき、私がシンクロ召喚を見たときの光景をまるっきり逆にしたかのようだった。
「太古にありて、陸を支配せし灼熱の凶獣。時を超えて今こそ蘇れ！ エクシーズ召喚！」
走りを止めて見入っていたユーゴの目の前に、一つの溶岩のオブジェクトが出現し、そして。
「怒炎振り撒き降臨せよッ！ ランク５、《No.61 ヴォルカザウルス》……！？」
おぞましいまでの戦闘能力を持った恐竜が、降臨――しなかった。
ヴォルカザウルスの全身にノイズが走ったかと思うと、その姿は徐々に崩壊を開始。最終的には粒子となって霧散してしまう。
一体、何をされた……！？
そう思いながらユーゴのフィールドを見る。
するといつの間にか魔剣ダーマがいなくなっており、代わりに一枚の罠カードがこっちへと開示されていた。
「俺はそいつの特殊召喚に対し、カウンター罠《重力崩壊》を発動した」
カウンター罠。
モンスター、魔法、罠。そのすべての中で最も妨害が困難な種別のカードで、多くの場合は発動を無効にして破壊する効果を持つ。
だからおそらく、ヴォルカザウルスはこの《重力崩壊》のせいで
「こいつは俺のフィールド上のシンクロモンスター１体をリリースし、相手の召喚・反転召喚・特殊召喚を無効にするカードだ！」
答え合わせと言わんばかりのタイミングで、ユーゴから効果の解説が入る。なるほど、だからダーマがいなくなっていたのか……！
出鼻をくじかれ、いきなり雲行きは怪しくなってきた。
「さらに！ 《重力崩壊》を発動したターン、あんたはこれ以上の召喚は出来ねぇぜ？」
「――ッ！」
続けざまにユーゴが放った言葉に、思わず手札からカードを引き抜こうとする指を止める。
なにせ今掴んでいたのは《死者蘇生》。それを使って私はユーゴの魔剣ダーマを奪い、ダイレクトアタックを仕掛けるつもりだったのだから。
くそ、できないのか……なら！
「カードを１枚伏せ、ターンエンド！」
「俺のターンッ！」
こっちが仮初の防備を敷くと、すぐさまユーゴへとターンが移行する。彼は私のすぐ真横を高速で駆け抜けると――次の瞬間。
ユーゴのすぐ隣に、横になった魔法陣が描かれた。
「自分フィールドにモンスターが存在しない場合、魔剣ダーマは墓地から特殊召喚できる！」
その叫び声と、同時。
ついさっきリリースされたばかりの青い剣が魔法陣の中から出現し、フィールドへと舞い戻る。そしてそのままダーマは、再びユーゴのバイクと併走を開始する。
なるほどだから、あっさり強力なモンスターを手放したワケだ。
「魔剣ダーマのこの効果を発動したターン、俺はモンスターを通常召喚することはできない。だが！ 魔法発動《スピードリバース》！」
ユーゴはビルの手前で綺麗に九十度ターンすると、一枚の魔法をプレートにセット。するとバイクの側面に、魔剣ダーマが描かれた魔法がでかでかと表示された。
「こいつで墓地からスピードロイド１体を特殊召喚！ 来い、ベイゴマックス！」
続く効果説明が終わると、魔法カードは消滅。代わりにそこから再びベイゴマックスがその姿を現した。
「ベイゴマックスの効果でデッキから《SRタケトンボーグ》を手札に加え、そのまま特殊召喚！ こいつは風属性モンスターが自分の場に存在する場合、特殊召喚できる！」
サーチされたカードは一瞬だけ手札に留まると、すぐさまプレートへと移動していく。
そして今度は、竹トンボが瞬時に変形した小型ロボットが出現したかと思うと――すぐに消えてしまった。
「タケトンボーグのもうひとつの効果を使用した。自身をリリースし、デッキからスピードロイドのチューナー１体を特殊召喚できる。来い、《SR赤目のダイス》！」
消えていったタケトンボーグの代わりと言わんばかりに、今度は同じ位置に黄色のダイスが出現。名前の通り赤い目の描かれた位置の面をこっちに向けてくる。
そのレベルは１で、ステータスも貧弱だが……なにせチューナーだ。またシンクロ召喚してくる可能性もある。さて、どう来る……？
「俺は赤目のダイスの効果を使う！ 召喚もしくは特殊召喚に成功した時、自分以外のSRのレベルを１から６に数字に変更できる！ 俺はベイゴマックスのレベルを４にさせてもらうぜッ！」
「また、何か出す気！？」
「俺はベイゴマックスに、赤目のダイスをチューニング！」
今度は赤目のダイスが一つのリングを作り、ベイゴマックスが４つの星となって並んでいく。
そして魔剣ダーマの時同様。最後は光が差し込んでいくと、新たなシンクロモンスターがその姿を見せはじめる。
「その躍動感溢れる、剣戟の魂！ シンクロ召喚！ レベル５、《HSRチャンバライダー》！」
ユーゴが呼んだチャンバライダーは巨大な刀の上にロボットの上半身があり、しかもその両の手には日本刀が握られているという凄まじく攻撃的な外観のモンスター。
その攻撃力は魔剣ダーマよりも低い２０００しかないものの、絶対に何か良からぬ効果を持っている。そう感じさせるデザインだった。
そして何より、これでユーゴの場には２０００と２２００が一体ずつ。合計値は４０００を上回っており、全ての攻撃を通してしまえば敗北は免れない。
まだ２ターンしか交戦していないというのに、シンクロ召喚というギミックは凄まじい
融合とは違った方向とはいえ、厄介なのには変わりない……！
「行くぜッ！ 俺は魔剣ダーマでダイレクトアタック！」
「罠発動、《ピンポイント・ガード》！ 墓地から《アステル・ドローン》を守備表示で特殊召喚！」
迫りくる青色の剣に対し、伏せてあった罠を発動。すると可愛らしい魔法使いが再び現れ、魔剣ダーマと私の中間の位置で防御姿勢を取り始める。
よし、これでこのターンは凌げる……！
「《ピンポイント・ガード》で蘇生したモンスターは攻撃と効果でこのターン破壊できねぇ。だが……ダメージは受けてもらうぜ！」
「そいつ、貫通能力持ち！？」
「その通りだ！」
魔剣ダーマがアステルドローンの腹に直撃し、直後周囲にはそれなりの衝撃が発生。ライフが引かれ、残り２８００となってしまう。くそ、無傷でやり過ごせるかと思ったのに……！
だが、本当ならこのターンで負ける危険性だってあったんだ。それに比べれば幾らかマシ。
そう結論付けると思考を切り替え、ユーゴのエンドを待つ。流石に何の意味もないのに、チャンバライダーで攻撃はしないはずだ。
「さらに俺はチャンバライダーでも攻撃！」
と、思っていたにもかかわらず。チャンバライダーはユーゴの命令を受けて突撃。ロボットの手に持ったほうの刀でアステルドローンに斬りかからんとする。どうして……こんな事をしても何の意味もないのに！？
まさかこいつも！？
「この瞬間、チャンバライダーの効果発動！ こいつの攻撃力は２００ポイントアップする！」
流石に二連続の貫通こそなかったものの、やはりその攻撃には明確な理由があった。
チャンバライダーは黄色のオーラを纏い攻撃力を２２００まで上昇させると、アステルドローンの胴体をＸの字状に斬りつけ離脱する。
「チャンバライダーは１ターンに２回攻撃できる。俺はもう一度アステルドローンを攻撃！」
宣言を受け、チャンバライダーは通り抜けた先で１８０度回転。そのまま折り返して再びアステルドローンを斬りつける。これで攻撃力は２４００となったが……これはマズい。
こっちの主戦力であるランク5の攻撃力は大半が２５００か２６００であり、しかもチャンバライダーは攻撃された際も効果を発動できる。
このまま放置してたらよくて相打ち、悪くて一方的にやられ続けるなんて展開にもなりかねない。早めに倒さなければ……。
「カードを１枚伏せ、ターンエンド！」
「私のターン！ 手札から《覚星師ライズベルト》を召喚！」
新たにフィールドへと登場したのは、奇怪な被り物をしたサイキッカー。彼自身からも相当な禍々しさを醸し出しており、その隣のアステルドローンと並んだ際の不協和音っぷりはなかなかのものだった。
「ライズベルトの、効果発動！ １ターンに１度、フィールド上のモンスター1体のレベルをひとつ上げることができる！ 私はライズベルト自身を選択！」
ライズベルトの両腕に光のラインが描かれ、そこから赤い球体が発生。そのまま頭上へと投げ込むと、すぐに作り出した本人の身体へと吸い込まれていった。
これでレベル5が2体。準備は整った。
「またランク５ってのを出すつもりか？」
「ええ、私は《アステル・ドローン》と《覚星師ライズベルト》でオーバーレイ！」
ユーゴの問いに応じてすぐに、オーバーレイネットワークを構築。新たに手に入れたばかりのナンバーズを召喚するシークエンスを開始する。
「地獄の咆哮、それは生者を喰らわんとする怨嗟の響き。世界を呪う強欲の叫び轟かせ、今こそ這い出でよ！ エクシーズ召喚！」
口上を終え、発生したのは黒い怨念。こっちのフィールドを覆い尽くさんばかりに現れたそれは、徐々にひとつの形へとまとまっていき－－。
「現れろ！ ランク５、《No.14 強欲のサラメーヤ》！」
最終的には炎を纏う、欲深き漆黒のケルベロスの姿となった。
「まずはアステル・ドローンの効果でデッキから１枚ドロー！ そしてそのままバトル！」
消えかけるアステルドローンの放った光のシャワーで一枚引き、すぐさま攻撃へと移る。
バトルという単語を放った途端、サラメーヤはひときわ大きな咆哮を三首とも上げた。どうやらこいつ、相当好戦的な性格をしたモンスターらしい。
だったらお望み通り、すぐに命令してあげる！
「やれ、サラメーヤ！ 魔剣ダーマを攻撃！」
ダーマを指差し叫ぶと、サラメーヤは四つ脚をフル稼働させて跳躍。三つの首全てで大口を開き、今にも青い剣を喰らわんと迫る。
だが。
「俺は墓地に存在する三つ目のダイスの、効果発動！ 攻撃を無効にする！」
半透明になった三つ目のダイスがダーマとサラメーヤのちょうど中間に一瞬だけ現れると、ほのかに黄色い防護フィールドがダーマの周囲へと発生。こっちの攻撃を防ぎ切り、二体のモンスターは干渉することなく終了する――はずだった。
「速攻魔法発動！ 《ダブル・アップ・チャンス》！」
「な……このタイミングで、そいつを引いてやがったのか！？」
サラメーヤがこっちの場へと戻る寸前に、ついさっきアステル・ドローンの効果で引いた魔法をプレートへと差し込む。直後、サラメーヤは消えかけていたバリア表面を蹴って上空へとジャンプ。空中で一回転すると再びダーマへと向けて突撃を始める。
一方ユーゴはすぐさまダーマを置いてバイクを走らせ、チャンバライダーとともに距離を取り始める。
さっきの反応から察するに、ユーゴもこっちの発動した《ダブル・アップ・チャンス》の効果は把握しているハズ。だからこその行動だろう。
速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》。
それは攻撃が無効になったときに発動できるカードで、攻撃できなかったモンスターに再攻撃の権利を与える効果を持つ――しかも、その攻撃力を一度だけ二倍にして、だ。
攻撃力を５０００にまで上昇させたサラメーヤは禍々しい炎を纏い、流星のような尾を引いて魔剣ダーマへと上空から突撃。青い剣は中間あたりの位置で大きくひしゃげ、やがて大爆発を起こしていった。
だが、まだこれで終わりではなかった。
「この瞬間、オーバーレイユニットをひとつ使い、強欲のサラメーヤの効果発動！」
「な、なんだこいつ……光の球を喰いやがった！？」
宣言と同時にサラメーヤは中央の口でオーバーレイ・ユニットを喰らうと、三つの口から強烈な勢いで空気を吸引していく。そして――。
「戦闘でモンスターを破壊した時、その葬ったモンスターの元々の攻撃力以下のモンスターをすべて破壊する！」
三つの口からため込んだ空気を吐き出し、強烈なまでの威力の衝撃を生成。
見えざる弾丸は二刀流の剣士を穿ち、チャンバライダーをもスクラップへと変えていった。
「クソッ！ だが……チャンバライダーの効果発動！ こいつが破壊された時、除外されているスピードロイド１体を手札に加える。俺は三つ目のダイスを選択！」
「私はターンエンド！ どう？ これがハートランドの、エクシーズの力ッ！」
力強く宣言したそれを、ユーゴは離れた位置で聞いていた。バイクも停止させ、顔を下に向けて何かを考えているようだった。
しばらくそうしてから、ユーゴは顔を上げると――。
「なるほど、確かにこいつぁ強力だな……だったら、こっちも本気を見せてやるぜ！ シンクロの、真の力ってヤツをな！ 俺の……ターン！」
力強くそう宣言し、アクセル全開で前進しはじめる。そしてドローと共に飛び出た瓦礫をジャンプ台代わりにし、天高くへと飛翔していく。
その勢いも声量も今までとは比較にならないレベルのインパクトがあり、これから披露されるという「真の力」に対する警戒を覚えるには十分だった。
「《SRバンブーホース》を召喚し、効果発動！ こいつが召喚に成功した時、手札からスピードロイドチューナーを特殊召喚できる！」
天高く飛び上がって弧を描き、やがて一番高い位置で反転しながらユーゴはカードをセット。直後、馬を模したマシンがバイクの隣に出現。
さらにその効果で、ついさっき手札に戻ったばかりの三つ目のダイスが再びフィールドへと姿を現した。
「俺はレベル４《SRバンブー・ホース》にレベル３《SR三つ目のダイス》をチューニング！」
ほぼ原形をとどめたビルの壁面へと
そのまま壁面を地表に向けて滑走しつつ、隣では緑のリングと星たちが新たなモンスター召喚のシークエンスを開始する。
「その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て！ シンクロ召喚！」
一本の線が迸り、光とともに一体のドラゴンがユーゴの隣へと召喚されていく。
「現れろ、レベル７！ 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》！」
現れたそれは、白亜の竜。
さっきの口上の通りその緑色の翼は美しく、決闘の際だっていうのに思わず見とれてしまいかねないほどの輝きを放っていた。
攻撃力２５００。やはり攻撃力は「
下手をすると、カイトの「
このモンスター……尋常じゃない。
「俺は伏せていた《ロスト・スター・ディセント》を発動！ 墓地からシンクロモンスター１体のレベルを一つ下げ、守備表示で蘇生させる！」
最初のターンから伏せられていた罠が勢い良く展開したかと思うと、私が初めて見たシンクロ――魔剣ダーマがこのデュエル中三回目の登場を果たす。
だが、その形式は守備表示なうえに、おそらくデメリットなんだろう。守備力はなんと０となっていた。
これでは攻撃を一回防ぐために使うのが関の山だろうけれど……なんで、今のタイミングで特殊召喚したんだ？
「この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、また表示形式を変更することはできない」
「さらに別なモンスターを、シンクロするつもり……？」
「いいや、違う！ 俺は魔剣ダーマの効果を発動し、墓地に存在するタケトンボーグを除外し、５００ポイントのダメージを与える！」
半透明のタケトンボーグは一瞬だけ現れたかと思うと、そのままダーマの切っ先へと向かっていく。
直後、蒼い剣の先端からは淡い光の球体が小さく形成されていく――かに見えたが、すぐにそれは球状を維持できなくなり消えかかっていった。
いったいこんな事しても無駄なはずなのに。どうして！？
「俺はここで、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》の効果、発動！ ダイクロイック・ミラー！」
戸惑う私をよそに、ユーゴは自身のエースへと行動するよう命令を開始。すぐにクリアウィングは己の翼を一瞬光らせたかと思うと、衝撃波を発射する。
すぐにその光を浴びた魔剣ダーマは粉々になり爆散していき、相手のフィールドにはモンスターが１体だけとなる。一見すると、無駄な行動にしか今のところは見えない。
ユーゴのことだから、絶対に何かしらの意味はあるんだろう。だが、それがどんなのかは検討がまったくつかなかった。
「そして！ 破壊したモンスタ―の攻撃力分、エンドフェイズ時までクリアウィングの攻撃力をアップさせる」
「なん、だって……！？」
悩む私をよそに、ユーゴの口から紡がれた効果の続き。それを聞いて、恐怖とともに声が漏れてしまう。そんな事されたら……！
「バトルだッ！ やれ、クリアウィング、強欲のサラメーヤを攻撃！ 旋風の、ヘルダイブ――」
「俺のターン！」
ユーゴの言葉を聞いたクリアウィングが天高く舞い上がり、その双眸でこっちのサラメーヤを見つめた、ちょうどその時。
『乱入ペナルティ、２０００ポイント』
「な、何があった？」
「アカデミア……ッ！」
電子音声が流れ、クリアウィングはそのまま空中で静止する中。
何が起こったのかわからず焦るユーゴと、次の敵が到来したことを確信し、呟く私。
そして――瓦礫で隠されていた部分から、二人の黄色い服を着たアカデミアが現れると、再びさっき聞いた電子音声が廃墟と化したショッピングストリートへと流れていく。
こうして、この場の決闘は一対一の通常のものから四人によるバトルロイヤルへと強制的に移行させられていった。くそ、こんなタイミングで襲ってくるなんて……！
初めてのシンクロ召喚との戦いは、
次回でユーゴとの決闘は終了です。