ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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影龍王と奇跡の子
130話


「めっし! めっしぃ!! タダ飯食えるとかマジサイコーじゃん! おいパシリぃ! 飯早くぅ!」

 

「了解しました姐さん! この犬月瞬! 全身全霊最短最速で持って行くっすぅ!!」

 

 

 俺の膝の上に座っている夜空は世の男達を虜のするであろう笑みと犬月に料理の催促をしている。

 

 クリスマスに行われた俺と夜空による冥界全土を巻き込んだらしい最終決戦……通称双龍決戦から気が付けば数日が経ち、あと数時間で新年に突入するという時間帯に俺達キマリス眷属と夜空は人間界にある一誠へと足を運んでいた。理由なんて単純明快至ってシンプル――単なる忘年会をするためだ。いくら悪魔で邪龍の俺でも年末は邪龍特攻持ちと評判の母さんのお言葉により冥界にある実家へと帰っていたが……今年は大変、えぇ大変残念な事に実家へと帰る事は人間界の家で夜空と恋人らしくゆっくり過ごし、新年になったら着物姿の夜空で姫始めをしようと思っていました……が! その結果がこれである。

 

 事の始まりは約数時間前……昨日からぶっ通しで平家とエッチしている最中に部屋に入ってきた水無瀬より忘年会参加を聞かされたまでは良い。ぶっちゃけ興味無かったから即座に拒否ったがそれがダメだったのかイケメンが一目惚れするであろう笑みと共にいい加減にしろ! 良いから忘年会参加です的な事を言われた挙句、仮に拒否った場合は明日から毎日枝豆しか出さないという脅しをされる事になった。前々から思ってたんだがお前って枝豆好きだよな? 冷蔵庫にいつも入ってるしさ……いや美味いから別に良いけども。

 

 そんなわけで枝豆しか食えなくなるのはあまりにもアレな為、泣く泣くチームD×Dメンバーにより忘年会に参加する事になりました! 発案者は今すぐ俺の前に姿を見せてくれません? 大丈夫! 今ならチョロインによる影龍破数発程度で済ませてやるから!

 

 

「光龍妃が参加すると聞いて即掌返しした男が何を言う」

 

 

 俺の横に体を預けるように座っている平家が心の声を聞いたのかツッコミを入れてくる。おいおい平家……俺の彼女が! 俺の彼女が!! この女神よりも可愛い俺の恋人がタダ飯食えるなら参加すると満面の笑みで言ってきたらどんな用事があろうと即座にキャンセルして参加するのは彼氏……いや旦那さんとして当然だろうが。 つーかお前大丈夫か……? かなり疲れ切ってるようだが無理そうなら家で待機してても良いぞ?

 

 

「ノワールが絶倫すぎて身体がもう無理……でもこれからもノワール専用のオナホとして使われると思うと凄く興奮する。控えめに言って今まで生きてきて最高の時間だったね……でも疲れたからノワール、私のご飯取って欲しい」

 

「はいはい。つっても俺の方もヤバいけどな……! 夜空と三日間ぶっ通しからのお前と一日ぶっ通しとか普通の男だったら干乾びてるからな? その辺りもちゃんと考えて欲しいんだがどうよ?」

 

「んじゃ抱かなきゃ良いじゃん。そもそもさ――なんで私じゃなくて覚抱いてんの?」

 

 

 くるりと俺の方を向いた夜空が手加減無しの殺気と共に俺の首を掴む。マジギレ状態の為か目に光なんか存在せず俺の首を掴んでいる指に至っては爪ではなく指そのものが食いこんでる……何この可愛い生き物。嫉妬してる夜空ちゃんマジ可愛い! 普通に最高なんですが! とりあえず夜空……安心しろ! 少なくともお前が許可した女以外は抱く気は無いし子作りエッチもお前が一番最初と心、いや魂に誓ってるからさ! 俺の隣に居る現覚妖怪、前世サキュバスの平家とエッチして一度も避妊具無しでヤってない事をまず褒めろ! ちょっと褒めてくれても良いんじゃないかな夜空様?

 

 

「夜空……そもそもコイツが童貞捨てた俺を見て黙ってると思うか?」

 

「目の前に高級お肉が有ったら食べるよね? それと一緒だよ」

 

「だそうだが?」

 

「――は?

 

 

 何故か分からないがこの部屋の空気が一気に下がった気がする。一誠君! なんでか分からないけどこの部屋の暖房が機能してないから早く直してくれません? てかそもそも忘年会の開始前だけどさ……このノワール・キマリス専用席って何なの? 俺達キマリス眷属にグレモリー眷属、シトリー眷属にバアル眷属、ヴァーリ達にじ、じ……アガレス家次期当主等々結構嘉数が集まってるにも拘らずまだ余裕があるこの部屋の片隅一帯が俺専用とか扱い悪くない?

 

 あと嫉妬してる夜空が可愛すぎて写真撮りたい。

 

 

「ノワールと光龍妃が居る以上、仕方ないと思うよ?」

 

 

 デスヨネ。

 

 

「おいそこのバカップル。夫婦喧嘩なら家に帰ってからしろ……たくっ、光龍妃の殺気のせいで折角の忘年会の空気がヤバくなってるじゃねぇか」

 

 

 冬だというのに浴衣姿かつ手に酒瓶を握りしめているアザゼルが俺達の方に向かってきた。ちなみにだがその酒瓶の提供者は俺達……もっと具体的に言えば四季音姉妹だ。何故か知らないが此処数日間でストレスが溜まりまくってるようで飲みまくるとかなんとか言ってたから溜めに溜めまくった酒を片っ端から持ってきました! 恐らくアザゼルもその中から一本拝借したという感じだろう……なんで分かるかと言われたらラベルに思いっきり鬼印って書いてるし。

 

 

「文句なら此処に連れてきた水無瀬とかこの忘年会の発案者辺りに言ってくれ。俺としては家で夜空と仲良くイチャイチャしたかったんだよ……誰だよ俺達を呼ぼうとか言った奴は?」

 

「あぁ、それは俺だな」

 

「アザゼル? あのー! 実はですねー! 今ならなんとチョロインの的になるというお仕事があるんですけどやってみる気有る?」

 

「残念ながらこれでも仕事が忙しくてな。んなもんになってる暇はねぇっての……しっかしキマリス、鬼が作った酒を持ってくるとはなかなか分かってるじゃねぇの! 同盟を結んだとはいえ出回ってるのがキマリス領とフェニックス領のみだから中々飲む機会が無くてなぁ……な、なぁ相談なんだが堕天使勢力にも卸してくれねぇか?」

 

「んぁ? 四季音姉に交渉すれば良いだろ。アイツ、なんだかんだで鬼勢力の次期頭領だしな」

 

「馬鹿かお前……あんな状態の女に近づく男がどこに居ると思う?」

 

 

 アザゼルが何言ってんだお前という感じの声色で言ってきたので夜空の指が首に突き刺さったままチラリと四季音姉が居る場所を見ると――控えめに言って酷い状態だった。2m以上はある大樽やら一般的な大きさの酒瓶らしきものが大量に地べたに置かれている。その中心にいるのが我がキマリス眷属の戦車であり最終兵器的な感じになってる四季音姉だ……本当に何故か分からないがイライラが溜まりに溜まってるらしく表情も女を捨ててると言っても良い感じになってます! お供の四季音妹……通称キマリス眷属マスコット枠が何とかするかもしれないが普通にひっどいなあれ。

 

 おい平家、なんであんな風になってんだ?

 

 

「光龍妃と三日間ぶっ通しエッチしたのと私と一日ぶっ通しエッチのせいだね。少女漫画大好きの乙女だったけど普通にノワールの童貞狙ってたから光龍妃に奪われ、さらに私に先を越されてご立腹状態なう」

 

「デスヨネ。つってもなぁ……いやヤンデレ状態になるのは俺的には何も問題無いし逆レしたいならいつでもウェルカムだが一応抱きに行くのは確定してるんだぞ? ただ問題はその後なんだよ……いやマジで」

 

 

 なんか視界の端で口に含んだ酒を噴出した鬼が居たような気がするが気のせいってことにしよう。

 

 何を隠そう四季音姉は夜空ちゃんも認めているし俺自身も前々から童貞捨てたら抱きに行くと言ってたからな。ただ四季音姉が夜空よりも上……一番近い言葉で言うならば正妻的な感じの地位を狙おうするだろうからその辺りは気に入らないっぽいけども。あと付け加えるなら俺が夜空以外の女ばかり……簡単に言うと他の女に夢中になったりした場合もダメ、夜空が認めていないかつ知らない女を抱くのもダメ、夜空の都合が最優先でそれ以外……まぁ母さん以外の女の予定を優先した場合もダメという何が何でも自分が絶対に一番という徹底ぶり!うーん可愛い……片霧夜空ちゃんマジプリティ! 普通に惚れ直しました!

 

 ちなみにだが日常的にノワール君専用オナホだの肉便器だの何度も使用可能のティッシュだのと言っている平家が問題無いのは夜空よりも「上」に行く気が無いからだそうだ。まぁ、平家自身は何度も言っているように俺の傍に居られるなら満足っぽいしこの辺りは結構前……少なくともコイツらが出会った時には既に解決してたっぽい。

 

 改めて思うが夜空が即認めるとかこのなんちゃって覚妖怪変異種ってすげぇな。

 

 

「光龍妃って分かりやすいからね。ちなみに花恋とエッチした場合はもれなく母娘丼だね。おかわりもあるよ」

 

「だから困ってんだよ……! こっちは大学卒業か当主就任するまでは子作りエッチ禁止を決めてるのにあの人妻共はどう考えても狙ってくるだろ? だから困ってんだよなぁ。個人的には母娘丼とか好物だから嫌では無いけども」

 

 

 その言葉と同時に俺の首に抉り取られた。犯人は誰だと言われたら勿論、俺の膝の上に座っている夜空ちゃん! 恐らく……いや確実に母娘丼が好物という言葉にブチギレたんだろう。いや待て、待ってほしい! あのな夜空……人妻が嫌いな男は居ません! 子持ち属性とか興奮するしか無いんですよ! 世の男達は見た目が若い母親とその娘を一緒に抱く事を望み続けているんです! その辺りは分かってくれません?

 

 

「――」

 

 

 あっ、これ無理だわ。マジで殺すという言葉以外が見当たらないお目目をしてますよ! でも可愛い。やっぱり可愛い! おい平家、あとで水無瀬の部屋にある「今日から貴方はドМな雌犬セット」を使ってやるから写真よろしく。

 

 とりあえず再生再生っと。

 

 

「おい夜空……飯食う前から血まみれになる気かよ? てか嫉妬? 嫉妬したのかい夜空ちゃん!」

 

「死ね、ウザい、キモいんだよ話しかけんなゴミ」

 

「……すまん。ちょっと今から水無瀬の部屋にある手錠だの目隠しだの一通り持ってきて装備するからもう一度その言葉を言ってくれない?」

 

「キモ」

 

 

 うーん、最高だね! なんか遠くの方から何を言っているんですかという隠れドМな保険医からの声が聞こえている気がするけど気のせいって事にしておこう。そもそもアイツ、給料で買ったであろう調教系の道具を隠し持ってるのが悪い。押し入れの中から蝋燭やら鞭とかを見つけた時はドン引きしたぞ……いや望むなら使うけど。

 

 

「つーか飯まだ? あの鬼はどうでも良いけどまず飯食わせろ」

 

「だそうだが? おい犬月~飯まだかぁ?」

 

 

 最短最速で持ってくるとか言ってたパシリは現在全く音沙汰が無いので試しに呼んでみると大量の料理が置かれたカート的な奴と共に俺達の前に現れた。その表情はちょっと意味分かんないとか言いたそうな感じだけどいったいどうした? てか数多いけどよく持ってこれたな……?

 

 

「――あのですね王様。この空気の中、持って行けるわけないでしょうがぁ!! 姐さんお待たせしましたどうぞお受け取りください!!」

 

「パシリ遅い。あと私の分は?」

 

「……?」

 

「いやお前何言ってんだとか思うよりも先に私の分が無いけど?」

 

「心の中で思った言葉をそのまま言ってやるっすよ。いやお前何言ってんだ? そんなの自分で取りに行けばいいだろ」

 

「ノワールに抱かれまくって動けないなう。今も下半身がヤバい」

 

「いや知らねぇけど……そもそも引きこもり、此処数日間でお前がした事を言ってみ?」

 

「ノワールと光龍妃の護衛、あとノワールのオナホになってたけど?」

 

「――テメェがしほりん達を煽りまくったせいで家の中が地獄になったのもう忘れたのかぁぁっ!! ほらよ飯だ受け取れぇぇっ!!!」

 

 

 犬月瞬、一世一代の叫びと共に平家、あとついでに俺の分と思われる料理が別のテーブルに置かれる。なんだかんだでちゃんと渡してくれるとかツンデレかよお前……男のツンデレとか萌えな、いやウアタハたん辺りなら普通に萌える。まぁ、その本人はこの数日間で被害にあった場所全てを修復して影の国に帰ったけども……それを聞いた相棒の悲痛な声は今でも覚えているぜ。

 

 ちなみにだが家の中が地獄になったのはまず間違いない。エッチし終わって家に帰ったら凄く……空気が重かったんだよ。俺の目から見てもキマリス眷属女性陣は美女、美少女の集まりなんだが四季音妹とチョロイン以外の目が死んでました。というよりも目の焦点があって無かった感じがする……が童貞を捨てた俺からすればいつもと変わらないので特に何も思わなかったがどうやら犬月は違うらしい。

 

 

「テメェが定期連絡とか何とか言って大量の煽り文送ってきた挙句、王様とエッチし始めるとかマジでさぁ! 流石の俺も家出したくなったんだよぉ!!」

 

「別に家出しても良いよ?」

 

「家出したらさらにヤバくなるから出来ねぇんだよ察しろよぉ!!!」

 

 

 犬月はその言葉と共に崩れ落ちる。まぁ、うん。仮に犬月が家出した場合は俺の家がヤバい事になるのは確実だろう……なんせ現時点で犬月が居るから少しは自重しよう的な感じで動いていると思うし。目に光が宿らないとか視線で殺し合ってるとか軽い軽い。うんうん……だから犬月、俺が全員抱くまでなんとか頑張れ! 何時になるか知らんけど!

 

 

「――犬月ぃ!!」

 

 

 遠くの席で一誠がガチ泣きしてるのは何故だろうか?

 

 

「犬月……! 俺は、ダチ一人救えないのか……!!」

 

「ヴリトラ。あれは救う以前の問題だと思うのだが……?」

 

 

 シトリー眷属に囲まれている元士郎が涙を流しながら床を叩いている。今のやり取りでそこまで無く要素合ったかと疑問に思うがそれよりも先に八岐大蛇! お前……お前! なんでシトリー側にいるんだよ! そこは邪龍仲間的な感じでこっち来いよ!!

 

 

 

「ねぇねぇ白音……話を纏めるとかげりゅーおーって絶倫らしいにゃ! これはお姉ちゃん本気だそっかにゃ~♪」

 

「姉様……死ぬならせめて全部教え切ってからにしてください」

 

 

 この流れでそこをチョイスした黒猫ちゃんマジ黒猫ちゃん。あっ、エッチしたいなら夜空ちゃんと面接してからでお願いします! 多分殺されるだろうけども。主に胸が原因で。

 

 

「……犬月瞬。辛いならばウアタハ殿を頼ると良いぞ」

 

「ハハッ! お前が他人を頼るなど珍しいな。いやそれ以前にこの場に居る事自体がそうか」

 

「そのセリフ、そのまま返すとしよう。かの白龍皇がこのような場に来るとは珍しい事もあるものだ。俺の記憶の中のお前はこの手の集まりは嫌いだと思っていたが?」

 

「アザゼルが五月蠅くてね。仕方が無くさ」

 

 

 影の国代表枠とか何とかでやってきた曹操ちゃん! ヴァーリと視線で殺し合ってる暇があるなら影の国で修行した仲だろ? こっち来ても良いぜ! 何だったらヴァーリも一緒でも構わん! なんでと言われらたなんか隔離されてる感じがして寂しいんだよ言わせんな恥ずかしい!

 

 あとゴメン。そろそろ現実逃避するのやめるわ……おい犬月、持ってきた飯の半分が無くなったから補充頼む。

 

 

「タダ飯食えるとかやっぱ忘年会サイコーじゃん! おいパシリ、飯追加ぁ!」

 

「イエッサー!!」

 

 

 哀れ犬月。今日一日は夜空のパシリか……羨ましいから後で地双龍の遊び場に集合な?

 

 

「――はぁ。バカップルの相手は疲れるがそろそろ始めるとするか。キマリスと光龍妃はもう好きにしてろ! 俺は知らん! よしお前らぁ! 色々と思う事は有るだろうが忘年会開始するぞぉ! ウハハハハハハ! 酒ださけぇ! 飲み放題じゃァ!!」

 

 

 若干カオスになりかけていたがアザゼルの言葉によりチームD×Dメンバーによる忘年会がスタートした。

 

 

 

 

 

 

「リゼヴィム様。処理が終わりました」

 

 

 薄暗い小部屋で()()鱗をした龍の腕に付いた血を拭っている銀髪の男。その名はユーグリット・ルキフグス、悪魔の母たるリリスより生まれた新ルキフグスの一体である。彼の視線の先にはコタツに入って年末特番らしい番組を見ている銀髪の男はその言葉に煎餅を持った手をひらひらと揺らした。

 

 

「ごっくろ~♪ どうだいユーグリット君、煎餅食べるかい? これ結構美味しいよぉ~?」

 

「結構です。この後も仕事がありますので」

 

「ありゃや、フラれちゃったよ♪ うひゃひゃひゃ! しっかしさぁ~あのゴミ達はどんな感じだったん?」

 

「何故ですかリゼヴィム様。我々は貴方のお役に立つためになど似たような言葉を言っていましたよ。お望みならば全てお伝えしますが?」

 

「いんや、いらね~よん。でも馬鹿だね~ホントさ♪ 僕ちんがちょっと声を掛けたら罠だと知らずにやってくるんだもん♪ こっちはお前らの事なんてこれっぽっちも期待してないってのにさぁ~!」

 

 

 うひゃひゃと笑っているのはリゼヴィム・リヴァン・ルシファー。現白龍皇、ヴァーリ・ルシファーの祖父であり「クリフォト」と呼ばれる組織の長でもある。彼がユーグリットにとある指示をしたのは今より数日前に起きたとある事件――京都妖怪の姫君が名付けた双龍決戦と呼ばれる影龍王、ノワール・キマリスと光龍妃、片霧夜空の直接対決の時である。

 

 自らの手で蘇らせた名のある邪龍達が反乱した事で戦力が減少しただけでは無く大罪の暴龍グレンデルがリゼヴィムを殺すべく定期的に彼の秘密基地を襲撃しているためか「リリス」より生み出されるユーグリット・ルキフグスを防衛に回し、その数も一体、また一体とグレンデルによって殺され数を減らしていることからクリフォトという組織的にはかなり戦力が減少していると言っても良い。

 

 それを解消するべくリゼヴィムは自身が冥界に居た時にすり寄って来た純血悪魔の貴族達を言葉巧みに唆し、自らの陣営に加える――フリをした。

 

 

「そもそも殺し合いから何百年も離れていた老害を戦力に加えるわけねえじゃんよぉ~♪ それにさ~頼んでもいないのにノワールきゅんが気に入らないからって夜空きゅんを寝取ろうとかあ・り・え・ま・せ~ん♪ そんな事されたらただでさえ戦力やべーのにさらにヤバくなるじゃないの」

 

 

 ふざけた様子から一変して真面目な表情になったリゼヴィムは煎餅を齧る。別な目的で声を掛けた貴族達が何をとち狂ったのかノワールと戦い、疲弊した片霧夜空を捕えた上でリゼヴィムに献上するという作戦を隠さず提案したのが彼らが死ぬ原因となった。

 

 

「いくら疲弊したと言ってもあのノワールきゅんだよ? 目の前で奪おうとしたら逆鱗状態突入してぶっ殺されるに決まってるでしょうが。しかもご丁寧に僕ちんの名前とか絶対出すでしょー? そうしたらほら! グレンデルだけじゃなくてノワールきゅんも全力で僕ちんを殺しに来ること間違いなし! なんせ魔法使い全体を虐殺した前科持ちだからね~普通にあり得まーす! うひゃひゃひゃ! もっとも覚妖怪が即効で気づいて対処されるだろうけどさ♪」

 

「でしょうね。元々"養分"にする予定でしたがそれを早めた理由はそれでしたか」

 

「だいせいかーい♪ 流石に僕ちんの名前出されたら打つ手無くなります♪ あー失敗したな~こんな事なら教会勢力煽った時に見捨てなきゃ良かったよ」

 

「あの頃はまだ戦力的には問題無かったですからね。ではリゼヴィム様、仕事に戻ります」

 

「はいはーい♪ あっ、そうだユーグリット君」

 

 

 その場を去ろうとするユーグリットをリゼヴィムは呼び止める。

 

 

「――彼らの魔力、美味しかったかい?」

 

 

 その問いに対しユーグリットは静かに微笑んだ。

 

 

「いいえ。凄く不味かったですよ」

 

 

 その言葉を残したユーグリットは"仕事場"へと戻り、リゼヴィムは再びTVを見始めた。




「ノワール・キマリス」
双龍決戦から数日間で経験人数二人になった。
基本的にはドSだが夜空相手だとドМにもなる。
罵詈雑言とか言われても夜空が相手だと普通に興奮するやべー奴。

「片霧夜空」
自分が一番じゃないと気が済まないやべー奴。
ノワールが他の女とエッチするためには彼女の面接に合格しなければならない。
ちなみに自分よりも「上」に行こうとする女は即殺害する

「平家早織」
ノワールが夜空と三日間に及ぶ情事が終わった瞬間にマイクロビキニ装備で突撃した。
覚妖怪故にノワールの弱点を知り尽くしサキュバス認定された。
今後は気軽に使ってもらえると本気で思っているやべーやつ。

「犬月瞬」
不憫枠。



今回より「影龍王と奇跡の子」編が始まります。
ちなみに忘年会はまだ始まったばかりです……!
あと1話……か2話ぐらいは某宴会が続くと思われます。

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