ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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62話

「ふっふ~ん! どれにしよっかなぁ~! ノワールの奢りだしたっぷり食べないとね!」

 

「お前、毎回メニューの端から端まで頼んでるだろうが……とりあえず俺は何にすっかなぁ~よし決めた! キムチラーメン大盛! ついでにチャーハンだな!! ヴァーリ、一誠、お前らは何にする? 夜空が先に言ったがここは俺の奢りだから好きなもん食って良いぞ」

 

「ありがたいね。なら豚骨味噌ラーメンネギメンマ大盛、ライスも貰おう」

 

「……黒井、これだけは言わせてほしい事があるんだ」

 

「ん? なんだ?」

 

「――なんで驚かないんだ!?」

 

 

 向かいの席に座る一誠が大声を上げた。おいおい、周りには普通の客も居るんだし静かにしろよ? 追い出されたら夜空がキレて冥界滅ぶんだからさ……そもそもそのセリフ、此処に来る前に言おうぜ! そもそも夜空が突然現れる事なんて珍しい事じゃねぇし毎回こうして奢ってるから驚く事なんてない……普段と変わらない光景だしね!!

 

 俺達が居る場所は至って普通のラーメン屋。メンバーは影龍王()光龍妃(夜空)白龍皇(ヴァーリ)、そして赤龍帝(一誠)の四人だ。恐らく俺達を知っている奴らからしたら何をしてんだって驚かれる事だろう……だって二天龍と地双龍が一つのテーブルを囲んで飯を食ってんだもん!! きっと過去を遡っても絶対に起こったことが無いであろう光景だよなぁ……そもそも互いに殺し合う宿命だし仲良くすること自体が奇跡だと思うし。というよりも夜空ちゃん? よだれ出てるからちゃんと女の子しようぜ! 普通の女の子はメニューをガン見してよだれなんて流さないんだしさ!

 

 

「だってこいつらがやってくることなんて珍しい事じゃねぇし」

 

「いやいや待て待て! 驚こうぜ!? そもそもなんで校門前で「やぁ、影龍王」って呼ばれて「おう、久しぶり白龍皇」って返すんだよ!? 普通は警戒するんじゃないのか!?」

 

 

 どうやら一誠は此処に来る前の俺とヴァーリのやり取りにビックリしていたようだ。いや……俺だって少しは驚いたんだよ? 何事もなく……いやビッグイベントっぽいのは有ったけど普通に授業を受けて、普通に平家がダウンしたから保健室に連れて行ってイチャイチャもどきをして、普通に保健室で昼飯食って、普通に帰ろうって思ったら校門前にヴァーリが居たんだぞ? 驚くに決まってんだろうが。まぁ、でもぉ! この銀髪で! イケメンで! 天才なルシファー様は佇む姿だけでキャーキャーと何も知らない一般生徒から言われてましたけどね!! マジでイケメン滅びろ!

 

 ちなみに一誠は偶然近くにいたのを捕獲、夜空は三人が集まってるなら参加するぅ~とかで勝手に現れました。流石規格外。

 

 

「……警戒した方が良かったか?」

 

「キミが警戒をしたら偽物かと思ってしまうな」

 

「だよな、残念だが一誠君……キミの疑問は無意味になりました。とりあえず今すぐ殺し合うってわけじゃねぇんだから仲良く飯を食おうぜ? ほら! その……ドラゴン達だって仲良くしてたじゃないか!」

 

「黒井……仲良くって言うか黒井のドラゴンがドライグ達を虐めていたようしか見えなかったんだけど……?」

 

「気のせいだ」

 

 

 四人で仲良く歩いている最中、相棒が二天龍の二体に向かって『お久しぶりですなぁ! おっぱいドラゴンにヒップドラゴン! 今日も乳と尻のどっちが優れているかを確かめるために殺し合うんだよなぁ!』とか『仲がいいなぁ! 流石乳龍帝と尻龍皇! 乳と尻を司るドラゴン達だぜぇ!』と煽りに煽って再会を喜んでいた。当の二体は当然の様に反論していたがユニアからトドメの一撃を受けた事で両者共に大泣きして引っ込んでしまった……ドンマイ!

 

 

「影龍王、出来ればアルビオンをあまり刺激しないでくれ。カウンセラーに通ってようやく落ち着いてきたんだ」

 

 

 真面目な顔をしたヴァーリが面白い事を言ってきた。何でカウンセラーに通ってるんですか?

 

 

「……ぷ、ぷははははははは! カウンセラー! カウンセラー!! 天龍が!? やりたい放題してたあの天龍がカウンセラーって!! ちょ、ヴァーリ! 面白いこと言うなって!! やっべぇ腹イテェ!!」

 

「ちょ!? ヴァーリぃ! いきなり面白い事を言わないでよぉ!! あははははは!! む、むりぃ! おもしろすぎぅ!! あははははははははは!!!!」

 

『ゼハハハハハハハハハハ! おいおい面白れぇじゃねぇの!! ドラゴンがカウンセリングを受けるなんざ偶にあるがヒップドラゴンちゃんよぉ! 心が弱いんじゃありませんことぉ? ゼハハハハハ! 受け入れちまえば楽になるんだぜぇ? テメェもドライグもプライドだけはたけぇからなぁ!!』

 

『クフフフフフ! クロム、言ってはいけませんよ? ドライグもアルビオンも最高の(オス)だというのに高すぎるプライドが邪魔をして……あぁ、可哀想に! 私が生きている内に押し倒しておけば! 未来永劫(メス)を抱けずに宿主が楽しんでいるところを眺めるしか出来ないなんて……! 今後も一生童貞だなんて口が裂けても言えませんね!! あぁ! 聖書の神はなんて酷い事を!! これが神のすることですか!』

 

『ユニア! 言っておくが俺は童貞じゃねぇ!! ちゃ、ちゃんと経験をしている立派なドラゴンだ!! アルビオンとは違うのだ!!』

 

『なに!? それは聞き捨てならないぞドライグ!! 私だって経験をしている! 白龍皇と称された私は未経験なわけがないだろう! そしてユニア、仮に体があったとしても貴様とはご免だ!』

 

『あぁ! 貴様と交わりなどすれば一ヶ月はさせられるだろうしな。まさか忘れたとは言わせないぞ……? 貴様の性欲が原因である種族が絶滅の危機に陥ったことがあっただろう!!』

 

『知りませんね。何度も種を植え付けたというのに子を宿せなかった弱小種族が悪いのです』

 

 

 なんだかんだで仲良く話してるけどさ、聞いている側の感想としては過去のユニアがやべぇって事なんだけど? 生前のユニアってどんだけビッチだったんだよ……一ヶ月間ずっとエッチしまくりとか何言ってるか分かんない。飯とかどうしてたんだよ……あぁ、男から出ますもんね! ちょっと異臭がするあれが! スゲェなドラゴンの性欲! 俺でさえそこまではならないから尊敬するわ。

 

 そしていつの間にか注文をしていたらしい夜空が滅茶苦茶食ってる件について。ちゃんとスープを飲み干して次から次へと食ってるけどさ、なんだよこの丼の数……? 山になってんだけどこの店持つのか心配になってきたわ。一応、ヴァーリがおすすめと言ってた場所だから潰すような真似はするなよ? あと絶対にカード使用しないとダメだわこれ。

 

 

「……お、おい黒井? これ、足りるのか?」

 

「カード使うから問題ねぇよ。デュランダルがグレモリー先輩の眷属になる前に店で会った時があっただろ? その時も今みたいに馬鹿食いしてたからな……こいつ曰く、どれだけ食っても体重と体型が変わんないんだってよ」

 

「……それって永遠におっぱいがせいちょ――ひぃ!?」

 

「せきりゅーてー? なんか言おうとしたぁ?」

 

「何でもない! 何でもないですごめんなさい! はぁ……とりあえず味噌ラーメン大盛頼むよ」

 

 

 良かったな一誠! 今のセリフを最後まで言ってたら死んでたぞ! 大丈夫だ、その疑問は既に俺が何回も思ってる事だからお前が悪いわけじゃない……永遠にちっぱいの宿命を背負ってんだよ、この規格外様は!

 

 

「ノワール? 一回死んでみる?」

 

 

 お前は平家かよ。

 

 

「殺せるんなら良いぞ? てかそろそろ真面目な話に入るか。ヴァーリ、何の用だ?」

 

「……そのセリフ、絶対に会った時に言う事だろ……!」

 

「――あぁ、そういえばキミに用があって尋ねたんだったな。尋ねた理由は影龍王とバアル家次期当主がゲームをすると聞いてね。どうしても伝えたい事があったからなんだ」

 

 

 お前絶対忘れてただろ? どんだけラーメン好きなんだよ。

 

 

「なんだぁ? 夜空みたいに負けたらキマリス領を吹っ飛ばすとかか?」

 

「そんな事はしないさ。影龍王、キミとバアルのゲームは誰にも邪魔はさせないから安心して戦ってほしい。珍しい事に曹操も同じことを言っていたんでね、これは伝えておいた方が良いと思っただけさ」

 

「ん~めっずらしぃ~! んじゃ私もそうしよっと!! 邪魔する奴いたら消滅させっから必ず勝ってね? もし負けたらグレモリーとのゲーム前に言ったようにノワールの家族もろともキマリス領を吹っ飛ばすからそのつもりでね!」

 

 

 はいはい、そんな事を言われるまでもなく負けねぇっての。チョロイン筆頭(魔帝剣グラム)が煽ってくれたお陰で歴代の殆どは俺の()()に染めたしな! ゲーム前までには覇龍の強化形態は完成するだろう……こうして考えるとあのチョロインって役に立つな! 雑魚散らしにしか使えねぇと思ってたがまさか歴代を染める切り札になるとは思わなかったぜ!

 

 そして一誠君? その疑問に満ちた目で見られたら照れちゃうよ? 多分だけど俺達とのゲームに負けてたら家族とかが滅んでたのかって思ってるだろうけど……はい! 普通に殺されてましたね! 目の前の規格外に!

 

 

「そりゃまた豪勢な護衛だなおい。こんだけ期待されたら楽しませねぇとやっべぇな!」

 

「……ヴァーリ」

 

「なんだい?」

 

「信じて良いんだよな?」

 

「あぁ。俺も光龍妃も影龍王とバアルとの対決は楽しみなんだ。兵藤一誠、キミの疑問は俺達と曹操が手を出さないという事だろう? それならば信用するしない以前の問題だ。俺達はドラゴンを宿す者、強者同士の対決を邪魔するような真似はしない。そして曹操だが当たり前のことを言ったに過ぎない」

 

「だねぇ。あれ(曹操)ってさ、人間が化物を相手にどこまでやれるか確かめたいって本気で思ってるからさ。てーか曹操からしたら敵が勝手に同士討ちっぽい事をして情報をタダで見せてくれるんだよ? 邪魔するわけねーじゃん」

 

「だろうな……俺も禍の団絡みのテロも解決してないのに若手悪魔同士のゲーム続行とか馬鹿じゃねぇのって思ってるし。それを見られて対策されたらどうすんだよ……それでも勝つけどね!!」

 

「悪魔とかってそういうところが緩いよね。やっぱりあの時もっと殺しとけばよかったかなぁ? でもあの程度で終わらせたからノワールとバアルのゲームが見られるんだしこれで良かったって思えばいいかな? まっいっか! 面白いし!」

 

「あの時……あぁ、上層部の奴らを消し飛ばした事か。お前が暇ならまた殺せばいいんじゃねぇの? どーせサイラオーグ・バアルとゲームとなれば混血嫌いの馬鹿共がなんかするかもしれねぇしな。俺も雑魚散らしにもってこいな魔剣を手に入れたし何かされたら冥界ごと消し飛ばすけど……なんなら一緒にやるか?」

 

「別に良いよ? だって私はノワールとヴァーリと赤龍帝以外の悪魔って嫌いだし」

 

「俺もお前と母さん以外の人間って嫌いだわ。だから俺と付き合ってくれ」

 

「ヤダ」

 

 

 泣いてない。泣いてなんかいない。

 

 

「……だよな。まぁ、心配しなくても乱入されたらそいつをぶち殺すから飯でも食いながらのんびり観戦でもしててくれ」

 

「そうさせてもらうよ。あぁ、そうだ。旧魔王派だが最近は息を潜めて何かを企んでいるらしい。もっとも残された旧魔王の血を引く者は俺達には及ばない存在だよ。だから姿を見せたら殺すと良い」

 

「お前……同じ禍の団に所属してるんだろ? そんな事を言って良いのかよ?」

 

「俺は別に旧魔王派というわけでもないからね。任務も美猴達が受けるだけでそれ以上の事はしていない。俺がアザゼルを裏切ったのも三大勢力にとらわれず、自分の目で世界の謎を知りたいと思ったからだ。自由の身になったことで光龍妃とも邪魔をされずに会えるから今の立場は悪くはないね」

 

「羨ましいよホント、こっちは身内にクソ甘な魔王の下で働いてるってのにお前は気軽に夜空に会えるとか羨ましい、マジで羨ましい。てか世界の謎ってなんだよ? なにその面白そうなフレーズ!」

 

 

 ヴァーリ曰く世界には色んな謎があるらしいのでそれを解析もどきしているようだ。未だに行方不明な伝説の聖剣とか魔剣とかドラゴンとか神様とか……上げたらキリが無いぐらい大量にあるようでヴァーリも楽しんでるっぽい。良いなぁ、俺も自由になりてぇわ。

 

 

「……なんか、お前も変わったことをしてるんだな」

 

「そうかな? 訪れた地で強者と会うことも有る、意外と楽しいものだよ」

 

 

 どうやら一誠はヴァーリの考えというか行動に理解できないようだ。まぁ、基本的に暇つぶしの部類に入るだろうしなぁ。でも未知の場所を探検とかちょっと楽しそうでマジで羨ましい!

 

 

「あのさー? ちょこっと気になったんだけどぉ! ノワールって赤龍帝を名前で呼んでたっけ?」

 

「ん? あぁ、それか。気に入ったから名前で呼んでるだけだが……そんなに変か?」

 

「だって自分の眷属も名字で呼んでんじゃん。変って言えば変かなぁ~? ノワールらしいけどさ」

 

「別にあいつらも名前で呼んでも良いんだがそれだと周りがな。王の俺が眷属の奴らを呼ぶ時に気を付けねぇと色々と陰口言われんだよ。それがめんどくさいから名字で呼んでるだけだ」

 

「……そうなのか? 部長は俺達の事を普通に呼んでるけど何も言われないぞ?」

 

「そりゃそうだろ。だってグレモリー先輩は魔王の妹なんだし。純血主義が広がってる冥界で、しかも魔王の妹の先輩に文句とか言ったら一発でアウト。即牢獄行きだ。だから俺みたいな混血はことあるごとに何か言われるのさ……お前も上を目指すならこれだけは覚えておけ――ニヤニヤ顔で近寄ってくる奴は全て敵、(おだ)てる奴も敵、馬鹿な反論をする奴も敵だ。王になったらその辺も考えねぇと大変な事になるぜ」

 

 

 これは全て良い子ちゃんだった時の俺が味わった事だ。親父と結婚した母さんを誉めた後、見えないところに隠れてボロクソ罵ってたのを何度も聞いた。ただ普通に歩いてただけなのにわざと目の前で転んで大泣きする演技をしてストレス発散とばかりに叱ってくる馬鹿もいた。今の冥界ってのは過去の栄光を手放せない奴らが多い……自分達のような純血以外は認めたくないんだ。だってそれを認めたら今の地位が無くなるしね。だから転生悪魔で王になった奴らは苦労してるだろう……もし苦労していないならまぁ、そういう事(裏で何かをしている)だ。

 

 

「まっ、今のまんまじゃ何時になるか知らねぇけどな。一応覚えておいた方が良いぜ」

 

「お、おう……」

 

 

 そんなこんなで楽しい楽しい食事も終わり、俺は家に帰る。夜空はいつもの様に転移術でどこかへと飛んで行き、ヴァーリは待機していたらしい美猴と共に町へと消えていった。一誠は同じように待機してたらしい先輩と一緒に帰ったので俺は一人寂しく家へを帰る羽目になった……泣いてないよ、ぼっちになって泣いてるわけがないよ!

 

 

「お、お帰りなさいませですわ! き、キマリス様! お、お怪我はされていませんか!?」

 

 

 玄関を開けると金髪のツインテール、小柄な体型だというのに巨乳な美少女が出迎えてくれた。出来れば今のセリフをメイド服を着てもう一回言ってほしいんだがダメだろうか?

 

 

「怪我なんてするわけないだろ? そもそも普通に飯食ってきただけだしな……あっ、ただいま、レイチェル」

 

 

 出迎えてくれた美少女――レイチェル・フェニックスは俺の言葉に何故か顔を赤くし始めた。多分だが今のやり取りが夫婦っぽいから照れたとかそんな感じかねぇ? 俺としてはどうでも良いけども。てかこのやり取りは夜空としたいわ!

 

 何故フェニックス家のお姫様であるレイチェルが結構ラフな格好で此処に居るのかというと俺達が通う駒王学園に姉妹揃って転校してきたからだ。本当なら姉妹で部屋を借りるなり冥界から通うという手を使えばいいんだろうけど目の前にいるお姫様が俺の家から通いたいと言い出した結果……ホームステイが決まりました。親父も断ればいいのに友人だからって良いよ全然良いよ! って感じで即了承したから断るに断れずこうしてやってきてしまったわけだが……お姫様だから部屋着も豪華なものかと思ったらそうでもないのね。見た目だけなら普通の美少女高校生、おっぱいの存在感がヤバいです!

 

 ちなみに姉のレイヴェルは一誠の家にホームステイしたらしい。フェニックス家の野望が丸見え過ぎてドン引きです。

 

 

「お帰りノワール。お姫様、そこにいると邪魔だから早くどいて」

 

「なっ!? じゃ、邪魔なんてしていませんわ!! 先ほどまで部屋に籠っていた方がいきなり何を言い出しますの!」

 

「お姫様のせいで今日一日は大変辛い目にあったから仕方がない」

 

 

 だろうな。フェニックスの双子姫が駒王学園に転校してきたせいでかなり盛り上がったし。美少女姉妹、しかも双子! そして巨乳! これだけ揃えばヤることしか考えてない男共はもう大変だろう……きっと今頃は二人をネタにオナニーしているに違いない。

 

 ギャーギャーと仲が良いのか悪いのか分からないが口喧嘩を始めている二人を放置して居間へと向かうとテーブルに座って何かをしている橘とそれを眺めているオコジョが居た。この場に犬月が居ないがきっと修行かなんかしてんだろ……修学旅行が終わってから特訓に力を注いでるしな。

 

 

「悪魔さん、お帰りなさい。えっと……大丈夫でしたか?」

 

「ただいま。問題ねぇよ、んで? 橘は何してんだ?」

 

「もうすぐ若手悪魔同士のゲームが始まりますし今の私に出来る事を整理してたんです。京都では裏方に回ってましたし悪魔さんのために精一杯頑張りたいですから!」

 

 

 プルンとおっぱいを揺らしながら張り切った様子を見せてきた。流石アイドルおっぱい、その揺れを少しでも良いから規格外の壁に与えてくれませんかねぇ?

 

 

「真面目だねぇ。別に今まで通りにやればいいぞ? 下手に考え込んでスランプになる方が面倒だ」

 

「そうですけど……やっぱり勝ちたいんです! あの、悪魔さんから見て私ってどうですか……? えっと違いますよ? 女の子としてじゃなくて戦ってる私と言いますか! そうですそんな感じです!」

 

「どうって言ってもなぁ……頼れる後方支援担当か? 正直、水無瀬と一緒で眷属になってくれて助かってるしな。まぁ、なんだ……お前は破魔の霊力があるしこいつ(オコジョ)も居る、そして歌に魔力を乗せられるハイスペックな奴だ。自信もって良いさ。俺としてはそろそろ禁手に至ってくれると助かるけどな」

 

「うぅ……ご、ごめんなさいです。アザゼル先生にも相談したんですけど独立具現型神器って禁手に至るのが悪魔さんや水無瀬先生のように簡単じゃないみたいで私もどうしたらいいか分からないんです」

 

 

 だろうな。俺の様に封印系の神器、水無瀬の様に能力を持つ物体を出現させる神器は本人の意思を直接神器という器に反映できるが橘の様に神器自体が意思を持って行動している独立具現型はそうはいかないだろう。俺も神器に関しては詳しいとまではいかないが面倒だなって事は分かる……なんせ神器自体が意思を持っているからな。本体の意思で操作できると言ってもあれをやれこれをしろって感じで動かすにはかなり集中力を要するはずだ。現に今もこのオコジョは橘の近くに座った俺の頭の上に移動したきたが橘の意思ではないだろう……多分。

 

 橘自身も歌に魔力を乗せたり破魔の霊力で戦ったりするから思考がそっちに集中してしまい、神器に自分の意思を反映させきれてないんだろう。まぁ、激しい戦闘中に神器と自分の動きを同時にしろなんて無理だからこそマフラー形態に変化させるって手を使うわけなんだし。

 

 

『ゼハハハハハハ。独立具現型の特徴は本体が安全圏から攻撃が出来るって事だ。それ故に普通なら本体は雑魚になっちまうがしほりんは別よぉ! 悪魔故に本体も戦えるからどうしても神器の扱いが下手になる。生物の脳ってのはあれをしながらこれをする事には特化してねぇしなぁ』

 

「だな。どうしても片方に集中しちまうともう片方が疎かになる……どうすっかなぁ? あのマフラー形態で戦うっていってもそれだとダメなんだろ?」

 

「はい……あれは防御に特化しててどうしても攻撃に回すとなるとキー君が本当の姿じゃないと攻撃力が足りないんです。私の破魔の霊力も弾丸として飛ばすと威力が落ちてしまいますし……やっぱり難しいですよね」

 

「難しいかって言われたら難しいだろうな。まっ、禁手に至りたいなら自分の我儘をこいつ(オコジョ)に伝えれば良いさ。強い我儘ほど神器は答えてくれるしな……頑張れ頑張れ。水無瀬が出来てお前に出来ないわけがねぇんだよ」

 

「悪魔さん……あの、む、胸を突きながら良い事を言うのはやめてほしいです」

 

「え?」

 

 

 いやだって目の前にこんな大きなおっぱいがあったら突きたくなるだろ? 男なんだし仕方がない!

 

 

「ノワールが志保に変態行為している。これは大変だー私も犯されるー」

 

「なんで棒読みですの!? そ、それとキマリス様!! 女の子のむ、胸を触ったりしてはダメですわ!」

 

「レイチェルさん……そうですよね! 悪魔さん♪ 相談に乗ってくれてすっごく嬉しかったよ♪ ちょっと正座してください♪」

 

「えっちぃの禁止委員会委員長と副委員長誕生だね」

 

 

 流石にそれは勘弁してほしい。俺の行動の大半がアウトになっちゃうからさ! しっかしホームステイ初日なのにすごく仲良くなってんなぁ……あれか? 同じ巨乳属性だからか?

 

 

「……あぁ、そうだ。犬月と四季音姉妹、水無瀬が居ないが先に言っておく。もうそろそろ記者会見有るから準備だけはしておけよ? 結構大々的にやるようだしな」

 

「ヤダ、拒否する、死にたくないでござる」

 

「諦めろ」

 

 

 俺だって出たくないのにお前だけ欠席とか絶対に認めねぇ……! まぁ、夜空もヴァーリも曹操ちゃんも注目してるっぽいし派手にやるけどな――ゲーム当日までに何とか完成させねぇとな。だって夜空をビックリさせたいし!




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