「えーこれよりキマリス領内の復興作業を開始しようと思う。昨日も今日もこのクッソ忙しい状況に加えて本当にめんどくせぇにも関わらずこの場に集まってくれた鬼、京都妖怪、東の妖怪達にはこの場を借りて感謝させてほしい。まぁ、長ったらしい挨拶は嫌われるんでこの辺にして……最後に一つだけだ! さっさと終わらせて宴会だぁ! そんでうちのアイドルの生ライブ楽しむぞぉ!!」
剣の姿に変化しているグラムを握り、天へと掲げる動作と共に目の前に集まっている鬼や妖怪達に向かって叫ぶと俺の怒号に近い叫びを聞いた主に男の鬼や妖怪達は一斉に雄叫びを上げるようにうおぉぉぉ! と返答してくる。昨日も一昨日も思ったんだけどさ……皆さんテンション高くないですか? そこまでうちのアイドルの生ライブが見たいか! 流石鬼や妖怪達だ! ノリが良い! これがもしその辺にいる悪魔達だったらおーとやる気のない態度になるはずなのにクソめんどくせぇ復興作業を無償で手伝いに来てくれた挙句にノリノリとかやっぱり鬼と妖怪達って最高だわ!
あっ、ちなみにグラムを剣にしてる理由は特にない。強いて言えばカッコつけのためだ……いやだって百を優に超す集団を前にしてそれっぽい恰好しないのはおかしいだろ? だからこれは必要な事だから納得しなさい……誰に言ってるって顔してるがただの復興作業なのに戦争行くみたいとか思ってるであろうお前に言ってるんだよ!
「総大将! 今日は何をすれば良いか教えてくれ!」
「そうだな……まぁ、昨日と殆ど変わらねぇよ。鬼達は四季音姉……じゃなかった、伊吹だ伊吹! いつも通りお前らの次期頭領様の指揮に従って動いてくれ。あいつはこっちで大工関連の仕事をしてたから俺なんかより何をすれば良いかが分かるはずだ……あーあと四季音妹……じゃねぇあーと茨だ茨! ソイツとも協力しろよ?」
「了解だ! 野郎共!! 伊吹様と茨様の下へと向かうぞ!! 俺達の日夜鍛え続けた腕力を総大将に見せる時だ!! 怠けた野郎はもれなく寧音様との殴り合いだってよ!!」
「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」
鬼達がやる気に満ち溢れた笑顔で俺から離れていくが……すいません! 寧音と殴り合いするなら俺も参加したいんですけど! あのー聞いてます!? そんな大事な事をなぜもっと早く言わねぇんだお前ら!! おい! 待て! マジで待て!
「総大将殿! 我々は何をすればよろしいか!!」
「京都妖怪達は……そうだな。昨日までと同じように力自慢な奴は鬼達と協力、料理が得意な奴は水無瀬の所に行って昼飯と宴会用の料理の準備だな。後は……あー空飛ぶのが得意な奴は上空から地形を把握して平家、俺の所の覚妖怪に伝えろ。平家からの指示があり次第、妖術が得意な奴は吹き飛んだり歪んだりしている地形を直す! よし完璧だな! 人手が足りなかったらその辺にいるニーズヘッグとうちのパシリをこき使っても一向に構わん! 最悪、俺が影人形を大量生産して時間短縮するから気楽にやろうぜ! とりあえず東の妖怪達も京都妖怪達と同じ内容で頼む。西も東も関係ねぇから協力してくれると凄く助かるな!」
「御意! 行くぞ皆の者!! 今日も総大将殿に我ら京都妖怪……いや日本妖怪の力を見せるのだ! この場に居ない八坂様と九重様! ぬらりひょん様のためにも死ぬ気でやるぞぉ!」
「怠けたものが居るなら八坂様が直々に仕置きをするらしい! 死に物狂いで働くのだ!」
「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」
雄叫びを上げながら妖怪達はそれぞれの持ち場へと向かって行くが……すいません! 人妻系美女の八坂にお仕置きされるってマジですか? だからなんでお前らはそんな大事な事を前もって言わねぇんだよ!! 俺だって寧音と殺し合いたいし八坂にお仕置きされたいわ! あっ、でも童貞喪失だけは勘弁な! それは夜空に捧げるために今もなお大事に取っておいてるんだしね!
しっかしなんだかんだでこの数日間で復興作業も鬼や妖怪達の力もあって順調に進んでるなぁ。夜空と共にハーデス及び冥府を滅ぼして此処に帰ってきたらまぁ……酷かったよね! 戦場となった住宅地は原形が残ってるものがある教えて欲しいぐらい徹底的に破壊されてるし畑は吹き飛び農産物やらは見るも無残なお姿へと変わっていたからな。もっとも住んでいた住民達は魔法使い達の襲撃があったにもかかわらず戦えるものは応戦、親父達や何故か現れたニーズヘッグ、そしてあの
あと全くどうでも良いがハーデスぶっ殺して実家に帰ってみたら魔法使い達が人質だ騒いでいた我らがお母様は普通に無事でした。いや俺達の前に映し出された映像の女は偽物だって知ってたから別に気にしてませんでしたけどね! この俺様が気にするわけないだろ? だからその顔はやめなさい。それはそれとしてハーデスぶっ殺したのに特にこれと言ってお咎め無しとか甘くねぇか……大丈夫か魔王共? 事情説明やら説教程度はされたが普通なら牢屋に拘束とかじゃねいの? まぁ、その場合は脱獄もどきするけど。
「ヤダ。お義母さんが無事だったことを確認できた時の表情は凄くホッとしてたくせによく言う」
「気のせいだな。つーか状況はどうよ?」
「鬼や妖怪達が張り切ってるお陰で全体の半分は修復済み。このペースだとあと数日で終わるかもしれないよ。変態行為をしてテンション上がったノワールのせいで破壊されたシトリー領はまだまだかかりそうだけどね」
「マジかよ……なんだかんだで被害はデカかったはずなんだがなぁ。まぁ、力自慢な鬼や器用な妖怪達、そして怪我が治った住民達が力を合わせて作業してればそうなるか。あとシトリー領に関しては先輩方が頑張ってるみたいだし大丈夫だろ」
「あっちは私達の方も手伝いたかったみたいだけどね」
平家の言う通り、被害にあったキマリス領の復興を手伝いたいと先輩……いやもっと具体的に言うならグレモリー家が若干上から目線で言ってきたので丁重にお断りさせてもらった。確かに普通だったら人手が必要な状況で断るのはおかしいけど明らかに復興後にあれやこれやでこっちに干渉してくる気満々だったしな……というよりもグレモリー家が来る前に鬼や妖怪達が何も言ってないにも関わらず「総大将! 手伝いに来ましたぜ!」的な事を言って普通に作業してたから受ける以前にマジで必要無かったんだ! つーか人手が足りないなら影人形で補えば良いしね!
「ノワールがバッサリと断ったせいでリアス・グレモリー先輩が何か言いたそうだったよ」
「気のせいだ。そもそもD×Dに所属しているのはレイチェルとの契約云々で仲間じゃないしな。よくて知り合い? 親父がなんか言ってたがお断り安定なのはお前も分かってただろ?」
「まぁね。キマリス領の復興を手伝って両家の仲を深めて赤龍帝、影龍王の二人と関わり合いがあるというステータスが欲しかっただけ。あとリアス・グレモリー先輩のお母さんの言い方が気に入らなかった」
「それは分かる。マジで貴族ですって感じだったからなぁ……その点、フェニックス家は何も言わずに物資送ってくるとか流石だわ。まぁ……手伝うって言ってきたら断らなかったけどさ」
レイチェルと契約している以上、断る理由は見当たらないし人手よりも物資が不足してるから受け取るしかない。もし今後もグレモリー家があーだこーだと言ってきても断り続けるつもりだ……なんでと言われたら身内に甘すぎる魔王が居た家と関わり合いになったら面倒な事が起きかねん。主におっぱいドラゴン絡みでな! 未だにあの特撮に出演してくれと言ってきてるんだぞ? なんで負けることが前提の役に出演しねぇとダメなんだって話だ! 仮に出演するならおっぱいドラゴンを倒す役が良いね!
『ゼハハハハハハハハ! その通りだぜ宿主様! たとえ作り物とはいえドライグに負けるなんざ俺様が許さねぇ! なんでこの俺様が乳を司る龍帝ちゃんなんぞに負けねぇといけねぇんだ! 仮に倒されるなら俺様好み男の娘が良いぜぇ!』
いつもの様に高笑いしている相棒の声が聞こえているがその場所は俺の
そんな大事な事だけどひとまず置いておいて……真面目な話、何故このような事になったかと言うと数日前に行ったリリスちゃんとの殺し合いで夜空の腋を! 女神級に可愛くて素晴らしいあの腋を舐めてパワーアップした結果……どうやら聖書の神が施した封印の一部を無意識に破壊したらしい。相棒曰く「外からの解呪は難しいが中からなら世界を塗りつぶすほどの欲があれば可能だぜぇ!」とは言ってたけどさ……いやぁ、最初はマジかよと言ったのは言うまでもない。そもそもいきなり相棒が俺様の姿を模した影人形を作れって言ったからお望み通り気合入れて作ったら突然喋り出したんだぜ? ビックリする以前にビビるわ! そしてそれを見た俺を含めたキマリス眷属全員が絶句したのは記憶に新しい。
原理としてはいつもの様に影人形を生成する際、神器に封じられている相棒の魂を一部分だけ混ぜ合わせるだけだ。影龍王の手袋のような封印系神器でそんな事をすれば封じられているドラゴンが最悪死亡するか神器自体の機能が失われる可能性もあるんだが……最高な事に相棒は邪龍に加えて魂すら再生するほどの不死属性持ちだから魂の一部分だけ切り離したところで影響なんてあるわけがない! そんなわけで影人形……というか影龍人形に相棒の意識を宿らせることが可能となったため夢にまで見た相棒と一緒に戦うという事を疑似的にとはいえ行えるのはテンションが上がるのは言うまでもない! 元が影人形で相棒の魂そのものは神器の中に有る以上、俺は相棒の力を使えなくなるというわけじゃないし逆に相棒が生前のように力を自由に使えるわけじゃない。あくまで相棒の意志一つで動かせる遠隔操作兵器、ロボットアニメで言うならビット兵器扱い……で良いのか? 良く分からんがそんな感じだ。
「男の娘に負ける邪龍ってなんかカッコ悪くねぇか?」
『それが良いんだよ! それにな! 倒された後に復活からの仲間フラグ! 敵対していた者同士が手を取り合い新たな敵を倒す! そして最後には結ばれる!! 最高じゃねぇか!!』
「エロゲーだったら盛り上がるが特撮だと色々とアウトだよ」
『そりゃねぇぜ宿主様! ゼハハハハハハハハハハ!』
えーと口調から分かるように影龍人形を通して現世を見渡せるようになった相棒のテンションが上がっております。前々から入りたいとか言ってた温泉に入る感覚や酒や美味い食事を食べる感覚も味わえるみたいだから気持ちは分からないでもない。なんせ今まで神器の中から見てるだけだったのがいきなり外の世界を見て回れるようになったんだもんなぁ……そりゃ、テンション上がるわ。
余談だが一回だけ相棒の意識有の影龍人形と俺対犬月達と戦ったら四季音姉妹とグラム以外の面々から文句言われました! なにこのムリゲーやら絶対に無理やらどう考えても勝ち目がないとか言われたけどそこは頑張れよ! 見てた俺ですら「あっ、これは酷い」とか思ったけどさ……文句言わないで欲しいね!
「クロムが楽しそうで何より。それよりもノワール、いつまでグラムを剣のままにしてるの?」
「ん? あっ、すっかり忘れてた。コイツも働かせねぇとな……つーわけだ、戻れ」
ポイっとその辺に持ってたグラムを捨てると人間体へと戻る。その表情は何もしてないにもかかわらずドヤ顔でちょっとだけ可愛い。
『なんダもうオワりか! 我がおウよ! マサかまたわレらに木ヲ斬らせル気か!!』
「おう。剣士がこぞって欲しがるほどの魔剣でなんでも斬れることが特徴なんだからさっさとし、い、伊吹だ伊吹。どうも慣れねぇなこの呼び方……まぁ、良いや。ほれ、さっさと行ってこい」
『ワれらハ我がオうの剣なり! 斧ノかわリなどにスルナ!!』
「文句言うんじゃねぇよ……実際に斬ったら滅茶苦茶早かっただろうが? その辺の斧を使うよりもテメェを使った方が時間効率が違うんだよ。黙ってやれ、働いたらまた全力の影龍破をぶっ放してやるから」
『ぬゥ! それナらバ仕方がなイな! よカろう! 我ラのきレ味をみテいるがイイ!!』
満面の笑みで鬼勢力が担当している場所へと向かって行くが……うん、チョロイな。
「流石チョロイン、適当な事を言えばすぐにやる気になるな」
「あれがグラムだし仕方がない。それにグラムなら木材程度、紙みたいに斬れるから利用しない手はない。実際に花恋もあまりになんでも斬れるから今後も大工仕事手伝わせようかとか考えてるし」
「マジで? アイツだけニート状態だから仕事する分には俺は何も言わねぇぞ。さてと……平家、面倒な集まりまでまだ時間があるから暇なら復興作業を見て回るか?」
「そうする」
キマリス領復興の全体指揮担当となっている平家と共にまずは近場の京都、東の妖怪連合が頑張ってる場所へと向かう。右を見ても左を見ても和風の衣装を纏った妖怪達がキマリス領の住民達と力を合わせながら建物を建てたり畑を耕したりと働いている……その中でも一際目立っているのが黒い鱗と黄土色の蛇の腹をした細長い生物――ニーズヘッグだ。巨体を活かすように背中に瓦礫やら木材やらを乗せてのそりのそりと歩いている姿はキモカワイイと表現できるだろう。
「よぉ、ニーズヘッグ。今日も悪いな、こんな事を手伝わせちまってよ」
『ぎ、ぎギ、気にしねぇでくれ! お、おで、俺が好きでやってんだからよぉ! こうしてお、おでのでっけぇ体が役にたたたつならい、いぐらでも頑張れんだ!』
ニヤリと笑い涎を垂らしながら嬉しそうな声を出す。なんで此処にニーズヘッグが居るかと言うと魔法使い達がキマリス領を襲撃してきた際、救援として駆けつけてきたからだ。なんで来たんだと改めて理由を聞いてみたら飯を奢ってくれたり優しくしてくれたからその恩を返しに来たという心に響くもので若干だが素で泣きかけた。コイツって見た目で誤解されがちだけど中身は結構いい奴だよなぁ……邪龍ってなんだっけと思いたくなるぐらい純粋でお兄さん、悪い人に騙されないか心配です!
そんなわけで飯とか奢る代わりに復興手伝わない? と契約を持ちかけたら滅茶苦茶頷いてくれたのでこうして皆と一緒にお仕事してるわけだ。近くに居ると異臭がしたりするが俺は殆ど気にしないしキマリス領の住民や鬼、妖怪達もまた同じ……皆、慣れすぎじゃね? いや良いんだけどさ。
『そ、それによぉ! 俺のすす姿見てもこわ、怖がらねぇし! お、オメェのおっかあも優しくしてくれたんだ! 嬉しくてよぉ! だから気にしねぇでくれ!』
『ゼハハハハハハハハ! そうだろうそうだろう! 宿主様の母上様はそりゃもう良い女よぉ! なんせこの俺様の声を聞いてもダンディと言ったんだぜ? ありゃ天然の邪龍たらしって奴だ! ゼハハハハハハ! おいニーズヘッグ! 今晩もめぐみんの飯でも食いながら語り合おうぜ!』
『いい良いなぁ!! 俺、俺! 此処で食う飯は美味くてす、好きだぁ! ク、グロムぅ! 俺、俺……こんなに美味いもの食べたり優しくされたのは、はは初めてだぁ! お、オメェは怖い奴だと思ってたがななな仲良く出来そうだ!』
『ゼハハハハハハ! それは俺様も同じよぉ! テメェは弱虫だと思ったが中々度胸あるじゃねぇの! カッコよかったぜ? 魔法使い共の攻撃を体一つで受け止めてたなんざ俺様、女だったら惚れちまってたところよぉ!』
『ギヒヒ! 俺はか、体がでっけぇからよ! お、恩返しだって思えたら痛いのも我慢できたし……で、でも褒められるの、う、嬉しいなぁ!』
「……この見た目でこの純粋さは反則だと思う」
「明らかに見た目で損してるタイプだもんなぁ。見た目と匂いと手当たり次第に食いたがる衝動さえ気にしなかったら良い奴なんだが……やっぱりこの世はイケメンしか許されねぇか」
「それだとノワールは許されるね」
当然だろ? だって俺様、イケメンですし!
というわけで滅茶苦茶純粋な性格の持ち主であるニーズヘッグとの話を終えて周辺で働いている奴らに挨拶した後、別の場所へと向かう。なんというか……近づけば異臭がするであろうニーズヘッグ相手に「一緒に頑張ろう!」とか「無理させてすまぬ!」とか話しかけて一致団結っぽい光景を見せつけられると邪龍ってなんだっけと本気で思うな。マジでなんだよあれ……ヤダ、うちの領民と妖怪達って心広すぎ!
「おーす、四季音姉。調子はどうだ?」
「んぅ~? 調子も何も皆やる気があるし楽しんでるよ。それよりもノワール? 大事な話し合いがあるのにこんな所で時間潰してて良いのかい?」
「別に大事でもねぇよ。あっちが勝手に指定してきただけだしな」
「そうかい。それよりもだ……名前」
「……なんか言った?」
「数日前にちゃんと言わなかったかい? い、いい、伊吹と呼べってさ……長い付き合いなんだ、いい加減名字呼びじゃなくて名前で呼びな! ほら早く!」
さっさと言えという表情で俺を睨んでくるが……名前で呼ばれるのが恥ずかしいと思ってるのが丸分かりだぜ? いい加減、少女趣味も直せよな……見た目は兎も角として性格というか素のお前はマジで良い女なんだからさ。
「……なぁ? どうしてこんな面倒な事になったんだ?」
「ノワールが光龍妃の腋を舐めてテンション上がったからでしょ」
デスヨネ! うん知ってた。
なんでいきなり名前で呼べとか言い出したかと言うと……夜空の腋を舐めた事が原因らしい。なんだそれと思いたくもなるが事実だ……ハーデスぶっ殺して~と冥府を滅ぼして~と被害状況確認して~と色々と終ってから犬月達の下へ帰ってきたらいきなり水無瀬、橘、レイチェルというお決まりのメンバーに説教された。それだけならまぁ、いつも通りだがここからが問題で……うん、今回の件を許す代わりに名前で呼んでくださいという我らがアイドルこと橘様が破魔の霊力バリバリ状態で命令……じゃなくてお願い♪ と凄く可愛い笑顔で言ってきた。この時だけはマジで死を覚悟したね! おかしいな……俺って王だよね? なんで眷属に命令されてんの?
「ノワールが変態だからでしょ。それよりも花恋、恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」
「な、何が恥ずかしいだって!? べ、べべ、べっつに恥ずかしくはないさ! これはお仕置き……そうお仕置きだからね! いきなりハーデスを殺してきたと言って驚かせた罰さ! 良いじゃないか……光龍妃だけ名前呼びとかちょっとだけ羨ましかったしこれぐらいしてもさ……な、なに!?」
「別に。そのギャップが羨ましいなと思っただけ」
俺様知ってる、お前のその表情は少女趣味過ぎてちょっと引くと思ってるだろ? 頷くんじゃねぇよ! 可哀想だろうが!
「……あーなんだ。伊吹、次期頭領様のカリスマってのでさっさと復興作業を終わらせてくれ」
「っ! に、にしし! そんなのいくらでも見せてやるよ! ほらお前達! 張り切って作業するよ!!」
何故かやる気が上昇した四季音姉のカリスマっぽい何かによって作業を行っていた鬼達の速度が上がる。四季音妹なんて滅茶苦茶瓦礫の破片とかぶっ壊したり普通の奴なら数人がかりで運ぶ物を片手で運んだりしている……それを見た俺は四季音姉と同じように「茨、頑張れよ」と言うと若干嬉しそうな表情で分かったと返答してくる。うん、癒された! 流石キマリス眷属が誇るマスコット枠なだけはある!
ちなみにだが平家は名前呼びとか全く興味無いらしい。コイツ曰く「別に名前で呼ばれなくてもノワールの傍に居られたら満足」との事だ。安定の依存っぷりで何よりですね!
「――というわけで見ての通り、クッソ忙しいのに何勝手にやってきてんだ?」
作業を眺めたり影人形を操って仕事を手伝ったりと時間を潰した俺は実家へと戻ってきていた。現在このリビングには俺、平家、レイチェルに親父と母さん、セルスといった面々と見たくも無いし声すら聞きたくもないクソババアが集まっている。貴族特有のオーラというか雰囲気を纏ってセルスが淹れたコーヒーを飲んでるのは灰色の長髪をうなじ辺りで纏めている顔のシワが多いババア――ラベリー・キマリス。認めたくは無いが俺の親父の母親……つまり婆ちゃんだ。さっさと死ねばいいのに。
目の前に居るクソババアを見る俺の機嫌が悪くなっている事に親父や母さん、セルスは困惑し俺の心を読んで全てを知っている平家と貴族だからこそ知っているレイチェルは別だ。俺の背後で平家は機嫌が悪くなり、レイチェルは貴族として対応したいが俺達の事情を知ってるからどのような態度を取れば良いのか分からないのか困惑と言った感じだ……確かにレイチェルからしたら困るよなぁ、だってコイツも一応は貴族だし。
「自分の家に帰ってくることがそんなにいけない事かい」
「誰がテメェの家だって? ボケてんじゃねぇぞクソババア……追い出された分際でノコノコ現れて家族面すんじゃねぇよ」
「まぁまぁノワール……落ち着いて。お久しぶりです母上、こうしてお会いするのは久しぶりですね……何故、こちらに? 先日の一件では助かりましたが私達の前には現れない約束では無かったでしょうか?」
「そうだね。本来ならこのキマリスが治める地には足を踏み入れない約束だった……が突如として魔法使いが襲撃してきたと言うじゃないか。居ても経っても居られずに加勢に来てやっただけさ。今日は来たのは……久しぶりにお前とハイネギアの顔でも見てやろうと思ってね」
「ぁ? 誰が孫だって……? おいおい、長く見なかった間に本当にボケ始めてねぇか? 俺と母さんを嫌った挙句、親父に追い出された奴がふざけたこと言ってんじゃねぇよ。あといつまでそんな姿でいる気だ? まさかとは思うがその姿でいれば殺されないとでも思ってるんなら大間違いだ――殺すぞ」
周囲の雰囲気が一変するほど濃厚な殺気を目の前のクソババアに放つ。昔と全然変わってねぇな……この貴族特有の上から目線は死んでも治らねぇだろうな。まぁ、どうでもいいけど。
俺の言葉を聞いたクソババアは魔力で自分の姿を変える。先ほどまでシワだらけだった老婆が一転して目つきが鋭い美女へと早変わり……やっぱり悪魔って卑怯だわ。気分一つで自分の姿を変えれるんだしな。
「気にしてたんならすまないね。長生きすると若作りする気も起きないのさ、老婆の姿の方が気持ち的に楽なのよ」
「あっそ。だったら今すぐ人生を終わらせてやっても良いぞ」
「もうっ、ノワール。少しは落ち着きなさい。ごめんなさいお義母様、こうしてまたお会いできて良かったです。お体は大丈夫ですか?」
「問題無いよ。長生きしてるからね……アンタも昔と変わらない姿で安心したよ。ノワール、後ろに居るのがアンタの眷属かい? さっきから殺意を向けてくる一人は噂の覚妖怪かい……こんなのと一緒に居るとアンタの精神を――」
即座に影人形を生み出して拳を放ち、クソババアの顔面寸前で止める。音速すら超えるであろう速度で放たれたものが一気に止まったからかクソババアの背後に衝撃が走る。勝手に現れたくせに平家を見てこんなの呼ばわりとはマジで死にたいらしいな? だったら悪魔らしくその望みを叶えてやるよ。
「こんなの……ねぇ。おい、見ない間に偉くなったもんだな、昔世話になったから生かしておいてるが本来なら一族諸共ぶっ殺されててもおかしくは無いと自覚してんのか?」
「……っ」
「ノワール!」
「うるせぇ。テメェが何を言おうと止める気は一切ねぇよ。そもそもこの女は俺が次期当主、さらに言うならテメェと母さんが結婚する事には反対派の悪魔だろうが。なんでコイツが母さん襲撃事件に関与してねぇのか今でも謎なんだがそれはどうでもいい……おい、こっちは貴重な時間をテメェに使ってやってんだ。さっさと用件を言って帰れ」
もっともそのまま帰ってくれても俺は一向に構わないけどな。
「……そうだね。なら言わせてもらおうか。ノワール、アンタを次期当主に認めるよ。そしてハイネギア、その子との結婚をこれ以上反対する気は無い。好きにしな」
その言葉に親父と母さん、そしてセルスは驚きの表情を浮かべた。当然だ……目の前に居るラベリー・キマリスと言う女は完全な純血主義で親父と母さんの結婚を最後まで反対していた一人だからな。神器を持たず、転生悪魔ですらない普通の人間の母さんが純血悪魔の親父と結婚して俺という混血悪魔を産んだ事に嫌悪してあの一件を引き起こした一派とは違うが俺からすれば同じだ……まぁ、右も左もわからず良い子だったノワール君時代にちょっとだけ世話になったから他よりはまだマシ程度の認識だけど。
チラリと平家に視線を向けると静かに頷いた。ちっ……ここで嘘でしたとかだったら殺せたのにマジで言ってんのかよコイツ! うわぁ、めんどくせぇ。
「……良いの、ですか?」
「その子と結婚してもう何年も経つからね。確かに混血悪魔のノワールが次期当主の座に就くのは反対だったさ……でもね、若手悪魔の中で最強と呼ばれ、さらには最上級悪魔にもなったんだ。認めざるを得ないよ。こう見えてもノワール、お前の活躍は毎回チェックしてるのさ……私の孫だからね。私の言葉なんて聞く耳は無いし認めないだろうがこれだけは言わせておくれ……自分の息子が無数にいる中から選んだ嫁が生んだ子を嫌うわけがないんだよ」
「お義母様……」
「母上……」
はいはい茶番乙。今更マジで何言ってんだ? 会う度にこれだから人間はやら汚らわしいやら言ってきた分際で嫌うわけがないだ? その程度でこれからは仲良くしましょうとは思わねぇよ。ただ……まぁ、確認ぐらいはしても良いか。
「……おい」
「なんだい」
「俺が次期当主になるのに反対だったのは――俺達のためか?」
「さぁね。それを決めるのはお前だよ」
俺の質問にセルスが淹れたコーヒーを飲みながら優雅に答えてくる。そうか……だったら俺からはこれしか言えねぇな。
「そうか。だったら俺から言えるのはこれだけだ……昔にあれだけ罵声やら何やらを言われたからテメェの顔も見たくねぇし声も聞きたくねぇ。他で何をしようと勝手だが二度と
椅子から立ち上がってリビングから出る。隣を歩いているレイチェルから良いのですか的な視線を浴びるがこれで良いんだよ。今更お婆ちゃん大好きっていう年でもねぇしな……何だよその顔? 何か言いたそうだな?
「うん。ノワールって敵と判断したら容赦ないけど一度中に入れたら甘いよね」
「んなわけねぇだろ。単に世話になったから殺さないでいただけだ……つーかぶっ殺すと母さんが五月蠅いしな」
「そうしておく」
「おう。あっ、レイチェル? これからまた復興作業を手伝いに行くがお前はどうする?」
「勿論お供いたしますわ! えぇ、私はキマリス様の契約者、常に傍に居るのは当然ですもの! な、なんですか覚妖怪……休戦! 休戦ですわ! 志保さんや花恋さん達と話がついているでしょう……!」
「知らない。ほらノワール、お姫様はさっきの女と貴族らしいお話しするみたいで忙しいから早く行こう」
「ま、待ちなさい! 確かにそれは大切ですが今は復興作業の方が優先です! き、キマリス様! このレイチェル・フェニックスの指揮をどうぞ身近でご覧になっててください!」
右腕に平家、左腕にレイチェルが抱き着いてきたが何だろうな……差があり過ぎて泣けてきた。壁と山ってこんなに違うんだな!
地味に修羅場ってる二人に挟まれながら俺は廊下を歩きだす。たくっ、嫌うわけがないとかいまさら何言ってんだよ……もうガキじゃねぇんだぞ。大方、俺と母さんを此処から追い出して二人仲良く暮らせるようにとか考えての言動だったんだろうが残念な事に意味無かったと思うぜ? 今でこそ平穏っぽく過ごせているがあの連中が家から追い出された程度で俺達を生かしておくわけがない。自分の家の汚点を見逃すほど甘くねぇだろうしな……あと俺達を嫌うフリでもしないと周りや実家の奴らなんか言われるのは確実で悩んでたことぐらいは隠せよ。怖い夢を見たとかなんかそんな理由で泣いてる俺に飴を渡してきた時の表情は俺を嫌ってる奴がするものじゃなかったぜ。
もっとも今後も仲良くする気は一切無いから俺は心底どうでも良いけどな。
◇
「……予想外だったね、アザゼル」
「だな。いやゼウスやポセイドンの言い分も分かるっちゃ分かるけどな……キマリスと光龍妃に第二、第三の神殺しをされたらいくらギリシャと言えども持たねぇ。今回の結果は妥当だと思うぞ」
俺の隣を歩くサーゼクスは何やら想定外だと言いたそうな表情を浮かべている。数日前にキマリスと光龍妃が引き起こしやがった大事件――神殺しの件で俺達三人はギリシャへと飛び、事の次第を説明やら今後の対策を話し合ったわけだが確かに俺達の予想を裏切る結果となった。たくっ、あのバカップルは限度ってものを知らねぇのか! なんで総督を辞任した俺がここまで胃を傷めないといけねぇんだっての……いやそれはサーゼクスも同じか。下手すると俺よりも酷いかもしれん。
ちなみにだがミカエルもギリシャへと飛んでいたが会談が終わったと当時に即座に天界に戻りやがった。最後まで一緒に居ろとか思いもしたがあっちはあっちで大変だから俺も文句は言えん。リアスやイッセーから話を聞いた時も嘘だろと素で言ったぐらいだしな……まさか惚れた女の腋を舐めただけで異常ともいえる力を発揮、そのせいかどうかは知らんが「神器システム」に保有されている影龍王の手袋のデータに異常が出たらしいが一体全体何がどうなってんだって話だ。キマリスに神滅具見せろと言っても拒否しやがるしよ……今のところ分かっているのは能力を発動する際に流れる音声がエラー音のようになったってのとハーデスをぶち殺すほどの出力を引き出したってことぐらいか。全く! 今代の神滅具保有者は一体全体どうなってんだ!
「まさか冥府を襲撃して生存していた死神諸共ハーデスを殺害したというのにお咎めなしとはね。いや、こちらとしてはありがたいことなのだが……」
サーゼクスが困惑した表情で呟いた。今回の件で俺達三人がギリシャに飛び、ゼウスやポセイドンといった神々と話をした結果がこれだ……サーゼクスからすれば困惑するのも頷ける。
なんせ今回の一件で冥府は完全に機能を果たす事が不可能なぐらい浄化の気と醜悪な呪いが蔓延し、死者の魂を選別する役目を持つハーデスを殺害した事で人間界に大きく影響を与えることになった。この事件を引き起こしたキマリスを最悪封印か何かしてでも責任を取ろうとサーゼクスは思ってたらしいが……まさかのお咎め無しだ。流石の俺も幻聴か何かだと思って聞き返しちまったぜ……まっ、その代わりにこれまで「ハーデスが裏で関与していたこと」を「ハーデス個人で行っていたこと」にしてゼウス含めたギリシャの神々は関係ない事にしろと言われたがその程度で済むなら飲むしかねぇわな……現にギリシャは俺達三大勢力と和平を結ぶことに反対意見は無く、異議を唱えていたのはハーデスだけだ。ヤツの事だ、前にサマエルを英雄派に渡した件と死神達を大量殺害された件で苛立ち、仕返しのつもりでいたんだろうがまさか殺害されるとは思わなかっただろう。イッセー達ならそれで通用しただろうが相手が悪かったとしか言えん。
あと一応被害者側であるギリシャは仮にキマリスと光龍妃にハーデスの仇だなんて襲撃なんてすれば今回の件と同様に神々が殺される恐れがある……ありえないと思いたいがただでさえ若手悪魔や人間という枠から外れているあの二人が仲良く手を組んだ場合、下手すると主神レベルでさえ命を落とすだろう。少しぐらいは否定させてもらいたいがあの二人なら普通にやりかねん……はぁ、早くくっ付いて大人しくなってもらいたいね。
「好き勝手に生きて好き勝手に殺し合って好き勝手に死んでいくを心情にしているキマリスと自分の欲望のためなら事件を起こす自由奔放な光龍妃にこれ以上、関われば他の神々がハーデスのように殺される恐れがある。それを防ぐための処置だろうな。良かったじゃねぇの、下手に賠償金だ封印だっつう面倒な事をしなくて済んだんだしよ」
「まぁ……ね。今回の件でキマリス領及びシトリー領の復興するのに資金がかかるからありがたいと言えばありがたいことだ。でも……このままお咎めなしで済ませるわけにもいかない――がそれだと妖怪勢力から反発があるかもしれない。下手をすると同盟を解除されるだろうね」
「八坂もぬらりひょんも寧音もキマリスが持つ力と自分勝手さに惚れこんでるからなぁ。鬼の里ではキマリスの戦車と兵士の四季音花恋、四季音祈里の婿扱いで裏京都じゃ千年邪龍計画ってのが進行中、ぬらりひょんが治める東ではぬらりひょんの後釜扱いときた……いつ引き抜かれてもおかしくねぇな。サーゼクス、追放したかったら何時でも言えよ? 俺達堕天使勢力が多額の金を払ってでも貰ってやるからよ」
「冗談でも言ってはいけない事があるよ?」
「分かってるっての」
やってることは置いておいてキマリスの存在は悪魔勢力にとっても自分達を殺す武器になりかねないから下手に手放すわけにはいかないってのが現状だ。たくっ、八坂もぬらりひょんも寧音もあの自分勝手なキマリスと盃をどうやって交わせたのか今でも不思議なぐらいだぜ。いきなりキマリスは私達と盃を交わしたから何かあったら分かってるな的な事を言われた時はその場で吐きそうになったからな……あれか? 妖怪達が持つ自由さがキマリスにとって楽だったとかか? うーむ、波長が合いそうだと言われれば納得出来る気がするがこれはサーゼクスには言わない方が良いだろう。
「それより俺達の胃を苦しめている元凶は今なにやってんだ? まさか光龍妃か眷属達とイチャついてるんだったら一発文句言わねぇと気が済まんぞ」
「彼だったら魔法使い達に襲撃されたキマリス領の復興を鬼や妖怪達、フェニックス家の者達と共に行ってるらしい。リアスがも彼に手伝おうかと申し出たらしいが必要無いと断られたらしい……彼は私達を嫌っているのだろうか?」
いやどちらかというと復興を手伝ったという事実を持ち出してグレモリー家があれこれ口出ししてくる可能性を消すためだろうな。こういう時ぐらいは周りを頼っても良いだろうが……いやこれがアイツか。とりあえずこのことは黙っておいた方が良さそうだ。これを知ったサーゼクスがまた見当違いな事をし始めたらさらに悪化しかねん。
「キマリスの性格なら当然と言えば当然か。まぁ、その辺りは諦めといた方が良いぞ? 対テロリスト用のチーム、D×Dに所属している面々すらアイツにとっては味方では無く敵だからな。俺としては若いんだから仲良くしろよとは思うけどよ。それよりもだサーゼクス、アジュカが動いていた件はどうなった?」
「まだ闇が深いこともあって早々に片が付かないだろうが候補者は絞れたらしい。彼もまさかここまで分かりやすくなるとは思わなかったと笑っていたね」
「こればっかりはキマリス……いや傍に居る覚妖怪に感謝ってか?」
現冥界を賑わせているレーティングゲームに冥界上層部及び一部の参加者が行った大規模な不正をアジュカは極秘裏に探っていたがどうやら進展しているらしい。俺も悪魔の駒が何故「女王」までしか作られていないのか前々からおかしいとは思ってはいたがアジュカの口から真相を聞かされてようやく納得がいったからな……確かにあの効果で生成し続けてしまえば反乱が起きかねん。むしろ初期生産で止めたアジュカはナイスだと褒めたいぐらいだ。
「彼が最上級悪魔に昇格した後、一部の最上級悪魔達がほぼ同時に表舞台に出なくなった。さて……何故だろうね」
「本当に謎だな。まっ、真実がどうあれアジュカなら上手くやるだろ」
「そうだね」
将来的にはリアスやイッセー、サイラオーグにソーナ、興味あるかどうかは知らないがキマリスを含めた若い世代達のためにも早々に片づけておいた方が良いだろう。俺としても成長したアイツらが正々堂々戦う舞台を眺めたいしな……だが今は起きてしまった大事件の片づけに専念しようかね。
だがキマリス……後で俺の胃にダメージを与えた責任を取ってもらうぞ! 可能ならお前の神器を解析させてくれるなら許してやる!
これにて「影龍王と劣等生」編が終了です。
・あんぶらどらごん
キマリス領で発売予定のぬいぐるみ。
見た者を恐怖させる棘が生えた西洋ドラゴンを模しているがデフォルメされているためか可愛く見えるのが特徴。
発売が決定した原因はノワール・キマリスの母親の一言である。
なお、鎧を纏ったノワール・キマリスの人形が極稀に店に混ざる予定だが試作品が誰かに盗まれた模様。