【本編完結】ハリーポッターと転生した猫   作:響緑

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と言うことで、2話連続投稿。
前を読んでいない人は読むこと。


それではシリウスが考えた、最善の策とは?



アズカバンにて(後)

「人質の命が欲しければ、そこをどいて貰おう。吸魂鬼達よ、幸福を吸うなよ。君達の可愛いこの吸魂鬼に当たってしまうぞ?」

 

{くっ。}

 

そう。

シリウスが考えた最善の作戦とは、私を人質にして脱獄するという方法。

たまたまその場にロボがいたおかげで、シリウスの発言を通訳をしてくれる。

しかし部下から慕われる立場だが、そんなことが可能なのか?

確かに人を引き付ける力はあるかもしれないけれど・・・

吸魂鬼達が動かない所を見ると、この作戦は失敗に終わったのだろうか。

 

{何事だ。}

 

と現れたのは私も初めて見る吸魂鬼。

幹部クラスでは間違いなさそうだけれど・・・

 

{サイマン総看守長‼︎大変です。梨花看守長が、人質に取られました。}

 

総看守長⁉︎

この吸魂鬼が一番偉い人⁉︎

暫くシリウスとサイマンの、睨みあいが開始する。

お互い何かを探りあっているようだ。

その時間は私にとって凄く長く、10分以上に感じた。

睨みあいを終えると、サイマンは声をあげた。

 

{全吸魂鬼に告ぐ。シリウス・ブラックに手出しすることを許さん。}

 

他の吸魂鬼達は驚きの声を上げる。

手出しをしないということは、シリウス・ブラックの脱獄しようが手を出さないということになり、脱獄すると分かっていながら見逃さないといけないとなるのだ。

 

「物分りのいい奴がいてよかった。さあ、私の為に道を開けるんだな。」

 

シリウスさん、凄く・・・悪役です。

吸魂鬼達は渋々ながら、シリウスが逃げれるように道を開ける。

その道を通るのだが、視線が痛い。

怪しまれないよう平常心を保つことで精一杯だ。

アズカバンの敷地を離れて付き添い姿現しをした。

姿現しで辿り着いたのは、何処かの路地裏。

1時間くらい人目がつかない所と思ったからだろう。

一安心していると、吸魂鬼から人間(昔の梨花)に戻った。

なんで変わったのかは不明だが、深く考えないでおこう。

 

「それが君の本当の姿と言うわけか。見た目からして、十六を超えているかどうかだろうな。」

 

この世界においては、本当の姿とは言えないけれどね。

この世界では猫の姿が本当の姿でいいのかな?

 

「今回はありがとう。また会う機会があればいいな。」

 

「シリウスさん。民間の人はいないと思いますが、くれぐれも気をつけて下さい。」

 

「ああ。」

 

シリウスは犬の姿になり、路地裏から路地裏に消えていった。

またいつか会えるよね。

少なくとも半年以内にね。

 

 

(サイマン視点)

 

俺はサイマン。

このアズカバン監獄にて、1番偉い立場の吸魂鬼だ。

3ヶ月前からある吸魂鬼の噂を聞くようになった。

梨花看守長補佐である。

日本の棚岳監獄から来た新人だそうだ。

吸魂鬼でありながら、幸福を奪わない。

いや、奪ったことがないといった方がいいだろう。

(囚人にも気を使うとは、流石大和撫子の血を引いている。)

直接見たことないが、容姿端麗でありながら知能優秀と劣っている所がない。

そんな彼女が、殺人鬼であるシリウスと付き合っているのではないかという噂。

それはないだろう。

例えるなら初めての獲物だ。

彼女がシリウスの幸福を奪いたいという衝動があり、足繁く通っているのだと思っている。

しかし奪わないのは、まだ奪うことに抵抗があるからなのだろう。

彼女が帰る日、アズカバンはどんちゃん騒ぎだ。

この機会を逃すまいと、脱獄を試みようとしているもんが多い。

最高クラスなのにも関わらず、処刑や見回りをしていて忙しい。

数10000人で回る所だが、今は数えれる人で回している。

アルコールに呑まれている奴を本来ならクビにしたい所だが、看守長までクビにしたらこのアズカバンが成り立たないため、仕方なく半年の給料無配給で許してやる。

これだから若いものは・・・

この後の仕事をきちんとやれるのだろうか?

すると、さっきまでのどんちゃん騒ぎが静かになった。

不思議に思い、会場に向かい状況を聞こう。

 

{何事だ。}

 

{サイマン総看守長‼︎大変です。梨花看守長が、人質に取られました。}

 

その時初めて梨花の姿を見た。

容姿端麗とは聞いていたが、これ程とは・・・

俺がもう少し若ければ、恋に奔ったかもしれない。

そう思っている私が何処かにいた。

シリウスと睨み合いを始める。

私は開心術は得意ではないが、シリウスの中を見る。

彼は冤罪を科せられたことを知る。

 

{全吸魂鬼に告ぐ。ブラックに手出しするでない。}

 

吸魂鬼にとっては屈辱的であろうが、こうするしか奴を逃がすことはできんと思ったからだ。

まあ、今現在罪を犯しているが・・・(誘拐罪)

 

・・・

・・・・・

 

シリウスがアズカバンを去った後、私は最高職を辞職。

手紙と共に年金ライフを生きるつもりだ。

その手紙にはこう記してあった。

 

“総看守長サイマンさんへ。

これを読まれているということは私が無事任務を終え、アズカバン監獄にはいないことを示していることでしょう。私はアルバス・ダンブルドアからの依頼を受け、シリウス・ブラックを脱獄すべく潜り込んだ猫を愛する一市民です。薄々気づいていたかもしれませんが・・・上司の皆さんや、部下の皆さんを騙すようなことをしてごめんなさい。一度も顔見せないまま、立ち去ることを許してください。 看守長補佐 梨花 ”

 

私はこう思った。

 

{君が本物の吸魂鬼だったら、アズカバン監獄は別の意味で地獄と化していたかもしれんな。}

 

out

 

 

私は姿現しを行い、校長室へ訪れた。

 

「梨花よ、ご苦労じゃった。これから普通の猫として暮らすのじゃ。」

 

突然現れたと言うのに、当たり前のように座っているダンブルドア。

さっきまでそこにいなかったよね?

まあ、どうでもいい。

 

「この指輪はどうしますか?」

 

姿現しをした時の指輪と、連絡用の指輪だ。

猫の状態だと必要にすらならないものだ。

 

「持っておっても大丈夫じゃろ。これから先使う時があるやもしれん。」

 

指輪が1つに纏まり、首輪に変わる。

どういうこと?

猫が姿現しをする?

で、できるのかな?

一旦その疑問は置いていこう。

 

「いつ猫に変わるのかしら?」

 

「そうじゃの〜。お主が元いたゲージを開けると、猫に戻るようにしてあっての。ゲージに入ると、他の者がお主の存在を確認するようになるんじゃ。」

 

そうか、人間の姿はあと少しか。

そう思い校長室を後にした。

 

 

(ダンブルドア視点)

 

梨花に頼んでおいてよかったとわしは思う。

とてつもなく早い出世、そして期限内に終わらす知能。

他の者にできないことだ。

下手したら、もう一年待とうと思っていたくらいだ。

 

「本当に猫かの。わしはわしの目を疑ってしまう。」

 

そう。

吸魂鬼達が、誰かの為にパーティを開くし、10年勤めてもなりえないと思っていた看守長になるし、おかしいことばかりじゃ。

 

「本当、猫であることが惜しいの〜。」

 

そうじゃ、動物もどき(アニメーガス)にすればいいのでは?

いや。

動物から人だから、人間もどき(ホモーメーガス)というべきかの。

そんなことを考えていたら、梨花が帰ってきた。

此奴をヴォルデモートに渡さんために、指輪二つを首輪に変えた。

姿現しはできんが、通信機の役割はまだ使えるじゃろ。

怪しまれたが、暫くは怪しいおじさんとしていようかの。

 

out

 

 

私は久しぶりに猫に戻り、ゲージに入る。

もう少しでこの店ともサヨナラするのだ。

そう思うと、急に寂しくなるな。

辺りを見渡すと、かなりの入れ替えがあったようだ。

しかし、あの二匹はまだいた。

さてとゆっくり休むとしよう。

クルックシャンクスが活躍する、アズカバンの囚人が始まるのだ。

楽しみでしかない。




備考
・サイマン
元総看守長。
梨花とともにアズカバンを去り、年金暮らししている。

・別の意味で地獄と化していた
梨花を狙って、血で血を洗う争いがアズカバンにて行われるんですね、わかります。

・人間もどき(ホモーメーガス)
動物もどきの逆。

秘密の部屋が終わり、次は待ちに待ったアズカバンの囚人。
できればここで、話数を稼ぎたいところ。

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