ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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81話

「――キマリス、その話は本当か?」

 

「マジかもな。なんせ夜空が言ってきたんだ、アイツがそんな嘘つくわけねぇだろ」

 

「……だろうな。しかし厄介だぞ……ヤツの存在は光龍妃のように放っておいていいもんじゃねぇ。ちっ、なんで今更表に出てきやがった……!」

 

 

 時刻は深夜、俺はアザゼルが住むマンションの一室に訪れていた。先ほどからデカいテレビで対戦型のゲームをしながら話をしているのは昨日夜空から教えられたリゼちゃんことリゼヴィム・リヴァン・ルシファーの事についてだ……流石に神器が絡むものが通じないとなるともし殺し合うことになったら困るからな。その辺の情報を仕入れておくと同時にまぁ、グラム絡みで世話になったし情報共有ってのをしても良いだろうと判断したまでだ……言い換えれば俺の情報を対価にアザゼルの情報を得るって感じだな! うーん、実に悪魔らしいと褒めてほしいもんだぜ!

 

 

「俺も夜空から聞かされるまで全然知らなかったんだけどさ、マジでどんな奴なんだ? ルシファーってのと神器が効かねぇってのは夜空から聞いてるけどそれ以外が分からん。もしかしたら殺し合う事になるかもしれねぇからその辺も教えてくれると助かる。そのためにこうして足を運んで情報共有してんだからな」

 

「……良いだろう。お前も悪魔、元七十二柱の血を引く悪魔ならば知っておかないとダメだろうしな。リゼヴィム・リヴァン・ルシファー、その名の通り「ルシファー」の名を継ぐ大悪魔で前魔王と悪魔の母リリスとの間に生まれた男、そしてヴァーリの実の祖父だ。ヤツの存在を知っているのは旧魔王派の連中か同じ「ルシファー」の名を継いだグレモリー家、あとはサーゼクス達現四大魔王と俺達のような勢力を率いるトップぐらいだ。まぁ、ヤツも一応大悪魔だから聖書にはリリンっつう名で刻まれてるよ……あんなのが聖書に刻まれてるなんてその手の信徒からすりゃ死んでも知りたくない事実だろうけどよ。さて、話を戻すが光龍妃が言ったようにヤツは悪魔でありながら神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)なんて能力を持ってやがる……これが厄介でな、お前さんや光龍妃、イッセーやヴァーリが持つ神滅具レベルの攻撃ですら無力化しちまうんだよ。実際に光龍妃も目の前でその事実を見せつけられたんだろ?」

 

「あぁ。生理的に無理とか女として関わりたくないとかって理由で光を放ったら効かなかったってさ」

 

「そりゃそうだ。ヤツが持つ神器無効化は文字通り――ありとあらゆる神器の特性や高められた力、混じり合った力などを問答無用で無効化する代物だ。お前さんが得意としている影人形も「影龍王の手袋」が関わってるからヤツにダメージは与えられん……もし戦うならただの霊体だけにしておけ。神器さえ絡まなければそれほど苦戦はしないはずだ」

 

「分かってる。なんか異世界に行くだかなんだかって動き出したっぽいがもし夜空に手を出した場合に備えて対抗策を会得中だよ。スカアハって奴からルーン魔術が書かれた魔術書が送られてきたしな。いやぁ~すっげぇわ! かなりムズイ! てか覚えきれねぇ!」

 

 

 夜空と一緒にルーン魔術を勉強したが俺の頭の出来が悪すぎて完全に覚えきれてない。なんせそれぞれの文字に意味があり、どのタイミングでどの文字を使うかによって答えが変わってくる……まぁ、やってる事はかなり単純なんだが俺は基本的にその場のノリや相棒の力を最大限生かせるように考えるタイプだからかなり難しい……俺ってここまで馬鹿だったんだなぁ。犬月を馬鹿とは言えなくなっちまったよ!

 

 ちなみに夜空は開始五分で飽きてました。ただノワールひまーと言って背後から抱き着いてくるだけの素晴らしい置物に早変わりです! おっぱいの感触が一切無くて俺様、泣きそうでした!

 

 

「……おい待て。スカアハだと? ケルトの影の国! その女王のスカアハか!?」

 

「おう。なんか知らんが送られてきてさぁ~相棒がガチギレしてた」

 

「冗談きついぜ……! なんだってスカアハほどの存在がお前相手に贈り物なんざしやがる? いや、影の龍クロムか! キマリス、悪い事は言わん……その話はあまり他言するな。ケルト神話の奴らは和平に関しちゃ賛成なのか否定なのか曖昧にしてやがる。しかもスカアハほどの存在がお前に贈り物をしたなんて知られたら色々と面倒な事になるぞ」

 

「まぁ、だろーなーとは思ってるよ。りょーかい、もしかしたらうっかり言っちゃうかもしれないけど黙っておくさ。対価として飲み物ほしいなー俺様!」

 

「おう! 好きなもん飲め!」

 

 

 なんか何でも飲んで良いみたいだから冷蔵庫を勝手に開けて冷えたラムネを一本取り出し、その辺に置いてあった菓子を持ってソファーに座る。アザゼルの家にある菓子って何か混じってそうだが乳龍帝おっぱいドラゴンのイラストが描いてあるから冥界産だってのが分かるし多分安全! 食べたらおっぱい好きになるかもしれないけどね!

 

 

「ところでキマリス、さっき妙な事を言ってなかったか? 異世界がどうのってよ……どういうことだ?」

 

「知らねぇよ。なんか夜空に異世界行くから手を貸してくれって言ってきたらしい。まぁ、アイツは他人に協力して異世界なんて行きたくないとか行くなら自分の手で行くとか生理的に無理とかどーでも良い理由で断ったらしいけどな。やっぱり悪神との殺し合いで現れたって言う()()って奴の影響ねぇ?」

 

「そう考えても良いだろうな。あの一件は全勢力、その手の研究者からすれば未知の現象だ……確かに存在自体はあるやら無いって感じに議論はされていた。しかし確証が無いため今までフィクションの中でしか語られなかったが……本当に存在するなんざ俺でさえ信じられなかったっての」

 

 

 乳神――結構前に悪神やフェンリルと殺し合った時に一誠君が思念だけとはいえ呼び寄せた存在。北欧神話でもケルト神話でも日本神話でも無い……俺達が知る神話以外の神様が突然現れた事でその手のことを研究している奴らが大騒ぎしたようだ。まぁ、そんな事が起きているとは知らずに俺は夜空とイチャイチャしてたけどね! つーか乳神ってなんだよ……乳の神様がいるなら腋の神様もいるよな? いるよね! 全然興味無いけどもしいるなら崇めるよ! 滅茶苦茶崇めちゃうよ!

 

 と、冗談は置いておいてリゼヴィムことリゼちゃんは乳神の存在にテンションが上がって確かめるために異世界に向かうとかそんな感じなんだろうね。個人的にはどうでも良いけど個人で勝手に何かするなら俺的には問題無い……だって悪魔だしさ、好き勝手やっても良いだろ? 俺だって好き勝手に生きてるし。

 

 

「俺としてはどーでも良いけどな。異世界なんてもんに興味無いし今のように夜空と殺し合って、話をして、遊んで……そんな今が楽しいしさ。こっちにちょっかい出してこないなら勝手に異世界行ってくれって感じだな。まぁ、未知の現象に未知の世界って部分には惹かれなくもねぇだろ? なんせ悪魔だしな。欲が終わったらあとは死ぬだけだし生きてるうちにあれだこれだって興味持っても誰も文句は言わねぇよ」

 

「……お前さんがヤツと出会ったらどうなるか予想できないからおっかねぇな」

 

「なんだそれ?」

 

「お前とリゼヴィムは似てるところがあるからな……性格的な面で言えば断然お前の方が良い、ヤツは年寄りの癖に未だに我儘な子供そのものだからな。俺が似てるって言ってるのは……悪魔だから何をしても良いって考えだ。昔のリゼヴィムのことは知ってるがほんっとうに子供だったぜ? あれが欲しいこれがやりたいと色んな奴らを振り回してやがった。その過程で周りが死のうが生きようが自分が楽しかったらそれで良しときたもんだ……文句を言いたくてもルシファーの息子って立場がそれを邪魔する。魔王になる前のサーゼクスとアジュカが苦労しただろうぜ」

 

「なんせ悪魔だしなぁ。そもそも一誠や先輩のような正義感が異常なだけだと思うぜ? だって悪魔がヒーローだぞ? 無理無理、そんなのやりたかったら天使に転生しちまえっての」

 

 

 今まではまぁ、その場のノリというか楽しさ優先だったというか頼まれたからとか夜空絡みとか色々と理由はあるけど本当だったらスルーしたかったしな。つーか夜空が絡んでなかったらマジで頑張れー頑張れーしてたと思う! だって悪魔で邪龍だぞ? 倒されるならまだしも正義の味方面するのってどうよ? うん無理! 絶対に無理! だからその部分だけで言ったらリゼちゃんってのは話が合うかもしれないね! 相棒がまだ封印される前に殺し合った事があるっぽいし出会ったら挨拶ぐらいはしても良いかもしれない……が俺と夜空の楽しみを邪魔するんだったら容赦はしない。具体的に言うなら夜空をナンパして良いのは俺だけだから横から出てくんじゃねぇよおっさん!

 

 ちなみにアザゼルが言うにはリゼちゃんは超越者って呼ばれる存在らしい。その超越者ってのも悪魔の中でも特に異質で悪魔と呼んでいいのか分からない奴らをそう呼んでるみたいだが今のところ、魔王二人とリゼちゃんの三人だけその呼び名で呼ばれてるらしい。だけどアザゼル的にはイッセー、ヴァーリ、俺の三人も将来的にはそう呼ばれるんじゃないかって考えてるらしい……マジでどうでも良い。あっ! 夜空は人間なんで規格外安定だそうです! 仲間外れ良くないと思うから超越者で良いじゃん。

 

 

「……キマリス」

 

「ん?」

 

「お前さんはお前さんのままでいろ。好き勝手に生きて、好き勝手に死んでいくんだろう? だったらそれを突き進めばいいさ。リゼヴィムと出会ったとしてもそれさえ忘れてなかったら問題ねぇ。頑張れよ、キマリス家次期当主の影龍王」

 

「……俺、良いこと言ったみたいな顔がムカつくなぁ」

 

 

 この後は適当にゲームをしながら色々と情報を交換しあった。前魔王ルシファーの息子、リゼヴィムに関しては先輩達には伝えずに魔王や天使長、アザゼル、各勢力のトップ勢のみに知らせて警戒を強める方向で行くそうだ……勝手にしてくれと言いたいが夜空に接触してきたことを考えて戦力を欲していることは誰だって分かるはずだ。曹操ちゃんの行方が分からない英雄派、及び崩壊寸前らしい旧魔王派といった禍の団の残党共を纏めていてもおかしくは無いだろう……夜空からも魔法使いが変な奴らと集まってるとか言ってたしな。恐らくこの変な奴がリゼちゃんかそれに協力する者だろうね……俺に似た性格ならこっちの弱点を涼しい顔して攻めてくるだろう。だって俺だってそうするしな!

 

 そんなこんなで時間は進んで翌日の深夜、俺達キマリス眷属とレイチェルは自宅のリビングに集結していた。なんでと聞かれたら魔法使いとの契約に関することをメフィストのジジイと話し合うためだ……メンドクサイけどね。だって犬月達は兎も角、俺は契約する気が一切無いから話を聞く意味すらない! ただの時間の無駄なんだよなぁ……こんなのに時間を使うぐらいならルーン魔術の勉強に使いたいわ。

 

 

「どーせ断るんだし聞き流してれば良いと思うよ」

 

「それもそうか。んで? 今年はどうするんだ?」

 

「分かってるくせに」

 

「だよな」

 

 

 ソファーに座る俺の膝を枕にしている平家はどうやら今年も全てお断りするつもり満々らしい。そもそも嫌われ者の覚妖怪と契約したいって奴の方が珍しいし、こいつの事だから送られてきた書類を全部見るのが面倒とかそんな感じだろう。

 

 

「大正解」

 

 

 デスヨネ。

 

 

「……あの、王様? なんか聞いてる感じじゃ魔法使いとの契約をしないって言ってるような気がするんですけど気のせいですかねぇ?」

 

「うん。契約する気なんて一切無いけどそれがどうかしたか?」

 

「いやいやいや!? いくらなんでもダメでしょ! 魔法使いと悪魔がどれだけ深い関係か分かってるでしょ!?」

 

「だって夜空以外の人間に興味無いしー書類選考メンドクサイしーメフィストのジジイは死ねばいいと思ってるしー」

 

「……凄く棒読みなのに本音言っちゃってるよこの人!」

 

「あの、悪魔さん? 魔法使いとの契約は書類選考なんですか?」

 

 

 俺が言った書類選考と言う部分が気になったのか橘が首を傾げながら聞いてきた。可愛い!

 

 

「えぇ。一昔前は争いなどを行って早い者勝ちと言った事をしていましたが今は契約したい悪魔に書類を送り、面接などを行うのですわ。ですがキマリス様の年齢だと少し早い気がするのですが……?」

 

「俺は影龍王で混血悪魔の(キング)だからな。年齢的に早くても良いからどうしても契約させてくれって魔法使い達がメフィストのジジイに直談判したらしくてさ、他よりも早くこんなのに巻き込まれたってわけだ。マジで死ねばいいのにね!」

 

 

 普通に考えて純血悪魔ですらない俺と契約したところで魔法使いにとってはメリットも無いだろうに……もっとも俺の方でも良い事なんか一切無いから契約スルーが大安定。書類選考が面倒だとかじゃないからね! 誰に言ってるって俺の膝を枕にしてるちっぱいのテメェだよ!

 

 

「まっ、俺と平家……あとは四季音姉妹もどーせ断るんだろ? ついでにグラム、お前は?」

 

「ぱぁ~すぅいっちぃ~めんど~だぁい」

 

「伊吹が断るなら私も断る。考えるの苦手。」

 

『我ラはハおウの剣なリ! かトうなジュつ者と関わりたクはなイ!』

 

「想像通りの返答をありがとう。というわけだ、契約するのは犬月、橘、水無瀬の三人だけって事になるが……断っても良いよ! どーせこっちにメリットなんて無いからさ!」

 

「いやいや……流石に断んないですって。あの、書類選考とか面接とかって何すれば良いんすか? 半分悪魔の血が入ってますけどその辺の知識なんて全くと言っていいほどないっすよ?」

 

「私もです。なにかアドバイスしてくれると志保、すっごく嬉しいです♪ 出来れば二人っきりで教えてほしいな♪」

 

「うーん可愛い。いやぁ、仕方ないなぁ! 可愛い我らがアイドルに頼まれたら教えなきゃダメだよね! つっても簡単だぜ? 自分がこいつとなら契約しても良いってのを書類と面接で判断すれば良いだけだ。最初は短期で契約して慣れてきたら長期って感じで伸ばしていけばいいさ……まだ若いから失敗したって誰も文句は言わねぇよ。詳しい事は唯一の経験者の水無瀬に聞いてくれ……それでも分からなかったら俺のところまで来い」

 

 

 そんな話をしていると床に魔法陣が展開されてとある男が映像として映し出された。赤と青が入り混じった髪、両目もそれと同じように赤と青のオッドアイの中年のおっさんだ。優雅な雰囲気を出しながら椅子に座っているけどカッコよくも無いね!

 

 

『――やぁ、久しいねノワールちゃん』

 

「その呼び方はやめろ。殺すぞ?」

 

『あはは、怖い怖い。相変わらず全方位に敵を作ってるようだね? 少しは誰かを信用した方が良いよ』

 

「余計なお世話だ。用件は魔法使いとの契約だろ? 今年も断るからさっさと書類置いて帰れ」

 

『もーダメだよー? 年寄りの長話に付き合わなきゃ。さて、新しく眷属になった子達に挨拶をさせてもらおうかな。メフィスト・フェレスです。魔法使いの教会の理事をしてるよ』

 

 

 メフィスト・フェレス。元七十二柱の悪魔に分類されない番外の悪魔(エキストラ・デーモン)の一人で英雄派の幹部だった魔法使いの先祖と契約したのがこのジジイだ。確か悪魔の中でも最古参で死んだ先代魔王達と同期だとか親友だったとかなんかそんな感じだった気がするが……関わる気が殆ど無かったから良く知らないけどね。だって夜空以外に興味無いし魔法使いとも契約する気が全くないから知ろうとも思わないってのが本音だ。

 

 そんな長生きをし過ぎているジジイは俺の近くに居る犬月、橘、四季音妹、グラムの面々に挨拶をするが真面目に聞いているのは犬月と橘ぐらいだけだ……四季音妹もグラムも興味無いのかメフィストのジジイを見ていないしな。ざまぁ! さっさと帰ってくれませんかねぇ! 邪魔ですよ邪魔!

 

 

『いやぁ、凄いねぇ。覚妖怪を眷属にしてるだけでも驚きなのに酒呑童子と茨木童子、そして魔剣のグラムすら眷属にしてるなんて。しかも今年は去年以上に大暴れしてるから契約したいって子がさらに増えてるよ? 良かったね。それと……そこに居るのはフェニックス家のお姫様じゃないかい?』

 

「はい! レイチェル・フェニックスですわ。メフィスト・フェレス様とお話が出来て光栄です」

 

『あはは。ありがとうね、ノワールちゃんもこれぐらい素直だったら色んな所で人気でるのにもったいないよねー』

 

「マジで殺すぞ? ほら、こっちも忙しいんだからさっさと書類置いて帰れ、マジで帰れ」

 

『分かった分かった。そう急かさないでよ』

 

 

 俺達の近くに魔法陣が展開されて山のような書類が転送されてくる。そのまま放置していれば周りが散らかるので影人形を生み出して指名された人物ごとに分けていくが……おかしいな? 俺を指名してくる奴らが多すぎない?

 

 

「多くねぇか?」

 

『最上級悪魔の影龍王、若手悪魔の中でも最強の実力者、そして若手五王(ルーキーズ・ファイブ)と今年は呼ばれてるからね。王が多くなるのはどこも同じさ、だってキミと契約すれば眷属全員を動かせる可能性があるからね』

 

「……若手五王?」

 

「キマリス様やサイラオーグ様、リアス様にソーナ様、シーグヴァイラ様の五人が若手悪魔の中でも群を抜いているという事でそう呼ばれているのですわ。中でもキマリス様は若手の身でありながら最上級悪魔ですから魔法使いにとっては最高のステータスになるでしょう。私も分かってはいましたがここまで多いとキマリス様の人気が高いと再確認させられますわね」

 

「すっげぇ、まだまだ送られてくるっすよ? さっすがうちの王様だ! つーかなんで酒飲みもそれに匹敵するぐらい多いのか謎なんだけど?」

 

「花恋は酒呑童子だからね。鬼との繋がりを得たいって魔法使いがいるんでしょ。その辺りはどうなの?」

 

「ひっく、どうと言われてもねぇ~鬼は基本的に縦社会で強い奴は大好き、弱い奴は嫌いってのが多いのさ。その点で言えば魔法が使えるだけの人間とは普通なら相手はしないよ。だからかねぇ? 去年も多かったけど今年はもっと多そうだ」

 

 

 それに関しては俺も同意見だ。たかが魔法を使えるだけの人間にあの鬼達が絡むわけがない……まぁ、昔は人攫いとか色々とやってたみたいだがな。

 

 影人形を動かして送られてくる書類を人物ごとに仕分けしていくと一番多かったのは俺、次に四季音姉、水無瀬、犬月、四季音妹、平家、橘、グラムと言う順になった。上位三名は俺も予想してたから驚くことは無かったが四季音妹よりも犬月の方が指名度が高いのにはビックリだな……いや当然か? サイラオーグとのゲームでも四季音姉が蹂躙したようなもんだし茨木童子としての実力は先の魔獣騒動ぐらいでしか表に出てない。それを考えると茨木童子の四季音妹よりも前々から妖魔犬として名が広まってる犬月の方が魔法使いにとっては指名しやすい対象かもな。

 

 それはそれとして下位三名も予想通りで笑いそうになるな。グラムが一番指名度が低いのは元々が魔剣だからだろう……いきなり人間体になって悪魔になりましたとか言われても本当かどうかすら分からないだろうしな。橘も冥界アイドルとしては有名になってるがステータス重視の魔法使いにとってはそれほど契約したいとは思わないだろう……まぁ、送られてきた書類を見る限り男しかいないから容姿目当てが妥当か? それか独立具現型神器のデータが欲しいとかそんな感じかねぇ?

 

 あっ! 平家に関してはもう何も言わない。だって去年もこんな感じだったしな!

 

 

「覚妖怪は嫌われ者だから人気があったらおかしい」

 

 

 全世界の覚妖怪に謝った方が良いぞ? もしかしたら人気の覚妖怪だっているかもしれないだろ!

 

 

「いるわけないよ」

 

「即答かよ……ジジイ、書類は受け取った。今回も断っても文句はねぇだろ?」

 

『当然さ。最上級悪魔の影龍王と釣り合う魔法使いなんてこの中には居ないだろうからね。でも気が変わって契約したいって子が居たら連絡してほしいな。それじゃあ次はリアスちゃんの所に行くからこれで失礼するよ』

 

 

 それを言い残してメフィストのジジイとの連絡は終わった。しっかしマジで多いな……馬鹿だろ? いくら最上級悪魔になったと言ってもここまで大量だとは思わなかった……とりあえずゴミに出そう。

 

 

「とりあえず真面目に契約する奴は自分に送られてきた書類に目を通すように。基本的には自分達で考えろよ? どれが正解でどれが不正解かなんてねぇんだ。レイチェル、悪いが分かる範囲で良いからこいつらに契約関係の事を教えてもらって良いか? 俺は俺でちょっと忙しくてなぁ」

 

「お任せくださいですわ! このレイチェル・フェニックスがシュンさん達のお手伝いをして差し上げます! で、ですけど……キマリス様も契約をされてみてはいかがでしょうか? そ、その際はこの私がお、お手伝いして差し上げますわよ!」

 

「メンドイ」

 

「うわー本当にめんどくさそうな顔してるよ……」

 

「昔も面倒だって言って断ってますからね……瞬君と志保ちゃんは初めてなので私達と一緒にやりましょう。分からない場所があったらその都度教えますから」

 

 

 犬月と橘は水無瀬とレイチェルに任せれば問題無いか……どんな奴と契約するのか楽しみと言えば楽しみだな。あの二人が一緒なら変な奴とは契約はしないだろうし俺も自分の事を優先できるな……そう考えるとレイチェルって裏方向きだよな。夜空と四季音姉と平家が居なかったらお願いします眷属になってくださいと土下座してたかもしれない……俺とは相性悪いけど考え自体は悪くないしな。

 

 さて、そんな事は置いておいて……このゴミを片付けながら勉強でも再開するか! いやー勉強楽しいわーマジ楽しいわー! スカアハ死ねばいいのにー! こんな難しいの送ってきやがって……! 相棒が性格は最低最悪だっていうのが良く分かるね!




観覧ありがとうございました!

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