ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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影龍王と獅子王
61話


「というわけで俺の新しい兵士、茨木童子改めて四季音祈里(しきねいのり)です……ほい挨拶しろ」

 

「四季音祈里。主様(あるじさま)の兵士になった。伊吹共々よろしく」

 

 

 修学旅行が終わり、数日経った放課後、俺は新しい兵士となった茨木童子――いや四季音祈里を連れてオカルト研究部の部室に訪れていた。この場にいるのはオカルト研究部の顧問らしいアザゼル、部長のグレモリー先輩と一誠達眷属全員、そして生徒会長とシトリー眷属という面々だ。俺と四季音()がソファーに座り、対面の席に先輩と生徒会長、そして顧問席らしき場所にはアザゼル、他の面々は後ろに立ったりしている……ごめんね! 本当は先輩と生徒会長だけでよかったのに呼んじゃってさ!!

 

 ちらりと横に座る四季音妹を見る。服装は白いシャツにグレーのカーディガン、そしてスカートというどこにでも居そうな中学生っぽい感じだ。長い金髪を橘や水無瀬曰くハーフアップというらしい髪型にしているせいか黙っていれば……黙っていれば! 良家のお嬢様とかに見えるかもしれない! しかし残念な事に見た目に反して中身はポンコツだから世の男共は落胆するだろう……なんせ修学旅行から帰ってきたら四季音()と一緒に酒を飲んでたしな。しかも樽で。かなりの重さがあるであろう樽を片手で持って飲んでいる姿を見た俺と犬月は引いた、マジで引いた。ちなみにそこから丸一日、四季音姉と一緒に酒飲んでたが酔っぱらう事もなかったよ!!

 

 

「リアス・グレモリーよ。キマリス君と同じ王、禍の団との戦いで共に戦う事もあるかもしれないわね。よろしくね、四季音祈里さん」

 

「ソーナ・シトリーです。リアスやキマリス君と同じく王です。こちらもよろしくお願いします。それにしても茨木童子……ですよね? キマリス君の戦車をしている四季音花恋さんと同じ苗字ですけれど何か理由が?」

 

「いや、大した理由は無いですよ? 四季音姉……あぁ、えっと、酒呑童子が同じ苗字を名乗りなよとか言ったんで名前変えただけですし」

 

 

 

 ちゃんとした理由を言うなら鬼勢力と三大勢力はまだ同盟を結んではいない。そんな中で分家とはいえ酒呑童子と茨木童子が悪魔になったから色々と面倒が生じる……らしいので四季音から同じ苗字を名乗るように提案したってわけだ。祈里ってのもそのまんまで崇拝というか依存してるから祈ってるのと一緒だよなってことで祈里。我ながら安直だったわぁ……平家にすら鼻で笑われたしね! ちなみに姉は酒呑童子、妹は茨木童子です……見た目的に逆だろと犬月がボソッと言ったら殴られてたんで二人の間ではこれで決定みたいだ。

 

 

「名前を変えることに関しては俺も賛成だ。酒呑童子や茨木童子、言っちまえば鬼の勢力は三大勢力との同盟を渋ってやがるしな。元々鬼は縦社会みたいなもんだ、俺達みたいな悪魔や天使に堕天使と何もしないで仲良くしましょうとかは絶対にない。それなのに人間界でも有名な鬼を二人も眷属に引き入れてんだ……いつ戦争になってもおかしくはねぇ。結構知れ渡ってるとはいえ名前を変えて鬼とは関係ありませんという態度をしてくれた方がありがたい」

 

「鬼は弱者には従わない。戦闘は好き。酒はもっと好き。楽しい事はもっともっと好き。でもタダでは従わない。それが鬼。伊吹と家に帰った。伊吹に従う鬼からは歓迎された。でもそれ以外の鬼からは出て行けと言われた。だから帰ってきた。慕ってた鬼は泣いてた」

 

「要約するとうちの四季音姉妹は鬼勢力から除外されてるっぽい。だから戦争とかには今のところはならないみたいだぞ? もっとも俺的には戦争大歓迎だけどな」

 

「縁起でもねぇこと言うなよ……ただでさえ禍の団絡みで忙しいんだ。敵が増えるのは勘弁してほしいぜ。ところでキマリス、既にサーゼクスから聞いているとは思うが――サイラオーグ・バアルとのゲームが決定した。誰もが注目する一戦だがお前さん的にはどうなんだ?」

 

 

 アザゼルがニヤニヤしながら聞いてきた。どうと言われても楽しみとしか言えないんだけどねぇ……そもそも予想してたしな。俺達キマリス眷属はグレモリー先輩と……えっと、誰だっけなぁ……アスタロト家次期当主くんだったかちゃんだったか忘れたけどそいつと戦って二戦二勝、獅子王も確かグラシャラボラス家次期当主くんだったかちゃんだっかた忘れたけどそいつとアガレス家次期当主ちゃんと戦って二戦二勝……つまり俺達と同率状態だ。そうなったらどっちが上なんだって周りも気になるだろうしこうなるのは必然。

 

 魔王様から聞かされてから犬月達はやる気を出して特訓に励んでいる……もっとも四季音姉妹と平家は普段通りだけどな。

 

 

「どうもなにも戦うなら勝つだけだが? 俺的にも本気を出しても良さそうな相手だしワクワクはしてるよ。どんな一撃が来るんだろうとかかなり楽しみだ」

 

「……言うと思ったぜ。緊張すらしないのは流石だよ」

 

「えぇ……サイラオーグとキマリス君のゲームが終わった後は私達の番だけれど戦う前からプレッシャーよ。イッセーが新しい力に目覚めたとはいえ私の実力がまだまだ未熟、必ず勝つとまではいかないから……応援しているわ。勿論サイラオーグにもだけれどね」

 

「誰もが王同士の対決を望んでいるでしょう。影龍王と若手最強、注目しないはずがありません」

 

「あーそういえばそのせいで記者会見があるんですよ、メンドクサイ事にね……変わってもらえません?」

 

「ダメよ。それも王として大事な仕事なんだからちゃんとしなさい」

 

 

 そんなお母さんみたいなことを言わないでくださいよ先輩。まっ、記者会見だろうが何だろうが好き勝手にやらせてもらうけどね。

 

 

「ところでアザゼル、四季音妹の挨拶はこの辺にして話が変わるんだが……ちょっとだけ、うん、ほんのちょっとだけ相談があるんだよ」

 

「おっ、珍しいじゃないの。良いぞぉ! お前さんの相談なんて凄く怖いがおじさんが聞いてあげよう」

 

「いやさ、犬月から聞いたんだがそこのデュランダルが変わったらしいじゃん? ちょっとその辺りの話を聞きたいんだよ。もしかしたら俺の悩みが解決する糸口になるかもしれねぇし」

 

「……なるほどな。グラムか」

 

 

 さっすが堕天使の頭、デュランダルしか言ってないのに即効で理解するなんてスゲェなおい……大正解だ。

 

 

「まぁな……平家から、いや犬月や橘、水無瀬からもだが苦情が来てな……魔剣が放つ呪いが怖いとか気持ち悪いとかせめて鞘に入れてくださいとかボロクソ言われちゃったから鞘を探してんだよ」

 

「主様。魔剣を鞘に入れずに床に放置したりしている。パシリ。それを踏んで泣いてた。魔剣も怒って呪いを放ってた。主様は笑って踏みつけて雑に扱ってた。理解できない」

 

「同感だ。おいおいお前馬鹿だろ? 魔剣の帝王や伝説の魔剣を子供の玩具みたいにその辺に置いておく神経が理解できねぇ……眷属からの苦情は正論だろうに。魔剣もまさかここまで雑に扱われるとは思ってもみなかっただろうぜ」

 

 

 だって鞘が無いんだし仕方ねぇじゃん。そもそも親父が悪いんだよ……地双龍の遊び場にチョロイン五本を捨ててたら呪いが広がったようで運悪くそれに巻き込まれた近隣の方々から色々と苦情が飛んできたらしい。そんな事が起きたから出来ればちゃんと保管してくれと土下座してきたから仕方なく、本当に仕方なく! 家で保管する羽目になったんだ。でも何度も言うが鞘が無いから床に突き刺すわけにもいかず、適当に部屋の端っこに置いていたら犬月達からも苦情が飛んでくる始末……俺にどうしろと? ちゃんと扱えって言われても鞘がねぇんだよ!

 

 平家からは『構って構ってと五月蠅いし私とキャラが被るからなんとかして』と理不尽な事を言われ、犬月からは『間違って踏んだら俺みたいに大変な事になるので本当に大切に扱ってください!』と足から血を流しつつ土下座され、橘からは『悪魔さん……志保、怖いのは嫌です♪』と破魔の霊力全開で狐も電気バリバリと臨戦態勢で脅され、水無瀬からは『掃除が大変なのでちゃんとしまってください』とお母さんみたいなことを言われた。四季音姉妹? あぁ、いつもの様に寛容だったよ。

 

 そんなこんなで鞘をどうしようと考えた結果――普通の奴だと無理だなという答えに行きついたわけだ。だって俺が近くに居れば否応なしに呪いが発動するんだ……その辺にある鞘程度じゃ意味は無いしなにより! チョロイン共が納得しない。俺と平家しか分からないがこのチョロイン共……前の所有者だった男に文句を言いたかったぐらい自分達にふさわしい鞘でないとダメらしい。なんて我儘な!

 

 

「……匙からも泊まった部屋に放置された魔帝剣グラムに殺されかけたと聞きました。確かに呪いを放つ魔剣が床に置かれていたら色々と困りますね。しかしキマリス君、普通の鞘ではだめなのですか? それかゼノヴィアさんのように異空間にしまうとかすれば解決すると思うのですが?」

 

「あぁ、それなんですけど……見てもらった方が良いか。一誠と匙君には怖い思いさせるが許してね♪ そんじゃカモン! チョロイン!!」

 

 

 魔法陣で俺の部屋の隅っこに追いやっていたチョロイン五本を呼び出す。心なしか「敵か? 敵だな! 龍が居るぞ!」って感じでチョロイン筆頭(魔帝剣グラム)が喜んでいる気がする。ちなみに一誠と匙君は互いに抱き合ってブルブルと震えているけども……掛け算しちゃう? どっちが受けでどっちが攻めかな?

 

 

「これが……伝説の魔剣ですか」

 

「イッセー達が居るせいかしら……気持ち悪い何かを放っているわね。祐斗、ゼノヴィア、これはどうなのかしら?」

 

「そうですね……体感的にですけど怒っているかと思われます。特にイッセーくん達のドラゴンにですけどね。京都でもグラムを使用している場面を見ていましたけど正直……僕でも何故使用できているか分かりません。魔剣には代償が付きまといます、龍殺しの呪いを秘めているグラムをドラゴンである黒井君が使用すれば呪いが体を蝕むはずです」

 

「うん。言ってしまえば魔帝剣グラムはデュランダルと同じ性質だ。酷く暴れ回る馬のような剣なのにあれだけオーラを連続で放てる影龍王には驚いた……生まれ変わったデュランダルと対決しても勝てるかどうかは分からないね」

 

「……とのことだけれど、キマリス君は何ともないのかしら?」

 

「はい。というよりもですね――この程度の呪いを受け入れずに何が影龍王だとカッコつけたいんですけど? なんだかんだで可愛いもんですよ、チョロイですし。全力を出させてやれば喜んで尻尾振り出すぐらいチョロインですし。だから何ともないかと聞かれたら全然問題ないとしか答えられません。そして生徒会長の提案ですけども見ててくださいね? はい、普通の鞘に入れて良いですか?」

 

 

 チョロイン共から呪いの濃さが増す。俺しか分からないが「嫌です」と言ってるみたいだ。

 

 

「知ってた。そんじゃ次だ、異空間に入れて良いか?」

 

 

 またもや呪いの濃さが増した。知ってた! どんだけ我儘なんだよこいつら……折ってやろうか。

 

 

「――というわけでこのチョロイン共、自分に相応しい鞘じゃないとダメらしいんで生徒会長の提案は却下なんですよね」

 

 

 何故だろう……四季音妹以外の全員からうわぁって感じで引かれている気がする。うん、俺もこの我が儘ぷりに引いてる。でも可愛いんだよ? 京都で使用してみて群がる雑魚を皆殺しにするにはもってこいだと気が付いたし! 呪ってくると言っても構って構ってと平家みたいにくっ付きたがるようなもんだしさ……だから何も問題ない。というよりも魔剣相手に嫉妬してる平家に絶句というか引いてるぐらいだ。

 

 

「お前さんが鞘を探している理由は良く分かった……だがこれだけは言わせろ。キマリス、お前さんは長生きできねぇぞ? 魔剣の呪いを受け入れるなんざ寿命を削ってるようなもんだしな」

 

「夜空が居なくなったら死ぬからどうでも良い。てかデュランダルの話を聞きたいんだけどさぁ、何をしたん?」

 

「そうかい……デュランダルだがやったことは簡単だ、六本のエクスカリバーを天界側の技術で鞘にして被せた。元々デュランダルのオーラには他の聖剣に影響を及ぼすことが確認されてたしな、それを利用してエクスカリバーを刀身に鞘として被せ、漏れ出すオーラを封じ込めるとともに高めるって芸当をしたってわけだ。これの面白いところはな! 鞘になったエクスカリバーの力を引き出せるって部分だ、ゼノヴィアの力量次第だがエクスカリバーとデュランダルが同時に襲ってくるようなことが出来るってわけよ」

 

 

 ほうほう……犬月からはデュランダルがなんか変わってましたよ? と曖昧な感じでしか聞いてなかったから結構驚いた。スゲェな天界の技術……しかし鞘を作るか、作る……あぁ、そうすれば良かったのか。そもそもチョロイン筆頭(魔帝剣グラム)にふさわしい鞘なんざ世界中探しても見つかりそうにねぇし最初からそうすれば良かった! ちょうど良いことに()()もあるしな!!

 

 

「その顔、またトンデモナイ事を考えやがったな? 今更驚くことはしねぇからおじさんに言ってみろ」

 

「マジで? だったら言うわ。チョロイン……いやグラムの鞘作りたいから職人を探してほしい。交渉は俺がするから探してくれるだけでいい……流石の俺でもそっち方面の知り合いは居ないんでな、出来ないか?」

 

 

 平家の龍刀はドラゴンが作ったものだけどグラムには龍殺しの呪いがある……流石に受けてくれないだろうし別の職人を探すしかない。

 

 

「だろうと思ったぜ。グラム、バルムンク、ダインスレイブ、ノートゥング、ディルヴィング、この五本の魔剣は北欧が作ったもんだ……だから頼むとしたらオーディンか。ロキの件があるから断ることもないだろ、俺から話をしといてやるよ」

 

「あーなんだ、悪いが北欧の主神様には直接言いたい。こういうのは自分から言わないとダメだろ? 流石に主神レベルに俺みたいな普通の混血悪魔が謁見するのは難しいから会える日だけを設定してくれれば良い」

 

「……真面目だねぇ。なんでそれが出来て違う事が出来ねぇのか不思議だよ。あい分かった、オーディンに都合が良い日程を聞いておいてやる。だがキマリス……魔剣五本の鞘となると材料が必要だぞ? その辺は当ては有るか?」

 

「いや目の前にあるんだけど?」

 

「……俺の目の前には魔剣しか見えないんだがなぁ、リアス、ソーナ、お前らは?」

 

「同じよ……魔剣が五本あるわ」

 

「……いえ、鞘を作るとキマリス君が言った時から薄々は気づいていましたが、正気ですか……?」

 

「いやいや生徒会長様、俺様、一言も()()()()分の鞘を用意するなんて言ってませんよ? 用意するのはグラムだけですね」

 

 

 近くの魔剣四本から「嘘だろ」とビックリした感じで呪いを向けてきた。いやいや嘘じゃないぞ? お前ら、材料、今度からは魔剣じゃなくてグラムの鞘だ。うん! 良いね!! エクスカリバーが鞘になれるんならお前らだってなれるって!!

 

 

「馬鹿だ馬鹿だと言ってきたがここまでとは思わなかった……伝説の魔剣を鞘の材料にするなんて発想をするのはお前ぐらいだ。一応言っておくがそれらだってグラムには劣るが伝説の魔剣だ、剣士からすれば喉から手が出るほど欲しがる代物だぞ?」

 

「グラムの下位互換だろ? そもそも全部試してみたけどグラム以上の呪いを放てなかったから使う気すらない。それにさ、エクスカリバーが鞘になってデュランダルが強化されたんだろ? だったら対のグラムだってその権利ぐらいあるだろ?」

 

「……研究者から言わせてもらえばそれは危険だぞ。意思のある魔剣を素材に鞘を作ったとしようか、それをグラムに被せた場合――確実に呪いが跳ね上がるだろう。下手をすると作成の際に不安定になり魔剣四本が壊れる可能性もある……もっともそれは気にしちゃいないだろうがな」

 

 

 はい! だってグラムしか使う気は無いしね。それに魔剣五本の所有者になったけど俺は剣の才能無いし一本の剣になってくれた方がありがたい。管理しやすいしね! しかし不安定か……可能性の一つして考えていたがそうなることも有るだろう。どうすっかなぁ……おぉ! 居るじゃん! 安定というかトンデモナイ事をしている実例が!!

 

 

「アザゼル」

 

「はいはい、なんですか? お前の口から何が飛び出すかおっかねぇけど聞いてやるぞ?」

 

「いやさ……獅子王のあれってどうなってんの?」

 

 

 脳裏に思いついたのは獅子王の兵士だ。相棒から神滅具の一つと聞いたがどうやって兵士にしたのか地味に気になる。だってその方法が分かれば……ねぇ!

 

 

「サイラオーグの兵士か? それに関しちゃ俺も分からん。あれは神器システムから逸脱してやがるしな。サイラオーグ自身も謎と思ってるらしい……待てキマリス、まさか、おい、まさかとは思うがお前……!」

 

「――ゼハハハハハ、神滅具を悪魔に出来るんなら鞘の安定化ぐらいできるよねぇ」

 

「――イッセー、こいつを殴れ。馬鹿だこいつ! なんでその思考に至ったか簡潔に教えやがれ!! いやその前に殴れ! この馬鹿を殴れイッセー!!! いや俺が殴る! 殴らせろ!!」

 

「ちょっとまってキマリス君! 貴方……本当に馬鹿なのかしら!?」

 

「……」

 

「ヤバイ……会長が絶句してる、すっごく言葉を無くしてる……!」

 

 

 いやいやお前ら……酷くない? 俺様、真剣に考えた結果がこれだぞ? まぁ、二択だわな……魔剣四本と()()が無くなるか鞘として成功するか。どっちに転んでも俺には痛くも痒くもない賭けだから思わず笑っちまったぜ! うーん! 周りも唖然としている意味が理解できない! え? 普通じゃない? そもそも()()が無くなっても平家が居るし問題無いんだよ……うん、きっと平家自身も喜ぶだろう。だって唯一無二の存在になれるだろうしね。

 

 

「というわけで北欧の主神様と話せる場を作ってくれよ? それじゃあ色々と忙しいんでこれで失礼しまーす。四季音妹、帰るぞ」

 

「了解。主様、周りが固まっている。何故。分からない」

 

「俺も知らん。まぁ、放っておけばいいんじゃねぇの?」

 

 

 四季音妹とチョロイン共を連れて自宅へと転移するとソファーに寝転がっている平家と酒を飲んでいる四季音姉が待っていた。犬月と橘は地下で特訓中、水無瀬はどうやらまだ帰ってきてないらしい。やる気十分で何よりだよホントにさ!

 

 帰ってきた俺を見た平家は早く座れという視線を向けてくる。はいはい、膝枕すればいいんだろ? なんだか上機嫌だがどうした?

 

 

「これ以上騎士が増えることは無いと確信したから嬉しいだけ。ノワールの騎士は私だけで良いよ」

 

「そうかい。まっ、勝手に喜んでおけ……んで四季音姉? 結果は?」

 

「はっ! とーぜん合格したに決まってんでしょ。楽過ぎて欠伸が出たよ」

 

「伊吹おめでとう。嬉しい。私も早く伊吹に追いつきたい」

 

「にしし、イバラならすぐに中級になれるさ。なんせ私の妹だ、その辺の悪魔なんかには負けるわけがないからね」

 

「うん。伊吹の妹として頑張る。もっと頑張る」

 

「……平家」

 

「レズだけどレズじゃないよ、普通に慕って依存しているだけ。花恋がノワールとエッチしろって言えば普通にエッチするし、花恋が抱かれろって言えば普通に抱かれる。だからどっちでもオッケーな両刀娘」

 

 

 俺の膝を枕にスマホを弄っている平家がめんどくさそうに答えてくれたが……知ってた。京都でも怪しいなぁとは思ってたけど両刀ですかそうですかちょっと絡みを見せてくださいお願いします。まぁ、そんな事は置いておいて四季音姉の奴……めんどくせぇなおい! 四季音姉とか四季音妹とか分けるのすっごくめんどくせぇ!! いや良いや……とりあえず中級悪魔に昇格出来て良かったよ。知ってたけど。そもそも水無瀬や平家、橘から勉強を教わったんだから筆記は問題無いし実技に関しては心配する理由が無い。これで俺の眷属に中級悪魔が在籍することになるか……なんというか四季音妹もすぐに昇格しそうだな。筆記が心配だけども。

 

 

「ところでどうするの?」

 

「あん? 何がだ?」

 

「ホームステイ」

 

 

 嫌な事を思い出させやがって……マジでどうしよう? 今から断れないかな?

 

 

「無理でしょ。フェニックス家からの頼みだもん断れるわけないよ……それにお姫様も乗り気なんでしょ?」

 

「らしいなぁ……ライザーからも妹をよろしくとか妹に手を出したら焼くとか言ってきたしな。なんだって学園に転校してくるんだよ……別に来るなとは言わないがいきなりすぎるだろ?」

 

「ヒント、ノワールの女王」

 

「……それ、ヒントじゃなくて答えだぞ」

 

「知ってる」

 

 

 やっぱり貴族の考えることは分かんねぇな……とりあえず受け入れるしかねぇからここで愚痴っても仕方ないけどさ。あんのクソ親父……! 京都土産を買ってこなかったから仕返しのつもりか? ちゃんと母さんやセルス達には買ってきたんだから良いだろうに!

 

 

「……平家」

 

「善処する」

 

「そうかい、だったら期待できねぇな」

 

 

 どうやら俺の膝を枕にしているお姫様は仲良くする気が無いらしい。知ってたが嫌ってる理由ってあれだろ? おっぱいデカいからだってのは俺様、よぉ~く知ってるから安心しろ! 俺はちっぱいも大好きだからな!

 

 褒めたはずなのになんで馬鹿と言われて抓られないといけないんだろうか……理不尽すぎるだろ。




今回から「影龍王と獅子王」編が開始です。
観覧ありがとうございました!

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