ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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25話

「奇跡、奇跡ねぇ……確かにテメェはトンデモねぇ才能の持ち主だよ。俺が嫉妬するぐらいにな」

 

 

 目の前の存在を真似る様に影の翼を背中から生やしてヴァーリと夜空と向かい合う。ヴァーリは確かに天才だ、魔力を操る才能も戦闘技術も神滅具の扱い方すら俺よりもはるか高みに居るだろう。元七十二柱、キマリス家の血を引く混血悪魔と冥界が最重要視するルシファーの血を引いた混血悪魔……どっちが優秀かなんて一目瞭然だ。

 

 

「俺よりもイケメンだしクールぶってる癖に根は熱いとかそういう性格が羨ましい。あと離反して常日頃から夜空と一緒に居られるとか本当に羨ましい。正直俺もそっち行きてぇぐらいに羨ましい」

 

「ふふっ、ならキミもこっちに来るか? 俺は歓迎するぞ? 影龍王と好きな時に戦えるんだ、拒む理由は無い」

 

「俺も冥界上層部の老害共の小言やら陰口を聞かなくていい分、本気でそっちに行きてぇさ……でもな、無理なんだよ。どんだけ望んでも俺の弱みが冥界にある限り俺は悪魔側(こっち)から移動できない。たとえカオスなんたらって所に一緒に行っても弱みを握られるだけだしな」

 

「そうだよねぇ、ノワールってお母さん大好きっ子だし。いくら私でもあの人には手は出せないかなぁ~やったらノワールが命捨ててまで私を殺しそうだしさ」

 

「当然だ。俺の弱み(母さん)だぞ? と言うわけで悲しい事に俺はそっち側には付けないからちょっとだけ付き合ってくれよ――殺し合いたいんだろ?」

 

「――ははっ! あぁ、そうだとも! キミと戦った時に感じた強者に成り得る素養に俺は嬉しかった。光龍妃も今の俺が全力を出せる人物でキミだってそうだ……俺という奇跡の存在と相対出来る存在なんて各神話体系の神ぐらいなんでね」

 

「そりゃそうだ」

 

 

 この天才系イケメンと渡り合える奴なんて今の冥界でも希少だろう。魔王やミカエル、アザゼルにサイラオーグ・バアルくらいか? 俺が知る限りだったらこの人達ぐらいなものだな……あとは夜空と多分俺。赤龍帝ももうちょっとだけ強ければ離反とかしない別な結果になっただろうなぁ。でもヴァーリの気持ちは少しだけ理解できるかもしれない……あいつの過去に何があったかまでは知らないが冥界じゃなくてアザゼルの元に居るって事はつまりはそういう事(不幸があった)なんだろう。だからこその強者への渇望、強くもっと強く、さらなる高みに立ちたいという願いがあるんだと思う……俺も夜空が居なかったらこの場に居ないしここまで強くなれなかった。全ては夜空に勝つためだけに強くなりたいと願い続けていると言っても良い。だから強者と戦って自分を高めたいという気持ちは理解できる。

 

 俺の背後ではアザゼルと褐色女が戦闘を始めた。極大の光の槍やら魔力の波動やらがぶつかり合って振動が凄い。幸いなことに俺の眷属とか赤龍帝達はサーゼクスやミカエルが結界を張って護ってくれているから今の所は被害は無さそうだ……一応感謝しますよ。

 

 

「くっ! オーフィスの蛇を使っているのに何故……何故!!」

 

「やっぱり何か使ってやがったな。いきなり魔力の質が変わったんで何かあるとは思ったが……オーフィスか、奴と取引でもしたのかよ?」

 

「えぇ! 私達の願いを叶えるために取引しました! 神器などという神の玩具に興味を示しているあなたでは私には勝てません! 勝てないはず……なのに!!」

 

「確かに俺は聖書の神が作った神器を研究しているさ。コカビエルの奴や他の奴らも俺の事を異常なコレクター魂だのなんだのって言いやがる。たくっ、俺はあいつらの上司だってのによぉ。さてカテレア、なんでお前がオーフィスから貰ったなにかを使っても勝てないか教えてやろうか? 簡単だぜ――勢力一つを率いている俺が弱いわけねぇってことさ」

 

 

 夜空に匹敵、いや禁手化している状態をはるかに超えるほどの質量と威力を持つ光の槍を褐色女に放つ。そいつを躱すのが無理だと判断したのか防御をするが――煎餅を割るように簡単に割って褐色女の片腕を吹き飛ばした。やっべぇ……強すぎだろ。あれってガチの一撃だよな? 流石堕天使の総督、悪魔相手なら無双出来る実力者だな。

 

 痛みに悶える女に追撃を仕掛ける事も無く懐から短剣を取り出した。光を放てる堕天使が武器? なんか意外だな……でもなんだこれ、ドラゴンのオーラを感じるぞ?

 

 

「冥途の土産にひとつ面白いものを見せてやる。俺は神器を研究しているとさっき言ったよな? その過程で自分でも作ってみたりしてるのさ。誰だって興味があるものがあれば真似てみたくなるだろ? それと同じで俺も神器を真似て自分だけのオリジナル神器を作ってみたってわけだ――それがこいつだ」

 

「……くっ! 噂以上の神器コレクター! それがどうしたというのですか!! 私はまだ、まだ負けてはいない!!」

 

「あぁ、そうだろうな。だからこれで終わらせるぜ――禁手化」

 

 

 その瞬間、アザゼルの姿が変化した。本来、神器は人間にしか宿らない。仮に異形の存在が得る事が出来るのは俺のような混血か他者から奪い取るしかない……だから目の前の光景が信じられなかった。黄金色の全身鎧、一目で威圧を与えるドラゴンのオーラ、多分今の俺は玩具を与えられた子供のように笑っているだろう。面白れぇ! やべぇ俺の中で三大勢力トップ勢の好感度が一気に変わったぜ!! アザゼル様素敵!! キャー殺し合いしようぜー!

 

 

堕天龍の(ダウン・フォール・)閃光槍(ドラゴン・スピア)の禁手、堕天龍(ダウン・フォール・ドラゴン)の鎧(・アナザー・アーマー)。俺が作った人工神器の中でも傑作中の傑作よ、これを使ったからには負けるわけにはいかねぇぜ? 俺の趣味の集大成だからな!」

 

『宿主様、あれはファーブニルだぜ。なんで封印されてっかはしらねぇけどなぁ』

 

「へぇ。黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)か、そりゃ強そうだ」

 

「ハハハ! アザゼル! なんだ? そんな面白いものを隠していたのか? 凄いな、やっぱりアザゼルは凄いよ。だからこそ戦ってみたかった」

 

「すっげぇー!! 人工神器!? うわすっげぇー! 流石堕天使のトップだね! ノワールノワール!! あれ見てよドラゴンの鎧! 黄金色! 龍王だぜ龍王!!」

 

 

 ヴァーリは今のアザゼルの姿に敬意を表して戦いたいという闘志を露わにし、夜空は子供のようにはしゃいでいる。確かにお前達の気持ちはよく分かるさ……俺だって戦いたいし子供のようにすげーすげーとか言いたいわ。神器を作るっていう発想自体がスゲェしな。

 

 褐色女もビビったのか少しだけ後退するも何かを決意したのか自分の腕を触手のように太く、そして数を増やしてアザゼルを捕らえようとする。確かに魔力量とか色々高いし冥界で遊んでいる上級悪魔だったら余裕で殺せるだろう……でも、それだけだ。オーフィスから何を貰って何がどうなっているかとかは知らないがドラゴンを甘く見ないでほしいぜ。

 

 

「私の命を糧にあなただけでも死んでもらいます!! サーゼクスやセラフォルーを殺せないのは悔いが残ります! しかし堕天使のトップを殺せるならば!!」

 

「そりゃまた俺も褐色美人にモテるなんてまだまだ現役って事か。でも残念だったなカテレア・レヴィアタン」

 

 

 アザゼルは手に持つ光の槍を振るい、斬撃を飛ばす。ただの斬撃ではなく光の斬撃で放ったのは堕天使の頭だ……その威力は比べ物にないものだろう。放たれたそれは褐色女の腕を斬り落として胴体を真っ二つにする。そしてトドメとばかりに槍を投擲して頭部を吹き飛ばして終了……やべぇ強いな。

 

 

「玩具に頼っているのはお互い様だが素の実力差がありすぎんだよ。ふぅ、なんだなんだ? おじさんの戦いを見てるだけかよ? 通りで静かだと思ったぜ」

 

「なんか無粋かなぁって」

 

「うんうん! すっげぇーカッコよかった!! どうやって作ったん!?」

 

「おっ、光龍妃は人工神器に興味を持ったか。良いぞぉ、あとで思う存分見せてやるし教えてやろう――さてヴァーリ、どうする? あと数分程度だがこの状態で戦えるぜ? なんなら影龍王と共闘してもいいぞ」

 

「魅力的な提案だが俺はこっちの方が良いな――兵藤一誠」

 

 

 ヴァーリの視線が地上に居る赤龍帝に向けられた。既に地上に湧いていたゴミ(魔法使い)は彼らによって駆逐されたらしい……犬月も平家も水無瀬も橘も戦闘形態だしな。つかあのオコジョ……狐になってやがる! ですよね! バチバチと電気垂れ流してるけど本来の姿そっちだもんな! 焦げた人間なんて久しぶりに見るんだけどあのオコジョって気性が荒いんだよなぁ。まぁ、俺好みな性格だけどさ。

 

 

「な、なんだよ!!」

 

「今のを見ただろう? 同じドラゴン、正式な神器と作られた偽物であってもアザゼル、そして俺達と比べるとキミは非常に弱い。弱すぎる、俺の宿敵には残念なほどにね」

 

「っ、だからなんだってんだ!!」

 

「俺のようにルシファーの力と白龍皇の力を宿す存在、光龍妃のように人間であって人間でない存在、影龍王のように混血悪魔故に差別を受けながらも俺達と同じ高みに立った存在。しかしキミは普通の人間で転生悪魔、赤龍帝の力を半分も使いこなせていない。つまらない、これが俺のライバルだと思うと涙が出る」

 

「宿敵が雑魚だった時の残念感は尋常じゃねぇからね。よかったぁ~私はノワールがライバルで!!」

 

「同じくお前がライバルでよかったよ」

 

「あぁ、羨ましい。全力を尽くせるキミ達に嫉妬するな。赤龍帝と白龍皇、何度も戦い殺し合ってきた宿敵同士という胸が熱くなるほどの存在だというのに俺のライバルは……キミだ。普通の両親にキミはきっと愛されて育てられたんだろう、その身に異質を宿している事すら気づかないままね。だから俺がキミを強くしようと思う。今よりも強く、もっと強くね」

 

「なんだ? 最強のルシファー様が赤龍帝を鍛えるのか?」

 

「違うさ影龍王――俺が彼の大事なモノを殺す。そうだな、両親なんてどうだろうか? 普通の人間が生きるのは精々数十年ほどだ。つまらない人生を送るよりも息子の兵藤一誠が強くなる材料になれば本望だろう。うん、それが良いな」

 

 

 あぁ~そう言っちゃう? それ言っちゃう? マジかぁ……殺したくなった。無関係だけど殺したくなった。無性に殺したくなったし八つ裂きにしてミンチにして焼却処分したいほどぶっ殺したくなった。

 

 それは俺だけではなく赤龍帝も同じのようで先輩の静止の声すら聞かずに一歩、また一歩と前に出た。その表情は怒りに染まってさっきまでの赤龍帝とは違っている。だよな……大事な両親だもんな。

 

 

「――ふざけんな」

 

「うん?」

 

「なんで、なんで俺の両親がテメェの我儘なんかのために殺されなくちゃいけねぇんだよ!!! ぶっ殺すぞこの野郎!!! ドライグゥ!!!」

 

『Welsh Dragon Over Booster!!!』

 

 

 彼の周囲に高まったドラゴンのオーラが広がり、赤龍帝は赤い鎧を身に纏う。本来ならば対価が必要な不完全の禁手化らしいがさっき渡された腕輪のお蔭で問題なさそうだ。

 

 

「そこ動くんじゃねぇ!! 一発ぶん殴ってやる!!」

 

「ふ、ふふふはははは! アルビオン! 一気にドラゴンのオーラが高まったぞ!! 凄い、凄いな!」

 

『ドラゴンの力を引き出すには強い想いが必要だ。彼の純粋な怒り、それがお前に向けられているんだよ。しかしヴァーリ、気を付けろ』

 

「うん? どうした?」

 

『どうやらクロムの宿主もお前に怒りを抱いたようだ』

 

「そりゃそうっしょ――私でさえ言わなかったんだよ? さっき言わなかったっけぇ? ノワールはお母さん大好きっ子だってさ」

 

 

 その通りだ。今の俺はムカついてムカついてムカつきっぱなしなんだよ。関係ない? 悪いが俺は短気なんでね!

 

 

「おい赤龍帝!」

 

「なんだよ!!」

 

「あの真っ白な鎧着てるイケメンを地面に叩きつけたくはねぇか?」

 

「叩きつけるだけじゃねぇ!! ブサイクになるまでぶん殴る!!」

 

「だったら手を貸してやる!! さっきの挑発は俺もムカついたんでなぁ!! 悪いが加減無しの初っ端から全力全開だ! 我は影、影龍の求めに応じ、無限に生まれ出る影なり! 我が生み出せし人形よ! 笑え! 叫べ! 幾重の感情をその身に宿せ! 生まれろ影よ! 交われ霊よ! 我が声に従い新たな姿と成りて生まれ変わらん!!!」

 

 

 背後に影人形を生成して俺が生み出した影で貫く。言霊と共に影人形の姿を変化させ、生まれ出たモノを纏う――獣の顔に龍の顔、蛇、無数の手、幾重の影が漏れ出したマントを羽織る。影龍王の再生鎧ver影人形融合! 覇龍であって覇龍ではない、そんな夢物語を生み出そうとした欠陥品でも今の俺には最高の強化形態だ!!

 

 

「悪いが今日でそのイケメンフェイスとはさよならしてもらうぞ!」

 

「それが噂に聞いていた禁手の先か……面白い! 兵藤一誠に影龍王、いやノワール・キマリス! 楽しませてくれ! 俺を! 俺達を!」

 

「うわっ、ヴァーリがマジで楽しそうなんだけど。でも仕方ねぇかぁ! うん、私もすっげぇワクワクしてる! そんじゃタッグで勝負だぁ!! そっちは赤龍帝とノワールでこっちは私とヴァーリね! 言っとくけど死んでも恨まないで、ねっ!!」

 

 

 夜空が腕を振るった瞬間、無数の光の雨が降り注ぐ。俺の後ろには平家達が……! ちぃ!

 

 マントを翻し、無数の手を模した影を背後から生み出して降ってくる光の雨を遮る。赤龍帝も俺の背後を飛んで被弾することなくヴァーリに接近しようとしてるらしい……だったら手伝ってやる! 今だけは共闘してやるよ!! 兵藤一誠!!!

 

 

「ドライグ! アスカロンだ!!」

 

『Blade!!』

 

『ヴァーリ、あれは龍殺し(ドラゴンスレイヤー)だ。一太刀でも浴びたなら流石のお前でもダメージを受けるだろう』

 

「当たらなければいいんだろう? っ、凄いな影龍王は! これだけの影を生み出す存在は見た事が無い!」

 

「黒井!!」

 

「突っ込め! テメェの盾ぐれぇにはなってやる!」

 

「分かった!」

 

 

 黒のオーラを纏い、赤龍帝と共にヴァーリに向かう。影と繋がった状態で触れられたら一瞬で半減されちまう……しかも夜空もあっちに居るとなると基本俺が夜空、赤龍帝がヴァーリか、かなりのハンデじゃねぇかって文句言いてぇ!! でも勝ったらそれはそれでカッコいいな!!

 

 光の速さで移動し、俺に殴打を浴びせてくるのは夜空。両腕に影を纏わせて光を纏う夜空と殴り合う……この状態ならば身体能力は倍ぐらいには高まってるし影生成も通常時よりもはるかに超える速度が出せるんだぜ? あと俺の怒りで倍プッシュ!!

 

 

「すっげぇ! ガチギレ状態のノワールってこんなに強いんだ!!」

 

「今までお前がいる前でキレた事ねぇからな!!」

 

「あははははは!! だったら今度から怒らせてみよっかな!! やり過ぎない程度でさ!!」

 

「それやったらマジで殺すぞ!! っ! ヴァーリか!?」

 

 

 影の盾で意識外からの攻撃に反応すると魔力の波動が俺を襲ってきたようだ。放ったのは当然ヴァーリ、赤龍帝の怒りで高まった赤いオーラと龍殺しと呼ばれた剣、いやあれはなんだ? 籠手から刃だけ出てるけど剣で良いんだよな? まぁ、どうでもいいけど宣言通り回避し続けて俺にまで攻撃する余裕があるらしい。くそっ! これだから天才は!!

 

 意識をヴァーリに向けたせいなのか夜空の一瞬の行動を許してしまい、光の剣となった蹴りを喰らってしまった。右腕と右足が切断されて尋常ではない痛みが俺を襲う……地上からは橘らしき声の悲鳴が聞こえてくるが気にしねぇ! 痛みは慣れてる!! 地面に落ちる腕と足を影で掴み、先に足だけ再生。斬り落とされた腕は影の状態に変異させたまま上空目掛けて影を伸ばし、幾重に枝分かれさせる。きっとヴァーリと夜空の視界には異様な黒い枝が上空に現れたように見えるだろう。

 

 

「赤龍帝! 当たっても恨むんじゃねぇぞ!!」

 

『ShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShade!!!!!!』

 

 

 枝から影の刃を雨のように降らせ、ヴァーリと夜空を襲わせる。二人は魔力の波動や光の雨で相殺、防ごうとするが簡単に終わるわけがねぇだろ!! 俺が降らせた影の刃は吹き飛ばされた後、飛散した影同士が一つに集まってその姿を影の犬へと変異、再び二人を襲い始める。悪いがこの影には霊子も混ざっているんでね……普通に吹き飛ばした程度じゃ防げねぇ!! 二人も高速移動しながら迎撃するが先ほどまでの雨とは違い今回は影自身が小さな自我を持っている……つまり、喰い殺すまで必ず追いかけるって事さ!

 

 影生成、変異、操作に思考の大部分を割きながらマントを一本の尻尾に変異させ赤龍帝を掴んで振り回す。そう驚くな――最短距離直通ルートで向かわせてやる!!

 

 

「ちょっ!? ナニコレ初めて見るんだけどこんな技!?」

 

「防いでも吹き飛ばしても再生、俺達を追いかけてくるか……なにっ!?」

 

「ヴァァリィィ!!」

 

 

 赤龍帝をボールのように放り投げた先に居るのはヴァーリ。標的目掛けて飛んで行った赤龍帝は左腕を引き、思いっきりヴァーリの胴体をぶん殴った。俺が放り投げた勢いと先のアルビオンの言葉が真実なら龍殺しの一撃、そして赤龍帝の高まった力を全部受けた事になる……流石のアイツでもかなりのダメージだろうな。

 

 

「くぅっ! これが龍殺しの一撃か……!」

 

「ビックリしたけどまだこんなもんじゃねぇぞヴァーリ!! そのイケメン面がブサイクになるまで、うあぁ!?」

 

「悪いがそう何度も喰らってあげるほど暇ではないんだ」

 

『Divide!!』

 

 

 機械音声が聞こえたから恐らく力を半減させられたんだろう……さっきまで高まっていた赤龍帝のオーラが弱弱しいものに変わっている。赤龍帝も自分の身に起きた事とヴァーリからの反撃で地面に落ちるがすぐに立ち上がって自分の力を倍加させる。赤龍帝は倍加、白龍皇は半減。無限に高まる力を無限に減少させる力のぶつかり合いは心が躍る……んだけどそろそろ拙いよなぁ!

 

 夜空を見ると先ほどまでのドラゴンのオーラがさっきよりも倍近く高まっていた。時間が経つたびに力が上がっていくとかマジでチート。光を浴びるっていう限定条件があったとしても地球に住んでいる限り太陽の光やら街の明かりがあるから基本的に上がりっぱなしだ。くそっ、こっちは影で触れなきゃダメだってのに!

 

 

「あはははは!! たっのしぃ!! たのしいよぉ!! そうそう、こういうのがやりたかったの!!」

 

 

 高笑いしながら掌から光線を放って辺り一帯を薙ぎ払うその姿はまるでドラゴン破だ。俺もそれを防ぐために上空に広げた影を前面に展開して盾とする――が予想以上に夜空の力が高まっていたのかものの数秒で影の盾を貫通、頭部半分と俺の半身を消し飛ばしやがった。

 

 

「ぐあぁっ!? いってぇ……!」

 

「はいもう一丁!!」

 

 

 片目しか見えないが一瞬で間合いに入った夜空が笑いながら足を光に変換、そのまま剣のように一閃して俺の下半身を切断。脳みそが半分無くなった状態になり、意識が消えかけたせいで上空に滞空している事すらできず重力に引かれたまま落下。落ちた先は観戦者がいるちょうど目の前――視界の端では橘や水無瀬が近づこうとして止められているのが見える。来るな……死ぬぞ。

 

 

「悪魔さん! 悪魔さん!!」

 

「ノワール君!!」

 

「王様ぁ!!! マジかよ……なんつう戦いだってんだ……!」

 

「黒井!?」

 

「――うるせぇ、そう簡単に死ぬわけねぇだろ」

 

 

 影が集まり、吹き飛んだ頭部に半身、切断された下半身が再生。全くよぉ! いくら不死に近い再生能力持ちって言っても限度があるってのにあの野郎……平気で吹き飛ばしやがって!! てかここまでされると鎧の下が全裸確定じゃねぇか!! ノワール君のノワール君が丸見え状態になっちまったよ! 鎧着てるから平家以外にはわからねぇだろうけどな!!

 

 

『……この再生能力、ユニア。まさかあれは……!』

 

『さぁ、神器の能力なのか()()なのかは彼しか知りませんよ』

 

「凄まじいな。体が吹き飛んでも再生するか……ハハハ! やっぱり楽しいよ! キミとの戦いは!」

 

「でっしょぉ~! すっげぇよね、あの再生能力! フェニックス並み? いやそれ以上?」

 

「大丈夫か黒井! てか体吹き飛んでるのにホントに再生するんだな!?」

 

「欠損限定だから多用出来ねぇけどな。それよりお前はヴァーリに集中してろ……流石に時間が経ち過ぎた」

 

「え?」

 

「夜空の神滅具、光龍妃の外套は光を生み出す能力と光を浴びるたびに力を上昇させる能力がある。ゲームで言うならキャラクターの行動ごとに全能力が1ずつ上がる感じか? 戦闘開始から結構経ってるから既に倍以上には跳ね上がってるし今この時も上昇し続けてるのさ」

 

「……マジかよ。ドライグが言ってたけどヴァーリの神器は半減した力を所有者の限界までしか得られない、それを超える力は翼から吐き出すらしいけどあの人にもあるんだよな!?」

 

「いや、ねぇと思う」

 

「はぁ!?」

 

「アイツの限界点なんざ見た事ねぇんだよ。二日三日一週間、休みなく殺し合った事もあるがあいつは止まる事なく力が上昇してた……分かるだろ? アイツは規格外なのさ。あの体質はどこから来てるのかは知らねぇけどな」

 

 

 白龍皇のヴァーリですら限界点があるというのに夜空には今の所見当たらない。1ずつ上がっていくと言ってもその速度は尋常じゃない……一秒で10以上も上がるとか余裕だろう。マジで規格外すぎて流石の赤龍帝も唖然としてるがお前も同類だぞ? なんで常に倍加していく神滅具が中堅クラスって呼ばれてるか意味分かんねぇ。これはヴァーリにも言える事だけどさ――まぁ、トップが聖槍じゃ仕方ねぇけども。

 

 

「お話ししてるところ悪いけどさぁ!! ほらほらぁ! 続きいっくよぉ!!!」

 

 

 待ちきれないとばかりに俺達に向かって光の球体が無数に放たれる。それだけでさえ面倒だってのにヴァーリも見慣れない紋様を展開して攻撃してきやがった! くっそ! 夜空と一緒にヴァーリの相手までしねぇといけないとかきつすぎだろ!!

 

 俺の足元に影を集中、前面に影の壁を生成して降り注ぐ球体を防ぐ。近くにいた赤龍帝を掴んで現在地から離脱、適当な所で別の場所に放り投げた……一カ所に集まってるとこっちが不利だ!

 

 

『兵藤一誠、このままでは腕輪の効力が切れるのが先だ。速めにケリを付けろよ』

 

「言ってくれるじゃねぇか……正直、黒井が居なかったら負けてるってのにさ!」

 

『お前とクロムの宿主では素のスペックが違いすぎる。あれは歴代影龍王の中でも最強の部類だろう。あの再生能力……いや、あるはずがない。兵藤一誠! 来るぞ!』

 

「マジかよ……!」

 

「ほらほらどうした影龍王! 兵藤一誠! このままでは俺達が勝ってしまうぞ?」

 

「ふざけんなヴァーリ!! 生憎テメェは兎も角として夜空には負けたくねぇんだよ!!」

 

『ゼハハハハ!! 俺様達を簡単に殺せるとは思わない事だなぁ!!』

 

「――やるしかねぇ! 行くぜドライグ! 痛いが我慢しろよ!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

 

 赤龍帝に降り注ぐ光や魔力の波動を影の犬で防ぎつつ、俺は夜空とぶつかり合う。黒のオーラと山吹色のオーラを纏った俺達がぶつかり合うたびに地響きやらが鳴り響いているがいつもの事だ。拳で夜空の鎧を壊しても即修復され、俺の体が吹き飛ばされようとも即再生する。今までと何一つ変わらないがそれでも楽しい! 人間でありながら人間ではない夜空とこうして殺し合えるのは凄く楽しい! しっかし頑丈だな……此処まで殴れば折れたりするだろうによ!!

 

 隣では赤いオーラを纏った赤龍帝がヴァーリに向かって突貫していた。放たれる魔力の波動を受けながらも前へ、前へと突き進んでいる……おいおいマジか? 痛いってレベルじゃねぇだろあれは?

 

 

「突撃か、面白いが途中で終わってしまっては――ぐぅっ!?」

 

「おいおい……タッグ戦だぜ? 夜空と遊んでるからって俺を忘れんな!」

 

「影龍王か……忘れてはいないさ。しかし良いのかい? 不用意に近づけばこうなるぞ!!」

 

『Divide!!』

 

 

 夜空を蹴り飛ばして遠ざけた後、魔力を放出してヴァーリに近づいて殴る。流石のアイツも飛び交う影の犬やら光やら赤龍帝に意識を集中してたみたいだな……でも思いっきり殴ったけど大したダメージにはならないようで俺の腕に触れた――その瞬間、今まで夜空の光やヴァーリの魔力の波動の力を奪って高まっていたはずの俺の力が一気に減少した。つぅ! 久しぶりに受けたがマジでチート!! これまでかよ――なんてな、時間は稼いだぜ? 兵藤一誠!!

 

 

「ヴァァァァリィィ!!!」

 

「っ、しまっ!?」

 

 

 回避しようとしたヴァーリの体を全身から影を生み出して拘束、ついでに奪った力を返してもらうために能力発動! 微々たるものだが無いよりはマシだ!

 

 

「サンキュー黒井! ドライグ!! アスカロンに力の譲渡!! 一気にやるぞ!!」

 

『Transfer!!!』

 

「回避が間に合わな、がぁぁ!?」

 

 

 高めた力を片腕の龍殺しの剣に譲渡、そのまま勢いをつけてヴァーリを殴る。巻き込まれたくないから赤龍帝が殴ったタイミングで影の拘束を解除して俺は距離を取る。かなりの威力だったのか純白の鎧が全て崩壊、生身の状態となり流石のアイツも何度も龍殺しを喰らったせいか血を吐いて地面に落下……トンデモねぇ威力だな龍殺しってのは。俺は喰らいたくねぇ……つぅぅ!?

 

 

「もう、夜空ちゃんから目を離したらメッだぜぇ!!」

 

 

 除け者扱いされた事に怒ったのか一つの流星となって接近してくる。即座に影を集めて盾を形成するが先ほど力を半減されたせいで強度不足のため拳一つで簡単に破られ、そのまま俺の胴体を貫通した。あまりの痛さに悶絶する暇も与えたくないのかその状態で腕から光を放って俺の上半身を吹き飛ばしやがった……あぁ、真っ暗だ。何も見えないし何も聞こえない……何故こうして考え事が出来るのかすら不思議なくらいだ……引かれる、こっちに来いと誰かが呼んでいる……死ぬ、死ぬのか? いや、死なない! 死ねないんだよ!!

 

 その決意の結果、あれだけ真っ暗だった視界が明るくなる。ちゃんと周りが見えるし音も聞こえる。フェニックス並みの不死と自負している再生能力が発動して無くなった部位が影となり、元の姿へと戻る。よそ見をした俺が悪いが普通に殺そうとすんじゃねぇよこの野郎……此処で俺が死んだらお前の楽しみが減るんだぜ? もっと長く楽しもうじゃねぇの! あと個人的に魂かなにかが掃除機に吸われるようにどっかに行きそうになる感覚は何度も味わいたくねぇ!

 

 

「……キモっ」

 

「おいこら、何がキモイって?」

 

「いやだって上半身吹き飛ばしても影集まって再生とか異常っしょ。すっげぇキモイ」

 

「殺すぞテメェ!!」

 

 

 光線と影の砲撃がぶつかり合う。ヴァーリに俺の力を半減させられたせいで拮抗することなく影の砲撃が消滅させられていくがそれを受ける事なく夜空に接近する。殴打、蹴り、頭突き、夜空が光を浴びて徐々に力を高めていくに対して俺は影を浴びせて徐々に力を奪っていく。赤龍帝と白龍皇のような派手さは無いが互いを殺すという気持ちだけは負けていないと思う。

 

 何度も、何度も、鎧が壊れようと体が吹き飛ぼうと光と影、二つのオーラが高笑いと共にぶつかり合う。そうした事を繰り返しているといきなり地上から異様な光が辺りを照らし始めた……そんな事が起きたため俺も夜空も殺し合いの手を止めて視線を下へと移すと発生源はどうやら赤龍帝のようで片腕の宝玉が輝いていた……相手をしていたヴァーリの奴も驚いてるけどまさか反存在の白龍皇の力を神器に移してるのか? おいおい死ぬ気か?

 

 

『ゼハハハハハ!!! 大馬鹿が居たもんだ! 相反するアルビオンの力を得ようなんざ考えた赤龍帝はあのガキぐれぇだ!! 普通ならば即死するからなぁ!!』

 

『ですが神器は想いの強さで変化する代物……聖魔剣が存在するならばそれもまた可能』

 

『あぁ。史上初だ、白龍皇の力を宿した赤龍帝の誕生だぜぇ』

 

 

 光が収まると片腕が真っ白の籠手となっている赤龍帝がヴァーリを見つめていた。うわっ、マジでやりやがったよ……でも確実に寿命か何かを減らしたな。でも――面白れぇ! 多分ヴァーリの奴もそう思ってんだろう、って!? あの野郎!! 周囲全部を半減にするあれ使いやがった!?

 

 

『Half Dimension!!!』

 

「な、なんだ!? 周りは小さくなっていくぞ!?」

 

「あの野郎手当たり次第に巻き込む気か! 赤龍帝気を付けろ!」

 

「何が起きてんだよ!?」

 

「ヴァーリが使ったこの技は周囲の物を何でも半分にするんだよ! 下手をするとこっちまで巻き込まれるからドラゴンのオーラを高めておけ! それが無くなったら身長か大事な男の象徴かどれになるかは知らねぇが問答無用で半分になるぞ!」

 

「嘘だろ!?」

 

 

 赤龍帝が自分の股間を抑え始めた。俺は間違った事は言っていない、あの技はマジでなんでも半分にするからやろうと思えばおっぱいも半分にできるだろう……つまりヴァーリが貧乳に目覚めたら世界中から巨乳は居なくなる、あれ? 夜空が喜ぶ世界じゃねぇか? 多分だがちっぱいの方々もヴァーリを応援すると思う。き、気づかなかったことにしよう。

 

 

「……はっ! ヴァーリヴァーリ!!」

 

「どうした光龍妃?」

 

「それってなんでも半分になるんだよね! すんだよね! じゃあデカ乳全部半分にして壁にして!!! 世界中から巨乳を絶滅させるんだよ!! やって! てかやれぇ!!」

 

 

 ピクッと大事な部分を抑えながら困惑していた赤龍帝が反応した。一時の沈黙の後――赤龍帝が突然キレた。鎧に埋め込まれた宝玉が怒りに呼応して輝き出し、連続で自身の力を倍加させる。高まった力は外へと漏れ出し周囲の木々やら校舎やらを吹き飛ばすほどの濃密なまでドラゴンのオーラで今ならば余裕で神すら殺せるだろう。だが言わせてくれ……そこまで!? どんだけおっぱいに執着してんだよ!?

 

 

「っ、力が跳ね上がっただ、ぐぅぅ!?」

 

「ヴァーリ!! テメェだけは生かしてはおけねぇ!! 皆のおっぱいを半分にするだとぉぉ!? そんな! そんな事させるかぁぁぁ!!!」

 

 

 誰のおっぱいの分と涙を流して叫びながらヴァーリを、あの天才イケメンを殴り続けていく姿にあっけにとられた俺達は殺し合う事なくその様子を眺めているしかなかった。うん、無理。なんか横で面白い光景が流れてるのに殺し合うとかマジ無理。あははははは!! ざまぁ! まじざまぁ!! 余裕ぶっこいて逆鱗喰らってやんの!! イケメンフェイス滅びろってんだバーカ!

 

 トドメの一撃とばかりにヴァーリの顔面を殴って地面に叩き落とした後、赤龍帝の視線が夜空へと向いた。お、おい? まさかその勢いのままこいつに挑むか? あぁ、向かってきたからマジでやる気かよ。

 

 

「およ?」

 

「このまえ世話になったけど俺の後輩を危険な目にあわせた! あとヴァーリに余計な事を教えない様に大人しくしててもらうぞ!」

 

「――あははははは!! マジで? マジで私に挑んでくるの? うんうん、いいよぉ!! いい、いい、すんごく良いよ!!」

 

 

 凄く嬉しそうな声と共に光を放つ。勢いに乗った赤龍帝はそれすら躱し、あの夜空に接近して肩に触れる……あん? なんかいま魔法陣みたいなものが見えた気がする。

 

 

「流石に恩人は殴れない! だから――洋服崩壊(ドレス・ブレイク)

 

 

 パチンと赤龍帝が指を鳴らした瞬間、理想郷が見えた。山吹色をした龍の鎧は一瞬にして吹き飛び、生身の夜空――そう全裸の夜空が俺の目の前に現れた。胸は山すらないまな板のようでピンク色の乳首が丸見え……視線を下にそっと下げると綺麗な、そう綺麗なモノが見えた。今までパンツしか見てこなかったがマジで良いものが見れた……そう言えば処女の証見せるとか言ってて結局見せてもらってねぇからそれも見せてほしい。

 

 とりあえず自分の状況が分かっていない夜空をまずは放って置いて赤龍帝を問答無用で地面に叩き落とす。勿論影人形で行うに決まっている。だって俺は今の夜空の姿を脳内保存するという作業をしないといけねぇから動けない。動けないんだから仕方ない。だから地面に落ちてラッシュタイム喰らわせてる赤龍帝の助けろという声は聞こえない。

 

 ちなみに地上の方々には鎧が吹き飛んだ瞬間から影の壁を形成して俺以外に見えないようにしてる。だって俺以外に見せたくねぇし。

 

 

「……へ?」

 

「マジでまっ平ら、平家でもちょっとは山はあるぞ。下も毛が生えてねぇとかホント子供……いや俺は有りだぞ。うん、すっげぇ有り。ロリコンと言われてもお前相手なら甘んじて受けるし叫ぶ。だから抱かせろ、マジで抱かせろ。俺も鎧の下は全裸だから全裸仲間って事でヤろうぜ」

 

「……ねぇ、ノワール」

 

「あん?」

 

「なんで、私、全裸なの?」

 

「知らん」

 

「……い」

 

「い?」

 

「――いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! み、みるなぁぁぁぁっ!!」

 

 

 今までで聞いたことのない女らしい声を上げながら俺に光を放つ。流石に見入っていたせいで回避する事も防ぐ事も出来ず普通に喰らって地面に落下……問答無用で足以外を吹き飛ばさないでくれねぇかなぁ、むしろ部位が残ってて良かったわ。

 

 再生した後、上空を見てみると夜空の姿は無かった。転移穴でどっかに行ったか……あれだけヤるだのオカズだの処女だのと言っててもマジで女の子してたんだなぁ。とりあえず帰ったらオナニーすっか。勿論オカズはさっきの光景に決定だ。

 

 

「ふぅ。良い光景だった」

 

「賢者タイム入ってないでこれ止めろ!? 死ぬ、死ぬぅ!!」

 

「そう簡単には死なねぇって。夜空の全裸見せてくれたお礼で軽めにしてんだし余裕余裕。んで白龍皇? なんか夜空が女の子したせいで空気ガラッと変わっちまったけどどうする? 続けるか?」

 

「……いや、やめておこう。俺の方もどうやら時間のようだ」

 

 

 ヴァーリの足元に魔法陣が描かれている。なるほど……カオスなんたらって所にお仲間がいるってわけね。

 

 

「楽しかったよ影龍王、何時かまた戦おう。そして兵藤一誠、次に会う時は完全な禁手に至っててほしい。その時こそもっと強く、激しく戦おう」

 

 

 自分勝手な事を言い残してヴァーリはどこかへと消えていた。

 

 なにやらいろいろと言いたいことはあったがもうどうでも良い……夜空の全裸見れただけでもう満足だ。さて――背後から感じる方々をどうやって鎮めるかなぁ。




赤龍帝:掛け算
白龍皇:割り算
光龍妃:足し算
影龍王:引き算

上昇、減少能力のイメージです。
あと、この作品ではアザゼル先生は片腕は失いません。

観覧ありがとうございました!

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