『初戦を制したのはキマリスチーム! 魔帝剣グラム選手の初陣は見事に勝利で終了しました! ノワール選手の宣言通り、グラム選手はリタイアと同じ扱いさせていただきます! しかしお姿を見ていたいという方もいらっしゃるかもしれませんのでキマリスチームの陣地で待機していてもらいましょう!』
『我がオうよ! ドうだ! 見たか! わレらの力を! コれでモなお雑に扱うか!』
バトルフィールドから戻ってきた血だらけのチョロイン……いやもうグラムで良いや。グラムは満面の笑みを浮かべながら「どうだ凄いだろうこれからは丁寧に扱うだろうな!」って感じの事を言いながら近づいてきた。近寄ってくるな生臭い……血の匂いが酷いんだよ! 絵的にあれなのか運営側からタオルが転送されてきたからさっさと拭いてくれ! てかなんだろうな……今の
「変態」
俺の心を読んだらしい平家が俺のケツにキックをしてきた。いやだって気になるだろ? てかお前は初対面の時点で分かってんだからさっさと教えなさい。抱き枕にしてあげるから。
「ヤダ。めんどい」
この野郎……! その顔は絶対に知ってるけど教えませんって感じだな! いいもんねぇ~! このチョロインに命令して自分の目で見るから!
『我ガ王よ! キいてイるのか! ワレらのちかラを見たであろう! どうだ! こレが伝説と称サれたわレラの力よ!』
ぐいっと俺の顔を覗くように近づいてきた。うーん……マジで褐色肌の美少女なのに中身が魔剣なんだもんなぁ! もったいねぇ! そもそもなんでその姿になれば丁寧に扱ってもらえると思った? 実際にその通りだからムカつくなぁ! 畜生……美少女には勝てねぇ! と思っておけばいいか? 普通に雑に扱う気満々だけど黙っておこう。
「はいはい聞いてるよ……凄い凄い、わーよくやったなーよしよしー! 仕方ねぇから前よりはちゃんと扱ってやるよ」
『そうダろウ! ソうだろう! 我らヲホめたたエるが良い!』
「うっわ、チョロイな」
「マジでチョロイっすね……これ、適当に褒めてたら良いんじゃないっすか?」
「だな。よっし! こいつの扱い方も分かったし次行くか!」
水無瀬と橘の二人に髪や体を拭かれながら満足そうに頷いているチョロインを放置して俺は再び台の所まで移動する。向かい側にいる獅子王はやられた! って感じではなく流石だなと言いたそうな表情だ。なんというか獅子王の中では「俺が獅子王に挑む」じゃなくて「獅子王が俺に挑む」ってなってたりしない? 若手最強に俺が挑むんだからその辺を間違えないでほしいです!
「とりあえず一勝させてもらったぜ? いやぁ、まさかあのチョロインが出てくることが分かってなおドラゴンを出してくるとは思わなかったわ」
「これはゲームであると同時に俺達がさらなる高みへと進めるかが決まる大事な一戦だ。ラドーラも龍殺しの恐ろしさを体験し、さらに強くなるだろう。あいつはそういう男だ。さて影龍王殿! つぎの試合を始めよう! 観客も早く続きが見たいと言っているからな!」
「そうかい。だったら次も勝たせてもらおうかねぇ」
審判役の指示により俺達は再びダイスを振る。俺が「1」で獅子王が「6」、それが空中に浮かぶ巨大モニターに映し出された。出目の合計は「7」か……なんとも微妙な数だなぁ。俺の方はチョロインが出られないだけで犬月達は出られるがあっち側もまた同じ。戦車が一人減ったとはいえまだ数は多い……どうするかねぇ!
実況役が俺達の出目を大きく宣言して誰が出てくるのかと煽って観客を盛り上げている。まぁ、解説席に座っている夜空はどれも興味無いとばかりに大量の飯を食ってるけどね! アザゼル……財布の中身も貯金もマジでなくなるぞ? ざまぁ!
「悪魔さんが1、相手の方が6で合計は7……どうしましょうか?」
椅子に座って考え込んでいる橘が可愛いが実際問題マジでどうすっかなぁ……初戦はグラムって決めてたから良いが今回から考えねぇとヤバイ。出目の合計は「7」だから四季音姉単独で出場は無理か……出せれば多分余裕で勝利するだけどねぇ。まっ、ここで使うと誰が獅子王の女王を相手するって話になっちまうから出せたとしても温存するけどさ。つまり考えられる手はさっきと同じく四季音妹単独か犬月と水無瀬、橘、平家の三人から一人を選ぶ事か……あっちの持ち駒から考えて連続で戦車はまず無いだろう。なんせ攻撃力と防御力が売りの奴が初っ端から消えると残った奴らが辛いしね。もっとも俺なら連続で使用するけどな!
まぁ、深く考えても仕方がねぇし……よしきーめた!
『それでは時間になりました! 出場する選手は魔法陣へと移動してください!』
俺が選んだ奴らが魔法陣へと移動してバトルフィールドへと転送されていった。巨大モニターに映し出された場所は周りに何もない四角形の床があるだけの場所。なるほど、さっきみたいな木々が無いから純粋に直接対決できるってわけか……だったら好都合だ! なんせ俺が選んだ奴らにもってこいだしね!
『キマリスチームからはチーム一のツッコミ王! 兵士の犬月瞬選手と魅惑の黒姫! 僧侶の水無瀬恵選手です! 対するバアルチームからは元七十二柱であるクロセル家の末裔! 騎士のリーバン・クロセル選手と同じく元七十二柱であるアンドレアルフス家出身! 僧侶のコリアナ・アンドレアルフス選手です!』
バトルフィールドには犬月と水無瀬の二人が敵と向かい合っている。獅子王側は軽鎧で剣持ちといういかにも騎士ですよろしくお願いしますって感じの金髪優男とスーツを着ている金髪美女。確か騎士の方は神器持ちだったな……まっ、データ上では禁手には至ってないっぽいから何事もなければかなり楽な方だろう。もし禁手に至ってた場合は……頑張れ。もっとも発動条件持ちの神器は攻略が楽だし大丈夫大丈夫! もう一人の方は確か氷系の攻撃が得意とか何とかだった気がする。だから反転させたら水になるから……それを受けてびしょ濡れからのスケスケですね! よっしゃテンション上がってきた!
『騎士に僧侶っすか……水無せんせー! 僧侶の方を任せても良いっすか?』
『はい! 瞬君も気を付けてください……相手側に神器使いが居ます。視線に注意してくださいね』
『ういっす! せんせーもびしょ濡れとかになっちゃダメっすよ? 王様が見たら喜びますしね……てか今更っすけどツッコミ王ってなに!? 俺の評判ってどうなってんの!?』
『うぅ……ぜ、絶対にびしょ濡れにはなりません!』
水無瀬、そのセリフはフラグだぜ? お前の不幸体質さんを舐めてはいけない……だって相棒が同情するぐらいの不幸っぷりだしな!
『それでは試合を開始してください』
審判役の声が響くと同時に、犬月と優男の姿が消える。昇格で「騎士」になって高速戦闘を始めたからだろうな……水無瀬も開始と共に禁手化して黒いドレスと液体時計を片手に金髪美女と戦闘を開始。慣れてない奴は水無瀬と金髪美女の二人しか映ってないように見えるだろうが俺達からすれば余裕で犬月達も見えている。相手の視線上に立たないように真横や背後に回って殴りかかっては剣で防がれている……妖魔犬状態じゃなくてもその辺の雑魚くらいは余裕で殺せるほど強くなってるな。流石俺の兵士、成長率がヤバいわ。
『妖魔犬を使わないのか? 逃げてばかりでは俺には勝てないぞ!』
『はっ! その程度の速度で威張ってんじゃねぇっすよ! うちには頭のおかしい王様が居るんでね! まだまだ上がるっすよ!』
『だったら追いつくまでだ!』
優男は視線上の
『ちぃ! 氷が邪魔くせぇ! せんせー!』
『はい! 行きます! 反転結界!』
別の場所で戦っていた水無瀬が影を伸ばして降り注ぐ氷を水へと変える。固形から液体へと変化したことで犬月にはダメージを与えられず、犬月と地面を濡らすだけになった。ブルブルと風呂上がりの犬の様に体を震わせて水分を飛ばしてるけどさ……犬かお前は? あっ、犬だったわ。てかあっちはあっちで魔力合戦してるなぁ……金髪美女が放つ氷の魔力を反転、水へと変えて地面に落ちた瞬間に再度氷にって感じで辺り一面が凍りまくってる。周囲が暗いせいか地面が一種の鏡のようになって反射しまくってるけどさ……ちょっとカメラさん? 上から撮ってくれない? 水無瀬と金髪美女のパンツが見たい。うん? あぁ、なるほどね……水無瀬、やっちまったな。
俺の予想通りに金髪美女が地面に氷の魔力を放ち、濡れているところを凍らせる。そして優男が不敵に笑ったと思えば目を怪しく光らせ――視線に映していないであろう犬月と水無瀬を重力で押し潰した。
『ぐえっ……!? なんでっすか!?』
『視界に映っては……まさか!』
『その通りだ。映っているよ? 凍った地面にね。氷のスペシャリストなら
『難しいけどね。でもこれぐらいできなきゃバアル眷属の名折れよ』
『んなのありかよ!』
ありだよ。魔力ってのは発想力次第で何でも出来るしな……さて、此処からどうする? このままやられるか?
『く、うぅ……重力、を反転、できれば……! きゃぁっ!?』
『おっとさせない! 性質を反転させられる貴方は先に倒さねばならない! カウンター系神器は厄介だからな!』
『これで終わりよ!』
敵はどうやら禁手に至っている水無瀬を先に潰すことを決めたらしい。優男が水無瀬を重力で抑え、金髪美女が動けない所を氷の魔力で攻撃する。安定行動だな……仮に俺が敵だったとしたら性質を反転させられる水無瀬を放っておかねぇし誰だって同じことをするだろう。二人の顔はまずは一人って感じで勝利を確信している――でも残念、勝ってないんだよなぁ!
氷に変化させた魔力が水無瀬にぶつかって土煙を上げる。映像でも確実に当たったと
『――いってぇ。こんなのせんせーに喰らわせるわけにはいかねぇっすわ』
土煙の中から男の声がする。そして現れたのは水無瀬を押し倒すような体勢で守っている
『なに!? 何故そこにいる!? お前も押さえつけていたはずだ!!』
『そっすね……重かったっすよ? 重力。でも水無せんせーに集中してたのかかなり楽に動けたっすね……てか王様や酒飲みの攻撃に比べたら軽すぎるんすよ。えっと、無事っすか?』
『は、はい……ごめんなさい瞬君、助かりました』
『へへっ。パシリは身体を張るのが仕事っすよ! ちょっと油断した……油断しちゃダメなんだけどな。まだまだっすね、王様に比べたらてんで弱い』
軽く立ち上がる犬月だが足元から地面に沈んでいく。どうやら重力で押さえつけられてるらしいな……見た感じ、全然効いてないけど!
『さてと、再開しようぜ? こっからはさっきとは違うっすよ?』
『……キマリス眷属の兵士、恐ろしいな! だが俺だって負けない! 全力で倒させてもらう!』
『良いっすよ? こっちも全力で殺してやるから――モード妖魔犬』
犬月はいつもの様に赤紫色のオーラを身に纏う。前までなら肌の色も変わるはずが今は全く変わっていない。しかも出力的に前よりも
優男を一目見るとその場から消えて一瞬で真横へと移動した。騎士に昇格しているとはいえさっきよりもかなり速くなっているから優男もビックリしてるようだ。そのまま腕を引いて顔面に拳を叩き込んで遠くへと飛ばすと水無瀬を押し潰していた重力が消える……あの神器は視界にさえ映らなければ重力で押し潰されることは無いからあんな風にぶっ飛ばせば何も問題ねぇ。しっかし速いな? 俺も特訓に付き合ってたから知ってたけどマジで速い。
『どうっすか? きっとアスタロト戦のゲーム時よりもかなり弱くなってるだろ? あぁ、そっか……アンタは体験してねぇから分かんねぇか』
『……情報と違うな? イタタ、今日のために特訓をしてきたってわけか!』
『そうっすよ。モード妖魔犬ver2、今までは足りないものを全部補おうとしてたけどさ……強欲すぎたんすよ。たかが人間にすら勝てねぇぐらい欲張りすぎて無理してた……だからやめた』
モード妖魔犬ver2、修学旅行中にアリス・ラーナと殺し合いをして勝てなかった事を悔やんで悩みに悩み、そして答えを出した
『俺に足りないのは何だって考えて考えて……そんで分かった。俺には王様や酒飲み、茨木童子のようなパワーなんてねぇし、引きこもりやしほりんやせんせーのように器用じゃない。有るのは負けん気とパシリ根性! だから俺に無いものは皆に任せれば良い! 俺は「兵士」だ! だったら呼ばれたらすぐに駆け付けれるようになってやる! 前の宣言通り! 最強の
自信満々に宣言しているところを大変申し訳ないが堂々とパシリ宣言はどうかと思うぞ?
「凄い。どんどん有能なパシリになっていくね」
「おう。あそこまで堂々と宣言されると照れるな……仕方ねぇからあとでプリン買ってきてもらおう」
「にしし、やっぱアイツは面白いねぇ」
『そんじゃ、再開!』
再び犬月と優男の姿が消える。さっきと同じように高速戦闘を繰り広げているが優男が押されている。一発当てて移動、また一発当てて移動を繰り返しているせいで優男が翻弄されて被弾が増えていく……ダメージが低かろうと何度も受ければデカくなるし相手もイライラが溜まる――そこがチャンスだ。威力が足りなかったら昇格で戦車になればいい。それでも足りなければ連続で当てればいい。今度こそアリス・ラーナに勝つために犬月が選んだ道だ……弱くなったとか雑魚と言われてもあいつはそれだけのために妖魔犬を劣化させた。もっともデカい一発を当てるよりあんな風に小さいダメージを連続で当てる方があいつには合ってるけどな。
自分よりも速い犬月を捕らえようと神器を発動するが無駄のようで顎下からのアッパーを受けて視線が上へと強制的に向けられた。
『――まだぁ!』
上空に氷に変化させた魔力を放ち、それを重力で一気に下へと降らす。流石に重力込みの氷ともなればダメージはデカいだろう……四季音姉の拳に比べたらかなり楽な方だと思うけども。
『悪いが今の俺には当たらねぇよ! そして終わりぃ! モードチェンジ! 戦車!』
降ってきた氷を躱して駒のシステムを騎士から戦車へと変えたらしい犬月は先ほどよりも少し遅くなった速度で接近し……胴体に拳を叩き込んだ。一発だけじゃない……何度も、何度も、何度も! 俺が仕込んだラッシュタイムを叩き込んでいく! うっわ、速度だけなら俺の影人形に追いつくんじゃねぇか? 威力は下だけどさ。
逃げられずに犬月のラッシュタイムを受け続けた優男は審判役からリタイア判定を受けて消えていった。流石にあのまま放置してたら骨が折れ続けて大変な事になるだろうしね。
『サイラオーグ・バアル選手の騎士、リタイア』
「犬月さんが倒しました! 凄いです!」
橘がキャーキャーとはしゃいでいるからおっぱいがすっごく揺れている。悪い犬月……お前の活躍よりも俺はこっちにしか目がいかないわ。いや、嘘だよ、頑張った……本当にな。
兵士対騎士の対決が終わり、残ったのは僧侶同士による対決。先ほどから魔力攻撃合戦が繰り広げられてるけど禁手に至ってる水無瀬の方がやや有利っぽいな……なんせうちの僧侶はテクニックタイプ、隠れМだから受けるのはすっごく得意だ! 放たれた氷の槍を水に反転、先ほどの失敗を活かして勢いが落ちたら即氷に変えて躱している。やっぱ反転結界って使いこなせば結構厄介だわ……俺の影人形もあれの前じゃ無意味だしなぁ。
『瞬君が頑張ったんです……年上の私も頑張ります! ノワール君のために!』
『こちらもサイラオーグさまのために負けるわけにはいかない!』
『いえ勝ちます! 私の新しい力を……今見せます!』
水無瀬が何かを決意した表情になると足元の影が変化した。それは実体化するように浮かび上がり、上半身だけ人型の形をしたモノが水無瀬の背後に現れる。腕が二本で顔のパーツが無い黒い人影、下半身は水無瀬の足元……いや影と連結しているがその姿はまさしく――俺の影人形にそっくりだった。は? 何それ?
「……は? なにあれ? 俺、知らねぇぞあんなの?」
『あっ、ノワールがガチでびっくりしてる顔してる。うっわ~めっずらしぃ! 写真撮りてぇ! ちょっと堕天使! 写真写真! はやくぅ! ノワールがガチビックリ顔なんて滅多に無いんだからさぁ!』
ちょっと夜空ちゃん……今はちょっと忙しいから黙ってくれない? てかなんだよあれ!? マジで知らねぇんだけど! なんで水無瀬が俺の影人形っぽいのを使ってんの? 確かに禁手中は影を操る事が出来るがそれだけじゃん! マジで意味分かんねぇ! 待て待て……見た目は影人形そっくりだが完全に偽物だろう。胴体は霊体で出来てねぇ……と思う。だって霊子を操る事が出来ねぇしな! 正直、今すぐバトルフィールドに飛び込んで確認したい! てかなんでどいつもこいつも人形を操る能力使うんだよ!? 夜空も水無瀬も曹操ちゃんも真似すんな!
『
水無瀬の指示に偽影人形君は金髪美女へと向かって行く。俺の影人形とは違って水無瀬が影を伸ばして移動させてるが速度は中々のものだと思う。相手がデータに無いものを使ってきたせいか地味に動揺している金髪美女は魔力を飛ばして迎撃するもそれら全てをラッシュタイムで粉砕していく……あぁ、完全に俺の劣化版だわ。炎や氷、雷に変化させた魔力を殴っただけで腕とかが欠けたりしてるし。見た感じ、偽物の構造は水と氷か……水に変化させた魔力を人型の形にした後、禁手の影で覆って制御してるのか。いくら俺の影響を受けてると言ってもそこまでするとはなぁ!
おい平家、お前だろ? あれ仕込んだの?
「正解。恵が今よりも一歩踏み出したいって言ったから手伝った。ノワールの予想通り、あれの体は水だよ。拳の部分だけ氷に変えて殴ってる。威力も精度もノワールには劣るけど攻撃方法が少ない恵には良い手だと思うね。仮に吹き飛ばされてももう一回魔力で作れば良いし、あれで殴るだけで恵の影に触れるから反転結界も可能。私も結構頑張った、すっごく疲れたよ」
「ちなみに私も手伝ったよ? めぐみんが真剣だったしねぇ~にしし! ビックリしたでしょ? 内緒にしてたもんねぇ~やりぃ! さおりん大成功!」
「やりぃ~」
このちっぱいコンビ……俺に黙って水無瀬に面白い事を仕込みやがって! あとでおっぱいもみもみの刑だから覚悟しておけ。
『
『俺を忘れちゃダメっすよ? 一対一にするわけねぇじゃんか!』
動き回る金髪美女の背後に回って一発打撃を与える。そりゃそうだ……これはゲームであり実戦もどきだ。一対一にするメリットがないし叩けるなら叩いた方が良い。
犬月の攻撃を受けた金髪美女は軽く吹っ飛ばされて地面に横たわった……そして立ち上がろうとした瞬間、目の前には偽影人形がその綺麗な顔を覗くように立ちはだかる。後ろに下がろうにも既に犬月が良い笑顔を浮かべながら金髪美女を見下すように立っている……うわぁ、あれは当事者からしたら軽くホラーな映像だぞ? 俺もやるけど!
『これで、終わりです!!』
『おらぁ!』
まるでラッシュの速さ比べだと言いたいように犬月と偽影人形は金髪美女に向かって連続で打撃を与える。そもそも相方が倒された時点で、犬月を倒せなかった時点で勝ち目はねぇしこの結果は当然だろう……全くさ! うちの眷属はどこまで俺を楽しませてくれれば気が済むんだ?
『サイラオーグ・バアル選手の僧侶一名、リタイア』
審判役から宣言され、俺達側の勝利が決定した。さてと……このまま全勝したいが流石に無理か? まぁ、狙ってみるけどね!
モード妖魔犬ver2
強化前よりも出力を抑え、速度向上のみに特化させた劣化形態。
赤紫のオーラを纏い、肌が変化しないのが特徴です。
偽影人形「フェイク・シャドール」
平家早織、四季音花恋の協力を得てノワールが扱う影人形を真似た新たな攻撃方法。
見た目は某バーローに出てくる黒タイツさん、しかし下半身は水無瀬恵の影と直結している。イメージ元は昔、発売していたブルードラゴンの影。
観覧ありがとうございました!