ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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44話

「こんな朝っぱらから呼び出すんじゃねぇよ。んで? 何の用?」

 

 

 休日の朝、現在の俺の状態だったらベッドに潜り込んで熟睡モードに突入していたんだが……残念な事にとある人物に呼び出されてしまい遠く離れた空港までやってきていた。眠い、すっげぇ眠い……昨日というか今日の約一時間前まで平家とエロゲーしてたからマジで眠い。そもそもなんで平家と積んであったエロゲーを一緒にやろうという話になったんだっけ……? あぁ、そうだ、この前無断で学校サボってヴァーリ達とラーメン食ったのを知られたからだっけ? しかも俺が黒猫ちゃんと仲良くしてたのを心を読んで感じ取ったのか構って構ってと甘えてきて断り切れなかったから徹夜でエロゲー祭に突入したんだよな……ホント眠い。

 

 場所は俺の部屋、ベッドの上に寝間着に着替えた俺が座り、膝の上に裸ワイシャツの平家が座る。そして毛布を羽織り、パソコン前でひたすら音声とテキストが流れるの見続けるだけ。平家が着ていたワイシャツのサイズがあってないからちらっと視線を下に向けると綺麗なちっぱいと乳首が見えて非常に役得と言えば役得だった。とりあえず揉んだら身体を預けてお好きにどうぞと言いたそうな視線を向けてきたのは今も記憶に刻み込まれている……だからといって人の膝の上でオナニーし始めるのもどうかと思うぞ? 手を出さなかったとはいえ眠気とエロゲーの音と暇の三連コンボで危うく押し倒すところだったわ。

 

 でも流石はノワール君依存率ナンバーワンってか? 俺が別の女に寝取られそうになると即効で行動開始とは恐れ入るよ。まぁ、夜空以外興味ないんだけどね!!

 

 

「おいおい、前に話した事を忘れたわけじゃないだろ? 今日一日、お前はバラキエルと一緒にオーディンの護衛だよ。影龍王とバラキエルの二人が護衛なら禍の団もおいそれと手出しは出来んだろうさ」

 

「だろうね。いや、その件は忘れてたわけじゃないが……平家と徹夜でエロゲーしてたから眠いんだよ。なんでそんな時に呼び出すんだこのやろー」

 

「なんだそりゃ? お前さんならそんなモンをしなくとも発散できるだろうに。イッセーと違って肉食系だろ? 特に覚妖怪はお前さんにゾッコンのようだしいつでも抱けるだろ?」

 

「それとこれとは話が別なんだよ。平家を抱いた日には俺は即効で人生の墓場行きだ」

 

「愛されてるねぇ」

 

「重いけどな」

 

 

 俺を呼び出した張本人であるアザゼルに人の休日を奪ってんじゃねぇぞという視線を向けながら呼び出した理由を聞くと俺の予想通りの答えが返ってきた。一般にも知れ渡っているであろう北欧神話、その主神であるオーディンがもうすぐ日本、しかもこの空港にやってくる。普通に考えて神が一般人に混じって飛行機でやって来るとかなんか凄く違和感があるが……実際は違う。現在、俺達がいる場所は一般人が使用しているスペースとは違う。駒王町の駅の地下に冥界へ向かうために存在する悪魔専用スペースと同じように空港の地下にも同じように広がる専用スペースが存在する。利用するのは三大勢力以外の存在、海外の各神話体系の神々や人物が日本に来日する時に使用される場所で各々の転移魔法陣から直通で移動できるように現魔王、アジュカ様が色々と頑張ったようだ……すげぇよな。三大勢力が和平を結んだ瞬間にこんな場所を造るんだもん。

 

 アザゼルに呼ばれたからか背後に立っていた人物が一歩前に出てきた。それはガタイも良く、無骨や厳格という言葉が似合うほどの男……強いな。纏うオーラがその辺に居る堕天使なんかじゃねぇし上級悪魔でもここまで強いと感じる奴は居ねぇぞ……! こいつが雷光、バラキエルか!

 

 

「バラキエルだ。娘が大変世話になっている。忙しい所を申し訳ないが今日はよろしく頼む」

 

「娘……あぁ、姫島先輩か。別にあんまり話した事無いから世話したとかは無いからその言葉は赤龍帝に行ってくれ。ノワール・キマリス、一応影龍王って呼ばれてるよ。眠いが仕事はきっちりと行うから安心してくれ。どうだ? これが終わったら一戦やらない?」

 

「っ、この年でここまで……! 是非、と言いたいところではあるが私と貴殿が相対すれ必ずどちらかが、いや私が死ぬだろう。すまないがまだ死ぬわけにもいかん。お断りさせてもらおう」

 

「そっか。でももしかしたら死ぬのは俺の方かもしれねぇぞ? 流石に姫島先輩以上の雷光喰らって無事じゃすまなさそうだし」

 

「よく言うぜ。覇龍化したイッセーの技を受けても再生したくせによ……バラキエル、殺し合いレベルをしろってわけじゃないが暇なら相手してやれ。お前も最近は全力を出し切ってねぇだろ? どうだ、朱乃に影龍王相手にここまでやれるんだぞって見せるチャンスじゃねぇか」

 

「むっ、うぅん……しかし、私は……」

 

「いや、悩んでる相手と戦っても楽しく無いんで色々と解消してからでいいっすよ? 流石にこれ以上、先輩相手に面倒事を起こす気は無いですし」

 

 

 こっちが全力なのに相手が他人を気にして本来の実力を出せないとかマジでやる気無くすからそれらが解決してから戦いたいな。さっきのアザゼルの言葉から推測すると姫島先輩とこの人(バラキエル)はあんまり仲良くないんだろうなぁ。良い人そうだけどね? うちの親父と交換してほしいぐらい頼もしいと感じるけど何が気に入らないんだろうか。

 

 しっかしホント化けもんだなこの人……! 握手しただけで強いと感じさせるなんて思ってもみなかった。流石は雷光、神の雷と称される武闘派、堕天使勢力の一番槍ってか? 姫島先輩のなんちゃって雷光よりも強力なんだろうなぁ!! あぁ! 戦いてぇ!!

 

 

「そんで? その主神様はいつ来るんだよ?」

 

「時間的にはもうすぐのはずだ――ほら、来たぞ」

 

 

 目の前に見たことも無い魔法陣が展開されて二つの人影が現れた。片方は白いひげを生やした隻眼のジジイ、もう片方は綺麗な銀髪の美女だ。ジジイの方はなんかラフな格好だけど感覚的にこいつがオーディンか……これが神クラスの実力者か。毎回、あの規格外の夜空と殺し合って感覚が麻痺してるかと思ったがそんな事は無かったな――強い。普通に強い。勝てるかと言われた多分勝つけど一瞬じゃ無理だな……よくて二日間ぶっ続けで戦ってようやく勝てるってところかねぇ? うわぁ~ノワール君弱すぎぃ! 神相手に二日とか弱すぎぃ! これが夜空だったら普通に一日で殺せるだろうなぁ……やっぱりあの規格外って頭おかしいわ。

 

 まぁ、神様なジジイは置いておいて隣の銀髪美女だけど……デカいな。見た感じは俺と年は同じか少し上っぽいけどどっちだ? タメかお姉様か? その辺りも重要だけど今はスーツを着ていても自己主張する胸に目が行ってしまうから考えるのは後にしよう。畜生! ここ最近、夜空のちっぱいを見てないから巨乳に目が行くようになってるのが悔しい! ついさっきまで平家のちっぱい揉んだりもしたけどやっぱり俺は夜空のちっぱいと脇が大好きだから早く俺に会いに来い! そろそろマジでお前との殺し合いがしたいしお前のちっぱいや脇が見たいんだよ! 早く来てくれないと巨乳好きになっちまうから割とマジで早く来てくれ!

 

 

「来てやったぞい、悪ガキ堕天使よ。この老体に此処まで足を運ばせるとはなっとらんの」

 

「こっちから出向けばえらい騒ぎになるだろ? それに元々の日程を早めたのはオーディン、あんたの方だろうが。初対面だろうから紹介しとこう。今日の護衛を務めるバラキエルと影龍王、ノワール・キマリスだ。二人だけだからって甘く見んじゃねぇぞ? 下手すると今代の影龍王は爺さん、あんたより強いぜ?」

 

「ほっほっほ。知っとるわい。わしらの領域に遊びに来とる悪ガキと頻繁に殺しあっとると噂で聞いておるぞ。規格外な悪ガキと仲良くやっとるようで羨ましい限りじゃわい。そのまま嫁に娶ってくれればあやつも大人しくなるじゃろうて」

 

「それが出来れば苦労はしないが……夜空の場合、仮に結婚したとしても今と変わんないと思いますよ? アイツは自分が楽しければそれで良いんで」

 

 

 いくら俺と結婚したからと言ってあの夜空が大人しくなるわけがない。きっと新婚旅行と称して各勢力に殴込みを仕掛けるに違いない……うん、普通に想像できるし俺も一緒に行くのも余裕で想像できる。まぁ、流石に子供が出来たら大人しくなってくれるよね? なってくれないと俺が泣くから大人しくなってくださいお願いします。でも俺と夜空の子供か……きっと無邪気に笑いながら敵を殺すような子になるだろうなぁ、だって俺と夜空の血を引いてるんだぜ? 普通にあり得るわ。しかしそうなるとキマリスの血が薄くなって人間の血が濃くなるか……今の冥界のままだったら迫害されるかもしれないかが未来の冥界は今よりも変わってると信じておこうかね。もっとも未来の俺達二人に滅ぼされてなければの話だけど。

 

 何度も被害に会ってるであろう北欧神話勢力の主神、オーディンは夜空の性格を分かっているのか軽く笑っているけど……隙が無い。なんて言うか煽ってこっちの反応を見て楽しんでるような感じがする。俺も良くやる手だから同じことをされたら普通に分かる。でも強い……! 流石主神レベルだな!

 

 

「夜空の話は置いておいて……そっちの美女はどちらさん? まさか主神様の嫁さんってわけじゃないよな? 流石にそれだったら引きますよ? 年齢離れすぎだろっていうかもしそうならまだまだ現役だなぁおい」

 

「ほっほっほ。まだまだ若いもんには実力も精力も負けんわい。さて、こやつはわしの嫁と言うわけではなくお付きのヴァルキリーよ。名はロスヴァイセ、見た目良し、器量良し、しかし頭が堅いのが難点じゃ。どうじゃ小童? 可哀想なこやつを貰ってくれんか?」

 

「え? マジで良いの? 流石主神様! 懐がデカくて俺の好感度が急上昇だぜ。いやぁ~実は眷属増やそうか悩んでたんでもし良ければ俺の兵士になりません? 待遇悪いっすよ?」

 

「申し訳ありませんがお断りさせていただきます。私はオーディンさまのお付きですので……それとオーディンさま! いったい何を言っているんですか!! か、勝手に私の相手を決めないでください!」

 

「じゃがのぉ、このままだと行き遅れになる身と考えると胸が苦しいんだわい。良いではないか? 相手は影龍王、しかも年が近いときた。良いとは思うんだがのぉ」

 

「よ、良くありません! か、彼氏は……そのうち出来るんです! 好きで彼氏いない歴=年齢をしてるわけじゃないんですよぉぉ! もうすぐできるんですぅ! きっと、きっとぉ!」

 

 

 あっ、こいつあれだわ……水無瀬と同じタイプだ。このまま行くと彼氏出来ずに仲の良い友達の結婚式に呼ばれて「何でまだ結婚しないのぉ?」とか言われるタイプだわ。

 

 

「まぁ、眷属云々は冗談ですけどね。うちの兵士は犬月だけで間に合ってますし。とりあえず泣くのやめてくれません?」

 

「は、はいぃ……ふぅ、お見苦しい所をお見せいたしました。ロスヴァイセと申します。オーディンさまのお付きとして共に来日しました。日本に居る間はよろしくお願いします」

 

「……うん、確かに彼氏出来ないタイプだわ」

 

『ゼハハハハハハ。俺様、ハッキリと言える邪龍として定評があるから言っておきたい事がある。もうちょっと柔らかくならねぇと彼氏出来ねぇぜ! アバヨ!』

 

 

 ハッキリ言いすぎだよ相棒。

 

 

「邪龍にまで彼氏できないと断言されるってマジで水無瀬と一緒だなぁ」

 

「――う、うぅ、うわーん! ドラゴンにまで言われたぁ! 好きで処女してるわけじゃないのにぃぃっ! うわーん!」

 

「地双龍にまで断言されるとはのぉ。影龍王レベルならばこやつも納得するかとは思ったが生真面目さが仇となったか」

 

「オーディン、一応言っておくがこの影龍王を舐めちゃいけねぇぞ? 各勢力の上役達からあのサーゼクスですらこいつ(ノワール)を完全に御する事は不可能と言われているほどの奴だ、横からいきなり奪い取る事もするかもしれん。邪龍だしな」

 

「ほっほっほ。それはそれは血気盛んで何よりだわい」

 

 

 なんか良い事言ったぜ俺って顔してるけどさぁ、人を犯罪者扱いしないでもらえないですかねぇ? てか魔王でも御する事が出来ないって当たり前じゃん。あんな身内贔屓に従う悪魔がどこに居んだよ? きっと今もキマリス対グレモリー戦での低評価をどうしたら覆せるかとか考えてんじゃねぇかな? 俺は別にどうでも良いけど巻き込まれるのだけは勘弁な。やるならそっちで勝手にやってくれ。

 

 ガチ泣きし始めたヴァルキリーちゃんを宥めた後、北欧の主神様の強い希望により俺達が住む駒王町内を回る事になった。アザゼルは何やら仕事があるとかで別の場所に転移していったけどさ……本当に仕事か? 三大勢力のトップ勢は遊びに関しては全力投球する傾向があるから地味に疑っちまう。だって乳龍帝おっぱいドラゴンのOPを作ったり玩具作ったりする奴らだし仕方ないよなぁ……あの特撮は地味に面白いから良いけどトップらしくもっと仕事に専念しろよ。

 

 

「――あんのジジイ、マジで殺してやろうか」

 

「本当にオーディン様が申し訳ありません……!」

 

 

 そんなわけで駒王町に転移して数時間が経過したが……既に俺は主神様の自由っぷりに軽くキレかけていた。あれ食べたい、これ見たい、ほっほっほ~これは買いだのぉとか言いながらあちこち連れ回されてマジで辛いし眠い。徹夜明けの悪魔にこんな重労働させんじゃねぇよ……! てかそろそろいい加減にしろよクソジジイ! これが夜空だったら俺は喜んで最後まで付き合うんだが今回はひげ生やしたジジイで可愛くもないから本当にイライラが止まらねぇ。それはそうと町中を回るってデートっぽいよなぁ、デートしてぇ……夜空とデートしてぇ。そして最後はエッチしたい。いやそんな大事な事だけど今はそれは置いておいて主神様を監視してるのか変な追手っぽいのも付いてきてるけど大丈夫かよ……?

 

 少し離れたビルの屋上に虫の形をした何かが居るので影人形でそれを潰す。射程距離内で助かったが一般人に気づかれないようにするのは面倒だな。しかもこれ……生物じゃなくて魔力、いや魔法で作られた疑似生命体か。これほどのモノを製作できる奴って限られるんじゃねぇか? やっぱり悪神かねぇ?

 

 

「影龍王」

 

「大丈夫。あの主神様を監視するように付いてきてるモノなら影人形で潰してるから問題ないですよ。遠隔操作の式、使い魔、とりあえずそれっぽいものでこれといった威力は無い。完全に監視が目的で放っているんでしょうね」

 

「私の方でも何者かがこちらを見ていると感じていたがやはりそうか……北欧の主神自らがこちらに足を運び、来日する日程を早めた理由はこれかもしれないな」

 

「前にヴァーリから北欧の悪神が何かしようしてるって聞いたんですけど多分、それが関係してるでしょうね。魔力じゃなくて魔法で作られてますしここまでの完成度のモノを雑魚が作れるわけがない」

 

「白龍皇が……そうか、ならばその線で考えても良いかもしれない。すまない影龍王、先ほどから追手を消しているだろう?」

 

「別に良いですよ。此処に居るメンバーで周りに気づかれる事無く対処できるのって俺ぐらいでしょ? だから気にしないでください」

 

「周囲の霊子、霊力を一つに集約……それを個体、式として使役する。魔力を通していると考えられますがここまでの精度に加えて遠く離れたあのビルまで操作可能……噂でそのような術を扱うとは聞いていましたが恐ろしいですね。どのような術式なんでしょう……? これを解析すればもしかしたら……!」

 

 

 隣に居るヴァルキリーちゃんはジト目っぽい視線で俺を、もっと言えば遠く離れてたところに生成した影人形を見ている。なんか……ここまで観察されるのって久しぶりな気がするから変な気分だ。

 

 

「なんか観察してるっぽいけどこれ、俺のオリジナルだからあんまり真似しない方が良いぞ? それにアンタ、こっち系の術式と相性悪いっぽいから仮に真似できたとしても意味ねぇと思うよ」

 

「っ、な、なななんでそれを!?」

 

「だってアンタの周りにある霊子の性質が攻撃性が高い奴ばっかりだからな。俺って一応キマリス血を引いてて霊操って能力が使えるからそういうの分かるんだよ……こいつは依代として問題無いとか此処は霊力に満ちてるとかこいつは霊感が強いとかね。まぁ、霊操のおかげで影人形なんていう戦い方が出来てるけど他からしたらバカじゃねぇのってやり方だと思うからあまりお勧めしないよ。真似るのは問題無いけどさ」

 

 

 そんな事を話していると護衛対象のオーディンが姿を消した。おいおいマジかよ……! あんのクソジジイ! 今度はどこに行きやがった!!

 

 三人で捜索すると目標はすぐに見つかった――見知った顔と一緒にな。えーと、ちょっと待ってくれ、落ち着こう。今の時間は昼、普通の方々だったらお昼ご飯を食べる時間でまだそういう時間じゃないはずだ……いや人によっては時間は関係ないのかもしれないし俺も夜空相手だったら何時間でも出来ると思うから多分問題ないのか? いや、普通に考えたらまだ早いだろうきっと早いに違いない。おいこら赤龍帝……こんな時間から何でラブホ街に来てんだよ! お前、後ろの保護者さんがどういう心境か分かってるか? 自分の娘がこんな時間からこんな場所に居るって知ったら――泣くぞ。きっと泣くぞ。てかどう反応していいか困ってるよバラキエルさん!

 

 

「オーディンの爺さん!? それに黒井!? な、何で二人がこんな所に居るんだ?」

 

「それはこっちのセリフだ。おうおう、良いご身分だなぁ。こっちは徹夜明けにこのジジイの護衛させられてるってのにテメェは真昼間からエッチするってか? 羨ましいなこの野郎」

 

「い、いや!? そんなわけ、本当はしたいけどそうじゃないんだって! 部長たちから逃げたら何時の間にか此処に来ただけだって! てか護衛!? 黒井の方こそ何してんだよ!?」

 

「仕事だばーか。たくっ、クソジジイ、マジでいい加減にしろよ? 勝手に居なくなって困るのはそっちだが護衛してる俺達の身にもなれ。そんなんだからヴァルキリーちゃんが堅くなるんだろうが」

 

「ほっほっほ。懐かしい気を感じたんでのぉ。悪ガキよ、これも試練じゃ」

 

 

 何が試練だよクソジジイ! ぶっ殺すぞ?

 

 

「オーディンさま! 主神ともあろう方がこんな所で何をしているんですか! いきなり姿が消えたのでびっくりしましたよ! あまりこういうのはおやめください!」

 

「ロスヴァイセよ、お主も勇者をもてなすヴァルキリー、この光景を見ておいても損は無いぞい?」

 

「い、良いんです! それはそれ、これはこれです!」

 

 

 うーん、やっぱり水無瀬と同じタイプか。不幸体質の代わりに苦労人体質かぁ……なんで俺の周りの年上ってそんなんばっかなんだよ。

 

 そんなわけで赤龍帝を追ってきた先輩達とも合流したのでちゃんと事態を説明するために場所を移動する。向かった先は赤龍帝や先輩たちが住む家……凄く豪邸ですありがとうございました。確かに改装したとは聞いてたけどさ、周りの土地取りすぎだろ。俺も人の事は言えないけどさ。ちなみにだか赤龍帝宅に向かうまでの間、バラキエルと姫島先輩の間に流れる空気は最悪だった……マジで不仲かよ。他人の事だから別にどうでも良いけどさ、これから主神様を一緒に護衛するんだし少しは仲良くしてくれない?

 

 中に入ってVIPルームっぽい所に通されたけど本当に広いな……俺達キマリス眷属全員とグレモリー眷属全員、アザゼルとバラキエル、主神様とヴァルキリーちゃんが入ってもまだ広いとかバカじゃねぇの? ちなみに俺と先輩、アザゼルと主神様はソファーに座って眷属達はその後ろに立っている。平家が眠いから座らせてと視線で言ってきてるが我慢しろ――俺も眠いんだ。

 

 

「というわけだ。リアスにも話してたとは思うが北欧の主神、オーディンが来日した。日本に居る間はグレモリー眷属とキマリス眷属で護衛してもらう事になる……んで? 何か言いたそうだな?」

 

「人が仕事してるってのに遊んでるってどういうわけですかねぇ? と文句言いたい。あと眠い」

 

「朝まで覚妖怪とよろしくやってたからだろ……そこに関して言うなら来日直後で大人数で護衛も目立つだろ? お前さんとバラキエルだけで有事の際は問題無いと判断しただけよ」

 

 

 物は言いようだなおい……あぁ、姫島先輩が淹れたお茶うめぇ。親と子の間でギスギス感が凄いけどお茶うめぇ。

 

 

「それよりもオーディン、どうだった町の方は?」

 

「中々よかったぞい。あやつが放った玩具も小童が消してくれてたしのぉ。将来有望でなにより、しかし急ぎ過ぎてる感があるがあの悪ガキの対ならば仕方ないかの」

 

「あの光龍妃と殺し合ってんだ、急ぎ過ぎててもおかしくねぇよ。で? 来日したって事は日本神話の神、俺達三大勢力との和平を考えてるって事で良いんだな?」

 

「そうじゃよ。しかしのぉ、厄介な奴にわしのやり方を批難されて事を起こされる前にと思ったんじゃが……気づかれておったようだ」

 

「厄介事かい。まっ、こっちでも大よその見当は付いてるけどな」

 

 

 先輩達や犬月達は何の話をしているのか分からないって顔してるけど俺と平家は別だ。なんせヴァーリから聞いてるし平家は心を読んでうわぁとか言いたそうな顔してるし。まさか自分の所の神――悪神ロキが主神相手に何かをしようと考えてるとか普通は思わねぇよ。そしてここ最近夜空が姿を現さないのはそれ関連で何かをしようとしてるからだろうね。マジで早く姿を現して脇を見せてくれ。

 

 

「しかし……うむ、デカイのぉ」

 

「オーディンさま! いやらしい視線を送ったらダメだと何度言えば分かるんですか!!」

 

「堅いのぉ。わしも男、大きいものが目の前にあるならば見るのが礼儀だと分からんのか」

 

「全く持ってその通りだな」

 

「くっ、反論できねぇ……!」

 

「こればっかりは男の性だよなぁ」

 

 

 アザゼル、赤龍帝、俺という順番で同意すると周りからの視線が酷いものになった。いやいやおかしい! お前らだってイケメンを見たら見るだろ? それと同じで巨乳やちっぱいが目の前にあったら見るだろ? もっとも俺は脇だけどな! 胸はそこまで好きじゃないし。

 

 

「朝まで私のおっぱい揉んでた男が何を言う」

 

「そっちこそ裸ワイシャツでエロゲープレイしながら目の前でオナニーしてただろうが? 襲わなかっただけ感謝しろ……てかそのせいで眠いんだよ。朝まで積みゲー崩させやがって」

 

「巨乳の猫又にデレデレしてたノワールが悪い」

 

「だってあの黒猫ちゃんがエロいんだから仕方が、あ、ハイダマリマススイマセン」

 

 

 えっちぃの禁止です委員会の委員長こと橘様がお怒りのようだからもう黙ろう。流石に今の状態で破魔の霊力喰らったら死ぬほど痛いだろうし……そして赤龍帝? お前はなんで血涙を流してんだ? えっ? まさか羨ましいとか思ってたりするの? いやいや待て待て、お前も大概羨ましい状態になってるだろ。グレモリー先輩に姫島先輩にシスターちゃんにデュランダル使いに猫又に男の娘……どこのエロゲーだって言うぐらいに羨ましいと思うぞ? 特に最後の男の娘なんて相棒がヤりてぇヤりてぇとか呟くぐらいには気に入ってるっぽいし。うん、何も嫉妬される覚えは無いな!

 

 

『俺様、宿主様が男の娘に目覚めるのを信じているぜ』

 

「一生ねぇよ」

 

『ゼハハハハハハ! まじで?』

 

 

 おい、今の素だろ? そこまで意外か!? 普通にねぇだろ!?

 

 

「おいおいキマリス……ヴァーリの所に居る猫又と会ってたなんざ聞いてねぇぞ? 何してんだお前?」

 

「だってヴァーリから「今会えないか?」って相棒経由で誘い文句が飛んできたんだぜ? 行かないとダメだろ。別に何かしたわけじゃねぇよ? ただ普通に雑談しながら四人でラーメン食っただけだ」

 

「それでも普通は警戒するだろうに……で? ヴァーリはなんて言ってた?」

 

「悪神がなんかしようとしてるんだってさ。それ以上は知らねぇよ」

 

「……やはりか。爺さん、アンタの所も大変だなぁ」

 

「ほっほっほ。別の者ならば血気盛んで好ましいんと言えるんじゃがあやつは違うしのぉ。それよりもアザゼル坊、わし、疲れたから癒されたいんじゃがどこか良い店は無いかい?」

 

「ロクに話し合いもしてねぇくせにぬけぬけと……どこに行きたい?」

 

「大きいおっぱいに囲まれてるしのぉ、おっぱいパブに行きたいのぉ」

 

「流石スケベ爺だぜ。よし分かった! 実は俺の所の奴らがVIP専用の店を出しててな、そこに案内してやる! イッセー! キマリス! 仕事だ、お前らも付いてこい」

 

 

 ハハハハハハ、おいおいアザゼルさんよぉ……このノワール・キマリス、現在は凄く眠いんだぜ? あぁ、徹夜でエロゲーしてたからマジで眠いんだよ。しかもえっちぃの禁止委員会の橘様がお怒りの状態でそんな、そんな所に――

 

 

「――仕方ねぇな~仕事だしなぁ! 仕事だったら断るわけにはいかねぇよ! 主神様になんか有ったらだめだもんなぁ! アザゼル、犬月連れてくけど良いよな? 犬だから気配には敏感だぜ?」

 

 

 普通に考えて行くに決まってんだろ。男だしな! 残念な事に赤龍帝は先輩にダメと言われて落ち込んでるがこっちは別陣営だしねぇ! あははは! もうこの深夜テンションで乗り切るしかねぇな!!

 

 

「おう良いぞ! 女堕天使だ、美女に美少女ばっかりだぜ! エッチタイムと洒落込もうじゃねぇの!」

 

「ほっほっほ! えぇ響きじゃのぉ!」

 

「俺にアザゼルに犬月が居れば何が起きても問題ねぇよな。うん、いやぁ、エッチタイム、エッチタイムかぁ! 何が起きるのかすっげぇたの――」

 

「――悪魔さん?」

 

「――しみでは無いですごめんなさい。すまないアザゼル、どうやら行けそうにないから俺の代わりに犬月だけ行かせるわ。犬月、あとで感想頼む……!」

 

「王様……! すんません、俺もしほりんが怖いんで無理っす。マジで行きたいっす……! エッチタイムぅ!!」

 

 

 俺達二人のリタイアを察したのかアザゼルと主神様は「お前らの分まで楽しんでくるぜ」という一言を残して部屋を出て行った。畜生! いや、まぁノリだったとは思うけど惜しい事をした気分だな。

 

 さて――背後から感じるお怒りですぷんぷんですよオーラの橘をどうやって鎮めるかなぁ。




観覧ありがとうございました!

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